JP3659380B2 - 手動変速入力付き自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機の制御装置に関するものであり、特に所謂マニュアルスイッチによる手動変速入力を可能とした自動変速機において、そのアップシフト時の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動変速機の制御装置としては、予め設定された変速線に従って変速を行うために、例えばスロットル開度や自動変速機への入力回転速度から目標とする目標入力回転速度を設定し、この目標入力回転速度に対して実際の入力回転速度との偏差(差分値)などを用いて、クラッチやブレーキ等の変速に作用する係合側摩擦要素の係合力,即ち当該摩擦要素への作動流体圧をフィードバック制御するものがある。この目標入力回転速度に対するフィードバック制御は、変速時の所謂イナーシャフェーズで実施されることが多いから、当該目標入力回転速度は、当該イナーシャフェーズの開始時の入力回転速度を初期値として設定される。なお、前記変速時のイナーシャフェーズとは、摩擦要素が係合され始めて、入力回転速度が減少する時間領域(相)であり、合わせて出力軸トルクも増加する傾向にある。これ以前には、摩擦要素が開放される時間領域(相)があり、これはトルクフェーズと呼ばれる。
【0003】
これに対して、手動変速入力を可能とした手動変速入力付き自動変速機の制御装置としては、例えば特開平5−32202号公報に記載されるものや、特開平6−2762号公報に記載されるものがある。これらは何れも、予め設定された変速線に従って変速を行う通常の自動変速モードに対して手動変速入力が行われたときの手動変速モードを有し、当該手動変速入力が何時行われるか分からない,つまり通常の自動変速の変速点とは異なり、例えばエンジンからの入力が通常の自動変速時よりも大きい場合に、通常自動変速と同様の係合側摩擦要素への作動流体圧のフィードバック制御を行っていたのでは、変速終了までの所要時間が長くなってしまうことに着目したものである。そして、前者は手動変速入力時,つまり手動変速モードでは係合側摩擦要素への作動流体圧のフィードバック制御を禁止してしまう,即ち例えば当該係合側摩擦要素への作動流体圧を手動変速入力と共に通常の自動変速モードよりもステップ的に高め、それを次第に増圧して完全な係合に移行する。また、後者は手動変速入力と共に係合側摩擦要素への作動流体圧を通常の自動変速モードよりもステップ的に高め、それを次第に増圧するが、例えばイナーシャフェーズが検出されたら、元の定常圧,即ち通常自動変速時の作動流体圧にステップ的に戻すようにしている。これらによれば、少なくとも手動変速モードの変速所要時間を確保して、応答性やドライバビリティを確保することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば手動変速モードで単に係合側摩擦要素への作動流体圧をステップ的に高めても、或いはイナーシャフェーズと共にそれをステップ的に戻しても、何れの場合にも変速ショックが発生する恐れがある。これは、出力軸トルクに現れる,所謂ルースターテールと呼ばれるトルクの急速な変動或いは鋭角な突出によるものであるが、このようなトルクの急速な変動や鋭角な突出がなくならない限り、変速ショックはなくならない。
【0005】
また、係合側摩擦要素への作動流体圧をフィードバック制御するにあたり、その制御入力である入力回転速度はエンジン側,即ち入力側の回転慣性(イナーシャ)を、スロットル開度は入力側のトルクを、夫々考慮していることになるが、これだけでは当該係合側摩擦要素への作動流体圧を十分に適正化できないことも分かった。
【0006】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、特に手動変速入力によるアップシフト時にも、出力トルクの急速な変動や鋭角な突出を抑制して変速ショックを回避できるようにすると共に、係合側摩擦要素への作動流体圧を十分に適正化できる手動変速入力付き自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の手動変速入力付き自動変速機の制御装置は、摩擦要素への作動流体圧を制御することで当該摩擦要素の係合及び開放によって各変速を行うと共に、予め設定された変速線に従って自動的に変速する自動変速モードと変速段への変速を手動で入力可能とした手動変速モードとを有する自動変速機の制御装置であって、車速を検出する車速検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、自動変速機の入力回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、前記手動変速モード時のトルクフェーズでは、係合する摩擦要素への作動流体圧を自動変速制御時の当該係合する摩擦要素への作動流体圧より高く設定すると共に、当該手動変速モード時のイナーシャフェーズでは、少なくとも前記車速検出手段で検出された車速及びスロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度及び入力回転速度検出手段で検出された入力回転速度から手動変速モード用の目標入力回転速度を設定し、この手動変速モード用の目標入力回転速度に応じて、前記係合する摩擦要素への作動流体圧をフィードバック制御する手動変速モード制御手段とを備え、この手動変速モード制御手段に、前記目標入力回転速度と前記入力回転速度検出手段で検出された入力回転速度との偏差が大きくなると、当該目標入力回転速度を当該偏差発生側に補正する目標入力回転速度補正手段を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の手動変速入力付き自動変速機の制御装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施形態を示す自動変速機及びその制御装置の概略構成図である。本実施形態では、原動機となるエンジン1の出力はオートマチックトランスミッション2(自動変速機)を介して図示されない後左右の駆動輪に伝達される。このオートマチックトランスミッション2の下部には共通のバルブボディが取付けられ、そのバルブボディに各種のバルブを取付けて流体装置としてのアクチュエータユニット3が構成されている。また、前記エンジン1とオートマチックトランスミッション2との間に介装されたトルクコンバータ4は、ロックアップ機構,つまりロックアップクラッチ付きの既存のものであり、ロックアップフェーシングとトルコンカバーとの間にリリース側流体室が形成され、当該ロックアップフェーシングの反対側がアプライ側流体室になり、後述するロックアップコントロールバルブの切換えにより、アプライ側流体室への作動流体圧が高まるとロックアップ、リリース側流体室へのそれが高まるとアンロックアップ状態となる(図2参照)。
【0010】
次に、前記オートマチックトランスミッション2内の構成並びに前記アクチュエータユニット3内の構成について簡潔に説明する。このオートマチックトランスミッション2内の基本的な変速構造は既存の2列の遊星歯車機構からなり、各遊星歯車機構を構成するサンギヤ,ピニオン,リングギヤの何れかを固定したり開放したりすることで入出力回転数の比,即ち減速比を変更できるようになっている。図2は、このオートマチックトランスミッション2のスケルトンである。このオートマチックトランスミッション2の構造は、十分に周知な既存のものであるので、ここでは主要な構成要素の名称及び符号の説明に止める。即ち、図中の符号51は入力側遊星歯車機構であり、51sはサンギヤ、51pはピニオン、51rはリングギヤ、51cはキャリアである。また、符号52は出力側遊星歯車機構であり、52sはサンギヤ、52pはピニオン、52rはリングギヤ、52cはキャリアである。また、53は、前記トルクコンバータ4のタービンライナに接続されているインプットシャフト(入力軸)であり、54は、図示されない駆動輪に接続されるアウトプットシャフトである。また、機構から言えば、55はパーキングギヤ、56はパーキングポール、57はローワンウエイクラッチ、58はフォワードワンウエイクラッチである。次いで、入力側の摩擦要素から、符号59はリバースクラッチ、60はハイクラッチ、61はブレーキバンド、62はオーバランクラッチ、63はフォワードクラッチ、64はローアンドリバースブレーキである。このうち、前記ローアンドリバースブレーキ64,ブレーキバンド61,ハイクラッチ60の係合開放の選択を、後述する二つのシフトソレノイドA21,B22からの作動流体圧により行うことで変速制御がなされる。また、フォワードクラッチ63,リバースクラッチ59の何れか一方を係合し他方を開放することで前後進の切換え制御がなされる。また、オーバランクラッチ62を後述するオーバランクラッチソレノイド23からの作動流体圧により係合開放制御することでエンジンブレーキの効きの制御がなされる。また、トルクコンバータ4内のロックアップクラッチ41を後述するロックアップソレノイド24からの作動流体圧により係合開放制御することでロックアップ制御がなされる。
