JP3661865B2 - 球面形状測定解析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、干渉計装置を用いた球面形状測定解析方法に関し、詳しくは、球面測定用の基準レンズよりも明るい被検球面の全体形状情報を、該被検球面の部分領域ごとの形状情報を合成して求める球面形状測定解析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
干渉計装置を用いて、球面レンズや反射鏡等の被検球面の全体形状を測定する際には球面測定用の基準レンズが用いられるが、被検球面がこの基準レンズの明るさよりも明るい(具体的には、開口数が大きい、F値が小さいあるいは口径が大きいとして表わされる)場合、被検球面の全領域を一度に測定することは原理的に不可能である。そこで、開口合成と称される手法が用いられる。
【0003】
一般に開口合成とは、領域面積の大きな被検体の全領域を部分領域に分割すると共に、隣接する部分領域同士が互いに一部重複するようにしながら各部分領域ごとに測定し、この測定された各部分領域ごとの形状情報を、重複して測定された領域に関する形状情報に基づいて繋ぎ合わせて、被検体の全領域の形状情報を求める手法として知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
干渉計装置を用いた測定解析において、このような開口合成の処理を施すことは、被検体が平面である場合には比較的容易に可能となるが、被検体が球面である場合には球面故の困難性を有している。
【0005】
すなわち、干渉計装置を用いて基準レンズよりも明るい被検球面を測定する場合、被検球面を基準レンズに対して相対的に所定量だけ移動させる毎に、被検球面の各部分領域にそれぞれ対応した各領域別干渉縞画像を撮像することになるが、この各領域別干渉縞画像は、被検球面という所定の曲率を有する3次元空間の情報がCCD等の撮像平面という2次元空間の情報に変換されたものとなっている。また、各領域別干渉縞画像は、それぞれの画像の中心位置が撮像平面の中心位置に対応した画像ともなっている。したがって、各領域別干渉縞画像から得られる各領域別形状情報の一部が同じ領域の形状情報であることが分かっていても、これら各領域別形状情報を、撮像平面の平面座標系において単純に繋ぎ合わせることができない。
【0006】
従来、このような球面の開口合成について記載された文献(特開平2−259509号公報、特開平10−281737号公報等)が知られているが、撮像された各領域別干渉縞画像から得られる各領域別形状情報を、どのようにすれば繋ぎ合わせることが可能となるのかについて、その具体的な記載がされているものはなかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、干渉計装置を用いて球面測定用の基準レンズよりも明るい被検球面の形状を測定解析する場合において、撮像された各領域別干渉縞画像から得られる各領域別形状情報を、確実に繋ぎ合わせることが可能な球面形状測定解析方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明による球面形状測定解析方法は、干渉計装置を用いて、該干渉計装置の球面測定用の基準レンズよりも明るい被検球面の形状を測定解析する方法において、
前記被検球面の光軸と前記基準レンズの光軸とが互いに斜交した状態で、該被検球面を該被検球面の光軸を中心に回転させる回転支持機構を用いて、該被検球面を該被検球面の光軸を中心に所定の回転基準位置に対して回転させながら、前記基準レンズに対して相対的に所定量だけ移動させる毎に、該被検球面の各部分領域にそれぞれ対応した複数の領域別干渉縞画像を撮像平面において撮像し、この撮像された各領域別干渉縞画像から得られる各領域別形状情報を、該被検球面の極座標系と、前記撮像平面の平面座標系と、開口合成用に複数の該平面座標系を共通化するように設定された、2次元のデカルト座標系からなる共通化座標系との対応関係を用いて、該共通化座標系に応じた各領域別合成用形状情報に変換し、該各領域別合成用形状情報に対して開口合成の処理を施して、該被検球面の全体形状情報を求めるものであり、
