JP3662781B2 - 無効電力補償システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統に設置され系統の電圧変動を電圧調整器と分担して補償する無効電力補償システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の配電系統では、昼夜の負荷変化による1日の電圧差が拡大する常時電圧変動に加えて、大容量電動機負荷等による瞬時電圧変動が頻発している。このような瞬時電圧変動は地域的な偏りが著しく、例えば砕石機、スキーリフト、クレーン、アーク炉などの負荷が多い配電線では、それらの始動時や過負荷時などに瞬時電圧低下が多発する。一方、OA機器等の電子装置はこの瞬時電圧変動による誤動作の恐れが有り、特に配電線定格のあるレベル以下になると機器がダウンして、その影響が広範に及ぶこともある。このため、変動周期の長い常時の電圧変動から数十ミリ秒程度の瞬時の電圧変動までを対象とした広い周波数領域にわたる電圧品質の維持が必要となっている。
【0003】
図9に、配電線の電圧変動の状況を示す。(a)は1日負荷による24時間周期の常時電圧変動と、これに重畳するヒゲ状の短時間の電圧変動を示している。短時間の電圧変動は昼間の特定の時間帯に集中的に発生することが多い。(b)は、短時間の電圧変動が発生している時間帯の一部を示している。特殊負荷、例えば大容量誘導電動機では始動時に定格の数倍の起動電流によって電圧変化が発生する。これら短時間の電圧変動は、数十ミリ〜数秒の瞬時成分から数分程度に及ぶ範囲の周波数帯域を有している。
【0004】
配電系統における主な電圧変動の制御装置として、電圧調整器と無効電力補償装置の2種類がある。電圧調整器は配電線上に設置し、2次側の電圧をタップの切り換えにより調整する。具体的には、設置点より2次側の電圧と基準電圧の差が、あらかじめ設定された不感帯幅を越え、かつその時間が所定の動作時限を越えた時に、電圧を不感帯内に戻す方向にタップを切り換える。このとき、頻繁なタップ切り換えによる機械接点の磨耗を防ぐため、動作時限を通常30秒〜2分程度に設定している。
【0005】
無効電力補償装置は、例えば自励式の無効電力補償システムの場合、インバータを用いて高速かつ連続的に進みから遅れまでの無効電力を発生して線路電圧を補償する。無効電力補償装置では、例えば数十ミリ秒のオーダで高速に電圧変動を補償することが可能である。高速制御可能な無効電力補償装置を用いれば、理論的には常時変動から瞬時変動までの電圧補償が可能である。しかし、配電系統の負荷容量に匹敵する装置容量が必要となるので、設置スペース、重量、コスト等の制約から実現は難しい。
【0006】
そこで、電圧調整器と無効電力補償装置を同一配電線に併設して、両者の役割分担を図ることが行われている。即ち、変動時間の長い常時電圧変動は電圧調整器が補償し、変動時間の短い瞬時電圧変動を無効電力補償装置が補償するように分担し、広い周波数領域にわたる電圧変動抑制を実現している。
【0007】
このような電圧調整器との役割分担を行う無効電力補償装置として、例えば、特開平5−27856号公報に記載されたものが知られている。この無効電力補償装置の制御回路では、配電線電圧Vを低域通過フィルタに通し、その入出力の差より配電線電圧中の変化率の速い電圧変動成分△VFを抽出し(結果として、高域通過フィルタとして作用)、この△VFを零にするように無効電力補償量を制御している。一方、電圧調整器は制御速度が遅いため、無効電力補償システムが補償しない比較的変化率の遅い電圧変動分を調整する。その結果、瞬時電圧変動を無効電力補償システム、常時電圧変動を電圧調整器という補償分担が行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の無効電力補償システムは電圧調整器との協調動作に欠ける面があり、無効電力補償装置が配電線の瞬時変動電圧の補償後に電圧調整器へ補償分担する過程に長時間を要し、結果的に、この間における無効電力補償システムの瞬時変動の補償能力を低下させていた。
【0009】
図10に、従来の無効電力補償装置の電圧変動抽出特性を示す。図示の横軸は時間、縦軸は電圧である。T1は上記引用例におけるフィルタの時定数で、低域フィルタ(1/(1+T1))、または高域フィルタ(1−1/(1+T1)=T1/1+T1)での時定数T1である。
【0010】
T1が大の場合、T1が小の場合の2通りの特性を示している。いま、t0で瞬時電圧低下が発生すると、無効電力補償装置は直ちにこの瞬時変動を補償する。その後、時間の経過とともに電圧変動が低周波側へ移行するので、変化率の速い電圧変動成分△VFの抽出量が時定数T1の逆数(カットオフ周波数=1/T)に応じて下がる。このため、無効電力補償装置の補償量が低下し、電圧も低下する。この電圧が電圧調整器の不感帯下限レベルを超えて、動作時限の時間を過ぎると、電圧調整器のタップが動作し、下がった電圧を分担する。このようにして、瞬時領域で無効電力補償装置が担った電圧補償分が、電圧調整器へと分担されていく。
【0011】
