JP3663975B2 - 排ガスモニタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物を焼却する焼却炉から排出される燃焼排ガス内に含まれるダイオキシン類の前駆体であるクロロフェノール類やクロロベンゼン類,炭化水素類を連続的に求める排ガスモニタ装置に関する。
【0002】
特に、採取された排ガスを検出部に引き込むための配管の構成に関する。
【0003】
【従来の技術】
(1)概要:
ごみ焼却場で廃棄物を焼却すると、その排ガス中に猛毒のダイオキシン類が発生し環境汚染を引き起こし深刻な社会問題となっていることは周知である。
【0004】
更に、1997年1月に厚生省から“ごみ焼却に係わるダイオキシン類発生防止等のガイドライン”が示され、徹底したダイオキシン排出管理が極めて重要になりつつある。
【0005】
ここで、ダイオキシン類とは、75種類の異性体を持つポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDDs)及び135種類の異性体を持つポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)を含めることもある。以後、ダイオキシン及びそれに関した化合物群を総称してダイオキシン類と略記する。
【0006】
(2)ダイオキシン計測における従来の装置
▲1▼:ダイオキシン類の定量分析は極めて複雑な化学処理と高価な分析機器を駆使して行われている。そのため、分析結果の取得までに一週間/一検体の時間が必要である。
【0007】
その代案として、極低濃度(ppt レベル)のダイオキシン類の濃度を直接求めるのではなく、ダイオキシン類より相対的に高濃度の他の代替物質の測定を行い、その結果からダイオキシン類の濃度を推定する方法が提案されている。
【0008】
これらの技術として、横浜国立大環境研紀要 18:1−8(1992),特開平4−161849号,特開平5−312796号,特開平7−155731号,特開平9−15229号,特開平9−243601号公報,特開平10−332658号公報に記載されている方法ならびに装置がある。
【0009】
横浜国立大環境研紀要 18:1−8(1992),特開平4−161849号,特開平5−312796 号に記載されている技術は、クロロベンゼン類をガスクロマトグラフィー(GC)により測定し、ダイオキシン類の代替指標として用いるものである。両者の相関からダイオキシン類を推定している。
【0010】
特開平7−156731 号公報に示された技術は、燃焼灰を加熱処理することにより灰中に含まれるダイオキシン類などを熱分解し、ダイオキシン類等を抑制しようとするものである。加熱処理前後の灰中のクロロベンゼン類又はクロロフェノール類を分析しダイオキシン類の除去率を推定する。これにより、熱分解条件の最適化を図ろうとするものである。
【0011】
特開平9−243601 号公報に示された技術は、排ガス中のクロロベンゼン類,クロロフェノール類をリアルタイムで測定し、ダイオキシン類の濃度を連続的に求めようとするものである。排ガスをレーザイオン化質量分析装置に導いてイオン化,質量分析することでクロロベンゼン類,クロロフェノール類の濃度を求め、ひいてはダイオキシン類の濃度を間接的に求めようとするものである。
【0012】
特開平10−332658号公報に示された技術は、排ガスのように種々の化合物が含まれている場合であっても、形成された凝縮物の除去等のメンテナンス作業を必要とせず、正確度および精度の高いクロロベンゼン類の分析値を得ることのできる現場設置形のオンライン分析装置を提供するものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
横浜国立大環境研紀要 18:1−8(1992),特開平4−161849号,特開平5−312796 号公報に記載されている技術は、ダイオキシン類の前駆物質として考えられるクロロベンゼン類をトラップ管に捕捉濃縮し、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分離,検出を行っている。このため、試料濃縮採取及びGC測定に最低一時間以上の時間が必要である。また、GCの検知器では、大量に存在する有機化合物の中から目的とするクロロベンゼン類を過ちなく且つ選択的に検出することは困難である。また、妨害物質による定量値の誤認も煩雑に起きる危険性が常に存在する。
【0014】
特開平7−156731 号公報に記載されている技術は、熱処理前後の灰中のクロロベンゼン類又はクロロフェノール類の定量を行おうとするものである。クロロベンゼン類やクロロフェノール類は灰からアセトン等の溶媒により抽出し、測定する。本公報にはオンラインの試料導入,自動測定などの具体的な技術は開示されていない。又、測定もガスクロマトグラフィー(GC)などの従来法を使用するので、抽出操作を除いても、一試料あたり20,30分の測定時間が必要である。
【0015】
特開平9−15229号公報に記載されている技術は、ダイオキシン類とクロロベンゼン類,クロロフェノール類の相関を述べている。しかし、発明の前提となるダイオキシン類とクロロベンゼン類,クロロフェノール類等の間の相関関係式には、明確な根拠があるわけではない。さらに、クロロベンゼン類,クロロフェノール類の定量は専ら、時間のかかる従来法による(ガスクロマトグラフィー:GC)によってなされたものである。即ち、測定時間は一検体あたり1時間以上必要である。
【0016】