前記3つの座標系の対応関係は、前記基準レンズの明るさを示す第1の指標と、該基準レンズの入射光束径の大きさを示す第2の指標と、前記被検球面の明るさを示す第3の指標と、該被検球面を該被検球面よりも明るい仮想の基準レンズを用いて観測したと想定した場合における、該被検球面の前記共通化座標系での投映開口径の大きさを示す第4の指標と、前記2つの光軸の交角の大きさを示す第5の指標と、前記被検球面の前記回転基準位置からの回転角の大きさを示す第6の指標とを用いて求めることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、上記「明るい」とは、開口数が大きい、F値が小さいあるいは口径が大きいという意味で用いるものとする。
【0010】
上記本発明において、前記共通化座標系は、前記被検球面に固定の第1のデカルト座標系の各軸と、基準レンズ11に固定の第2のデカルト座標系の各軸とが互いに一致した状態にある時に、前記撮像平面上に投映された画像の開口中心が原点となるように設定されたものとすることができる。
【0011】
上記「斜交した状態」とは、被検球面の光軸と基準レンズの光軸とが互いに傾きを有し、所定の角を成して交差した状態を意味する。
【0012】
また、上記「交角」とは、被検球面の光軸と基準レンズの光軸とが互いに成す角を意味する。
【0013】
本発明において、前記回転支持機構は前記交角の大きさを調整可能とされ、該回転支持機構により調整された該交角の大きさを求め、該求めた交角の大きさを前記第5の指標として用いることとしてもよい。
【0014】
さらに、前記交角の大きさを、前記平面座標系における、前記基準レンズおよび前記被検球面の各光軸中心位置間の距離を示す第7の指標と、前記第1の指標と、前記第2の指標とを用いて求めることとすることができる。
【0015】
また、前記基準レンズの形状情報を予め求めておき、該形状情報を前記全体形状情報の補正に用いるようにしてもよい。
【0016】
さらに、前記各領域別形状情報を前記各領域別合成用形状情報に変換する際、所定の補間法を用いて画素位置の再配列を行なうようにしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態による球面形状測定解析方法を説明するための概略図、図2はその球面形状測定解析方法を実施するための装置の概略構成図である。
本実施形態に係る球面形状測定解析方法は、図2に示すようなフィゾー型の干渉計装置10を用いて、球面測定用の基準レンズ11よりも明るい被検球面12の形状を測定解析するものである。本実施形態方法で用いる干渉計装置10は、基準レンズ11の他に、所定波長の光束を出力するレーザ光源、撮像素子であるCCDを有するTVカメラ等(いずれも不図示)を備えてなり、フリンジスキャンによる干渉縞測定解析が実施可能に構成されている。
【0018】
被検球面12は、3軸調整手段13上に載置された回転支持手段14により保持されている。この回転支持手段14は、傾き調整手段を備えており、それを用いて基準レンズ11の光軸Laと被検球面12の光軸Lbとが互いに斜交した状態、すなわち2つの光軸LaとLbとが所定の角を成して互いに交差した状態で被検球面12を保持すると共に、保持した被検球面12をその光軸Lbを中心として回転させるように構成されている。また、この回転支持手段14の傾き調整機構によって、2つの光軸LaとLbとが成す交角の大きさをその目盛から読み取ることが可能となっている。
【0019】
図1に基準レンズ11と被検球面12との配置関係、および3つのデカルト座標系が示されている。図1に示すように、基準レンズ11(図1では仮想的な主球面を仮想線で示している)と被検球面12とは、基準レンズ11の焦点と被検球面12の曲率中心とが互いに重なるように配置されている。第1のデカルト座標系(x',y',z')は、被検球面12に固定された空間座標系であり、その原点は被検球面12の曲率中心に一致し、そのz'軸は被検球面12の光軸Lbに一致するように設定されている。第2のデカルト座標系(x,y,z)は、基準レンズ11(干渉計装置10)に固定された空間座標系であり、その原点は基準レンズ11の焦点に一致し、そのz軸は基準レンズ11の光軸Laに一致するように設定されている。第3のデカルト座標系(X,Y)は、CCDの撮像面からなる撮像平面15に固定された平面座標系であり、その原点は撮像平面15上に投映された画像開口の中心に一致するように設定されている。なお、第1のデカルト座標系のx'軸および第2のデカルト座標系のx軸は、図1において共に紙面表面側から紙面裏側に向かって延びており、図示されていない。
【0020】
