JP3662913B2 - ジアゾ感熱記録材料 - Google Patents
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Description
そこで、ジアゾ化合物は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(非特許文献1参照)。
日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社(1982)P89〜P117、P182〜P201。
佐藤弘次ら 画像電子学会誌 第11巻 第4号(1982)P290−296。
上記したジアゾ化合物の不安定さを改善する手段としては様々な方法が提案されているが、最も有効な手段の一つとして、ジアゾ化合物をマイクロカプセル中に内包させる方法が挙げられる。
宇佐美智正ら 電子写真学会誌 第26巻 第2号(1987)P115〜125。
形成されるマイクロカプセル壁としては、架橋ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂など様々なものが使用可能である。
上述したように、マイクロカプセル化することによりジアゾ化合物の安定性を飛躍的に向上させることが可能である。
そこで、本発明者らは、上記の欠点を解決するために鋭意検討した結果、特定の置換基を有するジアゾ化合物と、カップリング成分として特定の置換基を有するバルビツール酸誘導体を併用した場合には、極めて良好な結果を得られることを見出し本発明に到達した。
従って本発明の目的は、4−置換アミノ−2−アルコキシベンゼンシゾニウム塩を用いた、生保存性及び画像保存性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
但し、Z1は置換又は無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基、Z2は水素原子、置換又は無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表し、Aは少なくとも一つの酸素原子、窒素原子、燐原子もしくは硫黄原子で連結する置換基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、mは1〜5の整数を表す。R2およびR3は、置換又は無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基であり、これらは同一であっても異なっていても良い。Xは酸アニオンを表し、前記R1とR2はAを介して環を形成しても良い。
化1におけるXで表される酸アニオンとなる酸の具体例としては、例えば、下記の例が挙げられる。
炭素数1から9までのポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1から9までのポリフルオロアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸。
B及びDは、アルコキシカルボニル基が好ましく、これらの基が置換基を有する場合、その置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基などが挙げられる。
本発明で使用するジアゾ化合物は、その融点が30℃〜200℃のものが好ましいが、取り扱いの点から50℃〜150℃のものが特に好ましい。
ことが好ましいが、その際、適当な溶剤に溶解させて用いるため、これらの溶剤に対する適当な溶解度と、低い水溶性とを有していることが好ましい。具体的には、使用する有機溶剤に対して5%以上の溶解度を有すると共に、水に対する溶解度は1%以下であることが好ましい。
下記に、前記した化1で表されるジアゾ化合物の具体例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
化2で表されるカップリング成分と併用することのできる公知のカップリング成分としては、例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などがあり、具体例として下記のものが挙げられる。
特に下記化3で表されるカップリング成分を併用することが好ましい。
この場合に使用されるマイクロカプセルは、常圧で40〜95℃の沸点をもつ非水溶媒にジアゾニウム塩、及び、互いに反応して高分子物質を生成する同種または異種の化合物を溶解した溶液を、親水性保護コロイド溶液中に乳化分散した後、反応容器を減圧にしながら系を昇温して溶媒を留去しつつ油滴表面に壁形成物質を移動させ、かつ油滴表面で重付加又は重縮合による高分子生成反応を進行させて壁膜を形成させることにより製造される。
以下に、本発明におけるジアゾニウム塩含有マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の重量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
本発明においては、上記した有機塩基の他にも、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えることができる。
発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温度を低くする物質があり、カプラー、塩基性物質、もしくはジアゾ化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾ化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい状況を作るためのものである。
本発明の記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。
上記した公知の酸化防止剤はジアゾ化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、あるいはカップリンク成分や塩基性物質、その他の発色助剤と共に、固体分散物として、もしくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることも、あるいはその両方の形態で用いることもできる。また酸化防止剤を単独または複数併用することができるのは勿論である。また、保護層に添加または存在させることもできる。
