JP3813645B2 - 車両用経路誘導装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鳥瞰図方式の道路地図上に目的地までの経路を表示して乗員を誘導する車両用経路誘導装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
車両の後方上空から進行方向の道路を見下ろすように表示する、いわゆる鳥瞰図方式の道路地図をディスプレイに表示するようにした車両用経路誘導装置が知られている(例えば、特開平1−263688号公報参照)。
この種の車両用経路誘導装置では、例えば細街路や市庁村道などの狭い地域に対応する情報(この明細書では狭域情報と呼ぶ)から、高速道路や国道などの広い地域に対応する情報(この明細書では広域情報と呼ぶ)までの情報を含む下位階層の道路地図データと、広域情報のみを含む上位階層の道路地図データとを有し、表示画面の下部、すなわち視点に近い部分は下位階層の道路地図データを用いて道路地図を描画し、表示画面の上部、すなわち視点から遠い部分は上位階層の道路地図データを用いて道路地図を描画している。
【0003】
しかしながら、上述した従来の車両用経路誘導装置では、下位階層の道路地図データにより表示画面下部に狭域情報から広域情報までを描画しているので、表示画面下部の視点に近い部分には、乗員にとって重要度の低い広域情報と重要度の高い狭域情報とが表示され、表示画面が煩雑になって重要度の高い狭域情報が読みづらくなるという問題がある。
例えば、狭域情報には狭い地域に対応する名称(この明細書では狭域名称と呼ぶ)が含まれており、広域情報には広い地域に対応する名称(この明細書では広域名称と呼ぶ)が含まれているので、表示画面下部の視点に近い部分には、乗員にとって重要度の低い広域名称と重要度の高い狭域名称とが表示され、表示画面が煩雑になって重要度の高い狭域名称が読みづらくなる。
【0004】
また、広域度が高い情報ほど下位から上位の階層の道路地図データに重複して記憶されるため、全体のデータ量が多くなって大容量の記憶装置が必要となり、装置のコストが増加するという問題もある。
【0005】
さらに、狭域情報から広域情報までを含む下位階層の道路地図データでは、狭域情報の位置を正確に表わすために道路地図座標系における座標が細かく区分されている。一方、広域情報のみを含む上位階層の道路地図データでは、広域情報の位置をそれほど正確に表わす必要がなく、且つデータ量を低減するために道路地図座標系における座標が広く区分されている。
高速道路や国道などの広い地域にまたがる道路(この明細書では広域道路と呼ぶ)は広域情報に含まれ、市庁村道や細街路などの狭い地域に存在する道路(この明細書では狭域道路と呼ぶ)は狭域情報に含まれる。広域道路は下位階層の道路地図データと上位階層の道路地図データの両方に含まれるので、下位階層の道路地図データを用いて表示画面下部に広域道路を描画し、上位階層の道路地図データを用いて表示画面上部に広域道路を描画した場合、両道路地図データの座標区分の違いによって表示画面の下部と上部の境界部分で両広域道路のずれが生じ、例えば高速道路が境界部分でずれて一本の道路にならないことがある。
そこで、従来の車両用経路誘導装置では、異なる道路地図データで描画される表示画面の境界部分において両方にまたがる広域道路の整合処理を行い、例えば上述した高速道路の境界部分のずれを修正している。
このように、従来の車両用経路誘導装置では、異なる道路地図データで描画される表示画面の境界部分において整合処理を行わなければならないので、その分だけ描画時間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、鳥瞰図方式の道路地図を見やすくした車両用経路誘導装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、狭い地域に対応する情報から広い地域に対応する情報までを階層化した平面道路地図データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている平面道路地図データと経緯線とを鳥瞰図方式の道路地図データに変換する変換手段と、前記変換手段により変換された鳥瞰図方式の道路地図データに基づいて表示手段に鳥瞰図方式の道路地図を描画する描画手段とを備えた車両用経路誘導装置であって、前記平面道路地図データには広い地域に対応する名称(広域名称)から狭い地域に対応する名称(狭域名称)までの階層化された地域名称が含まれており、前記描画手段は、広域名称と前記表示手段の背景とを同一色もしくは同系色で描画するとともに、狭域名称と道路地図上の経緯線とを同一色もしくは同系色で描画し、前記表示手段の背景と道路地図上の経緯線とを異なる色で描画するものであり、前記表示手段の背景を描画した後に経緯線および狭い地域に対応する名称を描画し、さらにその後に広い地域に対応する名称を描画するようにしたものである。
請求項2の車両用経路誘導装置は、前記描画手段によって、少なくとも経緯線を描画する前に狭い地域に対応する道路を描画するようにしたものである。
【0008】
【作用】
請求項1の車両用経路誘導装置では、狭域名称から広域名称までの階層化された地域名称が含まれる平面道路地図データと経緯線とを鳥瞰図方式の道路地図データに変換し、変換された鳥瞰図方式の道路地図データに基づいて鳥瞰図方式の道路地図を描画する。その時、広域名称と表示手段の背景とを同一色もしくは同系色で描画するとともに、狭域名称と道路地図上の経緯線とを同一色もしくは同系色で描画し、表示手段の背景と道路地図上の経緯線とを異なる色で描画する。その際、表示手段の背景を描画した後に経緯線および狭い地域に対応する名称を描画し、さらにその後に広い地域に対応する名称を描画する。
請求項2の車両用経路誘導装置では、少なくとも経緯線を描画する前に狭い地域に対応する道路を描画する。
【0009】
【実施例】
図1は一実施例の構成を示す機能ブロック図である。