ところで、時定数T1が小さいほど電圧低下が速いので、配電電圧が不感帯下限レベルを超えてから動作時限に至る前に許容限界(定格未満のあるレベル)以下となる恐れがある。このため、従来は時定数T1を大きくして、電圧調整器の動作時限に至る前に配電電圧が許容限界まで低下しないようにしている。つまり、瞬時補償後の配電電圧が緩やかになるように、無効電力補償装置を動作させている。しかし、電圧調整器との過渡的な補償分担過程に長い時間を要するため、連続的に瞬時電圧変動が発生するような配電線では、補償中に発生した次の瞬時電圧変動を補償しきれず、配電線上の他の負荷に障害が引き起こされる問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を克服し、配電線に連続的に瞬時電圧変動が発生するような場合にも、安定な配電電圧を補償しながら電圧調整器との過渡的な補償分担過程の期間を短縮して、次々と起こる瞬時電圧変動に対して十分な補償効果が得られるような無効電力補償システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、変動周期の長い常時電圧変動を補償する電圧調整装置及び変動周期の短い瞬時電圧変動を補償する無効電力補償装置を接続し、この両装置による電圧補償の分担が行われる電力系統に対し、系統電圧に応じた無効電力補償量を求めて前記無効電力補償装置を制御する制御装置を備えた無効電力補償システムにおいて、前記制御装置は、検出した系統電圧から前記瞬時電圧変動の瞬時成分と、前記瞬時電圧変動と前記常時電圧変動の中間周波領域にある中間成分を抽出する電圧変動成分抽出手段を設け、抽出した両成分に基づいて前記無効電力補償量を算出することを特徴とする。なお、上記の無効電力補償量は無効電流補償量と置き換えてもよい。
【0014】
または、前記制御装置は、検出した系統電圧から前記瞬時電圧変動の瞬時成分と、前記瞬時電圧変動より変動周期の長い中間周波成分を抽出する電圧変動成分抽出手段を設け、前記瞬時成分を補償後の前記中間周波成分の電圧補償分担が前記電圧調整装置の補償動作(速度)と協調するように、前記電圧変動成分抽出手段の制御定数を設定してなることを特徴とする。
【0015】
前記電圧変動成分抽出手段は、前記瞬時成分以上を通過させる第1のフィルタと、前記中間成分を通過させる第2のフィルタと、前記第1のフィルタの出力に第1のゲインを乗じ、前記第2のフィルタの出力に前記第1のゲインより小さい第2のゲインを乗じ、この両乗算の結果を加算する演算回路を設けてなる。
【0016】
また、前記第1のフィルタのカットオフ周波数(または、時定数の逆数)は系統電圧が許容限度以下に低下しない範囲で大きく、かつ、前記第2のゲインは系統電圧が前記電圧調整器の不感帯下限を僅かに下回る値に保持されるように、それぞれ設定してなる。これにより、前記電圧調整装置の電圧補償動作の速度と協調して、ほぼ最小の時間で、無効電力制御装置から電圧調整器への電圧補償分担を完了できる。
【0017】
また、前記制御装置は、前記電圧変動成分抽出手段の出力を入力とし、所定不感帯幅を持つ不感帯回路を設けてなる。この不感帯幅を、前記電圧調整装置の1回のタップ補償電圧を僅かに上回る値に設定すると、無効電力補償装置が前記電圧調整装置のタップ切り換えに応動して瞬時的に電圧補償する不要動作を回避でき、無効電力補償装置の補償量を確保できる。
【0018】
また、前記制御装置は、系統電圧の検出値と前記無効電力補償装置の出力電流検出値とを用いて系統に生じた電圧変動を推定し、前記電圧変動成分抽出手段の制御定数を設定変更する手段を設けたことを特徴とする。これにより、系統電圧の変動に応じて、上記のフィルタの時定数や抽出ゲインが最適化でき、より効率的な電圧補償分担が可能になる。
【0019】
本発明によれば、瞬時電圧変動の瞬時成分は高いゲインで抽出して補償することができる。その後、瞬時電圧変動が継続して瞬時と常時の間の中間周波変動の周波数領域に移ると、中間周波成分が抽出されるようになる。この中間周波変動は瞬時変動よりも低い所定ゲインで抽出し、無効電力補償量を適当な量にして、系統電圧を電圧調整器の不感帯幅(下限)を少し越えた値に保持することができる。この結果、瞬時の電圧補償後の電圧調整器への過渡的な補償分担を、短時間で、かつその過程で生じる電圧変化を必要最小に抑えて完了できる。従って、瞬時電圧変動が連続的に発生するような配電線においても、無効電力補償システムは補償量を十分確保した状態で次の瞬時変動を補償することができる。
【0020】
なお、瞬時電圧変動とは少なくとも電圧調整器の動作時限よりも短い時間の電圧変動で、数十ミリ秒から数秒の時間で起こる電圧変動を表す。また常時電圧変動とは、電圧調整器の電圧調整動作が十分収束する程度の時間に対応する電圧変動で、数分以上の電圧変動を表し、中間周波変動とは瞬時電圧変動と常時電圧変動の中間の周波領域の電圧変動を表す。
【0021】
