JP3662815B2 - 熱定着用シリコーンゴムロール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリなどに使用する熱定着用シリコーンゴムロールに関する。更に詳しくは、シリコーンゴム層の外周にフッ素樹脂層及び/又はフッ素ゴム層を設けてなるシリコーンゴム定着ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリなどに使用する定着ロールとしては、ロール軸(芯金)の外周にシリコーンゴムの表層を設けたシリコーンゴムロールが使用されている。これは、シリコーンゴムのトナー離型性、耐熱性、圧縮永久歪などが他のゴム材料に比較して優れているからである。
近年この種の機器の高速化に伴い、トナー離型性を向上させる目的で、定着ロール表面にシリコーンオイルを供給するオイルフューズが行われている。更に、高速定着の際、定着幅(ニップ幅)を確保して定着に要する時間を増加させる目的でゴム材料の低硬度化が進んでいる。
【0003】
しかしながら、シリコーンゴムは元々シリコーンオイルと材質が同じであり、しかも低硬度化されたため、フューズされるシリコーンオイルで膨潤するという問題が生じている。これを解決する方法として、表層が低硬度のシリコーンゴム又はシリコーンゴム発泡体で作製されたシリコーンゴムロールの表面に、更にフッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムをコーティングするか、上記シリコーンゴム層にフッ素樹脂チューブを被覆することによって、上記シリコーンゴム層の外周にフッ素樹脂層及び/又はフッ素ゴム層を設けることが行われている。
【0004】
この方法により定着ロールとしての寿命は著しく向上するが、フッ素樹脂のコーティングには、フッ素樹脂の溶融温度以上の高温が必要であり、またフッ素ゴムのコーティングには、コーティング後、300〜350℃で15分〜1時間の高温での焼成が必要である。しかし、上記のような高温状態では、シリコーンゴム層が一部劣化し、フッ素樹脂層或いはフッ素ゴム層とシリコーンゴム層との接着性が損なわれる上、得られる定着ロールの耐久性にも問題があった。また、フッ素樹脂チューブを被覆して最外層にフッ素樹脂層を設けたシリコーンゴムロールにおいても、紙送り枚数の増加に伴い、フッ素樹脂層(チューブ)とシリコーンゴム層が剥離するという問題があった。特に、低硬度のシリコーンゴム層を有するものでは、これらの問題の影響が大きく、層間接着性、耐久性共に優れた、フッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムの被覆層を有するシリコーンゴム定着ロールの開発が急務であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フッ素樹脂層或いはフッ素ゴム層とシリコーンゴム層との層間接着性、定着ロールの耐久性共に優れた、シリコーンゴム層の外周にフッ素樹脂層及び/又はフッ素ゴム層を設けてなるシリコーンゴム定着ロールを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、ロール軸と、該ロール軸の外周に設けられたシリコーンゴム層と、該シリコーンゴム層の外周に設けられたフッ素樹脂層及び/又はフッ素ゴム層とを有し、該シリコーンゴム層が、
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個含有する平均分子量30,000〜100,000のオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン;(A)成分中のアルケニル基1個に対し該ケイ素原子結合水素原子の量がO.1〜3.0当量となる量、及び
(C)白金族金属系触媒
を含有するシリコーンゴム組成物の硬化物からなることを特徴とする熱定着用シリコーンゴムロールを提供する。
上記シリコーンゴム層のゴム硬度(JIS K 6249)は20以下であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の定着ロールの主要部について説明する。
シリコーンゴム層:
シリコーンゴム層はロール軸の外周に設けたものである。このシリコーンゴム層を形成するには、定着ロールの芯金として通常使用されている、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属製ロール軸の外周に、(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個含有する平均分子量30,000〜100,000のオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン;(A)成分中のアルケニル基1個に対しSiH基の量がO.1〜3.0当量(即ち、O.1〜3.0個)となる量、及び(C)白金族金属系触媒を含有する液状の付加硬化型シリコーンゴム組成物を塗布し、加熱硬化させればよい。この場合、ロール軸とシリコーンゴム層との密着性(接着性)を向上するために、ロール軸表面は予め公知のプライマー、特にシリコーンゴム用プライマーでプライマー処理しておくことが好ましい。
こうして得られるシリコーンゴム層(即ち、上記シリコーンゴム組成物の硬化物からなる層)のゴム硬度(JIS K 6249)は20以下であることが好ましい。
【0008】
以下、このシリコーンゴム組成物を構成する成分について説明する。
<(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン>
