JP2006214595A - 自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置 - Google Patents

自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止できる自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置を提供することにある。
【解決手段】パワートレイン制御ユニット100は、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、摩擦クラッチ203を制御し、エンジン1もしくは変速機の状態を表すパラメータと変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、変速機の入力回転数を目標同期回転数に同期せしめるように、摩擦クラッチの指令値を設定する。制御ユニット100は、目標同期回転数と、入力回転数との差から、摩擦クラッチ203の指令補正値を算出し、摩擦クラッチ指令値を補正する。
【選択図】図12

Description

本発明は、自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置に係り、特に、自動車における自動変速機の制御に好適な自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置に関する。
手動変速機の自動車は、トルクコンバータを用いた変速機を搭載するものに比べ燃費がすぐれている。しかし、発進時のクラッチとアクセルの連携操作が難しいものとなっている。この発進時のクラッチとアクセルの連携操作がうまくいかないと、クラッチ締結時に大きなショックが発生したり、クラッチ圧が足りなければエンジン回転数が急激に上昇する、所謂吹き上がり現象が生じる。また、エンジン回転数が十分でない内にクラッチを急に締結しようとしたり、坂道で発進するときなどでエンジンが停止してしまう、所謂エンストを起こすことがある。
これらを解決すべく、手動変速機の機構を用いてクラッチとギアチェンジを自動化したシステム、自動MT(自動化マニュアルトランスミッション)が開発されている。しかし、従来の自動MT(自動化マニュアルトランスミッション)における変速時の制御では、クラッチの解放・締結操作により駆動トルクの中断が発生し、乗員に違和感を与えることがある。
そこで、例えば、特許2703169号明細書に記載されているように、変速中のトルク中断を回避するため、従来の自動MT(自動化マニュアルトランスミッション)に摩擦伝達手段の一形態である摩擦クラッチのアシストクラッチを設け、変速を行う際に、上記アシストクラッチを制御することで、変速のための回転数同期とトルク伝達を行うものが知られている。
特許2703169号明細書
このような自動車においては、上記アシストクラッチによって変速機入力軸の回転数を、次変速段に相当する回転数に同期せしめるように、上記アシストクラッチを制御する必要があるが、アシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化等による特性変化、アシストクラッチ交換や作動油交換による特性変化、またはエンジンの機差ばらつきや経時劣化によって、回転数同期の所要時間が長期化し、変速の間延び感によって変速フィーリングが低下するという問題があることが判明した。また、回転数同期の所要時間が短期化する場合もあり、イナーシャトルクによる突き上げ感が発生し、変速フィーリングが低下する場合がある。
本発明の目的は、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止できる自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記変速機の入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるように、上記摩擦伝達手段の指令値を設定する自動車の制御方法において、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(2)上記目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御方法において、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(3)上記(1)または(2)において、好ましくは、上記目標同期回転数に、上記入力回転数を同期せしめるまでの同期所要時間が所定時間以上となった場合に、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(4)上記(1)または(2)において、好ましくは、上記入力回転数の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(5)上記(1)または(2)において、好ましくは、上記出力回転数の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(6)上記(1)または(2)において、好ましくは、上記入力トルクの単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(7)上記(