JP3661660B2 - 杭を列設する工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術的分野】
本発明は、油圧式(液圧式全般を含む)杭圧入引抜機によって、例えば鋼板等からなる杭の天端をグランドレベル付近、もしくは、グランドレベルよりも下方の所定深度まで圧下して、該杭の全長を地中に埋没せしめて打設する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現行の杭打機の主流は振動式と圧入式とである。杭を地盤中に貫入させる能力に関しては一般に振動式の方が強力であるが、低振動低騒音という面については圧入式が優れている。この圧入式杭打機は油圧シリンダの伸縮力によって杭を地中へ圧入するように構成されているが、杭を引き抜く作用も果たすので、丁寧にいうときは杭圧入引抜機、もしくは杭打抜機と呼ばれている。
図10は油圧式の杭打抜機の公知例を示し、杭を並べて地中に打設している状態の模式図である。
杭打抜機本体1は、走行台1a上に搭載されている。
クランプ2は既設の杭3を把持し、走行台1aを介して杭打抜機本体1を支持する。この走行台1aはクランプ2に対して往復矢印F−R方向に移動できる構造である。
符号4を付して示した打抜シリンダは、ピストンロッド4aを下方に向けてほぼ垂直姿勢に配置されていて、杭打抜機本体1に設けられたガイド(マストとも呼ばれる)1bにより、昇降可能に支持されている。
上記打抜シリンダ4が昇降動し得るように、作動油は油圧ホース4bを介して供給される。
作業対象である杭6を把持するチャック5は、回転機構5aを介して把持爪5bを備えていて、前記の打抜シリンダ4に対して固定的に連結されている。
前記ピストンロッド4aは、その先端を杭打抜機本体1の二又アーム1dに対して軸着されている。これにより、該ピストンロッド4aが収縮する打抜シリンダ4はチャック5と共に下降して作業対象杭6を地中に圧入する。また、該ピストンロッド4aが伸長すると、作業対象杭6は地中から引き抜かれる。
説明の便宜上、本図10に示したように直交3軸X,Y,Zを想定する。
先に述べた走行台1aの移動方向F−RはX軸と一致している。すなわち、杭打抜機本体1に対して打抜シリンダ4が配置されている方向をF(前)とし、その反対がR(後)であって、このX軸は水平軸である。そしてZ軸は垂直軸である。X,Z両軸に直交するY軸方向を横方向と呼ぶ。
本例の杭打抜機(図10)においては旋回機構1cが設けられていて、既設杭3を把持しているクランプ2に対してチャック5をz′−z′周りに回動させることができる。
【0003】
図11は、前掲の図10に示された公知例の杭打抜機を用いて多数の杭を並べ打設している状態を説明するための模式図であって、(A)は多数の杭のそれぞれの天端をグランドレベルGLから上方に突出せしめて打設している状態を、(B)は多数の杭のそれぞれの天端をグランドレベルGLに揃えて打設している状態を描いてある。
(図11(A)参照)この従来例の工法では、クランプ2によって既設杭3の上端部を把持して本体1を支持しなければならないので、該既設杭3の天端をグランドレベルよりも上方へ寸法Hだけ突出せしめておかねばならない。これらの杭にNo1〜の番号を付してあるのは、後に作業工程を説明するときの便宜のためである。
既設杭3が、その頂部をグランドレベルGLよりも寸法Hだけ上方へ突出せしめていることについて、もう一つの理由が有る。本図11(A)の状態から打抜シリンダ4を収縮させてチャック5を下降せしめて作業対象杭6を地中に圧入する場合、把持爪5bが地表に当接して下降を阻止されたとき、「該把持爪5bによって把持されている作業対象杭6の上端付近」はグランドレベルGLよりも上方に取り残され、それ以上の圧入ができない。
このように、打設された杭の上端付近がグランドレベルGL上に突出している部分の長さ寸法Hは、二通りの意味(クランプ2の掴み代と、チャック5の掴み代)を有している。
【0004】
従来技術を適用して、杭の天端がグランドレベルと同じくなるように打設しようとすると、図11(B)に示されているように、深さ寸法Hの布掘りをしなければならない。すなわち、杭の打設予定地域を予め深さ寸法Hに掘り下げておけば、この掘り下げられたレベルよりも寸法Hだけ上方に突出した杭の天端は、ほぼ本来のグランドレベルGLに位置することになる。
以上は、杭の天端をグランドレベル(自然地表面)GLと揃えて打設する場合について述べたが、杭の天端がグランドレベルGLの上方へ突出している寸法をH未満ならしめようとする場合にも布掘りが必要となる。
また、杭の天端がグランドレベルGLよりも寸法hだけ低くしようとした場合は、深さ寸法h+Hだけ布掘りしなければならない。このため、布掘りの土工量が大きくなる。
【0005】
以上に説明した従来技術の不具合を解消して、布掘りする必要無く、杭の天端をグランドレベルに揃えて打ち込むため、図12および図13に示す技術が有効である。この技術は本発明者らが創作して別途出願中の未公知の先願(特願2000−379788号)である。
図12および図13は、No1〜No8の8本の杭を、前記未公知の先願に係る発明を用いて、その天端をグランドレベルGLに揃えて打ち込んだ1例を示している。
図12(A)の状態は、打設目的である8本の杭No1〜No8を杭打抜機の本体1によって地中に圧入した作業の末期であって、No1〜No8はグランドレベルGLまで打ち込まれている。しかしNo6,No7,No8の3本はグランドレベルGLよりも寸法Hだけ突出していて、クランプ2を介して杭打抜機本体1を支持している。
上記の、突出している3本の杭(No6〜8)をグランドレベルGLまで圧入するため、打設目的である8本の杭以外に、ダミー杭Aおよびダミー杭Bを打設する。