この実施例の車両用経路誘導装置はマイクロコンピューターを中心に構成される。方位センサー1は車両の進行方位を検出し、検出した進行方位情報をA/D変換器2およびインタフェース回路3を介してCPU4へ送る。車速センサー5は車両の所定の走行距離ごとにパルス信号を発生し、インタフェース回路3を介してCPU4へ出力する。CPU4は、このパルス信号のパルス数をカウントして車両の走行距離を検出する。GPS受信機6は衛星を利用した位置検出システムの受信機であり、車両の現在地および進行方向などの情報をインタフェース回路3を介してCPU4へ送る。キー7は車両の目的地などを設定するための操作部材であり、インタフェース回路3を介してCPU4へ接続される。
【0010】
CD−ROM8は道路地図データを格納する記憶装置であり、インタフェース用SCSIコントローラー9を介してCPU4に接続され、CPU4からの道路地図読み出し指令に応答して指定範囲の道路地図データをCPU4へ送る。道路地図を表示するディスプレイ10はグラフィックコントローラー11を介してCPU4へ接続され、鳥瞰図方式の道路地図上に目的地までの最適経路と車両の現在地マークを重畳して表示する。V−RAM12は鳥瞰図方式の道路地図データを記憶し、CPU4からの表示指令にしたがってグラフィックコントローラー11を介してディスプレイ10へ出力する。さらにCPU4には、各種データの一時格納用RAM13や後述する制御プログラムを格納するROM14などが接続される。
CPU4は、後述する処理プログラムを実行して二次元平面の道路地図データを鳥瞰図方式の道路地図データに変換し、その鳥瞰図方式の道路地図をディスプレイ10に描画するとともに、その地図上に文字情報と車両の現在地と目的地までの最適経路とを重畳して描画する。
【0011】
ここで、平面道路地図から鳥瞰図方式の道路地図への変換処理を説明する。
図2は、二次元平面の道路地図と鳥瞰図方式の道路地図との関係を示す。
平面道路地図を、東を+X軸方向にとり北を+Y軸方向にとってXY平面上に表わし、このXY平面上の道路の上空をXY平面と直交するZ軸の正の方向にとったXYZの三次元座標系を考える。車両の現在地から目的地と反対方向へ所定距離離れた地点の上空に視点E(VX,VY,VZ)を設定し、この視点Eから視線EFに沿ってXY平面上の道路地図を見下ろすものとする。視線EFとXY平面とのなす角度を見下ろし角θと呼び、視線EFをXY平面上に投影した直線E’Fと、+X軸とのなす角度を視線方向φと呼ぶ。
視線EFと垂直な面上にディスプレイ10の表示枠abcdを設定し、視点E(VX,VY,VZ)から表示枠abcdを通してXY平面上の道路地図を見下ろした時、台形状のABCDの範囲の道路地図を見ることができる。この範囲ABCDが道路地図の表示領域である。
【0012】
視線EFがディスプレイ10の表示枠abcdの中心を通り、且つ車両を見下ろすように設定すると、表示枠abcdの中心に車両の現在地が表示される。このようにした場合、ディスプレイ10の下部表示枠abghは表示領域ABGHに対応し、この下部表示枠abghに狭い領域ABGHの道路地図が表示される。また、上部表示枠ghdcは表示領域GHDCに対応し、この上部表示枠ghdcに広い領域GHDCの道路地図が表示される。すなわち、視点Eに近い範囲の道路地図が拡大されて表示され、視点Eから遠ざかるにしたがって道路地図が縮小されて表示される。
なお、車両の現在地をF(CX,CY)とする。この車両の現在地F(CX,CY)は辺GHの中央に位置する。
【0013】
次に、表示領域ABCDの各頂点を計算する。
図3は、図2に示す三次元座標系のZ=0におけるXY平面を示す。視点E(VX,VY,VZ)のXY平面への投影点E’(VX,VY)を次式により算出する。
【数1】
なお、車両の現在地を表示枠abcdの中央以外の位置に表示する場合にも、視点高さVZと視線方向φが一定であるから視点Eと表示領域ABCDの相対関係も一義的に定まり、数式1にわずかな修正を加えるだけで投影点E’を計算できる。例えば、車両の現在地を表示枠abcdの左右中心線上の上下中心より下側に表示する場合は、数式1の(Vz/tanθ)の項が小さくなるようなθを選べばよい。
【0014】
ここで、図3に示すXY座標系を視点投影点E’(VX,VY)が原点になるように平行移動して、図4に示すようにX’Y’座標系を設定する。さらに、このX’Y’座標系を視線方向がY軸上に来るように回転して、X”Y”座標系を設定する。
なお、図5に示すように、ディスプレイ10の表示枠abcdの横幅を1とした時の縦幅をSとし、視点E(VX,VY,VZ)から表示枠abcdまでの距離をDSとし、視線EFと直線Egとのなす角を半見開き角αとする。
図3に示すXY座標系の表示領域ABCDは、図4に示すX”Y”座標系の表示領域A”B”C”D”に対応する。この新しいX”Y”座標系における表示領域A”B”C”D”の各頂点の座標は次式により与えられる。
【数2】
【0015】
次に、視線方向φを考慮したX’Y’座標系における表示領域A’B’C’D’の各頂点の座標を求める。X’Y’座標系はX”Y”座標系を回転したものであるから、数式2により算出された表示領域A”B”C”D”の各頂点座標を座標軸の回転により変換する。
【数3】
さらに、算出されたX’Y’座標系における表示領域A’B’C’D’の各頂点座標に基づいて、XY座標系における表示領域の各頂点を計算する。XY座標系はX’Y’座標系を平行移動したものであるから、数式3により算出された表示領域A’B’C’D’の各頂点座標をX軸方向にVX、Y軸方向にVYだけ平行移動して座標変換する。
【数4】
【0016】
次に、XY座標系における平面道路地図データからディスプレイ10に表示する鳥瞰図方式の道路地図データへの座標変換について説明する。
図6は、視点E(VX,VY,VZ)を原点とし視線EFを−Z軸にとするEXEYEZ座標系と、ディスプレイ10の表示枠abcdの中心を原点とするSXSY表示座標系と、表示領域ABCDとの関係を示す。
ここで、XY座標系における任意の道路地図データPの座標を(MX,MY)とすると、図4に示すように、点E’(VX,VY)が原点となるように平行移動し(X’Y’座標系)、さらに視線(E’F)がY軸と重なるように回転させたX”Y”座標系における上記任意のデータPの座標(MX”,MY”)は、