1)または(2)において、好ましくは、アクセルペダル開度の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(8)上記(1)または(2)において、好ましくは、変速を繰り返す毎に、上記変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(9)上記目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う自動車の制御装置において、上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(10)上記目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御装置において、上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(11)上記目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動源若しくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機において、上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(12)上記目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する変速機において、上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(13)上記目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段の中の摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動源若しくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機において、上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(14)上記目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段の中の摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する変速機において、上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
本発明によれば、アシストクラッチ交換やアシストクラッチ作動油交換による特性変化があっても、変速所要時間が目標変速所要時間に近づくようにアシストクラッチ指令値を補正して変速フィーリングを向上することができる。
以下、図1〜図20を用いて、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による自動車の制御装置の第1の構成例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置の第1の構成例を示すシステム構成図である。
エンジン1には、エンジン1の回転数を計測するエンジン回転数センサ(図示しない),エンジントルクを調節する電子制御スロットル(図示しない),吸入空気量に見合う燃料量を噴射するための燃料噴射装置(図示しない)が設けられており、エンジン制御ユニット101により、吸入空気量,燃料量,点火時期等を操作することで、エンジン1のトルクを高精度に制御することができるようになっている。燃料噴射装置には、燃料が吸気ポートに噴射される吸気ポート噴射方式あるいはシリンダ内に直接噴射される筒内噴射方式があるが、エンジンに要求される運転域(エンジントルク、エンジン回転数で決定される領域)を比較して燃費が低減でき、かつ排気性能が良い方式のエンジンを用いるのが有利である。
エンジン1には、第1クラッチ入力ディスク2が連結されており、第1クラッチ入力ディスク2と第1クラッチ出力ディスク3を係合することで、エンジン1のトルクを変速機入力軸10に伝達することが可能である。第1クラッチには、一般に乾式単板方式が用いられるが、湿式多板クラッチや電磁クラッチなどすべての摩擦伝達手段を用いることも可能である。
入力軸10には、第1ドライブギア4,第2ドライブギア5,第3ドライブギア6,第4ドライブギア7,第5ドライブギア8,および後進ドライブギア(図示せず)が設けられている。第1クラッチ入力ディスク2と第1クラッチ出力ディスク3の間の押付け力(クラッチトルク)の制御には、油圧によって駆動するアクチュエータ22が用いられており、この押付け力(クラッチトルク)を調節することで、エンジン1の出力を入力軸10へ伝達,遮断を行うことができるようになっている。
第1ドライブギア4,第2ドライブギア5,第3ドライブギア6,第4ドライブギア7,第5ドライブギア8,および後進ドライブギアは、変速機入力軸10に固定されている。また、変速機入力軸10の回転数を検出するためのセンサ29が設けられている。
