JP3662705B2 - 汎用エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンなどの内燃機関の空燃比を制御するための装置であって、特に燃料ではなく吸入空気を制御することで空燃比の制御を行う空燃比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンの空燃比を制御する方法としては、燃料混合気に含まれる燃料量を調節する方法と、吸入空気量を調節する方法が考えられている。
このうち、吸入空気量を調節して空燃比制御を行う方法としては、例えば本願出願人が既に出願した特願平8−164513号に記載の技術がある。これは、外部又は吸気フィルタの下流から、キャブレタのベンチュリ部を迂回して設けられたバイパス経路を介して、吸気マニホールドに空気(導入空気)を導入することで、燃焼室内に吸入される燃料混合気の空燃比をコントロールするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した空燃比制御では、空燃比のコントルールを行うための空気の導入を、吸気マニホールドの負圧を利用して行っているので、下記の様な問題があった。
【0004】
例えばエンジンを全開で運転している状態では、吸気マニホールドの負圧は低いので、バイパス経路の入口(導入空気の取入口で通常は吸気フィルタの下流に設けられる)と出口(導入空気の供給口で通常はベンチュリ及びスロットルバルブの下流に設けられる)との圧力差が少なく、通常のパイプを使って吸気マニホールドのバイパス経路を設けると、吸気抵抗が大きすぎて十分な空気を導入できず、空燃比制御に支障が生ずる恐れがある。
【0005】
また、吸入空気の制御には電磁弁が使用されるが、電磁弁にはかなりの時間通電されるので、自己発熱が大きく、更に、汎用エンジンなどの空冷式のエンジンの場合には、電磁弁はエンジンの近傍に配置されるので、エンジンからの被熱も大きくなって高温になる。ところが、吸入空気の制御は、電磁弁を高速で開閉する必要があるのに対して、高温においては、電磁弁の応答速度が遅くなり制御が難しくなるという問題もあった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、十分な空気を導入することができるとともに、十分に電磁弁を冷却することができ、好適に空燃比制御を実施できる空燃比制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
求項1の発明では、キャブレタ式の燃料供給部から汎用エンジンの吸気管内に燃料を供給するとともに、燃料供給部を迂回して吸気管に設けられたバイパス経路を用い、その入口から空気を導入し出口から吸気管内に空気を供給する。そして、バイパス経路に設けられた電磁弁を駆動してバイパス経路の連通状態を調節することにより、吸気管内に導入する空気(吸入空気=導入空気)の量を調節して、燃料混合気の空燃比を制御する。
【0008】
特に本発明では、電磁弁を全開にした場合に、バイパス経路の入口から出口までの有効断面積を、吸気管における入口から出口までの有効断面積の40%以上としている。従って、例えば汎用エンジンを全開で運転している状態でも、十分な空気を吸気管内に導入することができ、また、電磁弁の冷却も行うことができる。それによって、好適に空燃比制御を行うことができる。
また、本発明では、バイパス経路として、吸気管の管壁の外側を覆うカバーと該吸気管の管壁とで構成される空間を用いている。つまり、吸気管とは別体のパイプを用いてバイパス経路を形成するのではなく、吸気管を空間を設けてカバーで覆うことにより、カバーと吸気管の間の空間をバイパス経路として形成するので、バイパス経路を設ける空間をコンパクトに設けることができる。また、吸気管の外表面を使用できるので、コンパクトにできるにもかかわらず、その経路を流れる空気量を多くすることができる。更に、この構成により、バイパス経路の通気抵抗を小さくすることができる。
更に、本発明では、電磁弁を制御する制御回路の収納ケースを、吸気管の管壁の外側を覆うカバーとし、収納ケース内の空間をバイパス経路として用いている。従って、装置の小型化と素子の冷却等の効果を奏するとともに、特に収納ケースを利用してバイパス経路を形成するので、その点からも一層装置構成を簡易化できる。
