JP3662532B2 - 下水道本管への排水管の接続方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水道本管への排水管の接続方法に関し、詳しくは、地中に埋設されている既存の下水道本管に新たな排水管を接続するための工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に埋設された既設の下水道本管に新たな排水管を接続する方法として、特開平4−343998号公報や特開平3−177677号公報等に記載された方法が知られている。これらの方法は、下水道本管に接続しようとする排水管より大径の推進鋼管を、下水道本管の排水管接合部に向けて下水道本管の近傍にまで至る所定の位置まで推進させ、該推進鋼管内の土砂を排出した後、推進鋼管内に穿孔機(ホルソー)を挿入して下水道本管の周壁を穿孔することにより取付孔を形成し、次いでこの取付孔に排水管の先端部を挿入して接続し、最後に排水管の外周部にモルタルやセメントミルクを注入して固定するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、下水道本管に対する排水管の位置合わせが面倒であり、排水管先端にガイド用カラーを装着したものでは、強い力で排水管を押し込むとカラーがずれてしまうことがあった。また、両者の位置合わせを確実に行わないと、密着性、密封性が十分に得られなくなるおそれがあった。
【0004】
そこで本発明は、下水道本管に対する排水管の位置合わせを確実に行うことができ、十分な密着性、密封性を得ることができる水道本管への排水管の接続方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の下水道本管への排水管の接続方法は、地中に埋設された下水道本管の近傍にまで推進鋼管を推進させて該鋼管内の土砂を排除する工程と、前記鋼管内に穿孔機を挿入して前記本管の周壁に取付孔を穿孔する工程と、前記取付孔に挿入される短管部と該短管部の基部に設けられた本管当接部とを有する継手部材の前記短管部を前記本管内から取付孔に挿通させるとともに前記本管当接部をシール剤を介して前記本管内面に圧着する工程と、下部外周に係止部材を突出して設けた排水管を前記推進鋼管内に挿入して、該排水管の下端を前記取付孔から本管外部に突出した前記短管部の先端に接合する工程と、前記継手部材と接合した排水管を上方に引き上げるようにした状態で該排水管と前記推進鋼管との間にセメントミルクを注入する工程とを含むことを特徴としている。
【0006】
さらに、前記継手部材の短管部を取付孔に挿通させて本管当接部を本管内面に圧着する工程は、前記本管内に軸線方向に移動可能に配置したバルーン上に前記継手部材を載置し、該バルーンを本管マンホール部分から前記取付孔位置まで移動させた後、該バルーン内に圧縮空気を注入してバルーンを膨らませることによって前記継手部材の短管部を取付孔に挿入する手順で行うことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1乃至図6は、本発明方法によって下水道本管へ排水管を接続する手順を示すものであって、図1は推進鋼管を下水道本管の近傍まで推進させて該鋼管内の土砂を排除した状態を示す断面正面図、図2は推進鋼管内に穿孔機を挿入して本管周壁に取付孔を穿孔した状態を示す断面正面図、図3は下水道本管内にバルーン及び継手部材を配置して継手部材を取付孔に装着する工程の一例を示す断面側面図、図4は同じく継手部材を取付孔に装着する工程の一例を示す断面正面図、図5は継手部材と排水管とを接合した状態を示す断面正面図、図6は排水管外周にセメントミルクを注入した状態を示す断面正面図である。また、図7は継手部材と排水管との接合構造の他の形態例を示す要部の断面図、図8は継手部材と排水管との接合構造の更に他の形態例を示す要部の断面図である。
【0008】
まず、第1の工程は、図1に示すように、地中に埋設された下水道本管11の近傍にまで推進鋼管12を推進させて該鋼管12内の土砂を排除する工程であり、第2の工程は、前記推進鋼管12内に穿孔機(ホルソー)13を挿入して前記下水道本管11の周壁に取付孔14を穿孔する工程である。これらの工程は、従来から行われている周知の方法で行うことができ、特に限定されるものではない。
【0009】
第3の工程は、図3及び図4に示すようにして、前記取付孔14に下水道本管11内からシール剤15を介して継手部材16を装着する工程である。この継手部材16は、取付孔14の内径より僅かに小さな外径を有し、取付孔14内に挿入される短管部17と、該短管部17の基部に設けられたサドル形状の本管当接部18とを有しており、該本管当接部18の上面(短管部側外面)18aは、下水道本管11の内周面に対応した凸形湾曲面に形成されている。また、前記短管部17は、本管当接部18に一体成形した受口18bに短管17aを差し込んで接着したものであり、この短管17aの先端(上端)外周に、排水管接合用のねじ止め部19が設けられている。
【0010】
この第3の工程は、下水道本管11の大きさによって適当な方法を選択することができ、例えば、作業員が内部で作業可能な大きさの下水道本管の場合は、作業員が本管内に継手部材を持ち込んで作業することも可能であるが、通常は、図3及び図4に示す手順で行われる。
【0011】
まず、図3に示すように、下水道本管11の両端に位置するマンホール20,21の一方のマンホール20内から下水道本管11内にバルーン22を設置する。このバルーン22には、あらかじめ他方のマンホール21まで引き通された牽引ロープ23と、バルーン22内に圧縮空気を注入する空気ホース24とが設けられている。また、このバルーン22は、内部に適当量の空気を注入した状態で下水道本管11内に設置されるものであって、その形状や重心位置、前記牽引ロープ23や空気ホース24の取付位置等によって上下方向が一定になるように設定されており、その上面部分に、所定位置にシール剤15を盛り付けた状態の前記継手部材16が載置されて仮止めされる。