一方、変速機出力軸18には、第1ドリブンギア12,第2ドリブンギア13,第3ドリブンギア14,第4ドリブンギア15,第5ドリブンギア16,後進ドリブンギアが、回転自在に設けられている。第1ドリブンギア12は、第1ドライブギア4と噛合しており、第2ドリブンギア13は、第2ドライブギア5と噛合している。第3ドリブンギア14は、第3ドライブギア6と噛合しており、第4ドリブンギア15は、第4ドライブギア7と噛合している。第5ドリブンギア16は、第5ドライブギア8と噛合しており、後進ドリブンギアは、図示しない逆転ギアを介して、後進ドライブギアと噛合している。
そして、第1ドリブンギア12と第2ドリブンギア13の間には、第1ドリブンギア12を変速機出力軸18に係合させたり、第2ドリブンギア13を変速機出力軸18に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第2クラッチ(噛み合いクラッチ、又はドッグクラッチと呼ばれる)19が設けられている。したがって、第1ドライブギア4または第2ドライブギア5から、第1ドリブンギア12または第2ドリブンギア13に伝達された回転トルクは、第2クラッチ19に伝達され、第2クラッチ19を介して変速機出力軸18に伝達される。
また、第3ドリブンギア14と第4ドリブンギア15の間には、第3ドリブンギア14を変速機出力軸18に係合させたり、第4ドリブンギア15を変速機出力軸18に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第3クラッチ(噛み合いクラッチ、又はドッグクラッチと呼ばれる)20が設けられている。したがって、第3ドライブギア6または第4ドライブギア7から、第3ドリブンギア14または第4ドリブンギア15に伝達された回転トルクは、第3クラッチ20に伝達され、第3クラッチ20を介して変速機出力軸18に伝達されることになる。
さらに、第5ドリブンギア16と後進ドリブンギアの間には、第5ドリブンギア16を変速機出力軸18に係合させたり、後進ドリブンギアを逆転ギア(図示しない)を介して変速機出力軸18に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第4クラッチ(噛み合いクラッチ、又はドッグクラッチと呼ばれる)21が設けられている。したがって、第5ドライブギア8または後進ドライブギアから、第5ドリブンギア16または後進ドリブンギアに伝達された回転トルクは、第4クラッチ21に伝達され、第4クラッチ21を介して変速機出力軸18に伝達されることになる。後進ドリブンギアを、逆転ギアを介して変速機出力軸18に係合させる場合に、第4クラッチ21とは別の、シンクロナイザ機構を備えない噛み合いクラッチとしても構成可能である。
このように、変速機入力軸10の回転トルクを第2クラッチ19,または第3クラッチ20,または第4クラッチ21に伝達するためには、第2クラッチ19,または第3クラッチ20,または第4クラッチ21のうちいずれか一つを変速機出力軸18の軸方向に移動させ、第1ドリブンギア12,第2ドリブンギア13,第3ドリブンギア14,第4ドリブンギア15,第5ドリブンギア16または,後進ドリブンギアのいずれか一つと締結する必要がある。第1ドリブンギア12,第2ドリブンギア13,第3ドリブンギア14,第4ドリブンギア15,第5ドリブンギア16または,後進ドリブンギアのいずれか一つと変速機出力軸18とを締結するには、第2クラッチ19,または第3クラッチ20,または第4クラッチ21のいずれか一つを移動する訳であるが、第2クラッチ19,または第3クラッチ20,または第4クラッチ21のいずれか一つを移動するには、シフト機構27,セレクト機構28を油圧によって駆動するアクチュエータであるシフト第1アクチュエータ23,シフト第2アクチュエータ24,およびセレクト第1アクチュエータ25,セレクト第2アクチュエータ26で操作する。シフト第1アクチュエータ23,シフト第2アクチュエータ24,およびセレクト第1アクチュエータ25,セレクト第2アクチュエータ26によるシフト機構27,セレクト機構28の動作関係は、図4を用いて後述する。第2クラッチ19,または第3クラッチ20,または第4クラッチ21のいずれか一つを第1ドリブンギア12,第2ドリブンギア13,第3ドリブンギア14,第4ドリブンギア15,第5ドリブンギア16または,後進ドリブンギアのいずれか一つに締結させることで、変速機入力軸10の回転トルクを、第2クラッチ19,第3クラッチ20,第4クラッチ21のいずれか一つを介して駆動輪出力軸18へと伝達することができる。また、変速機出力軸18の回転数を検出するためのセンサ30が設けられている。
シフト第1アクチュエータ23、シフト第2アクチュエータ24、およびセレクト第1アクチュエータ25、セレクト第2アクチュエータ26は、電磁弁を用いて構成するか、または電動機等によって構成しても良い。また、シフト/セレクト機構27は、シフターレール、シフターフォークなどによって構成するか、またはドラム式としても良い。上記シフト第1アクチュエータ23、シフト第2アクチュエータ24、セレクト第1アクチュエータ25、セレクト第2アクチュエータ26の動作と、上記第1噛合いクラッチ19、第2噛合いクラッチ20、第3噛合いクラッチ21の動作関係は図3にて後述する。
第7ドライブギア201と、摩擦伝達手段の一方式である摩擦クラッチである第2クラッチ(以下アシストクラッチとする)のアシストクラッチ入力ディスク203が連結され、変速機入力軸10とアシストクラッチ出力ディスク204が連結され、アシストクラッチ入力ディスク203とアシストクラッチ出力ディスク204を係合することで、第7ドリブンギア202のトルクを変速機出力軸18に伝達することが可能である。
