JP3660645B2 - 鳥瞰図作成方法、地図表示装置およびナビゲーションシステム - Google Patents

鳥瞰図作成方法、地図表示装置およびナビゲーションシステム Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、移動体の位置を測定しユーザに現在位置を知らせるナビゲーションシステムと、該システムに使用する地図表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体に搭載するナビゲーションシステムでは、各種センサからの情報を演算処理することで移動体の位置を測定し、その位置を表示するといった処理を実行する。
【0003】
このナビゲーションシステムは、移動体の絶対位置を測定する位置測定装置と、道路や構造物等の地上の点をユニバーサル横メルカトル投影でメッシュ分割した平面に投射し、得られた2次元ベクトルデータとこれらに付随する文字データで構成される地図データが格納された記憶装置と、外部からの指示を受ける入力装置と、入力装置から入力された指示に従い記憶装置に格納された地図メッシュから必要なベクトルデータを読み出し、そのデータを変換処理することでディスプレイに地図を表示する表示装置とで構成される。
【0004】
ここでデータ変換処理には、地図の表示位置を変更する移動変換と、地図を任意の縮尺で表示するために用いる拡大/縮小といった縮尺変換と、地図の表示する向きを変更する回転変換とがある。これら処理により、ディスプレイ上には地面を真上からの正射影で描いた平面地図が表示される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のナビゲーションシステムでは、地図を表示する際に地面を真上からの正射影で描いた平面地図表示を行なっていた。そのため、互いに距離の離れた2地点間を同時に表示しようとすると必然的に縮尺が大きくなり詳細な情報が表示できなくなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、平面(地面)を任意の高さの視点から斜め方向に見おろしたとき、該平面(地面)と視点との間にある任意の平面に投射される投影図である鳥瞰図を用いて地図を表現する鳥瞰図作成方法と、地図表示装置と、該装置を備えるナビゲーションシステムとを提供することを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、地図データを用いて鳥瞰図で表現された地図の描画データを作成する鳥瞰図作成方法であって、定められた位置を視点として、定められた投射平面に、上記地図データに含まれる座標データを透視変換して、鳥瞰図の描画データを作成することを特徴とする鳥瞰図作成方法が提供される。
【0008】
なお、本発明の鳥瞰図作成方法は、上記視点の位置の入力を受け付けるステップと、上記地図データに含まれるあらかじめ定められた2地点(例えば、現在地および目的地)の座標、および、上記入力された視点位置をもとに、上記透視変換後の上記2地点の描画位置があらかじめ定められた位置になるように、上記投射平面を決定するステップとを備えることが望ましい。
【0009】
あるいは、縮尺率の入力を受け付けるステップと、上記地図データに含まれるあらかじめ定められた2地点の座標、および、上記入力された縮尺率をもとに、上記透視変換後の上記2地点の描画位置があらかじめ定められた位置になり、描画の縮尺率が上記入力された縮尺率になるように、上記視点の位置および上記投射平面を決定するステップとを備えるようにしてもよい。
【0010】
また、上記地図データの定義された平面と、上記投射平面とのなす角度である投射角度の入力を受け付けるステップと、上記入力された投射角度、および、定められた視点位置をもとに、上記投射平面を決定するステップとを備えるようにすることもできる。
【0011】
さらに、本発明では、上述の鳥瞰図描画方法を用いて鳥瞰図を表示する地図表示装置と、該地図表示装置により地図を表示するナビゲーションシステムとが提供される。
【0012】
【作用】
本発明の鳥瞰図表示装置およびナビゲーションシステムは、地図描画手段が座標変換手段を備え、この座標変換手段が透視変換を行うことにより、地図を鳥瞰図に変換して表示する。従って、本発明によれば、ユーザは、見やすく、地図内に表示される地点の位置関係が認識しやすい鳥瞰地図表示を得ることができる。本発明の鳥瞰図作成方法によれば、視点位置を任意に設定することができるため、ユーザのニーズに的確に応じることができる。
【0013】
なお、つぎの第1〜7の問題を解決する構成にすれば、さらに操作性、利便性のよいナビゲーションシステムを得ることができる。
【0014】
第1に、鳥瞰図表示におけるスクロール処理の処理速度が、平面表示のスクロール処理よりも遅い場合には、鳥瞰図表示で所定の地点を捜すようにスクロール処理を多用する場合、操作性が悪くなってしまうことがある。
【0015】
そこで、本発明は、平面地図表示と鳥瞰図表示とを任意に切り替えることができるようにすることが望ましい。このようにすれば、ユーザの要求に従って、平面図および鳥瞰図の両方を表示することができ、利便性が向上する。
【0016】
なお、このようにした場合には、平面地図表示と鳥瞰図表示との切り替えに際して、ユーザによる位置関係の把握が困難になるという第2の問題が生じることがある。これは、地図を見る視点が変化するため、ある同一地点が画面上に表示される位置が大きく変化するとともに、これまで表示されていなかった地点が表示されたり、あるいは表示されなくなったりするためである。
【0017】
そこで、本発明では、平面地図表示と鳥瞰図表示との切り替えを可能にする場合、鳥瞰図表示および平面地図表示の切り替えに際して、地図を投射する平面と地図データが含まれる平面のなす角度を時系列で徐々に増加ないし減少させることが望ましい。すなわち、本発明では、平面地図表示と鳥瞰図表示との変換において、鳥瞰図を得るための視点が滑らかに移動するようにすることが望ましい。このようにすれば、平面図と鳥瞰図との間の移行が滑らかに行われるため、平面地図に表示された地点と鳥瞰地図に表示された地点との相関関係を容易に認識できる。
【0018】
第3に、地図を鳥瞰図表示する場合は、透視変換のパラメータである視点位置が固定されてしまうと現在地の移動と共に画面に表示される現在位置のマーク表示する位置が移動してゆき、表示している地図領域を逸脱したときは現在位置のマークが表示されなくなってしまうという問題がある。
【0019】
そこで、本発明では、鳥瞰図を得るための視点を、常に現在位置からある一定方向、一定距離離れた位置に固定するようにすることができる。また、操作入力に従って、視点の高さを変更できるようにすることもできる。上述のように視点を固定すれば、常に画面のある一点に現在地が固定されるように鳥瞰図表示されるため、ユーザは現在地を容易に把握できるようになる。また、視点位置をユーザの所望の位置に設定することができるようにすれば、利便性が向上する。
【0020】
さらに、ある2地点を同一画面に表示しようとしたとき、従来の平面地図表示では2地点間の距離に応じ縮尺を更新すれば良かったが、地図の鳥瞰図表示では縮尺を更新しただけでは最適に地図が表示できないという第4の問題がある。
【0021】
そこで、本発明では、2地点(例えば、現在地と目的地)の位置の指定を受け付け、その2地点が画面上の定められた位置に表示されるように視点及び地図を投射する平面と地図データが含まれる平面のなす角度を決定し、その結果を用い鳥瞰図表示を実行するようにしてもよい。このようにすれば、当該2地点の位置的関係を容易に判断することができる。また、当該2地点の位置が変化した場合でも、常に同じ画面内に表示されるので、ユーザは複雑な操作をすることなく2地点の位置的関係を把握できる。
【0022】
また、本発明では、鳥瞰図表示に際して道路や線路などの線背景、川や緑地帯などの面背景、文字列を透視変換し描画する。しかし、文字列を透視変換すると、視点遠方の文字の形状が小さく、かつゆがみ、一方視点近傍の文字が拡大されてしまい文字列が読みにくくなることがあるという第5の問題がある。
