JP3662096B2 - 結像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結像装置、より詳細には、複写機やファクシミリ等に用いられる読取光学系やCCDラインセンサと等倍センサとを組み合わせた読み取りスキャナ等に用いられる光学系、あるいは、光プリントヘッドや自己走査型光プリントヘッドに用いられる光学系に用いて好適な結像装置の開口アレイの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来技術による等倍実像結像用の光学系を説明するための要部構成図で、図中、101はレンズアレイ、102はルーフミラーアレイ、103はルーフミラーレンズアレイ、104はレンズ、105は稜線、106はルーフミラー、107は物体面、108は像面、109は光路分離ミラー、P1は読取位置、P2は結像位置、φは光軸である。
【0003】
図7に示した等倍実像結像用の光学系は、レンズ104の光軸φ上でない有限のスリット高さ位置に物体面107の読取位置P1を設定し、レンズ104によりほぼ平行光にした後、ルーフミラー106により、同一方向に折り返して、再び、同一のレンズ104を通過させて、光学的に共役な位置P2に結像させるようにしたものである。
【0004】
従来技術として、例えば、特公昭61−2929号公報「光学結像素子」に開示されているものは、レンズアレイとルーフミラーアレイとを一体的に構成したインプリズムレンズアレイで、上述の図7に示した例と同様、有限スリット高さ位置に読み取り位置を設定し、反射光がレンズ面を通過後、ルーフプリズムを二回反射して再び前記レンズ面を通過し、共約な位置に結像するようにしたものである。
【0005】
ルーフミラーレンズアレイは、「等倍実像結像用の光学系」であり、例えば、特開昭57−37326号公報に開示されているものなど、従来から種々のタイプのものが知られており、光学系に等価な一連のレンズを一列に配列してなる「レンズアレイ」と、このレンズアレイにおけるレンズ配列方向およびレンズ光軸方向に直交する稜線を有する一連のルーフミラーを、上記レンズアレイにおける個々のレンズと1:1に対応させてアレイ配列してなる「ルーフミラーアレイ」と、上記レンズアレイとルーフミラーアレイとの間に配設され、レンズとルーフミラーとによる結像系を互いに分離する「絞り部材」とを一体化してなり、原稿像による感光体露光や原稿読み取りあるいは画像読み込みに利用されている。
【0006】
何れにしても、この種の結像素子にあっては、レンズアレイにおける任意のレンズは、これに対応するルーフミラーとにより1つの「結像系」を構成し、絞り部材の各開口は、これらの結像系の個々に対応して位置し、結像系を互いに光学的に分離する必要がある。つまり、この種の結像素子では、同一のレンズを往復して通過させるために、同一位置に読取位置と結像位置とをレイアウトするのは不可能であり、光軸上の光束は、物体側光束と結像面側光束とを分離させるために、有限のスリット高さを使わざるを得ない。即ち、ルーフミラー106の稜線105の方向の有限な像高位置に読取位置P1を設定し、結像位置P2は、マイナスの像高位置に結像させる必要がある。しかし、分離量には限界があるので、現実には、図7中に示すように、光路分離ミラー109等で光路を折り返すようにしている。図7に示す光路分離ミラー109は、紙面表裏方向に長い短冊状の平面鏡であり、レンズアレイ101の「各レンズ104の光軸φを共有する面」に対して45゜傾けて配設されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように、従来技術によるルーフミラーレンズは、結像光束が同一のレンズを2度通過するため、稜線方向(ルーフミラーレンズの配列方向に直交する方向)の有限な像高位置に像面と結像面とを設定しなくてはならず、レイアウト上の制約を受ける。また、現実には、上記のように、光路分離ミラー109を配設させる必要がある。ここに、ルーフミラーや光路分離ミラーを反射面構成とするには、Al等の高反射率材料を用いて真空蒸着プロセスにより反射膜を形成する必要があり、生産性の面で劣る。また、その反射率も、信頼性等により、保護膜等が併せて形成されるので、せいぜい90%程度に留まる。より具体的に、図7に示したような構成の場合、ルーフミラー106が2面、光路分離ミラー109が2面の反射面を有するので、全体では、66%程度の反射率しか確保できず、蒸着反射面が複数面存在すればするだけ反射ロスも少なからず発生するので、光量損失の大きい結像素子となってしまうという問題があった。