特開平9−243601 号公報に記載されている技術は、クロロベンゼン類のリアルタイム濃度測定の可能性を示している。しかし、この方式におけるイオン化は多光子イオン化である。このイオン化においては、モノクロロベンゼン類はある程度測定できる。しかし、この多光子イオン化においてはベンゼン核に置換した塩素の数が1個ずつ増えるたびに、1/7から1/10の感度低下が起こるとされる。例えば、トリクロロベンゼンではモノクロロベンゼンの約1/100の効率でしかイオン化されない。
【0017】
一方、毒性が最も高いダイオキシンと知られる2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン(2,3,7,8−TCDD)は、ダイオキシンの2,3,7,8位の4個の水素が塩素に置換された化合物である。また、有毒なダイオキシン類は全て塩素が4個以上置換したダイオキシン類である。この猛毒のダイオキシン類がクロロフェノール類,クロロベンゼン類を前駆体として、焼却場内で合成されると、少なくとも、塩素が2個または3個以上置換したクロロフェノール類,クロロベンゼン類が前駆体でなければならない。従って、この発明で示された多光子イオン化方式では、多置換塩素化合物を効率よくイオン化することはできない。即ち、焼却炉排ガス中の濃度100ng/Nm3(1ppb)程度のクロロフェノール類やクロロベンゼン類の測定は非常に困難である。
【0018】
特開平10−332658号公報に示された技術は、排ガスのように種々の化合物が含まれている場合であっても、ダストを取り除くための除塵器と、吸着剤を用いる濃縮器と、再濃縮のためのコールドトラップインジェクタと、ガスクロマトグラフ装置(検出器には有機塩素化合物類に対し選択的で高感度な電子捕獲型検出器)を備え、かつ除塵器の中に炭酸カルシウムの層を具備することで、形成された凝縮物の除去等のメンテナンス作業を必要とせず、正確度および精度の高いクロロベンゼン類の分析値を得ることのできる現場設置形のオンライン分析装置を提供するものである。しかし、クロロベンゼン類の定量は専ら、時間のかかるGCを基本としているため、その分析時間は1時間以上必要であり、間欠的であった。仮に測定対象を1成分に限定しても、約15程度の時間に短縮できるが、リアルタイム性は実現できない。
【0019】
又、かかる従来技術において、前記除塵器を駆使しても、安定した長時間の連続運転は不可能に近い。
【0020】
何故なら、前記除塵器は炭酸カルシウムの交換作業が必須である。このため、前記炭酸カルシウムの劣化を知らしめる手段を具備していないため連続運転は不可能である。
【0021】
更に、前記除塵器は使用時間の増大に従って、その機能が劣化するため、採取するガス量が変化し、前記分析部には安定した流量を供給できないため、逐次感度を調整しなければならない。このため、連続運転は不可能である。
【0022】
一方、ダイオキシンを分析するための従来技術として、より高感度,微量分析を実現する構成として、大気圧イオン化(以下、APIと略称する)を利用した質量分析計、特に、液体クロマトグラフ直結形大気圧イオン化質量分析計(以下、LC/API質量分析計と略称する)が知られている。
【0023】
この方法は、複雑な前処理過程を経て濃縮されたダイオキシン類等の被測定体混合物を液体クロマトグラフィー(以下、LCと略称する)に導入して分離し、溶出する前記試料および移動相はテフロンパイプ等の管を通して霧化部に送られ、ここで熱を加えられることにより霧化される。
【0024】
更に、霧化された試料および移動相は分子状態となり、イオン化室において針状電極により発生するコロナ放電によってイオン化される。イオン化された移動相分子は試料分子と分子反応を起こし、イオン化がまだされていない試料分子へプロトンを移すことによって、試料分子は隠やかに、且つほぼすべての分子がイオン化される。イオン化された試料分子は高分解能の質量分析部に送られ質量分析される。
【0025】
この方法によれば、検出されたイオンの質量数からダイオキシンの定性分析 (塩素がいくつ結合したダイオキシンであるかや、ジベンゾパラジオキシン或いはジベンゾフラン骨格を有するのか、などダイオキシンの種類を知る)を行うことができるばかりでなく、検出されたイオンの強度からダイオキシンの定量分析もできるという特徴がある。また、この装置では、電子衝撃形イオン化(以下、EIと略称する)を利用したガスクロマトグラフフィー直結形質量分析計(以下、GC/EI質量分析計と略称する)に比べ、そのイオン化機構において衝撃の少ない隠やかなイオン化手段を用いているため、試料をイオン化する際分解することが少なく、分子イオンが観測しやすい特徴を有し、GC/EI質量分析計では得られない多くの知見を有している。主として、専門の分析センターや実験室等で多く活用されている。
【0026】
しかしかかる分析装置は上記従来例と同様に、測定対象である排ガスを連続して直接引き込み、複雑な前処理過程を行わないで排ガスをモニタ・分析するための配管系が具備されていないので、安定した連続運転は実現されていない。このため、従来技術をそのまま単に流用、組み合わせただけでは新たなオンライン型のモニタ装置を構成することは不可能である。
【0027】
以上、何れの従来技術においても、測定装置に排ガスを直接引き込んでリアルタイムで測定する手段,装置は開示されていなかった。
【0028】
更に、ダイオキシン類をリアルタイムで検出するモニタ装置がないため、以下のような問題を生じていた。
【0029】
(1):焼却炉などの排ガスにどれだけのダイオキシン類が含まれているか、その変動がどのくらいあるのか、把握されていなかった。
【0030】
(2):焼却炉において、燃焼をはじめてから排ガスが煙突から大気中に排出されるまで、排ガスは多くの温度の異なる空間を経ると共に、排ガス中における多くの化学反応プロセスを経て排出される。この複雑なプロセス一つ一つにおけるダイオキシン類生成,分解などを追跡することはできない。また、当然プロセス条件を変更、最適化してダイオキシン類の削減を図ることもできない。