【0023】
そこで、本発明の座標変換手段は、文字イメージについては透視変換を行わないようにすることが望ましい。このようにすれば、鳥瞰図に含まれる文字が、同じ大きさに正立して表示されるため、文字列の判読が容易になる。
【0024】
また、多くの文字データを表示する場合には、文字列が重なりあって表示されることになる。特に、鳥瞰図では、視点遠方は、視点からの俯角が小さいため、縮小率が大きくなり、単位面積当たりに表示される文字データが多くなる性質がある。従って、鳥瞰図では、視点遠方で文字データと文字データの重なりが発生しやすくなるという第6の問題がある。
【0025】
そこで、本発明の描画判定手段は、地図データ中の文字データ位置の視点からの距離が近いほど、該文字データの表示の優先順位を高くすることが望ましい。このようにすれば、優先順位の高いものを、低いものの上に重ねて表示することにより、文字列の欠損を防止して、判読を容易にすることができる。
【0026】
なお、現在地を底辺近傍、または視点近傍にする場合、この優先順位の基準として、表示される高さや、視点からの距離を基準にすることが好ましい。重なって表示される2以上の文字列がある場合、表示される高さ(表示画面における底辺からの高さ)が低い(あるいは視点からの距離が近い)ほど優先して(すなわち、他の文字列に覆われないように、他の文字列の上に重ねて)表示するようにすれば、現在地近傍の文字データが、他の表示に覆われるて欠損することなく表示される。そこで、このようにすれば、ユーザが希望するであろう現在地に近い文字情報の欠損を防止でき、その文字列の判読が容易になる。
【0027】
上述のように、鳥瞰図表示を行うと、視点から遠い領域(俯角の小さい領域)では、単位面積当たりに描画される線データ、面背景データ、および文字データが大量になる。従って、これらのデータのうち文字データを、他のデータの上に重ねて描画する場合には、視点遠方領域では、文字データによって線データや面背景データが覆い隠されてしまうため、視点遠方の道路等の形状を読みとることが困難になることがあるという第7の問題がある。
【0028】
そこで、本発明の描画判定手段は、地図を透視変換した結果得られる画面上での文字列を描画する高さが、所定の値より高い場合は、描画対象から削除することが望ましい。あるいは、描画判定手段は、視点から所定の距離以遠の位置に定義された文字列について、描画対象から削除するようにしてもよい。このように、所定の高さ以上または所定の距離以遠の領域、すなわち、鳥瞰図表示した場合に、俯角が小さくなるため単位面積当たりに描画されるデータ量が非常に多くなる領域については文字列を描画しないようにすることにより、この領域の道路表示や面背景表示等が文字列表示により覆われなくなる。従って、このようにすれば、鳥瞰図表示をしても、視点遠方の道路等の認識が阻害されにくいという利点がある。
【0029】
【実施例】
以下、図面を用いて、本発明の一実施例について説明する。
本実施例のナビゲーションシステムに搭載された鳥瞰地図表示装置により表示される鳥瞰地図の例を図1に示す。本実施例の鳥瞰地図表示装置は、2次元地図データ(図1では101として図示)の投影図として、特定位置から鳥瞰した状態を示す鳥瞰図102を作成し、ディスプレイ2の表示画面に表示する。なお、図1に示した鳥瞰図102において、路線104は、径路を示すために強調表示されている(図1では線の幅を太くすることにより強調を表現しているが、点滅や変色により強調してもよい)。マーク105は現在位置を示すための記号である。また、図1において、矢印は、2次元地図データ101から鳥瞰図102への投影関係を表している。
【0030】
本実施例の移動体ナビゲーションシステムの外観斜視図を図17に示す。本実施例のナビゲーションシステムは、筐体69に収納されており、筐体69には、ディスプレイ2の表示画面と、スクロールキー66と、縮尺変更キー67と、投射角度変更キー68とディスプレイ2の表示画面上に設けられたタッチパネル70などを備える。
【0031】
スクロールキー66は、表示画面に表示される画像のスクロール指示を受け付けるためのキーであり、上下左右へのスクロール指示をそれぞれ受け付けるための4つの方向指定キー660を備える。縮尺変更キー67は、表示画面に表示される地図の縮尺の変更を受け付けるためのキーであり、拡大、縮小をそれぞれ受け付けるための2つの縮尺指定キー67a,67bを備える。投射角度変更キー68は、表示画面に表示される鳥瞰図の投射面の角度の指定を受け付けるためのキーであり、投射角度の上昇、下降をそれぞれ受け付けるための2つの角度指定キー68a,68bを備える。また、タッチパネル70は、該タッチパネル70表面への接触を検出して、接触された位置を出力する入力手段である。
【0032】
本実施例の移動体ナビゲーションシステムは、図2に示すように、演算処理部1と、該演算処理部1に信号線S1を介して接続されたディスプレイ2と、該演算処理部1に信号線S2を介して接続された地図記憶装置3と、該演算処理部1に信号線S3を介して接続された音声入出力装置4と、該演算処理部1に信号線S4を介して接続された入力装置5と、該演算処理部1に信号線S5を介して接続された車輪速センサ6と、該演算処理部1に信号線S6を介して接続された地磁気センサ7と、該演算処理部1に信号線S7を介して接続されたジャイロ8と、該演算処理部1に信号線S8を介して接続されたGPS(Global Positioning System)受信装置9と、該演算処理部1に信号線S9を介して接続された交通情報受信装置10とを備える。なお、各信号線S1〜S9は、信号を伝達することができれば、有線であると、無線であるとを問わないが、本実施例では有線回線が用いられている。
【0033】
演算処理部1は、各種センサ6〜9から出力される情報を基に現在位置を検出し、得られた現在位置情報をもとに必要な地図情報を地図記憶装置3から読み込むと共に、地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地マークを重ね表示したり、ユーザから指示された目的地と現在地を結ぶ最適な道路を選択し、音声やグラフィック表示を用いてユーザに知らせる、等といった様々な処理を行う中心的なユニットである。
【0034】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットで、CRTや液晶ディスプレイで構成される。また、通常演算処理部とディスプレイとの間S1は、通常のシステムと同様に、本実施例でも、RGB(Red Green Blue)信号やNTSC(National Television System Committee)信号で接続する。
【0035】
地図記憶装置3は、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)やIC(Integrated Circuit)カードといった大容量記憶媒体を備え、演算処理部1の要求に応じて、該大容量記憶媒体に保持されたデータを読み出してこれを演算処理部1に通知する読み出し処理や、演算処理部1より通知されたデータを該大容量記憶媒体に格納する書き込み処理を行う。
【0036】
また、音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを変換し、音声出力を行うと共に、音声入力を受け付けて、その内容を認識し、演算処理部1に転送する処理を行う。
【0037】
入力装置5は、外部からの指示入力を受け付けるユニットであり、本実施例では、上述のスクロールキー66、縮尺変更キー67、投射角度変更キー68、およびタッチパネル70を備える。なお、入力装置5の構成はこれに限られず、ジョイスティック、キーボードやマウス、ペン入力装置など、他の入力手段を用いてもよい。
【0038】