(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、通常、付加硬化型シリコーンゴム組成物のベースポリマーとして使用されている公知のオルガノポリシロキサンである。このオルガノポリシロキサンは25℃で5,000〜300,000 cP(センチポイズ)の粘度を有し、一般組成式(I) RaSiO(4ーa)/2(但し、Rは各々、ケイ素原子に結合した置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、aは1.9〜2.4、好ましくは1.95〜2.05の数を表す。)で示されるものである。
【0009】
一般組成式(I)において、置換又は非置換の一価炭化水素基Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基;及びクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等のハロゲン置換又はシアノ基置換炭化水素基等が挙げられる。これらの置換又は非置換の一価炭化水素基Rは炭素数1〜12個、特に炭素数1〜8個のものが好ましく、同一でも異なっていてもよいが、一分子中にアルケニル基を少なくとも2個含有することが必要である。このアルケニル基は分子鎖末端のケイ素原子又は分子鎖途中のケイ素原子のいずれに結合したものであってもよく、またこの両方に結合したものであってもよいが、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するものであることが好ましい。
上記例示したアルケニル基の中ではビニル基が好ましい。またアルケニル基以外の一価炭化水素基Rの中ではメチル基、フェニル基及び、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましい。
【0010】
このオルガノポリシロキサンは直鎖状であっても、RSi03/2単位〔Rは一般組成式(I)に同じ〕或いはSiO4/2単位を含んだ分岐状であってもよいが、通常は分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖され、分子主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位(即ち、R2SiO2/2単位、Rは一般組成式(I)に同じ)の繰り返しからなる、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0011】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは公知の方法によって製造でき、例えば、オルガノシクロポリシロキサンとヘキサオルガノジシロキサンとをアルカリ又は酸触媒の存在下に平衡化反応を行うことによって得ることができる。
(A)成分の具体例としては、
【0012】
【化1】
Figure 0003662815
(上式中、Rは一般組成式(I)のRにおけるアルケニル基以外の基と同じであり、nは300〜1,500、好ましくは400〜1,300の整数、mは1〜200、好ましくは2〜100の整数であり、aは1,2又は3である。)
等が挙げられる。
【0013】
以上のようなアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、1種単独でも或いは2種以上の混合物としても使用できるが、その平均分子量(混合物の場合は、混合物の平均分子量)は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量として、30,000〜100,000、好ましくは30,000〜80,000の範囲であることが必要である。この平均分子量が30,000より少ない場合は、300℃以上の高温状態でこのオルガノポリシロキサンが著しく劣化し、フッ素樹脂或いはフッ素ゴムのコーティング層とシリコーンゴム層との接着性が損なわれ、その結果、得られる定着ロールの耐久性が低下する。また、フッ素樹脂チューブを被覆して最外層にフッ素樹脂層を設けたシリコーンゴムロールの場合も、上記と同じ現象が生じ、フッ素樹脂層(チューブ)とシリコーンゴム層との接着性が損なわれ、定着ロールの耐久性が低下する。一方、平均分子量が100,000より多い場合は、オルガノポリシロキサンの離型効果が高くなって上記の層間接着性が低下する結果、得られる定着ロールのシリコーンゴム層に伸びが生じ、定着が不安定になる。
【0014】
また、この(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの分子量の分散度、即ち、前記の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.0から3.0、好ましくは1.0から2.0、より好ましくは1.0から1.7の範囲であることが望ましい。この分散度が3.0より大きい場合にはフッ素樹脂又はフッ素ゴムのコーティング層とシリコーンゴム層との接着性が低下し、その結果得られる定着ロールの耐久性が低下する場合がある。
【0015】
<(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン>
