JP3663671B2 - 油圧ダンパ連結構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、油圧ダンパ連結構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラント等の設備に配設されている配管においては、地震等の振動によって破損を生ずる場合があるため、振動に対して高い剛性を示す油圧ダンパを使用して配管の振動を抑制している。
【0003】
図2は、前記した従来の油圧ダンパ及びターンバックルの配設状態の一例を示しており、図2中、1は水平配置した油圧ダンパ、2は前記油圧ダンパ1と同一軸線上に配置されたターンバックルである。
【0004】
前記した油圧ダンパ1は、内部に油が充填されたシリンダ3を備えており、シリンダ3の先端側には、該シリンダ3の長手方向に往復運動し得るピストンロッド4が突出している。
【0005】
ピストンロッド4の突出先端部には支持部材5が取付けられており、シリンダ3の先端と支持部材5との間には筒状のベローズ6が配設され、前記シリンダ3の先端から突出したピストンロッド4が前記ベローズ6によって包囲されている。
【0006】
前記した支持部材5には、先端側に向かい開口する第1ロッド取付用孔7が穿設された連結部材8が取付けられている。
【0007】
又、前記したターンバックル2は、図2,3に示すように、枠状のターンバックル本体9を備えており、該ターンバックル本体9の後端側には、外周面略全長に雄ネジが刻設された第1ロッド10が螺着されており、又先端側には、外周面略全長に前記雄ネジと同一ピッチで逆ネジの雄ネジが刻設された第2ロッド11が螺着されている。
【0008】
地面等に立設した構造物12にはブラケット13が取付けられ、油圧ダンパ1は、該シリンダ3の後端に取付けたブラケット14を介してピン15により連結されている。
【0009】
ターンバックル2の第1ロッド10の後端は、連結部材8の第1ロッド取付用孔7に螺着され、前記ターンバックル2の第2ロッド11の先端は、該第2ロッド11の先端に取付けたブラケット16を介して、配管等の被振動制止体17の外周面に取付けたブラケット18にピン19により連結されている。又ターンバックル2は、ターンバックル本体9を回転させることによりピン15,19間の距離に応じて長さ調節できるようになっている。
【0010】
なお、図2,3中、20a,20bは第1ロッド10及び第2ロッド11とターンバックル本体9とを固定するための止めナット、21はピストンロッド4の往復運動をガイドするためのガイド部材、22は油圧ダンパ1のシリンダ3に対する給油管である。
【0011】
従って、地震等により配管17に振動が生じた場合には、該振動によってピストンロッド4が往復運動し、この動きをシリンダ3内部に充填した油によって抑えることにより配管17に生じた振動を抑制している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したように油圧ダンパ1をターンバックル2によって略水平に配置しても、前記油圧ダンパ1及びターンバックル2は、連結部材8と第1ロッド10の螺合部分近傍で最大の撓みとなるよう自重により下方に僅かに撓んだ状態であり、この状態では、油圧ダンパ1に設計荷重以上の水平荷重が加わると、第1ロッド10が座屈する虞れがある。
【0013】
又、前記した油圧ダンパ1は市販のものを使用しているため、前記油圧ダンパ1の連結部材8には予め小径の第1ロッド取付用孔7が穿設されており、該第1ロッド取付用孔7の径に合わせてターンバックル2を使用するために第1ロッド10が小径となり、この部分において強度が低下していた。
【0014】
このため、配管17に振動が起こり、自重により下方に撓んだ状態の油圧ダンパ1に設計荷重以上の水平荷重がかかると、図4に示すごとく強度の低い第1ロッド10が座屈する場合があった。
【0015】
更に、前記した油圧ダンパ1においては、シリンダ3内部に油を充填しているため、油が漏洩しないように所要箇所をシールしており、このシール部の耐圧は設計荷重の1.5倍まで耐え得るように設計されてはいるが、上記のように第1ロッド10が座屈した場合には、座屈によってシール部が損傷していないかどうか点検作業を常に行なう必要があり、この点検作業は多大な時間と労力を要する煩雑な作業となっていた。
【0016】