【0011】
次に、前記アクチュエータユニット3内の各ソレノイドやバルブのうち、アクチュエータユニット3内の元圧となるライン圧を制御するためのバルブ構成について図3を用いて簡潔に説明する。図中の符号11が、後述するオートマチックトランスミッションコントロールユニット(以下、単にA/Tコントロールユニットとも記す)20からの駆動信号DPLによって駆動され、アクチュエータユニット3全体に供給するライン圧PL を制御するためのライン圧制御用デューティバルブであり、これを駆動するためのソレノイドがライン圧ソレノイド5になる。ポンプ12からの吐出圧であるポンプ圧PO/P の一部は出力圧フィードバックタイプのパイロットバルブ13で各種制御用定圧,つまりパイロット圧PPLT となり、そのドレン量を前記ライン圧制御用デューティバルブ11で調整してスロットル圧PTHL を創成する。このスロットル圧PTHL は、前記パイロット圧PPLT を分圧する出力圧フィードバックタイプのプレッシャモディファイヤバルブ14のパイロット圧として作用し、プレッシャモディファイヤ圧PMDF を創成する。このプレッシャモディファイヤ圧PMDF は、前記ポンプ圧PO/P からライン圧PL を分圧するためのライン圧コントロールバルブ15のパイロット圧として作用し、当該ポンプ圧PO/P を、主として上流側のライン圧PL と下流側のアキュームピストンへの供給圧とに分圧する。従って、前記ライン圧制御用デューティバルブ11のライン圧ソレノイド5へのデューティ比を制御すれば、間接的にではあるが、ライン圧PL を制御することができるのである。これにより、本実施形態では、所定の不感帯領域を除き、このライン圧ソレノイド5への制御信号又は駆動信号のデューティ比D/TPLの増加(この場合はソレノイドとしてのOFF状態の割合)に伴って(目標)ライン圧PL(OR) はリニアに増圧するものとする。
【0012】
次に、前記変速に係るクラッチやブレーキ等の摩擦要素への作動流体圧を制御するための構成について説明する。この4速のオートマチックトランスミッション2は、前記アクチュエータユニット3内の二つのシフトソレノイドA21,B22で変速を司る。即ち、これら二つのシフトソレノイドA21,B22は、図4に示すようにA/Tコントロールユニット20からの駆動信号DSFT-SOL-A ,DSFT-SOL-B によって駆動され、該当する夫々のシフトバルブA31,B32へのパイロット圧として、それらのドレン圧を夫々シフトソレノイド圧PSFT-SOL-A ,PSFT-SOL-B として制御する。
【0013】
これらのシフトソレノイドA21,B22による自動変速時の変速曲線の一例を図5aに制御マップ化して示す。この制御マップでは車速VSP及びスロットル開度TVOとから適切な目標とする変速比(変速段)が設定される。図中の変速段“1”,“2”,…は、夫々1速,2速,…に対応しており、個々の変速段で変速比が決定しているから、前記2列の遊星歯車機構の各要素の何れを固定し且つ何れを開放するかは一意に決まる。これを達成するための二つのシフトソレノイドA21,B22のON/OFF状態を図5bのテーブルに纏めた。二つのシフトソレノイドA21,B22は、各摩擦要素への作動流体圧を調整するシフトバルブA31,B32のドレン回路を開閉することでそれらのパイロット圧,即ちシフトソレノイド圧PSFT-SOL-A ,PSFT-SOL-B を制御するのであるから、ここではドレン回路を閉じる場合をON状態として○で表し、ドレン回路を開く場合をOFF状態として×で表す。なお、自動変速では、種々の走行状態に応じて変速曲線に補正が加えられるので、前記図5aの変速曲線は絶対的なものではない。
【0014】
ここで、例えばDレンジにおける3速に注目してみると、この3速では前記ブレーキバンド61が開放されている状態で、ハイクラッチ60だけを係合すればよい。勿論、マニュアルスイッチによる手動変速入力時のアップシフトでも同じである。但し、2速からのアップシフト時には、それまで係合しているブレーキバンド61を開放する必要はある。そこで、2速時,つまり前記シフトソレノイドB22がON状態でシフトソレノイド圧PSFT-SOL-が高圧のときには、図6の左半部に示すように、リターンスプリングの復元力に抗してスプールが図示上昇し、これによりライン圧PL は遮断されてハイクラッチ60へのハイクラッチ圧PH-SLもブレーキバンド61の開放作動室への流体圧も低圧となっているが、3速指令が供給されるとシフトソレノイドB22がOFF状態となるので、これによりシフトソレノイド圧PSFT-SOL-が低圧となり、図6の右半部に示すように、リターンスプリングの復元力によってスプールが図示下降し、これによりライン圧PL がハイクラッチ60及びブレーキバンド61の開放作動室側に連通してハイクラッチ圧PH-SLも高圧となる。このようにハイクラッチ圧PH-SLが高圧化すれば、前記ハイクラッチ60の所謂遊び分及び機械的応答遅れ分を除いて、当該ハイクラッチ60の係合力は当該ハイクラッチ圧PH-SLに応じてリニアに増加する。こうしてハイクラッチ60の係合力が次第に増加すれば、それ以前にフリーとなっている自動変速機のインプットシャフトの入力回転速度(ここではエンジン回転速度と同等と考える)NE は次第に減速し、一時的に高い出力トルクが得られる。
【0015】
次に前記トルコン圧を制御するためのバルブ構成について図7を用いて簡潔に説明する。図中に示す符号PT/C が前記トルクコンバータ4のロックアップクラッチに供給されるトルコン圧であり、これは前記ライン圧PL を、図示されない出力圧フィードバックタイプのトルクコンバータリリーフバルブに供給して得た当該ライン圧PL の分圧であり、ライン圧PL が高ければトルコン圧PT/C も高く、ライン圧PL が低ければトルコン圧PT/C も低くなる。そして、図中の符号16は前記A/Tコントロールユニット20からの駆動信号DL/U によって駆動され、前記トルクコンバータ4のロックアップクラッチによるロックアップ/アンロックアップを切換え制御するためのロックアップ制御用デューティバルブであり、これを駆動するためのソレノイドがロックアップソレノイド24になる。前記パイロット圧PPLT は、ロックアップコントロールバルブ17をアプライ側に移動する(実際にはプラグ17aを介して)ためのアプライ側パイロット圧と、絞りを介して当該ロックアップコントロールバルブ17をリリース側に移動するためのリリース側パイロット圧とに分岐され、前記ロックアップ制御用デューティバルブ17は、このリリース側パイロット圧のドレン量を調整するためのものである。
【0016】