また、移動体ナビゲーションで位置を検出するために使用するセンサとして、本実施例のナビゲーションシステムは、車輪の円周と計測される車輪の回転数の積から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数の差から移動体が曲がった角度を計測する車輪速センサ6、地球が保持している磁場を検知し移動体が向いている方位を測定する地磁気センサ7、移動体が回転した角度を測定し、光ファイバジャイロ、振動ジャイロなどで構成されるジャイロ8、および、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行方向及び進行方位を測定するGPS受信装置9を備える。
【0039】
さらに、本実施例のナビゲーションシステムは、道路の渋滞、工事、通行止め情報や駐車場情報といった交通情報を発するビーコン送信機やFM放送からの信号を受けるため、交通情報受信装置10を備える。
【0040】
上述した演算処理部1のハードウェア構成を、図3に示す。演算処理部1は、数値演算および各デバイス22〜31の制御といった処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、地図や演算データを保持するためのRAM(Random Access Memory)22と、プログラムを保持するためのROM(Read Only Memory)23と、高速にメモリ−メモリ間及びメモリ−各デバイス間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、ベクトルデータをイメージに展開するといったグラフィックス描画を高速に実行し、かつ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号と同期をとりバス上にのせるI/O(Input/Output)装置30と、パルス信号を積分するカウンタ31とを備える。これらのデバイス21〜31は、相互にバスで接続されている。
【0041】
つぎに、図4を用いて演算処理部1の機能構成について説明する。演算処理部1は、ユーザ操作解析手段41と、径路計算手段42と、径路誘導手段43と、地図描画手段44と、現在位置演算手段45と、マップマッチ処理手段46と、データ読み込み処理手段47と、メニュー描画手段48と、グラフィックス処理手段49とを備える。これらの各手段41〜49は、ROM23に保持されたインストラクションをCPU21が実行することにより実現される。
【0042】
現在位置演算手段45は、車輪速センサ6で計測される距離パルスデータ、およびジャイロ8で計測される角加速度データを各々積分した結果得られる距離データ及び角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)をもとに移動体走行後の位置(X’,Y’)を演算する処理を行う。ここで、現在位置演算手段45は、移動体の回転した角度と進む方位の関係を一致させるため、地磁気センサ7から得られる方位データとジャイロから得られる角度データから進む方向の絶対方位を補正する。上述のようにセンサから得られたデータを積分してゆくとセンサの誤差が蓄積する。そこで、現在位置演算手段45は、あるあらかじめ定められた時間周期(本実施例では1秒ごと)で、GPS受信装置9より得られる位置データをもとに、蓄積された誤差をキャンセルするという補正処理を施し、現在位置情報としてこの補正後のデータを出力する。
【0043】
このようにして得られた現在位置情報には、依然として、センサに起因する微小な誤差が含まれている。そこで、さらに位置精度を高めるため、本実施例のナビゲーションシステムでは、マップマッチ処理手段46により、マップマッチ処理を行う。これは、データ読み込み処理手段47によって読み込まれた現在地周辺の地図に含まれる道路データと、現在位置演算手段45から得られた走行軌跡を互いに照らし合わせ、形状の相関が最も高い道路に現在地を合わせ込むという処理である。マップマッチ処理を施すことで現在地は多くの場合走行道路と一致するようになるため精度よく現在位置情報を出力することができる。
【0044】
一方、ユーザ操作解析手段41は、入力装置5を介して受け付けられた操作指示の要求内容を解析し、対応する処理が実行されるよう各ユニット42〜48を制御する。例えば、目的地までの経路誘導要求が入力されたときは、目的地を設定するため地図を表示する処理を地図描画手段44に要求した後、現在地から目的地までの経路を演算する処理を経路計算手段42に要求し、そして経路誘導手段43に経路誘導情報をユーザに提示する処理を要求するように動作する。
【0045】
経路計算手段42は、ダイキストラ法等を用い指定された2地点間の結ぶノードを検索し、最も優先順位の高い径路を求める。径路計算手段42は、優先順位の基準を複数備え、径路の決定に、操作指示により指定された基準を用いる。本実施例では、操作指示に応じて、2地点間の距離が最短になる経路、最も短い時間で到達可能な経路、あるいは最もコストが安くなる経路等が求められる。
【0046】
経路誘導手段43は、経路計算手段42で求められた誘導経路のリンク情報と現在位置演算手段45及びマップマッチ処理手段46で求められる現在位置情報を比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかなどの方向指示情報を音声入出力装置4に通知し、音声として出力させたり、ディスプレイ2の表示画面に表示された地図上に進行すべき方向を描画したりする。
【0047】
データ読み込み処理手段47は、要求された領域の地図データを地図記憶装置3から読み込み準備するように動作する。また地図描画手段44は、表示の指定がされた地点周辺の地図データをデータ読み込み処理手段47から受け取り、指定された縮尺で、指定された方角を上方向に、指定されたオブジェクトを描画するコマンドをグラフィック処理手段49に転送するように動作する。
【0048】
一方、メニュー描画手段48は、ユーザ操作解析手段41から出力される命令を受け、要求される様々な種類のメニューを描画するコマンドをグラフィック処理手段49に転送するように動作する。
【0049】
グラフィックス処理手段49は地図描画手段44およびメニュー描画手段48で生成される描画コマンドを受け、VRAM26にイメージを展開する。
【0050】
つぎに、地図描画手段44の機能を図5を用いて説明する。地図描画手段44は、初期データクリップ手段61と、座標変換手段62と、描画判定手段63と、データクリップ手段64と、描画命令発行手段65とを備える。
【0051】
初期データクリップ手段61は、データ読み込み処理手段47によって地図記憶装置3より取り込まれた地図データの各メッシュから、以後の処理に必要な領域に関する道路データ、面及び線背景データ、文字データをクリップ処理で選択して、その結果を座標変換手段62に通知する。本実施例では、初期データクリップ手段61は、0.5秒周期で起動される。また、ユーザ操作解析手段41からの操作指示通知によっても起動される。
【0052】
ここで使用するクリップ処理アルゴリズムとして、道路データや線データに関してはCohen−Sutherland線クリップアルゴリズム、面データに関してはSutherland−Hodgmanポリゴンクリップアルゴリズム等がある(Foley, van Dam, Feiner, Hughes : Computer Graphics : Addison-Wesley Publishing Company pp.111-127)。この処理により、以後の座標変換や描画処理をすべきデータ量を削減することが可能になるため高速化が見込まれる。
【0053】
座標変換手段62は、クリップ処理により得られた地図データの拡大縮小、回転、投影処理など、地図データの各座標値を変換する処理を行う。座標変換手段62は、初期データクリップ手段61またはユーザ操作解析手段41からの通知に応じて起動される。
【0054】