本発明は上述の実情に鑑み、油圧ダンパに設計荷重以上の水平荷重がかかっても油圧ダンパとターンバックルの連結部を座屈させず、前記油圧ダンパのシール部の点検作業を行なう必要のない油圧ダンパ連結構造を提供することを目的として成したものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の手段は、後端を構造物に連結した油圧ダンパのピストンロッド先端に、先端側に向かい開口する安全ピン取付用孔が穿設された連結部材を取付け、後端側に向かい開口する安全ピン取付用孔が穿設され且つ前記連結部材と略同径の第1ロッドをターンバックル本体の後端に、また先端側を被振動制止体に連結した第2ロッドを、ターンバックル本体の先端に、夫々螺着させ、長手方向略中央部にノッチが形成された安全ピンの一端を前記連結部材の安全ピン取付用孔に螺着させると共に他端を前記第1ロッドの安全ピン取付用孔に螺着させ、前記連結部材及び第1ロッドに前記安全ピンを包囲するよう金属製スリーブを嵌込んで構成し、又、ターンバックル本体における後端側の幅を大きくし、先端側に向かい徐々に幅が小さくなるようなテーパ形状にしたものである。
【0018】
本発明の第2の手段は、金属製スリーブを第1ロッド若しくは連結部材に螺着させたものである。
【0020】
【作用】
本発明の第1の手段においては、油圧ダンパの連結部材とターンバックルの第1ロッドに金属製スリーブを嵌合してあるため、前記連結部材と第1ロッドとの間で生ずる下方への撓みが減少し、油圧ダンパに設計荷重以上の水平荷重がかかると、安全ピンに引張荷重が作用し、ノッチ部分に応力集中が生じ、前記安全ピンはノッチ部分で破断する。
【0021】
その結果、連結部材と第1ロッドとの間において座屈が発生しなくなり、油圧ダンパのシール部に座屈に伴う損傷が生ずる虞れがなくなるため、前記シール部に対する煩雑な点検作業を行なう必要がなくなる。
【0022】
又、安全ピンがノッチ部分で破断しても、金属製スリーブにより油圧ダンパとターンバックルとは連結された状態が保持されるので、前記油圧ダンパとターンバックル本体は落下しない。更に、ターンバックル本体の後端側の幅を大きくすることにより、油圧ダンパとターンバックルとの間の強度を一層高めることができる。
【0023】
本発明の第2の手段においては、油圧ダンパに水平荷重がかかっても、前記金属製スリーブが軸方向にずれることがなく、油圧ダンパとターンバックルとの連結を確実に行なうことができる。
【0025】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は本発明の油圧ダンパ連結構造の一実施例を示しており、本実施例において使用される油圧ダンパ1は従来のものと略同様の構造であるが、図1に示すように、ピストンロッド4の先端に支持部材5を介して取付けられる連結部材23は、図2,3に示す従来の連結部材8よりも先端側へ突出し、その先端には、先端側に向かい開口する安全ピン取付用孔24が穿設されている。
【0027】
ターンバックル2は、後端側の幅が大きく、先端側に向かい徐々に幅が小さくなるテーパ形状を有したターンバックル本体25を備えており、該ターンバックル本体25の後端側には、外周面略全長に雄ネジが刻設され且つ後端側に向かい開口する安全ピン取付用孔26が穿設された第1ロッド27と螺着され、前記ターンバックル本体25の先端側には、外周面略全長に前記雄ネジと同一ピッチで逆ネジの雄ネジが刻設された第2ロッド28が螺着されている。
【0028】
第1ロッド27の径は、従来のターンバックル2(図2,3参照)の第1ロッド10よりも大径であって、前記した連結部材23と略同径となっている。
【0029】
又、連結部材23の安全ピン取付用孔24に、前記連結部材23及び第1ロッド27より小径の安全ピン29の一端が螺着され、第1ロッド27の安全ピン取付用孔26に前記安全ピン29の他端が螺着されており、該安全ピン29の長手方向中央部には、側面形状がV字状のノッチ30が形成されている。又第2ロッド27の先端側は、従来と同様に配管17(図2,3参照)に取付けたブラケット18にブラケット16を介してピン19により連結されている。
【0030】
又、連結部材23と第1ロッド27には、安全ピン29を包囲するよう金属製スリーブ31が外嵌されており、該金属製スリーブ31は第1ロッド27に螺着され、連結部材23に対して長手方向へ摺動し得るようになっている。