【数5】
で求められる。
次に、このX”Y”座標系におけるデータPの座標(MX”,MY”)を、次式によりEXEYEZ座標系の座標(EX1,EY1,EZ1)に変換する。
【数6】
なお、上記数式6に数式5を代入して変形すると次のように表わされる。
【数7】
さらに、EXEYEZ座標系におけるデータPの座標(EX1,EY1,EZ1)を、次式によりSXSY座標系の座標(SX1,SY1)に変換する。
【数8】
SX1=−DS・EX1/EZ1,
SY1=−DS・EY1/EZ1
【0017】
ここで、平面道路地図データは、全国をJIS−X0410に規定される小区画(以下、地域メッシュと呼ぶ)に区分して管理されており、CD−ROM8からの道路地図データの読み込みは地域メッシュ単位で行なわれる。道路地図データは、道路を交差点や屈極点などを示すノードと、ノードとノードとを結ぶリンクによりデータ化されており、各ノードおよび各リンクの位置座標や道路種別に基づく階層化レベル情報とともに記憶されている。また、この平面道路地図データには道路情報の他に鉄道、湖沼、公園などのポリゴン情報が含まれている。
さらに、この平面道路地図データには、行政界とその地名、鉄道と駅名、主要施設名、湖沼名、名所旧跡名など、狭域名称から広域名称までの階層化された地域名称が含まれている。これらの地域名称は、狭域名称と広域名称が道路地図上で互いに重ならないように配置されている。
【0018】
図7、図8は、一実施例の道路地図描画プログラムを示すフローチャートである。これらのフローチャートにより、一実施例の動作を説明する。
キー7のメインスイッチが投入されるとCPU4はこの描画プログラムの実行を開始する。ステップ100において、キー7により設定された目的地情報を読み込み、続くステップ102で車両の現在地と進行方位を検出する。車両の現在地は自立航法により計算してもよいし、GPS航法により検出してもよい。また、両者を併用してもよい。前者は、方位センサー1により検出された進行方位と、車速センサー5からのパルス信号をカウントして測定された走行距離とに基づいて走行軌跡を計算し、マップマッチングにより現在地を特定する。後者は、GPS受信機6により算出された現在地と進行方位を用いる。ステップ104で、周知の経路探索方法により現在地から目的地までの最適経路を計算する。
【0019】
ステップ106において視線EFの方向φを計算する。この視線方向φには、例えばディスプレイ10に表示される最適経路の距離が最大となる方向を設定してもよいし、単に車両の進行方向を設定してもよい。あるいはまた、単に目的地の方向を設定してもよい。続くステップ108で、車両の現在地F(CX,CY)がディスプレイ10の表示枠abcdの中央に表示されるように、視点Eの位置と視線EFを決定する。なお、この実施例では視点EのZ座標VZと見下ろし角θは予め設定した所定値とする。ステップ110で上述した方法により表示領域の頂点A,B,C,Dの座標を計算し、続くステップ112で、CD−ROM8から表示領域ABCDを含む平面道路地図データを地域メッシュ単位で読み込む。そして、ステップ114において、上述した手順で表示領域ABCDの平面道路地図データを鳥瞰図方式の道路地図データに変換する。
【0020】
ステップ120でディスプレイ10の背景を白色で描画し、続くステップ122で道路の階層化レベルに基づいて細街路や市町村道などの狭域道路を黒色で描画する。次にステップ124で、道路地図上の格子線(以下、グリッドラインと呼ぶ)を黒色で描画する。この実施例では、視点Eから視線方向φを90度とする所定の視線EFに沿って真北方向を見た場合の経緯線を鳥瞰図に変換してグリッドラインとして描画する。なお、車両の移動および回転にともなって時々刻々に変化する視点E、視線EFおよび視線方向φに基づいて経緯線を演算し、それらを鳥瞰図に変換してグリッドラインとして描画するようにしてもよい。また、この実施例では狭域道路とグリッドラインとを同一色で描画する例を示すが、同一色でなくても同系色でもよい。ステップ126で、狭域名称を黒色で描画する。なお、狭域名称をグリッドラインと同時に描画してもよい。
この時点において、図9に示すように、表示画面の下部から上部まで狭域道路と狭域名称が描画されるが、表示画面上部の現在地から遠方の領域では、狭域道路上にグリッドラインが密に上書きされるので狭域道路が塗り潰されてしまい、「小易」、「山際」、「四ツ谷」、「上今泉」などの狭域名称も同一色のグリッドラインに埋れてしまう。つまり、表示画面上部の現在地より遠方の領域では、乗員にとって重要度の低い狭域道路と狭域名称とが見えなくなったり、あるいは目立たなくなり、現在地から遠方の道路地図が見やすくなる。
一方、表示画面下部の現在地周辺では、狭域道路や「高森」、「愛甲宮前」などの狭域名称の表示色がグリッドラインと同色もしくは同系色であっても、グリッドラインの表示密度が低いので狭域道路や狭域名称がグリッドラインに埋れて見えなくなることがなく、グリッドラインに重なっても十分に読み取れる。
【0021】
次に、ステップ128で、道路の階層化レベルに基づいて広域道路を例えば赤色で描画する。このように、狭域道路、グリッドラインおよび狭域名称を描画した後で表示画面全体に広域道路を上書きすることにより、表示画面全体で乗員にとって重要度の高い広域道路が見やすく表示される。
ステップ130において、広域名称を背景色と同じ白色で描画する。この時点で、図10に示すように、表示画面の下部から上部まで広域名称が描画されるが、表示画面下部の現在地周辺では「神奈川」などの広域名称が背景色と同色で描画されるので、広域名称が背景の中に埋れてしまう。
このように、表示画面下部の現在地周辺では、乗員にとって重要度の低い広域名称が見えなくなるか、あるいは目立たなくなり、現在地周辺の道路地図が見やすくなる。一方、表示画面上部の現在地より遠方の領域では、黒色の密度の高いグリッドラインおよび狭域道路の上に広域名称が白色で描画されるので、広域名称が見やすくなる。つまり、表示画面上部の現在地より遠方の領域では、乗員にとって重要度の高い広域情報が見やすくなる。
