JP3660867B2 - 窓枠等の枠体取付け用金具 - Google Patents
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Description
【0001】
【従来の技術】
プレハブ住宅のような建物において、壁にアルミ製窓枠を取付ける場合、壁の窓穴箇所に四角形の下地フレームを固定し、この下地フレームに窓枠を取付けている。
【0002】
下地フレームは断面コ字状の溝形綱からなる枠材で構成されており、上下2本の横枠材と左右本の縦枠材とを、各枠材の溝が内側に向けて開口するようにして接続している。そして、枠材の内部に木製ブロックをハンマーで叩き込むか、又は、木製ブロックをドリルねじで枠材の内部に締結するかして、この木製ブロックに窓枠をねじで締結している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、下地フレームには板厚が何種類かあり、このため種類によって溝巾寸法も異なっている。また、素材である溝形綱の加工誤差によって、下地フレームの溝巾が異なる場合もある。
【0004】
更に、木製ブロックにも、加工誤差や、乾燥による収縮、吸湿による膨張などがあり、寸法がきっちり安定している訳でもない。また、木製ブロックは、一般に圧縮による弾性変形率は小さく、大きな弾性変形は望めない。
【0005】
このように、下地フレームの溝巾の違いや木製ブロックの寸法の不安定性、木製ブロックの変形率の低さなどにより、木製ブロックを下地フレームに叩き込む方式では、木製ブロックを下地フレームに叩き込み不能になったり、無理に叩き込んで下地フレームを変形させて立て付け不良や防水性能の低下を招来したり、逆に、下地フレームの溝巾よりも木製ブロックの横幅が小さすぎて取付け不能になったりすることがあった。
【0006】
更に、木製ブロックを工場で予め下地フレームに取付けておく場合、運搬途中の振動等によって木製ブロックが外れないように、下地フレームのうち木製ブロックが嵌め込まれた部分を内側にかしめておかねばならず、これに多くの手間が掛かるという問題もあった。
【0007】
他方、木製ブロックをドリルねじで下地フレームに締結する方式では、取付けの安定性には優れているが、ねじ込み作業に多大の手間が掛かるという問題があった。
【0008】
また、いずれの方式でも、木製ブロックの性質として、耐火性が低いという問題や、結露等によって腐食しやすいという問題、或いは、下地フレームの側板にシャッター等の他の部材をねじで締結するに際して、ねじが木製ブロックに干渉して締結作業が厄介になるといった問題を抱えていた。
【0009】
本発明は、これらの問題を解消することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は、各請求項の発明によって達成することができる。
【0011】
本願発明は、断面コ字状の溝形鋼から成る上下左右の枠材で構成されると共に各枠材の溝が当該各枠材で囲われた内側に開口しており且つ各枠材で囲われた内側は窓枠等の枠体を収容できるように開口している下地フレームに、前記窓枠のような枠体を取り付けるため、前記枠体の外周に固定されると共に前記枠材に装着される金属板製の金具である。
【0012】
そして、請求項1の発明に係る金具は、前記枠材の開口面の箇所に位置していて前記枠体がねじ止めによって固定される取付け部と、この取付け部に一体に折り曲げ形成されると共に前記枠材の溝内に深く嵌まり込む一対の挿入部とを備えてコ字状に形成されており、かつ、下地フレームの正面視で枠材の内部に向けて開口するコ字状の姿勢をなして前記枠材に装着されるように設定されており、更に、前記一対の挿入部に、前記枠材の相対向した内側面に弾性に抗して当たると共に前記枠材の底面より離れるに従って互いの間隔が広がるように傾斜した一対の爪状の当接部を形成しており、前記枠材への嵌め込み前における前記一対の当接部の先端間の間隔寸法が前記枠材の内側面の間隔寸法よりも大きく設定されていて、前記当接部をその弾性に抗して前記枠材の溝内に嵌め込んで当該当接部を枠材の相対向した内側面に突っ張らせることにより、前記枠材に脱落不能に保持される。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1において、前記取付け部の表面のうちねじがねじ込まれる部分を、断面鋸歯状やエンボス状のような粗面に形成している。
【0014】
【発明の作用・効果】
