JP3660543B2 - 容量切換型作動油供給装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作動油の供給容量を大小2段階に切り換えることが可能な容量切換型の作動油供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
作動油の供給容量を切り換えることが可能な作動油供給装置としては、例えば特開平4−277366号公報に開示されている構成のものがある。この装置では、ベーンポンプがロータの回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吸入ポートと、同じく回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吐出ポートとを有し、両吸入ポートが油タンクに接続され、ロータの回転により第1の吸入ポートから吸入した作動油を第1の吐出ポートから吐出させるとともに、第2の吸入ポートから吸入した作動油を第2の吐出ポートから吐出させるようになっている。そして、第1の吐出ポートと第2の吐出ポートとを連通させる第1の切換状態と、第1の吐出ポートと2つの吸入ポートとを連通させる(すなわち油タンクに連通させる)第2の切換状態とを有し、第1の切換状態では両吐出ポートから吐出される作動油量の合計分が吐出油路内に供給されることとなり(供給容量大)、第2の切換状態では第2の吐出ポートから吐出される作動油量のみが吐出油路内に供給されることとなる(供給容量小)。このような構成の作動油供給装置では、必要なときには供給容量を大にして大きな供給油量を得ることができるが、通常は供給容量を小にしておくことでポンプの回転動力を低減することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような作動油供給装置において、作動油の供給容量を大にしているときには両吐出ポート内の圧力は互いに等しいが、作動油の供給容量を小にしているときには第1の吐出ポートが油タンクに接続されて第1のポート内の圧力が大気圧程度に下がるため、第1及び第2両吐出ポート間には圧力の不均衡が生じる。このためロータの回転軸には、高圧側の吐出ポートから低圧側の吐出ポートへ向かう方向に大きな荷重(偏心荷重と称する)が生じ、ポンプの耐久性を低下させる要因となっていた。また、このような偏心荷重が発生するためロータの回転軸及びこれを支持する部材等の強度及び剛性を高める必要が生じ、装置全体が大型化してしまうという問題もあった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、作動油の供給容量を大小で切り換えたときに、2つの吐出ポート内の圧力の不均衡により発生するポンプ回転軸の偏心荷重を小さくすることが可能な容量切換型作動油供給装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明に係る容量切換型作動油供給装置(例えば、実施形態における容量切換型作動油供給装置30)は、ロータの回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吸入ポート(例えば、実施形態における第1、第2吸入ポートP1,P2)及び上記回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吐出ポート(例えば、実施形態における第1、第2吐出ポートQ1,Q2)を有し、第1の吸入ポートが油タンクに接続され、第2の吐出ポートが吐出油路(例えば、実施形態における油路201)に接続されており、ロータが1回転する間に第1の吸入ポートから吸入した作動油を第1の吐出ポートから吐出するとともに、第2の吸入ポートから吸入した作動油を第2の吐出ポートから吐出する構成のベーンポンプと、第2の吸入ポートを油タンクに接続させるとともに第1の吐出ポートと第2の吐出ポートとを連通させる第1の位置と、第1の吐出ポートと第2の吸入ポートとを連通させる第2の位置との位置切換が可能な切換バルブと、ハウジング内に軸方向に移動可能なスプールを配設して、スプールの軸方向の一端側に第1の吐出ポートから吐出される作動油の圧力が作用するとともにスプールの軸方向の他端側に第2の吐出ポートから吐出される作動油の圧力が作用するように構成された調整バルブとを有しており、切換バルブが第2の位置に位置しているときには、スプールの一端側における圧力作用面積と他端側における圧力作用面積との比に基づいて、第1の吐出ポートから吐出される作動油の圧力が第2の吐出ポートから吐出される作動油の圧力よりも小さくなるように調整される