そして、このロックアップ制御用デューティバルブ16は、デューティ比の大きい制御信号でトルクコンバータ4をロックアップし、デューティ比の小さい制御信号でアンロックアップするように作用する。即ち、ロックアップソレノイド24へのデューティ比が小さく、ロックアップ制御用デューティバルブ16がOFF状態では、前記リリース側パイロット圧のドレン量が少なく、従って受圧面積の関係からロックアップコントロールバルブ17がリリース側に移動されてトルコン圧PT/C はリリース側トルコン圧PT/C-R として作用するためにアンロックアップ状態が維持される。この状態から、ロックアップソレノイド24へのデューティ比が大きくなり、ロックアップ制御用デューティバルブ16がON状態となると、前記リリース側パイロット圧のドレン量が多くなり、相対的にアプライ側パイロット圧が高くなってロックアップコントロールバルブ17がアプライ側に移動されてトルコン圧PT/C はアプライ側トルコン圧PT/C-A として作用するためにロックアップ状態に移行する。従って、前記ロックアップ制御用デューティバルブ16は、ロックアップクラッチのロックアップとアンロックアップとを切換え制御するためのものであるが、前記ロックアップソレノイド24へのデューティ比を徐々に変化させることにより、アプライ側トルコン圧PT/C-A がリリース側トルコン圧PT/C-R よりやや大きい状態としてロックアップの半クラッチ状態を作出すこともできる。なお、前述のように、リリース側トルコン圧PT/C-R はアプライ側を通って回収される。
【0017】
一方、前記エンジン1の吸気管路には、運転者によるアクセルペダルの踏込み量に応じて開閉するスロットルバルブが配設されており、このスロットルバルブには、その開度(以下、スロットル開度とも記す)TVOを検出するスロットル開度センサ6が取付けられている。また、エンジン1の出力軸には、その回転速度(以下、エンジン回転数とも記す)NE を検出するエンジン回転数センサ7が取付けられている。なお、前記スロットル開度センサ6で検出されるスロットル開度TVOの検出信号は、当該スロットル開度TVOが大でアクセルペダルの踏込み量が大であることを示す。また、前記エンジン回転数センサ7はエンジンのイグニッション点火パルスからエンジン回転速度を検出するように構成してもよい。更に、本実施形態では、前記トルクコンバータ4の滑りを無視して、エンジン回転数NE は、自動変速機への入力回転速度に等しいものとして、以下入力回転速度NE とも表す。
【0018】
また、前記アクチュエータユニット3には、リザーバ内の作動流体の温度TMPを検出する作動流体温度センサ9が設けられている。また、オートマチックトランスミッション2のシフトポジションを選択するセレクトレバーには、選択されたシフトポジションを検出し、それに応じたシフトレンジ信号SRANGE を出力するインヒビタスイッチ(図ではSW)8aが取付けられている。また、これに併設され且つ手動変速入力を行うためのマニュアルスイッチ(図ではSW)8も設けられている。ちなみに、このシフトレンジ信号SRANGE は、実車のシフトポジションに合わせて、P,R,N,D,2,Lに相当する信号になっている。また、マニュアルスイッチ8は、インヒビタスイッチ8aがDレンジ又はそれと同じく前記1乃至4速の何れも選択可能な状態で、現在の変速段をアップシフトするか又はダウンシフトするかという指令信号を出力する。また、このオートマチックトランスミッション2の出力軸には、車速VSPを検出する車速センサも取付けられている。
【0019】
前記A/Tコントロールユニット20は、例えば後述する図8の演算処理等を実行することで、前記オートマチックトランスミッション2並びに前記アクチュエータユニット3を制御するための制御信号を出力するマイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータから出力される制御信号を、実際のアクチュエータ,即ち前記各ソレノイドに適合する駆動信号に変換する駆動回路とを備えて構成される。このうち、マイクロコンピュータは、例えばA/D変換機能等を有する入力インタフェース回路や、マイクロプロセサ等の演算処理装置や、ROM,RAM等の記憶装置や、例えばD/A変換機能を有する出力インタフェース回路等を備えている。従って、このマイクロコンピュータでは、例えば入力されるエンジントルクを伝達するための最適なライン圧PL を求め、それを達成するために必要なライン圧ソレノイド5のデューティ比D/TPLを算出し、そのライン圧制御デューティ比D/TPLに応じたライン圧制御信号SPLを出力したり、或いはトルクコンバータ4をロックアップ/アンロックアップ制御するのに最適なロックアップソレノイド24のデューティ比D/TL/U を算出し、そのロックアップ制御デューティ比D/TL/U に応じたロックアップ制御信号SL/U を出力したり、車速VSPやスロットル開度TVOに応じた変速比を達成するために必要な前記二つのシフトソレノイドA21,B22の作動状態を求め、それを作動させるためのシフトソレノイド制御信号SSFT-SOL-A ,SSFT-SOL-B を出力したり、例えば2レンジやLレンジといったエンジンブレーキレンジが選択されたときにオーバランクラッチを係合するためのオーバランクラッチソレノイド23の作動状態を求め、それを達成するためにオーバランクラッチ係合制御信号SCLを出力したりする。
【0020】
また、前記各駆動回路は、前記マイクロコンピュータから出力される各制御信号を対応するアクチュエータの駆動に適した駆動信号に変換して出力するものである。なお、例えばデューティ比に応じた制御信号やパルス制御信号の形態は、既に所望するデューティ比やパルス数を満足しており、各駆動回路は、例えば単にそれを増幅するなどの電気的処理を施すだけで、信号の形態そのものを処理するものではない。
【0021】
次に、本実施形態の変速制御全体の概略構成を、前記A/Tコントロールユニット20内のマイクロコンピュータで実行される図8に示すゼネラルフローの演算処理に従って説明する。この演算処理は、基本的には、エンジンコントロールユニット側からの要求がない状態での変速制御を簡潔に纏めたものであり、その詳細は、例えば特開平2−190666号公報等を参照されるとして、ここではゼネラルフローの概要を説明するに止める。この演算処理は、所定サンプリング時間(例えば10msec)ΔT毎にタイマ割込処理として実行される。なお、これ以後の演算処理では、何れも特に通信のためのステップを設けていないが、マイクロコンピュータ内の演算処理装置で必要なプログラムやマップ、或いは必要なデータは随時記憶装置から読込まれるし、逆に演算処理装置で算出されたデータは随時記憶装置に更新記憶されるものとする。
【0022】
この演算処理では、まずステップS1で、前記車速センサ10からの車速VSP,エンジン回転数センサ7からのエンジン回転数NE ,作動流体温度センサ9からの作動流体温度TMP,スロットル開度センサ6からのスロットル開度TVO,インヒビタスイッチ8aからのシフトレンジ信号SRANGE ,及びマニュアルスイッチ8からのシフト指令信号を読込む。
【0023】
次にステップS2に移行して、制御マップ検索等の個別の演算処理に従って、前記ライン圧PL の制御を行う。具体的には、例えば図9aに示すようなスロットル開度TVO−ライン圧PL 曲線に従って、基本とするライン圧PL を基本ライン圧PL0B とする。この基本ライン圧PL0B とは、原則としてエンジン1からの入力トルクに対して、各クラッチ等の摩擦要素が必要且つ十分に係合するための作動流体圧であり、且つポンプ損失を最も少なくすることができる作動流体圧である。従って、例えばエンジントルクの伝達方向が異なるRレンジとD,2,Lレンジとでは、図9bに示すように必要とされる(基本)ライン圧PL(0B) が異なる。そして、この基本ライン圧PL0B に対して、変速や作動流体温度に伴う補正を行って目標ライン圧PL0を算出し、この目標ライン圧PL0を達成するためのライン圧制御デューティ比D/TPLを算出設定し、そのライン圧制御デューティ比D/TPLに応じたライン圧制御信号SPLを創成出力する。
【0024】
次にステップS3に移行して、個別の演算処理に従って、ロックアップ制御を行う。具体的には、例えば車速VSP及びスロットル開度TVOに応じたロックアップ車速VON及びアンロックアップ車速VOFF を設定し、原則的に車速VSPがロックアップ車速VON以上ならロックアップ,アンロックアップ車速VOFF 以下ならアンロックアップとなるように前記制御信号SL/U を創成出力するが、特にロックアップ側に移行するときに、一時的に半クラッチ状態とすることで、完全なロックアップ移行時の衝撃を緩和する。
【0025】