描画判定手段63は、座標変換手段62で得られた地図データで実際に描画する必要のあるデータを選択するように働く。例えば、描画判定手段63は、縮尺が大きくなったときには実質的に描画するデータ量が増えるため、細い道路や省略可能な地名などを削除するように動作する。これにより、描画のための処理速度が極端に遅くなるのを防ぐことができる。描画判定手段63は、座標変換手段62またはユーザ操作解析手段41からの通知に応じて起動される。
【0055】
データクリップ手段64は、描画判定手段63によって得られる地図データから、描画領域に関する地図データをクリップ処理により選択するように動作する。ここで使用するクリップ処理アルゴリズムは初期データクリップ手段と同じアルゴリズムを使用可能である。データクリップ手段64は、描画判定手段63またはユーザ操作解析手段41からの通知に応じて起動される。なお、データクリップ手段64は省略してもよい。
【0056】
描画命令発行手段65は、データクリップ手段64により得られた地図データに含まれる道路や面および線、背景データ、文字データなどを指定された色や模様で描画するため、ライン、ポリゴン、文字等を描画するコマンドや色、模様を設定するコマンドをグラフィックス処理手段49に発行するように動作する。描画命令発行手段65は、データクリップ手段64からの通知に応じて起動される。
【0057】
本実施例では、初期データクリップ手段61は、0.5秒ごとに起動され、クリップ処理の結果得られたデータを座標変換手段62に通知する。従って、本実施例では、外部からの操作指示の場合を除いて、0.5秒ごとに描画が行われることになる。
【0058】
つぎに、鳥瞰図表示の概要を図6を用いて説明する。
印刷された地図帳や従来のナビゲーションシステムでは、地図を表示するとき、地上から無限遠点から見るという平面地図表示で表現している。平面地図表示では、同一画面内はその地点によらず縮尺が一定になるという利点があるため距離感を掴みやすい。しかし、ある2地点間を同一画面に表示しようとすると、地図を表示する縮尺が最適になるように調整するという操作が必要になるとともに、その2地点間の距離が離れていると一度に表示可能な情報量はディスプレイの大きさや精細度によって制約されるため限られた情報しか表示できないという欠点がある。この問題を解決する手段として鳥瞰図表示がある。
【0059】
鳥瞰図表示は、平面Aの2次元的ないし3次元的な地図情報3を、平面Aとある角度θをなす平面Bに投射して投影図情報4を得るという透視変換により実現される。図6に示した概念図では、座標(Tx,Ty,Tz)の点55を視点として、平面A(四角形51として図示)上の矩形で表現された地図53(点a,点b,点c,点dを頂点とする四角形で表されている)を、平面Aと角度θをなす平面B(四角形52として図示)に投影して投影図54(点a’,点b’,点c’,点d’を頂点とする四角形で表されている)を得る場合が図示されている。ここで、地図53の点a,点b,点c,点dは、それぞれ点a’,点b’,点c’,点d’に投影されている。なお、本明細書においては、投影処理において視点座標系の原点である視点55を、単に「視点」と呼ぶ。本明細書では、単に「視点」という場合、ユーザの目の位置としての「視点」は意味しない。
【0060】
鳥瞰図表現を行うと、視点55に近い部分(例えば直線ab)の情報は拡大され、視点から遠い部分(例えば直線cd)の情報は縮小されて表現される。これにより、ある2地点間を同一画面に表示する場合には、より詳細な情報を得たい地点を視点の近くに、もう一方を視点の遠くとし、2地点を同一画面に表示することで、互いの位置間隔をわかりやすく表現できると共に、視点の近くの情報についてはより大量の情報をユーザに提供することが可能になる。
【0061】
本実施例では、鳥瞰図表示に使用する地図情報に2次元的な地図データを使用することが可能なので、従来のナビゲーションシステムにこのような透視変換を行う手段を付加することで、新たな地図データ量を加えることなく鳥瞰図表示を実現することができる。本実施例では、座標変換手段62により、この透視変換が実行される。なお、鳥瞰図表示の実現にあたっては、後述するような、様々な工夫を行うことが望ましい。
【0062】
まず、基本的な鳥瞰図表示の実現方法について図7を用いて説明する。
最初に、座標変換手段62は、視点の位置を定め、該視点位置からどの方角を見るか、そして、投影面の角度(図6では角度θとして図示)を決定する(ステップ1)。これにより、鳥瞰図表示すべき領域が決定される。矩形の表示画面に鳥瞰図を表示する場合、視点近傍の領域は狭く、視点遠方の領域は広くなる。そこで、最終的に描画される地図データは、地図メッシュ71内の台形領域72となる。
【0063】
次に、座標変換手段62は、初期データクリップ手段61を用い、鳥瞰図表示すべき領域を含む地図メッシュデータ71から、実際に描画する台形領域72に外接する矩形領域73の地図データを抽出する(ステップ2)。
【0064】
次に、座標変換手段62は、抽出されたデータを拡大ないし縮小した後、アフィン変換をかけ、台形が正立するようにしたのち、さらに透視変換により地図データの各座標値をデータ変換する(ステップ3)。このときの、アフィン変換のによる座標変換は、平面Aと平面Bがなす角度をθ、変換前の地図データ座標値を(x,y)、変換後の地図データ座標値を(x’,y’)とすると、つぎの(数1)により表現される。
【0065】

【数1】
Figure 0003660645
【0066】
また、このときの透視処理における座標変換は、視点の位置座標を(Tx,Ty,Tz)、平面Aと平面Bがなす角度をθ、変換前の地図データ座標値を(x,y)、変換後の地図データ座標値を(x’,y’)とすると、つぎの(数2)および(数3)により表現される。
【0067】

【数2】
Figure 0003660645
【0068】

【数3】
Figure 0003660645
【0069】
ステップ3において、ステップ2の時点では台形72であった描画対象領域は、矩形領域74に変換され、台形72に外接する矩形73は、矩形に外接する四角形75に座標変換される。ここで、四角形75内の領域のうち、描画対象領域74外の部分は描画する必要がない。そこで、座標変換手段62は、データクリップ手段64を用いて、描画対象の矩形領域74外の領域をクリップ処理して除く(ステップ4)。
【0070】
このようにして得られた地図データは、描画命令発行手段65に通知される。描画命令発行手段65は、通知された地図データを用い、描画コマンドを生成してグラフィックス処理手段49に描画データを作成させる。グラフィックス処理手段49は、描画データを作成してVRAM26へ格納し、ディスプレイ2に表示を指示する。ディスプレイ2は、VRAM26に保持された描画データを表示画面に表示する。これにより、図1に示すような鳥瞰地図102がディスプレイ2の表示画面に表示される。
【0071】
ところで、鳥瞰図表示を用いれば、任意の2地点間の方位や位置関係の認識が容易になる。さらに、鳥瞰図表示は、ある地点周辺については詳細な情報を提供し、他の地点周辺については概略の情報を提供する場合に適している。このように、特定の地点周辺について詳細情報または概略情報を提供する場合、その特定の地点の座標をあらかじめ定めておいてもよく、あるいは、あらかじめ定められた条件を満たす座標を求めることによりその位置を定めてもよく、該地点の位置の入力を受け付けてもよい。
【0072】
ナビゲーションシステムでは、一方の地点に現在地が選ばれる場合が多い。この現在地の位置情報は、現在位置演算手段45ないしマップマッチ処理手段46から得られる。そこで、入力装置5を介して、詳細情報表示地点および概略情報表示地点のいずれかに対して現在地が指示された場合、地図描画手段44は、現在位置演算手段45ないしマップマッチ処理手段46から得られる現在地の座標を用いる。
【0073】
しかし、表示画面に表示された地図上の位置の指定を受け付けて、詳細情報表示地点および概略情報表示地点のいずれかとする場合には、ユーザが詳細情報または概略情報を表示する地点を探すために、地図をスクロール表示しなければならないことが多い。しかし、鳥瞰図表示は、表示する領域を変更する度に全面再描画する必要があるため、スクロール速度が遅い。従って、スクロール表示を多様する操作は、使い勝手が悪いという問題がある。