さらに、本発明における無効電力補償装置とは、進みから遅れまでの無効電力を連続的に出力して、電圧調整器よりも高速に(例えば、数百ミリ秒以下)電圧変動を補償する装置を指し、機械的接点を用いないサイリスタ、IGBT等のパワーデバイスにより構成される。また、電圧調整器とは、タップの切替により段階的に電圧する装置を指し、通常は数秒〜数分の動作時限を持つタップ切替装置とタップ付きトランスを使用する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1による無効電力補償システムを示す構成図である。配電変電所トランス1に接続された配電線2上で、電源側から離れた負荷側に近い位置に無効電力補償装置3、電源側に近い位置に電圧調整器4が接続されている。また、配電線2には、一般的な負荷5および大容量電動機のような瞬時の電圧変動を発生させる負荷6が複数接続されている。電圧調整器4は、図示していない巻線タップ切り換え装置により、電圧調整器4の負荷側端の系統電圧を検出し、その検出電圧が不感帯を有する上下限設定値を越え、かつ所定の動作時限を経過したときに、昇圧または降圧方向にタップ40を切り換える。
【0023】
無効電力補償システムは無効電力補償装置3と制御装置7より構成される。無効電力補償装置3は、半導体スイッチ素子を用いて形成したインバータが適用され、系統電圧を入力とする制御装置7からの制御信号に基づいて、配電線に進みまたは遅れの無効電力を出力する。
【0024】
制御装置7は、無効電力補償装置3が接続された位置の電圧センサ8を介し、電圧検出回路9で検出した系統電圧(設置点電圧)を入力する。この設置点電圧の検出値より、特定電圧変動群抽出回路10と補償ゲイン回路11を介して、電圧変動の特定の周波数成分を補償するような無効電流指令値(または、無効電力指令値)を出力する。補償ゲイン回路11は、特定電圧変動群抽出回路10の出力に所定の補償ゲインを乗算して、無効電流指令を算出する。電流制御回路12は、無効電流指令値に対応する無効電流が無効電力補償装置3から出力されるように、PWM制御回路13に制御信号を出力する。PWM制御回路13は、制御信号に従ってインバータのゲートパルス信号を生成し、無効電力補償装置3へ出力する。無効電力補償装置3はこのゲートパルス信号に基づいて、所要の無効電力を発生する。このようにして、無効電力補償システムは、検出した配電線電圧の電圧変動中の特定の周波数成分を補償するように、電流制御回路12を介して無効電力出力を制御する。
【0025】
実施例1の無効電力補償システムは、電圧変動の特定領域の周波数成分を抽出し、その周波数成分の領域に応じて抽出ゲインの異なる特定電圧変動群抽出回路10を設けた制御装置7に特徴がある。すなわち、特定電圧変動群抽出回路10では、電圧検出回路9により検出された無効電力補償装置3の設置点電圧に対して、瞬時変動抽出回路14により、瞬時の電圧変動成分を抽出し、この瞬時成分値に瞬時変動用のゲインK1を抽出ゲイン15にて乗算する。また、設置点電圧に対して、中間周波変動抽出回路16により、瞬時電圧変動と常時電圧変動の中間周波領域の変動である中間成分を抽出して、この中間成分値に中間周波変動用のゲインK2を抽出ゲイン17にて乗算する。ゲインを乗算した後の瞬時変動成分抽出値と中間周波変動抽出値は、加算器18により加算される。
【0026】
このようにして、特定電圧変動群抽出回路10では、配電電圧からそれぞれ所定のゲインで抽出された瞬時変動成分と中間周波変動成分を加算した変動成分が出力される。ここで、瞬時電圧変動とは少なくとも電圧調整器の動作時限よりも短い時間の電圧変動で、数十ミリ秒から数秒程度の時間で起きる電圧変動を表す。また、常時電圧変動とは電圧調整器の調整動作が十分収束する程度の時間に対応する電圧変動で、数分以上の電圧変動を表す。
【0027】
上述したように、特定電圧変動群抽出回路10と補償ゲイン回路11は、瞬時変動と中間周波変動を抽出して、その変動の周波数に応じて補償量を調整するような制御回路となっている。本実施例では、この瞬時変動抽出と中間周波変動抽出に対する抽出周波数帯域と抽出ゲインを、電圧調整器4の動作時限と不感帯幅とに対応させて設定することにより、無効電力補償装置と電圧調整器の補償分担を協調させることができ、分担過程にかかる時間を短縮する。これにより、分担過程で生じる瞬時電圧変化を最小限に抑えて、電圧調整器4へ補償を分担させることができる。
【0028】
次に、特定電圧変動群抽出回路10の詳細な構成を説明する。特定電圧変動群抽出回路10は瞬時変動を抽出する瞬時変動抽出回路14と抽出ゲイン15、瞬時と常時の間の中間周波変動を抽出する中間周波変動抽出回路16と抽出ゲイン17、および加算器18によって構成される。瞬時変動抽出回路14はカットオフ周波数以上の高域通過フィルタ19により構成される。高域通過フィルタ19はカットオフ周波数(=1/T1)以上の瞬時変動成分に対して0dB(=1)のゲインをもち、それ以下の周波数に対しては周波数が低くなるにつれゲインが減衰する特性をもつ。瞬時変動抽出回路14の出力は、抽出ゲイン15によってゲインK1を乗算されるので、結局、周波数1/T1以上の瞬時変動成分は、ゲインK1倍で抽出されて、加算器18に入力される。
【0029】