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基と(B)成分中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)との付加(ヒドロシリル化)反応において、架橋剤として作用する。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば線状、環状、分岐状、三次元網状構造等各種のものが使用可能であるが、ケイ素原子に結合した水素原子、即ちSiH基を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有することが必要である。(B)成分のSiH基以外のケイ素原子に結合した基は、前記一般組成式(I)のRと同様の置換又は非置換の一価炭化水素基であるが、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を含有しないものが好ましく、特にメチル基及びフェニル基が好ましい。
【0016】
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記一般組成式(II)で示されるものが好適に使用される。
R1 bHCSiO(4-b-c)/2 (II)
[R1は、脂肪族不飽和結合を含まない、非置換又はハロゲン置換の、好ましくはC1 10の、1価炭化水素基、bは、0.7〜2.1、好ましくは1.0〜2.0の数、cは、0.002〜1.0、好ましくは0.01〜1.0の数、b+cは、0.8〜3.0、好ましくは1.0〜2.7の数]
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子量は特に制限はないが、常温(25℃)で液状であることが好ましく、25℃で0.1〜5,000cP(センチポイズ)、特に0.5〜1,000cP程度のものが望ましい。尚、一般式(II)のR1としては前記した式(I)のRにおいて例示したもののうち、アルケニル基以外のものと同じものを挙げることができ、特にメチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基が好ましい。
【0017】
(B)成分の添加量は、(A)成分に含まれるアルケニル基1個に対して(B)成分中のSiH基がO.1〜3.O当量(即ち、O.1〜3.O個)、好ましくは0.5〜2.0当量の範囲となる量である。0.1当量より少ない場合は、架橋密度が低くなりすぎて、硬化したシリコーンゴムの耐熱性に悪影響を与える。また3.O当量より多い場合は、脱水素反応による発泡の問題が生じる上、同様に耐熱性に悪影響を与える恐れがある。(B)成分のオルガノポリシロキサンは公知の製造方法によって得ることができ、例えば最も一般的な製造方法として、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となるヘキサメチルジシロキサン単位又は1,1'−ジヒドロ−2,2',3,3'−テトラメチルジシロキサン単位を含む化合物とを硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に−10〜+40℃程度の温度で平衡化反応させることによって容易に得ることができる。こうして得られる(B)成分は、1種単独でも或いは2種以上の混合物としても使用できる。
【0018】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルシクロペンタシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等;R1 2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、任意にR1 3SiO1/2単位、R1 2SiO2/2単位、R1(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2単位又はR1SiO3/2単位〔上記式中、R1は一般組成式(II)のR1に同じ〕を含み得るシリコーンレジン等を例示することができる。
【0019】
<(C)白金族金属系触媒>
(C)成分の白金族金属系触媒は、前記した(A)成分と(B)成分との付加反応(ヒドロシリル化反応)による硬化を促進する触媒として使用される。この白金族金属系触媒は公知のものでよく、例えば白金ブラック;塩化白金酸;塩化白金酸のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体等の白金系触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系触媒;ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム等のロジウム系触媒等が例示される。その添加量はいわゆる触媒量でよく、所望の硬化速度に応じて適宜増減すればよい。具体的には、(A)成分に対して白金族金属量で通常0.1〜1000ppm、好ましくは1〜200ppmの範囲である。
【0020】
<任意成分>
上記シリコーンゴム組成物には、他の任意成分として充填剤、耐熱向上剤、反応制御剤等を添加することができる。
充填剤、特にシリカ系無機質充填剤は液状付加硬化型シリコーンゴム組成物に所定の硬度及び引張り強さなどの物理的強度を付与するもので、従来シリコーンゴム組成物に通常使用されるものでよい。具体的には、例えばヒュームドシリカ、沈降性シリカ等の親水性シリカ;これらの親水性シリカを疎水化処理した疎水性シリカ;結晶性シリカ(又は石英粉末)などが挙げられる。これらは1種単独でも或いは2種以上の混合物としても使用できる。親水性シリカの市販品としては、Aerosil 130,200,300(日本アエロジル社製、Degussa社製);Cabosil MS−5,MS−7(Cabot社製);Rheorosi1 QS−102,103(徳山曹達社製);Nipsi1 LP(日本シリカ社製)等が挙げられる。また疎水性シリカの市販品としては、Aerosil R−812,R−812S,R−972,R−974(Degussa社製);Rheorosi1 MT−10(徳山曹達社製);Nipsi1 SSシリーズ(日本シリカ社製)等が挙げられる。また結晶性シリカの市販品としてはクリスタライト[(株)龍森製];Minusi1,Imisi1(Illinois Mineral社製)等が挙げられる。充填剤の添加量は(A)成分100重量部に対して0〜300重量部、好ましくは5〜300重量部、より好ましくは20〜200重量部である。