【0074】
この問題を解決するため、本実施例では、座標変換において、図8に示す処理を行う。
【0075】
まず、座標変換手段62は、地図の拡大または縮小が必要であれば(ステップ1000)、処理対象の領域について、拡大または縮小演算を行い(ステップ1010)、地図の回転が必要であれば(ステップ1020)、回転変換処理(ステップ1030)を実行する。なお、回転変換処理(ステップ1030)には、回転角度演算(ステップ1031)とアフィン変換演算(ステップ1032)とが含まれる。
【0076】
つぎに、座標変換手段62は、鳥瞰図表示をするか否か判定する(ステップ1040)。ここで、例えば、入力装置5を介して、任意の地点を地図中から探し出す操作の指示が入力された場合や、入力装置5を介して、平面図の表示の指示が入力された場合は、座標変換手段62は、鳥瞰図表示判定(ステップ1040)において、透視変換を行わないと判定し、透視変換処理(ステップ1050)を実行せずに、座標変換処理を終了する。この場合、透視変換処理が実行されないため、ディスプレイ2の表示画面には、平面地図が表示される。
【0077】
本実施例によれば、任意の地点を地図中から探し出す操作においては、地図が鳥瞰図ではなく平面地図で表示されるため、素早く目標とする地点を探し出すことができる。
【0078】
また、例えば、入力装置5を介して鳥瞰図の表示指示が入力された場合や、平面図表示中に、入力装置5を介して任意の地点が目的地として指示された場合などには、それらの指示をユーザ操作解析手段41を介して受け付けた座標変換手段62は、ステップ1040における鳥瞰図表示判定において、透視変換を要すると判定し、透視変換処理(ステップ1050)を実行する。
【0079】
この透視変換処理(ステップ1050)には、投射角度の演算(ステップ1051)と、投射面の位置演算(ステップ1052)と、透視変換演算(ステップ1053)とが含まれている。これにより、描画命令発行手段65に通知される地図データは、鳥瞰図に変換されたものになるので、グラフィックス処理手段49が作成しVRAM26へ格納する描画データも、鳥瞰図のものになる。従って、ディスプレイ2に表示される地図も、平面図から鳥瞰図に切り替わる。
【0080】
このように、鳥瞰図から平面図へ、平面図から鳥瞰図へ、任意に切り替えることができるため、本実施例によれば、わかりやすい地図表現を提供することができる。
【0081】
また、上記処理に於いて発生する平面地図から鳥瞰図への画面切り替え、または入力装置5などを介しユーザから平面地図表示から鳥瞰図表示への切り替え、ないし鳥瞰図から平面地図への切り替え指示された場合に、平面地図と鳥瞰図を直ちに切り替えてしまうと画面内の地図表現が大きく変わるため、ユーザは地図の認識が困難になってしまう。そこで、平面図と鳥瞰図との間の移行が徐々に行われるようにすることが望ましい。
【0082】
本実施例では、平面地図から鳥瞰図に画面切り替えが発生したときには、透視変換処理(ステップ1050)における投射角度θ演算(ステップ1051)において、投射角度θを0°から経時的に(本実施例では0.5秒ごとに)徐々に(本実施例では5°ずつ)増加させ、目的の投射角度になった時点で増加を中止するように動作させる。このとき増加する投射角度単位は一定値にすると良い。
【0083】
このように、経時的に投射角度を増加させ、透視変換演算(ステップ1053)することで平面地図から鳥瞰図へ滑らかに変化するため、ユーザは平面地図と鳥瞰図に表示された地点の位置関係を容易に把握することができるようになる。なお、鳥瞰図から平面地図に切り替える場合にも最初に設定されていた投射角度から0度まで時系列的に徐々に減少させることで、上述同様の効果を得ることができる。
【0084】
つぎに、鳥瞰図表示における透視変換パラメータである地図と投射面とのなす角θ(投射角)、および、地図平面が含まれる物体座標系から見た投射面が含まれる視点座標系の原点座標(Tx,Ty,Tz)、即ち投射面の位置の決定方法について図8、図9を用いて説明する。
【0085】
ナビゲーションシステムでは、一般に、ユーザが現在走行している地点、即ち現在地の周辺を詳細に表示することが望まれている。そこで、まず、図9の(c)に示すように、現在地が画面中央下側に位置するように鳥瞰図表示する場合について説明する。この場合、画面上には現在地から見た進行方向前方と、これまで走行してきた道路地図が鳥瞰図表示される。なお、図9(a)に地図メッシュ91における視界(描画表示される範囲)92を示し、図9(b)に鳥瞰図を得るための視点位置および投射角度を示す。また、図9(c)に、得られる鳥瞰図表示における現在地の位置と進行方向を示す。なお、図9において点線の矢印は進行方向を示す。
【0086】
図9(c)のような鳥瞰図表示を実現するため、座標変換手段62は、まず、必要な拡大/縮小処理を実行したのち(ステップ1000および1010)、回転を要すると判断して(ステップ1020)、図9(a)に示すように進行方向ベクトルと地図メッシュの底辺がなす角度φを求め(ステップ1031)、さらに描画する地図データについて角度φだけ回転するというアフィン変換を各座標値に対して行う(ステップ1032)。
【0087】
ステップ1040では鳥瞰図表示すると判定されるので、座標変換手段62は、投射角度θおよび視点位置を演算する処理を実行する(ステップ1051および1052)。
【0088】
投射角度θは、例えば、0°の近傍に設定すれば、視点近傍と視点遠方の縮尺の差が小さくなり、90°の近傍に設定すれば、視点近傍と視点遠方の縮尺の差が大きくなる。本実施例では、通常、投射角度θを30°〜45°程度に設定する。
【0089】
なお、本実施例では、座標変換手段62は、ユーザ操作解析手段41から通知された角度変更方向指示(投射角度変更キー68により入力されたもの)に応じて、投射角度θを変更する。すなわち、ユーザ操作解析手段41は、上昇を示す角度指示キー68aの押下を検出すると、投射角度の上昇指示を座標変換手段62に通知する。また、押下が、この投射角度上昇指示の通知から0.5秒継続されたことを検出するたびに、座標変換手段62に投射角度の上昇指示を通知する。この上昇指示の通知を受けた座標変換手段62は、投射角度θを5°増加させる(すなわち、投射角度を5°上昇させる)。また、投射角度の下降指示についても、同様であり、下降を示す角度指示キー68bの押下および0.5秒間の継続のたびに、ユーザ操作解析手段41は、投射角度下降指示を座標変換手段62に通知し、これを受けた座標変換手段62は、投射角度θを5°減少させる(すなわち、投射角度を5°下降させる)。
【0090】
このようにすることで、本実施例では、鳥瞰図地図表示で表示すべき地図領域をユーザが任意に設定できる。このようにして、投射角度の増加が指示された場合は、投射角度θが増えるためより遠方の地図が表示される。また投射角度を減少すると操作された場合は投射角度θが減るために現在地近傍の地図が表示されるようになる。
【0091】
つぎに、座標変換手段62は、投射面の位置(Tx,Ty,Tz)を、現在地(x,y,z)から投射面の位置(Tx,Ty,Tz)を引いた差分値(Δx,Δy,Δz)が常に一定値になるように求める(ステップ1052)。また、座標変換手段62は、絶対量としては、Δxは0を、Δzには地図を表示する縮尺に合わせ小さな縮尺で表示するときはΔzに小さな値を、大きな縮尺で表示するときはΔzに大きな値を設定する。通常は、平面図の縮尺と鳥瞰図表示の中央付近のある一点の縮尺が一致するようにΔzを選択すると良い。
【0092】
