JP3663428B2 - 屋根および壁の結合構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造住宅、RC造住宅などの住宅の外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋根の断熱構造を大別すると、▲1▼ 屋根たる木間に断熱材(5)を充填する(図2)、▲2▼ 野縁(6)を構成して、断熱材(5)を充填する(図2)、▲3▼ 登り梁(7)を構成して断熱材(5)を充填する(図4、寒冷地仕様で200m/m〜300m/mの断熱材を使用する場合に用いられる。)、および▲4▼ 屋根たる木(2)の外側に板状断熱材(8)あるいは断熱パネルを配するいわゆる2重屋根に近い構造をもったものとする(図5)、の4種類がある。
【0003】
上記4種とも、台風などの屋根の耐風圧性能は、屋根たる木(2)を、軒桁(9)又は母屋(10)や小屋梁(11)と主として釘で緊結することにより確保している。特に台風の場合は、軒先から風にあおられやすいために、屋根たる木と軒桁は釘だけでなく金物によって緊結することが住宅金融公庫では1つの融資条件とされている。
【0004】
一般に、断熱屋根と断熱壁との緊結には釘と大型のひねり金物でもって行なわれる。例えば、図6に示すように、2重たる木工法においては、屋根通気たる木(3)は、構造上、軒桁(9)にひねり金物(4)を介して緊結される必要性がある。しかし、このように、図6に示すような大型ひねり金物(特注品)を使用した場合は、ひねり金物が熱橋となり、Aで示す部分で結露を起こす危険性がある。二次元伝熱計算によっても結露発生の可能性を確認することができる。
【0005】
そこで、本発明者らは、この問題に対する対応策として、図7に示す納まりを提案し、図8に示す断熱屋根および断熱壁の組合せ構造を施工してみた。すなわち、屋根通気たる木(3)と軒桁(9)の緊結用に、構造用合板(12)を釘止めし、そして、屋根通気たる木(3)を既製のひねり金物ST(4)を用いて、その構造用合板(12)に緊結してみた。
【0006】
しかし、このような図7および図8に示す構造では、結露の問題は回避できたが、新たに作業工程が一工程増えること、さらに構造用合板を用いることによって生じる壁側の段差の調節の問題などの問題点が生じることとなった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記した工程の増加や高いコストをかけることなく、しかも結露の問題を解決する新規な外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために、まず、屋根通気たる木を有する断熱屋根と断熱壁との結合について、検討を重ねた結果、断熱屋根の屋根通気たる木と断熱壁の通気胴縁とを結合金具で固定するという従来には全くなかった新規な結合構造とすることで、前記した問題点を一挙に解決できることを見出すことができた。そして、この構造について、さらに検討を重ねた結果、屋根通気たる木をもたない断熱屋根と断熱壁との結合にも同様に適用できることが判り、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は次に示すとおりである。
1.断熱屋根構造と、通気胴縁、断熱材を含む断熱壁構造との結合構造であって、上記通気胴縁の上端部が、結合金具を介して、断熱屋根構造と緊結されていることを特徴とする外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造。
【0010】
2.断熱壁構造の断熱材が、板状断熱材であることを特徴とする前記第1項記載の外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造。
【0011】
3.断熱屋根構造の断熱材が板状断熱材であり、その外気側に構成される屋根通気たる木と、断熱壁を構成する通気胴縁の上端部とが、結合金具を介して緊結されていることを特徴とする前記第1項又は第2項記載の外張り断熱屋根と断熱壁の結合構造。
【0012】
4.結合金具が、ひねり金具、あおり止め金具などの結合金具であることを特徴とする前記第1項、第2項又は第3項記載の外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造。
【0013】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、断熱屋根構造および断熱壁構造の結合構造であり、本発明に係る断熱壁構造は、通気胴縁および断熱材を含むことが必須である。
【0014】