【0006】
このような構成では、切換バルブを第1の位置に位置させているときには、第1の吸入ポートと第2の吸入ポートはともに油タンクに接続され、且つ第1の吐出ポートと第2の吐出ポートとが連通するので、吐出油路内に供給される作動油量は第1の吐出ポートから吐出される作動油量と第2の吐出ポートから吐出される作動油量との合計分となる(供給容量大)。一方、切換バルブを第2の位置に位置させているときには第1の吐出ポートと第2の吸入ポートとが連通するので、第1の吸入ポートから吸入された作動油は先ず第1段階の昇圧がなされて第1の吐出ポートから吐出され、続いてこれが第2の吸入ポートから吸入されて第2段階の昇圧がなされ、第2の吐出ポートから吐出される。このため最終的に吐出油路内に供給される作動油量は第2の吐出ポートから吐出される作動油量のみとなり、切換バルブを第1の位置に位置させたときの供給容量の約半分となる(供給容量小)。なお、この供給容量が小のときには調整バルブにより、第1の吐出ポートから吐出される作動油の圧力が第2の吐出ポートから吐出される作動油の圧力よりも小さくなるように両圧力が調整されるので、ベーンポンプにおいて必要な(第2の吸入ポート内の圧力<第2の吐出ポート内の圧力)の関係は満たされる。
【0007】
このように本発明に係る容量切換型作動油供給装置においては、作動油の供給容量を大小2段階に切り換えることができ、油圧回路において必要となる最大の供給容量を確保しつつ、通常はそれよりも小さい供給容量に設定してポンプ駆動における動力ロス分を低減し燃費向上を図ることができるのであるが、供給容量を大に設定した場合には、対向する位置にある両吐出ポート内の圧力は互いに等しくなるのでロータの回転軸に偏心荷重は働かず、供給容量を小に設定した場合であっても、低圧側の吐出ポート(第1の吐出ポート)にも圧力が作用する(大気圧程度まで低下しない)ようになるので、ロータの回転軸に作用する偏心荷重は従来の場合(低圧側の吐出ポート内の圧力は低気圧程度まで下がり、偏心荷重が大きい。)よりも小さくなる。このため装置の耐久性を向上させることができるとともに、回転軸を支持する部材等の強度及び剛性を小さくして重量を軽減することができ、装置の小型化とコストダウンを図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る容量切換型作動油供給装置を備えたベルト式無段変速機CVTを模式的に示したものである。このベルト式無段変速機CVTは、入力軸1とカウンター軸2との間に設けられた金属式Vベルト機構10と、入力軸1とドライブ側プーリ11との間に設けられた遊星歯車式前後進切換機構20と、カウンター軸2と出力側部材(ディファレンシャル機構8等)との間に設けられた発進クラッチ5とから構成される。なお、本無段変速機CVTは車両用として用いられ、入力軸1はカップリング機構CPを介してエンジンENGの出力側に繋がり、ディファレンシャル機構8に伝達された動力は左右の車輪に伝達されるようになっている。
【0009】
金属Vベルト機構10は、入力軸1上に設けられたドライブ側プーリ11と、カウンター軸2上に設けられたドリブン側プーリ16と、両プーリ11,16間に巻き掛けられた金属Vベルト15とからなる。ドライブ側プーリ11は、入力軸1上に回転自在に設けられた固定プーリ半体12と、この固定プーリ半体12に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体13とからなる。可動プーリ半体13の側方には、固定プーリ半体12に結合されたシリンダ壁12aにより囲まれてドライブ側シリンダ室14が形成されており、このドライブ側シリンダ室14内に供給される油圧により、可動プーリ半体13を軸方向に移動させるプーリ側圧が発生される。
【0010】