また、地図の縮尺はユーザの要求に応じ変更できることが望まれる。そこで、本実施例では、座標変換手段62は、ユーザ操作解析手段41から通知された縮尺変更指示(縮尺変更キー67により入力されたもの)に応じて、表示される地図の縮尺を変更する。すなわち、ユーザ操作解析手段41は、拡大指示キー67aの押下を検出すると、拡大指示を座標変換手段62に通知する。また、押下が、この拡大指示の通知から0.5秒継続されたことを検出するたびに、座標変換手段62に拡大指示を通知する。この拡大指示の通知を受けた座標変換手段62は、ステップ1052において、Δzを所定の値だけ増加させる。縮小指示についても、同様であり、縮小指示キー67bの押下および0.5秒間の継続のたびに、ユーザ操作解析手段41は、縮小指示を座標変換手段62に通知し、これを受けた座標変換手段62は、ステップ1052において、Δzを所定の値だけ減少させる。
【0093】
本実施例では、Δyは、図9に示すように負の値を採ることもできるが、図15に示すように正の値を取ることもできる。本実施例では、視点位置が、現在地の前方及び後方のどちらになった場合でも、何ら問題なく鳥瞰図表示ができる。なお、図15は、図9に示したものと同様の範囲の異なる視点の鳥瞰図を得る場合の説明図である。図15(a)に地図メッシュ151における視界(描画表示される範囲)152を示し、図15(b)に鳥瞰図を得るための視点位置および投射角度を示す。また、図15(c)に、得られる鳥瞰図表示における現在地の位置と進行方向を示す。なお、図15において点線の矢印は進行方向を示す。
【0094】
本実施例では、座標変換手段62は、ユーザ操作解析手段41から通知された視点位置(タッチセンサ70により入力されたもの)に応じて、視点の位置(具体的にはΔy)を決定する。すなわち、ユーザ操作解析手段41は、タッチセンサ70への接触を検出すると、接触位置を座標変換手段62に通知する。この位置情報の通知を受けた座標変換手段62は、ステップ1052において、視点が通知された位置になるようにΔyを設定する。
【0095】
上述のように、本実施例では、ユーザの指示に応じて、Δyを正〜負の広い範囲の任意の値に設定できる。従って、本実施例によれば、詳細に表示される位置を柔軟性に設定することができる。
【0096】
最後に、座標変換手段62は、このようにして得られた投射角度θおよび投射面の位置(Tx,Ty,Tz)を用いて地図データの各座標値を透視変換(ステップ1053)する。得られた地図データを用いてグラフィックス処理手段49が描画処理することで、図9(c)および図15(c)に示す地図の鳥瞰図表示において、進行方向が常に上方向になり、かつ現在地が画面上の同一地点に表示されるようになる。
【0097】
ナビゲーションシステムでは、ユーザが現在走行している地点、即ち現在地周辺を詳細に表示することが望まれている。そこで、上述のように、本実施例のナビゲーションシステムでは、図9(c)、図10(c)、図15(c)および図16(c)に示すように、現在地を画面中央下側に表示する。
【0098】
本実施例のナビゲーションシステムでは、タッチパネル70への接触を介して、目的地の指定を受け付けることができる。本実施例のナビゲーションシステムは、目的地が指定されると、その目的地が視野(表示画面に描画される範囲)に含まれるように描画する。この際、座標変換手段62は、上述のように現在地が画面中央下側になるように、さらに、目的地が画面中央上側になるように(図10(c)および図16(c)に図示)、回転角度φを定める。
【0099】
この場合の鳥瞰図表示方法について図8、図10、図16を用いて説明する。なお、図10は、現在地と目的地とが両方同一画面(視野)に描画されるような鳥瞰図を得る場合の説明図であり、図16は、図10に示したものと同様の範囲の異なる視点の鳥瞰図を得る場合の説明図である。図10(a)および図16(a)に地図メッシュ161における視界(描画表示される範囲)162を示し、図10(b)および図16(b)に鳥瞰図を得るための視点位置および投射角度を示す。また、図10(c)および図16(c)に、得られる鳥瞰図表示における現在地と目的地の位置を示す。図10および図16における点線の矢印は、目的地の方向を表す。
【0100】
なお、ここでは、画面中央下側を現在地、画面中央上側を目的地として表示する場合を例に説明するが、任意の二点の指定入力を受け付けて、該二点の一方を画面中央下側に、他方を画面中央上側に表示する場合も、同様にして処理される。
【0101】
図10(c)、図16(c)のような鳥瞰図表示を実現するため、座標変換手段62は、ステップ1031において、図10(a)および図16(a)に示すように現在地と目的地を結ぶ線分に垂直な線と地図メッシュの底辺がなす角度φを求め、ステップ1032において、描画する地図データの各座標値を角度φだけアフィン変換する。
【0102】
ステップ1040では鳥瞰図表示すると判定されるので、つぎに、座標変換手段62は、投射角度θおよび視点位置を演算する処理に移る(ステップ1051および1052)。上述のように、投射角度θの初期値は30〜40°のあらかじめ定められた値であり、投射角度変更キー68による入力に応じて変更される。また、投射面の初期位置も、上述のように現在地の座標から投射面の位置座標を引いた差分値があらかじめ定められた値になる用に決定され、縮尺指定キー67による入力に応じて変更される。また、座標の回転には、上記(数2)および(数3)に示した変換式が用いられ、アフィン変換には、上記(数1)に示した変換式が用いられる。なお、投射面の位置を示すパラメータTy及びTzは、Txにある適当な値、例えば0を代入し、現在地及び目的地の位置座標及び表示する位置を代入し、連立1次方程式を解くことで求められる。
【0103】
つぎに、座標変換手段62は、透視変換演算処理(ステップ1053)を実行する。すなわち、座標変換手段62は、上述のようにして得られた投射角度θおよび投射面の位置を用い、地図データの各座標値を透視変換する。
【0104】
これにより、得られた地図データを用いてグラフィックス処理手段49が描画処理することで、現在地及び目的地を同一画面に表示することが可能になる。また、これらの処理を現在地が変わる度に実行すれば、経時的に現在地が変化しても、現在地と目的地が同一画面の同一位置に表示される。なお、鳥瞰図表示中は常にステップ1040における判定において透視変換処理が必要と判断されるようにすれば、常に、現在地の経時的変化に対応して画面表示が変更されることになる。また、ステップ1040における判定において、現在地があらかじめ定められた距離以上に移動した場合のみ、透視変換処理が必要であると判断するようにすれば、現在地が一定距離移動するまでは、同じ鳥瞰地図上で現在地を示すマーク105のみが移動し、現在地が一定距離移動して目的地に近づくと、地図の表示が拡大されたものに変化するようになる。
【0105】
上記処理を現在地が変わる度に実行し、かつ画面上に表示する現在地及び目的地の位置を固定することで、目的地に近づくにつれて地図が拡大表示されるようにすることもできる。
【0106】
また、現在地と目的地との距離が短くなるほど投射角度θを小さな値に変更してゆくことで、現在地と目的地との距離が離れている場合は鳥瞰図表示により互いの関係を理解しやすいように、そして現在地と目的地の距離が近づいた場合は平面図に近い表示にすることもできる。あるいは、逆に、現在地と目的地の距離が短くなるほど投射角度θを大きな値に変更してゆくことで、現在地と目的地との距離が離れている場合は全体の位置関係の把握が容易になるように、平面図を表示し、現在地と目的地との距離が近づくにつれて徐々に視点位置が上昇するように表示することで、距離感を把握しやすいようにしてもよい。
【0107】
つぎに、鳥瞰図表示における文字データの描画方法について説明する。まず、座標変換手段62の透視変換演算(ステップ1053)の詳細を、図11を用いて説明する。
【0108】
座標変換手段62は、まず、入力された地図データが面データか判定する(ステップ1100)。面データと判定すると、座標変換手段62は、投射角度θ演算(ステップ1051)および視点位置演算(ステップ1052)で求められたパラメータを用いて、与えられた面データの各ノード座標値を透視変換する(ステップ1101)。このノードの透視変換処理(ステップ1101)は、入力された全ノードに関する処理が終了するまで繰り返される(ステップ1102)。