そして、図12(B)のように杭打抜機本体1をダミー杭A,同Bの上に自走させて、リヤシリンダ7で杭No7をグランドレベルGLまで圧し下げる。
【0006】
図示を省略するが、図12(B)の状態から、さらに矢印F方向に杭1本分自走させ、ダミー杭Aとダミー杭Bとの2本で杭打抜機本体1を支持して、8本目の杭No8の天端がグランドレベルGLに揃うように圧入する。
このようにして作業目的である杭の8本をグランドレベルGLに揃えて打ち込み終えると、図13に示したように、クランプ2で反力架台9を把持して杭打抜機本体1を支持して、余分に打ち込んだダミー杭Aおよびダミー杭Bを引き抜く。
上記の反力架台9は、杭を列設する場合の最初の杭を圧入する反力を支持するために用いられる公知の器具である。
以上の操作によって、多数の杭の天端をグランドレベルGLに揃えて列設することができる。図12,図13の実施例では、自然地表に対して杭の天端を揃えたが、この技術を利用すると、自然地表よりも低いレベルに天端を揃えて杭を列設することもできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図12,図13を参照して説明した未公知の先願に係る発明によれば、油圧式の杭圧入引抜機を用いて、作業対象杭の天端がグランドレベルもしくは布掘りレベルに揃うように圧入し、または、該作業対象杭の天端がグランドレベルもしくは布掘りレベルよりも低くなるように圧入して、該作業対象杭の全長を地中に打設することができるという優れた実用的効果を奏する。
この先願に係る発明を従来技術に比較すると、
a.布掘りに関連する土工量を著しく減少せしめることができる代りに、
b.ダミー杭を打ち込み,引き抜くという作業が増える。
そこで本発明者らは前記先願に係る発明を更に改良して、ダミー杭の打ち込み・引き抜き作業を不要ならしめ、かつ、先願発明と同程度に布掘り土工量を減少せしめた。
ここに、土工量を減少せしめる程度は次のとおりである。
イ.打ち込まれた杭の天端位置が自然地表(グランドレベル)から上方に突出する寸法が、H(クランプやチャックの掴み代)以下の場合は布掘り不要。
ロ.打ち込まれた杭の天端位置を自然地表よりも寸法hだけ低くする場合は、布掘り深さhだけで足りる。
(注)従来技術では、この場合の布掘り深さがh+H(掴み代)である。
なお、比較的硬質の地盤に杭を圧入する際は、単に杭を押し下げるだけではなく、圧入したり引き抜いたりする作業を繰り返して2進1退しながら圧入しなければならない場合が非常に多い。
従って、本発明においては、引き抜きも可能な技術を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するために創作した本発明の基本的原理について、先願の発明に対応する図12と、本発明に対応する図1とを参照して略述すると次のごとくである。
図12(A)において先願の発明では、8本の杭を打ち込んで、その中で最後の3本を残して残り6本をリヤシリンダ7によって所望のレベルまで圧入した。本発明においても、ここまでは同じである。すなわちN本の杭を列設する場合最後のn本を残して、N−n本の杭の天端をリヤシリンダ7で所望のレベルまで圧し下げる。
こうして残ったn本(本例では3本)の杭が、所望のレベルよりも寸法Hだけ上方へ突出している。このn本の始末が最後の関門である。
先願発明では図12(A)でダミー杭A,Bを打ち、このダミーA,Bを利用して図12(B)のようにリヤシリンダ7で前記の残りn本(3本)の杭を1本ずつ圧し下げた。
本発明では、ダミー杭A,Bを打ち込まない。その代り、図1のように、最後のn本(3本)に隣接するn本(3本)の杭にクランプキーパー8を装着する。このクランプキーパーとは、既設杭3の上端部を把持する機能と、クランプ2によって把持される部分とを有する新規な器具である。
上記クランプキーパー8をクランプ2で把持して杭打抜機本体1を支承し、かつ、該クランプキーパーで反力を支持して、リヤージャッキ12で最後のn本(3本)の杭を1本ずつ所望レベルまで圧し下げる。
本発明(図1)におけるリヤージャッキ12は、先願発明におけるリヤシリンダ7と同様ないし類似の構成機器である。杭打抜シリンダ4が伸長力を利用して杭を引き抜き収縮力を利用して杭を圧入する復動的作用を果たすと同様に、符号12の機器は杭を押し下げるだけでなく、引き抜きも可能である。
【0009】
以上に説明した原理に基づいて、請求項1に係る発明工法の構成は、作業対象杭(図10において符号6)を把持するチャック(5)と、
既設杭(3)を把持して前記作業対象杭の反力を支持するクランプ(2)と、を有し、該クランプが既設杭の頂部を把持するに必要な掴み代の寸法がHである杭打抜機を用いて、
打設された杭の地上突出長さ寸法をHよりも小ならしめて、多数の杭を列設する方法において、
上述の構成機器の他にリヤージャッキをも備えた杭打抜機を用い、
a.列設すべき多数の杭の内の最初のN本(ただし、Nは2,3,または4)を、反力架台を用い、かつ、杭の天端を地面から寸法約H突出させて打設し、
b.打設したN本の杭をクランプで把持して杭打抜機の本体を支持しつつ、チャックで把持した作業対象杭を、杭打抜シリンダの伸縮力によって1本ずつ順次に、突出寸法約Hで打設し、
c.N+1本目以降の杭を順次に打設しつつ、新たに打設した杭の上に杭打抜機本体を自走させながら、通過した既設杭を前記のリヤージャッキで地中へ圧入して、該既設杭の地上突出寸法を減少せしめ、
d.打設すべき多数の杭を一通り列設して、最後に打設したn本の杭の頂部が寸法約Hだけ地上に突出し、その他の杭の地上突出高がH未満の状態ならしめ、(ただし、n≦N)、
e.前記n本の杭をクランプして支持されていた杭打抜機本体を、該n本の杭から取り外して一時的に退避させ、または該n本の杭の上で休止させておき、