アシストクラッチ入力ディスク203と上記アシストクラッチ出力ディスク204間の押付け力(アシストクラッチトルク)の制御には、油圧によって駆動するアクチュエータ205が用いられており、この押付け力(アシストクラッチトルク)を調節することで、上記エンジン1の出力を変速機出力軸18へ伝達、遮断を行うことができるようになっている。アクチュエータ205は、電磁弁を用いて構成するか、または電動機等によって構成しても良い。また、摩擦伝達手段の一方式であるアシストクラッチには、一般に湿式多版クラッチが用いられるが、電磁クラッチ等、すべての摩擦伝達手段を用いることが可能である。
このように第1ドライブギア4,第2ドライブギア5,第3ドライブギア6,第4ドライブギア7,第5ドライブギア8,後進ドライブギアから、第1ドリブンギア12,第2ドリブンギア13,第3ドリブンギア14,第4ドリブンギア15,第5ドリブンギア16,後進ドリブンギアを介して変速機出力軸18に伝達された変速機入力軸10の回転トルクは、変速機出力軸18に連結されたディファレンシャルギア(図示しない)を介して車軸(図示しない)に伝えられる。
第1クラッチ入力ディスク2と第1クラッチ出力ディスク3の間の押付け力(クラッチトルク)を発生させる第1クラッチアクチュエータ22,第2クラッチ19,第3クラッチ20,第4クラッチ21を動作させるシフト機構27,セレクト機構28を駆動するシフト第1アクチュエータ23,シフト第2アクチュエータ24,およびセレクト第1アクチュエータ25,セレクト第2アクチュエータ26は、油圧制御ユニット102によって各アクチュエータに加える油圧を制御し、各アクチュエータに設けられた油圧シリンダ(図示せず)のストローク量を調節して、各クラッチの制御を行っている。
また、エンジン1は、エンジン制御ユニット101により、吸入空気量,燃料量,点火時期等を操作することで、エンジン1のトルクを高精度に制御するようになっている。そして、油圧制御ユニット102とエンジン制御ユニット101は、パワートレイン制御ユニット100によってコントロールされている。パワートレーン制御ユニット101,エンジン制御ユニット101,油圧制御ユニット102は、通信手段103によって相互に情報を送受信する。また、警告ランプ104が備えられ、パワートレーン制御ユニット101によって、点灯、消灯が行われる。
次に、図2を用いて、本実施形態による自動車の制御装置の第2の構成例について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置の第2の構成例を示すシステム構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
本構成例では、図1に示した例が、変速機入力軸10、変速機出力軸18の2軸で構成されているのに対し、本構成例では、カウンタ軸208を含んだ3軸で構成している点である。すなわち、エンジン1の動力は、入力ドライブギア206から入力ドリブンギア207に伝えられ、カウンタ軸208から第1ドライブギア4、第2ドライブギア5、第3ドライブギア6、第4ドライブギア7、第5ドライブギア8、後進ドリブンギア(図示しない)、第7ドライブギア201と、第1ドリブンギア12、第2ドリブンギア13、第3ドリブンギア14、第4ドリブンギア15、第5ドリブンギア16、後進ドリブンギア(図示しない)、第7ドリブンギア202を介して変速機出力軸18に伝達される。また、アシストクラッチに連結する第7ドライブギア201、第7ドリブンギア202を所定の変速段として構成しても良いものである。
このように、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に複数のトルク伝達手段を備え、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とした種々の変速機に適用可能である。
次に、図3を用いて、本実施形態による自動車の制御装置におけるクラッチとドリブンギアの噛合い関係について説明する。図3(A),(B)は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置におけるクラッチとドリブンギアの噛合い関係の説明図である。
図3では、図1に示したシフト第1アクチュエータ23,シフト第2アクチュエータ24,およびセレクト第1アクチュエータ25,セレクト第2アクチュエータ26によってシフト機構27,セレクト機構28,すなわちシフト位置,セレクト位置を制御することによる、第2クラッチ19,第3クラッチ20,第4クラッチ21と,第1ドリブンギア12,第2ドリブンギア13,第3ドリブンギア14,第4ドリブンギア15,第5ドリブンギア16,後進ドリブンギアの噛合いの関係を示す。
セレクト第1アクチュエータ25はON,セレクト第2アクチュエータ26はOFFとして、セレクト位置をSL1の位置とし、シフト第1アクチュエータ23はON,シフト第2アクチュエータ24はOFFとして、シフト位置をSF1の位置とすることで、シフト位置,セレクト位置が点P1の位置に移動し、第2クラッチ19と第1ドリブンギア12が噛合して第1速度段となる。