本実施形態方法では、上記3つのデカルト座標系の他に、3つの座標系を設定する。1つ目は、被検球面12に固定された3次元の極座標系(R,θ',φ')である。Rは被検球面12の曲率半径、θ'は上記第1のデカルト座標系のz'軸と成す天頂角、φ'は上記第1のデカルト座標系のx'軸と成す方位角である。2つ目は、基準レンズ11(干渉計装置10)に固定された3次元の極座標系(R,θ,φ)である。Rは被検球面12の曲率半径、θは上記第2のデカルト座標系のz軸と成す天頂角、φは上記第2のデカルト座標系のx軸と成す方位角である。3つ目は、被検球面12が初期状態にある時、すなわち被検球面12に固定の第1のデカルト座標系(x',y',z')の各軸と、基準レンズ11に固定の第2のデカルト座標系(x,y,z)の各軸とが互いに一致した状態にある時に、撮像平面15上に投映された画像の開口中心が原点となるように設定された、2次元のデカルト座標系からなる開口合成用の共通化座標系(X',Y')である。
【0021】
<各座標系の対応関係>
以下、これら各座標系の対応関係について詳述する。まず、各座標系の対応関係を求めるために用いる6つの指標について説明する。第1の指標Fは、上記基準レンズ11の明るさを示すF値、第2の指標Dは、この基準レンズ11の入射光束径(上記第3のデカルト座標系(X,Y)での投映開口径)の大きさである。第3の指標F'は、上記被検球面12の明るさを示すF値、第4の指標D'は、この被検球面12の入射光束径(上記初期状態にある時(θ=0の時)の被検球面12を、この被検球面12よりも明るい仮想の基準レンズを用いて観測したと想定した場合における、被検球面12の上記共通化座標系(X',Y')での投映開口径)の大きさである。第5の指標θは、基準レンズ11の光軸Laと被検球面12の光軸Lbとの成す交角の大きさ、第6の指標φは、被検球面12の回転基準位置(最初の測定解析位置)からのz'軸を中心とした回転角の大きさである。
【0022】
次に、これら6つの指標を用いて、被検球面12の極座標系(R,θ',φ')と、撮像平面15の平面座標系(上記第3のデカルト座標系(X,Y))と、開口合成用に設定された共通化座標系(X',Y')との対応関係を、以下の手順により求める。
まず、被検球面12に固定された第1のデカルト座標系(x',y',z')と極座標系(R,θ',φ')との対応関係は下式(1)で表わされる。
【0023】
【数1】
Figure 0003661865
【0024】
次に、被検球面12の光軸Lb(z'軸)と基準レンズ11の光軸La(z軸)とが、第5の指標θの交角を成して斜交し、また、被検球面12を回転基準位置(最初の測定解析位置)に対し、被検球面12の光軸Lbを中心に第6の指標φ分回転させた場合、被検球面12に固定された第1のデカルト座標系(x',y',z')と、基準レンズ11に固定された第2のデカルト座標系(x,y,z)との関係は、第1のデカルト座標系(x',y',z')の各軸と第2のデカルト座標系(x,y,z)の各軸とが互いにそれぞれ一致した状態の時の被検球面12を、まずx'軸を中心としてz'軸からy'軸の方向へφ回転させ、次に、この回転後のz'軸を中心としてx'軸からy'軸の方向へθ回転させた場合、下式(2)で示すことができる。
【0025】
【数2】
Figure 0003661865
【0026】
次いで、被検球面12に固定された第1のデカルト座標系(x',y',z')と、基準レンズ11に固定された極座標系(R,θ,φ)との対応関係は、以下のようになる。
すなわち、まず、基準レンズ11に固定された第2のデカルト座標系(x,y,z)と極座標系(R,θ,φ)との関係より、下式(3)が成り立つ。
【0027】
【数3】
Figure 0003661865
【0028】
上式(3)のzを第1のデカルト座標系(x',y',z')で表わすと、上式(2)から、下式(4)が成り立つので、下式(5)が求まる。
【0029】
【数4】
Figure 0003661865
【0030】
また、下式(6)に、上式(2)を代入すると、下式(7)が求まる。
【0031】
【数5】
Figure 0003661865
【0032】
よって、下式(8)が求まる。
【0033】
【数6】
Figure 0003661865
【0034】
上式(5)、(8)により、基準レンズ11に固定の極座標系(R,θ,φ)と、被検球面12に固定の第1のデカルト座標系(x',y',z')との対応関係を表わすことができる。