f.上記n本の杭に隣接しているN本の杭の上に「杭の頂部を把持する機能を有するクランプキーパー(8)」を装着し、
g.上記クランプキーパーの上端部を、前記杭打抜機のクランプで把持することによって該杭打抜機をクランプキーパー上に一時的に設置し、
h.杭打抜機に設けられているリヤージャッキによって、寸法約Hだけ突出していたn本の杭を地中に圧入して、その地上突出寸法を減少せしめることを特徴とする。
【0010】
以上に説明した請求項1の発明工法によると、列設すべきN本の杭の天端を、所望の位置よりも寸法H(チャックおよびクランプの掴み代)だけ高く打設した後、
最後のn本を除くN−n本の杭の天端を、リヤージャッキによって所望のレベルまで圧し下げ、
さらに、押し下げられた既設杭の上にクランプキーパーを介して杭打抜機本体を支承した状態で、最後のn本をリヤージャッキによって所望のレベルまで圧下することにより、
上記所望のレベルよりも下方まで布掘りすることを要しないで、N本の杭全部の天端を該所望レベルに揃えて圧入,打設することができ、布掘りに関連する土工量を極限的に減少させることができる。
【0011】
請求項2に係る発明工法の構成は、作業対象杭(図10において符号6)を把持するチャック(5)と、
上記チャックを上下に駆動する杭打抜シリンダ(4)と、
既設杭(3)を把持して前記作業対象杭の反力を支持するクランプ(2)と、を有し、該クランプが既設杭の頂部を把持するに必要な掴み代の寸法がHである杭打抜機を用いて、
打設された杭の地上突出長さ寸法をHよりも小ならしめて、多数の杭を列設する方法において、
前記のチャックを支持している杭打抜機本体部分が、クランプに対して垂直軸周りに旋回可能な杭打抜機を使用し、
a.列設すべき多数の杭の内の最初のN本(ただし、Nは2,3,または4)を、反力架台を用い、かつ、杭の天端を地面から寸法約H突出させて打設し、
b.打設したN本の杭をクランプで把持して杭打抜機の本体を支持しつつ、チャックで把持した作業対象杭を、杭打抜シリンダの伸縮力によって1本ずつ順次に、突出寸法約Hで打設し、
c.N+1本目以降の杭を順次に打設しつつ、新たに打設した杭の上に杭打抜機本体を自走させながら、杭1本分を自走前進するごとに、杭打抜機を180度旋回させてチャックを後方に向け、該チャックで既設杭を把持することなく既設杭の天端を圧下して、その地上突出寸法を減少せしめ、
d.打設すべき多数の杭を一通り列設して、最後に打設したn本の杭の頂部が寸法約Hでけ地上に突出し、その他の杭の地上突出高がH未満の状態ならしめ、(ただし、n≦N)、
e.前記n本の杭をクランプして支持されていた杭打抜機本体を、該n本の杭から取り外して一時的に退避させ、または該n本の杭の上で休止させておき、
f.上記n本の杭に隣接しているN本の杭の上に「杭の頂部を把持する機能を有するクランプキーパー(8)」を装着し、
g.上記クランプキーパーの上端部を、前記杭打抜機のクランプで把持して、該杭打抜機をクランプキーパー上に一時的に設置し、
h.寸法約Hだけ地上に突出しているn本の杭を、杭打抜機のチャックで把持することなく、該チャックの下端部をn本の杭の内の1本の天端に当接せしめ、もしくは両者の間に、前記クランプキーパーと別体のアダプタ(10)を介装して、
クランプキーパーによって反力を支持しつつ、前記杭打抜シリンダの伸縮力によって、上記n本の杭を1本ずつ地中に圧入して地上突出寸法を減少せしめることを特徴とする。
【0012】
以上に説明した請求項2の発明工法によると、一旦所望レベルよりも寸法Hだけ上方に突出せしめて打設した杭をチャックによって所望レベルまで圧し下げるので、リヤージャッキを備えていない杭打抜機によっても実施することができ、請求項1におけると同様に布掘り土工量を著しく減少させることができる。
【0013】
請求項3に係る発明工法の構成は、作業対象杭(図10において符号6)を把持するチャック(5)と、
上記チャックを上下に駆動する杭打抜シリンダ(4)と、
既設杭(3)を把持して前記作業対象杭の反力を支持するクランプ(2)と、を有し、該クランプが既設杭の頂部を把持するに必要な掴み代の寸法がHである杭打抜機を用いて、
打設された杭の地上突出長さ寸法をHよりも小ならしめて、多数の杭を列設する方法において、
上述の構成機器の他にリヤージャッキをも備えた杭打抜機を用い、
a.列設すべき多数の杭の内の最初のN本(ただし、Nは2,3,または4)を、反力架台を用い、かつ、杭の天端を地面から寸法約H突出させて打設し、
b.打設したN本の杭をクランプで把持して杭打抜機の本体を支持しつつ、チャックで把持した作業対象杭を、杭打抜シリンダの伸縮力によって1本ずつ順次に、突出寸法約Hで打設し、
c.N+1本目以降の杭を順次に打設しつつ、新たに打設した杭の上に杭打抜機本体を自走させながら、通過した既設杭を前記のリヤージャッキで地中へ圧入して、該既設杭の地上突出寸法を減少せしめ、
d.打設すべき多数の杭を一通り列設して、最後に打設したn本の杭の頂部が寸法約Hだけ地上に突出し、その他の杭の地上突出高がH未満の状態ならしめ、(ただし、n≦N)、
e.前記n本の杭をクランプして支持されていた杭打抜機本体を、該n本の杭から取り外して一時的に退避させ、または該n本の杭の上で休止させておき、
f.上記n本の杭に隣接しているN本の杭の上に「杭の頂部を把持する機能を有するクランプキーパー(8)」を装着し、
g.上記クランプキーパーの上端部を、前記杭打抜機のクランプで把持することによって該杭打抜機をクランプキーパー上に一時的に設置し、
h.寸法約Hだけ地上に突出しているn本の杭を、杭打抜機のチャックで把持することなく、該チャックの下端部をn本の杭の内の1本の天端に当接せしめ、もしくは両者の間に、前記クランプキーパーと別体のアダプタ(10)を介装して、