本願発明によると、金属板が持つばね性を利用して下地フレームに取付けるものであるため、当接部を大きく弾性変形させることができ、その結果、下地フレームの溝巾寸法のバラツキを吸収して、下地フレームの変形などの不具合を招来することなく、きっちりと取付けることができる。
【0015】
また、金具の取付けは、作業者が手で下地フレームに押し込んだり、ハンマーで叩き込んだりするだけで良いため、取付け作業も簡単である。また、金具は金属板のばね性を利用して下地フレームにしっかりと取付けることができるため、工場で予め金具を下地フレームに取付けておく場合、従来のように下地フレームをかしめる作業は必要なく、この面からも作業能率を向上できる。
【0016】
更に、金具の金属板のみの構成とすることにより、耐火性に優れると共に、結露等による腐食も防止又は抑制することができる。
【0017】
また、下地フレームにおける枠材の側板にシャッター等の他の部材をねじで締結するに際しては、ねじが挿入部に干渉することを防止して、シャッター等の部材を簡単に取付けることができる。
【0018】
請求項2のように構成すると、窓枠をドリルねじで金具に締結するにおいて、金具の表面が粗面であることにより、ドリルねじの先端が滑ることを防止できるため、ドリルねじの先端を正確に位置決めして、正確かつ素早く打ち込むことができる。
【0019】
また、ドリルねじの打ち込み当初にドリルねじが倒れると、動力ドライバのビットがねじから外れた弾みで窓枠に当たり、窓枠が傷付けられる虞があるが、請求項4の発明では、ドリルねじの倒れを防止できるため、窓枠が傷つく事故も防止できる。
【0020】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(1).第1実施形態(図1〜図4)
図1〜図4では第1実施形態を示している。
【0022】
本実施形態は、プレハブ住宅の窓枠を下地フレームに取付ける金具に適用しており、図1は下地フレーム1とアルミ製窓枠(アルミサッシ)2と金具3との関係を示す概略斜視図である。
【0023】
下地フレーム1は上下の横枠材4と左右の縦枠材5で四角形(額縁状)に形成されており、各枠材4,5は断面コ字状に形成されている。窓枠2も上下左右の枠材で構成されており、引き戸式のガラス窓6を嵌め入れている。
【0024】
下地フレーム1の縦枠材5に複数個ずつの金具3が嵌め入れられており、この金具3を介して下地フレーム1に窓枠2が取付けられている。以下、図2以下の図面に基づいて詳述する。
【0025】
図2は壁7を表示した状態での分離平断面図、図3は組み付け後の平断面図、図4(A)は金具3と下地フレーム1との分離斜視図、(B)は分離平面図である。
【0026】
図2、3に示すように、壁7は、溝形綱製の支柱8を備えており、この支柱8に下地フレーム1の縦枠材5を背中合わせの状態で重ねて、両者をボルト9とナット10とで固着している(溶接しても良い)。
【0027】
符号11で示すのはセラミック製等の外壁材、符号12で示すのは断熱材、符号13で示すのは石膏ボード等の内装材、符号14で示すのは内装用木材、符号15で示すのは窓部の化粧板である。
【0028】
図3に示すように、窓枠2は壁の外側方向から下地フレーム1の内部に嵌まり込むように、外面部2aと内周部2bとを備えた断面略L形になっており、外面部2a及び内周部2bとも、下地フレーム1の縦枠材5に向けて延びる足片2cを一体に設けている。
【0029】
そして、窓枠2の外面部2aを下地フレーム1の縦枠材5にドリルねじ16で固定する一方、下地フレーム1の縦枠材5に金具3を嵌め込んで、この金具3に窓枠2の内周部2bをドリルねじ17で締結している。
【0030】
窓枠2における内周部2bの縁部はL字状の段違い部2dに形成しており、この段違い部2dは、スペーサ18を介して化粧板15にねじ19で締結されている。窓枠2の外面部2aにはカバー20を嵌め込んでいる。窓枠2の外面部2aと外壁材11との間にはシール材21を介在させている。
【0031】
図4に明示するように、金具3は、縦枠材5の開口面の箇所に配置される取付け部3aと、その上下両端に一体に曲げ形成した挿入部3bとにより、下地フレーム1の正面視でコ字状に形成されている。上下挿入部3bの先端には、縦枠材5の底面に重なる細巾のフランジ3cを曲げ形成し、このフランジ3cの前後両端に、下地フレーム1における縦枠材5の内側面に当接する一対の爪状の当接部3dを一体に形成している。
【0032】
前記一対の当接部3dは、平面視で先端に行くに従って互いに離れるように傾斜状に形成されており、また、下地フレーム1への嵌め込み前における前後当接部3dの先端間の間隔寸法L1を、最も肉厚の厚い溝形綱からなる縦枠材5の溝巾寸法L2よりもある程度