【0008】
また、上述のように、従来技術によるルーフミラーレンズアレイは、結像光束が同一のレンズを2度通過するため、ルーフミラーレンズの配列方向に直交する方向の有限の像高位置に像面、及び、結像面を設定せざるを得ない。また、ルーフミラーレンズの問題点と同様、ルーフミラー2面と光路分離ミラー1面の少なとも3面以上の反射面を形成させる必要があるため有効光有の損失が大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、開口アレイ部材による光量損失を抑えた結像装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、光軸が異なる方向に設定されて光学的に等価な集光機能を示す入射側レンズと結像側レンズとを有するレンズと、稜線を形成する互いに90°をなす平面を有してこれらのレンズの双方の光軸を含む平面上であって光軸の交叉する位置に前記稜線が配置されたルーフプリズムとを有し、前記ルーフプリズムの前記稜線に直交する方向に前記レンズとルーフプリズムとを一列に配列させたルーフプリズムレンズアレイと、該ルーフプリズムレンズアレイの前面に該ルーフプリズムレンズの配列ピッチと同じピッチで開口を配置して光量を調節する開口アレイとからなる結像装置において、該開口アレイが、同一形状を有する平板状の2枚の開口アレイ構成部材によって構成され、該各開口アレイ構成部材の開口の設けられた平面同士が直交するように配設され、かつ、一方の開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凹凸部が、他方の開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凸凹部に係合するように配設されていることを特徴とし、対になる開口配列方向の穴位置誤差をなくすようにしたものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凹凸部が、該開口アレイ構成部材の一方の長手方向側部のみに設けられていることを特徴とし、設計の自由度の向上と開口配列ピッチ精度の向上を図ったものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される結像装置の一実施例を説明するための要部構成図で、図中、1はルーフプリズムレンズアレイ、2は開口アレイ、3はルーフプリズムレンズ、4は入光側レンズ、5は結像側レンズ、6は稜線、7,8は平面、9はルーフプリズム部、10,11は開口、12は原稿面、L1,L2は迷光、φ1,φ2は光軸である。
【0014】
図1に示した実施例における結像素子は、ルーフプリズムレンズアレイ1と絞り部材である開口アレイ2とを組み合わせて構成されている。ここに、前記ルーフプリズムレンズアレイ1は、個々に結像系を形成するルーフプリズムレンズ3を1列に配列させることにより構成されている。結像系の最小単位をなす前記ルーフプリズムレンズ3は、光学的に等価な入射側レンズ4と結像側レンズ5と、稜線6を形成する互いに90゜をなす平面7,8を有してこれらのレンズ4,5の双方の光軸の交叉する位置に配置されたルーフプリズム部9とを一体に形成したもので、レンズ4,5の光軸φ1,φ2は直交し、これらの光軸φ1,φ2を含む平面上であって、光軸φ1,φ2が交叉する位置に位置する稜線6は、これらの光軸φ1,φ2に対して45゜傾けられている。よって、ルーフプリズムレンズアレイ1としてのアレイ方向は、稜線6に直交する方向に設定されている。前記開口アレイ2は、前記ルーフプリズムレンズアレイ1におけるレンズ4,5の配列ピッチと等ピッチで開口10,11が形成されたものである。
【0015】
このような構成において、個々の入射側レンズ4の光軸は、ルーフプリズム部9の稜線6を含みアレイ方向に直交する平面上にあって、原稿面からの光情報は、この入射側レンズ4によって平行光となり、対応するルーフプリズム部9に入射する。このルーフプリズム部9内で平面7,8により2回反射された後、稜線6の傾き角(ここでは、45゜)に対して2倍、即ち、90゜だけ折り曲げられて、結像側レンズ5から出射する。この結像側レンズ5によって結像面上に集光結像される。この結像側レンズ5は、入射側レンズ4と同じ集光機能を有する光学的に等価なものであるので、原稿面上の読取位置と対照的な位置に最適な結像面を有している。また、このような結像過程において、各ルーフプリズム部9で2回反射されているため、結像される像は、正立の等倍像となる。この場合、個々のレンズ4,5による単一の有効読取幅分は、それらの配列ピッチ分だけシフトしながら互いにオーバラップさせることで、必要な有効幅をカバーしている。これにより、個々のレンズ4,5の焦点距離を短くすることができ、結像素子としての小型化に寄与する。
