JP3662448B2 - ノンハロゲン難燃性粘着テープ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はノンハロゲン難燃性粘着テープに関し、特に難燃性は勿論のこと、熱変形性や耐油性にも優れるノンハロゲン難燃性粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用組電線の結束や接続部に、ノンハロゲン難燃性粘着テープが使用され始めている。
このノンハロゲン難燃性粘着テープは、例えばエチレン・エチルアクリレート(EEA)やエチレン・ビニルアセテート(EVA)等のエチレン系樹脂に、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水酸化物からなる無機系難燃剤を配合してテープ状に加工した基材の上に、接着剤を塗布して形成したものが一般的である。
【0003】
しかしながら、ノンハロゲン難燃性テープでは、安定した難燃性を得るために無機系難燃剤が多量に配合されており、それが原因で基材の熱変形性等の機械的特性や、耐油性等の化学的特性が低下している。特に、樹脂にEVAを用いた場合には、エチレンアクリレート(EA)分を含むため、熱変形性や耐油性の低下が大きい。
従って、高温になりやすいエンジン付近やエンジンオイル等の油と接触しやすい部分での使用には、信頼性の面で問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の状況に鑑み、難燃性は勿論のこと、熱変形性や耐油性等に優れるノンハロゲン難燃性粘着テープを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、基材を樹脂組成の異なる2層構造とし、かつそれぞれの層を形成する樹脂を架橋させることが効果的であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、上記の目的を達成するために、エチレン・エチルアクリレートとポリプロピレンとの混合物に無機系難燃剤及び架橋剤を配合した樹脂組成物からなる第1層と、エチレン・エチルアクリレートに無機系難燃剤及び架橋剤を配合した樹脂組成物からなる第2層とを積層した基材の前記第2層上に接着剤層を設けたことを特徴とするノンハロゲン難燃性粘着テープを提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明のノンハロゲン難燃性粘着テープは、2層構造の基材上に接着剤層を設けたことを特徴とする。即ち、図1に示すように、基材3はEEAとPPとの混合物に無機系難燃剤及びシラン架橋剤を配合した樹脂組成物からなる第1層1と、EEAに無機系難燃剤及びシラン架橋剤を配合した樹脂組成物からなる第2層2とを積層して構成され、基材3の前記第2層2上に接着剤層4を設けて構成される。
【0007】
上記の第1層1では、EEAに融点の高いPPを配合した樹脂成分を用いることにより、基材全体としての熱変形が抑制され、また耐油性も高められている。また、第1層1の樹脂成分において、EEA100重量部に対してPPを20〜100重量部の割合で配合することが好ましい。更に、両者の相溶性を高めるために改質剤を添加してもよい。
一方、上記第2層2は、その上に設けられる接着剤層4との密着性や、難燃性を損なわないことを考慮して、樹脂成分としてEEAを単独で使用する。
尚、上記において、EEA、PPは、ともに公知のもので構わない。
【0008】
上記の各樹脂成分には、難燃性を付与するために無機系難燃剤が配合される。無機系難燃剤の種類は制限されるものではないが、水酸化マクネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を使用することが好ましい。これらの無機系難燃剤は、樹脂成分100重量部に対して80〜120重量部配合することが好ましい。無機系難燃剤の配合量が80重量部未満では、難燃性の付与が不十分であり、120重量部を超える場合には、配合量の増分に応じた難燃性の向上が得られなくなるばかりでなく、従来と同様に熱変形性や耐油性を低下させる。
【0009】
更に、上記の第1層用、第2層用基材原料には、耐熱性や耐油性を付与するために架橋剤が添加される。
使用される架橋剤は特に制限されるものではなく、例えば有機シラン化合物、有機過酸化物及びシラノール縮合触媒の組み合わせを挙げることができる。
有機シラン化合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシランなどのビニルアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどのビニルカルボキシシラン等が挙げられる。これらの有機シラン化合物は2種以上を混合して用いることもできる。
また、有機シラン化合物の配合量は、上記各樹脂成分100重量部に対して1.0〜3.0重量部が適当である。1.0重量部未満では、十分な架橋が得られず、熱変形が起こりやすくなり、また耐油性にも劣るようになる。一方、3.0重量部を越えて添加しても架橋度はそれ以上高くならないため、経済的に好ましくない。
【0010】
有機過酸化物の例としては、ジクミルパ−オキサイド、過酸化ベンゾイル、2,5−ジメチルー2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。これらの有機過酸化物も2種以上混合して用いることもできる。
また、有機過酸化物の配合量は、上記各樹脂成分100重量部に対して0.05〜0.1重量部が適当である。0.05重量部未満では、反応開始剤として十分な効果が得られなくなり、一方0.1重量部を越える場合は有機過酸化物自身による架橋が著しくなるため、スコーチ早期架橋の原因となり、好ましくない。
【0011】
シラノール縮合触媒の例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクタエート、ジブチル錫メチルカプチド、酢酸第一錫、ナフテン酸鉛などの他、無機酸および脂肪酸などの酸、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミンなどの有機塩基等が挙げられる。これらのシラノール縮合触媒も2種以上を混合して用いることもできる。
また、シラノール縮合触媒の配合量は、上記各樹脂成分100重量部に対して少なくとも0.05〜0.2重量部が適当である。0.05重量部未満では、触媒としての十分な効果が得られないことによる架橋不足となり、熱変形を起こしやすくなり、また耐油性にも劣るようになる。一方0.2重量部を越えて添加しても架橋度はそれ以上は高くならないため、経済的に好ましくない。