【0031】
(3):また、ダイオキシン類モニタのリアルタイム化ができないため、焼却炉内の多くの場所でのダイオキシン類の濃度測定ができない。各部でのダイオキシン類の発生状況を把握できない。
【0032】
(4):更には、装置本体を構成するにあたって、従来の公知されている技術に、連続的で且つ安定性を加味した機能を付加しないと、モニタ装置のメンテナンス作業等が低減できず、連続運転を行うことができない。
【0033】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、ダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロベンゼン類の連続直接測定を可能にする排ガスモニタ装置を提供することを目的としたものである。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、排ガスを採取する試料ガス採取手段と、当該試料ガス採取手段によって採取した試料ガスをほぼ大気圧下でイオン化する大気圧イオン源と、当該大気圧イオン源によって生成したイオンを質量分析する質量分析部と、計測された信号を処理するデータ処理装置とを備えた排ガスモニタ装置であって、前記排ガスを吸引するためのポンプと、前記試料ガス採取手段から前記ポンプまでの経路を有する第1の配管と、前記試料ガス採取手段から前記大気圧イオン源を介して前記ポンプまでの経路を有する第2の配管を備えたことである。
【0035】
ダイオキシン類の排ガス中の濃度は1ppt 以下であり、クロロフェノール類,クロロベンゼン類等の濃度は1ppb 程度といわれている。このような、極微量の成分を連続的にモニタするためには、以下の二項目が重要である。(1):極微量成分をより効率良く捕らえるようにする。(2):微量成分より圧倒的に存在量の多い成分(窒素,酸素,二酸化炭素等)は妨害信号を発しないようにする。即ち高いS/B比(Signal/background)が達成できる手法が必要になる。
【0036】
発明者は多くの実験の結果、負イオンモードの大気圧化学イオン化が、排ガス中のダイオキシン類等の選択的イオン化,検出に好適であることを見出した。さらに、この負イオン化は空気中に含まれる酸素を先ず負イオン化し、この負の酸素イオンを前記ダイオキシン類等を含む排ガス試料に分子化学反応させることにより一層の選択的イオン化,検出に好適であることを見出した。
【0037】
本発明によれば、塩素,酸素元素を複数分子内に有するダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロベンゼン類の検出を高感度に行うことができる。塩素や酸素は電気陰性度の高い元素で、これら元素を多数含む有機化合物は低エネルギの熱電子を捕獲して負イオンになり易い。クロロフェノール類は分子内に塩素原子を1個以上、酸素原子を1個有している。又、クロロベンゼン類も分子内に塩素原子を1個以上有している。猛毒のダイオキシン類は分子内に4個から8個の塩素原子、2個の酸素原子を有している。このため、ダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロベンゼン類などは大気圧において、空気の負のコロナ放電により生じる負の酸素イオンにより効率良く負イオン化(分子化学反応)し、質量分析計により高感度にモニタが可能になる。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明は、排ガスを煙道等から直接前記装置に引き込むための配管系を鋭意検討することによりなされたものである。
【0039】
▲1▼:その過程で、塩化水素などの腐食性物質により、配管系が腐食すると、そこにクロロベンゼン類に対して活性な点(部位)ができることがあり、この部位にクロロベンゼン類が付着することを見いだした。
【0040】
▲2▼:又、排ガスを輸送するために具備される配管には、所定の流速と流量が確保されないと、配管の壁面にクロロベンゼン類が吸着することを見いだした。
【0041】
▲3▼:更には、排ガス中に含まれるダストやミストが含まれていると測定阻害を惹き起こしたり、測定装置を汚したりするのでフィルタを設け、前記測定装置本体に供給する排ガスからダストやミストや塩化水素を除去するようにした。
【0042】
▲4▼:更には、測定された排ガスは、前記煙道等のプラント施設の処理経路内に戻すようにした。
【0043】
そこでかかる配管の構成法について検討したところ、
採集ガスに酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム等のアルカリ剤を積極的に接触させることにより、塩化水素を除去することができることがわかった。
【0044】
又、その温度範囲は限定されることが判った。
【0045】
更に、その温度範囲ならば、塩化水素の除去を行う位置については配管経路内の場所に左右されないことが判った。
【0046】
更に、その温度範囲で且つ所定の流速,流量範囲ならば、クロロベンゼン類が付着・吸着しないことが判った。
【0047】
更に、前記輸送配管と計測配管と排出管の流速,流量は、前記輸送配管系に具備する差圧発生機構と前記計測配管系に具備する流路抵抗体(絞り機構)にて設定することが可能であることが判った。
【0048】
更に、前記アルカリ剤やフィルタが配管系に具備され、前記アルカリ剤やフィルタが使用時間増大によって劣化した場合でも、前記計測管系に確保される流速,流量の変化は少なく、且つ他の更なる流路抵抗体(絞り機構)を具備することによって、より安定した流速,流量が確保できることが判った。