【0021】
耐熱性向上剤としては、例えばカーボンブラック、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化鉄(べンガラ)などが挙げられる。これらは1種単独でも或いは2種以上の混合物としても使用できる。
【0022】
カーボンブラックは、通常その製造方法によって、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等に類別し得るが、硫黄やアミンの含有量が多いと、組成物の付加硬化反応を阻害するので、特に、硫黄やアミンの少ないアセチレンブラックが好適に使用される。カーボンブラックの添加量は(A)成分100重量部に対して0〜15重量部、好ましくはO.2〜15重量部、より好ましくは2〜10重量部である。
【0023】
ベンガラとしては、黒色べンガラ(Fe304)及び赤色ベンガラ(Fe203)が好ましい。ベンガラの添加量は(A)成分100重量部に対してO〜30重量部、好ましくはO.2〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部である。
【0024】
酸化セリウム及び/又は水酸化セリウムは、カーボン及び酸化鉄と共に添加すると、相乗的に作用し、組成物の硬度変化を押さえることができる。酸化セリウム及び/又は水酸化セリウムの添加量は(A)成分100重量部に対してO〜5重量部、好ましくはO.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。
以上の任意成分は、1種単独で或いは2種以上の混合物として使用してもよい。
【0025】
更に上記(A)〜(C)成分及び任意成分を実用に供するため、硬化時間の調整を行う必要がある場合には、反応制御剤として、ビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基含有オルガノポリシロキサン;トリアリルイソシアヌレート;アルキルマレエート;アセチレンアルコール類及びそれらのシラン又はシロキサン変性物;ハイドロパーオキサイド;テトラメチルエチレンジアミン;ベンゾトリアゾール;及びそれらの混合物などを使用してもよい。
【0026】
フッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムの被覆層:
フッ素樹脂層及び/又はフッ素ゴム層は、上記シリコーンゴム層の外周に設けたものである。このフッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムの被覆層を形成するには、シリコーンゴム層の外周に、従来と同様、フッ素樹脂又はフッ素ゴム(例えばラテックス状のもの)をコーティングすればよい。即ち、フッ素樹脂を用いる場合は、該樹脂をその溶融温度以上に加熱した溶融状態でコーティングし、またフッ素ゴムを用いる場合は、フッ素ゴムをコーティング後、従来と同様の高温状態(例えばフッ素ゴムとしてダイキン工業社製ダイエルラテックスを使用した場合、280〜320℃で15分〜1時間)で焼成する。またフッ素樹脂及びフッ素ゴムの両方を用いて、上記のようにフッ素樹脂を溶融状態でコーティングした後、その上にフッ素ゴムをコーティングし、高温焼成するか、或いはその逆にフッ素ゴムをコーティングし、高温焼成後、その上にフッ素樹脂を溶融状態でコーティングしてもよい。また、フッ素樹脂製チューブを被覆して、シリコーンゴム層の外周にフッ素樹脂層を設ける場合には、ロール軸(芯金)とフッ素樹脂チューブを金型内に設置し、ロール軸とフッ素樹脂チューブとの間にシリコーンゴム組成物を注入し、硬化することにより得ることができる。この場合、フッ素樹脂チューブの内面をナトリウム・ナフタレン法、スパッタエッチング法、コロナ放電処理法などで処理することによってフッ素樹脂層(チューブ)とシリコーンゴム層との接着性をより強固にすることができる。
【0027】
ここで使用されるフッ素樹脂又はフッ素樹脂チューブとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられ、またフッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、プロピレン/テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル系フッ素ゴム、熱可塑性フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴムなどが挙げられ、これらは、熱収縮チューブ、フィルム、水性塗料、有機溶剤塗料、粉体塗料等の形態で入手できる。
【0028】