【0016】
また、本実施の形態において、図1(D)に示すように、迷光L1,L2があった場合、ルーフプリズム部9で反射する光束として結像光に悪影響を及ぼすが、開口アレイ2が設けられているので、これら迷光L1,L2は開口10(11)の壁面に当たってこのような弊害が確実に防止される。なお、図1(D)では説明を簡単にするため、実際の3次元的な図示ではなく、光学的に等価な2次元状態で図示した。
【0017】
図2は、本発明による結像装置の開口アレイの一実施例を説明するための斜視図で、図中、2a,2bは開口アレイ構成部材、21a,21bは凸部、22a,22bは凹部で、その他、図1に示した実施例と同じ作用をする部分には、図1に示した実施例と同じ符号が付してある。
図3は、開口アレイの開口位置に誤差が生じた場合の光量を説明するための図である。
【0018】
図2に示した実施例は、図2(A),図2(B)に示したように、開口10,11が設けられた平面において、開口10,11の両サイドに同じ形状の凸部21a,22bと凹部22a,22bとを交互に配置した同一形状の開口アレイ構成部材2a,2bにより開口アレイ2を構成したもので、図2(C)に示したように、開口アレイ構成部材2aの開口10の軸方向と開口アレイ構成部材2bの開口11の軸方向とが直交するように配置し、開口アレイ構成部材2aの凹凸部22a,21aと開口アレイ構成部材2bの凸凹部21b,22bとを係合するように構成したものである。
【0019】
上述のように、開口アレイ構成部材2a,2bとして、同一形状の部材を用いることにより、対になる開口10,11の配列方向の位置誤差を小さくすることが可能となる。開口10,11の配列方向の位置誤差が生じた場合、図3(B)に示したように、光量が低下するが、請求項1の発明によれば、開口10,11の配列方向の穴位置誤差が小さいので、図3(A)に示したように光量の低下を抑えることができる。尚、開口アレイ構成部材2a,2bは、例えば、樹脂成形により作成するのが好ましい。
【0020】
図4は、本発明による結像装置の開口アレイの他の実施例を説明するための図で、図4(A),図4(B)は斜視図で、図4(C)は要部構成図で、図中、2c,2dは開口アレイ構成部材、1c,1d,21c,21dは凸部、22c,22d,23c,23dは凹部で、その他、図1に示した実施例と同じ作用をする部分には、図1に示した実施例と同じ符号が付してある。
【0021】
図4に示した実施例は、図4(A),図4(B)に示したように、開口10,11が設けられた平面において、開口10,11の片側サイドに、同じ形状の凸部21c,21dと凹部22c,22dとを交互に配置した同一形状の開口アレイ構成部材2c,2dにより開口アレイ2を構成したもので、図4(c)に示したように、開口アレイ構成部材2cの開口10の軸方向と開口アレイ構成部材2dの開口11の軸方向とが直交するように配置し、開口アレイ構成部材2cの凹凸部22c,21cと開口アレイ構成部材2dの凸凹部21d,22dとを係合するように構成したものである。
【0022】
また、開口アレイ構成部材2c,2d同志が係合するための開口アレイ構成部材2c,2dの凹凸部とは反対側の端部に、例えば、凹部23c,23dを設け、他方、ルーフプリズムアレイ1に凸部1c,1dを設け、これらを係合固定するようにしてもよい。
【0023】
図5,図6は、本発明による結像装置の開口アレイの他の実施例を説明するための図で、図5(A),図6(A)は斜視図で、図5(B),図5(C),図6(B),図6(C)は要部断面図で、図中、2e,2fは開口アレイ構成部材で、その他、図1乃至図4に示した実施例と同じ作用をする部分には、図1乃至図4に示した実施例と同じ符号が付してある。
【0024】