【0049】
▲5▼:前記排ガス中に含まれるダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロベンゼン類は前述の如く、負イオン化され易い性質を有している。このため、第一に酸素などの一次イオン発生用ガスにて放電により一次イオンを生成し、次に前記反応室で試料ガスと混合し、イオン−分子反応によって試料ガスに含まれる目的物質をイオン化する構成とすることにより、より安定に長時間のイオン化が可能になり、かつ、観測イオン量が増大できるので、高感度分析が可能になることが判った。
【0050】
かかる構成法においては、
(1):塩化水素等の腐食性の高い阻害物質については、前記試料輸送部の配管系内或いは、前記試料導入部の配管系内のいずれかの位置で、酸化カルシウム又は水酸化カルシウム層に前記排ガスを接触・通過させるだけで除去できる。
【0051】
また、排ガス中に含まれる前記塩化水素以外のダストやオイルミスト等の阻害物質については、前記試料輸送部の配管系内或いは、前記試料導入部の配管系内のいずれかの位置で、除塵器(フィルタ)層に前記排ガスを通過させるだけで除去できる。
【0052】
即ち測定中は、配管の切り替え作業は不要であり、一般的な除塵器(フィルタ)と同様に連続の運転が可能となる。また、かかる除塵器のメンテナンス作業については、所定の使用期間内で、一般的なカセット方式と同様な構成とし、前記配管系に着脱でき、大幅に簡略化を図ることができる。
【0053】
(2):前記配管系内に具備される除塵器(フィルタ)とアルカリ剤は、前述の如く、所定の使用期間内で、カセット方式にて着脱を可能としているので、メンテナンス作業については大幅に簡略化を図ることができた。しかし、前記除塵器(フィルタ)とアルカリ剤は所定の期間内でその能力は時間的に変化(劣化)するため、この変化に対し、配管系としては一定の流量と流速を確保できる構成とする必要がある。
【0054】
以下、本発明の具体的な構成について、図面を用いて説明する。
【0055】
図1は、本発明の排ガス分析装置の一実施例を示す構成図である。この分析装置は、以下の構成要素から成る。
【0056】
測定すべき排ガスは、プラントの配管或いは煙突からサンプリング管1によって直接サンプリングする。採取された排ガスは、排ガス内のダストやオイル,ミスト、更には塩化水素を除去するフィルタ2と、試料輸送管3と、試料輸送管3から分岐した試料導入管4を介して質量分析装置の反応室8に導かれ、イオン化が行われる。試料輸送管3と試料導入管4は、ガラス,金属,セラミック、或いはテフロン等、高温に仕様に耐える材質であれば、いずれの材質の物を用いても構わない。しかし、被測定対象物のダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロフェノール類等が付着・吸着しないように温度管理する必要がある。即ち、管にヒータを巻いて加温し、100〜300℃、好ましくは150〜250℃になるよう装置本体内に具備した温度コントローラにて制御すると共に、保温材にて被覆する。かかる構成によれば、被測定対象体の温度を一定にすることができるので、被測定体が前記輸送管や試料導入管に付着・吸着することがなく、安定して前記装置本体に排ガスを供給することができる。
【0057】
一方、反応室8内でイオン化されず、中間圧力部83に取り込めなかった余分の検出ガスは、反応室8の二次イオン化室80に接続されたガス排出管5から排出され、試料輸送管3へ戻される。試料輸送管3には、吸引ポンプ12が設けられ、排ガスの吸引が行われる。更に、吸引ポンプ12の下流側に送風ファン13が設けられ、装置本体から排ガス排出管33,35、排出ノズル15を経て、排ガスをプラントの配管或いは煙突等に排出するような配管系の構成としている。また、試料輸送管3,試料導入管4には、差圧発生体(絞り機構)32,41,42が備えられる。
【0058】
また、一次イオン源導入管6の一端は、大気側に連通しており、空気吸引ポンプ14により、大気を吸引し、ミスト除去のための供給ガス絞り体61を介して清浄化し、その流量を調整する供給ガス絞り体61を経て、大気が反応室8内の一次イオン化室82に導入されるように構成している。
【0059】
一次イオン源導入管6と試料導入管4内の圧力は、それぞれの管に設置された圧力導入管21,22を介して、圧力センサ20によって検出される。圧力センサ20にて検出された差圧は、試料導入管4に設けた差圧発生体(絞り機構)42にその信号を送出し、差圧発生体(絞り機構)42は、その出力に合わせて、その絞り径を変化させて一定の流量を確保できる圧力フィードバックシステムとして構成している。
【0060】
反応室8は、図2に示すように、針電極81が配置された一次イオン化室82と、排ガスをイオン化するための二次イオン化室80とで構成される。一次イオン化室82には、一次イオンを発生するための供給ガスを導く一次イオン源導入管6が接続され、二次イオン化室80には、試料導入管4が接続され、排ガスが導入される。反応室8内では、針電極81のコロナ放電により排ガスの負イオン化を行う。
【0061】
ここで、反応室8にて被測定体であるダイオキシン類等の負イオンの検出までの経路を詳細に説明する。
【0062】
反応室8では、先ず一次イオン源導入管6から供給された大気中の酸素が、針電極81のコロナ放電によって以下のような一次の負イオンが生成される。そして、試料導入管4から導入された排ガスとイオン・分子反応し、被検出体が負イオン化({CP−H}- )される。
【0063】
2 → {O2 -} (コロナ放電)
2 + O2 → 2NO
{O2 -}+CP →{CP−H}- +HO2
{O2 -}+NO → X + CP {X=NO,NO3