【0035】
次に、撮像平面15の平面座標系(X,Y)において、原点からの距離をrとし、基準レンズ11の焦点距離をfとすると、下式(9)が成り立つ。
【0036】
【数7】
Figure 0003661865
【0037】
ここで、基準レンズ11のF値である第1の指標Fと、平面座標系(X,Y)上での基準レンズ11の入射光束径である第2の指標Dとを用いた場合、下式(10)が成り立つため、下式(11)の関係が求まる。
【0038】
【数8】
Figure 0003661865
【0039】
また、平面座標系(X,Y)と基準レンズ11の極座標系(R,θ,φ)との関係から、下式(12)が成り立つので、これに上式(11)を代入すると、下式(13)が求まる。
【0040】
【数9】
Figure 0003661865
【0041】
上式(13)に、上式(5)、(8)を代入すれば、撮像平面15の平面座標系(X,Y)と、被検球面12の極座標系(R,θ',φ')との対応関係を、第1の指標F、第2の指標D、第5の指標θ、および第6の指標φを用いて表示できる。
【0042】
次に、撮像平面15の平面座標系(X,Y)と、上記共通化座標系(X',Y')との対応関係を求める。被検球面12のF値である第3の指標F'と、被検球面12の共通化座標系(X',Y')上での入射光束径である第4の指標D'を用いると、上式(13)より、下式(14)が成り立つ。
【0043】
【数10】
Figure 0003661865
【0044】
上式(14)より、被検球面12の第1のデカルト座標系(x',y',z')と共通化座標系(X',Y')との対応関係は、下式(15)が成り立つことにより、また、上式(1)より下式(16)で表わせる。
【0045】
【数11】
Figure 0003661865
【0046】
ここで、この(16)式、つまり共通化座標系(X',Y')で表わした第1のデカルト座標系(x',y',z')を、上式(5)、(8)にそれぞれ代入すると、下式(17)、(19)が得られ、最終的に下式(18)、(20)が求まる。
【0047】
【数12】
Figure 0003661865
【0048】
ここで求めた、上式(18)と(20)の結果を上式(13)に代入することにより、撮像平面15の平面座標系(X,Y)と共通化座標系(X',Y')との対応関係を求めることができる。
【0049】
以下では、上述したようにして求めた各座標系の対応関係を用いて開口合成処理を行なう、本実施形態方法の測定解析手順について説明する。
【0050】
<測定解析手順>
〈1〉被検球面12の光軸Lbと基準レンズ11の光軸Laとが互いに斜交した状態となるよう被検球面12を回転支持手段14にホールドし、3軸調整手段13を調整して干渉縞を生じさせる。このとき、被検球面12の光軸Lbと基準レンズ11の光軸Laとの交角の大きさθは、回転支持手段14が備えた傾き調整機構の目盛を読んで設定する。また、θをどの角度に設定するかについては、被検球面12の全領域を測定可能とすることを条件に、予め計算により求めておく。
【0051】
〈2〉〈1〉で設定された状態において、フリンジスキャン測定を行ない、被検球面12の所定の部分領域に対応した領域別干渉縞画像を撮像する。
〈3〉回転支持手段14により被検球面12をその光軸Lbを中心に、角度φだけ回転させる。この回転角度φについても、所定の撮像回数によって被検球面12の全領域を測定可能となるように、予め計算により求めておく。
【0052】
〈4〉3軸調整手段13を調整して干渉縞を生じさせる。
〈5〉2度目のフリンジスキャン測定を行ない、被検球面12の他の部分領域に対応した他の領域別干渉縞画像を撮像する。
〈6〉回転支持手段14をその光軸Laを中心にさらに角度φ分回転させる。
〈7〉被検球面12の全領域を測定するまで、上記手順〈4〉から〈6〉を繰り返す。
【0053】
〈8〉撮像した各領域別干渉縞画像から各領域別形状情報を得、この得られた各領域別形状情報に対し、最小二乗法により、傾きエラーやフォーカス位置に依存するエラーに関する傾きパワー成分を除去する。
〈9〉各領域別形状情報を、上述した各座標系の対応関係を用いて、上記撮像平面15の平面座標系(X,Y)から上記の共通化座標系(X',Y')に応じた各領域別合成用形状情報に変換する。
【0054】