図5および図6に示した実施例は、図5(A),図6(A)に示したように、2列の開口10,11を有する開口アレイ構成部材2e,2fを平板構造にて一体成形し、図5(B),図6(B)に示したように、開口アレイ構成部材2e,2fの中央で折り曲げ、図5(C),図6(C)に示したように、開口10を有する面と開口11を有する面とが直交するようにL字型を形成することにより、開口アレイ部材2を構成するようにしたものである。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明は、光軸が異なる方向に設定されて光学的に等価な集光機能を示す入射側レンズと結像側レンズとを有するレンズと、稜線を形成する互いに90°をなす平面を有してこれらのレンズの双方の光軸を含む平面上であって光軸の交叉する位置に前記稜線が配置されたルーフプリズムとを有し、前記ルーフプリズムの前記稜線に直交する方向に前記レンズとルーフプリズムとを一列に配列させたルーフプリズムレンズアレイと、該ルーフプリズムレンズアレイの前面に該ルーフプリズムレンズの配列ピッチと同じピッチで開口を配置して光量を調節する開口アレイとからなる結像装置において、該開口アレイが、同一形状を有する平板状の2枚の開口アレイ構成部材によって構成され、該各開口アレイ構成部材の開口の設けられた平面同士が直交するように配設され、かつ、一方の開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凹凸部が、他方の開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凸凹部に係合するように配設されているので、同一部材を用いることにより、対になる開口配列方向の穴位置誤差をなくすことが可能である。
【0026】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凹凸部が、該開口アレイ構成部材の一方の長手方向側部のみに設けられているので、ルーフプリズムレンズアレイとの組み合わせのレイアウト設計の自由度が向上し、また、配列ピッチ精度に関しても高精度にあわせることが可能となり、より高品質な読み取りを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される結像装置の一実施例を説明するための要部構成図である。
【図2】 本発明による結像装置の開口アレイの一実施例を説明するための斜視図である。
【図3】 開口アレイの開口位置に誤差が生じた場合の光量を説明するための図である。
【図4】 本発明による結像装置の開口アレイの他の実施例を説明するための図である。
【図5】 本発明による結像装置の開口アレイの他の実施例を説明するための図である。
【図6】 本発明による結像装置の開口アレイの他の実施例を説明するための図である。
【図7】 従来技術による等倍実像結像用の光学系を説明するための要部構成図である。
【符号の説明】
1…ルーフプリズムレンズアレイ、1c,1d,21a,21b,21c,21d…凸部、2…開口アレイ、2a,2b,2c,2d,2e,2f…開口アレイ構成部材、3…ルーフプリズムレンズ、4…入光側レンズ、5…結像側レンズ、6…稜線、7,8…平面、9…ルーフプリズム部、10,11…開口、12…原稿面、22a,22b,22c,22d,23c,23d…凹部、101…レンズアレイ、102…ルーフミラーアレイ、103…ルーフミラーレンズアレイ、104…レンズ、105…稜線、106…ルーフミラー、107…物体面、108…像面、109…光路分離ミラー、L1,L2…迷光、P1…読取位置、P2…結像位置、φ,φ1,φ2…光軸。

Claims (2)

  1. 光軸が異なる方向に設定されて光学的に等価な集光機能を示す入射側レンズと結像側レンズとを有するレンズと、稜線を形成する互いに90°をなす平面を有してこれらのレンズの双方の光軸を含む平面上であって光軸の交叉する位置に前記稜線が配置されたルーフプリズムとを有し、前記ルーフプリズムの前記稜線に直交する方向に前記レンズとルーフプリズムとを一列に配列させたルーフプリズムレンズアレイと、該ルーフプリズムレンズアレイの前面に該ルーフプリズムレンズの配列ピッチと同じピッチで開口を配置して光量を調節する開口アレイとからなる結像装置において、該開口アレイが、同一形状を有する平板状の2枚の開口アレイ構成部材によって構成され、該各開口アレイ構成部材の開口の設けられた平面同士が直交するように配設され、かつ、一方の開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凹凸部が、他方の開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凸凹部に係合するように配設されていることを特徴とする結像装置。
  2. 請求項1に記載の結像装置において、前記開口アレイ構成部材の長手方向側部に設けられた凹凸部が、該開口アレイ構成部材の一方の長手方向側部のみに設けられていることを特徴とする結像装置。
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