前記負イオン化({CP−H}- )されたイオンは、隔壁84,85,細孔841を有する低真空の中間圧力部83に導入される。中間圧力部83は、油回転ポンプ等の排気ポンプ91により1〜10Torr程度の真空に排気される。かかる中間圧力部83では、被検出体である{CP−H}- イオンと共に、中間圧力室83に導入された中性ガスはここで排気される。中間圧力部83は一般的にスキマー構造とし、拡散した中性分子を次の真空室に入射させないようにしている。
【0064】
次に、中間圧力部83を透過した負イオン化された被検出体である {CP−H}- イオンは、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプ93により10-5Torr以上の高真空に排気された高真空室97に導入される。
【0065】
高真空室97に入ったイオンは、電圧にて加速され、導入された被検出体である{CP−H}- イオンをイオントラップ形の質量分析部計95にて質量対電荷比(m/z)に分け、検出器96にてイオン量を計測(質量分析)する。計測された信号はデータ処理部10に送られ、マススペクトル化される。
【0066】
尚、質量分析部計95は、四重極質量分析計(QMS)でも、或いは磁場型形の質量分析計であっても良い。
【0067】
かかる構成により、高感度の検出を達成できる。
【0068】
データ処理部10は、図示してないが、装置全体の温度コントロールや各部配管径の温度の管理や流量の管理、或いは設定・調整を行う機能が具備されると共に、保守・メンテナンスのための機能や、自己診断機能や、データを外部に伝送する機能等を有し、連続運転を可能にしている。
【0069】
かかる構成における、連続自動分析は以下の主たる手順・操作よって実現される。
【0070】
装置本体100内のデータ処理部10にて、試料導入管4や一次イオン源導入管6を所定の温度にヒートアップし、装置本体の定数設定を行い、スタンバイ状態にする。
【0071】
次に、排ガスを吸引する吸引ポンプ12と送風ファン13を稼動する。
【0072】
この時点で、排ガスが連続して装置に取り込まれ、前述の如く、連続して負イオン化され、さらに質量分析され、最終的にその結果がデータ処理部10に蓄積されると共に、上位の管理機器に送出される。
【0073】
取り込まれた排ガスの計測値が連続的に処理され、質量分析部9に送られる結果、自動的に分析値がデータ処理装置10から出力される。
【0074】
かかる操作は立ち上げ時に実施される手順であり、通常の計測時は、前記排ガスが連続して直接装置に取り込まれ、連続して負イオン化され、さらに質量分析され、最終的にその結果がデータ処理部10に蓄積されると共に上位の管理機器に所定の周期で送出される。装置を何らかの都合で停止させない限りは連続して、計測を継続する。
【0075】
図3に、サンプリング管1,フィルタ2周辺の詳細構成を示す。
【0076】
サンプリング管1は、煙道から排ガスを採取するためのサンプリングノズル101と、プラントの施設にボルト等で締め付けするためのフランジ102とから構成される。このため、サンプリング管1を容易に交換することが可能であり、保守,メンテ作業性に優れる。
【0077】
フィルタ2においては、塩化水素を除去する酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム層3072を有し、この層3072は、50μm〜200μmの石英ウール等を網目上に積み上げたダスト除去層3071によりその両側を挟み込んだ層として構成する。カルシウム層3072ダスト除去層3071が別個に設けられているため、水酸化カルシウム層或いは酸化カルシウム層を単独で取り扱うことができ、メンテナンス時、容易に交換することができる。この構成体はステンレス容器306内に収納される。
【0078】
又、フィルタ2には、一体化構成したダスト除去層3071と酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム層3072を貫通するように、サンプリング管1が挿入され、更には、試料輸送管3が接続される。また更には、容器306の表面には、ヒータ308と保温剤309が装着される。
【0079】
かかる構成において、排気ガスはサンプリングノズル101から採取され、採取された排ガスはフィルタ2を通過して、試料輸送管3に送られる。このため、排ガスに含まれるダスト,オイル,ミスト等の測定阻害物は除去され、且つ塩化水素が水酸化カルシウム層或いは酸化カルシウム層3072と反応して、塩化カルシウムとなる。この反応により、排ガスは塩化水素を含まない状態となる。このため採集された排ガスは清浄化され、下流側に設置される試料輸送管3や試料導入管4には阻害成分が流入しない。このため、下流側に具備される試料輸送管3や試料導入管4等の構成体を長寿命化することができる。
【0080】
又、容器306内はヒータ308と保温剤309によって、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲内に保持・管理されている。このため、排ガス中に含まれるダイオキシ類やクロロフェノール類やクロロベンゼン類は、配管等に付着・吸着しない。このため、採取されるガスの成分を損なうことはない。
【0081】
更に、容器306には、試料輸送管3との接続切り替えバルブ302と接続管3021が具備され、且つその経路内には、もう一つの切り替えバルブ303と接続管3022が具備される。かかる構成により前記切り替えバルブ303から、定期的にパージを行い、フィルタの寿命を長寿命化することができる。
【0082】