中間周波変動抽出回路16は、カットオフ周波数1/T2の低域通過フィルタ20とカットオフ周波数1/T3の高域通過フィルタ21の直列回路によって構成される。この直列回路全体の特性は、周波数1/T2から周波数1/T3の周波数帯域をゲイン0dB(=1)で抽出する帯域通過フィルタとなっており、1/T2から1/T3の周波数帯域が中間周波変動成分の帯域に対応している。中間周波変動抽出回路16の出力は抽出ゲイン17によってゲインK2を乗算されるので、結局、中間周波変動成分はゲインK2で抽出されて、加算器18に入力される。加算器18では、ゲインK1で抽出された瞬時変動成分と、ゲインK2で抽出された中間周波変動成分とが加算されて、その結果が特定電圧変動群抽出回路10の出力となる。
【0030】
図2に、本実施例による特定電圧変動群抽出回路の周波数抽出特性を示す。特定電圧変動群抽出回路10の電圧変動抽出特性で、横軸は周波数、縦軸は抽出ゲインである。同図で、周波数1/T1以上が瞬時変動の周波数領域であり、周波数1/T3以上1/T2以下が中間周波変動の周波数領域である。ここで、特定電圧変動群抽出回路10の制御定数、すなわち抽出回路のカットオフ周波数(または時定数)と抽出ゲインの設定方法を説明する。
【0031】
抽出回路のカットオフ周波数は、それぞれ瞬時変動抽出回路14の高域通過フィルタのカットオフ周波数1/T1、中間周波変動抽出回路16の低域通過フィルタのカットオフ周波数1/T2、高域通過フィルタのカットオフ周波数1/T3である。1/T1は瞬時変動領域を規定する定数であり、補償対象とする瞬時変動の周波数範囲を考慮して設定される。通常、1/T1は時定数T1を数秒から十数秒以下に設定する。
【0032】
1/T2、1/T3は中間周波変動領域の上限と下限を決める定数である。1/T2は、1/T2<1/T1を満たし、かつ時定数の差T2−T1が次の条件を満たすように決められる。すなわち、T2−T1は、瞬時変動領域から中間周波変動領域へ遷移するまでの時間に対応しており、この時間に電圧が電圧調整器4の不感帯レベルを越える値となるように調整させる。従って、T2−T1はできるだけ短く、しかし、短時間の電圧低下が配電線上の負荷に影響を与えないような許容範囲(例えば、定格未満のあるレベルを維持できる範囲)で設定される。本例では、T2−T1が数秒程度となるように、T2が設定される。
【0033】
1/T3も時定数T3を基準にして設定される。T3は中間周波変動領域の終了時間に対応しており、これは無効電力補償装置3と電圧調整器4との過渡的な補償分担が終了する時間に対応する。補償分担が終了する時間は、対象とする瞬時電圧変動幅を電圧調整器4のタップ調整の電圧幅で割り算した商(タップ切替回数)に、電圧調整器4の動作時限をかけ算した結果として見込むことができる。例えば、対象とする瞬時電圧変動幅が500V、電圧調整器4のタップ調整の電圧幅が100V、電圧調整器4の動作時限を1分とすると、補償分担の終了時間は、約5分と見積もることができる。T3は、補償分担終了時間に適当な余裕時間を足した値とし、通常は数分程度に設定される。
【0034】
次に、抽出ゲイン15のゲインK1と抽出ゲイン17のゲインK2の設定法を説明する。ゲインK1は瞬時変動成分に対するゲインであり、通常はK1=1、すなわち0dBに設定される。ゲインK2は中間周波変動成分に対するゲインであり、中間周波変動領域において電圧が電圧調整器4の不感帯レベルをわずかに越えるように、抽出ゲインK2をK1に対して小さく設定される。具体的には、補償対象とする瞬時電圧変動幅を△Vとすると、△V・(K1−K2)が電圧調整器4の不感帯幅を越えるように設定する。例えば、△V=500V、K1=1、電圧調整器4の不感帯幅を120Vとすると、K2は0.76(=−2.4dB)よりも小さくなるように設定される。なお、発生する瞬時電圧変動幅△Vが一定しない場合には、その中で最大の変動幅もしくは最も発生頻度の高い変動幅が△Vに設定される。
【0035】
この特定電圧変動群抽出回路10は以下のように動作する。周波数1/T1以上の瞬時変動の周波数領域では、瞬時変動抽出回路14と抽出ゲイン15の作用により、0dB(=1)のゲインで、この領域の瞬時成分が抽出される。周波数1/T3以上1/T2以下が中間周波変動の周波数領域では、中間周波変動抽出回路16と抽出ゲイン17の作用により、−XdB(=20log(−X))のゲインで、この領域の中間成分が抽出される。また、周波数1/T1以下と周波数1/T2以上の領域は、0dBと−XdBを結ぶ直線のゲインとなるが、厳密には瞬時変動抽出回路14及び中間周波変動抽出回路16の周波数特性と各々のゲインより決定される。
【0036】
次に、本実施例による無効電力補償システムの電圧変動補償動作を説明する。図3は、本無効電力補償システムの補償動作を示す特性図で、横軸に時間、縦軸に無効電力補償装置3の設置点電圧を示す。横軸に平行した点線は、電圧調整器4の不感帯の下限レベルVlowを表す。
【0037】
ここで、電圧調整器4の動作について補足する。電圧調整器4の動作は不感帯幅と動作時限によって決められている。電圧調整器4はタップ40の2次側電圧を検出し、タップ2次側電圧が不感帯幅を越えた時点からの時間が動作時限を越えるとタップが切り換わり、電圧が不感帯内へ入るように制御する。通常、不感帯幅は定格電圧の数%、動作時限は30秒〜2分程度に設定される。なお、図3では、無効電力補償装置3の補償動作の説明を容易にするために、電圧調整器4はタップ固定(切り換えがない)の状態を仮定している。
【0038】
