JP3660925B2 - エンコーダ用回転ディスク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸の回転角度等を検出するロータリーエンコーダの回転ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
モータの各相の励磁電流を制御するために、モータのロータ軸のシャフトに取り付けられ該ロータの回転角度、位相を検出する手段としてエンコーダが用いられている。このエンコーダに用いられる回転ディスク15は、図7に示すように、回転角度、位置の信号を発生させるための信号生成部16とロータ軸のシャフトに取り付けるための取り付け部材17とで構成されている。信号生成部16は、ディスク状の面に回転角度位置信号を発生させるためのパターンが形成されている。光学式エンコーダにおいては、所定のスリットパターンがディスクの面に形成され、このパターンによって発生する信号によって回転角度、位相を検出できるようになっている。
【0003】
この回転ディスク15をモータのロータ軸のシャフトに取り付け、ロータの回転角度位置、位相を検出するには、ロータの回転角度位置、位相とこの回転ディスク15の信号生成部16からの発生する信号の位置、位相を合わせる必要がある。そのため、取り付け部材17の一部を平面に加工した非回転対称部18を設け、この非回転対称部18と信号生成部16の位置信号発生のパターンとの位置関係を既知のものとする。該回転ディスク15をロータ軸のシャフトに取り付ける際には、この非回転対称部18を利用して、回転ディスクの信号生成部16から発生する信号とロータの回転角度位置、位相を対応するようにロータ軸のシャフトに取り付けるようにしている。
【0004】
図8は、この回転ディスク15をモータのロータ軸のシャフト12に取り付ける際の説明図である。
まず、ステータ10に直流電流を流して発生する電磁気的な吸引力によって、ロータ11の回転角度位置、位相を固定しておく。治具19などで取り付け部17の非回転対称部18を把持してロータ軸のシャフト12に取り付け部17を嵌合させ取り付けるが、このとき、回転ディスク15の信号生成部16から出力される回転角度位置、位相を表す信号が、ロータ11の回転角度位置、位相を表すように該ロータと回転ディスクの位相を合わせて取り付ける。
【0005】
又、上述した回転ディスク15は信号生成部16と取り付け部17を一体的に形成したもの、取り付け部と信号生成部を別体で形成したものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−14404号公報(段落「0012」参照)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のエンコーダの回転ディスクにおいては、回転角度位置、位相合わせのための部材を必要とし、図7、図8に示したようにこの回転角度位置、位相合わせ用の部材(取り付け部材で構成している)は、正確にその回転角度位置、位相を示す必要があるからある程度の長さを必要とする。従って、その分回転ディスクの全高が大きくなり、エンコーダの軸方向の長さが増加するという欠点がある。
【0008】
又、回転ディスクを2つの部材で構成すると、その分高価となる。更に、2つの部材の組み付け誤差によって、位相合わせの精度が低下する。そのため、信号生成部のディスクと位相合わせ部を有する回転軸への取り付け部材を一体化して樹脂化し、この問題を解決することも想定できるが、この2つの部材の形状が全く異なるため、一体成形するための成形条件を見出すことが困難である。
【0009】
更に、この回転ディスクをモータのロータ軸のシャフトに自動組み付けする場合、回転ディスクをロボットでハンドリングする必要がある。図7に示すように、非回転対称部18等の把持部を必要とする。
そこで、本発明は、上述した問題点を改善し、回転ディスクの軸方の長さを大きくせず、かつロボットによるハンドリングを可能とし、製造も容易で高価にはならない回転ディスクを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転軸に取り付けて、該回転軸の回転角度を検出するエンコーダ用回転ディスクであって、回転ディスクの信号生成部の形状を非円形に構成し、該非円形の形状の該回転ディスクを回転軸の所定の位置に位置決めするための指標とした点に特徴を有するものである。
【0011】
又、信号生成部の外周面に該回転ディスクを把持する把持部を設けてロボットハンド等による把持を容易にする。そして、前記指標を回転ディスクの信号生成部の外周面に施された加工又は外周面に設けられた特定形状で構成し、その形状を、直線又は円弧あるいはその組み合わせで構成して前記把持部を兼ねるようにした。更に、この回転ディスクはプラスチック製として一体成形できるようにした。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態の説明図で、図1(a)は、同実施形態の回転ディスク1の正面図、図1(b)は中央断面図である。回転ディスク1は、概略円盤状に形成され、信号生成部2、取り付け部3、回転角度位置(位相)合わせのための指標及び把持部を形成する直線部4で形成されている。