なお、図10に示す広域名称の表示例では、表示画面下部の広域名称「神奈川」は背景と同一色であるから鮮明に見えないのであるが、図を解りやすくするために「神奈川」という狭域名称をはっきりと表示している。また、この実施例では広域名称と背景色とを同一色としたが、同一色でなくても同系色でもよい。
【0022】
なお、上述した実施例では道路地図データベースの中に道路地図情報、ポリゴン情報および地域名称が含まれる例を示したが、階層化された地域名称を別個のデータベースに記憶するようにしてもよい。
また、ディスプレイに表示される各情報の表示色は上述した実施例に限定されない。
【0023】
以上の実施例の構成において、CD−ROM8が記憶手段を、CPU4が変換手段および描画手段を、ディスプレイ10が表示手段をそれぞれ構成する。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、狭域名称から広域名称までの階層化された地域名称が含まれる平面道路地図データと経緯線とを鳥瞰図方式の道路地図データに変換し、変換された鳥瞰図方式の道路地図データに基づいて鳥瞰図方式の道路地図を描画する時に、広域名称と表示手段の背景とを同一色もしくは同系色で描画するとともに、狭域名称と道路地図上の経緯線とを同一色もしくは同系色で描画し、表示手段の背景と道路地図上の経緯線とを異なる色で描画するようにしたので、表示画面の下部から上部まで狭域名称と広域名称を描画しても、表示画面上部の車両の現在地から遠い領域では、乗員にとって重要度の低い狭域名称は同一色もしくは同系色の経緯線の中に埋れて見えなくなる一方、重要度の高い広域名称は表示密度の高い経緯線および狭域名称と異なる表示色で描画されて目立つようになる。また、表示画面下部の車両の現在地周辺の領域では、狭域名称の表示色が経緯線の表示色と同一色もしくは同系色であっても、経緯線の表示密度が低いので狭域名称が経緯線に埋れて見えなくなるようなことがなく、狭域名称に経緯線が重なっても重要度の高い狭域名称を十分に読み取れる上に、重要度の低い広域名称は同一色もしくは同系色の背景の中に埋れて見えなくなる。つまり、表示画面下部の現在地周辺の領域では乗員にとって重要度の高い狭域名称が目立つようになり、表示画面上部の現在地より遠方の領域では乗員にとって重要度の高い広域名称が目立つようになり、鳥瞰図方式の道路地図が見やすくなる。また、従来のように複数の階層の道路地図データに同一の階層の名称が重複して収納されることがないので、道路地図データの容量が削減され、その分だけ記憶装置のコストを低減できる。さらに、従来のように複数の階層の道路地図データにより表示画面を領域分割して描画する必要がないので、分割領域の境界部分における整合処理が不要となり、その分だけ描画時間が短縮される。さらにまた、同一色を用いて情報を描画するので、カラー表示におけるカラーパレットが少なくなり、V−RAMやグラフィックコントローラーなどの描画回路が簡素化され、コストを低減することができる。
さらに、表示手段の背景を描画した後に経緯線および狭い地域に対応する名称を描画し、さらにその後に広い地域に対応する名称を描画するようにしたので、表示画面上部の車両の現在地より遠方の領域では、経緯線および狭域名称が背景の上に高い密度で上書きされ、さらにその上に異なる表示色で広域名称が上書きされるので、背景と広域名称の表示色が同一色もしくは同系色であっても表示色の異なる経緯線および狭域名称の上に広域名称が表示され、表示画面上部の現在地より遠方の領域の重要度の高い広域名称が見やすくなる。
請求項2の発明によれば、少なくとも経緯線を描画する前に狭い地域に対応する道路を描画するようにしたので、表示画面上部の車両の現在地から遠方の領域では、狭域道路上に経緯線が密に上書きされて重要度の低い狭域道路が経緯線の中に埋れてしまい、現在地から遠方の鳥瞰図方式の道路地図が見やすくなる。一方、表示画面下部の現在地周辺では、狭域道路上に経緯線が上書きされても経緯線の密度が低いので重要度の高い狭域道路が十分に読み取れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】二次元平面の道路地図と鳥瞰図方式の道路地図との関係を示す図。
【図3】XY二次元平面上の道路地図の表示領域を示す図。
【図4】図3に示すXY二次元平面地図座標系を、視点が原点となるように平行移動したX’Y’座標系と、さらに視線方向がY軸と重なるように回転したX”Y”座標系を示す図。
【図5】視点Eとディスプレイの表示枠abcdとの関係を示す図。
【図6】視点Eを原点とし視線EFを−Z軸とするEXEYEZ座標系と、ディスプレイの表示枠の中心を原点とするSXSY表示座標系と、表示領域ABCDとの関係を示す図。
【図7】一実施例の道路地図描画プログラムを示すフローチャート。
【図8】図7に続く、一実施例の道路地図描画プログラムを示すフローチャート。
【図9】ディスプレイの表示例を示す図。
【図10】ディスプレイの他の表示例を示す図。
【符号の説明】
1 方位センサー
2 A/D変換器
3 インタフェース回路
4 CPU
5 車速センサー
6 GPS受信機
7 キー
8 CD−ROM
9 SCSIコントローラー
10 ディスプレイ
11 グラフィックコントローラー
12 V−RAM
13 RAM
14 ROM
15 受信機
16 拡張I/O
【産業上の利用分野】
本発明は、鳥瞰図方式の道路地図上に目的地までの経路を表示して乗員を誘導する車両用経路誘導装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
車両の後方上空から進行方向の道路を見下ろすように表示する、いわゆる鳥瞰図方式の道路地図をディスプレイに表示するようにした車両用経路誘導装置が知られている(例えば、特開平1−263688号公報参照)。