【0009】
尚、有効断面積とは、経路の断面積そのままではなく、例えば乱流等により気体が流れる流路が狭められた場合に、実際の気体が流れることができる流路の断面積を示している。例えば下記式(1)によって、体積流量Qは有効断面積S等から計算されるので、この様な式から流量を求めることができる。
【0010】
PL/PH>0.5283(流速<音速)の場合
Q=22.2S・(PL(PH−PL))1/2・(273/T)1/2 …(1)
但し Q;体積流量[l/min]
PH;上流側絶対圧力[kg/cm2
PL;下流側絶対圧力[kg/cm2
S;空気圧抵抗の有効断面積[mm2
T;空気の絶対温度[K]
また、汎用エンジンでは、通常空燃比をA/F=11付近になるようにキャブレタを調節しているが、本発明を汎用エンジンに適用して導入空気を吸気管に供給することにより、空燃比をA/F=13.5〜14の範囲に制御することができる。
【0012】
請求項2の発明では、電磁弁のコイル部分を、バイパス経路内に配置している。従って、バイパス経路を流れる導入空気によりコイル(即ち電磁弁)を冷却することができるので、電磁弁の応答速度が速く、よって空燃比制御も速やかに且つ精度良く行うことができる。
【0013】
請求項3の発明では、前記請求項1と同様に、キャブレタ式の燃料供給部から汎用エンジンの吸気管内に燃料を供給するとともに、燃料供給部を迂回して吸気管に設けられたバイパス経路を用い、その入口から空気を導入し出口から吸気管内に空気を供給する。そして、バイパス経路に設けられた電磁弁を駆動して経路の連通状態を調節することにより、吸気管内に導入する空気(導入空気)の量を調節して、燃料混合気の空燃比を制御する。
【0014】
そして、本発明では、バイパス経路として、吸気管の管壁の外側を覆うカバーと該吸気管の管壁とで構成される空間を用いるとともに、電磁弁のコイル部分を、バイパス経路内に配置している。
【0015】
従って、流量が多いバイパス経路をコンパクトに形成でき、その通気抵抗も小さくできる。また、コイルを冷却できるので、電磁弁の応答速度が速くなる。
また、本発明では、電磁弁を制御する制御回路の収納ケースを、吸気管の管壁の外側を覆うカバーとし、収納ケース内の空間をバイパス経路として用いている。従って、装置の小型化と素子の冷却等の効果を奏するとともに、特に収納ケースを利用してバイパス経路を形成するので、その点からも一層装置構成を簡易化できる。
請求項4の発明では、電磁弁を、前記バイパス経路の入口又は出口に対応する位置の吸気管の管壁の外側に取り付けている。
【0016】
つまり、電磁弁は吸気管の外側に直接に取り付けられているので、吸気管から電磁弁に導入空気を導くためのパイプ等の中間経路を設ける必要がなくなり、通気抵抗を低減することができる
【0018】
請求項5の発明では、収納ケース内に、制御回路とともに電磁弁を配置している。
【0019】
従って、装置の小型化、簡易化、素子及び電磁弁の冷却を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例の形態の例(実施例)について説明する。
(実施例1)
a)まず、本実施例の例えば芝刈機等に使用されるキャブレター式の汎用エンジンに使用される空燃比制御装置(以下単に空燃比制御装置と記す)の構成について説明する。
【0021】
図1に、本実施例の空燃比制御装置の概略構成を模式的に示す。
本実施例では、汎用エンジン1の吸気管3において、チョーク4の下流側に、燃料供給部5及びベンチュリ部7からなるキャブレタ9が取り付けられている。この燃料供給部5は、燃料タンク(図示せず)から供給される燃料をフロート11の上下移動により調節して蓄えるフロート室13と、フロート室13の底部とベンチュリ部7とを連通して燃料を吸気管3内に供給するノズル15とを備えている。
【0022】
また、吸気管3には、空気のみをベンチュリ部7の下流側に供給して燃料の混合比(即ち空燃比)を調節するために、ベンチュリ部7及びスロットル弁17を迂回するバイパス経路19が設けられている。このバイパス経路19は、吸気管3の外周の一部をカバー20で覆ったものであり、ベンチュリ部7の上流側に開口して吸気管3から空気を導入する入口19aと、スロットル弁17の下流側に開口して空気(導入空気)を吸気管3に供給する出口19bとを備えている。