次にステップS4に移行して、制御マップ検索等の個別の演算処理に従って、変速比制御を行う。具体的には、前記図5aに示すような制御マップから車速VSP及びスロットル開度TVOとから適切な目標とする変速比を設定し、図5bに示すテーブルから当該目標とする変速比が達成されるための二つのシフトソレノイドA21,B22のON/OFF状態を求め、それが達成されるように前記シフトソレノイド制御信号SSFT-SOL-A ,SSFT-SOL-B を創成出力するのであるが、更にその詳細,特に前記マニュアルスイッチ8による手動操作入力のアップシフト時の制御態様は後段に詳述する。
【0026】
次にステップS5に移行して、個別の演算処理に従って、オーバランクラッチ係合制御を行ってからメインプログラムに復帰する。具体的には、前記オーバランクラッチは駆動輪からの逆駆動力をエンジン側に伝達させるためのものであり、原則的にDレンジ以外の2レンジ等のエンジンブレーキレンジが選択されているときに係合制御され、これにより効率よくエンジンブレーキを作用させて減速効果を得るためのものであり、図6に示すように車速が所定値以下でスロットル開度が閉方向の所定値以下である場合に、オーバランクラッチを係合させる前記オーバランクラッチ係合制御信号SCLを創成出力する。なお、Lレンジでは、あらゆるスロットル開度TVO領域でオーバランクラッチを係合させるようにしている。
【0027】
次に、本実施形態において前記図8の演算処理のステップS4で実行される変速比制御のための演算処理について図11を用いて説明する。ちなみに、ここでは図11の演算処理を一度しか説明しないが、実際には図中にj速と記される部分を1速乃至4速と置き換え、更に図中のアップシフトをダウンシフトを置き換えた,計8個の演算処理を一回のサンプリング時刻に次々に繰り返して行うものとする。そして、ここでは前記j速を3速として説明する。
【0028】
即ち、この演算処理では、まずステップS41において、例えば前回の変速段との比較する等の個別の演算処理を内部で行うことで、現在が3(=j)速のアップシフト状態にあるか否かを判定し、現在が3速アップシフト状態である場合にはステップS42に移行し、そうでない場合には一旦メインプログラムに復帰して次の演算処理を行う。
【0029】
前記ステップS42では、例えば前記マニュアルスイッチ8からの指令信号を入力したか否か等の個別の演算処理を内部で行うことで、マニュアルスイッチによる指令か否かを判定し、マニュアルスイッチによる指令である場合にはステップS43に移行し、そうでない場合にはステップS44に移行する。
【0030】
前記ステップS43では、後段に詳述する図12の演算処理によってマニュアル3(=j)速アップシフトモード制御を行ってから一旦メインプログラムに復帰して次の演算処理を行う。
【0031】
また、前記ステップS44では、前記マニュアル3(=j)速アップシフトモード制御に類似する個別の演算処理によってオートマチック(自動)3(=j)速アップシフトモード制御を行ってから一旦メインプログラムに復帰して次の演算処理を行う。
【0032】
次に、前記図11の演算処理のステップS43で実行されるマニュアル3(=j)速アップシフトモード制御のための演算処理について図12を用いて説明する。ちなみに、ここでは図12の演算処理を一度しか説明しないが、実際には図中にj速と記される部分を1速乃至4速と置き換えた演算処理を、前記繰り返して行われる各演算処理のマイナプログラムとして実行する。なお、ここでも前記j速を3速とし、更にシフトソレノイドA21,B22又はシフトソレノイド制御信号SSFT-SOL-A ,SSFT-SOL-B を限定する符号iはBとして説明する。また、演算処理中のマニュアル3(=j)速アップシフトフラグFM3(=j)U-PHASE は、自動変速及び手動変速に係わらず3(=j)速以外の変速段が選択されたときに“0”にリセットされるものとする。
【0033】
即ち、この演算処理では、まずステップS401でマニュアル3(=j)速アップシフトフラグFM3(=j)U-PHASE が第4相に相当する“4”であるか否かを判定し、当該マニュアル3速アップシフト制御フラグFM3U-PHASE が“4”である場合にはステップS402に移行し、そうでない場合にはステップS403に移行する。
【0034】
前記ステップS403では、マニュアル3(=j)速アップシフトカウンタCNTM3(=j)U/M をインクリメントしてからステップS404に移行する。
前記ステップS404では、前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE が第3相に相当する“3”であるか否かを判定し、当該当該マニュアル3速アップシフト制御フラグFM3U-PHASE が“3”である場合にはステップS405に移行し、そうでない場合にはステップS406に移行する。
【0035】
前記ステップS406では、前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE が第2相に相当する“2”であるか否かを判定し、当該当該マニュアル3速アップシフト制御フラグFM3U-PHASE が“2”である場合にはステップS407に移行し、そうでない場合にはステップS408に移行する。
【0036】
前記ステップS408では、前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE が第1相に相当する“1”であるか否かを判定し、当該当該マニュアル3速アップシフト制御フラグFM3U-PHASE が“1”である場合にはステップS409に移行し、そうでない場合にはステップS410に移行する。
【0037】
前記ステップS410では、シフトソレノイドB(=i)デューティ比D/TSFT-SOL-B(=i) を、予め設定されたマニュアル3(=j)速アップシフトモード所定値D/TM3(=j)U/M-0 に設定してからステップS411に移行する。
【0038】
前記ステップS411では、前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE を、アップシフトの第1相に相当する“1”にセットしてからステップS412に移行する。
【0039】
前記ステップS412では、前記マニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M をクリアしてからステップS413に移行する。
また、前記ステップS409では、前記シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に、予め設定されたマニュアル3(=j)速アップシフトトルクフェーズデューティ比増加量ΔD/TSFT-SOL-B-1 を加えた値を、新たなシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に設定してからステップS414に移行する。
【0040】
前記ステップS414では、入力回転速度NE が減少してイナーシャフェーズに移行したか否かを判定するために、入力回転速度の今回値NE(n)から前回値NE(n-1)を減じた値が負値であるか否かを判定し、その値が負値である場合にはステップS415に移行し、そうでない場合にはステップS416に移行する。
【0041】
前記ステップS416では、入力回転速度NE が減少してイナーシャフェーズに移行したか否かを判定するために、入力回転速度の今回値NE(n)から前々回値NE(n-2)を減じた値が負値であるか否かを判定し、その値が負値である場合には前記ステップS415に移行し、そうでない場合には前記ステップS413に移行する。
【0042】
前記ステップS415では、入力回転速度の今回値NE(n)を入力回転速度の初期値NE0に更新記憶してからステップS417に移行する。
前記ステップS417では、前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE を、アップシフトの第2相に相当する“2”にセットしてからステップS418に移行する。
【0043】
前記ステップS418では、マニュアル3(=j)速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3(=j)U-INT をクリアしてから前記ステップS413に移行する。