この種の車両用経路誘導装置では、例えば細街路や市庁村道などの狭い地域に対応する情報(この明細書では狭域情報と呼ぶ)から、高速道路や国道などの広い地域に対応する情報(この明細書では広域情報と呼ぶ)までの情報を含む下位階層の道路地図データと、広域情報のみを含む上位階層の道路地図データとを有し、表示画面の下部、すなわち視点に近い部分は下位階層の道路地図データを用いて道路地図を描画し、表示画面の上部、すなわち視点から遠い部分は上位階層の道路地図データを用いて道路地図を描画している。
【0003】
しかしながら、上述した従来の車両用経路誘導装置では、下位階層の道路地図データにより表示画面下部に狭域情報から広域情報までを描画しているので、表示画面下部の視点に近い部分には、乗員にとって重要度の低い広域情報と重要度の高い狭域情報とが表示され、表示画面が煩雑になって重要度の高い狭域情報が読みづらくなるという問題がある。
例えば、狭域情報には狭い地域に対応する名称(この明細書では狭域名称と呼ぶ)が含まれており、広域情報には広い地域に対応する名称(この明細書では広域名称と呼ぶ)が含まれているので、表示画面下部の視点に近い部分には、乗員にとって重要度の低い広域名称と重要度の高い狭域名称とが表示され、表示画面が煩雑になって重要度の高い狭域名称が読みづらくなる。
【0004】
また、広域度が高い情報ほど下位から上位の階層の道路地図データに重複して記憶されるため、全体のデータ量が多くなって大容量の記憶装置が必要となり、装置のコストが増加するという問題もある。
【0005】
さらに、狭域情報から広域情報までを含む下位階層の道路地図データでは、狭域情報の位置を正確に表わすために道路地図座標系における座標が細かく区分されている。一方、広域情報のみを含む上位階層の道路地図データでは、広域情報の位置をそれほど正確に表わす必要がなく、且つデータ量を低減するために道路地図座標系における座標が広く区分されている。
高速道路や国道などの広い地域にまたがる道路(この明細書では広域道路と呼ぶ)は広域情報に含まれ、市庁村道や細街路などの狭い地域に存在する道路(この明細書では狭域道路と呼ぶ)は狭域情報に含まれる。広域道路は下位階層の道路地図データと上位階層の道路地図データの両方に含まれるので、下位階層の道路地図データを用いて表示画面下部に広域道路を描画し、上位階層の道路地図データを用いて表示画面上部に広域道路を描画した場合、両道路地図データの座標区分の違いによって表示画面の下部と上部の境界部分で両広域道路のずれが生じ、例えば高速道路が境界部分でずれて一本の道路にならないことがある。
そこで、従来の車両用経路誘導装置では、異なる道路地図データで描画される表示画面の境界部分において両方にまたがる広域道路の整合処理を行い、例えば上述した高速道路の境界部分のずれを修正している。
このように、従来の車両用経路誘導装置では、異なる道路地図データで描画される表示画面の境界部分において整合処理を行わなければならないので、その分だけ描画時間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、鳥瞰図方式の道路地図を見やすくした車両用経路誘導装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、狭い地域に対応する情報から広い地域に対応する情報までを階層化した平面道路地図データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている平面道路地図データと経緯線とを鳥瞰図方式の道路地図データに変換する変換手段と、前記変換手段により変換された鳥瞰図方式の道路地図データに基づいて表示手段に鳥瞰図方式の道路地図を描画する描画手段とを備えた車両用経路誘導装置であって、前記平面道路地図データには広い地域に対応する名称(広域名称)から狭い地域に対応する名称(狭域名称)までの階層化された地域名称が含まれており、前記描画手段は、広域名称と前記表示手段の背景とを同一色もしくは同系色で描画するとともに、狭域名称と道路地図上の経緯線とを同一色もしくは同系色で描画し、前記表示手段の背景と道路地図上の経緯線とを異なる色で描画するものであり、前記表示手段の背景を描画した後に経緯線および狭い地域に対応する名称を描画し、さらにその後に広い地域に対応する名称を描画するようにしたものである。
請求項2の車両用経路誘導装置は、前記描画手段によって、少なくとも経緯線を描画する前に狭い地域に対応する道路を描画するようにしたものである。
【0008】
【作用】
請求項1の車両用経路誘導装置では、狭域名称から広域名称までの階層化された地域名称が含まれる平面道路地図データと経緯線とを鳥瞰図方式の道路地図データに変換し、変換された鳥瞰図方式の道路地図データに基づいて鳥瞰図方式の道路地図を描画する。その時、広域名称と表示手段の背景とを同一色もしくは同系色で描画するとともに、狭域名称と道路地図上の経緯線とを同一色もしくは同系色で描画し、表示手段の背景と道路地図上の経緯線とを異なる色で描画する。その際、表示手段の背景を描画した後に経緯線および狭い地域に対応する名称を描画し、さらにその後に広い地域に対応する名称を描画する。
請求項2の車両用経路誘導装置では、少なくとも経緯線を描画する前に狭い地域に対応する道路を描画する。
【0009】
【実施例】
図1は一実施例の構成を示す機能ブロック図である。
この実施例の車両用経路誘導装置はマイクロコンピューターを中心に構成される。方位センサー1は車両の進行方位を検出し、検出した進行方位情報をA/D変換器2およびインタフェース回路3を介してCPU4へ送る。車速センサー5は車両の所定の走行距離ごとにパルス信号を発生し、インタフェース回路3を介してCPU4へ出力する。CPU4は、このパルス信号のパルス数をカウントして車両の走行距離を検出する。GPS受信機6は衛星を利用した位置検出システムの受信機であり、車両の現在地および進行方向などの情報をインタフェース回路3を介してCPU4へ送る。キー7は車両の目的地などを設定するための操作部材であり、インタフェース回路3を介してCPU4へ接続される。
【0010】