ドリブン側プーリ16は、カウンター軸2に固設された固定プーリ半体17と、この固定プーリ半体17に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体18とからなる。可動プーリ半体18の側方には、固定プーリ半体17に結合されたシリンダ壁17aにより囲まれてドリブン側シリンダ室19が形成されており、このドリブン側シリンダ室19内に供給される油圧により可動プーリ半体18を軸方向に移動させるプーリ側圧が発生される。
【0011】
このため、上記両シリンダ室14,19への供給油圧(プーリ制御油圧)を適宜制御することにより、金属Vベルト15の滑りが発生することのない適切なプーリ側圧を設定するとともに、両プーリ11,16それぞれのプーリ幅を変化させることができる。これにより、金属Vベルト15の巻き掛け半径を変化させて変速比を無段階に変化させることができる。
【0012】
遊星歯車式前後進切換機構20は、入力軸1に結合されたサンギヤ21と、ドライブ側プーリ11の固定プーリ半体12に結合されたキャリヤ22と、後進用ブレーキ27により固定保持可能なリングギヤ23と、サンギヤ21とキャリヤ23とを連結可能な前進用クラッチ25とからなる。前進用クラッチ25が係合されると全ギヤ21,22,23が入力軸1と一体に回転し、ドライブ側プーリ11は入力軸1と同方向(前進方向)に駆動される。一方、後進用ブレーキ27が係合されると、リングギヤ23が固定保持されるため、キャリヤ22はサンギヤ21とは逆の方向に駆動され、ドライブ側プーリ11は入力軸1とは逆方向(後進方向)に駆動される。
【0013】
また、前進用クラッチ25及び後進用ブレーキ27が共に解放されると、この前後進切換機構20を介しての動力伝達が絶たれ、エンジンENGとドライブ側プーリ11との間の動力伝達が行われなくなる。
【0014】
発進クラッチ5は、カウンター軸2と出力側部材との間の動力伝達をオン・オフ制御するクラッチであり、これがオン(係合)のときに両者間での動力伝達が可能となる。このため、発進クラッチ5がオンのときには、金属Vベルト機構10により変速されたエンジン出力がギヤ6a,6b,7a,7bを介してディファレンシャル機構8により左右の車輪(図示せず)に分割されて伝達される。また、発進クラッチ5がオフ(非係合)のときにはこの動力伝達が行えず、変速機は中立状態となる。
【0015】
図2はこのベルト式無段変速機CVTの油圧制御装置の概要を示したものである。この油圧制御装置は、図に示すように、作動油供給装置30と、高圧レギュレータバルブ40と、高圧制御系バルブ群50と、低圧レギュレータバルブ60と、低圧制御系バルブ群70と、電気コントロールユニットECUとを有して構成されている。ここで、高圧制御系バルブ群50と低圧制御系バルブ群70にはそれぞれ電磁バルブが含まれているが、これら電磁バルブは、第1検出器81により検出されるエンジン回転数Ne、第2検出器82により検出されるスロットル開度θth、第3検出器83により検出される車両速度V、第4検出器84により検出される作動油の油温T、その他の検出器により検出されるマニュアルシフトレバー(図示せず)のシフト位置等の情報に基づいて電気コントロールユニットECUから出力される作動信号に基づいて作動する。
【0016】
作動油供給装置30は作動油を油路201内に供給する。この作動油供給装置30は後述するように供給容量を大小2段階に切り換えることが可能である。 高圧レギュレータバルブ40は作動油供給装置30から供給された作動油を調圧して高圧の作動油を油路202内に供給する。高圧制御系バルブ群50は電気コントロールユニットECUからの電気信号に基づいて電磁バルブを作動させ、油路202内の作動油(高圧の作動油)をドライブ側シリンダ室14及びドリブン側シリンダ室19へ供給する制御を行ってドライブ側及びドリブン側プーリ11,16を作動させる。これにより金属ベルト15の巻き掛け半径が変化し、ベルト式無段変速機CVTの変速作動が行われる。
【0017】
低圧レギュレータバルブ60は油路202から分岐した油路203内の高圧の制御圧を調圧して低圧の作動油を油路204内に供給する。低圧制御系バルブ群70は電気コントロールユニットECUからの電気信号に基づいて電磁バルブを作動させ、油路204内の作動油(低圧の作動油)を用いて発進クラッチ5、前進用クラッチ25及び後進用ブレーキ27を作動させる。これによりベルト式無段変速機CVTを搭載した車両の発進及び前後進が行われる。なお、マニュアルシフトレバーの操作により作動するマニュアルシフトバルブは低圧制御系バルブ群70に含まれている。