【0044】
また、前記ステップS407では、前記マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT をインクリメントしてからステップS419に移行する。
【0045】
前記ステップS419では、制御マップ検索等の個別の演算処理に従って、前記車速VSP及びスロットル開度TVO及び入力回転速度初期値NE0に応じた前記マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタ(図中はイナーシャカウンタ)CNTM3U-INT の目標入力回転速度の今回値NEd(n) を設定してからステップS420に移行する。この目標入力回転速度の今回値NEd(n) の設定は、具体的には、図13に示すように、前記マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT の増加に伴って単純減少する一次関数で設定される。但し、図13aに示すように、例えば入力回転速度初期値NE0をパラメータとする場合には、当該入力回転速度初期値NE0の増加に伴って目標入力回転速度の今回値NEd(n) は大きな値に設定される。また、13bに示すように、スロットル開度TVOをパラメータとする場合には、当該スロットル開度TVOの増加に伴って目標入力回転速度の今回値NEd(n) の減少傾きが大きくなるように設定される。また、13cに示すように、車速VSPをパラメータとする場合には、当該車速VSPの増加に伴って目標入力回転速度の今回値NEd(n) の減少傾きが大きくなるように設定される。但し、実際には図13b,図13cの制御マップは所謂三次元マップとしてスロットル開度TVO及び車速VSPを同時にパラメータとして一度に目標入力回転速度の今回値NEd(n) が設定されるようになっている。
【0046】
前記ステップS420では、前記入力回転速度の今回値NE(n)から目標入力回転速度の今回値NEd(n) を減じて入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)を算出してからステップS421に移行する。
【0047】
前記ステップS421では、前回のシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に、前記入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)に応じた関数値f1 (ΔNE(n))を和した値を、新たなシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に設定してからステップS422に移行する。なお、前記関数値f1 (ΔNE(n))は、例えば入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)に所定のゲインK1 を乗じた値K1 (ΔNE(n))等で表れる。また、一般的なフィードバック制御理論で用いられる,PD制御法,PID制御法等を用いてもよい。
【0048】
前記ステップS422では、前記入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)が、予め設定された入力回転速度偏差所定値ΔNE0以上であるか否かを判定し、当該入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)が所定値ΔNE0以上である場合にはステップS423に移行し、そうでない場合にはステップS424に移行する。
【0049】
前記ステップS423では、前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE を、アップシフトの第3相に相当する“3”にセットしてからステップS425に移行する。
【0050】
前記ステップS425では、前記入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)を入力回転速度偏差の初期値ΔNE1に更新記憶してから前記ステップS424に移行する。
【0051】
一方、前記ステップS405では、前記ステップS407と同様に、前記マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT をインクリメントしてからステップS427に移行する。
【0052】
前記ステップS427では、前記ステップS419と同様に、制御マップ検索等の個別の演算処理に従って、前記スロットル開度TVO及び入力回転速度初期値NE0に応じた前記マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタ(図中はイナーシャカウンタ)CNTM3U-INT の目標入力回転速度の今回値NEd(n) を設定してからステップS428に移行する。
【0053】
前記ステップS428では、前記ステップS427で設定された目標入力回転速度の今回値NEd(n) に、前記入力回転速度偏差初期値ΔNE1に応じた関数値f2 (ΔNE1)を和した値を、新たな目標入力回転速度の今回値NEd(n) として補正してからステップS429に移行する。なお、前記関数値f2 (ΔNE1)は、例えば入力回転速度偏差初期値ΔNE1を時間の関数と見なし、それを時間積分した値に所定のゲインK2 を乗じた値K2 ∫(ΔNE1)dt等で表れる。また、一般的なフィードバック制御理論で用いられる,PD制御法,PID制御法等を用いてもよい。
【0054】
前記ステップS429では、前記ステップS420と同様に、前記入力回転速度の今回値NE(n)から目標入力回転速度の今回値NEd(n) を減じて入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)を算出してからステップS430に移行する。
【0055】
前記ステップS430では、前記ステップS421と同様に、前回のシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に、前記入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)に応じた関数値f1 (ΔNE(n))を和した値を、新たなシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に設定してから前記ステップS424に移行する。
【0056】
そして、前記ステップS424では、入力回転速度NE が増速に転じてしてイナーシャフェーズが終了したか否かを判定するために、入力回転速度の今回値NE(n)から前回値NE(n-1)を減じた値が正値であるか否かを判定し、その値が正値である場合にはステップS431に移行し、そうでない場合にはステップS432に移行する。
【0057】
前記ステップS432では、前記マニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M が、変速所要時間に相当した所定値CNTM3(=j)U/M-0 以上であるか否かを判定し、当該マニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M が所定値CNTM3(=j)U/M-0 以上である場合にはステップS431に移行し、そうでない場合には前記ステップS413に移行する。
【0058】
前記ステップS431では、前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE を、アップシフトの第4相に相当する“4”にセットしてから前記ステップS413に移行する。
【0059】
また、前記ステップS402では、前記シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B を、予め設定された3(=j)速モード所定値D/T3(=j)/M-0 に設定してから前記ステップS413に移行する。
【0060】