クランプキーパーによって反力を支持しつつ、前記杭打抜シリンダの伸縮力によって、上記n本の杭を1本ずつ地中に圧入して地上突出寸法を減少せしめることを特徴とする。
以上に説明した請求項3の発明工法によっても、請求項1の発明方法におけると同様に布掘り土工量を著しく減少させることができる上に、打設すべき多数の杭の内の最後のn本を、リヤージャッキでなく杭打抜シリンダで圧下するので、リヤージャッキよりも大きい押圧力で該n本の杭を圧入することができ、硬質の地盤においても容易に作業を遂行することができる。
【0014】
請求項4に係る発明工法の構成は、前記請求項1の発明工法の構成要件に加えて、前記a項の工程で最初のN本の杭を打設する際に用いた反力架台を杭打作業現場付近に保管しておき、
前記e項の工程で杭打抜機本体を一時的に退避させる際、該杭打抜機本体を前記の反力架台に搭載しておくことを特徴とする。
以上に説明した請求項4の発明工法によると、請求項1におけるf項の工程でクランプキーパーを「n本の杭に隣接している杭」に装業する作業に際して杭打抜機本体が邪魔にならず、かつ該杭打抜機本体が安定して保持されて不測の事故を招く虞れが無くて安全である。
【0015】
請求項5に係る発明工法の構成は、前記請求項1ないし請求項5の発明工法の構成要件に加えて、杭の天端がグランドレベルと等しくなるように打設しなければならない場合、
杭を列設すべき法線に沿って布掘りすることなく、最初のN本を打設するa項の工程を開始し、
前記cの工程において既設杭の天端がグランドレベルと等しくなるまで圧入し、かつ、前記hの工程においてn本の杭の天端がグランドレベルと等しくなるまで圧入することを特徴とする。
以上に説明した請求項5の発明工法によると、まったく布掘りを施工することなく、杭の天端をグランドレベルに揃えて打設することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の1実施形態について図面を参照しつつ説明する。工程順の図番は、図2、図3,図4,図5,図1となる。
この実施形態は(図2参照)グランドレベル(自然地表)GLよりも寸法hだけ低いレベルgLに杭の天端を揃えて打ち込むものであって、上記の寸法hは、図示の寸法Hよりも大きい。この寸法Hは先に述べたように、クランプ2による掴み代であり、またチャック5による掴み代でもある。
杭の圧入に先立って、深さ寸法だけ布掘りする。従って、前記の「杭の天端を揃えるべきレベルgL」は布掘りレベルでもある。
図2(A)の段階では、クランプ2によってNo1〜No3の3本の既設杭3を把持して杭打抜機本体1を支持し、チャック5で把持したNo4の杭を作業対象杭6として地中へ圧入しつつある。
図示を省略したが、本図3(A)の前工程において、従来技術と同様に、反力架台を用いてNo1〜No3の3本の杭を地中へ圧入した。
図2(A)のようにしてNo4の杭を打ち終えると、同図2(B)に示したように走行台1aを前進方向(矢印F)に伸長させてNo5の杭を打つ。この段階では、未だ杭の天端が目標のレベルgLよりも寸法Hだけ上方へ突出している。図2(B)で打ち終えたNo5の杭で杭打抜機本体1の重力荷重を支承しつつ、公知の技法で杭1本分だけ自走操作すると図3(A)のようになる。
この状態でリヤージャッキ12を伸長させると、同図3(B)のようにNo1の杭の天端が目標のレベルgLまで圧し下げられる。
このようにして、前進(矢印F)方向の自走とリヤージャッキ12による圧下とを繰り返すと、No2の杭、No3の杭…が順次に、レベルgLに天端を揃えるように圧し下げられてゆく。
【0020】
ところが、図4に示したように最後のn本の杭をクランプ2で把持して、該n本の杭に隣接しているNo5の杭の天端を目標のレベルgLまで押し下げると、それ以上の自走ができなくなって作業がストップしてしまう。
本図4の例では、杭打抜機に設けられているクランプの数は3であり、該クランプ2で頂部を把持される杭の数は3本である。この、クランプの数をNとする。そして、本図4の例では、最後の3本の杭の天端が目標レベルgLから上方へ寸法Hだけ突出したままになっている。この数をnとする。
本図4の例ではクランプの個数Nと、突出したままの杭の本数nとは等しい。図示を省略するが、自走以外の手段(例えばクレーン吊上げ)によって杭打抜機本体1を更に前進(図において右方)させ、2個のクランプ2によってNo7の杭とNo8の杭とを把持して杭打抜機本体1を支承した状態で、No6の杭をリヤージャッキ12で圧し下げることは必ずしも不可能ではない。この場合はn=2となる。これらを総合すると、クランプ2の個数Nと、前進方向の移動が行き詰まった時に寸法Hだけ突出している杭の本数nとの関係はn≦Nである。
図4のように、打設すべき杭の内の最後のn本を寸法Hだけ突出させ、該n本の杭に隣接する杭をリヤージャッキで目標レベルgLまで圧し下げたならば、杭打抜機本体1を反力架台9の上に載置して退避させておき、
最後に残っているn本の杭に隣接する3本の杭のそれぞれにクランプキーパー8を装着する。このクランプキーパーの詳細は、図6,図7,図16を参照して後に述べる。なお、該クランプキーパー8を装着する間、杭打抜機本体1を反力架台9に搭載することなく、n本の杭(No6〜No8)の上で休止させておくこともできるが、該n本の杭から取り外して退避させておいた方がクランプキーパー8の装着作業を容易に行なうことができて好都合である。
【0021】
図6は、1本のクランプキーパー8を描いた3面図である。
このクランプキーパー8は、概要的に、被把持部8aと把持部8bとから成っていて、それぞれに設けられたフランジ8cとフランジ8dとを対向当接させて、ボルトナット8eで着脱容易に接続されている。