セレクト第1アクチュエータ25はON,セレクト第2アクチュエータ26はOFFとして、セレクト位置をSL1の位置とし、シフト第1アクチュエータ23はOFF,シフト第2アクチュエータ24はONとして、シフト位置をSF3の位置とすることで、シフト位置,セレクト位置が点P2の位置に移動し、第2クラッチ19と第2ドリブンギア13が噛合して第2速度段となる。
セレクト第1アクチュエータ25はON,セレクト第2アクチュエータ26はONとして、セレクト位置をSL2の位置とし、シフト第1アクチュエータ23はON,シフト第2アクチュエータ24はOFFとして、シフト位置をSF1の位置とすることで、シフト位置,セレクト位置が点P3の位置に移動し、第3クラッチ20と第3ドリブンギア14が噛合して第3速度段となる。
セレクト第1アクチュエータ25はON,セレクト第2アクチュエータ26はONとして、セレクト位置をSL2の位置とし、シフト第1アクチュエータ23はOFF,シフト第2アクチュエータ24はONとして、シフト位置をSF3の位置とすることで、シフト位置,セレクト位置が点P4の位置に移動し、第3クラッチ20と第4ドリブンギア15が噛合して第4速度段となる。
セレクト第1アクチュエータ25はOFF,セレクト第2アクチュエータ26はONとして、セレクト位置をSL3の位置とし、シフト第1アクチュエータ23はON,シフト第2アクチュエータ24はOFFとして、シフト位置をSF1の位置とすることで、シフト位置,セレクト位置が点P5の位置に移動し、第4クラッチ21と第5ドリブンギア16が噛合して第5速度段となる。
セレクト第1アクチュエータ25はOFF,セレクト第2アクチュエータ26はONとして、セレクト位置をSL3の位置とし、シフト第1アクチュエータ23はOFF,シフト第2アクチュエータ24はONとして、シフト位置をSF3の位置とすることで、シフト位置,セレクト位置が点PRの位置に移動し、第4クラッチ21と後進ドリブンギアが噛合して後進段となる。
シフト第1アクチュエータ23をON,シフト第2アクチュエータ24をONとして、シフト位置をSF2の位置とすると、ギア噛合は開放され、ニュートラルとなる。
次に、図4を用いて、本実施形態による自動車の制御装置におけるパワートレーン制御ユニット100と、エンジン制御ユニット101と、油圧制御ユニット102との間の通信手段103による入出力信号関係について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置におけるパワートレーン制御ユニット100と、エンジン制御ユニット101と、油圧制御ユニット102との間の通信手段103による入出力信号関係を示すブロック図である。
パワートレーン制御ユニット100は、入力部100iと、出力部100oと、コンピュータ100cとを備えたコントロールユニットとして構成される。同様に、エンジン制御ユニット101も、入力部101iと、出力部101oと、コンピュータ101cとを備えたコントロールユニットとして構成される。油圧制御ユニット102も、入力部102iと、出力部102oと、コンピュータ102cとを備えたコントロールユニットとして構成される。
パワートレーン制御ユニット100からエンジン制御ユニット101に、通信手段103を用いてエンジントルク指令値tTeが送信され、エンジン制御ユニット101はtTeを実現するように、上記エンジン1の吸入空気量、燃料量、点火時期等(図示しない)を制御する。また、エンジン制御ユニット101内には、変速機への入力トルクとなるエンジントルクの検出手段(図示しない)が備えられ、エンジン制御ユニット101によってエンジン1の回転数Ne、エンジン1が発生したエンジントルクTeを検出し、通信手段103を用いてパワートレーン制御ユニット100に送信する。エンジントルク検出手段には、トルクセンサを用いるか、またはインジェクタの噴射パルス幅や吸気管内の圧力とエンジン回転数等など、エンジンのパラメータによる推定手段としても良いものである。
パワートレーン制御ユニット100から油圧制御ユニット102に第1クラッチ目標トルクTTqSTA、目標シフト位置tpSFT、目標セレクト位置tpSEL、アシストクラッチ目標トルクTTqが送信され、油圧制御ユニットは、第1クラッチ目標トルクTTqSTAを実現するよう、第1クラッチアクチュエータ22を制御して、第1クラッチ入力ディスク2、第1クラッチ出力ディスク3を係合、開放する。また、目標シフト位置tpSFT、目標セレクト位置tpSELを実現するよう、シフト第1アクチュエータ23、シフト第2アクチュエータ24、セレクト第1アクチュエータ25、セレクト第2アクチュエータ26を制御し、シフト/セレクト機構27を操作することにより、シフト位置、セレクト位置を制御し、第1噛合いクラッチ19、第2噛合いクラッチ20、第3噛合いクラッチ21の噛合、開放を行う。またアシストクラッチ目標トルクTTqを実現するよう、アシストクラッチアクチュエータ205を制御して、アシストクラッチ入力ディスク203、アシストクラッチ出力ディスク204を係合、開放する。
また、油圧制御ユニット102によって、第1クラッチの係合、開放を示す位置信号posSTA、シフト位置信号rpSFT、セレクト位置信号rpSELを検出し、パワートレーン制御ユニット100に送信する。