CD−ROM8は道路地図データを格納する記憶装置であり、インタフェース用SCSIコントローラー9を介してCPU4に接続され、CPU4からの道路地図読み出し指令に応答して指定範囲の道路地図データをCPU4へ送る。道路地図を表示するディスプレイ10はグラフィックコントローラー11を介してCPU4へ接続され、鳥瞰図方式の道路地図上に目的地までの最適経路と車両の現在地マークを重畳して表示する。V−RAM12は鳥瞰図方式の道路地図データを記憶し、CPU4からの表示指令にしたがってグラフィックコントローラー11を介してディスプレイ10へ出力する。さらにCPU4には、各種データの一時格納用RAM13や後述する制御プログラムを格納するROM14などが接続される。
CPU4は、後述する処理プログラムを実行して二次元平面の道路地図データを鳥瞰図方式の道路地図データに変換し、その鳥瞰図方式の道路地図をディスプレイ10に描画するとともに、その地図上に文字情報と車両の現在地と目的地までの最適経路とを重畳して描画する。
【0011】
ここで、平面道路地図から鳥瞰図方式の道路地図への変換処理を説明する。
図2は、二次元平面の道路地図と鳥瞰図方式の道路地図との関係を示す。
平面道路地図を、東を+X軸方向にとり北を+Y軸方向にとってXY平面上に表わし、このXY平面上の道路の上空をXY平面と直交するZ軸の正の方向にとったXYZの三次元座標系を考える。車両の現在地から目的地と反対方向へ所定距離離れた地点の上空に視点E(VX,VY,VZ)を設定し、この視点Eから視線EFに沿ってXY平面上の道路地図を見下ろすものとする。視線EFとXY平面とのなす角度を見下ろし角θと呼び、視線EFをXY平面上に投影した直線E’Fと、+X軸とのなす角度を視線方向φと呼ぶ。
視線EFと垂直な面上にディスプレイ10の表示枠abcdを設定し、視点E(VX,VY,VZ)から表示枠abcdを通してXY平面上の道路地図を見下ろした時、台形状のABCDの範囲の道路地図を見ることができる。この範囲ABCDが道路地図の表示領域である。
【0012】
視線EFがディスプレイ10の表示枠abcdの中心を通り、且つ車両を見下ろすように設定すると、表示枠abcdの中心に車両の現在地が表示される。このようにした場合、ディスプレイ10の下部表示枠abghは表示領域ABGHに対応し、この下部表示枠abghに狭い領域ABGHの道路地図が表示される。また、上部表示枠ghdcは表示領域GHDCに対応し、この上部表示枠ghdcに広い領域GHDCの道路地図が表示される。すなわち、視点Eに近い範囲の道路地図が拡大されて表示され、視点Eから遠ざかるにしたがって道路地図が縮小されて表示される。
なお、車両の現在地をF(CX,CY)とする。この車両の現在地F(CX,CY)は辺GHの中央に位置する。
【0013】
次に、表示領域ABCDの各頂点を計算する。
図3は、図2に示す三次元座標系のZ=0におけるXY平面を示す。視点E(VX,VY,VZ)のXY平面への投影点E’(VX,VY)を次式により算出する。
【数1】
なお、車両の現在地を表示枠abcdの中央以外の位置に表示する場合にも、視点高さVZと視線方向φが一定であるから視点Eと表示領域ABCDの相対関係も一義的に定まり、数式1にわずかな修正を加えるだけで投影点E’を計算できる。例えば、車両の現在地を表示枠abcdの左右中心線上の上下中心より下側に表示する場合は、数式1の(Vz/tanθ)の項が小さくなるようなθを選べばよい。
【0014】
ここで、図3に示すXY座標系を視点投影点E’(VX,VY)が原点になるように平行移動して、図4に示すようにX’Y’座標系を設定する。さらに、このX’Y’座標系を視線方向がY軸上に来るように回転して、X”Y”座標系を設定する。
なお、図5に示すように、ディスプレイ10の表示枠abcdの横幅を1とした時の縦幅をSとし、視点E(VX,VY,VZ)から表示枠abcdまでの距離をDSとし、視線EFと直線Egとのなす角を半見開き角αとする。
図3に示すXY座標系の表示領域ABCDは、図4に示すX”Y”座標系の表示領域A”B”C”D”に対応する。この新しいX”Y”座標系における表示領域A”B”C”D”の各頂点の座標は次式により与えられる。
【数2】
【0015】
次に、視線方向φを考慮したX’Y’座標系における表示領域A’B’C’D’の各頂点の座標を求める。X’Y’座標系はX”Y”座標系を回転したものであるから、数式2により算出された表示領域A”B”C”D”の各頂点座標を座標軸の回転により変換する。
【数3】
さらに、算出されたX’Y’座標系における表示領域A’B’C’D’の各頂点座標に基づいて、XY座標系における表示領域の各頂点を計算する。XY座標系はX’Y’座標系を平行移動したものであるから、数式3により算出された表示領域A’B’C’D’の各頂点座標をX軸方向にVX、Y軸方向にVYだけ平行移動して座標変換する。
【数4】
【0016】
次に、XY座標系における平面道路地図データからディスプレイ10に表示する鳥瞰図方式の道路地図データへの座標変換について説明する。
図6は、視点E(VX,VY,VZ)を原点とし視線EFを−Z軸にとするEXEYEZ座標系と、ディスプレイ10の表示枠abcdの中心を原点とするSXSY表示座標系と、表示領域ABCDとの関係を示す。
ここで、XY座標系における任意の道路地図データPの座標を(MX,MY)とすると、図4に示すように、点E’(VX,VY)が原点となるように平行移動し(X’Y’座標系)、さらに視線(E’F)がY軸と重なるように回転させたX”Y”座標系における上記任意のデータPの座標(MX”,MY”)は、
【数5】
で求められる。
次に、このX”Y”座標系におけるデータPの座標(MX”,MY”)を、次式によりEXEYEZ座標系の座標(EX1,EY1,EZ1)に変換する。
【数6】
なお、上記数式6に数式5を代入して変形すると次のように表わされる。
【数7】
さらに、EXEYEZ座標系におけるデータPの座標(EX1,EY1,EZ1)を、次式によりSXSY座標系の座標(SX1,SY1)に変換する。
【数8】
SX1=−DS・EX1/EZ1,
SY1=−DS・EY1/EZ1
【0017】