まず時刻t0以前は、配電線電圧に変化のない定常状態にあり、図2の常時変動領域に対応する。常時変動領域では抽出ゲインはほぼ0であり、無効電力補償装置3の電圧補償量もほぼ0となっている。時刻t0において瞬時電圧低下が発生し、設置点電圧は瞬時(数ミリ秒程度)に△V低下する。この時刻t0直後からt1の時間は瞬時変動領域に対応し、ゲイン=1で抽出されるため、無効電力補償装置3の補償量も大きく、電圧は瞬時に元のレベルまで回復される。
【0039】
時刻t1からt2の時間は、瞬時変動領域と中間周波変動領域の間の領域に相当する。図2のように、この周波数領域での抽出ゲインは減衰する特性をもつので、無効電力補償装置3の補償量も時間とともに減少する。この結果、電圧も低下し、時刻t2において電圧調整器4の不感帯下限レベルVlowをわずかに越える値まで下がる。ここで、t1からt2の時間幅は、短時間の電圧低下が配電線上の機器に影響を与えない範囲で、短く設定される(数秒程度)。すなわち、t1からt2の電圧の低下は時定数T1と時定数T2から定まり、前半は主にT1によって急に低下し、後半は主にT2によって緩やかな低下となる。この結果、配電線電圧を電圧調整器4の不感帯下限レベルVlowまで速く調整でき、その分、電圧調整器4の補償分担を速やかに開始できる。
【0040】
時刻t2からt3の時間は中間周波変動の領域に対応する。この領域での抽出ゲインは一定に保持され、無効電力補償装置3の補償量も一定となる。この結果、電圧は電圧調整器4の不感帯下限レベルをわずかに越えた値を維持する。無効電力補償装置3と電圧調整器4との過渡的な補償分担は、この期間において動作時限に達すると実施される。電圧は、電圧調整器4の不感帯下限レベルをわずかに越えた値に維持されるため、補償分担過程における電圧変化は必要最小限に抑えられる。
【0041】
時刻t3以降の時間は、常時変動領域に対応する。常時変動領域では、特定電圧変動抽出回路10の抽出ゲインは主に時定数T3によって下降し、ほぼ0となる。従って、無効電力補償装置3の補償量も減少し、もし電圧調整器4がなければ、電圧は最終的に変動直後の電圧レベルまで下がる。
【0042】
このように、本実施例の無効電力補償システムでは、瞬時電圧変動はまず高いゲインで抽出され高速に補償される。その後、抽出ゲインが低下し、配電線上の他の負荷に影響を与えない範囲の短時間で、電圧は電圧調整器4の不感帯を越えるレベルまで戻される。そして中間周波変動領域に対応する時間領域では、抽出ゲインは一定となり、電圧は電圧調整器4の不感帯をわずかに越えたレベルに維持されて、電圧調整器4との間で過渡的に補償分担が実施される。すなわち、無効電力補償装置3は、電圧調整器4との過渡的な補償分担において、短時間で分担を開始し、かつ分担の過程で電圧を必要以上に変化させないように動作する。
【0043】
次に、電圧調整器4が実際に電圧調整動作する場合の補償分担過程を説明する。図4は、本実施例の無効電力補償システムにおける無効電力補償装置と電圧調整器の補償分担動作で、横軸は時間軸、縦軸は配電線電圧を示す。なお、斜線の領域は、無効電力補償装置3が補償分担している電圧量を表している。
【0044】
時刻t0において、瞬時電圧変動が発生し、瞬時電圧低下が発生する。時刻t0からt1において、無効電力補償装置3は瞬時変動抽出回路14および抽出ゲイン15の作用により、電圧変動を瞬時に補償する。時刻t1からt2において、この時間は瞬時変動と中間周波変動に対応するため、図3に説明したように無効電力補償装置3の補償量が減少し、電圧は電圧調整器4の不感帯レベルを越える値まで戻される。時刻t2からt7までの時間が中間周波変動領域に対応し、この期間で電圧調整器4との過渡的な補償分担がなされる。
【0045】
まず時刻t2からt3において、電圧は電圧調整器4の不感帯レベルをわずかに越えるレベルに維持される。ここで、時刻t2からt3までの時間長は電圧調整器4の動作時限に等しい。電圧が不感帯レベルを越えて動作時限分の時間が経過した時刻t3において、電圧調整器4は電圧を不感帯内に戻そうと電圧を上げる方向にタップを切り換える。この結果、瞬時に電圧が上がるが、無効電力補償装置3が、これを瞬時電圧変動とみなして、瞬時に補償するため、電圧は元のレベルに維持される。この時、斜線で示された無効電力補償装置3の電圧補償量は、電圧調整器4の1タップ分減少する。すなわち、無効電力補償装置3から電圧調整器4へ、電圧調整器4における1タップの電圧補償分が過渡的に分担されている。
【0046】
時刻t3からt4では、時刻t2からt3と同じ現象が起きている。すなわち、電圧が不感帯レベルを越えて動作時限分の時間が経過したため、時刻t4において、電圧調整器4がタップを切り換え、これによる電圧変化を無効電力補償装置3が補償する。その結果、時刻t4後は、合わせて2タップの電圧補償分が電圧調整器4へ分担されている。時刻t4からt5、時刻t5からt6でも、時刻t2からt3と同じ現象が起きており、無効電力補償装置3から電圧調整器4へ、電圧調整器4の1タップ分ずつ電圧補償分が過渡的に分担されていく。そして、時刻t6において、無効電力補償装置3のすべての電圧補償分が電圧調整器4へと分担されて、補償分担過程が完了する。
【0047】