〈10〉共通化座標系(X',Y')において、各領域別合成用形状情報の領域的に重なった部分を最小二乗法により繋ぎ合わせる、開口合成の処理を施して、被検球面12の全体形状情報を求める。
〈11〉求めた開口合成後の全体形状情報に対し、最小二乗法により、傾きパワー成分の除去を行なう。
【0055】
このような測定解析手順により求められた被検球面12の全体形状情報についての出力画像の一例を図3に示す。用いた被検球面12は、開口数0.9715のものであり、図中の太線で表わされた円はF値0.7の領域を示している。また、図中の放射状の線は、被検球面12の光軸中心で直交する線を示している。
【0056】
なお、上記手順〈9〉において、各領域別形状情報を撮像平面15の平面座標系(X,Y)から共通化座標系(X',Y')に応じた各領域別合成用形状情報に変換する際には、画素位置の再配列のための補間処理を行なう。この補間方法としては、例えば、平面座標系(X,Y)に関しては、512×512の整数値の画素配列とし、共通化座標系(X',Y')に関しては、1024×1024の整数値の画素配列とした場合、次のように行なう。
【0057】
共通化座標系(X',Y')上の所定の座標(X',Y')においての形状情報F'(X',Y')を求めるために、この座標(X',Y')を逆変換すると、平面座標系(X,Y)上の対応座標(X1f,Y1f)が求まる。ただし,ここで、X1f,Y1fは、整数ではないので、この小数部分を切り捨てて整数にして、これを座標(X1i,Y1i)とする。この座標(X1i,Y1i)に対応する形状情報を、F(X1i,Y1i)とすれば、これに対して、F(X1i+1,Y1i)、F(X1i,Y1i+1)、F(X1i+1,Y1i+1)が分かり、また、これらの3つの座標とF(X1i,Y1i)で囲まれた中にF(X1f,Y1f)が存在することも分かるので、これらF(X1i+1,Y1i)、F(X1i,Y1i+1)、F(X1i+1,Y1i+1)によって補間処理を行なうことにより、F(X1i,Y1i)が求まる。このF(X1i,Y1i)が、F'(X',Y')となる。
【0058】
また、基準レンズ11の形状を予め求めておき、この基準レンズ11の形状情報を被検球面12の全体形状情報の補正に用いるようにしてもよい。なお、基準レンズ11の形状を求める方法としては、例えば、特開平5−240626号公報に記載されているような3面合わせ方法を、球面レンズの場合に応用して用いることができる。
【0059】
また、上記測定解析手順においては、被検球面12の光軸Lbと基準レンズ11の光軸Laとの交角の大きさθは、回転支持手段14が備えた傾き調整機構の目盛を読んで求めるようにしているが、被検球面12の光軸中心位置が、基準レンズ11の光軸中心位置と共に、各領域別干渉縞画像中に含まれている場合には、この交角の大きさθを、平面座標系(X,Y)における基準レンズ11の光軸中心位置と、被検球面12の光軸中心位置との距離を示す第7の指標rと、基準レンズ11のF値である第1の指標Fと、基準レンズ11の平面座標系(X,Y)における入射光束径を示す第2の指標Dとを用いて、以下に示す計算手順により求めることができる。
【0060】
すなわち、上記交角の大きさθ、第7の指標r、第1の指標Fおよび第2の指標Dとの間には下式(21)の関係が成り立つので、θが未知だとしても、基準レンズ11の光軸中心位置と、被検球面12の光軸中心位置との距離rが既知となれば、下式(22)の関係より、θを求めることができる。
【0061】
【数13】
Figure 0003661865
【0062】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明による球面形状測定解析方法によれば、被検球面の各部分領域にそれぞれ対応した各領域別干渉縞画像から得られる各領域別形状情報を、被検球面の極座標系と、撮像平面の平面座標系と、開口合成用に設定された共通化座標系との対応関係を用いて、共通化座標系に応じた各領域別合成用形状情報に変換し、この各領域別合成用形状情報に対して開口合成の処理を施して、被検球面の全体形状情報を求めるようにしているので、各領域別形状情報を確実に繋ぎ合わせることが可能となり、これにより、基準レンズよりも明るい被検球面の全体形状を精度良く求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る球面形状測定解析方法を説明する概略図
【図2】本発明の一実施形態に係る球面形状測定解析方法を実施する装置の概略構成図