【0018】
作動油供給装置30は本発明に係る容量切換型作動油供給装置に相当し、図3及び図4に示すように、油タンク31と、ベーンポンプ32と、切換バルブ33と、調整バルブ34とを備えて構成されている。ベーンポンプ32は、ロータ32aの回転軸32bを挟んで対向配設された第1、第2吸入ポートP1,P2と、回転軸32bを挟んで対向配設された第1、第2吐出ポートQ1,Q2とを有しており、第1吸入ポートP1は油路102,101を介して油タンク31に接続され、第2吐出ポートQ2は油路103を介して油路201に接続されている。そして、ロータ32aが1回転する間に第1吸入ポートP1から吸入した作動油を第1吐出ポートQ1から吐出するとともに、第2吸入ポートP2から吸入した作動油を第2吐出ポートQ2から吐出する。
【0019】
切換バルブ33は、ハウジング内で左右方向へ移動可能なスプール33aと、このスプール33aの右方に設けられてスプール33aを常時左方に付勢するスプリング33bとを有して構成されている。このスプール33aの左端部には信号圧用ポート33cが設けられており、電気コントロールユニットECUからの指令に基づいて低圧制御系バルブ群70から油路205を介して出力される信号圧を受けることができるようになっている。
【0020】
スプール33aは、信号圧用ポート33cに信号圧が供給されていないときには左方に位置し(第1の位置)、このとき第2吸入ポートP2は油路105、切換バルブ33、油路104,101を介して油タンク31に接続され、第1吐出ポートQ1は油路106,107、切換バルブ33、油路108,109,201を介して第2吐出ポートQ2と連通する(図3参照)。一方、信号圧用ポート33cに信号圧が供給されているときには(この信号圧が供給されるケースについては後述)、スプール33aには信号圧による右方への付勢力が生じ、この信号圧による付勢力がスプリング33bの付勢力にうち勝ってスプール33aは右方に位置する(第2の位置)。このとき第2吸入ポートP2は油路105、切換バルブ33、油路107,106を介して第1吐出ポートQ1と連通する(図4参照)。
【0021】
調整バルブ34は、ハウジング内で左右方向へ移動可能なスプール34aと、このスプール34aの右方に設けられてスプール34aを常時左方に付勢するスプリング34bとを有して構成されている。このスプール34aの左端部には第2吐出ポートQ2から吐出される作動油の圧力が油路103,109,110を介して作用するようになっており、スプール34aの右端部には第1吐出ポートQ1から吐出される作動油の圧力が油路106,111,112を介して作用するようになっている。
【0022】
ここで、スプール34aの右端側の圧力作用面積A1と左端側の圧力作用面積A2とはA1>A2の関係に設定されている(A1≒2×A2び関係が望ましい)。このためスプール34aの右端側に作用する圧力(第1吐出ポートQ1から吐出される作動油の圧力)がp1、スプール34aの左端側に作用する圧力(第2吐出ポートQ2から吐出される作動油の圧力)がp2、スプリング34bによる左方への付勢力がF(>0)であるときには、p1×A1+F=p2×A2の関係式からp1<p2となる。すなわち、第1吐出ポートQ1から吐出される作動油の圧力による付勢力(p1×A1)と第2吐出ポートQ2から吐出される作動油の圧力による付勢力(p2×A2)とのバランスに基づいて、第1吐出ポートQ1から吐出される作動油の圧力(p1)が第2吐出ポートQ2から吐出される作動油の圧力(p2)よりも小さくなるように両圧力が調整される。
【0023】
このような構成において、切換バルブ33の信号圧用ポート33cに信号圧を供給せず、切換バルブ33のスプール33aを第1の位置(左方の位置)に位置させているときには、第1吸入ポートP1と第2吸入ポートP2は共に油タンク31に接続され、第1吐出ポートQ1と第2吐出ポートQ2とが連通するので、油路201内に供給される作動油量は、第1吐出ポートQ1から吐出される作動油量と第2吐出ポートQ2から吐出される作動油量との合計分となる。すなわち、ロータ1回転当たりに第1吐出ポートQ1から吐出される作動油量とロータ1回転当たりに第2吐出ポートQ2から吐出される作動油量が共にVであれば、作動油供給装置30から油路201内に供給される作動油量は2Vとなる(供給容量大)。なお、このとき第1吐出ポートQ1から吐出される作動油の圧力p1と第2吐出ポートQ2から吐出される作動油の圧力p2とは互いに等しく(p1=p2)、従って対向する位置にある両吐出ポートQ1,Q2内の圧力も互いに等しいので、ロータ32aの回転軸32bに偏心荷重は働かない。