大きい寸法になるように設定している。
【0033】
従って、金具3は、各当接部3dの弾性変形に抗して縦枠材5の溝内に押し込む又は叩き込むと、各当接部3dがその弾性力によって縦枠材5の内側面に突っ張ることにより、金具3は縦枠材5に離脱不能に保持される。このため、予め工場で金具3を縦枠材5に取付けていても、運搬途中の振動等によって金具3が外れることはない。
【0034】
金具3における挿入部3bの隅角部は面取り状にカットしている。これは、縦枠材5のコーナー部に干渉することを防止して、フランジ3cを縦枠材5に深く嵌め入れできるようにするためである。
【0035】
金具3における取付け部3aの表面の大部分は、細かいピッチで断面鋸歯状に形成された粗面2eになっている。このため、ドリルねじ17で窓枠2を金具3に締結するにおいて、ドリルねじ17の先端の滑りをなくして、的確に打ち込むことができる。
【0036】
また、ドリルねじ17の滑りがないことにより、ドリルねじ17を真っ直ぐの姿勢に保持してねじ込みできるため、ドリルねじ17が倒れることによって動力ドライバのビット(図示せず)が窓枠2に衝突することもなく、その結果、ねじ打ちミスに起因して窓枠2が傷付くことを防止できる。
【0037】
図3に二点鎖線で示すように、窓枠2の外側にシャッター等の外部部材22を配置し、これをドリルねじ23で下地フレーム1の縦枠材5に締結することがある。この場合、本実施形態のように金具3を正面視でコ字状に形成すると、ドリルねじ23が金具3に干渉することを防止して、確実にねじ込みできる。
【0038】
また、窓枠2の外面部2aと内周部2bとをドリルねじ16,17で締結する場合、同じ高さ位置で締結しても、外面部2aを締結するためのドリルねじ16が金具3に干渉することがない利点もある。
【0039】
下地フレーム1の取付け部3aの外側に空間がある場合は、図3に一点鎖線で示すように、金具3に、下地フレーム1を外側から囲う抱持部3fを設けることも可能である。
【0040】
(2).下地フレームの別形態(図5)
下地フレーム1は、図5に示すように複数に仕切られていても良く、大きさや用途などに応じて様々の形態を採用することができる。
【0041】
(3).その他
本発明は、例えば、窓枠の取付け用金具のみならず、建物のドア枠を取付けるための金具など、建物の他の枠体の取付けにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の使用状態の概略を示す分離斜視図である。
【図2】第1実施形態の使用状態の概略を示す分離平断面図である。
【図3】第1実施形態の使用状態の平断面図である。
【図4】 (A)は金具の斜視図、 (B)は分離平断面図である。
【図5】下地フレームの別例図である。
【符号の簡単な説明】
1 下地フレーム
2 窓枠
3 金具
3a 取付け部
3b 挿入部
3d 当接部
5 下地フレームの縦枠
8 支柱
16,17 ドリルねじ
Claims (2)
- 断面コ字状の溝形鋼から成る上下左右の枠材で構成されると共に各枠材の溝が当該各枠材で囲われた内側に開口しており且つ各枠材で囲われた内側は窓枠等の枠体を収容できるように開口している下地フレームに、前記窓枠のような枠体を取り付けるため、前記枠体の外周に固定されると共に前記枠材に装着される金属板製の金具であって、
前記枠材の開口面の箇所に位置していて前記枠体がねじ止めによって固定される取付け部と、この取付け部に一体に折り曲げ形成されると共に前記枠材の溝内に深く嵌まり込む一対の挿入部とを備えてコ字状に形成されており、かつ、これら取付け部と挿入部は、下地フレームの正面視で枠材の内部に向けて開口するコ字状の姿勢をなして前記枠材に装着されるように設定されており、
更に、前記一対の挿入部に、前記枠材の相対向した内側面に弾性に抗して当たると共に前記枠材の底面より離れるに従って互いの間隔が広がるように傾斜した一対の爪状の当接部を形成しており、前記枠材への嵌め込み前における前記一対の当接部の先端間の間隔寸法が前記枠材の内側面の間隔寸法よりも大きく設定されていて、前記当接部をその弾性に抗して前記枠材の溝内に嵌め込んで当該当接部を枠材の相対向した内側面に突っ張らせることにより、前記枠材に脱落不能に保持される、
窓枠等の枠体取付け用金具。 - 前記取付け部の表面のうちねじがねじ込まれる部分を、断面鋸歯状やエンボス状のような粗面に形成している、
請求項1に記載した窓枠等の枠体取付け用の金具。
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