ここで、平面道路地図データは、全国をJIS−X0410に規定される小区画(以下、地域メッシュと呼ぶ)に区分して管理されており、CD−ROM8からの道路地図データの読み込みは地域メッシュ単位で行なわれる。道路地図データは、道路を交差点や屈極点などを示すノードと、ノードとノードとを結ぶリンクによりデータ化されており、各ノードおよび各リンクの位置座標や道路種別に基づく階層化レベル情報とともに記憶されている。また、この平面道路地図データには道路情報の他に鉄道、湖沼、公園などのポリゴン情報が含まれている。
さらに、この平面道路地図データには、行政界とその地名、鉄道と駅名、主要施設名、湖沼名、名所旧跡名など、狭域名称から広域名称までの階層化された地域名称が含まれている。これらの地域名称は、狭域名称と広域名称が道路地図上で互いに重ならないように配置されている。
【0018】
図7、図8は、一実施例の道路地図描画プログラムを示すフローチャートである。これらのフローチャートにより、一実施例の動作を説明する。
キー7のメインスイッチが投入されるとCPU4はこの描画プログラムの実行を開始する。ステップ100において、キー7により設定された目的地情報を読み込み、続くステップ102で車両の現在地と進行方位を検出する。車両の現在地は自立航法により計算してもよいし、GPS航法により検出してもよい。また、両者を併用してもよい。前者は、方位センサー1により検出された進行方位と、車速センサー5からのパルス信号をカウントして測定された走行距離とに基づいて走行軌跡を計算し、マップマッチングにより現在地を特定する。後者は、GPS受信機6により算出された現在地と進行方位を用いる。ステップ104で、周知の経路探索方法により現在地から目的地までの最適経路を計算する。
【0019】
ステップ106において視線EFの方向φを計算する。この視線方向φには、例えばディスプレイ10に表示される最適経路の距離が最大となる方向を設定してもよいし、単に車両の進行方向を設定してもよい。あるいはまた、単に目的地の方向を設定してもよい。続くステップ108で、車両の現在地F(CX,CY)がディスプレイ10の表示枠abcdの中央に表示されるように、視点Eの位置と視線EFを決定する。なお、この実施例では視点EのZ座標VZと見下ろし角θは予め設定した所定値とする。ステップ110で上述した方法により表示領域の頂点A,B,C,Dの座標を計算し、続くステップ112で、CD−ROM8から表示領域ABCDを含む平面道路地図データを地域メッシュ単位で読み込む。そして、ステップ114において、上述した手順で表示領域ABCDの平面道路地図データを鳥瞰図方式の道路地図データに変換する。
【0020】
ステップ120でディスプレイ10の背景を白色で描画し、続くステップ122で道路の階層化レベルに基づいて細街路や市町村道などの狭域道路を黒色で描画する。次にステップ124で、道路地図上の格子線(以下、グリッドラインと呼ぶ)を黒色で描画する。この実施例では、視点Eから視線方向φを90度とする所定の視線EFに沿って真北方向を見た場合の経緯線を鳥瞰図に変換してグリッドラインとして描画する。なお、車両の移動および回転にともなって時々刻々に変化する視点E、視線EFおよび視線方向φに基づいて経緯線を演算し、それらを鳥瞰図に変換してグリッドラインとして描画するようにしてもよい。また、この実施例では狭域道路とグリッドラインとを同一色で描画する例を示すが、同一色でなくても同系色でもよい。ステップ126で、狭域名称を黒色で描画する。なお、狭域名称をグリッドラインと同時に描画してもよい。
この時点において、図9に示すように、表示画面の下部から上部まで狭域道路と狭域名称が描画されるが、表示画面上部の現在地から遠方の領域では、狭域道路上にグリッドラインが密に上書きされるので狭域道路が塗り潰されてしまい、「小易」、「山際」、「四ツ谷」、「上今泉」などの狭域名称も同一色のグリッドラインに埋れてしまう。つまり、表示画面上部の現在地より遠方の領域では、乗員にとって重要度の低い狭域道路と狭域名称とが見えなくなったり、あるいは目立たなくなり、現在地から遠方の道路地図が見やすくなる。
一方、表示画面下部の現在地周辺では、狭域道路や「高森」、「愛甲宮前」などの狭域名称の表示色がグリッドラインと同色もしくは同系色であっても、グリッドラインの表示密度が低いので狭域道路や狭域名称がグリッドラインに埋れて見えなくなることがなく、グリッドラインに重なっても十分に読み取れる。
【0021】
次に、ステップ128で、道路の階層化レベルに基づいて広域道路を例えば赤色で描画する。このように、狭域道路、グリッドラインおよび狭域名称を描画した後で表示画面全体に広域道路を上書きすることにより、表示画面全体で乗員にとって重要度の高い広域道路が見やすく表示される。
ステップ130において、広域名称を背景色と同じ白色で描画する。この時点で、図10に示すように、表示画面の下部から上部まで広域名称が描画されるが、表示画面下部の現在地周辺では「神奈川」などの広域名称が背景色と同色で描画されるので、広域名称が背景の中に埋れてしまう。
このように、表示画面下部の現在地周辺では、乗員にとって重要度の低い広域名称が見えなくなるか、あるいは目立たなくなり、現在地周辺の道路地図が見やすくなる。一方、表示画面上部の現在地より遠方の領域では、黒色の密度の高いグリッドラインおよび狭域道路の上に広域名称が白色で描画されるので、広域名称が見やすくなる。つまり、表示画面上部の現在地より遠方の領域では、乗員にとって重要度の高い広域情報が見やすくなる。
なお、図10に示す広域名称の表示例では、表示画面下部の広域名称「神奈川」は背景と同一色であるから鮮明に見えないのであるが、図を解りやすくするために「神奈川」という狭域名称をはっきりと表示している。また、この実施例では広域名称と背景色とを同一色としたが、同一色でなくても同系色でもよい。
【0022】
なお、上述した実施例では道路地図データベースの中に道路地図情報、ポリゴン情報および地域名称が含まれる例を示したが、階層化された地域名称を別個のデータベースに記憶するようにしてもよい。
また、ディスプレイに表示される各情報の表示色は上述した実施例に限定されない。
【0023】