この時刻t0からt6までの無効電力補償装置3の補償開始から補償分担終了までの間に要した時間は、電圧調整器4の動作時限の4倍にほぼ等しい。時刻t0で発生した電圧変動△Vは、電圧調整器4の4タップ分の電圧変動幅のため、電圧調整器4に補償分担させるには、少なくとも4回のタップ動作が必要になる。図4の補償分担では、ほぼ最短の時間で電圧調整器4への分担を完了している。さらに、分担過程で発生した電圧変化は、電圧調整器4の不感帯レベルをわずかに越えるレベルに保持され、必要最小限に抑えられている。
【0048】
本実施例では、配電線上に複数の瞬時電圧変動発生負荷6が存在する場合の電圧安定化に有効である。例えば、1つ目の瞬時電圧変動発生負荷6が時刻t0で動作すると、無効電力補償装置3はほぼ最短時間の時刻t6までに電圧調整器4との補償分担を完了し、時刻t6以降に2つ目の瞬時電圧変動発生負荷6が動作するとしても、100%の補償量で補償することが可能になる。また、2つ目の瞬時電圧変動が時刻t6以前、例えば、時刻t4からt5期間に生じた場合でも、時刻t4以前の補償分担作用によって、電圧調整器4の2タップ分の補償量が無効電力補償装置3に確保されている。従って、2つ目の瞬時電圧変動に対しては、2タップ分の瞬時変動を補償することができるので、配電線上の電圧変動を抑制できる。
【0049】
以上説明したように、本実施例の特定電圧変動群抽出回路10の作用により、無効電力補償装置3から電圧調整器4への過渡的な補償分担に要する時間をほぼ最短の時間長に短縮することができ、かつその過程で生じる電圧変化を必要最小の変化幅に抑えることができる。その結果、複数の瞬時電圧変動負荷が接続して、瞬時電圧変動が連続的に発生するような配電線においても、無効電力補償装置3は、補償量を十分、もしくはある程度確保した状態で次の瞬時変動を補償することができ、配電線上の他の負荷に及ぼす障害を回避ないし軽減できる。
【0050】
図5、本発明の第2の実施例による無効電力補償システムの構成図を示す。図1と同等の要素には同一符号を付して説明を省略する。図1の実施例と異なる点は、特定電圧変動群抽出回路10において、瞬時変動領域と中間周波変動領域をそれぞれ所定のゲインで抽出する階段状周波数特性フィルタ22を用いたことにある。
【0051】
本実施例における階段状周波数特性フィルタ22の変動抽出特性は図2の特性と同じであり、瞬時変動領域と中間周波変動領域を所定のゲインで抽出する階段状の周波数特性を有している。ゲインの設定は上述した通りである。これによれば、図1の実施例と同様の効果が得られるとともに、特定電圧変動群抽出回路22が一つの要素で構成されるため構成を簡単にできる。さらに、図1の複数要素構成の場合に懸念される干渉作用が発生しないという効果がある。
【0052】
図6、本発明の第3の実施例による無効電力補償システムの構成図を示す。ここでも、図1と同等の要素には同一符号を付して説明を省略する。図1の実施例と異なる点は、特定電圧変動群抽出回路10と補償ゲイン11との間に不感帯回路23を設けたことにある。
【0053】
不感帯回路23は、入力が設定されている不感帯幅内にあれば0を出力し、不感帯を越えると入力をそのまま出力する。この不感帯回路23は、常時の電圧変動における電圧調整器4のタップ動作に対し、無効電力補償装置3が不要な動作をするのを、以下のように防止する。
【0054】
まず不感帯回路23が無い場合を考える。日負荷変動のような1日周期のゆっくりとした負荷変動による常時の電圧変動に対して、電圧調整器4はタップを切り換えて電圧を調整する。このタップ切り換えによるステップ状の電圧変化が、無効電力補償装置3の特定電圧変動郡抽出回路10内の瞬時変動抽出回路14で抽出されるため、瞬時の電圧変動が発生したとみなされて、無効電力補償装置3は補償を行う。
【0055】
しかし、この無効電力補償装置3の補償動作は全く不要な動作であり、この不要動作期間中に、本来対象としている瞬時電圧変動が起こった場合、補償量が不足して、瞬時電圧変動を補償しきれなくなるという可能性がある。また、この不要動作期間中は、無効電力補償装置3は運転による電力損失が増大しており、これも本来不要な損失が生じていることになる。
【0056】
図6の不感帯回路23がある場合、不感帯幅は正側、負側とも電圧調整器4の1タップの電圧変化より大きい値に設定する。通常1タップは100V程度なので、不感帯幅は±100Vを越える値に設定する。不感帯回路23は入力、すなわち特定電圧変動郡抽出回路10からの出力が、不感帯幅内の値であれば0を出力し、不感帯幅を越える値の場合は入力と同じ値を出力する。
【0057】
このような不感帯回路23を設けることにより、常時の電圧変動を調整するための電圧調整器4のタップ切り換えによる電圧変化が、無効電力補償装置3の特定電圧変動郡抽出回路10内の瞬時変動抽出回路14で抽出されても、その抽出値は不感帯幅内のため、不感帯回路23の出力は0となり、無効電力補償装置3は補償出力をしない。また、無効電力補償装置3の補償対象としている瞬時電圧変動は、電圧調整器4の1タップの電圧変化より十分大きく、従って不感帯回路23の不感帯幅よりも大きいため、このような瞬時電圧変動が発生した場合には、特定電圧変動郡抽出回路10内の瞬時変動抽出回路14の出力は、不感帯回路23を通してそのまま補償ゲイン11へ入力され、補償動作が行われる。