【0013】
信号生成部2は、該回転ディスクのディスク表面に回転角度検出信号(回転位置検出信号)を生成するための所定のパターンコードが付されることによって形成されている。光学式エンコーダの場合、この信号生成部2は、スリットにより所定コードパターンが形成されている。この点は従来と同一である。また、取り付け部3は、該回転ディスク1をモータのロータ軸のシャフトに取り付けるための取り付け部であり、この実施形態では、図1に示すように信号生成部2のディスクと一体的に形成されている。
【0014】
信号生成部2を形成するディスクは概略円形上であるが、その周面の一部に直線部4が形成されている。この実施形態では、信号生成部2の1回転信号発生部5と該信号生成部2のディスクの中心とを結ぶ直線に対して線対称で、かつこの直線と平行な2つの直線部4がディスクの外周面に形成されている。その結果、この直線部4は、該回転ディスク1が回転角度位置(位相)の信号を発生する信号生成部2と所定の位置関係にあり、モータのロータ軸のシャフトに取り付ける際の指標となるものである。すなわち、指標を形成する直線部4と信号生成部2に設けられた信号発生用のパターンとの位置関係が既知の関係であればよいもので、図1に示したような関係はその1例である。
【0015】
この実施形態では、回転ディスク1の信号生成部2のディスク外周面に直線部4の指標を形成することによって、この直線部4を把持部として、図2に示すようにロボットハンド6により該回転ディスク1を把持できるようにしている。その結果、図8に示すような従来の回転ディスクにおいては、ロボットハンドでハンドリングできるように、該回転ディスクのロータ軸のシャフトへの取り付け部をその軸方向に長く形成しなければならなかった点を、図1(b)に示すように、取り付け部3を短く形成し、回転ディスク1の厚み(軸方向の長さ)を小さなものとしている。しかも、取り付け部3が短く形成されていることから、該回転ディスク1を一体的に一部材で構成することができ、ブラスチックでこの回転ディスク1を形成することが容易にできる。
【0016】
図3は、この回転ディスク1をモータのロータ軸のシャフトに取り付けるときの説明図である。従来と同じように、モータのステータ10に直流電流を流し、これにより発生する電磁気的な吸引力によりロータ11の回転角度位置(位相)を固定しておく。そして、図2に示すようにロボットハンド6で回転ディスクの直線部4を利用して該回転ディスク1を把持する。直線部4と回転ディスク1の信号生成部2の信号を生成するパターンの位置(位相)が所定の既知の関係であるからロボットも、把持した回転ディスク1の信号生成部2におけるパターンの位置(位相)を把握できる。
【0017】
そこで、ロータ11の回転角度位置、位相が固定され、一意的に決まったロータの回転角度位置(位相)に対して、回転ディスク1の信号生成部2から発生させる回転角度位置(位相)を合わせてロータ軸のシャフト12に図3に示すように取り付ける。なお、手動で該回転ディスク1をロータ軸のシャフト12に取り付ける場合でも、直線部4の位置により信号生成部2のパターンの位置(位相)を把握できるからシャフト12にロータの回転角度位置、位相に合わせて容易に取り付けることができる。
【0018】
また、図3と従来例の図8と比較して明らかのように、本実施形態の回転ディスク1は、取り付け部3の軸方向長さが短いことから、該回転ディスク1を取り付けたモータの軸方向長さも短くなりコンパクトにモータを形成することができる。
【0019】
上述した第1の実施形態では、信号生成部2、取り付け部3を一体的に樹脂で形成したが、該信号生成部2と取り付け部3を別体で形成してもよい。図4は、この場合の回転ディスク1の構成を示す図で、図4(a)は正面図、図4(b)は中央断面図である。この実施形態の場合、信号生成部2を形成するディスク部と取り付け部3’が別部材で構成され、それをいに接合して回転ディスク1を形成している。
【0020】
また、取り付け部を特別に設けずに、信号生成部2を形成するディスクの中心孔部を取り付け部としてもよい。すなわち、回転角度位置、位相合わせのための指標となる部分を信号生成部2のディスク外周部に設け、かつロボットハンドで把持できる構造とし、回転角度位置、位相合わせのための指標を有する取り付け部を必要としないから、信号生成部2のディスクをモータのロータ軸のシャフトに直接固着してもよく、この作業も容易に実施できる。
【0021】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す図で、上述した第1の実施形態と相違する点は、回転角度位置、位相合わせの指標が信号生成部のディスク外周面に形成された直線部ではなく、曲線によって構成された凹凸形状部4’で構成されている。なお、図1に示した第1の実施形態と同一要素は同一符号を付している。