上記の被把持部8aは、後に図1を参照して説明するように、杭打抜機のクランプで把持されるように構成される。すなわち、先に説明したクランプ2で把持し得る形状,寸法に形成されている。本例においてはJIS規格の杭(シートパイル)を適宜の長さに切断して用いた、従って、杭用の継手8a1が形成されている。
JISには各種の規格が定められていて、規格ごとにピッチ寸法pが異なるので、複数種類の規格品(例えば3型と4型)を用いて複数種類の被把持部8aを作成して用意しておくことが望ましい。把持部8bに対して着脱交換可能になっているのは、打設工事に用いられる杭の規格に順応させて適合させるためである。
把持部8bは、図1を参照して後に説明するように、既設の杭の頂部を把持する部分である。従って、杭打抜機のクランプに類似した構造になっている。8fは固定爪であり、8gは可動爪であって流体圧シリンダ(本例では油圧シリンダ)8hを備えている。8iは補強リブである。
【0022】
図7は、被把持部8aが継手8a1によって一体的に連結されたクランプキーパーを並べて既設杭に装着した状態を描いた2面図である。本図7に描かれている3本の既設杭3は、その天端が目標レベルgLに揃えられており、符号11を付して示したのは該目標レベルgLから上方に寸法Hだけ突出している杭を描いたものである。
3本の既設杭の規格に合わせた被把持部8aを用いているので、該既設杭3のピッチ寸法pおよび高さ寸法hと、クランプキーパーの被把持部8aのピッチ寸法pおよび高さ寸法hとが一致し、その結果、3個のクランプキーパーの3個の把持部8bが、それぞれ既設杭3の真中付近を把持している。
そして、3個の被把持部相互が継手8a1で連結されているので、これら3個の被把持部8aによって杭打抜機本体を強固に支持することができる。
【0023】
先に図5に示したように、3本の杭No3〜No5のそれぞれにクランプキーパー8を装着したならば、図1に示したように上記クランプキーパー8をクランプ2で把持して、杭打抜機本体1を搭載する。
そしてリヤージャッキ12でNo6の杭の天端を目標線gL(本例では布掘りレベル)まで圧し下げる。
No6の杭を目標レベルgLまで圧し下げたならば、No4〜No6の杭の上にクランプキーパー8および杭打抜機本体1を移動させてNo7の杭を圧し下げる。このようにして順次にNo6〜No8のn本の杭(本例では3本の杭)の天端を目標線gLまで圧し下げる。
これにより、深さ寸法hの布掘りを施すことによって、多数の杭(本例では8本の杭)の天端を自然地表レベルGLよりも寸法hだけ下方に揃えて打設することができる。このようにして、布掘りの掘削土工量および埋め戻し土工量を最少限度まで減少せしめることができる。
図示を省略するが、上述した本実施形態の技術を利用すれば、布掘りを施すこと無く、多数の杭の天端をグランドレベル(自然地表)に揃えて列設することができる。また、多数の杭の天端をグランドレベルよりも任意寸法だけ上方へ突出させて列設することもできる。
先に図6を参照して説明したように、クランプキーパー8には流体圧シリンダ(本例では油圧シリンダ)8hが設けられている。この油圧シリンダを伸縮させる油圧源として、杭打抜機本体1に設けられている油圧回路(図示省略)から油圧ホース(図示省略)によって油を導いて油圧シリンダ8hに供給する。
また、杭打抜機本体1は、図外に油圧源(通称パワーユニット)を備えているので、このパワーユニットから油圧シリンダ8hに圧力油を直接的に(杭打抜機本体1を経由しないで)供給しても良い。
【0024】
以上に、図2〜図5,図1の順に作業工程を示した実施形態においては、
図4に示したように、最後のn本を除く杭をリヤージャッキ12で圧し下げ、
図1に示したように最後のn本の杭もリヤージャッキ12で圧し下げたが、
これと異なる実施形態として、リヤージャッキ12に代えて「打抜シリンダ4で駆動されるチャック5」を用いて、前記「最後のn本を除く杭」および/または「最後のn本の杭」を圧し下げることもできる。
図8は、No6〜No8のn本(本例では3本)の杭をクランプ2で把持してこれに隣接するNo5の杭を圧し下げている状態を示し、先に述べた実施形態における図4に対応する図である。
本図8においては、チャック5によって「公知の器具であるアダプタ(通称・やっとこ)10」を把持し、このアダプタ10を介してNo5の杭を圧し下げる。
本図8の実施形態は、図4に示したリヤージョッキ12を備えていない杭打抜機によっても実施することができる。旋回機構1cを備えていてz′−z′軸周りに旋回できる杭打抜機を用いれば好都合であるが、必ずしも旋回機構1cを備えていなくても実施することはできる。
【0025】
図9は、最初に述べた実施形態における図1に対応し、最後のn本の杭を圧し下げている状態を描いてある。
該n本の杭に隣接するN本の杭No3,No4,No5にクランプキーパー8を装着し、これをクランプ2に把持させて杭打抜機本体1を支承している、ということは図1の実施形態と同様である。
しかし、図1の実施形態ではn本の杭の中の1本であるNo6の杭をリヤージャッキ12で圧し下げたのに対して、図9の実施形態ではチャック5でアダプタ10を把持し、該アダプタ10をNo6の杭の上端に押し当てた状態で打抜シリンダ4を収縮させて該No6の杭を圧し下げる。
なお、この図1に示されている状態で、必要があればリヤージャッキ12を収縮させてNo6の杭を引き抜くこともできる。
【0026】
(図1参照)以上に説明した実施形態においては、打設すべき8本の杭の天端を、自然地表レベルGLよりも寸法hだけ低くするように地中へ圧入する場合、布掘りの深さ寸法をhならしめた(従来技術ではh+Hの深さに布掘りしなければならなかった)。
この技術を応用すると、多数の杭の天端を自然地表レベルに揃えて打設する場合、布掘りを必要としなくなる。こうした作用,効果は、前述の実施形態における寸法hがゼロの場合として理解することができる。