以上の実施例の構成において、CD−ROM8が記憶手段を、CPU4が変換手段および描画手段を、ディスプレイ10が表示手段をそれぞれ構成する。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、狭域名称から広域名称までの階層化された地域名称が含まれる平面道路地図データと経緯線とを鳥瞰図方式の道路地図データに変換し、変換された鳥瞰図方式の道路地図データに基づいて鳥瞰図方式の道路地図を描画する時に、広域名称と表示手段の背景とを同一色もしくは同系色で描画するとともに、狭域名称と道路地図上の経緯線とを同一色もしくは同系色で描画し、表示手段の背景と道路地図上の経緯線とを異なる色で描画するようにしたので、表示画面の下部から上部まで狭域名称と広域名称を描画しても、表示画面上部の車両の現在地から遠い領域では、乗員にとって重要度の低い狭域名称は同一色もしくは同系色の経緯線の中に埋れて見えなくなる一方、重要度の高い広域名称は表示密度の高い経緯線および狭域名称と異なる表示色で描画されて目立つようになる。また、表示画面下部の車両の現在地周辺の領域では、狭域名称の表示色が経緯線の表示色と同一色もしくは同系色であっても、経緯線の表示密度が低いので狭域名称が経緯線に埋れて見えなくなるようなことがなく、狭域名称に経緯線が重なっても重要度の高い狭域名称を十分に読み取れる上に、重要度の低い広域名称は同一色もしくは同系色の背景の中に埋れて見えなくなる。つまり、表示画面下部の現在地周辺の領域では乗員にとって重要度の高い狭域名称が目立つようになり、表示画面上部の現在地より遠方の領域では乗員にとって重要度の高い広域名称が目立つようになり、鳥瞰図方式の道路地図が見やすくなる。また、従来のように複数の階層の道路地図データに同一の階層の名称が重複して収納されることがないので、道路地図データの容量が削減され、その分だけ記憶装置のコストを低減できる。さらに、従来のように複数の階層の道路地図データにより表示画面を領域分割して描画する必要がないので、分割領域の境界部分における整合処理が不要となり、その分だけ描画時間が短縮される。さらにまた、同一色を用いて情報を描画するので、カラー表示におけるカラーパレットが少なくなり、V−RAMやグラフィックコントローラーなどの描画回路が簡素化され、コストを低減することができる。
さらに、表示手段の背景を描画した後に経緯線および狭い地域に対応する名称を描画し、さらにその後に広い地域に対応する名称を描画するようにしたので、表示画面上部の車両の現在地より遠方の領域では、経緯線および狭域名称が背景の上に高い密度で上書きされ、さらにその上に異なる表示色で広域名称が上書きされるので、背景と広域名称の表示色が同一色もしくは同系色であっても表示色の異なる経緯線および狭域名称の上に広域名称が表示され、表示画面上部の現在地より遠方の領域の重要度の高い広域名称が見やすくなる。
請求項2の発明によれば、少なくとも経緯線を描画する前に狭い地域に対応する道路を描画するようにしたので、表示画面上部の車両の現在地から遠方の領域では、狭域道路上に経緯線が密に上書きされて重要度の低い狭域道路が経緯線の中に埋れてしまい、現在地から遠方の鳥瞰図方式の道路地図が見やすくなる。一方、表示画面下部の現在地周辺では、狭域道路上に経緯線が上書きされても経緯線の密度が低いので重要度の高い狭域道路が十分に読み取れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】二次元平面の道路地図と鳥瞰図方式の道路地図との関係を示す図。
【図3】XY二次元平面上の道路地図の表示領域を示す図。
【図4】図3に示すXY二次元平面地図座標系を、視点が原点となるように平行移動したX’Y’座標系と、さらに視線方向がY軸と重なるように回転したX”Y”座標系を示す図。
【図5】視点Eとディスプレイの表示枠abcdとの関係を示す図。
【図6】視点Eを原点とし視線EFを−Z軸とするEXEYEZ座標系と、ディスプレイの表示枠の中心を原点とするSXSY表示座標系と、表示領域ABCDとの関係を示す図。
【図7】一実施例の道路地図描画プログラムを示すフローチャート。
【図8】図7に続く、一実施例の道路地図描画プログラムを示すフローチャート。
【図9】ディスプレイの表示例を示す図。
【図10】ディスプレイの他の表示例を示す図。
【符号の説明】
1 方位センサー
2 A/D変換器
3 インタフェース回路
4 CPU
5 車速センサー
6 GPS受信機
7 キー
8 CD−ROM
9 SCSIコントローラー
10 ディスプレイ
11 グラフィックコントローラー
12 V−RAM
13 RAM
14 ROM
15 受信機
16 拡張I/O
Claims (2)
- 狭い地域に対応する情報から広い地域に対応する情報までを階層化した平面道路地図データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている平面道路地図データと経緯線とを鳥瞰図方式の道路地図データに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された鳥瞰図方式の道路地図データに基づいて表示手段に鳥瞰図方式の道路地図を描画する描画手段とを備えた車両用経路誘導装置であって、
前記平面道路地図データには広い地域に対応する名称(以下、広域名称という)から狭い地域に対応する名称(以下、狭域名称という)までの階層化された地域名称が含まれており、
前記描画手段は、広域名称と前記表示手段の背景とを同一色もしくは同系色で描画するとともに、狭域名称と道路地図上の経緯線とを同一色もしくは同系色で描画し、前記表示手段の背景と道路地図上の経緯線とを異なる色で描画するものであり、前記表示手段の背景を描画した後に経緯線および狭い地域に対応する名称を描画し、さらにその後に広い地域に対応する名称を描画することを特徴とする車両用経路誘導装置。 - 請求項1に記載の車両用経路誘導装置において、
前記描画手段は、少なくとも経緯線を描画する前に狭い地域に対応する道路を描画することを特徴とする車両用経路誘導装置。
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