更に、容器306には、もう一つの接続切り替えバルブ305と接続管304で構成される配管系が具備される。かかる配管系において、接続管304と接続管3022に圧力センサまたは差圧センサを具備させることにより、遠隔的にフィルタ2の劣化状況を監視することが可能である(フィルタ2の劣化にしたがって、圧力が増加する)。
【0083】
更に、前記かかる構成体は一体化形としているので、容易に交換することが可能であり、メンテナンス性に優れる。
【0084】
試料導入管4の経路内には、差圧発生体32が具備され、排ガスの流量を調整する。差圧発生体32は、例えば、吸引ポンプ12の排気量を10リットル/分〜30リットル/分とした場合、試料輸送管3〜排出ノズル管15の平均流量は5リットル/分〜20リットル/分を確保できる絞り径としている。
【0085】
試料導入管4内の差圧発生体32の上流側には、前述の排ガスを必要な量だけを確保するための試料導入管4が具備され、排ガスが抽出される。この抽出量 (流量)は試料導入管4に具備する差圧発生体41と試料輸送管3内の差圧発生体32の流路抵抗比によって所要の流量に設定される。一般的には、0.1 リットル/分〜1リットル/分を確保できる絞り径としている。
【0086】
試料導入管4を介して抽出されたガスは、反応室8に導入される。一方、反応室8では、前記ダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロベンゼン類が負イオン化されやすく、かつイオン化効率を向上するために積極的に負イオンを発生させ、その負イオンにてダイオキシン類,クロロフェノール類,クロロベンゼン類を負イオン化する二段化イオン法が、連続計測上は安定で且つ連続使用には好適であることを見出した。このため、反応室8の一端には、第一次の負イオンを生成するためのガスを供給する管路:一次イオン源導入管6を具備している。
【0087】
試料輸送管3と、試料導入管4の差圧発生体32の近傍までは、前述のフィルタ2と同様に、ヒータと保温剤により、150℃〜250℃の範囲内に保持・管理されている(図示せず)。
【0088】
このため、排ガス中に含まれるダイオキシ類やクロロフェノール類やクロロベンゼン類は、配管等に付着・吸着しない。
【0089】
更に、差圧発生体32の上流側と下流側との圧力差は、試料導入管4に排ガスが流れていれば、常時発生し、且つ試料導入管4から反応室8を介して試料排出管5に至る管路系が、差圧発生体32前後の試料輸送管3と並列に接続されている。このため、試料導入管4から試料排出管7までの管路系は、差圧発生体32の圧力差と差圧発生体41,42の流路抵抗の設定・調整により、所定の流量を確保することが可能となっている。
【0090】
前述の如く、反応室8には第一次の負イオンを生成するガスを供給する管路:一次イオン源導入管6が接続されている。一次イオン源導入管6には、測定上、連続してガスを供給することができれば、メンテナンス上も好適である。幸いにも、一次イオン化のためのガスは、酸素が好適であることを実験にて確認できている。このため、イオン源のガスとしては、市販されている一般のドライエアー容器や、大気を使用することが可能である。しかし、市販されている一般のドライエアー容器では所定の容量であり、その交換作業が必要である。これは、メンテ上その作業性を損なう。従って、本発明では、一次イオン源導入管6により、大気を引き込み、反応室8に連続供給できる構成としている。
【0091】
又、反応室8では、試料(排ガス)と大気が所定の割合で混合される。このため、前述の試料導入管4と連動して、その流量を確保する必要がある。このため、一次イオン源導入管6内の大気に連通する側にエアーポンプ14が具備され、大気を吸引する。次に、エアーポンプ14の下流側には、吸引された大気中のミスト,ダストを除去するためのフィルタ7を具備する。この供給ガス絞り体61は一般のエアーフィルタで十分である。更に、その下流側に、所定の流量を確保する供給ガス絞り体61を具備している。
【0092】
かかる構成によれば、前記一次イオン化のための酸素ガスを、所定の流量で且つ清浄化したガスとして、無尽蔵の供給が可能となっている。このため、メンテナス期間を伸ばすことが可能である。
【0093】
更には、排ガスとの反応に際し、その温度は排ガスと同じ温度であれば、計測上好適である。従って、図示はしていないが、一次イオン源導入管6には、ヒータと保温材が取り付けられ、温度管理がなされる。
【0094】
本発明における流量特性例を図4に示す。
【0095】
図中、Qn :試料輸送管3を流れる排ガス流量(リットル/分)
Qm :試料導入管4を流れる排ガス流量(リットル/分)
Qair :一次イオン源導入管6を流れる流量(リットル/分)
であり、適用された管径は、
試料輸送管3の外径:3/8インチ
試料導入管4の外径:1/4インチ
一次イオン源導入管6の外径:1/4インチ
であり、いずれもステンレス管とした。また、前記各流量においてQm=Qairになるように各差圧発生体41,供給ガス絞り体61を設定した。更に、試料輸送管3の流量は差圧発生体32により、約7〜10リットル/分を確保できるようにした。
【0096】
更に、連続運転においては、フィルタ2はその使用期間の増大につれ、そのダスト除去の能力が低下するので、その時間的な劣化を考慮した。
【0097】
図4に示すように、フィルタ2のダスト除去の能力が低下するに従って、試料輸送管3の流量Qnも変化している。しかし、試料導入管4の流量Qmは、変化は極僅かである。これは、かかる本発明の配管系において、試料導入管4の流量Qmは、試料輸送管3の流量Qnが変動しても(フィルタ2の劣化に伴って)変動しないということである。即ち、フィルタ2の劣化を考慮しなくて済むということを意味し、かつその流量値は各配管内に具備された各差圧発生体32,41により、任意に設定・調整できることを意味している。又、一次イオン源導入管6の流量Qair は、配管経路とは独立しているため、供給ガス絞り体61により、容易に試料導入管4の流量と混合比を調整できる。