従来技術においては、布掘り無しで杭を地中に圧入した場合、その天端が自然地表レベル(グランドレベル)GLよりも寸法Hだけ上方に突出することは既に述べたごとくである。従って、打設された杭の天端を自然地表レベルよりも寸法H未満ならしめようとすると布掘りが必要であった。
本発明を応用すると、布掘り無しで杭の天端が地上に突出する寸法をH未満ならしめることができる。
【0027】
先に述べた実施形態において、図1はほぼ最終の工程を表しており、図3,図4は途中の工程である。
多数の杭を列設するとき、打設作業の途中で夕方になるなどして一時的に作業を休止する場合が有る。この場合、図3の状態または図4の状態のままで休止することもでき、また、安全のため杭打抜機本体1を杭から取り外しておく(例えば反力架台に搭載するなどしておく)こともできる。
ところが、杭の打設工事場が公共の場所(例えば公道など)である場合は、半ば打設した杭が地表から上方へ突出したままで作業休止することを許されない場合も有る。その理由は、例えば夜間の作業休止期間中の覆工を妨げるからである。打設工事の作業条件は多種多様であるから、いろんな場合に対応できるように、「作業を中断する際、杭の天端の位置が制約される場合」について対策を説明すると次のとおりである。
(a)所定の本数の打を打設する途中で作業を中断する場合は、中断の直前で図1に示したようにして、それまでに打設した杭の全部を目標レベルgLまで圧し下げる。このようにして天端の位置の制約をクリアして作業を休止する。
(b)作業を再開するとき、作業休止の直前に圧入したN本の杭の頂部に、先に説明したクランプキーパー8(図6,図1参照)を装着し、
(c)上記のクランプキーパー8の上に杭打抜機本体1を搭載して杭打設作業を再開、続行する。
【0028】
(図6,図1参照)クランプキーパー8を既設杭3の頂部に装着するとき、油圧シリンダ8hに圧力油を送給して、固定爪8fと可動爪8gとで既設杭3を把持する。このため前記油圧シリンダ8hに送給するための油圧源を必要とする。一方、杭打抜機本体1は、クランプ2やチャック5や打抜シリンダ4などを作動させる油圧回路を有しているので、この油圧回路に油圧ホースを接続して圧力油を取り出し、これをクランプキーパーの油圧シリンダ8hに供給すると好都合である。
また、前記杭打抜機本体1は一般に、油圧ポンプなどの油圧源を内蔵しておらず、別体のパワーユニットと呼ばれる油圧機器(図示省略)から圧力油を供給されるようになっている。上記のパワーユニットから、杭打抜機本体1を経由することなく、圧力油をクランプキーパー8の油圧シリンダ8h直接的に圧力油を供給しても良い。
【0029】
図6に示したクランプキーパー8は、布掘り土工量を軽減させるために創作したものであるが、次に述べるような派生的効果も有る。
杭の打設工事は、杭を地中へ圧入する作業が主体である。しかし、例えば打ち込んだ杭の位置・姿勢を修正するために抜かねばならないことも有る。
前掲の図2(A)は、打抜シリンダ4を収縮させてNo4の杭を圧入しているところであるが、これと同様の状態で打抜シリンダ4を伸長させるとNo4の杭を引き抜くことができる。
しかし、上記No4の杭を引き抜くためには、チャック5で該No4の杭の頂部を把持しなければならないので、その掴み代(先に述べた寸法Hに相当する)が必要である。
従って、従来技術においては「地上に突出している寸法がH未満の既設杭」を引き抜くことが容易ではなかった。すなわち、引き抜こうとする杭の頂部付近の土砂を「チャック5による把持が妨げられない程度」に掘削除去しなければならなかった。
このような場合、該No4の杭の頂部付近の土砂を「クランプキーパー8のクランプ爪による把持が妨げられない程度」に掘削除去することは比較的容易である。このようにして既設杭の頂部にクランプキーパー8を装着して、このクランプキーパー8を杭打抜機のチャック5で把持すれば、比較的容易に既設杭を引き抜くことができる。
【0030】
図14は本発明の応用例を示す。3個のクランプ2によって、それぞれ3本の既設杭No4,No5,No6を把持しているが、これに加えて更に、クランプキーパー8を3本の既設杭No1,No2,No3に装着するとともに、該クランプキーパー8をリヤージャッキ12によって把持している。このように作業すると、作業対象杭であるNo8の杭を圧入するための反力保持が確実になる。
図15は前掲の図14と異なる応用例である。既設杭であるNo1,No2,No3の杭にクランプキーパー8を装着するとともに、該クランプキーパー8をチャック5で把持する。このチャック5にも反力の支持を分担させ、リヤージャッキ12によってNo6の杭を圧入する。
この図15の状態では、1本の杭No6を圧入するための反力を、No1〜No5の5本の杭で支持しているので、これら5本の杭の1本1本の支持力が弱くてもNo6の杭を圧入するに足る反力が得られる。
前掲の図14,図15のように、3個のクランプキーパー8を並べて用いるときは、該3個のクランプキーパーが強固に一体的に連結されていることが望ましい。このような場合には、図16に示したフランジ(8c1)一体構造のクランプキーパーを用いることが推奨される。
次に、本図16について、図7と異なる点を説明する。
3個の把持部8bのそれぞれに、フランジ8dが設けられていて、このフランジ8dに対応する被把持部8a側のフランジ8c1は一体に連設されている。図16(B)には、一体構造のフランジ8c1に平行斜線を付して示した。(この平行斜線は読図を便ならしめるためのものであって切断面を表すものではない。)
【0031】
【発明の効果】
以上に実施形態を挙げてその構成・作用を明らかならしめたように、請求項1の発明工法によると、列設すべきN本の杭の天端を、所望の位置よりも寸法H(チャックおよびクランプの掴み代)だけ高く打設した後、