前記ステップS413では、個別の演算処理に従って、前記シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に応じたシフトソレノイドB(=i)制御信号SSFT-SOL-B(=i) を創成出力してから、一旦メインプログラムに復帰して後続の演算処理を実行する。なお、シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に応じたシフトソレノイドB制御信号SSFT-SOL-B の創成については、既存のPWM(Pulse Width Modulation)制御等を応用すればよいから、その詳細な説明は省略する。
【0061】
次に、本実施形態の作用について説明するが、変速制御の概要は、前記特開平2−190666号公報等に記載される従来のものと同様であるから、ここでは省略し、特に図12の演算処理に伴うマニュアル3(=j)速アップシフトモード制御の作用について、図14のタイミングチャートを用いながら詳述する。
【0062】
このタイミングチャートは、同等の車速VSP及びスロットル開度TVOでの自動変速タイミングより、更にエンジン回転速度,即ち入力回転速度NE が高い状態で、時刻t01でマニュアルスイッチ8による3(=j)速アップシフト指令がなされた場合をシミュレートしたものであり、同図14aには、入力回転速度NE ,目標入力回転速度NEd,車速VSP等の回転速度の経時変化を示し、同図14bには、変速機からの出力軸トルクの経時変化を示し、同図14cには、ハイクラッチ圧PH-CL等の作動流体圧の経時変化を示す。
【0063】
このシミュレーションでは、前記時刻t01でマニュアル3速アップシフト入力があると、図14cに破線で示すように、それまでの2速で係合されていたバンドブレーキへの作動流体圧PBBは、予め設定された傾きで減圧される。一方、この時刻t01で前記図12の演算処理が実行されると、この状態では前記マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE は“0”にリセットされたままであるから、前記ステップS401乃至ステップS408を経てステップS410に移行する。このステップS410では、シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B が所定値D/TM3U/M-0 に設定され、次のステップS411でマニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE が“1”にセットされ、次のステップS412でマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M がクリアされ、次のステップS413で前記シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に応じたシフトソレノイドB制御信号SSFT-SOL-B が出力される。これらにより、まず所定値D/TM3U/M-0 に設定されたシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B からなるシフトソレノイドB制御信号SSFT-SOL-B は、前述のように通常の自動変速のそれより大きな値であるから、この時刻t01でハイクラッチ圧PH-CLはステップ的に立上る。また、これ以後は、図12の演算処理が実行される度に、ステップS408からステップS409以後のフローに移行する。なお、前記“1”にセットされたマニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE の第1相とは、前述したトルクフェーズを示している。
【0064】
次のサンプリング時刻で図12の演算処理が実行されると、ステップS403でマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M をインクリメントしながら、前述のようにステップS408からステップS409以後へ移行するフローが繰返されることになる。このフローでは、まずステップS409で、前記シフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に、予め設定されたマニュアル3速アップシフトトルクフェーズデューティ比増加量ΔD/TSFT-SOL-B-1 を加えた値を、新たなシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B に設定する,つまり各サンプリング時刻毎に所定増加量ΔD/TSFT-SOL-B-1 ずつシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B を大きくしてゆくので、図14cに示すようにハイクラッチ圧PH-CLは次第に高くなってゆく。この間も、同図に一点鎖線で示す通常自動変速時のハイクラッチ圧よりも相応に高くなっていることが分かる。なお、このフローは、続くステップS414で入力回転速度の今回値NE(n)から前回値NE(n-1)を減じた値が負値となるか、又はステップS416で入力回転速度の今回値NE(n)から前々回値NE(n-2)を減じた値が負値となるかによって、入力回転速度NE が減少傾向に転じてイナーシャフェーズに移行するまで継続される。
【0065】
こうした作動流体圧,特にハイクラッチ圧PH-CLの変化に伴って、ハイクラッチの係合力が次第に大きくなり、図14bに示すように出力軸トルクTはやや応答遅れを伴って時刻t02から緩やかに減少し、前記2速時のバンドブレーキが開放される時刻t03で極小となる。また、これに伴って、入力回転速度NE も時刻t03から減少に転じ、前記イナーシャフェーズが開始した。従って、この時刻t03で図12の演算処理が実行されると、ステップS414で入力回転速度の今回値NE(n)から前回値NE(n-1)を減じた値が負値となるか、又はステップS416で入力回転速度の今回値NE(n)から前々回値NE(n-2)を減じた値が負値となるかによってイナーシャフェーズの開始が検出されると、次のステップS415でそのときの入力回転数の今回値NE(n)が入力回転数初期値NE0にセットされ、次のステップS417でマニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE がイナーシャフェーズの開始を示す第2相相当の“2”にセットされ、次のステップS418でマニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT がクリアされる。従って、これ以後は、図12の演算処理が実行される度に、ステップS406からステップS407以後のフローに移行する。
【0066】
次いで、次のサンプリング時刻で図12の演算処理が実行されると、ステップS403でマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M をインクリメントしながら、前述のようにステップS406からステップS407以後へ移行するフローが繰返されることになる。このフローでは、まずステップS407でマニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT がインクリメントされ、次のステップS419で前記図13の制御マップに従って、当該マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT に応じた目標入力回転速度の今回値NEd(n) が設定され、次のステップS420で入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)が算出され、次のステップS421では、この入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)をフィードバックしたシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B が設定され、例えばステップS422で入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)が前記所定値ΔNE0以上となるか、又はステップS424で入力回転速度の今回値NE(n)から前回値NE(n-1)を減じた値が正値となってイナーシャフェーズが終了してしまうか、或いはステップS432でマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M が所定値CNTM3U/M-0 でカウントアップしてしまうかしない限り、このフローが繰返される。