好ましい水溶性高分子としては、マイクロカプセルを調製する時に用いられる水溶性高分子が挙げられる(例えば特許文献3)。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾ化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることもできる。
本発明では以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することができる。
本発明の記録材料においては、マイクロカプセル、カップリング成分、塩基などが同一層に含まれていても良いが、別層に含まれるような積層型の構成をとることもできる。また、支持体の上に特願昭59−177669号明細書等に記載されているような中間層を設けた後、感熱層を塗布することもできる。
また、本発明の感熱記録材料は、原稿を用いて露光し、画像形成部以外のジアゾ化合物を分解して潜像を形成させた後、記録材料を加熱して現像し、画像を得ることもできる。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
酢酸エチル19部に、明細書中で具体例として記載した化合物(C)2.8部、及び、トリクレジルフォスフェート10部を添加して均一に混合した。次いで、この混合液に壁剤としてタケネートD−110N(武田薬品工業製)7.6部を加えて均一に混合し、I液を得た。
酢酸エチル8部に、明細書中で具体例として記載した化合物(1)4部、トリフエニルグアニジン2部、トリクレジルフォスフェート0.64部、及び、マレイン酸ジエチルエステル0.32部を溶かし、II液を得た。
得られたII液を、石灰処理ゼラチンの15重量%水溶液32部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの10%水溶液5部、及び、水30部を40℃で均一に混合してなる水相中に添加し、ホモジナイザーを用いて、40℃、10,000r.p.m.で10分間乳化分散した。得られた乳化物を40℃で2時間攪拌し、酢酸エチルを除いた後、揮散した酢酸エチルと水の重量を加水により補い、(カプラー/塩基乳化液)Bを得た。
カプセル液A6部、水4.4部、及び、石灰処理ゼラチンの15重量%水溶液1.9部を40℃で均一に混合した後、(カプラー/塩基乳化液)B8.3部を添加し、均一に混合して、感熱記録層塗布液Cを得た。
保護層塗布液Dの調液
ポリビニルアルコール(重合度1700、鹸化度88%)10%水溶液32部及び水36部を均一に混合し、保護層塗布液Dを得た。
上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙用支持体上に、ワイヤーバーで感熱記録層塗布液C,保護層塗布液Dの順に、順次塗布と50℃での乾燥を行い、目的のジアゾ感熱記録材料を得た。固形分としての塗布量は、各々6.4g/m2,1.05g/m2であった。
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが0〜40mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力及びパルス幅を決め、ジアゾ感熱記録層に熱印字して画像を得た後、発光中心波長が365nmで出力40Wの紫外線ランプを用いて15秒間全面光照射した。得られた試料について、マクベス濃度計を用いて発色部及び地肌部の濃度を測定した。
生保存性の試験は、室温保存したジアゾ感熱記録シートと、60℃で30%RHの条件下に72時間強制保存したジアゾ感熱記録シートの、熱板による発色濃度及び地肌濃度の差を測定して比較した。着色濃度の変化は、マクベス反射濃度計により測定した。
上記発のようにして色・定着した試料を、32,000Lux.の蛍光灯光堅牢性試験機を用いて24時間、連続光照射し、画像部及び地肌部の変褪色試験を行った。測定は、マクベス濃度計による初期の反射濃度が約1.1の濃度変化を調べた。
実施例1で用いた化合物(1)の代わりに、5−(2−テトラデシルオキシフェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオンを用いてカプラー/塩基乳化物液を得た他は実施例1と全く同様な操作を行い、記録材料を作製し画像を形成させた。マクベス濃度計を用いて発色部及び地肌部の濃度を測定した。
実施例3で用いた化合物(1)の代わりに、1−フエニル−3−オクチルオキシカルボニルピラゾリ−5−オンを用いてカプラー/塩基乳化物液を得た他は実施例1と全く同様な操作を行い、記録材料を作製し画像を形成させた。マクベス濃度計を用いて発色部及び地肌部の濃度を測定した。
実施例1で用いた化合物(1)の代わりに、N−(2’,5’−ジブチルオキシ−4’−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−3−オキソペンタアミドを用いてカプラー/塩基乳化物液を得た他は実施例1と全く同様な操作を行い、記録材料を作製し画像を形成させた。マクベス濃度計を用いて発色部及び地肌部の濃度を測定した。
Claims (3)
- 支持体上に、ジアゾ化合物、カップリング成分及び有機塩基を含有する記録層を設けたジアゾ感熱記録材料において、前記ジアゾ化合物の50重量%以上が下記化1で表されるジアゾニウム塩であると共に、前記カップリング成分が下記化2で表される、総炭素数20以上の化合物であることを特徴とするジアゾ感熱記録材料。
但し、Z1は置換又は無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基、Z2は水素原子、置換又は無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表し、Aは少なくとも一つの酸素原子、窒素原子、燐原子もしくは硫黄原子で連結する置換基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、mは1〜5の整数を表す。R2およびR3は、置換又は無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基であり、これらは同一であっても異なっていても良い。Xは酸アニオンを表し、前記R1とR2はAを介して環を形成しても良い。
- 化2中のB及び/又はDが、アルコキシカルボニル基である、請求項1又は2に記載されたジアゾ感熱記録材料。
- ジアゾ化合物がマイクロカプセルに内包されている請求項1または2に記載されたジアゾ感熱記録材料。
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