最後のn本を除くN−n本の杭の天端を、リヤージャッキによって所望のレベルまで圧し下げ、
さらに、押し下げられた既設杭の上にクランプキーパーを介して杭打抜機本体を支承した状態で、最後のn本の杭をリヤージャッキによって所望のレベルまで圧下することにより、
上記所望のレベルよりも下方まで布掘りすることを要しないで、N本の杭全部の天端を該所望レベルに揃えて圧入,打設することができ、布掘りに関連する土工量を極限的に減少させることができる。
請求項2の発明工法によると、一旦所望レベルよりも寸法Hだけ上方に突出せしめて打設した杭をチャックによって所望レベルまで圧し下げるので、リヤージャッキを備えていない杭打抜機によっても実施することができ、請求項1におけると同様に布掘り土工量を著しく減少させることができる。
請求項3の発明工法によっても、請求項1の発明方法におけると同様に布掘り土工量を著しく減少させることができる上に、打設すべき多数の杭の内の最後のn本を、リヤージャッキでなく杭打抜シリンダで圧下するので、リヤージャッキよりも大きい押圧力で該n本の杭を圧入することができ、硬質の地盤においても容易に作業を遂行することができる。
さらに、必要に応じて前記リヤージャッキによって杭を引き抜くこともでき、汎用性が高い。
【0032】
請求項4の発明工法によると、請求項1におけるf項の工程でクランプキーパーを「n本の杭に隣接している杭」に装業する作業に際して杭打抜機本体が邪魔にならず、かつ該杭打抜機本体が安定して保持されて不測の事故を招く虞れが無くて安全である。
また、請求項5の発明工法によると、まったく布掘りを施工せずに、杭の天端をグランドレベル(自然地表)に揃えて打設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る工法の1実施形態において、最後のn本の杭を圧し下げている状態の模式図である。
【図2】前掲の図1に示した実施形態において、4本目および5本目の杭を地中に圧入している状態の模式図である。
【図3】前掲の図1および図2に示した実施形態において、最初に圧入された1本の杭を、さらにリヤージャッキで圧し下げる作業を説明するための模式図である。
【図4】前掲の図1ないし図3に示した実施形態において、最後に圧入されるn本の杭に隣接する杭を、リヤージャッキでさらに圧し下げている状態の模式図である。
【図5】前記の実施形態における図4の工程でさらに圧し下げた杭の上にクランプキーパーを装着する作業を説明するための模式図である。
【図6】本発明の工法を実施するために構成したクランプキーパーの3面図である。
【図7】前掲の図6に示したクランプキーパーの3個を相互に連結した状態を描いた2面図である。
【図8】前掲の図1ないし図5に示した実施形態と異なる実施形態において、最後に打ち込まれるn本の杭に隣接する杭をさらに圧し下げているところを描いた模式図である。
【図9】前掲の図1ないし図5の実施形態と異なる実施形態において、最後に打ち込まれるn本の杭の中の1本をさらに圧し下げているところを描いた模式図である。
【図10】杭打抜機の公知例を描いた正面図である。
【図11】未公知の先願に係る発明工法(特願2000−379788号)における初期の工程を描いた模式図である。
【図12】未公知の先願に係る発明工法における中期の工程を描いた模式図である。
【図13】未公知の先願に係る発明工法における最終工程を描いた模式図である。
【図14】クランプキーパーを既設杭に装着し、該クランプキーパーをリヤージャッキにより把持して杭を圧入している状態を描いた模式図である。
【図15】既設杭にクランプキーパーを装着して、該クランプキーパーをチャックで把持し、リヤージャッキによって杭を圧入している状態を描いた模式図である。
【図16】前掲の図7に示したフランジ分離形のクランプキーパーを改良したフランジ一体構造のクランプキーパーの2面図である。
【符号の説明】
1…杭打抜機本体、2…クランプ、3…既設杭、4…打抜シリンダ、5…チャック、6…作業対象杭、7…リヤーシリンダ、8…クランプキーパー、8a…被把持部、8b…把持部、8c,8c1,8d…フランジ、8e…ボルトナット、8f…固定爪、8g…可動爪、8h…シリンダ、9…反力架台、10…アダプタ、12…リヤージャッキ。
Claims (5)
- 作業対象杭(6)を把持するチャック(5)と、
上記チャックを上下に駆動する杭打抜シリンダ(4)と、
既設杭(3)を把持して前記作業対象杭の反力を支持するクランプ(2)と、を有し、該クランプが既設杭の頂部を把持するために必要な掴み代の寸法がHである杭打抜機を用いて、
打設された杭の地上突出長さ寸法をHよりも小ならしめて、多数の杭を列設する方法において、
上述の構成機器の他にリヤージャッキをも備えた杭打抜機を用い、
a.列設すべき多数の杭の内の最初のN本(ただし、Nは2,3,または4)を、反力架台を用い、かつ、杭の天端を地面から寸法約H突出させて打設し、
b.打設したN本の杭をクランプで把持して杭打抜機の本体を支持しつつ、チャックで把持した作業対象杭を、杭打抜シリンダの伸縮力によって1本ずつ順次に、突出寸法約Hで打設し、
c.N+1本目以降の杭を順次に打設しつつ、新たに打設した杭の上に杭打抜機本体を自走させながら、通過した既設杭を前記のリヤージャッキで地中へ圧入して、該既設杭の地上突出寸法を減少せしめ、
d.打設すべき多数の杭を一通り列設して、最後に打設したn本の杭の頂部が寸法約Hだけ地上に突出し、その他の杭の地上突出高がH未満の状態ならしめ、(ただし、n≦N)、
e.前記n本の杭をクランプして支持されていた杭打抜機本体を、該n本の杭の上で休止させ、または該n本の杭から取り外して一時的に退避させておき、