つまり、図14aに二点鎖線で示すように、前記車速VSP及びスロットル開度TVO及び入力回転速度初期値NE0に応じて設定される目標入力回転速度NEdに対する実際の入力回転速度NE との入力回転速度偏差ΔNE をフィードバック補正するようにシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B が設定される。この過程を詳細に説明すると、前記図13の各制御マップで設定されるイナーシャフェーズ経過時間,即ちマニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT に応じた目標入力回転速度の今回値NEd(n) とは、例えばマニュアル3速アップシフトのイナーシャフェーズ開始から、この目標入力回転速度の今回値NEd(n) が達成されるように、例えばハイクラッチ圧PH-CLを制御すれば所定時間内のアップシフト,即ち変速を終了することができるという指標値である。しかしながら、前述のようにマニュアルアップシフトの変速点は一様でないので、そのときの入出力側の回転慣性,つまりイナーシャやトルク等を考慮して、例えばハイクラッチ圧PH-CL等の作動流体圧を設定しなければならない。そこで、入力回転速度初期値NE0によってエンジン側,即ち入力側のイナーシャ,スロットル開度TVOによって入力側のトルクを考慮すると共に、車速VSPによって出力側のイナーシャを考慮し、それらをフィードバックして目標入力回転速度の今回値NEd(n) を補正することで、例えばハイクラッチ圧PH-CL等の作動流体圧を適正化できる。従って、図14cに示すようにハイクラッチ圧PH-CLが次第に高くなり、従ってハイクラッチは前記時刻t03以後、急速に係合するため出力軸トルクTは図14bに示すように急速に増大し、時刻t04で一旦安定する。
【0067】
ところが、通常の自動変速タイミングと同様ならば、前記図13の制御マップに従って初期に設定される目標入力回転速度NEdに、実際の入力回転速度NE が次第に漸近するのであるが、このシミュレーションでは、例えばエンジン回転速度,つまり入力回転速度NE が大幅に高く、その結果、エンジンからの入力も高い場合、或いは相対的に車速VSPが大幅に小さい場合には、例えば同等のハイクラッチ係合力であっても入力回転速度NE はなかなか減少しない。つまり、現在のハイクラッチ係合力では、エンジンのイナーシャを含むトルク,或いは出力側のイナーシャを受け止めることができず、その結果、当初の目標入力回転速度NEdと入力回転速度NE との入力回転速度偏差ΔNE は次第に大きくなってしまう。このシミュレーションでも、時刻t05で入力回転速度偏差ΔNE が前記所定値ΔNE0以上となってしまったために、そのときの演算処理でステップS422からステップS423に移行してマニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE が第3相相当の“3”にセットされ、次のステップS425でそのときの入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)を入力回転速度偏差初期値ΔNE1にセットされる。従って、これ以後は、図12の演算処理が実行される度に、ステップS404からステップS405以後のフローに移行する。
【0068】
次のサンプリング時刻で図12の演算処理が実行されると、ステップS403でマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M をインクリメントしながら、前述のようにステップS404からステップS405以後へ移行するフローが繰返されることになる。このフローでは、それまでと同様に、まずステップS405でマニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT がインクリメントされ、次のステップS427で前記図13の制御マップに従って、当該マニュアル3速アップシフトイナーシャフェーズカウンタCNTM3U-INT に応じた目標入力回転速度の今回値NEd(n) が設定される。ところが、次のステップS428では、前記入力回転速度偏差初期値ΔNE1に応じて目標入力回転速度の今回値NEd(n) が補正され、次のステップS429では、この補正された目標入力回転速度の今回値NEd(n) と入力回転速度の今回値NE(n)との偏差から入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)が算出され、次のステップS421では、この入力回転速度偏差の今回値ΔNE(n)をフィードバックしたシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B が設定され、例えばステップS424で入力回転速度の今回値NE(n)から前回値NE(n-1)を減じた値が正値となってイナーシャフェーズが終了してしまうか、或いはステップS432でマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M が所定値CNTM3U/M-0 でカウントアップしてしまうかしない限り、このフローが繰返される。つまり、この場合には、例えばこの入力回転速度偏差初期値ΔNE1の時間積分値∫(ΔNE1)dtを当初の目標入力回転速度の今回値NEd(n) に和した値を、新たな目標入力回転速度の今回値NEd(n) に設定するので、これ以後の目標入力回転速度NEdは、図14aに二点鎖線で示すように、それまでの目標入力回転速度NEdよりも減少傾きの小さなものとなり、必然的に実際の入力回転速度NE との入力回転速度偏差ΔNE も小さなものとなる。従って、これ以後、この入力回転速度偏差ΔNE をフィードバック補正するように設定されるシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B は、それまでより小さな値となり、これに応じて図14cに示すようにハイクラッチ圧PH-CLはそれまでと同等かそれより低くなり、従ってハイクラッチは前記時刻t05以後、係合力が小さくなる又は同等に保持される出力軸トルクTは図14bに示すようにさほど増大することもなく、むしろ流体や摩擦要素の応答遅れによってハイクラッチの係合力が大きくなるにつれて入力回転速度NE が減少し、これに伴って出力トルクTそのものもゆっくりと減少する。
【0069】
やがて、時刻t06で入力回転速度NE が増大に転じてイナーシャフェーズが終了してしまうか若しくはマニュアル3速アップシフトカウンタCNTM3U/M がカウントアップしてしまうと、前記ステップS424又はステップS432からステップS431に移行して、マニュアル3速アップシフトフラグFM3U-PHASE が第4相相当の“4”にセットされる。従って、これ以後は、図12の演算処理が実行される度に、ステップS401からステップS402以後のフローに移行する。このマニュアル3速アップシフトの第4相とは、イナーシャフェーズが終了してハイクラッチが完全に係合している時間領域を意味し、従ってシフトソレノイドBデューティ比D/TSFT-SOL-B は、最大値又はその近傍の3速モード所定値D/T3/M-0 (自動変速かマニュアル変速かを問わない所定値)に設定され、一般的には図14cに示すようにハイクラッチ圧PH-CLはステップ的に増大し、これに伴って出力トルクTは低減し、入力回転速度NE は車速VSPと或る一定の比率(減速比)に維持される。
【0070】
つまり、前記図12の演算処理によれば、マニュアルアップシフトの間、出力トルクTが大幅に且つ急速に変化することがないので、変速ショックもないと言える。
【0071】