以上のようにしてシリコーンゴム層よりも高硬度のフッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムの被覆層が形成されるが、本発明では、シリコーンゴム層との接着性を向上するために、フッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムのコーティングの前に、シリコーンゴム層表面は予めプライマー処理しておくことが好ましい。このプライマー処理には公知のプライマー、好ましくはシリコーンゴム用プライマーを単独で使用してもよいし、該プライマーとフッ素ゴムとを混合して使用してもよい。また、フッ素樹脂チューブを被覆する場合には、該フッ素樹脂チューブの内面にプライマー処理を施した後、シリコーンゴム組成物を注入し、硬化、成形して接着させてもよい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、粘度は25℃での粘度を表し、また式中のMeはメチル基を表す。”平均分子量”はGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)であり、”分散度”は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を意味する。
【0030】
シリコーンゴム組成物の調製例1:
両末端がトリメチルシリル基で封鎖され、メチルビニルシロキサン単位として側
鎖ビニル基を平均約5個含有する直鎖状ジメチルポリシロキサンで、平均分子量
が30,000で分散度1.5のもの (1)、平均分子量50,000で分散度1.5のもの (2)、平
均分子量80,000で分散度1.6のもの (3)、又は平均分子量100,000で分散度1.6の
もの (4) 100重量部、
下記式(II):
【0031】
【化2】
Figure 0003662815
で表される粘度が約10cPのメチルハイドロジェンポリシロキサン 3重量部、
分子鎖途中のケイ素原子に結合したビニル基[−Si(CH=CH2)(CH3)O−単位]を5モ
ル%含有する粘度1,OOOcPのビニルメチルポリシロキサン 4重量部、
白金・ビニルシロキサン錯体 白金原子として50ppm、
結晶性シリカ(平均粒径4μm) 10重量部、
反応制御剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノ−ル 0.1重量部、
酸化鉄 2重量部
を均一になるまで良く混合し、それぞれ液状組成物1−(1)、1−(2)、1−(3)、又は1−(4)を調製した。
【0032】
シリコーンゴム組成物の調製例2:
両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルポリシロキサンで、平均分
子量が30,000で分散度1.6のもの (1)、平均分子量50,000で分散度1.6のもの (2)
、平均分子量80,000で分散度1.7のもの (3)、又は平均分子量100,000で分散度1.
7のもの (4) 100重量部、
下記式(III):
【0033】
【化3】
Figure 0003662815
で表される粘度が約10Cpのメチルハイドロジェンポリシロキサン
3重量部、
分子鎖途中のケイ素原子に結合したビニル基[−Si(CH=CH2)(CH3)O−単位]を5モ
ル%含有する粘度1,000cPのビニルメチルポリシロキサン 4重量部、
白金・ビニルシロキサン錯体 白金原子として50ppm、
結晶性シリカ(平均粒径4μm) 10重量部、
反応制御剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール O.1重量部、
酸化鉄 2重量部
を均一になるまで良く混合し、それぞれ液状組成物2−(1)、2−(2)、2−(3)又は2−(4)を調製した。
【0034】
実施例1
<ゴム硬度・接着性試験>
液状組成物1−(1)、1−(2)、1−(3)又は1−(4)を150℃で30分プレキュアーし、更に200℃で4時間ポストキュアーして厚さ2mmのシート状硬化物を作製した。得られた硬化物の硬度をゴム硬度計(JIS 6249に規定されたデュロメータA型)で測定し、表1に示した。次に、この硬化物表面にシリコーンゴム用プライマーGLP−103SR(ダイキン工業社製)を均一に塗布し、80℃で10分加熱してプライマー処理した後、その上にダイエルラテックスGLS−213(ダイキン工業社製)を均一にスプレー塗布し、300℃で1時間加熱焼成し、厚さ20μmのフッ素ゴムコーティング層を形成した。次に、上記シリコーンゴム組成物の硬化物とコーティング層との接着性を評価し、表1に示した。
【0035】
接着性の評価:
シリコーンゴムシートからフッ素ゴムコーティング層を垂直方向に引き剥がした時の状態を下記基準で評価した。
○‥‥シリコーンゴム層とフッ素ゴムコーティング層の界面は強固に接着したままで、シリコーンゴム層が凝集破壊した。
△‥‥シリコーンゴム層とフッ素ゴムコーティング層の界面は一部剥離するが、大部分はシリコーンゴム層が凝集破壊した。
×‥‥シリコーンゴム層とフッ素ゴムコーティング層が容易に剥離した。
【0036】
【表1】
Figure 0003662815
【0037】
<定着ロールの作製>
直径24mm×長さ300mmのアルミニウムシャフト上に付加硬化型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B (信越化学工業(株)製)を塗布し、150℃で30分加熱してプライマー処理した後、その上に液状組成物1−(1)、1−(2)、1−(3)又は1−(4)を塗布し、150℃で30分加熱硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアーし、厚さ2mmのシリコーンゴム層を形成した。このシリコーンゴム層の表面に、フッ素ゴム用プライマーGLP−103SR(ダイキン工業社製)を均一に塗布し、80℃で10分加熱してプライマー処理した後、更にダイエルラテックスGLS−213を均一にスプレー塗布し、300℃で1時間焼成して厚さ10μmのフッ素ゴムコーティング層を形成し、外径28mm×長さ250mmのフッ素ゴムコーテイング低硬度シリコーンゴムロールを作製した。