【0022】
この第2の実施形態では、信号生成部2を形成するディスクの外周部に、回転角度位置、位相合わせのための指標となる曲線によって構成された凹凸形状部4’が設けられている。この実施形態においても、図6に示すように、ロボットハンド6で、この凹凸形状部4’を把持することによって安定して把持できるように形成している。この図7で示す例では、信号生成部2の1回転信号発生部5と該信号生成部2のディスクの中心とを結ぶ直線に対して線対称なディスク外周面位置に凹凸形状部4’を設けかつ、この2つの凹凸形状部4’を利用して、ロボットハンド6で把持したとき図6に示すように、安定して把持でき、回転ディスク1の信号生成部2における信号パターンの位置、位相が一意的に把握できるようにしている。この図5に示す凹凸形状部4’の例では、両側に円弧の突出部4'a,4'bを設け、この2つの円弧の突出部4'a,4'bに接する直線が、前述した1回転信号発生部5と該信号生成部2のディスクの中心とを結ぶ直線と平行になるように形成している。
【0023】
上述した各実施形態においては、信号生成部2におけるディスクの外周面の形状を円弧ではなく、直線または曲線、直線との組み合わせからなる凹凸形状部によって指標を形成したが、形状ではなく特定の加工をこのディスクの外周面または外周部に施してそれを指標とし、かつ指標位置と信号生成部2の信号発生パターンとの位置、位相関係を既知のものとすればよい。
【0024】
また、上述した各実施形態では、直線部4または凹凸形状部4’を回転角度位置、位相合わせのための指標と、該回転ディスクを把持する把持部とを兼ねるようにしたが、指標位置と把持する部分は異なった位置に配置してもよい。例えば、図1において、1回転信号発生部5とディスク中心を結ぶ線上のディスクの外周面または外周部に所定の目印となる加工または形状を設けこれを前記指標としてもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、信号生成部のディスク外周部に回転角度位置、位相合わせに利用する指標を設けたから、該回転ディスクをモータのロータ軸のシャフトに取り付けるための取り付け部の軸方向長さを小さくすることができ、回転ディスク自体も軸方向の寸法が短いコンパクトな形状とすることができる。その結果、該回転ディスクを用いたエンコーダを取り付けたモータの軸方向の長さも短く形成することができる。
【0026】
更に、取り付け部軸方向の長さが短いことから、回転ディスク全体を一体的に形成することができ、組み付け誤差をなくすことができる。更に、ディスクに設けた把持部をロボットハンド等で把持できる形状にすることによって、ロボットハンドで該把持部の位置を把持してモータのロータ軸のシャフトに取り付ける作業を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の説明図である。
【図2】同第1の実施形態の回転ディスクをロボットハンドで把持した状態を表す図である。
【図3】同第1の実施形態の回転ディスクをモータのロータ軸のシャフトに取り付けるときの説明図である。
【図4】第1の実施形態における別の態様の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の説明図である。
【図6】同第2の実施形態の回転ディスクをロボットハンドで把持した状態を表す図である。
【図7】従来の回転ディスクの説明図である。
【図8】従来の回転ディスクをモータのロータ軸のシャフトに取り付けるときの説明図である。
【符号の説明】
1 回転ディスク
2 信号生成部
3 取り付け部
4 直線部
5 1回転信号発生部
6 ロボットハンド
10 ステータ
11 ロータ
12ロータ軸のシャフト

Claims (5)

  1. 回転軸に取り付けて、該回転軸の回転角度を検出するエンコーダ用回転ディスクであって、該回転ディスクの信号生成部の形状を非円形に構成し該非円形の形状該回転ディスクを回転軸の所定の位置に位置決めするための指標としたことを特徴とするエンコーダ用回転ディスク。
  2. 前記信号生成部の外周面に該回転ディスクを把持する把持部が設けられている請求項1に記載のエンコーダ用回転ディスク。
  3. 前記指標は、前記回転ディスクの信号生成部の外周面に施された加工又は外周面に設けられた特定形状により構成される請求項1又は請求項2に記載のエンコーダ用回転ディスク。
  4. 前記指標を形成する前記回転ディスクの信号生成部の外周面に施された加工又は外周面に設けられた特定形状は、直線又は円弧あるいはその組み合わせで構成され、前記把持部を兼ねている請求項に記載のエンコーダ用回転ディスク。
  5. 前記回転ディスクはプラスチック製であることを特徴とする請求項1乃至の内いずれか1項に記載のエンコーダ用回転ディスク。
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