JP2020188614A - 無効電力補償装置の制御方法及び制御回路 - Google Patents
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Abstract
Description
図7において、無効電力補償装置20は、遮断器21と変圧器22とを介して電力系統10に連系されたインバータ23を備えている。インバータ23は、図8に示すように、直流中間回路に設けられるコンデンサ24と、還流ダイオード26a〜26fがそれぞれ逆並列に接続されたIGBTやGTOサイリスタ等の半導体スイッチング素子25a〜25fとによって構成されている。
図9において、正相成分演算部32は系統電圧Vsの正相分(正相電圧)を検出し、電圧指令部31による電圧指令値と正相電圧検出値との偏差が減算器33により演算される。電圧制御部34は、上記偏差を零にするように動作して無効電流指令IPq *を演算する。
ここで、電圧制御部34の出力側に設けられたリミッタ35は特許文献1には明記されていないが、インバータ23の構成素子が過大な電流によって破損しないようにインバータ23の出力電流を定格値以下に制限するためのものであり、無効電力補償装置20の制御回路には通常、設けられている。
上記の動作により、例えば電力系統10に三相または二相短絡事故が発生して系統電圧Vsが瞬時に低下した場合、無効電力補償装置20から電力系統10に対して無効電流指令IPq *に応じた無効電力が注入されるため電力系統10の正相電圧が増加し、系統電圧Vsは所定値に復帰する。同時に、所定の有効電力が電力系統10からコンデンサ24に供給されることにより、インバータ23の直流電圧を設定値に維持するような制御が行われる。
そこで、非特許文献1に記載されているごとく、低圧または高圧の電力系統に連系される分散型電源には、以下のように事故時運転継続要件(FRT要件)を満たすことが求められている。
FRT要件によれば、図10(a),(b)に示すように、短絡事故によって残電圧が定格値の20%〜30%に低下した場合でも、分散型電源の運転を継続することが要求されている。
このため、無効電力補償装置20が、FRT要件により規定された三相または二相短絡時において系統の瞬低補償を行う場合には、瞬間的に大きく低下する系統電圧に追従して定格を超えた無効電流を短時間出力することになり、これによって分散型電源を解列させずに運転を継続させ、電力系統10の電圧を所定値まで上昇させることが期待されている。
すなわち、これら何れの先行技術も、瞬低期間内に無効電流の出力を停止した場合に生じる電力系統への擾乱を考慮したものではない。
そこで、本発明の解決課題は、瞬低期間内に出力する無効電流を適切に制御して電力系統における擾乱を抑制し、分散型電源の解列を防いで系統全体の電圧や周波数を所定値に維持可能とした無効電力補償装置の制御方法及び制御回路を提供することにある。
前記インバータは、系統電圧の瞬時低下を補償するための所定の大きさの無効電流を瞬時低下の発生時点から出力し、かつ、その出力期間を、系統電圧の瞬時低下期間内の所定期間に制御することを特徴とする。
系統電圧が所定値以下に低下したことを判定する電圧低下判定部と、
前記電圧低下判定部により電圧低下が判定された時に所定の無効電流設定値に応じた無効電流指令を所定期間出力してから前記無効電流指令を徐々に零まで減少させる出力特性を備えたフィルタと、
前記フィルタの出力を系統電圧の瞬時低下期間内で有効にするフィルタ出力有効化手段と、を備え、
前記フィルタから出力される無効電流指令に基づいて前記インバータを制御することを特徴とする。
前記フィルタ出力有効化手段を、
前記電圧低下判定部により電圧低下が判定された時点から前記瞬時低下期間内の一定期間だけアクティブとなるように前記電圧低下判定部の出力信号を遅延させるオフディレー部と、このオフディレー部の出力信号により系統電圧の平常時における無効電流指令を前記フィルタの出力に切り替える切替スイッチと、により構成したことを特徴とする。
図1は、この実施形態に係る無効電力補償装置の制御回路のブロック図である。図1において、図9と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、以下では図9との相違点を中心に説明する。
切替スイッチ43の一方の入力端子aには設定器41aにより“0”が入力され、他方の入力端子bには設定器41bにより所定の無効電流設定値が入力されている。切替スイッチ43は、電圧低下判定信号42sが“L(Low)”レベルの時に入力端子aに接続され、電圧低下判定信号42sが“H(High)”レベルの時に入力端子b側に切り替えられる。この切替スイッチ43の出力端子は、一次遅れフィルタ等からなるフィルタ44を介して後述する第2の切替スイッチ46の入力端子dに接続されている。