また、パワートレーン制御ユニット100には入力軸回転センサ29、出力軸回転センサ30から、入力軸回転数Ni、出力軸回転数Noがそれぞれ入力され、また、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ等のシフトレバー位置を示すレンジ位置信号RngPosと、アクセルペダル踏み込み量Apsと、ブレーキが踏み込まれているか否かを検出するブレーキスイッチからのON/OFF信号Brkが入力される。
パワートレーン制御ユニット100は、例えば、運転者がシフトレンジをDレンジ等にしてアクセルペダルを踏み込んだときは運転者に発進、加速の意志があると判断し、また、運転者がブレーキペダルを踏み込込んだときは運転者に減速、停止の意志があると判断し、運転者の意図を実現するように、エンジントルク指令値tTe、第1クラッチ目標トルクTTqSTA、目標シフト位置tpSFT、目標セレクト位置tpSELを設定する。また、出力軸回転数Noから算出する車速Vspとアクセルペダル踏み込み量Apsから変速段を設定し、設定した変速段への変速動作を実行するよう、エンジントルク指令値tTe、第1クラッチ目標トルクTTqSTA、目標シフト位置tpSFT、目標セレクト位置tpSEL、アシストクラッチ目標トルクTTqを設定する。
次に、図5〜図14を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容について説明する。
最初に、図5を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の全体の制御内容について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容を示すフローチャートである。
以下に示す変速制御の制御内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ501〜513の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
ステップ501において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ502において、変速制御が必要か否かを判定する。変速制御が必要な場合には、ステップ503以降に進み、変速制御が不要の場合には、変速制御は終了する。変速が必要かどうかは、例えば、車速Vspとアクセルペダル踏み込み量Apsから変速段を設定し、現在の変速段と相違する場合には、変速制御が必要と判断される。変速制御が必要な場合には、ステップ503以降によって、変速動作を開始する。
変速動作が開始されると、ステップ503(開放制御フェーズ)において、ギアを開放するための開放制御を実行する。開放制御の詳細については、図7を用いて後述する。
次に、ステップ504において、開放制御完了か否かを判定し、開放制御完了の場合はステップ505へ進み、未完了の場合は再度ステップ503を実行する。ここで、ステップ504の判定は、シフト位置rpSFTが開放位置と判定できる位置、すなわち、図3におけるシフト位置SF2付近の所定範囲内であるか否かで判定する。開放位置と判定する閾値を、それぞれSF1OFF,SF3OFFとすると、シフト位置rpSFTが、閾値SF1OFF≧シフト位置rpSFT≧閾値SF3OFFの場合、開放位置であると判定する。ここで、SF1OFF、SF3OFFは、噛合いクラッチが噛合い状態ではなくなる位置の中で、できるかぎり広い範囲とすることが望ましいものである。
開放制御が終了すると、ステップ505(トルクアシスト制御フェーズ)において、トルクアシスト制御を実行する。トルクアシスト制御の詳細は、図9R>9を用いて後述する。
次に、ステップ506において、シフト位置がニュートラルであるか否かを判定する。ステップ506の判定は、シフト位置rpSFTがニュートラル位置と判定できる位置、すなわち、図3におけるシフト位置SF2付近の所定範囲内であるか否かで判定する。シフト位置がニュートラルである場合は、ステップ507によってセレクト位置移動を指令し、セレクト位置移動が終了すると、ステップ508へ進む。ニュートラルでない場合は、ステップ508へ進む。目標セレクト位置tpSELは、例えば2→3変速の場合は、図3の位置SL1から、位置SL2とする。
次に、ステップ508において、トルクアシスト制御が完了か否かを判定する。トルクアシスト制御の完了条件は、後述する図11によって設定される目標変速時間以上に時間が経過した場合、もしくは、次変速段の回転数と入力回転数の回転差が小さくなった場合(|入力回転数Ni−出力回転数No×目標変速段ギア比γn|≦ΔNiATとなったとき)にトルクアシスト制御完了とする。
トルクアシスト制御完了の場合は、ステップ509(回転同期制御フェーズ)に進み、図12を用いて後述する回転同期制御を実行する。トルクアシスト制御未完了時は、再度ステップ505へ進み、トルクアシスト制御を続行する。
次に、ステップ510において、回転同期制御が完了しているか否かの判定を行う。回転同期制御の完了条件は、次変速段の回転数と入力回転数の回転差が小さくなった場合(|入力回転数Ni−出力回転数No×目標変速段ギア比γn|≦ΔNiNSとなったとき)、かつ、セレクト位置が目標位置にいる場合とする。セレクト位置の判定は、例えば2→3変速の場合、図3におけるセレクト位置rpSELがSL2付近の所定範囲内であるか否かで判定する。回転差の条件、セレクト位置の条件ともに、判定には時間ディレイを設けることが望ましいものである。さらには、入力回転数Niの単位時間あたりの変化量が小さくなった場合(入力回転数変化量ΔNi≦ΔDNiNS)の条件も付加することが望ましいものである。