【0023】
前記出口19bには、その経路を開閉2位置に制御する電磁弁21が配置されている。尚、電磁弁21は、デューティ比制御によって開閉状態が制御され、電磁弁に通電される(ON)と経路が開かれ、通電されない(OFF)と経路が閉じられる。
【0024】
特に、本実施例では、空燃比をA/F=11〜15の範囲で制御するので、吸気管3における入口19aから出口19bまでの有効断面積は175mm2であり、バイパス経路19の入口19aから出口19bまでの有効断面積を70mm2とした。それによって、バイパス経路19と吸気管3の有効断面積の比を、1:2.5に設定している。
【0025】
この様に、バイパス経路19の有効断面積を計算すると、バイパス経路19の電磁弁21を全開状態にしたときには、空燃比がA/F=11で制御されていたものは、電磁弁21を全開状態にすると、A/F=15以上にすることができる。但し、この様に高い空燃比は長時間維持することはできないので、後述する様に、一瞬だけA/F=15とするが、通常はA/F=13.5〜14にコントロールする。
【0026】
そして、本実施例では、この様にして算出された有効断面積及びその比となる様に、実際のバイパス経路19及び吸気管3の構造としてある。尚、前記有効断面積及びその比となる様に、例えばバイパス経路19の入口19aや出口19bの寸法や形状を算出できればよいが、バイパス経路19等の形状が複雑な場合には、現実には計算で算出することは困難であるので、実際に試作品を製造して、バイパス経路19の全開状態にしたときと全閉状態にしたときの空気流量と、その前後の圧力差を用いて、前記(1)式で連立方程式をたて、吸気管3とバイパス経路19の有効断面積を計算する。そして、その比が40%以上となる様に、例えばカバー20内の構造及び入口19a、出口19bの寸法・形状等を決定している。
【0027】
このバイパス経路19を、図2に拡大して詳細に示すが、バイパス経路19は、電磁弁21及び制御回路23を備えた回路基板25を覆うカバー20である収納ケース20を利用して形成されている。
この箱状の収納ケース20は、入口19a及び出口19bを覆うとともに、吸気管3の外周面を覆う様に取り付けられており、収納ケース20内に回路基板25が吸気管3にネジ止めされている。この回路基板25上には、制御回路23が設けられ、制御回路23を覆って樹脂製のモールド29(図2(a)のメッシュ部分)が形成されてる。また、回路基板25には、コイル21aを有する電磁弁21が固定され、出口19bのバイパス経路19側の開口部19b1は、電磁弁21の可動子21bにより開閉される。
【0028】
尚、前記図1にはノズル15が模式的に記載してあるが、図2(b)に具体的に示す様に、実際には吸気管3の側面にノズル15の開口部15aが設けられている。
図1に戻り、排気管31には、上流側より、電磁弁33を介して2次空気を導入する二次空気導入部35、酸素センサ37及び排ガス浄化触媒39が取り付けられている。この酸素センサ37は、検出素子として、ジルコニア固体電解質基板の両面に白金電極を設けた酸素濃淡電池を使用しており、その起電力がストイキにて急変するタイプのセンサ(いわゆるλセンサ)である。
【0029】
この空燃比制御装置では、酸素センサ37や(フライホイール41に取り付けられたマグネットを用いて)汎用エンジン1の回転角を検出する回転角センサ43等の信号を、信号処理回路45で処理し、この処理結果に基づいて電磁弁駆動回路47が駆動信号を出力し、該駆動信号に基づいて電磁弁21を駆動し、空気の供給量を調節して空燃比を制御している。
【0030】
b)次に、本実施例の空燃比制御装置の動作について、図3に基づいて説明する。
(i)まず、吸気管負圧に同期した信号について説明する。汎用エンジン1が回転している場合には、回転角センサ43からは、図3(a)に示す様なパルス信号(回転角信号)が出力される。尚、2パルスに1回の割合でプラグの点火が行われる。このとき、吸気管3内の負圧は、エンジン1の回転に応じて(即ち吸気弁の動作に応じて)、図3(b)の様に変化する。
【0031】