【0012】
尚、上記した無機系難燃剤や架橋剤は。第1層用基材原料と第2層用基材原料とで同一であっても、異なっていてもよい。但し、架橋剤については、2層同時押出成形を行う際に架橋条件を単一にする観点から、同一量添加することが好ましい。
【0013】
上記した各樹脂成分、無機系難燃剤及び架橋剤は、ヘンシェルミキサーや加圧ニーダー等の公知の混合装置を用いて混練され、第1層用基材原料または第2層用基材原料とされる。また、混練に際して100℃程度に加熱することが好ましい。
基材3の作製は、第1層用基材原料と第2層用基材原料とを、例えばTダイまたはインフレーション法による2層フィルム押出成形を行うことにより、架橋され2層構造の基材3を得ることができる。
【0014】
基材3の全体の厚さ、即ち第1層1と第2層2とを積層した全厚は特に制限されるのではなく、この種の粘着テープの基材と同様で構わない。また、第1層1及び第2層2の個々の厚さも特に制限されるものではなく、両層が同じ厚さであってもよいし、異なっていてもよい。特に、第1層1の方を厚くした場合に熱変形がより小さく、また耐油性も高くなる。
【0015】
そして、上記基材3の第2層2の上に接着剤層4を設けて本発明のノンハロゲン難燃性粘着テープが完成する。
接着剤層4を形成する接着剤の種類は制限されることはなく、公知の接着剤で構わない。例えば、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ブタジエン・ポリアクリレートゴム、ブタジエン・スチレンゴム、ブチルゴム、塩化ゴム、クロロブチルゴム、環状ゴム、脱重合ゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリスルフィドポリウレタンゴム、再生ゴム、シリコンゴム、熱可塑性エラストマー等のゴム系接着剤や、アクリレート・酢酸ビニル共重合体、アクリル・エチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン三元共重合体、ポリアクリレート、カルボキシポリアクリレート、ポリアクリルエステル及びポリメタクリレートを含むアクリルポリマーまたはアクリレートポリマー等のアクリル系接着剤を挙げることができる。
【0016】
また、本発明のノンハロゲン難燃性粘着テープにおいては、必要に応じて、基材3に酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤など、従来のノンハロゲン難燃性粘着テープに添加される添加剤を適量添加することができる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1)
表1に示した如く各成分を配合し、ヘンシェルミキサーにより混練して第1層用基材原料及び第2層用基材原料を作製した。そして、各実施例においては、Tダイを用いて厚さ0.11mmの2層構成のフィルムを得た。尚、第1層と第2層との厚さの比は表1に示す通りである。一方、比較例1については、第1層用基材原料のみを用いて厚さ0.11mmのフィルムを得た。
そして、各フィルムをテープ状に切断し、各実施例については第2層の上に、天然ゴム/スチレン・ブタジエンゴム/アクリレート/ロジンエステル=30/30/20/20からなる接着剤を0.03mmの厚さとなるように塗布し、巻き取ることで試験粘着テープを作製した。
【0018】
各試験粘着テープについて、耐油性及び熱変形性を評価した。耐油性については、直径10mmの鋼棒に試験粘着テープを1/2重ねで巻き付け、エンジンオイルと灯油との混合油(50:50)に50℃で24時間浸漬した後のテープの状態を目視にて観察し、テープ形状を維持している程度が高いものから順に「◎」〜「×」として表1に記した。また、熱変形性については、直径10mmの鋼棒に試験粘着テープを1/2重ねで巻き付けてギアオーブンに入れ、140℃で96時間加熱した後のテープの状態を目視にて観察し、テープ形状を維持している程度が高いものから順に「◎」〜「×」として表1に記した。
【0019】
【表1】
Figure 0003662448
【0020】
1):日本ポリオレフィン製「A1150」(MI=0.75、EA15%)
2):日本ポリオレフィン製「E620G」(MI=1.5)
3):協和化学製「キスマA」
4):東レダウコーニング製「SZ6300」
5):三井化学製「三井DCP」
6):旭電化製「BT−11」
【0021】
表1から明らかなように、実施例1〜3の試験粘着テープは、比較例1の試験粘着テープに比べて何れも耐油性及び熱変形性に優れている。また、実施例1と実施例2との比較から、第1層のPP量が多くなるほど耐油性や熱変形性が向上することが見い出された。更に、実施例2と実施例3との比較から、第1層の方を厚くすることにより、耐油性や熱変形性が更に向上することが見い出された。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱変形性や耐油性等に優れるノンハロゲン難燃性粘着テープが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノンハロゲン難燃性粘着テープを示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1層
2 第2層
3 基材
4 接着剤層

Claims (4)

  1. エチレン・エチルアクリレートとポリプロピレンとの混合物に無機系難燃剤及び架橋剤を配合した樹脂組成物からなる第1層と、エチレン・エチルアクリレートに無機系難燃剤及び架橋剤を配合した樹脂組成物からなる第2層とを積層した基材の前記第2層上に接着剤層を設けたことを特徴とするノンハロゲン難燃性粘着テープ。
  2. 第1層の樹脂組成物において、エチレン・エチルアクリレート100重量部に対してポリプロピレンが20〜100重量部配合されることを特徴とする請求項1記載のノンハロゲン難燃性粘着テープ。
  3. 無機系難燃剤が金属水酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載のノンハロゲン難燃性粘着テープ。
  4. 第1層及び第2層の樹脂組成物において、各樹脂成分100重量部に対して有機シラン化合物が1.0〜3.0重量部、有機過酸化物が0.05〜0.10重量部、およびシラノール縮合触媒が0.05〜0.2重量部配合されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のノンハロゲン難燃性粘着テープ。
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