【0024】
一方、切換バルブ33の信号圧用ポート33cに信号圧を供給させ、スプール33aを第2の位置(右方の位置)に位置させているときには、第1吐出ポートQ1と第2吸入ポートP2とが連通するので、第1吸入ポートP1から吸入された作動油は先ず第1段階の昇圧がなされて第1吐出ポートQ1から吐出され、続いてこれが第2吸入ポートP2から吸入されて第2段階の昇圧がなされ、第2吐出ポートQ2から吐出される。このため最終的に油路201内に供給される作動油量は第2吐出ポートQ2から吐出される作動油量のみとなり、切換バルブ33を第1の位置に位置させたときの供給容量の約半分となる。すなわち、ロータ1回転当たりに第1吐出ポートQ1から吐出される作動油量とロータ1回転当たりに第2吐出ポートQ2から吐出される作動油量が共にVであれば、作動油供給装置30から油路201内へ供給される作動油量はVとなる(供給容量小)。なお、このとき調整バルブ34により第1吐出ポートQ1から吐出される作動油の圧力(p1)が第2吐出ポートQ2から吐出される作動油の圧力(p2)よりも小さくなるように両圧力が調整されるので、ベーンポンプ32において必要な(第2吸入ポートP2内の圧力<第2吐出ポートQ2内の圧力)の関係は満たされる。
【0025】
このような作動油の吸入、吐出をベーンポンプ32全体で見た場合、ロータ32aが1回転する間に、油タンク31内の作動油を第1吸入ポートP1から吸入する第1工程、この吸入された作動油を圧力p1まで昇圧して第1吐出ポートQ1から吐出する第2工程、この吐出された圧力p1の作動油を第2吸入ポートP2から吸入する第3工程、この吸入された圧力p1の作動油を圧力p2まで昇圧して第2吐出ポートQ2から油路201内へ吐出する第4工程が連続して行われることになる。
【0026】
上記ベルト式無段変速機CVTを備えた車両の場合、作動油供給装置30から供給される作動油量は▲1▼エンジン回転数が低いとき、特にエンジン回転数がアイドル回転数近いときには両プーリ11,16のシリンダ室14,19に作用する圧力は充分であっても流量が足りなくなるため大きな作動油量が必要となる。また、エンジン回転数が或る程度高い場合でも▲2▼走行中にキックダウンが行われたり、或いは▲3▼急減速、中でも急停止が行われる場合にも、変速に当たって両プーリ11,16を素早く動かす必要があるため大きな作動油量が必要となる。特に急停止の場合には、車両が停止する前に変速機CVTをLOWへ戻さないと再発進が難しくなってしまう。また、▲4▼作動油の油温が高い場合にも大きな作動油量が必要となる。これは、作動油の油温が高いと油圧回路からのリーク量が多くなり、油圧が上昇しにくくなるためである。
【0027】
作動油量の大小切り換えは油路205を介して切換バルブ32の信号圧用ポート33cに信号圧を供給するかしないかにより行われるが、この信号圧の供給制御は前述のように、電気コントロールユニットECUが検出器81〜84からの検出情報に基づいて行っている。以下、ベルト式無段変速装置CVTを備えた車両における作動油の容量切換制御の具体例を図5のフローに基づいて説明するが、上記▲1▼〜▲4▼の判断はいずれも電気コントロールユニットECUにおいて行われる。
【0028】
この制御は図5に示すように、先ずステップS1において、第1検出器81により検出されるエンジン回転数Neが予め定めた第1の所定のエンジン回転数Neo1(例えば2000rpm)以上であるか否か(Ne≧Neo1?)が判断され、ここでNe≧Neo1であると判断された場合にはステップS7に進んで供給容量は小に設定される。また、ステップS1でNe<Neo1であると判断された場合にはステップS2に進み、同じく第1検出器81により検出されるエンジン回転数Neが予め定めた第2の所定のエンジン回転数Neo2(例えば1000rpm。ほぼアイドル回転数)以下であるか否か(Ne≦Neo2?)が判断され、ここでNe≦Neo2であると判断された場合にはステップS8へ進んで供給容量は大に設定される。