そして、信号処理回路45では、前記回転角信号に応じて、吸気管負圧に同期した図3(c)に示す様な信号αを(例えば周波数に換算して60Hzの周期で)作成するとともに、この信号αに基づいて、図3(d)に示す様な信号α3つ分のHigh期間を有する信号βを一定の周期で(例えば周波数に換算して0.2Hzの周期で)作成する。
【0032】
更に、信号処理回路45では、これらの信号α及び信号βに基づいて、図3(e)に示す様に、電磁弁21を駆動する信号(電磁弁信号)を作成して、電磁弁駆動回路47を介して電磁弁21に出力する。この電磁弁信号は、信号αに同期して出力されるもので、信号βがLowである通常の期間は、予め定められた所定の時間BだけON(開状態)とされるが、信号βがHighの期間中(検査期間)は、空燃比を一時的にリーン側に振るために、予め定められた所定の時間CだけON(開状態)とされる。但し、時間Bより時間Cの方が長く設定されており、この時間は運転状態によって変更されるが、代表的な例として時間Bが5ms、時間Cが10msとされる場合がある。
【0033】
つまり、信号βのHighの期間中は、一時的に電磁弁21の開弁時間が長くされ、それによって、一時的に空燃比がリーン側に調節されることになる。
(ii)次に、このような信号状態における制御について説明する。上述した様に、前記電磁弁信号によって電磁弁21が駆動されて、一時的に空気量が増大されると、図3(f)に示す様に、酸素センサ37の出力(酸素センサ信号)は、基準値(例えば0.45V)を挟んで低下し、リッチ側からリーン側に変化する。すると、信号処理回路47では、この酸素センサ信号に基づいて、図3(g)に示す様に、基準値を下回る期間がHighであるリーン信号を作成する。
【0034】
そして、本実施例では、このリーン信号がHighである時間Aを測定し、この時間Aが所定の値より短い場合には、前記時間Bを長くする。つまり、リーン信号の時間が短い場合とは、空燃比がすぐに元のリッチの値に戻り易い状態、即ち、空燃比が目標値よりリッチ側に偏り過ぎているとして、電磁弁21の開時間Bを長くし、空気の供給量を多くして、燃料混合気を薄くして(即ちリーン側寄りにして)、目標の空燃比に近づけるようにする。
【0035】
一方、時間Aが所定の値より長い場合には、前記時間Bを短くする。つまり、リーン信号の時間が長い場合とは、空燃比がすぐに元のリッチの値に戻り難い状態、即ち、目標値よりリーン側に偏り過ぎているとして、電磁弁21の開時間Bを短くし、空気の供給量を少なくして、燃料混合気を濃くして(即ちリッチ側寄りにして)、目標の空燃比に近づけるようにする。
【0036】
つまり、一時的に空燃比をリーン側に振ってやり、その時の酸素センサ37のリーン出力時間(時間A)を測定し、そのリーン出力時間に応じて電磁弁21の開閉状態を制御して燃料混合気を調節し、空燃比を制御している。従って、例えば自動車で使用する全領域酸素センサの様な複雑で高価な酸素センサを使用しなくとも、簡単で安価なλセンサを使用して、好適に(理論空燃比λ=1よりリッチ側の)目標空燃比に制御することができる。
【0037】
この様に、本実施例では、バイパス経路19の有効断面積と吸気管3の有効断面積の比を40%以上としているので、エンジン1が全開で運転されている様なバイパス経路19の入口19aと出口19bとの間の圧力差が小さい場合でも、スロットル弁17の下流側に十分な空気を導入することができる。従って、このバイパス経路19を介して導入する空気によって、簡易な構成にもかからわず、好適に空燃比制御を行なうことができる。
【0038】
また、収納ケース20を用いるとともに、吸気管3の管壁を利用してバイパス経路19を形成するので、バイパス経路19を設ける空間をコンパクトにすることができ、しかもコンパクトにできるにもかかわらず、その経路を流れる空気量を多くすることができる。その上、この構成により、バイパス経路19の通気抵抗を小さくすることもできる。
【0039】
更に、本実施例では、電磁弁21及びそのコイル21aを、バイパス経路19内に配置しているので、バイパス経路19を流れる導入空気によりコイル21aを冷却することができる。よって、電磁弁21の応答速度が速く、空燃比制御も速やかに且つ精度良く行うことができる。
【0040】
その上、電磁弁21は、前記出口19bに対応する吸気管3の外側部分に取り付けられているので、吸気管3から電磁弁21に導入空気を導くためのパイプ等の中間経路を設ける必要がなくなり、通気抵抗を低減することができる。