【図3】被検球面の測定解析結果の一例を示す図
【符号の説明】
10 干渉計装置
11 基準レンズ
12 被検球面
13 3軸調整手段
14 回転支持手段
15 撮像平面
La 基準レンズの光軸
Lb 被検球面の光軸
F 第1の指標
D 第2の指標
F’ 第3の指標
D’ 第4の指標
θ 第5の指標
φ 第6の指標
第7の指標

Claims (7)

  1. 干渉計装置を用いて、該干渉計装置の球面測定用の基準レンズよりも明るい被検球面の形状を測定解析する方法において、
    前記被検球面の光軸と前記基準レンズの光軸とが互いに斜交した状態で、該被検球面を該被検球面の光軸を中心に回転させる回転支持機構を用いて、該被検球面を該被検球面の光軸を中心に所定の回転基準位置に対して回転させながら、前記基準レンズに対して相対的に所定量だけ移動させる毎に、該被検球面の各部分領域にそれぞれ対応した複数の領域別干渉縞画像を撮像平面において撮像し、この撮像された各領域別干渉縞画像から得られる各領域別形状情報を、該被検球面の極座標系と、前記撮像平面の平面座標系と、開口合成用に複数の該平面座標系を共通化するように設定された、2次元のデカルト座標系からなる共通化座標系との対応関係を用いて、該共通化座標系に応じた各領域別合成用形状情報に変換し、該各領域別合成用形状情報に対して開口合成の処理を施して、該被検球面の全体形状情報を求めるものであり、
    前記3つの座標系の対応関係は、前記基準レンズの明るさを示す第1の指標と、該基準レンズの入射光束径の大きさを示す第2の指標と、前記被検球面の明るさを示す第3の指標と、該被検球面を該被検球面よりも明るい仮想の基準レンズを用いて観測したと想定した場合における、該被検球面の前記共通化座標系での投映開口径の大きさを示す第4の指標と、前記2つの光軸の交角の大きさを示す第5の指標と、前記被検球面の前記回転基準位置からの回転角の大きさを示す第6の指標とを用いて求めることを特徴とする球面形状測定解析方法。
  2. 前記回転支持機構は前記交角の大きさを調整可能とされ、該回転支持機構により調整された該交角の大きさを求め、該求めた交角の大きさを前記第6の指標として用いることを特徴とする請求項1記載の球面形状測定解析方法。
  3. 前記交角の大きさを、前記平面座標系における、前記基準レンズおよび前記被検球面の各光軸中心位置間の距離を示す第7の指標と、前記第1の指標と、前記第2の指標とを用いて求めることを特徴とする請求項1または2記載の球面形状測定解析方法。
  4. 前記基準レンズの形状情報を予め求めておき、該形状情報を前記全体形状情報の補正に用いることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の球面形状測定解析方法。
  5. 前記各領域別形状情報を前記各領域別合成用形状情報に変換する際、所定の補間法を用いて画素位置の再配列を行なうことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の球面形状測定解析方法。
  6. 前記共通化座標系は、前記被検球面に固定の第1のデカルト座標系の各軸と、基準レンズ11に固定の第2のデカルト座標系の各軸とが互いに一致した状態にある時に、前記撮像平面上に投映された画像の開口中心が原点となるように設定されたものであることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の球面形状測定解析方法。
  7. 前記撮像平面の前記平面座標系(X,Y)と、前記共通化座標系(X',Y')との対応関係は、下式(A),(B)で求められるθ,φを、下式(C)に代入することにより求めることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載の球面形状測定解析方法。
    Figure 0003661865
    ここで、θは前記基準レンズに固定された3次元の極座標系において、前記第2のデカルト座標系のz軸と成す天頂角、φは該極座標系において、前記第2のデカルト座標系のx軸と成す方位角、Fは前記第1の指標(前記基準レンズのF値)、Dは前記第2の指標、F'は前記第3の指標(前記被検球面のF値)、D'は前記第4の指標、θは前記第5の指標、φは前記第6の指標をそれぞれ示す。
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