断熱壁構造に使用する断熱材は、一般に用いられる全ての断熱材が使用できる。断熱壁構造には、柱・間柱の間に断熱材を充填する充填断熱工法と、主として板状断熱材を柱・間柱の外側に張る外張断熱工法とがある。前者に用いられる断熱材としては、鉱物繊維系断熱材(グラスウール、ロックウール)、発泡ポリエチレン板等が代表的なものであり、後者に用いられる板状断熱材には、その具体例としては、発泡ポリスチレン板、硬質ウレタンフォームなどの発泡プラスチック系断熱材、軟質繊維板、硬質鉱物繊維板(高密度グラスウール板、ロックウール板)などの無機繊維系断熱材、軽量気泡コンクリートなど、およびこれら板状断熱材と各種建材(合板、珪酸カルシウム、GRC板等の板状建材)との積層品、などがある。
【0015】
また、断熱壁構造には、通気層が形成される。この通気層は必ず断熱材の外側に配置される。断熱材の外側に通気層を設けることにより、断熱材の内部、断熱材と断熱材のジョイント部および断熱材と柱・間柱の隙間等に形成される内部結露水や高湿の空気を、通気層を通して外部に放散させ、壁体内を常に乾燥状態に保ち、木の腐蝕を防止するためである。
【0016】
通気胴縁は、断熱壁の通気層を形成する目的で、通常、厚さ10〜30mm×巾20〜60mmの木材が壁面室外側布基礎上端部から屋根軒部まで柱・間柱の位置に対応して垂直に配置され、壁の柱・間柱に釘で止められる。また軸組工法では屋根たる木と柱・間柱は、それぞれが対応する位置に取付けられるのが古来からの習慣になっている。
【0017】
外装材はこの通気胴縁に取付けられるが、最近、窯業系、セラミック系等の外装材は、高級感を持たせるために重量の大きなものが使用されるようになった。このため、通気胴縁がズレるという現象も見られるようになった。
【0018】
本発明に係る断熱屋根構造は、屋根通気たる木を有していても、また有していなくともよいが、この断熱屋根構造は、通常、通気層、断熱材および防湿層を含む。
【0019】
断熱材が、図2、図3に示したように、屋根たる木間またはそれより室内側に配されている場合は、屋根たる木と野地板の間の空間が通気層になる。したがって、屋根たる木と野地板の間に必ず空間ができるよう断熱材を配置する必要がある。また、図4に示したように、屋根たる木の室外側面に合わせて断熱材を充填し、その外側に屋根通気たる木を設け、通気層を形成する場合もある。以上の図2〜図4のケースに使用される断熱材は、上述した鉱物繊維系の場合が多い。
【0020】
一方、前述した板状断熱材を用いる場合は、図5に示すように、2重屋根構造に近いものが多く、この場合は必ず屋根通気たる木を有する断熱屋根構造となる。
【0021】
このように、屋根断熱の場合は、断熱材の室外側に必ず通気層を設けることが必須となる。室内の湿気が小屋裏に集まり、壁面に比して結露の確率がはるかに高くなるためである。
【0022】
断熱壁構造と断熱屋根構造の緊結には、図3〜図4のケースではひねり金物が用いられ、屋根たる木と軒桁や小屋梁とが緊結されるが、特に軒桁の場合は、室内側に金具を配すと金具が熱橋となり結露被害を招くので、室外側から軒桁に取付ける必要がある。図5〜図6の場合も、前述したとおり、大型ひねり金物が熱橋となり結露の問題点を生じることが判明した。
【0023】
本発明の断熱壁構造と断熱屋根構造の緊結は、屋根たる木と軒桁または母屋とをひねり金具で緊結するのではなく、屋根たる木または屋根通気たる木と、断熱壁を構成する通気胴縁とを緊結するものである。すなわち、本発明では、断熱屋根構造と断熱壁構造とが、上記断熱壁構造の一部を構成する通気胴縁の上端部において、結合金具を介して緊結されていることが必須である。
【0024】
屋根通気たる木を有する断熱屋根構造の場合は、屋根通気たる木と断熱壁構造の通気胴縁とが緊結される。また、屋根通気たる木を有しない断熱屋根構造の場合は、屋根たる木と断熱壁構造の通気胴縁とが緊結されることになる。
【0025】
断熱壁構造の一部を構成する通気胴縁と断熱屋根構造とを緊結するための結合金具としては、図9、図10に示すような、既製のひねり金具、あおり止め金具などの結合金具が用いられる。しかし、これらの結合金具は、作業の際、両手で支えて釘打ちなどの作業をしなければならない構造となっているので、片手でもって支えて作業ができる改良された結合金具を、これらの結合金具に代えて用いることがさらに好ましい。すなわち、ひねり金具、あおり止め金具などの結合金具の一辺を改良して、屋根通気たる木または通気胴縁に引っ掛かる引掛けをもたせるように改良するとよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一例を図1を参照して説明するが、本発明はこの発明の実施の形態に何ら限定されるものではない。なお、図1に示す断熱屋根の構造は屋根通気たる木を有している構造のものである。
【0027】
断熱屋根の構造は、図1の(イ)に示すように、室内側から見て、屋根たる木(2)、野地板(構造用合板)(13)、防湿気密シート(防湿層)(14)、下地たる木(15)および押出発泡ポリスチレン板(板状断熱材)(8)、屋根通気たる木(3)、野路合板(構造用合板)(16)、ルーフィング(17)、屋根材(18)の順に配置されている。
