JP3660018B2 - 真空装置の異常放電消滅装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、真空中のプラズマを利用するスパッタ装置及びエッチング装置等の真空装置における異常放電を消滅する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インバータ回路と、その出力を整流する整流器と、その出力を平滑するフィルタとを備えた直流電源に接続された真空装置において、電極のある一部に放電密度の高い部分が生ずる現象によってインピーダンスが低下したり、或いは、導電性のゴミ等が電極間を機械的に短絡する等によりプラズマの一時的な異常放電が生じたとき、その負荷電流の増加を検出し、電源を遮断する。この場合、負荷の特性或いは電源のフィルタの特性によって異常放電の消滅まで時間がかかるので、一定の休止時間(一般的には5〜数10ミリ秒)経過後に直流電源の電圧を復帰させて作業を再開するという方法が広く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法によれば、電源遮断後、休止時間が長ければ長いほど、又電圧の復帰の立ち上げが遅ければ遅いほど、異常放電は確実に消滅するが、その間電力の供給が絶たれるので、真空装置の作動が損なわれるという不具合があった。
【0004】
本発明は、このような不具合をより一層確実に且つ迅速に解消することができる真空装置における異常放電消滅装置を提供することをその目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、インバータ回路と、その出力を整流する整流器と、その出力を平滑するフィルタとを備える直流電源に接続される真空装置の異常放電消滅装置において、前記直流電源は、電流検出器と、過電流設定器と、異常放電時の出力電圧の変化を検出する異常放電電圧検出器とを備え、前記インバータ回路は、前記異常放電電圧検出器で異常放電による負荷電圧の変化を検出したとき、或いは前記電流検出器で検出した負荷電流が過電流設定器により設定された過電流検出レベルを越えたとき、それに応答して出力が急速に絞られるように構成され、該直流電源と前記真空装置とを接続する負荷接続回路は、前記真空装置と並列に接続されたスイッチを備え、該スイッチは前記異常放電電圧検出器で異常放電による負荷電圧の変化を検出したとき、或いは前記電流検出器で検出した負荷電流が過電流検出レベルを越えたとき閉成されるようにしたことを特徴とする。以上のように、直流電源を負荷接続回路を介して真空装置に接続して該真空装置に直流電圧を印加するようにする代わりに、該負荷接続回路に前記直流電源から出力する直流電圧と逆極性のパルス発生器を接続して、該真空装置に周期的に逆電圧になる直流電圧が印加されるようにしてもよい。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、周期的にゲート信号が入力されているインバータ回路と、インバータ回路の出力を整流する整流器と、整流器の出力を平滑するフィルタとを備える直流電源に接続される真空装置の異常放電消滅装置において、直流電源は、電流検出器と、過電流設定器と、異常放電時の負荷電圧の変化を検出する異常放電電圧検出器と、制御回路と、負荷接続回路とを備え、制御回路は、異常放電電圧検出器で異常放電による負荷電圧の低下を検出したとき、或いは電流検出器で検出した負荷電流が過電流設定器により設定された過電流検出レベルを越えたとき、それに応答してインバータ回路の出力が高速に絞られるように構成され、直流電源と真空装置とを接続する負荷接続回路は、真空装置と並列に接続されたスイッチを備え、スイッチは異常放電電圧検出器で異常放電による負荷電圧のの変化を検出したとき、或いは電流検出器で検出した負荷電流が過電流検出レベルを超えたとき閉成されるように構成され、異常放電発生時に、インバータ回路の出力を絞り、負荷接続回路のスイッチを閉成する動作と、インバータ回路が復帰し、スイッチが開成する動作とを、負荷電圧の低下の検出がなく、過電流検出レベルを越えた負荷電流の検出がなくなるまで、繰り返し行って異常放電を消滅させるようにした構成を有している。
【0007】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施例の回路を示す。
【0009】
同図において、1は直流電源で、その出力端子2、2にはスパッタリング装置、エッチング装置等の真空装置3が接続される。
【0010】
直流電源1は、交流電源に接続されその出力を整流する整流回路を含む入力回路4と、この出力を周波数が例えば50kHzの交流に変換するインバータ回路5と、この出力を変圧器6で変圧した後整流する整流回路7と、この出力を平滑にするリアクトル8、コンデンサ9及び抵抗10等から成るフィルタ11を備えており、直列に接続された抵抗から成る電圧検出器12で検出した出力電圧と、負荷回路に直列に接続された抵抗及びコンデンサから成る電流検出器13で検出した出力電流を制御回路14に入力し、出力電流と出力電圧の積である電力値が設定値になるようにインバータ回路5を制御することにより、出力が所定の電力になるように構成されている。インバータ回路5の出力は、電流検出器13により検出された出力電流を所望の電流値になるように制御するか、或いは、電圧検出器12により検出された出力電圧を所望の電圧値になるように制御して所定の電力になるように構成してもよい。以上の回路は特に従来のものと異ならない。
【0011】