【0058】
図7に、不感帯回路23の入出力特性を示す。同図(a)は、上記にて説明した通りの入出力特性を表している。横軸は入力x、縦軸は出力yを表し、不感帯幅は正側T+から負側T−までの領域となっている。入力xがT−≦x≦T+ならばy=0、x<T−またはx>T+ならばy=xとなる。
【0059】
図7(b)は、不感帯回路23の異なる入出力特性例で、ヒステリシス特性を示している。例えば、入力xが不感帯正側のT+を越えた場合、不感帯回路23の出力yはxが負の値R+を負側に越えるまで、y=xの特性を保持する。そして、xが負の値R+より小さくなるとy=0となり、不感帯幅を越える前の状態に戻る。また入力xが不感帯負側のT−を負側に越えた場合、不感帯回路23の出力yはxが正の値R−を正側に越えるまで、y=xの特性を保持する。
【0060】
このような特性をもつことにより、入力xが正または負側に不感帯を越えた後、再び不感帯幅の中に入っても、出力が0に急変することなく、連続的に変化するようになる。従って、(a)の場合は出力の急変を避けるため、不感帯幅を大きく拡げることはできなかったが、(b)の場合は電圧調整器4のタップ切り換えに対する不要動作を避けるように、不感帯幅を大きく拡げて設定することができる。
【0061】
以上のように、第3の実施例によれば、図1の実施例で得られる効果に加えて、常時電圧変動時の電圧調整器のタップ動作に対する無効電力補償装置の不要動作を防止できるため、瞬時電圧変動に対する補償容量の確保と装置運転損失の低減という効果が得られる。
【0062】
図8に、本発明の第4の実施例による無効電力補償システムの構成図を示す。図1と同等の要素には同一符号を付して説明を省略する。本実施例では、図1の構成に加えて、電流センサ24、系統電圧変動推定回路25、系統電圧変動分析回路26、制御設定値演算回路27、時刻情報出力回路28、配電線電圧変動データベース29及び外部出力回路30を設けている。
【0063】
電流センサ24は、無効電力補償装置3の出力電流値Icを検出する。出力電流値Icと電圧検出回路9から出力される電圧検出値Vが系統電圧変動推定回路25に入力される。系統電圧変動推定回路25では、電圧検出値Vより、無効電力補償装置3による電圧補償分X×Ic項を引き算して、無効電力補償装置3が補償しなかった場合の配電線の電圧変動値を演算により推定する。系統電圧変動分析回路26では、電圧変動推定値より瞬時電圧変動成分が抽出されて、瞬時電圧変動の大きさと変動の継続時間が演算により求められる。制御設定値演算回路27では、系統電圧変動分析回路26で求められた瞬時電圧変動の大きさと変動の継続時間より、この瞬時変動を抑制するのに適した制御設定値が演算される。
【0064】
ここで、演算される制御設定値は、第1の実施例における図1の瞬時変動抽出回路19の時定数T1、中間周波変動抽出回路16の時定数T2、T3および抽出ゲイン15のK1、抽出ゲイン17のK2がある。制御定数の設定は、第1の実施例で説明した方法と同様である。制御設定値演算回路27で設定された制御定数は、特定電圧変動群抽出回路10に入力されて、各々の制御定数が更新される。また、系統電圧変動推定回路25で、推定された電圧変動値は、時刻情報出力回路28の時刻情報出力と合わせて配電線電圧変動データベース29に蓄積される。外部出力回路30は配電線電圧変動データベース29の蓄積データを外部へ出力する。
【0065】
以上のように、第4の実施例では、系統電圧変動推定回路25、系統電圧変動分析回路26、制御設定値演算回路27を通じて、無効電力補償装置3が設置された配電線の瞬時電圧変動を演算により検出し、これを用いて制御設定値を自動で更新できるようにしている。これによれば、無効電力補償装置3が設置された配電線の瞬時電圧変動発生状況に応じた制御を実施することができるという効果がある。さらに、電圧変動データをデータベース化して、外部にデータを出力できるようにしているので、配電線の電圧管理者が配電線の電圧変動状況を確認できると共に、この電圧変動データを基に制御設定値を見直して、より適した制御設定値に変更することができるという効果がある。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、無効電力補償システムから電圧調整器への過渡的な補償分担をほぼ最短の時間長に短縮し、かつその過程で生じる電圧変化を必要最小の変化幅に抑えるので、無効電力補償システムの補償量を確保して次の瞬時変動に備えることができ、瞬時電圧変動が連続的に発生するような配電線の電圧を信頼性高く安定化する効果がある。
【0067】
また、常時電圧変動時の電圧調整器のタップ動作に対する無効電力補償システムの不要動作を防止できるため、瞬時電圧変動の発生に備えて無効電力補償システムの補償容量を確保することができ、かつ運転損失を低減することができる。
【0068】
さらに、無効電力補償システムが設置された配電線の電圧変動推定値を基にして、無効電力補償システムの制御装置の制御定数を適宜設定変更できるため、その配電線の瞬時電圧変動発生状況に適した制御を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による無効電力補償システムの全体構成図。