【0098】
このため、かかる配管系によれば、安定した試料ガスの供給が可能であり、連続運転が可能である。
【0099】
前記配管系において、排ガスをより安定化(一定)しなければならない場合がある。この場合、一般的には、マスフローコントローラを試料導入管4と一次イオン源導入管6に具備させれば良い。但し、計測上、前述の如く被検出体の付着・吸着防止を達成するため、具備される配管類は所定の温度で管理・維持されており、その温度は少なくとも100℃以上を確保しなければならない。
【0100】
従って、通常のマスフローコントローラは高温仕様品を具備させる必要がある。更には、前述の塩化水素以外の腐食性ガスが混入する可能性もある。従って、耐食性も要求される。かかる仕様に合致するマスフローコントローラは特殊仕様となり、一般に高価であるため、得策ではない。
【0101】
かかる問題点に対応するため、本発明では、圧力連動形の自動可変バルブ52を試料導入管4、或いは一次イオン源導入管6のいずれかに設置する構成としている。
【0102】
圧力連動形の自動可変バルブの構成例を図5に示す。
【0103】
圧力は、試料導入管4の差圧発生体41の上流側と一次イオン源導入管6内に具備した圧力導入管21,22を介して、圧力センサ20にて計測される。図4に示すように、試料導入管4の流量が僅かに変化すると、その圧力も変化する (主として、試料導入管4に設置された圧力導入管22の方であり、圧力導入管21は一定とする)。この圧力差に連動して、駆動回路ユニット53にてその偏差を算出し、差圧発生体42の絞り径521を変化(CV特性)する。このため、フィルタ2の能力劣化の進行に対応して、僅かな流量変動も吸収(フィードバック)できるので、より安定した流量を確保できる。即ち、より安定した連続計測が達成できる。
【0104】
図6に、本発明の装置により測定した結果を示す。
【0105】
図6の結果は、図示しない標準試料ガス発生装置と希釈装置を使用して、サンプリングノズル101に接続して測定を行ったものである。
【0106】
標準試料としては、2,3ジクロロフェノール(分子量162)を用いた。窒素ガスを1リットル/分で流し、この中に2,3ジクロロフェノールの一定量を気化混入させ、更に窒素ガスで希釈して規定の濃度になるようにした。
【0107】
0.2ppb ,0.4ppb ,0.8ppb の濃度の試料の測定を行った。データ処理部10にてモニタしたイオンの質量対電荷比(m/z)は161で、脱プロトンイオン(M−H)- である。図6から分かるように、高いS/N比と直線性が得られた。
【0108】
図7に本発明の他の実施例を示す。図7の構成は、図1に示す配管系に比して、フィルタ2の配置と構成が相違している。
【0109】
サンプリング管1の下流側には、排ガス中の塩化水素のみを除くための除去ユニット201を、試料導入管4の入り口部には、排ガスのダスト,ミストを取り除く除塵ユニット202をそれぞれ分散して配置している。除塵ユニット202は、ガラス製容器、セラミック製容器、或いは金属製容器等、排ガス中の成分により損傷を受けるものでなければ、いずれの材質の物を用いても構わない。
【0110】
除去ユニット201については、排ガスの温度は一般に高温(150℃以上)のため、採取場所がその入り口近傍に設置できる場合は、排ガスの予熱で加温されるので、ヒータ或いは保温剤等のいずれかを省いても良い。
【0111】
かかる構成によれば、各ユニットを個別にメンテナンスできるので、保守性・メンテナンス性に優れる。
【0112】
更に、塩化水素のみを除くための除去ユニット201は、除塵ユニット202に比して、その流路抵抗を少なくすることが可能である。このため、試料輸送管3の流量変化は格段に改良され、より安定した流量を確保でき、測定がより一層安定化する。
【0113】
図8には、図1に示すフィルタ2の他の実施例を示す。
【0114】
フィルタ2の構成と比較して異なる点は、ダストやミストや塩化水素除去剤を収納する容器306内を除去機能別に分離した構成とし、塩化水素除去剤を隔離された部屋に保持して、より一層の除去効率向上を目指した構成とした点である。
【0115】
排ガスは、サンプリングノズル101を通過して、フィルタの容器306内で独立構成された触媒ユニット部310に流入する。触媒ユニット部310内には流入する排ガス流に対して接線方向の流体力を受ける触媒ファン3010が具備され、排ガスは通気孔3073を介して流入する。触媒ファン3010の表面には、酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム層3072が、(例えば粒状のものを積層して結合して板状に形成したものが)取り付けられている。更に、触媒ユニット部310の下部には、テーパ形状の側板部3012を有し、更にその下部にはテーパ形状の末端と接続する円筒形状の側板部3013を有し、触媒ユニット部310を構成している。
【0116】
かかる構成において、排ガスが流入すると、その流体力で回転する。この時、排ガスは酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム剤に接触し、更にテーパ形状の側板部3012や触媒ファンを覆っている円筒形状の側板部3011と接触を繰り返す。この時、排ガスに含まれるダストは下方にふるい落とされ、テーパ形状の末端と接続する円筒形状の側板部3013内に体積する。
【0117】
体積物3075は、図示はしないが、そのドレインプラグ等の排出口から定期的に排除される。