本発明において、直流電源1の出力端子2、2に抵抗15及びコンデンサ16から成る異常放電電圧検出器17が接続されている。この検出器17は、真空装置3に異常放電が生じてその端子電圧が急激に低下したとき、その端子電圧の変化を検出するもので、その検出信号は、制御回路14に入力するようになっている。制御回路14は、図2に示すように、乗算器18と、負荷電流の過電流検出レベルを設定し負荷電流が過電流検出レベルを越えたときこれを検出する過電流設定器19と、オア回路20と、出力端子がインバータ回路5のゲートに接続されたパルス幅設定器21を備え、乗算器18は前記電圧検出器12及び電流検出器13に接続されて出力電力を演算し、この出力電力値をパルス幅設定器21に入力して、インバータ回路5の出力電力が設定電力になるようにインバータ回路5のパルス幅を制御するようになっており、又、オア回路20は、異常放電電圧検出器17と過電流設定器19を介して電流検出器13とに接続され、異常放電電圧検出器17から出力する検出信号及び電流検出器13から過電流設定器19を経て出力する過電流検出信号のいずれかが入力するようになっており、この検出信号がオア回路20から出力してパルス幅設定器21に入力したときインバータ回路5の出力パルス幅が絞られるようになっている。更に、直流電源1と真空装置3とを接続する負荷接続回路には、抵抗22と例えば半導体スイッチ23との直列回路が真空装置3と並列に接続されている。この半導体スイッチ23の制御極は、前記制御回路14のオア回路20の出力端子に接続されている。
【0012】
次に上記実施例の作用を説明すると、正常放電時には、例えばスパッタ装置である真空装置3の電極であるターゲットに負のスパッタ電圧(−V)が印加されており、このときに流れている出力電流がI0 で、その時インバータ回路5の出力電流が正負に流れている。異常放電が発生すると、先ず、電圧が低下(0に近付く)し、この電圧の低下を異常放電電圧検出器17で検出し、インバータ停止信号が図3に示すように出力される。これによりインバータ回路5の出力は零になるが、出力側ではリアクトル8、コンデンサ9に蓄えられているエネルギーが放出されるため出力電流は図3に示すように直ぐには減少せず、振動後に増加しようとするが、異常放電電圧検出器17の検出信号がオア回路20を介して前記半導体スイッチ23の制御極に入力するので、このスイッチ23が閉成されて、前記エネルギーが前記スイッチ23と直列に接続された抵抗22において消費されるので、余り増加しない。その後インバータ回路5が動作し、直流電源1は、定電力動作をするので、出力電流は増加していく。出力電流が過電流設定器19で設定された過電流検出レベル以上にあると図3に示すようにインバータ回路5は何度も停止する。このとき負荷側に蓄えられているエネルギーは、徐々に減少する。このときも過電流設定器19から出力する検出信号がオア回路20を経て半導体スイッチ23に入力しこれが閉成するので、未だフィルタ11に残っていたエネルギーが再び抵抗22で消費される。負荷が短絡状態にある間はこのような動作が繰り返され、エネルギーが消費され、図3でaに示すように、正規の放電電圧に回復すれば、正規の制御範囲に入り、正常な放電が行われる。
【0013】
真空装置3を反応性プロセス、即ち、例えばスパッタリングの最中に、ターゲットと封入ガスとが反応してターゲットに絶縁性堆積物が蓄積されるようなプロセスに使用するときは、図4に示すように、直流電源1の出力端子2、2と真空装置3とを接続する負荷接続回路に、真空装置3と並列に接続するパルス発振器24を設けるが、この場合にも本発明を実施することができる。尚、このパルス発振器24は、直流電源1の直流電圧に対して逆極性のパルス電圧を発生し、この電圧を変圧器を介して真空装置3の電極に印加するためのもので、これにより、単純な直流電圧を印加した場合、次第にプラズマ放電、延いてはスパッタリングが行なわれなくなるという不具合が解消される。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成によるときは、真空装置の一時的な異常放電の場合でも、ミリ秒のオーダーの長時間に亘って電源が遮断されることがなく、それ故、真空装置のスパッタリング又はエッチングなどの動作がほとんど無駄時間なしに行われ、しかも、異常放電の消滅をスイッチにより確実に行うことができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の回路図。
【図2】 図1に示す回路の要部の構成を示すブロック図。
【図3】 上記回路の作動を説明する各部の波形のタイムチャート。
【図4】 本発明の他の実施例の一部の回路図。
【符号の説明】
1 直流電源 21 、22 出力端子
3 真空装置 5 インバータ回路
11 出力フィルタ 12 電圧検出器
13 電流検出器 14 制御回路
17 異常放電電圧検出器 19 過電流設定器
20 オア回路 21 パルス幅設定器
23 半導体スイッチ 24 パルス発振器
Claims (2)
- 周期的にゲート信号が入力されているインバータ回路と、このインバータ回路の出力を整流する整流器と、この整流器の出力を平滑するフィルタとを備える直流電源に接続される真空装置の異常放電消滅装置において、
前記直流電源は、電流検出器と、過電流設定器と、異常放電時の負荷電圧の変化を検出する異常放電電圧検出器と、制御回路と、負荷接続回路とを備え、
前記制御回路は、異常放電電圧検出器で異常放電による負荷電圧の低下を検出したとき、或いは電流検出器で検出した負荷電流が過電流設定器により設定された過電流検出レベルを越えたとき、それに応答して前記インバータ回路の出力が高速に絞られるように構成され、
前記直流電源と前記真空装置とを接続する前記負荷接続回路は、前記真空装置と並列に接続されたスイッチを備え、該スイッチは前記異常放電電圧検出器で異常放電による負荷電圧のの変化を検出したとき、或いは前記電流検出器で検出した負荷電流が過電流検出レベルを超えたとき閉成されるように構成され、
異常放電発生時に、前記インバータ回路の出力を絞り、前記負荷接続回路のスイッチを閉成する動作と、前記インバータ回路が復帰し、前記スイッチを開成する動作とを、前記負荷電圧の低下の検出がなく、前記過電流検出レベルを越えた負荷電流の検出がなくなるまで、繰り返し行って異常放電を消滅させるようにしたことを特徴とする真空装置の異常放電消滅装置。 - 前記負荷接続回路には、前記直流電源から出力する直流電圧と逆極性のパルス発生器を接続したことを特徴とする請求項1記載の真空装置の異常放電消滅装置。
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