【0028】
また、断熱壁の構造は、図1の(ロ)に示すように、室内側から見て、防湿気密シート(防湿層)(14)、押出発泡ポリスチレン板(板状断熱材)(8)、通気胴縁(1)、外装材(19)の順に配置されている。
【0029】
そして、図1(イ)に示すように、断熱壁の通気胴縁(1)は、断熱屋根の屋根通気たる木(3)に対応する位置に設置されており、通気胴縁(1)の上端部と屋根通気たる木(3)とが、あおり止め金物(4’)で緊結されている。また、屋根たる木(2)と軒桁(9)も、ひねり金物(4)で緊結されている。すなわち、これら金物によって、通気胴縁(1)と屋根通気たる木(3)だけでなく、屋根たる木(2)と軒桁(9)とも緊結する構造をとっている。
【0030】
また、屋根たる木(2)と軒桁(9)は、一般に、図10のように用いられるのが通常である。これは、住宅金融公庫、融資住宅、木造住宅工事共通仕様書に記載されている標準工法である。板状断熱材を用いた屋根断熱構造は、この緊結補強された屋根たる木の外側に2重屋根に近い形で構成されるのが普通である。
【0031】
【発明の効果】
▲1▼ 本発明の結合構造とすることによって、工程の増加をともなうことなく、従来の断熱屋根と断熱壁との結合構造において起る結合金具などに起因する結露を完全に回避することができる。
【0032】
▲2▼ 断熱屋根構造も含めて、屋根小屋組が台風等の風にあおられて崩壊または全壊する場合は軒部から損傷が発生するが、本発明の構造により、軒先に近い所であおり止め金物などの金具を使用して壁部と緊結することにより、支点が近くなり、対風圧力が増す。
【0033】
▲3▼ 重量のある断熱壁の外装材を通気胴縁にて支えるに際し、通気胴縁が屋根部材(屋根通気たる木など)に結合されているので、外装材の下方へのズレを防止することができる。
【0034】
▲4▼ 屋根通気たる木を有する断熱屋根の場合、屋根通気たる木にあおり止め金物などの金具を使用する分だけ、通気たる木を屋根たる木に止めるための釘の本数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は、本発明の断熱屋根と断熱壁との結合構造を示す一部を切り欠いた見取図である。(ロ)は、本発明に係る外張り断熱壁構造の一例を示す一部を切り欠いた見取図である。
【図2】たる木間に断熱材を充填する従来の断熱屋根の施工例を示す説明図である。
【図3】野縁を構成して充填する従来の断熱屋根の施工例を示す説明図である。
【図4】登り梁構造の従来の断熱屋根の施工例を示す説明図である。
【図5】(イ)は、屋根たる木の外側に断熱材を配した従来の断熱屋根の施工例を示す断面図である。(ロ)は、(イ)に示す従来の断熱屋根の一部を切り欠いた見取図である。
【図6】従来の断熱屋根と断熱壁との結合状態の一例を示す説明図である。
【図7】大型ひねり金物に構造用合板を当てがった断熱屋根と断熱壁との結合状態を示す説明図である。
【図8】大型ひねり金物に構造用合板をあてがった断熱屋根と断熱壁との結合構造を示す一部を切り欠いた見取図である。
【図9】本発明に係るひねり金物およびあおり止め金物の例を示す見取図である。
【図10】ひねり金物の施行例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 通気胴縁
2 屋根たる木
3 屋根通気たる木
4 ひねり金物
4’あおり止め金物
5 断熱材(鉱物繊維系断熱材)
6 野縁
7 登り梁
8 板状断熱材
9 軒桁
10 母屋
11 小屋梁
12 構造用合板
13 野地板(構造用合板)
14 防湿気密シート(防湿層)
15 下地たる木
16 野地合板(構造用合板)
17 ルーフィング
18 屋根材
19 外装材

Claims (4)

  1. 断熱屋根構造と、通気胴縁、断熱材を含む断熱壁構造との結合構造であって、上記通気胴縁の上端部が、結合金具を介して、断熱屋根構造と緊結されていることを特徴とする外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造。
  2. 断熱壁構造の断熱材が、板状断熱材であることを特徴とする請求項1記載の外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造。
  3. 断熱屋根構造の断熱材が板状断熱材であり、その外気側に構成される屋根通気たる木と、断熱壁を構成する通気胴縁の上端部とが、結合金具を介して緊結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造。
  4. 結合金具が、ひねり金具、あおり止め金具などの結合金具であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の外張り断熱屋根および断熱壁の結合構造。
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