同期制御完了の場合は、ギアを締結するため、ステップ511(締結制御フェーズ)に進み、締結制御を実行する。締結制御の詳細は、図13を用いて後述する。同期制御が未完了の場合は、再度ステップ509へ進み、同期制御を続行する。
次に、ステップ512において、締結制御が完了か否かを判定する。ここで締結制御の完了条件は、次変速段の回転数と入力回転数の回転差が小さくなった場合(|入力回転数Ni−出力回転数No×目標変速段ギア比γn|≦ΔNiCNとなったとき)、かつ、シフト位置が目標位置にいる場合とする。シフト位置の判定は、例えば2→3変速の場合、図3におけるシフト位置rpSFTがSF1付近の所定範囲内であるか否かで判定する。
締結制御完了時はステップ513(変速終了フェーズ)へ進み、アシストクラッチの目標トルクTTqを0とし、その後変速制御を終了する。締結制御未完了時は、再度ステップ511へ進み、締結制御を続行する。
一方、ステップ514の補正値算出処理によって補正値を算出する。補正値算出処理の詳細については、図16を用いて後述する。
次に、図6を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の経過時間を示すタイマの内容について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容の経過時間を示すタイマの内容を示すフローチャートである。
以下に示すタイマの内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ601〜610の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
ステップ601において、パワートレーン制御ユニット100は、変速中であるか否かの判定を行い、変速制御中はステップ602へ進む。変速中ではない場合は、ステップ610へ進み、開放制御フェーズタイマTm_op、トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta、回転同期制御フェーズタイマTm_ns、締結制御フェーズタイマTm_cnをそれぞれリセットする。
変速制御中には、ステップ602において、開放制御フェーズであるか否かを判定する。開放制御フェーズの場合はステップ606へ進み、開放制御フェーズタイマTm_opをカウントアップする。開放制御フェーズではない場合は、ステップ603へ進む。
開放制御フェーズではない場合は、ステップ603において、トルクアシスト制御フェーズであるか否かを判定する。トルクアシスト制御フェーズの場合は、ステップ607へ進み、トルクアシスト制御フェーズタイマTm_taをカウントアップする。トルクアシスト制御フェーズではない場合はステップ604へ進む。
トルクアシスト制御フェーズではない場合は、ステップ604において、回転同期制御フェーズであるか否かの判定を行う。回転同期制御フェーズである場合はステップ608へ進み、回転同期制御フェーズタイマTm_nsをカウントアップする。回転同期制御フェーズではない場合は、ステップ605へ進む。
回転同期制御フェーズではない場合は、ステップ605において、締結制御フェーズであるか否かの判定を行う。締結制御フェーズの場合は、ステップ609へ進み、締結制御フェーズタイマTm_cnをカウントアップする。締結制御フェーズではない場合は、処理なしとする。
次に、図7,図8及び図14を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ503の開放制御フェーズの制御内容について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の開放制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。図8は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の開放制御フェーズにおける目標開放時間Tm_off、目標トルク勾配dTTqの算出方法の説明図である。図14は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容を示すタイムチャートである。
図14は、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時の制御のタイムチャートを示している。図14において、時刻taから時刻tbの期間が開放制御フェーズ、時刻tbから時刻teの期間がトルクアシスト制御フェーズ、時刻teから時刻tfの期間が回転同期制御フェーズ、時刻tfから時刻tgの期間が締結制御フェーズ、時刻tgから時刻thの期間が変速終了フェーズとなっている。図14(A)は、目標変速トルクTq_Jを示している。図14(B)は、(B)のアシストクラッチの目標トルクTTqを示している。図14R>4(C)は、アシストクラッチの伝達トルクを示している。図14(D)は、入力回転数Ni及び目標同期回転数Ni_refを示している。図14(E)は、シフト位置rpSFTを示している。図14(F)は、セレクト位置rpSELを示している。