【0012】
この状態で、他方のマンホール21側から牽引ロープ23を引き取ってバルーン22を下水道本管11内に引き込み、図3の想像線で示すように、継手部材16を前記取付孔14部分まで移動させる。この移動量は、牽引ロープ23の引取量や取付孔14からの目視等によって行うことができる。
【0013】
そして、取付孔14に対して継手部材16が所定位置に達したときに、空気ホース24からバルーン22内に圧縮空気を注入してバルーン22を膨らませることにより、継手部材16を取付孔14方向に上昇させて前記短管部17を取付孔14内に挿入する。これにより、エポキシ系接着剤等からなるシール剤15を介して本管当接部18が本管内周面に圧着され、同時に、取付孔14の内周面と短管部17の基部外周面との間もシール剤15によって密封された状態となる。
【0014】
第4の工程は、図5に示すように、前記取付孔14から上方に本管外部に突出した前記短管部17の先端ねじ止め部19に、前記推進鋼管12に挿入した排水管25の下端をねじ止めして接合する工程である。このとき、短管部17と排水管25とのねじ止め結合を確実に行えるように、膨張させたバルーン22によって継手部材16を所定位置に保持した状態としておく。また、排水管25の下部外周には、排水管外周に突出する係止部材26があらかじめ取り付けられている。この係止部材26は、リング状であってもよく、複数のブロックを取り付けたものであってもよい。
【0015】
第5の工程は、図6に示すように、継手部材16と結合した排水管25を、矢印Aで示すように上方に引き上げるようにした状態で、排水管25と前記推進鋼管12との間にセメントミルク27を注入する工程である。このセメントミルク27が固化することにより、排水管25が下水道本管11に対して所定位置に固定され、前記係止部材26によって排水管25の軸方向位置も確実に固定された状態となる。
【0016】
なお、継手部材16の短管部17と排水管25との接続結合は、前述のようにねじ結合によって行うほか、図7に示すように、両管の接合部に鋸歯状の係止部31をそれぞれ設けて接合してもよく、また、図8に示すように、両管の接合面を接着剤32によって接着接合することもできる。
【0017】
このように、継手部材16を下水道本管11の内部からシール剤15を介して取付孔14に装着することにより、継手部材16と下水道本管11との位置関係を確実に設定することができ、両者の密封性を向上させることができるとともに、継手部材16の短管部17に排水管25を接合して上方に引き上げるようにした状態でセメントミルク27を注入することにより、継手部材16と下水道本管11との密封性を損なうことなく、排水管25を所定の状態で確実に固定することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の下水道本管への排水管の接続方法によれば、下水道本管への排水管の接続を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 推進鋼管を下水道本管の近傍まで推進させて該鋼管内の土砂を排除した状態を示す断面正面図である。
【図2】 推進鋼管内に穿孔機を挿入して本管周壁に取付孔を穿孔した状態を示す断面正面図である。
【図3】 下水道本管内にバルーン及び継手部材を配置して継手部材を取付孔に装着する工程の一例を示す断面側面図である。
【図4】 同じく継手部材を取付孔に装着する工程の一例を示す断面正面図である。
【図5】 継手部材と排水管とを接合した状態を示す断面正面図である。
【図6】 排水管外周にセメントミルクを注入した状態を示す断面正面図である。
【図7】 継手部材と排水管との接合構造の他の形態例を示す要部の断面図である。
【図8】 継手部材と排水管との接合構造の更に他の形態例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
11…下水道本管、12…推進鋼管、13…穿孔機、14…取付孔、15…シール剤、16…継手部材、17…短管部、18…本管当接部、19…ねじ止め部、20,21…マンホール、22…バルーン、23…牽引ロープ、24…空気ホース、25…排水管、26…係止部材、27…セメントミルク

Claims (2)

  1. 地中に埋設された下水道本管の近傍にまで推進鋼管を推進させて該鋼管内の土砂を排除する工程と、前記鋼管内に穿孔機を挿入して前記本管の周壁に取付孔を穿孔する工程と、前記取付孔に挿入される短管部と該短管部の基部に設けられた本管当接部とを有する継手部材の前記短管部を前記本管内から取付孔に挿通させるとともに前記本管当接部をシール剤を介して前記本管内面に圧着する工程と、下部外周に係止部材を突出して設けた排水管を前記推進鋼管内に挿入して、該排水管の下端を前記取付孔から本管外部に突出した前記短管部の先端に接合する工程と、前記継手部材と接合した排水管を上方に引き上げるようにした状態で該排水管と前記推進鋼管との間にセメントミルクを注入する工程とを含むことを特徴とする下水道本管への排水管の接続方法。
  2. 前記継手部材の短管部を取付孔に挿通させて本管当接部を本管内面に圧着する工程は、前記本管内に軸線方向に移動可能に配置したバルーン上に前記継手部材を載置し、該バルーンを本管マンホール部分から前記取付孔位置まで移動させた後、該バルーン内に圧縮空気を注入してバルーンを膨らませることによって前記継手部材の短管部を取付孔に挿入する手順で行うことを特徴とする請求項1記載の下水道本管への排水管の接続方法。
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