【図2】図1の制御装置の動作を示す電圧変動抽出特性の説明図。
【図3】図1の無効電力補償装置の補償動作の説明図。
【図4】図1無効電力補償システムの補償分担過程を示す説明図。
【図5】本発明の第2の実施例による無効電力補償システムの全体構成図。
【図6】本発明の第3の実施例による無効電力補償システムの全体構成図。
【図7】図6の不感帯回路の入出力特性を示す説明図。
【図8】本発明の第4の実施例による無効電力補償システムの全体構成図。
【図9】配電線の電圧変動の状況を示す説明図。
【図10】従来の無効電力補償システムの補償動作を示す説明図。
【符号の説明】
1…配電変電所トランス、2…配電線、3…無効電力補償装置、4…電圧調整器、5…負荷、6…電圧変動発生負荷、7…無効電力補償システムの制御装置、8…電圧センサ、9…電圧検出回路、10…特定電圧変動検出回路、11…補償ゲイン回路、12…電流制御回路、13…PWM制御回路、14…瞬時変動抽出回路、15…抽出ゲイン回路、16…中間周波変動抽出回路、17…抽出ゲイン回路、18…加算器、19…高域通過フィルタ、20…低域通過フィルタ、21…高域通過フィルタ、22…階段状周波数特性フィルタ、23…不感帯回路、24…電流センサ、25…系統電圧変動推定回路、26…系統電圧変動分析回路、27…制御設定値演算回路、28…時刻情報出力回路、29…配電線電圧変動データベース、30…外部出力回路。
Claims (8)
- 変動周期の長い常時電圧変動を補償する電圧調整装置及び変動周期の短い瞬時電圧変動を補償する無効電力補償装置を接続し、この両装置により系統電圧の補償分担が行われる電力系統に対し、系統電圧に応じた無効電力補償量または、無効電流補償量を求めて前記無効電力補償装置を制御する制御装置を備えた無効電力補償システムにおいて、
前記制御装置は、検出した系統電圧から前記瞬時電圧変動の瞬時成分と、変動周期が前記瞬時電圧変動より長く前記常時電圧変動より短い中間周波領域にある中間成分とを抽出する電圧変動成分抽出手段を設け、抽出した前記瞬時成分の補償ゲインを前記中間成分の補償ゲインより高くして前記無効電力補償量を算出することを特徴とする無効電力補償システム。 - 請求項1において、前記電圧変動成分抽出手段は、前記瞬時成分以上を通過させる第1のフィルタと、前記中間成分を通過させる第2のフィルタと、前記第1のフィルタの出力に前記瞬時成分の補償ゲインを乗じ、前記第2のフィルタの出力に前記中間成分の補償ゲインを乗じ、それぞれの乗算結果を加算する演算回路を設けてなることを特徴とする無効電力補償システム。
- 変動周期の長い常時電圧変動を補償する電圧調整装置及び変動周期の短い瞬時電圧変動を補償する無効電力補償装置を接続して、この両装置により系統電圧の補償分担が行われる電力系統に対し、系統電圧に応じた無効電力補償量を求めて前記無効電力補償装置を制御する制御装置を備えた無効電力補償システムにおいて、
前記制御装置は、検出した系統電圧から前記瞬時電圧変動の瞬時成分と、前記瞬時電圧変動より変動周期が長く前記常時電圧変動より短い中間周波成分を抽出する電圧変動成分抽出手段を設け、前記瞬時成分を補償後の前記中間周波成分の電圧補償分担が前記電圧調整装置の補償動作と協調するように、前記電圧変動成分抽出手段の制御定数を、前記瞬時成分の補償ゲインを前記中間成分の補償ゲインより高く設定してなることを特徴とする無効電力補償システム。 - 請求項3において、前記変動成分抽出手段は、前記瞬時成分以上を通過させる第1のフィルタと、前記中間周波成分を通過する第2のフィルタと、前記第1のフィルタの出力に前記瞬時成分の補償ゲインを乗じ、前記第2のフィルタの出力に前記中間成分の補償ゲインを乗じ、それぞれの乗算結果を加算する演算回路を設けてなることを特徴とする無効電力補償システム。
- 請求項4において、前記第1のフィルタのカットオフ周波数または、時定数の逆数は系統電圧が許容限度以下に低下しない範囲で大きく、かつ、前記第2のフィルタの出力に乗じる補償ゲインは系統電圧が前記電圧調整器の不感帯下限を僅かに下回る値に保持されるように、それぞれ設定してなることを特徴とする無効電力補償システム。
- 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記制御装置は、前記電圧変動成分抽出手段の出力を入力とし、所定不感帯幅を持つ不感帯回路を設けてなることを特徴とする無効電力補償システム。
- 請求項6において、前記所定不感帯幅は、前記電圧調整装置の1回のタップ補償電圧を上回る値としてなる無効電力補償システム。
- 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記制御装置は、系統電圧の検出値と前記無効電力補償装置の出力電流の検出値とを用いて系統に生じた電圧変動を推定し、前記電圧変動成分抽出手段の制御定数を変更する手段を設けたことを特徴とする無効電力補償システム。
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