一方、前記特開平5−322022号公報に記載されるマニュアルj速アップシフトでは、前記目標入力回転速度NEdのフィードバック補正を行わない。つまり、前記図12の演算処理のステップS407乃至ステップS425及びステップS405乃至ステップS430の各フローが削除されている。すると、図14のシミュレーションのように、入力回転速度NE が高く、入力トルクも大きいときには、ハイクラッチ圧PH-SLは、例えば図14cに二点鎖線で示すように、傾き一定で増圧され続けることになる。ところが、流体や摩擦要素の応答遅れと共に、イナーシャフェーズの後期にハイクラッチの係合力は、そのときの大きなハイクラッチ圧PH-CLと共に増加するが、ハイクラッチそのものは僅かに滑っているので、これによって出力軸トルクTは、図14bに二点鎖線で示すように大幅に増大してする。そして、前記時刻t06でハイクラッチ圧PH-CLを立ち上げ、ハイクラッチが完全に係合すると、出力軸トルクTは急速に減少する。この出力軸トルクTの鋭角な突出部が所謂ルースターテール(雄鳥の尻尾)を呼ばれ、その大幅且つ急速なトルク変化が変速ショックとなる。
【0072】
また、前記特開平6−2762号公報に記載されるマニュアルj速アップシフトでは、図14cに一点鎖線で示すように、前記時刻t05で、ハイクラッチ圧PH-CLが通常自動変速時の圧力まで一気に低下してしまう。すると、それまでハイクラッチの係合開始に伴って急速に増加していた出力軸トルクTが、ハイクラッチの滑りによって急速に減少に転じ、ここでもルースターテールが発生するので、変速ショックを免れない。
【0073】
以上より、前記ハイクラッチ60が本発明の摩擦要素に相当し、以下同様に、前記スロットルセンサ6及び図8の演算処理のステップS1がスロットル開度検出手段に相当し、エンジン回転数センサ7及び図8の演算処理のステップS1が入力回転速度検出手段に相当し、図12の演算処理全体が手動アップシフト制御手段に相当し、図12の演算処理のステップS427,ステップS428が目標入力回転速度補正手段に相当する。
【0074】
なお、前記実施形態では、マニュアル入力によって3速にアップシフトした場合についてのみ説明したが、本発明は、設定された各変速段への全てのアップシフトに適用可能であることは言うまでもない。
【0075】
また、前記実施形態では、各コントロールユニットをマイクロコンピュータで構築したものについてのみ詳述したが、これに限定されるものではなく、演算回路等の電子回路を組み合わせて構成してもよいことは言うまでもない。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の手動変速入力付き自動変速機の制御装置によれば、手動アップシフト制御手段は、手動変速モードのトルクフェーズで係合される摩擦要素への作動流体圧を通常自動変速時のそれより高く設定することで、当該摩擦要素の係合を早めて違和感なく変速所要時間を確保可能とすると共に、同じく手動変速モードのイナーシャフェーズでは、車速,即ち出力側のイナーシャ及びスロットル開度,即ち入力側のトルク及び自動変速機の入力回転速度,即ち入力側のイナーシャを考慮して手動変速入力用の目標回転速度を設定し、例えば入力回転速度と目標入力回転速度との偏差に応じて、係合する摩擦要素への作動流体圧をフィードバック制御することにより、当該イナーシャフェーズでの摩擦要素への作動流体圧を適正化でき、更に例えば手動アップシフト指令がエンジンの高回転高出力時に行われ、イナーシャフェーズで自動変速機の入力回転速度が低下しにくいような場合には、その目標入力回転速度と入力回転速度との偏差が大きくなると、当該目標回転速度そのものを当該偏差発生側に補正することにより、結果的に目標入力回転速度と入力回転速度との偏差が小さくなるからフィードバック制御される作動流体圧の補正量が小さくなり、これにより摩擦要素の係合力を少し抑制して出力軸トルクが急速に変化したり、鋭角に突出したりするのを抑制防止して、変速ショックを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機及びその制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の自動変速機内のスケルトン図である。
【図3】ライン圧を制御するバルブの説明図である。
【図4】変速を制御するバルブの説明図である。
【図5】変速曲線並びに変速用ソレノイドバルブ作動テーブルの説明図である。
【図6】シフトバルブの説明図である。
【図7】トルコン圧を制御するバルブの説明図である。
【図8】図1のコントロールユニットで実行される変速制御のゼネラルフローを示すフローチャートである。
【図9】図8の演算処理に用いられる制御マップの説明図である。
【図10】図8の演算処理に用いられる制御マップの説明図である。
【図11】図8の演算処理のマイナプログラムの一例を示すフローチャートである。
【図12】図11の演算処理のマイナプログラムとして実行される本発明の一実施形態を示すフローチャートである。
【図13】図12の演算処理に用いられる制御マップの説明図である。
【図14】図12の演算処理による作用の説明図である。
【符号の説明】
1はエンジン
2はオートマチックトランスミッション
3はアクチュエータユニット
4はトルクコンバータ
5はライン圧ソレノイド
6はスロットルセンサ
7はエンジン回転数センサ
8はマニュアルスイッチ
8aはインヒビタスイッチ
9は温度センサ
10は車速センサ
11はライン圧制御用デューティバルブ
12はポンプ
13はパイロットバルブ
14はプレッシャモディファイヤバルブ
15はライン圧コントロールバルブ
16はロックアップ制御用デューティバルブ
17はロックアップコントロールバルブ
20はオートマチックトランスミッションコントロールユニット
21はシフトソレノイドA
22はシフトソレノイドB
31はシフトバルブA
32はシフトバルブB
60はハイクラッチ(摩擦要素)
Claims (1)
- 摩擦要素への作動流体圧を制御することで当該摩擦要素の係合及び開放によって各変速を行うと共に、予め設定された変速線に従って自動的に変速する自動変速モードと変速段への変速を手動で入力可能とした手動変速モードとを有する自動変速機の制御装置であって、車速を検出する車速検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、自動変速機の入力回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、前記手動変速モード時のトルクフェーズでは、係合する摩擦要素への作動流体圧を自動変速制御時の当該係合する摩擦要素への作動流体圧より高く設定すると共に、当該手動変速モード時のイナーシャフェーズでは、少なくとも前記車速検出手段で検出された車速及びスロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度及び入力回転速度検出手段で検出された入力回転速度から手動変速モード用の目標入力回転速度を設定し、この手動変速モード用の目標入力回転速度に応じて、前記係合する摩擦要素への作動流体圧をフィードバック制御する手動変速モード制御手段とを備え、この手動変速モード制御手段に、前記目標入力回転速度と前記入力回転速度検出手段で検出された入力回転速度との偏差が大きくなると、当該目標入力回転速度を当該偏差発生側に補正する目標入力回転速度補正手段を備えたことを特徴とする手動変速入力付き自動変速機の制御装置。
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JP05372698A JP3659380B2 (ja) | 1998-03-05 | 1998-03-05 | 手動変速入力付き自動変速機の制御装置 |
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JPH11247982A JPH11247982A (ja) | 1999-09-14 |
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- 1998-03-05 JP JP05372698A patent/JP3659380B2/ja not_active Expired - Fee Related
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