【0118】
又、同時に触媒ユニット部310の上部方向に排気孔3074から流出する。かかる構成においては、排ガス中の塩化水素を除去できるばかりではなく、初期のダストのフィルタリングを行うことができる。このため、同フィルタ部内部に設ける別のダストフィルタ307の使用時間を延ばすことができる。
【0119】
更に、詳細な図示はしないが、触媒ユニット部310はフィルタ体(本体)に着脱可能な取り付け(本体に挿入して、フック等で固定)を行っている。このため、使用時間に応じて単独で交換作業が可能である。又、フィルタ本体の触媒ユニット部310の通気孔3077の延長上に、図示の如く、新たに触媒収納室3072を設け、その孔3074から、酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム剤や、円筒形状の側板部3011の表面に具備された酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム剤3072を再生する別の反応剤を注入することも可能である。
【0120】
かかる構成によれば、益々メンテナンス性・保守性に優れるとともに、装置の連続運転を伸ばすことができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明により、ダイオキシン類,クロロフェノール類やクロロベンゼン類を直接煙道から連続して採取することができ、連続してモニタすることが可能になる。
【0122】
又、本発明によれば、ダイオキシン類,クロロフェノール類やクロロベンゼン類の測定物に影響を及ぼす阻害ガスや、装置の稼動時間に影響塩化水素等の阻害ガスをも取り除くことができ、且つ後段の配管系に前記測定物が付着・吸着することがない。
【0123】
従って、ダイオキシン類,クロロフェノール類やクロロベンゼン類の検出精度が高く、且つ安定した分析値が連続して得られるという効果がある。また、連続稼動の時間を延ばすことができ、メンテナンス性・保守性が優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】イオン化,質量分析部の構成例を示す図である。
【図3】フィルタ部の構成例を示す図である。
【図4】本発明の流量特性例を示す図である。
【図5】自動可変バルブの構成例を示す図である。
【図6】本発明の装置による出力例を示す図である。
【図7】他の構成例(全体)を示す構成図である。
【図8】フィルタ部の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…サンプリング管、2…フィルタ、3…試料輸送管、4…試料導入管、
5…試料ガス排出管、6…一次イオン源導入管、8…反応室、9…質量分析部、11…高電圧源、12…吸引ポンプ、13…送風ファン、14…エアーポンプ、15…排出ノズル管、20…圧力センサ、21,22…圧力導入管、31…継ぎ手1、32,41,42,61…差圧発生体、33,35…排ガス排出管、34…継ぎ手2、53…駆動回路ユニット、61…供給ガス絞り体、81…針電極、82…一次イオン化室、83…中間圧力部、84,85…隔壁、91,93…排気ポンプ、95…質量分析部計、101…サンプリングノズル、102…フランジ、201…フィルタの触媒フィルタ部、202…フィルタ部のダストフィルタ部、301,303…ストップバルブ、302,305…切り替えバルブ、304…接続管、306…容器、307…フィルタ体(ダスト,触媒)、310…触媒ユニット部、521…絞り径、841…細孔、3010…触媒ファン、3011,3013…円筒形状の側板部、3012…テーパ形状の側板部、3071…ダスト除去層、3072…酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム層、3073…通気孔、3074…触媒ユニット部の排気孔、3075…ダスト等の体積物。

Claims (6)

  1. 排ガスを採取する試料ガス採取手段と、当該試料ガス採取手段によって採取した試料ガスをほぼ大気圧下でイオン化する大気圧イオン源と、当該大気圧イオン源によって生成したイオンを質量分析する質量分析部と、計測された信号を処理するデータ処理装置とを備えた排ガスモニタ装置であって、
    前記排ガスを吸引するためのポンプと、前記試料ガス採取手段から前記ポンプまでの経路を有する第1の配管と、前記第1の配管から分岐し、前記大気圧イオン源を介して前記ポンプの上流で再び前記第1の配管に合流する経路を有する第2の配管を備え
    且つ前記大気圧イオン源は、導入された排ガスを負イオン化することを特徴とする排ガスモニタ装置。
  2. 請求項1において、
    前記大気圧イオン源に、酸素供給を行う第3の配管が接続されることを特徴とする排ガスモニタ装置。
  3. 請求項1において、
    前記試料ガス採取手段は、排ガス採取口の近くに塩化水素又は硫化水素の除去を行うフィルタを備えることを特徴とする排ガスモニタ装置。
  4. 請求項において、
    前記フィルタは、流入する排ガス流に対して接線方向の流体力を受ける触媒ファンを有し、当該触媒ファン上に、酸化カルシウム或いは水酸化カルシウム剤が取り付けられたことを特徴とする排ガスモニタ装置。
  5. 請求項1において、
    前記第1の配管と前記第2の配管には、流路抵抗を発生する抵抗部材がそれぞれ備えられることを特徴とする排ガスモニタ装置。
  6. 請求項5において、
    前記第2の配管の抵抗部材は、流路抵抗が調節可能であることを特徴とする排ガスモニタ装置。
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