また、電磁弁21を制御する制御回路23を、バイパス経路19内に配置しているので、制御回路23及びバイパス経路19の装置構成をコンパクトにできるとともに、制御回路23の素子の冷却を行うこともできる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。
【0041】
本実施例は、前記実施例1とは、バイパス経路の形状が異なっている。
図4に示す様に、本実施例の空燃比制御装置においては、バイパス経路51を構成する収納ケース53は、前記実施例1と同様に、ベンチュリ部55の上部の吸気管57の外側に取り付けられており、この収納ケース53内に、電磁弁59及び制御回路61を備えた制御基板63が配置されている。
【0042】
また、本実施例では、汎用エンジンの目標空燃比は、A/F=13.5〜14の範囲に設定されているので、バイパス経路51の有効断面積と吸気管57の有効断面積との比は、1:2.5に設定されている。
そして、ベンチュリ部55の上流側の入口51aから吸引された空気は、スロットル弁65の下流側に設けられた2つの出口51b1,51b2から吸気管57内に供給される。
【0043】
この構成により、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、低負荷では、出口51b2からの空気によって空燃比が調整され、高負荷では、出口51b1からの空気によって空燃比が調節されるので、高負荷から低負荷まで、広い負荷範囲に亘ってバイパス経路に設けられた電磁弁によって空燃比をコントロールできる。
【0044】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば前記実施例では、吸気管にカバーを取り付けてバイパス経路を形成したが、本発明の有効断面積の比以上であれば、他の構成とすることもできる。例えば従来とは異なるパイプにてバイパス経路を形成しようとする場合には、本発明の有効断面積の比以上となる様に、パイプの形状や材質を選ぶ必要がある。
【0045】
(2)また、前記実施例では、空燃比をリッチ側に制御する例について述べたが、本発明は、リッチ側に空燃比を制御する場合だけでなく、前記有効断面積の比を適宜設定することにより、空燃比を理論空燃比点(ストイキ)に制御するストイキ制御や、空燃比をリーン側に制御するリーン制御に適用できる。
【0046】
(3)更に、上述した酸素センサからの信号に基づいて電磁弁を制御する場合以外に、他のセンサ、例えば温度センサからの信号に基づいて電磁弁を制御して導入空気量を調節してもよい。例えば温度が高くなると、暖気運転が終了したと考えて、リッチ側からリーン側に目標空燃比を切り替える制御を行う場合には、温度が高くなると、導入空気量を増加する様に制御してもよい。
【0047】
(4)その上、二次空気量を調節することによって、酸素センサで検出する空燃比を変えることができるので、この二次空気量を調節することによって、制御する空燃比を調節することもできる。
(5)また、空燃比の検出に用いる酸素センサは、酸素濃淡電池を用いる他に、チタニア等の金属半導体を用いた抵抗変化型の酸素センサを用いることもできる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述した様に、請求項1の発明では、電磁弁を設けたバイパス経路の入口から出口までの有効断面積を、吸気管におけるバイパス経路の入口近くから出口近くまでの有効断面積の40%以上としているので、汎用エンジンを全開で運転している状態でも、十分な空気を吸気管内に導入することができ、それによって、好適に空燃比制御を行うことができる。
【0049】
また、本発明では、バイパス経路を、吸気管の管壁の外側を覆って構成しているので、バイパス経路をコンパクトに形成でき、しかも、通気抵抗を小さくでき、且つ空気量を多くすることができる。
更に、本発明では、収納ケースを吸気管の管壁の外側に直接に取り付け、その空間をバイパス経路として用いているので、装置の小型化と素子の冷却等の効果を奏する。
請求項の発明では、電磁弁のコイル部分を、バイパス経路内に配置しているので、コイル(即ち電磁弁)を十分に冷却でき、よって、電磁弁の応答速度を上げて、空燃比制御を好適に行うことができる。