f.上記n本の杭に隣接しているN本の杭の上に「杭の頂部を把持する機能を有するクランプキーパー(8)」を装着し、
g.上記クランプキーパーの上端部を、前記杭打抜機のクランプで把持することによって該杭打抜機をクランプキーパー上に一時的に設置し、
h.杭打抜機に設けられているリヤージャッキによって、寸法約Hだけ突出していたn本の杭を地中に圧入して、その地上突出寸法を減少せしめることを特徴とする、杭を列設する工法。 - 作業対象杭(6)を把持するチャック(5)と、
上記チャックを上下に駆動する杭打抜シリンダ(4)と、
既設杭(3)を把持して前記作業対象杭の反力を支持するクランプ(2)と、を有し、該クランプが既設杭の頂部を把持するために必要な掴み代の寸法がHである杭打抜機を用いて、
打設された杭の地上突出長さ寸法をHよりも小ならしめて、多数の杭を列設する方法において、
前記のチャックを支持している杭打抜機本体部分が、クランプに対して垂直軸周りに旋回可能な杭打抜機を使用し、
a.列設すべき多数の杭の内の最初のN本(ただし、Nは2,3,または4)を、反力架台を用い、かつ、杭の天端を地面から寸法約H突出させて打設し、
b.打設したN本の杭をクランプで把持して杭打抜機の本体を支持しつつ、チャックで把持した作業対象杭を、杭打抜シリンダの伸縮力によって1本ずつ順次に、突出寸法約Hで打設し、
c.N+1本目以降の杭を順次に打設しつつ、新たに打設した杭の上に杭打抜機本体を自走させながら、杭1本分を自走前進するごとに、杭打抜機を180度旋回させてチャックを後方に向け、該チャックで既設杭を把持することなく既設杭の天端を圧下して、その地上突出寸法を減少せしめ、
d.打設すべき多数の杭を一通り列設して、最後に打設したn本の杭の頂部が寸法約Hだけ地上に突出し、その他の杭の地上突出高がH未満の状態ならしめ、(ただし、n≦N)、
e.前記n本の杭をクランプして支持されていた杭打抜機本体を、該n本の杭の上で休止させ、または該n本の杭から取り外して一時的に退避させておき、
f.上記n本の杭に隣接しているN本の杭の上に「杭の頂部を把持する機能を有するクランプキーパー(8)」を装着し、
g.上記クランプキーパーの上端部を、前記杭打抜機のクランプで把持して、該杭打抜機をクランプキーパー上に一時的に設置し、
h.寸法約Hだけ地上に突出しているn本の杭を、杭打抜機のチャックで把持することなく、該チャックの下端部をn本の杭の内の1本の天端に当接せしめ、もしくは両者の間に、前記クランプキーパーと別体のアダプタ(10)を介装して、
クランプキーパーによって反力を支持しつつ、前記杭打抜シリンダの伸縮力によって、上記n本の杭を1本ずつ地中に圧入して地上突出寸法を減少せしめることを特徴とする、杭を列設する工法。 - 作業対象杭(6)を把持するチャック(5)と、
上記チャックを上下に駆動する杭打抜シリンダ(4)と、
既設杭(3)を把持して前記作業対象杭の反力を支持するクランプ(2)と、を有し、該クランプが既設杭の頂部を把持するために必要な掴み代の寸法がHである杭打抜機を用いて、
打設された杭の地上突出長さ寸法をHよりも小ならしめて、多数の杭を列設する方法において、
上述の構成機器の他にリヤージャッキをも備えた杭打抜機を用い、
a.列設すべき多数の杭の内の最初のN本(ただし、Nは2,3,または4)を、反力架台を用い、かつ、杭の天端を地面から寸法約H突出させて打設し、
b.打設したN本の杭をクランプで把持して杭打抜機の本体を支持しつつ、チャックで把持した作業対象杭を、杭打抜シリンダの伸縮力によって1本ずつ順次に、突出寸法約Hで打設し、
c.N+1本目以降の杭を順次に打設しつつ、新たに打設した杭の上に杭打抜機本体を自走させながら、通過した既設杭を前記のリヤージャッキで地中へ圧入して、該既設杭の地上突出寸法を減少せしめ、
d.打設すべき多数の杭を一通り列設して、最後に打設したn本の杭の頂部が寸法約Hだけ地上に突出し、その他の杭の地上突出高がH未満の状態ならしめ、(ただし、n≦N)、
e.前記n本の杭をクランプして支持されていた杭打抜機本体を、該n本の杭の上で休止させ、または該n本の杭から取り外して一時的に退避させておき、
f.上記n本の杭に隣接しているN本の杭の上に「杭の頂部を把持する機能を有するクランプキーパー(8)」を装着し、
g.上記クランプキーパーの上端部を、前記杭打抜機のクランプで把持することによって該杭打抜機をクランプキーパー上に一時的に設置し、
h.寸法Hだけ地上に突出しているn本の杭を、杭打抜機のチャックで把持することなく、該チャックの下端部をn本の杭の内の1本の天端に当接せしめ、もしくは両者の間に、前記クランプキーパーと別体のアダプタ(10)を介装して、
クランプキーパーによって反力を支持しつつ、前記杭打抜シリンダの伸縮力によって上記n本の杭を1本ずつ地中に圧入して地上突出寸法を減少せしめることを特徴とする、杭を列設する工法。 - 前記a項の工程で最初のN本の杭を打設する際に用いた反力架台を杭打抜作業現場付近に保管しておき、
前記e項の工程で杭打抜機本体を一時的に退避させる際、該杭打抜機本体を前記の反力架台に搭載しておくことを特徴とする、請求項1に記載した杭を列設する工法。 - 杭を列設すべき法線に沿って布掘りすることなく、最初のN本を打設するa項の工程を開始し、
前記c項の工程において既設杭の天端がグランドレベルと等しくなるまで圧入し、かつ、前記hの工程においてn本の杭の天端がグランドレベルと等しくなるまで圧入して、多数の杭の天端をグランドレベルに揃えて打設することを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れかに記載した杭を列設する工法。
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