【0109】
つぎに、座標変換手段62は、線データについても、面データ同様の処理を実行し、各ノードの座標値を透視変換する(ステップ1103〜1105)。
【0110】
線データに関する処理が終了すると、座標変換手段62は、入力された地図データが文字データか判定する(ステップ1106)。文字データと判定されると、透視変換手段62は、与えられた文字列の描画を開始する地点の座標値について、ステップ1051および1052で求められた投射角度θ及び視点位置座標値を用いて透視変換を行う(ステップ1107)。なお、本実施例では、文字イメージに関して透視変換を行わない。このステップ1107におけるノードの透視変換処理は、入力された全ノードに関する処理が終了するまで繰り返される(ステップ1108)。
【0111】
得られた透視変換結果を用いてグラフィックス描画すると、例えば、図1に示した地図103のような鳥瞰図が得られる。本実施例では、ステップ1107において、文字イメージの透視変換を行わないため、図1の地図103に示すように、文字は全て同じ大きさでかつ正立するように描画される。
【0112】
つぎに、描画判定手段63の処理について図12を用いて説明する。地図データに含まれる各データについて、描画するか否か判定する手段である。
【0113】
まず、描画判定手段63は、入力される地図データに面データが含まれるか判定する(ステップ1200)。面データが含まれると判定した場合、描画判定手段63は、あらかじめ定められた面データ描画判定処理を行う(ステップ1201)。ここで行われる面データ描画判定処理(ステップ1201)は、例えば、あらかじめ面データごとに定められた属性を判断し、必要とする所定の面データを選択する処理である。
【0114】
この面データに関する処理が終了すると、描画判定手段63は、次に、入力される地図データに道路や線背景などの線データが含まれるか判定する(ステップ1202)。線データが含まれると判定すると、描画判定手段63は、あらかじめ定められた線データ描画判定処理を行う(ステップ1203)。ここで行われる線データ描画判定処理(ステップ1203)は、例えば、あらかじめ線データごとに定められた属性を判断し、必要とする所定の線データを選択する処理である。
【0115】
この線データに関する処理も終了すると、描画判定手段63は、次に、入力された地図データに文字データが含まれるか判定する(ステップ1204)。文字データが含まれると判定すると、描画判定手段63は、まず、文字列の描画を開始する地点の座標値について、視点遠方から視点近傍の並びになるように並び替え処理を行う(ステップ1205)。
【0116】
次に、描画判定手段63は、並び替えられた各文字列の描画を開始する地点の高さyと、表示画面上のあらかじめ定められた高さhとの大小関係を比較する(ステップ1206)。なお、本実施例では、高さhは、表示画面の高さを1としたとき、底辺から2/3の高さであり、あらかじめ定めらた一定の値である。これは、通常、底辺からの高さが2/3以上の場合、俯角が非常に小さくなり、描画すべきノードの密度が非常に高くなってしまうからである。しかし、この基準値(高さh)は、視点の高さ等に応じて定められるようにしてもよい。
【0117】
また、文字列を描画するか否かの基準として、その高さではなく、視点からの距離を用いてもよい。例えば、視点と目的地との距離を1とするとき、視点からの距離が2/3以下である文字列のみを描画し、2/3より距離が長い文字列については、描画対象から削除するようにしてもよい。
【0118】
描画判定手段63は、位置判定の結果、画面上で文字列の描画を開始する地点の高さyが高さhより低ければ、その文字列を描画対象とし、高ければ、その文字列を描画対象文字列から削除する(ステップ1207)。このようにして、本実施例では、描画判定手段63により取捨選択された地図データを用いてグラフィックス処理手段49が描画することにより、鳥瞰図表示が繁雑になるのを防ぎ、すっきりと見やすい表示を得ることができる。
【0119】
なお、本実施例では、表示される高さのみを基準として、文字列の描画の有無を決定するが、文字列ごとに優先度をあらかじめ定めておき、表示される高さ(または視点からの距離)に応じて表示する文字列の優先度の範囲を定め、その範囲に含まれる優先度の付された文字列のみを描画するようにしてもよい。例えば、表示する文字列の優先度の上限は、高さに無関係に一定とし、表示する文字列の優先度の下限は、表示画面における高さに応じて高くなるようにすれば、表示画面の上辺に近い領域では、優先度の高い文字列のみが表示され、表示画面の底辺に近い領域では、優先度の高い文字列のみならず、優先度の低い文字列までも表示されることになる。そこで、現在位置を表示画面の底辺付近としている場合には、現在位置に近いほど詳細な文字情報を得ることができ、現在位置から遠ければ、重要な情報のみが表示されることになり、利便性が高い。
【0120】
また、文字列ごとにあらかじめ属性(表示文字の字体、文字列の意味内容等)が定められている場合には、上記優先度の代わりに、この属性を用い、領域ごとにあらかじめ定められた属性の文字のみを表示するようにしてもよい。
【0121】
なお、目的地としてあらかじめ定められた地点に文字列が定義されていれば、該文字列のみは表示するようにしてもよい。
【0122】
上述したステップ1205〜1207は、省略することもできるが、実行することが望ましい。これらのステップの効果を、図13および図14を用いて説明する。なお、図13(a)は、ステップ1205〜1207の並び替え処理および描画文字列選択処理を行わずに描画した場合に得られる鳥瞰図である。図13(b)および図14()は、ステップ1205の並び替え処理を実行し、ステップ1206および1207の描画文字列選択処理を行わずに描画した場合に得られる鳥瞰図である。図14(b)は、本実施例により得られる鳥瞰図、すなわち、ステップ1205〜1207の処理を実行した場合に得られる鳥瞰図である。なお、図13および図14では、面データおよび線データを元に描画される図形等の図示は省略した。
【0123】
ステップ1205の並び替え処理を行わずに鳥瞰図表示すると、図13(a)に示すように、各文字列が、視点との遠近にかかわりなく、文字列の格納順序に従って表示されるため、視点近傍の文字列の上に視点遠方の文字列が重ねて表示されてしまうことがある。
【0124】
一方、ステップ1205による文字列の並び替え処理を実行すると、図13(b)に示すように、視点遠方の文字列と視点近傍の文字列とが重なる場合には、視点から近い方が遠い方の文字列の上に重ねて表示される。このように表示された鳥瞰図は、現在地に近い情報ほど容易に読みとることができるので望ましい。
【0125】
また、ステップ1206および1207による描画文字列選択処理を行わずに鳥瞰図表示すると、図14(a)に示すように、視点から遠くなるほど、視点からの俯角が小さくなるため縮小圧縮され、単位面積当たりに描画される線、面、文字のデータ量が増大する。これらのデータのうち文字データは、他のデータの上に重ねて描画されるため、描画される文字データにより線や面背景が文字データで隠されてしまう。このような鳥瞰図では、遠方の道路や川、緑地帯などの面情報を表示画面から読みとることが非常に困難である。
【0126】
一方、本実施例では、ステップ1206および1207の描画文字列選択処理を実行するため、図14(b)に示すように、表示画面の底辺から高さがhまでの範囲(文字描画範囲)にある文字データは描画され、それ以外の文字データは描画されない。従って、本実施例により描画される鳥瞰図では、視点遠方の道路や川、緑地帯などの面情報を、表示画面から容易に読みとることができる。
【0127】
本実施例の鳥瞰図表示装置およびナビゲーションシステムは、鳥瞰図により表現された地図を表示することができる。従って、本実施例によれば、ユーザは、見やすく、地図内に表示される地点の位置関係が認識しやすい地図表示を得ることができる。このような効果に加えて、本実施例には、つぎに列挙するような効果があると考えられる。