【0029】
一方、ステップS2でNe>Neo2であると判断された場合にはステップS3に進んで現在キックダウン中であるか否か、すなわち第2検出器82により検出されるスロットル開度θthに基づいて算出される単位時間当たりのスロットル開度変化率Δθthが予め定めた所定のスロットル開度変化率Δθtho(例えば(1/2開度)/s)以上であるか否か(Δθth≧Δθtho?)が判断され、ここでΔθth≧Δθthoであると判断された場合にはステップS8へ進んで供給容量は大に設定される。
【0030】
また、ステップS3においてΔθth<Δθthoであると判断された場合にはステップS4へ進んで現在急減速中であるか否か、すなわち第3検出器83により検出される車両速度Vに基づいて算出される単位時間当たりの減速方向の車両速度変化率ΔV(すなわち減速方向の加速度)が所定の車両速度変化率ΔVo(例えば減速方向で2m/s)以上であるか否か(ΔV≧ΔVo?)が判断され、ここでΔV≧ΔVoであると判断された場合にはステップS8へ進んで供給容量は大に設定される。また、ここでΔV<ΔVoであると判断された場合にはステップS5へ進んで第4検出器84により検出される作動油の油温Tが予め定めた所定の油温To(例えば120℃)以上であるか否か(T≧To?)が判断され、ここでT≧Toであると判断された場合にはステップS8へ進んで供給容量は大に設定される。
【0031】
一方、ステップS5でT<Toであると判断された場合にはステップS6へ進んでステップS1〜S5における否の状態全てを満たす継続時間tが予め定めた所定時間to(例えば1分)以上継続しているか否か(t≧to?)が判断され、ここでt≧toであればステップS7に進んで供給容量は小に設定されるが、t<toである場合にはステップS8に進んで供給容量は大に設定される。なお、このステップS6における処理は、例えばエンジン回転数がアイドル回転数程度であって供給される作動油量が大である状態から、エンジン回転数が次第に上昇して第2の所定の回転数より高くなり(但し第1の所定の回転数よりは小)、キックダウンをしておらず(Δθth<Δθtho)、急減速もしておらず(ΔV<ΔVo)、作動油の油温も所定の油温よりも低い場合(T<To)であっても、この状態が或る程度の時間継続した後でなければ作動油量を小に切り換えないことを意味する。
【0032】
このように本発明に係る容量切換型作動油供給装置では、切換バルブ33へ信号圧を供給するかしないかにより作動油の供給容量を大小2段階に切り換えることができ、油圧回路において必要となる最大の供給容量(容量2V)を確保しつつ、通常はそれよりも小さい供給容量(容量V)に設定してポンプ駆動における動力ロス分を低減し燃費向上を図ることができるのであるが、供給容量を大に設定した場合には、対向する位置にある両吐出ポートQ1,Q2内の圧力は互いに等しくなるのでロータ32aの回転軸32bに偏心荷重は働かず、供給容量を小に設定した場合であっても、低圧側の吐出ポート(第1吐出ポートQ1)にも圧力が作用する(大気圧程度まで低下しない)ようになるので、ロータ32aの回転軸32bに作用する偏心荷重は従来の場合よりも小さくなる(偏心荷重は図4中の矢印Fで示すように、高圧側の吐出ポートから低圧側の吐出ポートへ向かう方向に作用する)。このため装置30の耐久性を向上させることができるとともに、回転軸32bを支持する部材等の強度及び剛性を小さくして重量を軽減することができ、装置30の小型化とコストダウンを図ることができる。
【0033】