オフディレー部45の出力信号45sは第2の切替スイッチ46に入力され、この切替スイッチ46は、上記信号45sが“L”レベルの時にリミッタ35側の入力端子cに接続され、信号45sが“H”レベルの時にフィルタ44側の入力端子dに接続されるようになっており、切替スイッチ46の出力信号が無効電流指令IPq *として出力される。
ここで、オフディレー部45及び第2の切替スイッチ46は、フィルタ44の出力を無効電流指令IPq *として有効にするためのフィルタ出力有効化手段を構成している。
図1の電圧低下判定部42は系統電圧Vsが所定値以下に低下したことを判定し、期間T01にわたって“H”レベルの信号(電圧低下判定信号)42sを出力する。この期間T01では、第1の切替スイッチ43が入力端子b側に切り替わるので、フィルタ44には設定器41bによる無効電流設定値が入力される。
瞬低が発生する時刻t1以前は、フィルタ44から設定器41aによる設定値“0”が出力されると共に、第2の切替スイッチ46は入力端子c側に接続されているため、図3の無効電流指令IPq1 *は、リミッタ35によって大きさが制限された値となっている。
なお、時刻t2以後は、予め設定された時間だけ無効電流指令IPq *を連続的またはステップ状に減少させ、瞬低から復帰した時刻(図2における時刻t4)で瞬時に零になるようにフィルタ44及びオフディレー部45を設計しても良い。
図5は従来技術による各部の電圧、電流等の波形図、図6は本実施形態による各部の電圧、電流等の波形図であり、「AVR制御部出力」とは、無効電流補償装置SVCに設けられたAVR(自動電圧調整器)の制御部出力を示している。
一方、図6の本実施形態では、無効電流補償装置SVCの出力電流をほぼ350.00[ms]以後、所定値から零まで徐々に減少させたことにより、記号f’から明らかなように連系点電圧のインパルス状の変動を除去できている。
20:無効電力補償装置
21:遮断器
22:変圧器
23:インバータ
24:コンデンサ
25a〜25f:半導体スイッチング素子
26a〜26f:還流ダイオード
31:電圧指令部
32:正相電圧演算部
33:減算器
34:電流制御部
35:リミッタ
41a,41b:設定器
42:電圧低下判定部
43,46:切替スイッチ
44:フィルタ
45:オフディレー部
Claims (6)
- インバータにより電力系統に無効電力を注入して系統電圧の瞬時低下を補償する無効電力補償装置の制御方法において、
前記インバータは、系統電圧の瞬時低下を補償するための所定の大きさの無効電流を瞬時低下の発生時点から出力し、かつ、その出力期間を、系統電圧の瞬時低下期間内の所定期間に制御することを特徴とした無効電力補償装置の制御方法。 - 請求項1に記載した無効電力補償装置の制御方法において、
前記インバータは、系統電圧の瞬時低下の発生時点から一定期間を経過した時点以後は、無効電流を徐々に零まで減少させることを特徴とした無効電力補償装置の制御方法。 - 請求項2に記載した無効電力補償装置の制御方法において、
前記インバータは、前記一定期間を経過した時点以後は、無効電流を連続的またはステップ状に零まで減少させることを特徴とした無効電力補償装置の制御方法。 - インバータにより電力系統に無効電力を注入して系統電圧の瞬時低下を補償する無効電力補償装置の制御回路において、
系統電圧が所定値以下に低下したことを判定する電圧低下判定部と、
前記電圧低下判定部により電圧低下が判定された時に所定の無効電流設定値に応じた無効電流指令を所定期間出力してから前記無効電流指令を徐々に零まで減少させる出力特性を備えたフィルタと、
前記フィルタの出力を系統電圧の瞬時低下期間内で有効にするフィルタ出力有効化手段と、を備え、
前記フィルタから出力される無効電流指令に基づいて前記インバータを制御することを特徴とした無効電力補償装置の制御回路。 - 請求項4に記載した無効電力補償装置の制御回路において、
前記フィルタ出力有効化手段を、
前記電圧低下判定部により電圧低下が判定された時点から前記瞬時低下期間内の一定期間だけアクティブとなるように前記電圧低下判定部の出力信号を遅延させるオフディレー部と、このオフディレー部の出力信号により系統電圧の平常時における無効電流指令を前記フィルタの出力に切り替える切替スイッチと、により構成したことを特徴とする無効電力補償装置の制御回路。 - 請求項4または5に記載した無効電力補償装置の制御回路において、
前記フィルタが一次遅れ特性を有することを特徴とする無効電力補償装置の制御回路。
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