【0128】
第1に、本実施例では、平面地図表示と鳥瞰図表示とを任意に切り替えることができる。従って、本実施例では、ユーザの要求に従って、平面図および鳥瞰図の両方を表示することができる。
【0129】
第2に、本実施例では、鳥瞰図表示および平面地図表示の切り替えるに際して、地図を投射する平面と地図データが含まれる平面のなす角度を時系列で徐々に増加ないし減少させる。すなわち、本実施例では、平面地図表示と鳥瞰図表示との変換において、鳥瞰図を得るための視点が滑らかに移動するようにした。従って、本実施例では、平面図と鳥瞰図との間の移行が滑らかに行われるため、平面地図に表示された地点と鳥瞰地図に表示された地点との相関関係を容易に認識できる。
【0130】
第3に、本実施例では、鳥瞰図を得るための視点を、常に現在位置からある一定方向、一定距離離れた位置に固定することができ、また、操作入力に従って、視点の高さを変更することもできる。視点を固定すれば、常に画面のある一点に現在地が固定されるように鳥瞰図表示されるため、ユーザは現在地を容易に把握できるようになる。また、本実施例によれば、視点位置をユーザの所望の位置に設定することもできる。
【0131】
第4に、本実施例では、2地点(例えば、現在地と目的地)の位置が指定されると、その2地点が画面上の定められた位置に表示されるように視点及び地図を投射する平面と地図データが含まれる平面のなす角度を決定し、その結果を用い鳥瞰図表示を実行する。従って、本実施例によれば、当該2地点の位置的関係を容易に判断することができる。また、当該2地点の位置が変化した場合でも、常に同じ画面内に表示されるので、ユーザは複雑な操作をすることなく2地点の位置的関係を把握できる。
【0132】
第5に、本実施例の座標変換手段は、文字イメージについては透視変換を行わない。従って、本実施例では、鳥瞰図に含まれる文字は、すべて同じ大きさで正立して表示されるため、判読しやすい。
【0133】
第6に、本実施例の描画判定手段は、地図データ中の文字データ位置の視点からの距離に応じて、文字データ列をソーティングする。すなわち、視点からの位置が近い文字列ほど、表示の優先順位が高いものとして扱われる。従って、本実施例では、視点近傍の文字データが、他の表示に覆われるて欠損することなく表示されるので、視点に近い文字情報の識別が容易になる。
【0134】
第7に、本実施例の描画判定手段は、地図を透視変換した結果得られる画面上での文字列を描画する高さが、所定の値より高い場合は、描画対象から削除する。あるいは、描画判定手段は、視点から所定の距離以遠の位置に定義された文字列について、描画対象から削除するようにしてもよい。このように、所定の高さ以上または所定の距離以遠の領域、すなわち、鳥瞰図表示した場合に、俯角が小さくなるため単位面積当たりに描画されるデータ量が非常に多くなる領域については文字列を描画しないようにすることにより、この領域の道路表示や面背景表示等が文字列表示により覆われなくなるため、本実施例では、鳥瞰図表示をしても、視点遠方の道路等の認識が阻害されない。
【0135】
【発明の効果】
本発明の鳥瞰図表示装置および該装置を備えるナビゲーションシステムは、鳥瞰図により表現された地図を表示することができる。従って、本発明によれば、見やすく、地図内に表示される地点の位置関係が認識しやすい地図表示が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により描画される地図の鳥瞰図表示例を示す説明図である。
【図2】 実施例のナビゲーションシステムの構成図である。
【図3】 演算処理部のハードウェア構成図である。
【図4】 演算処理部の機能ブロック図である。
【図5】 地図描画手段の機能ブロック図である。
【図6】 地図の透視変換を示す説明図である。
【図7】 鳥瞰図表示のための座標変換過程を示す説明図である。
【図8】 座標変換手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】 鳥瞰図表示のための視点および投射面の設定方法を示す説明図である。
【図10】 鳥瞰図表示のための視点および投射面の設定方法を示す説明図である。
【図11】 透視変換演算の流れを示すフローチャートである。
【図12】 描画判定手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】 文字列の並び替え処理の効果を示す説明図である。
【図14】 描画文字列選択処理の効果を示す説明図である。
【図15】 鳥瞰図表示のための視点および投射面の設定方法を示す説明図である。
【図16】 鳥瞰図表示のための視点および投射面の設定方法を示す説明図である。
【図17】 実施例のナビゲーションシステムの外観斜視図である。
【符号の説明】
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…地図記憶装置、4…音声入出力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…地磁気センサ、8…ジャイロ、9…GPS受信装置、10…交通情報受信装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…I/O装置、31…カウンタ、41…ユーザ操作解析手段、42…経路計算手段、43…経路誘導手段、44…地図描画手段、45…現在位置演算手段、46…マップマッチ処理手段、47…データ読み込み処理手段、48…メニュー描画手段、49…グラフィックス処理手段、61…初期データクリップ手段、62…座標変換手段、63…描画判定手段、64…データクリップ手段、65…描画命令発行手段、66…スクロールキー、67…縮尺変更キー、68…投射角度変更キー、69…筐体、70…タッチセンサ。

Claims (2)

  1. 座標情報を有した道路データ及びこの道路データに関連する座標情報を有する複数の文字列データを含む地図データを格納する地図データ格納手段と、
    車両の現在位置地点を検出する現在位置検出手段と、
    前記車両の現在位置地点を基にした視点位置から前記地図データを透視変換して鳥瞰地図を作成し、前記鳥瞰地図を前記車両の現在位置地点と共にディスプレイに表示すると共に前記車両の進行に伴って前記鳥瞰地図を更新表示する地図描画手段とを備えたナビゲーション装置の地図表示方法であって、
    前記地図描画手段は、
    前記透視変換の視点位置から前記文字列データまでの距離を算出するステップと、
    前記鳥瞰地図上に複数の文字列データが存在する場合には前記視点位置からの距離が遠い方から近い方の順に前記鳥瞰地図上に前記複数の文字列の文字の大きさを同じ大きさで表示するステップと
    を行うことを特徴とするナビゲーション装置の地図表示方法。
  2. 座標情報を有した道路データ及びこの道路データに関連する座標情報を有する複数の文字列データを含む地図データを格納する地図データ格納手段と、
    車両の現在位置地点を検出する現在位置検出手段と、
    前記車両の現在位置地点を基にした視点位置から前記地図データを透視変換して鳥瞰地図を作成し、前記鳥瞰地図を前記車両の現在位置地点と共にディスプレイに表示すると共に前記車両の進行に伴って前記鳥瞰地図を更新表示する地図描画手段とを備えたナビゲーション装置であって、
    前記地図描画手段は、
    前記透視変換の視点位置から前記文字列データまでの距離を算出する距離算出手段と、
    前記鳥瞰地図上に複数の文字列データが存在する場合には前記視点位置からの距離が遠い方から近い方の順に前記鳥瞰地図上に前記複数の文字列の文字の大きさを同じ大きさで表示する文字列表示手段と
    を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
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