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に限られるものではない。例えば、ベーンポンプの吸入ポート及び吐出ポートは必ずしも2つずつである必要はなく、ロータの回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吸入ポートと、回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吐出ポートを有しており、第1の吸入ポートが油タンクに接続され、第2の吐出ポートが吐出油路に接続されており、ロータが1回転する間に第1の吸入ポートから吸入した作動油を第1の吐出ポートから吐出するとともに、第2の吸入ポートから吸入した作動油を第2の吐出ポートから吐出する構成のベーンポンプであれば2つ以上であっても構わない。また、この作動油供給装置の適用対象は上述のような車両用に限られず、他の油圧装置においても用いることが可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る容量切換型作動油供給装置においては、作動油の供給容量を大小2段階に切り換えることができ、油圧回路において必要となる最大の供給容量を確保しつつ、通常はそれよりも小さい供給容量に設定してポンプ駆動における動力ロス分を低減し燃費向上を図ることができるのであるが、供給容量を大に設定した場合には、対向する位置にある両吐出ポート内の圧力は互いに等しくなるのでロータの回転軸に偏心荷重は働かず、供給容量を小に設定した場合であっても、低圧側の吐出ポート(第1の吐出ポート)にも圧力が作用する(大気圧程度まで低下しない)ようになるので、ロータの回転軸に作用する偏心荷重は従来の場合よりも小さくなる。このため装置の耐久性を向上させることができるとともに、回転軸を支持する部材等の強度及び剛性を小さくして重量を軽減することができ、装置の小型化とコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る容量切換型作動油供給装置を備えたベルト式無段変速機のスケルトン図である。
【図2】上記ベルト式無段変速機の油圧制御装置の概要を示すブロック図である。
【図3】供給容量を大に設定した場合における上記容量切換型作動油供給装置の構成図である。
【図4】供給容量を小に設定した場合における上記容量切換型作動油供給装置の構成図である。
【図5】上記ベルト式無段変速機を備えた車両における作動油の容量切換制御の具体例を示すフローである。
【符号の説明】
30 作動油供給装置(容量切換型作動油供給装置)
31 油タンク
32 ベーンポンプ
32a ロータ
32b 回転軸
33 切換バルブ
33b スプリング(弾性部材)
34 調整バルブ
40 高圧レギュレータバルブ
50 高圧制御系バルブ群
60 低圧レギュレータバルブ
70 低圧制御系バルブ群
201 油路(吐出油路)
ECU 電気コントロールユニット
CVT ベルト式無段変速機
P1 第1吸入ポート(第1の吸入ポート)
P2 第2吸入ポート(第2の吸入ポート)
Q1 第1吐出ポート(第1の吐出ポート)
Q2 第2吐出ポート(第2の吐出ポート)

Claims (1)

  1. ロータの回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吸入ポート及び前記回転軸を挟んで対向配設された第1、第2の吐出ポートを有し、前記第1の吸入ポートが油タンクに接続され、前記第2の吐出ポートが吐出油路に接続されており、前記ロータが1回転する間に前記第1の吸入ポートから吸入した作動油を前記第1の吐出ポートから吐出するとともに、前記第2の吸入ポートから吸入した作動油を前記第2の吐出ポートから吐出する構成のベーンポンプと、
    前記第2の吸入ポートを前記油タンクに接続させるとともに前記第1の吐出ポートと前記第2の吐出ポートとを連通させる第1の位置と、前記第1の吐出ポートと前記第2の吸入ポートとを連通させる第2の位置との位置切換が可能な切換バルブと、
    前記ハウジング内に軸方向に移動可能なスプールを配設して、前記スプールの軸方向の一端側に前記第1の吐出ポートから吐出される作動油の圧力が作用するとともに前記スプールの軸方向の他端側に前記第2の吐出ポートから吐出される作動油の圧力が作用するように構成された調整バルブとを有し、
    前記切換バルブが前記第2の位置に位置しているときには、前記スプールの前記一端側における圧力作用面積と前記他端側における圧力作用面積との比に基づいて、前記第1の吐出ポートから吐出される作動油の圧力が前記第2の吐出ポートから吐出される作動油の圧力よりも小さくなるように調整されることを特徴とする容量切換型作動油供給装置。
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