【0050】
請求項の発明では、流量が多いバイパス経路をコンパクトに形成でき、その通気抵抗も小さくできる。また、コイルを冷却できるので、電磁弁の応答速度が速くなる。
また、本発明では、収納ケースを吸気管の管壁の外側に直接に取り付け、その空間をバイパス経路として用いているので、装置の小型化と素子の冷却等の効果を奏する。
請求項の発明では、電磁弁を、バイパス経路の入口又は出口に対応する位置の吸気管の管壁の外側に取り付けているので、パイプ等の中間経路を設ける必要がなくなり、通気抵抗を低減することができる。
【0052】
請求項の発明では、収納ケース内に電磁弁も配置するので、装置の小型化、簡易化、素子及び電磁弁の冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の空燃比制御装置の構成を示す説明図である。
【図2】 実施例1の空燃比制御装置の要部を拡大して示し、(a)はバイパス経路を破断して示す平面図、(b)バイパス経路及び吸気管を破断して示す側面図である。
【図3】 実施例1の空燃比制御装置の動作及び信号を示すグラフである。
【図4】 実施例2の空燃比制御装置の要部を拡大して示し、(a)はバイパス経路を破断して示す平面図、(b)バイパス経路及び吸気管を破断して示す側面図である。
【符号の説明】
1…汎用エンジン 3,57…吸気管
5…燃料供給部 7,55…ベンチュリ部
9…キャブレタ 17,65…スロットル弁
19,51…バイパス経路 19a,51a…入口
19b,51b1,51b2…出口 20,51…カバー(収納ケース)
21,33,59…電磁弁 23,61…制御回路
31…排気管 37…酸素センサ

Claims (5)

  1. 汎用エンジンの吸気管内に燃料を供給するキャブレタ式の燃料供給部と、
    該燃料供給部の前後に前記吸気管に開口する入口と出口を有し、燃料混合気の空燃比を制御するための導入空気を前記燃料供給部を迂回して前記吸気管内に供給するバイパス経路と、
    該バイパス経路の連通状態を制御する電磁弁と、
    を備え、前記電磁弁を駆動して空燃比を制御する汎用エンジンの空燃比制御装置であって、
    前記電磁弁を全開にした際の前記バイパス経路の入口から出口までの有効断面積を、前記吸気管における前記入口から前記出口までの有効断面積の40%以上とし
    前記バイパス経路として、前記吸気管の管壁の外側を覆うカバーと、該吸気管の管壁とで構成される空間を用いるとともに、
    前記電磁弁を制御する制御回路の収納ケースを、前記吸気管の管壁の外側を覆うカバーとし、前記収納ケース内の空間を前記バイパス経路として用いることを特徴とする汎用エンジンの空燃比制御装置
  2. 前記電磁弁のコイル部分を、前記バイパス経路内に配置したことを特徴とする前記請求項1記載の汎用エンジンの空燃比制御装置。
  3. 汎用エンジンの吸気管内に燃料を供給するキャブレタ式の燃料供給部と、
    該燃料供給部の前後に前記吸気管に開口する入口と出口を有し、燃料混合気の空燃比を制御するための導入空気を前記燃料供給部を迂回して前記吸気管内に供給するバイパス経路と、
    該バイパス経路の連通状態を制御する電磁弁と、
    を備え、前記電磁弁を駆動して空燃比を制御する汎用エンジンの空燃比制御装置であって、
    前記バイパス経路として、前記吸気管の管壁の外側を覆うカバーと該吸気管の管壁とで構成される空間を用いるとともに、前記電磁弁のコイル部分を、前記バイパス経路内に配置し
    更に、前記電磁弁を制御する制御回路の収納ケースを、前記吸気管の管壁の外側を覆うカバーとし、前記収納ケース内の空間を前記バイパス経路として用いることを特徴とする汎用エンジンの空燃比制御装置。
  4. 前記電磁弁を、前記バイパス経路の前記入口又は前記出口に対応する位置の前記吸気管の管壁の外側に取り付けたことを特徴とする前記請求項1〜のいずれか記載の汎用エンジンの空燃比制御装置
  5. 前記収納ケース内に、前記制御回路とともに前記電磁弁を配置したことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれか記載のエンジンの空燃比制御装置。
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