【0031】
従って、本実施例においては、油圧ダンパ1の連結部材23とターンバックル2の第1ロッド27に金属製スリーブ31を外嵌してあるため、前記連結部材23と第1ロッド27との間で生ずる下方への撓みが軽減され、油圧ダンパ1に設計荷重以上の水平荷重がかかると、安全ピン29に引張荷重が作用し、ノッチ30部分に応力集中が生じ、前記安全ピン29はノッチ30部分で破断する。
【0032】
その結果、連結部材23と第1ロッド27との間において座屈が発生しなくなり、油圧ダンパ1のシール部に座屈に伴う損傷が生ずる虞れがなくなるため、前記シール部に対する煩雑な点検作業を行なう必要がなくなる。
【0033】
安全ピン29がノッチ30部分で破断しても、金属製スリーブ31により油圧ダンパ1とターンバックル2とは連結された状態が保持されるので、前記油圧ダンパ1とターンバックル2は落下しない。
【0034】
又、金属製スリーブ31を第1ロッド27に螺着させているため、油圧ダンパ1に水平荷重がかかっても、前記金属製スリーブ31が軸方向にずれることがなく、油圧ダンパ1とターンバックル2との連結を確実に行なえる。
【0035】
更に、ターンバックル本体25の後端側の幅を大きくすることにより、油圧ダンパ1とターンバックル2との間の強度を一層高めることができ、よって座屈による変形が生じにくくなる。
【0036】
なお、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ること等は勿論である。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明においては、油圧ダンパに設計荷重以上の水平荷重が加わると、安全ピンのノッチ部分で破断するため、連結部材と第1ロッドとの間において座屈が発生しなくなり、結果的に、油圧ダンパのシール部に座屈に伴う損傷が生ずる虞れがなくなり、前記シール部に対する煩雑な点検作業を行なう必要をなくすことができる。又安全ピンがノッチ部分で破断しても、金属製スリーブにより油圧ダンパとターンバックルとは連結されているため、前記油圧ダンパとターンバックルの落下をなくすことができる。更に、ターンバックル本体の後端側の幅を大きくすることにより、油圧ダンパとターンバックルとの間の強度を一層高めることができる。又請求項2の発明においては、油圧ダンパに水平荷重がかかっても、金属製スリーブが軸方向にずれることがなく、油圧ダンパとターンバックルとの連結を確実に行なうことができる等の種々の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油圧ダンパ連結構造の一実施例を示す一部破断側面図である。
【図2】従来の油圧ダンパ及びターンバックルの配設状態を示す一部破断側面図である。
【図3】図2の油圧ダンパとターンバックルとの連結部の拡大図である。
【図4】従来において連結部が座屈した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 油圧ダンパ
4 ピストンロッド
12 構造物
17 配管(被振動制止体)
23 連結部材
24 安全ピン取付用孔
25 ターンバックル本体
26 安全ピン取付用孔
27 第1ロッド
28 第2ロッド
29 安全ピン
30 ノッチ
31 金属製スリーブ
Claims (2)
- 後端を構造物に連結した油圧ダンパのピストンロッド先端に、先端側に向かい開口する安全ピン取付用孔が穿設された連結部材を取付け、後端側に向かい開口する安全ピン取付用孔が穿設され且つ前記連結部材と略同径の第1ロッドをターンバックル本体の後端に、また先端側を被振動制止体に連結した第2ロッドを、ターンバックル本体の先端に、夫々螺着させ、長手方向略中央部にノッチが形成された安全ピンの一端を前記連結部材の安全ピン取付用孔に螺着させると共に他端を前記第1ロッドの安全ピン取付用孔に螺着させ、前記連結部材及び第1ロッドに前記安全ピンを包囲するよう金属製スリーブを嵌込んで構成し、又、ターンバックル本体における後端側の幅を大きくし、先端側に向かい徐々に幅が小さくなるようなテーパ形状にしたことを特徴とする油圧ダンパ連結構造。
- 金属製スリーブを第1ロッド若しくは連結部材に螺着させた請求項1に記載の油圧ダンパ連結構造。
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