次にこのシリコーンゴムロールをプリンターの定着ロールとして組み込み、複写ライフを評価したところ、表2の結果が得られた。
【0038】
【表2】
Figure 0003662815
【0039】
比較例1
両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルシロキサンポリマーとして平均分子量が27,000で分散度が1.5のもの又は平均分子量が120,000で分散度が1.6のものを用いた他は、調整例1と同様にして液状シリコーンゴム組成物を調製し、実施例1と同様にゴム硬度・接着性試験を行ない、更に定着ロールを作製し、複写ライフの評価を行ったところ、表3の結果が得られた。
【0040】
【表3】
Figure 0003662815
【0041】
実施例2
<ゴム硬度及び接着性試験>
液状組成物として上記2−(1)、2−(2)、2−(3)又は2−(4)を用いた他は実施例1と同様にして接着性試験を行った。その結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
Figure 0003662815
【0043】
<定着ロールの作製>
液状組成物として上記2−(1)、2−(2)、2−(3)又は2−(4)を用いた他は実施例1と同様にして外径28mm×長さ250mmのフッ素ゴムコーティング低硬度シリコーンゴムロールを作製した。
次にこのシリコーンゴムロールをプリンターの定着ロールとして組み込み、複写ライフを評価したところ、表5の結果が得られた。
【0044】
【表5】
Figure 0003662815
【0045】
比較例2
両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルシロキサンポリマーとして平均分子量が27,000で分散度が1.6のもの又は平均分子量が120,000で分散度が1.7のものを用いた他は調整例2と同様にして液状シリコーンゴム組成物を調製し、実施例1と同様にゴム硬度・接着性試験を行い、更に定着ロールを作製し、複写ライフの評価を行ったところ、表6の結果が得られた。
【0046】
【表6】
Figure 0003662815
【0047】
実施例3
直径24mm×長さ300mmのアルミニウムシャフト上に付加硬化型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B (信越化学工業(株)製)を塗布し、150℃で30分加熱してプライマー処理した。このアルミニウムシャフトと、内面をナトリウム・ナフタレン法により表面処理した厚さ25μmのPFA樹脂製チューブを金型内に設置し、アルミニウムシャフトとPFAチューブとの間に液状組成物1−(1)、1−(2)、1−(3)又は1−(4)を注入、充填し、150℃で30分加熱硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアーして、厚さ2mmのシリコーンゴム硬化物層を形成することにより、表面に25μmのPFA樹脂層(チューブ)を被覆した、外径28mm×長さ250mmのPFA樹脂被覆低硬度シリコーンゴムロールを作製した。
次にこのシリコーンゴムロールをプリンターの定着ロールとして組み込み、複写ライフを評価したところ、表7の結果が得られた。
【0048】
【表7】
Figure 0003662815
【0049】
比較例3
両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルシロキサンポリマーとして平均分子量が27,000のもの又は120,000のものを用いた他は、調整例1と同様にして液状シリコーンゴム組成物を調製し、更に実施例3と同様にして定着ロールを作製し、複写ライフの評価を行ったところ、表8の結果が得られた。
【0050】
【表8】
Figure 0003662815
【0051】
【発明の効果】
本発明のフッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムの被覆層を設けたシリコーンゴム定着ロールは、フッ素樹脂層及び/又はフッ素ゴム層とシリコーンゴム層との接着性に優れ、またロールの耐久性にも優れている。従って、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリなどに使用する定着ロールとして極めて有用である。

Claims (2)

  1. ロール軸と、該ロール軸の外周に設けられたシリコーンゴム層と、該シリコーンゴム層の外周に設けられたフッ素樹脂層及び/又はフッ素ゴム層とを有し、該シリコーンゴム層が、
    (A) ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個含有し、分散度が 1.0 3.0 であり、平均分子量30,000〜100,000のオルガノポリシロキサン、
    (B)ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン;(A)成分中のアルケニル基1個に対し該ケイ素原子結合水素原子の量がO.1〜3.0当量となる量、及び
    (C)白金族金属系触媒
    を含有するシリコーンゴム組成物の硬化物からなることを特徴とする熱定着用シリコーンゴムロール。
  2. 該シリコーンゴム層のゴム硬度(JIS K 6249)が20以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱定着用シリコーンゴムロール。
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