以下に示す開放制御フェーズの内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ701〜708の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図7のステップ701において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、次に、ステップ702において、目標とする開放トルクTTq_offを設定する。目標開放トルクTTq_offは、入力トルクTq_inにゲインG_opをかけて算出する。入力トルクTq_inは、エンジントルクTeを元に、入力回転数Niの単位時間あたりの変化ΔNiによるイナーシャ変動を減算することで算出する。ゲインG_opは、開放する変速段毎に設定することが望ましいものである。
次に、ステップ703において、開放制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。開放制御フェーズタイマTm_op=0のときは、開放制御フェーズ開始直後であるとして、ステップ704において、目標開放時間Tm_offを設定し、ステップ705において、目標トルク勾配dTTqを設定し、ステップ706へ進む。目標開放時間Tm_off,目標トルク勾配dTTqは、いずれも目標開放トルクTTq_offの関数とする。図8(A)に示すように、目標開放時間Tm_offは、目標開放トルクTTq_offを入力として、算出する構成とし、さらに、開放する変速段毎に別設定としている。また、図8(B)に示すように、目標トルク勾配dTTqは、目標開放トルクTTq_offを入力として、算出する構成とし、さらに、開放する変速段毎に別設定とするようにしている。
一方、ステップ703の判定において、開放制御フェーズタイマTm_op≠0のときは、ステップ706へ進む。
次に、ステップ706において、アシストクラッチの目標トルクTTqを設定する。目標トルクTTqは、前回の目標トルクTTqに、ステップ705で設定された目標トルク勾配dTTqを加算して、目標開放トルクTTq_offまで漸近させる。
一方、ステップ707において、時間判定を行う。開放制御フェーズタイマTm_op≧目標開放時間Tm_offの場合は、ステップ708において、シフト位置の移動を行う。目標シフト位置tpSFTは、例えば2→3変速の場合は、図3の位置SF3から、位置SF2とする。
開放制御フェーズにおいては、図14(B)に示すアシストクラッチの目標トルクTTqが立ち上がると、図14(C)の実際のアシストクラッチの伝達トルクが立ち上がり、図14(E)のシフト位置rpSFTが位置SF3からSF2へ移動を開始する。
次に、図9〜図11及び図14を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ505のトルクアシスト制御フェーズの制御内容について説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。図10は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズの制御内容を示すタイムチャートである。図11は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズにおける目標変速時間Tm_s、目標増加時間Tm_inc、目標減少時間Tm_decの算出方法の説明図である。
図10では、アップシフト(変速前入力回転数Ni_pre>変速後入力回転数Ni_nxt)の場合を示している。図10(A)は、変速前入力回転数Ni_preと変速後入力回転数Ni_nxtを示している。図10(B)は、基本慣性トルクTq_bを示している。図10(C)は、目標変速トルクTq_Jを示している。図10(D)は、アシストクラッチの目標トルクTTqを示している。
以下に示すトルクアシスト制御フェーズの内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ901〜911の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図9のステップ901において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、次に、ステップ902において、トルクアシスト制御フェーズタイマTm_taの値によって、トルクアシスト制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta=0のときは、トルクアシスト制御フェーズ開始直後と判定して、ステップ903,904,905,906を実行し、ステップ907へ進む。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta≠0のときは、ステップ907へ進む。
ステップ903(目標変速時間設定処理)において、図10(B)に示す目標変速時間Tm_sを設定する。目標変速時間Tm_sは、エンジントルクTeの関数とする。図11(A)に示すように、目標変速時間Tm_sは、エンジントルクTeを入力として、算出する構成とし、さらに、変速パターン毎に別設定とする。
次に、ステップ904(目標増加時間設定処理、目標減少時間設定処理)において、図10(C)に示す目標増加時間Tm_inc及び目標減少時間Tm_decを設定する。目標増加時間Tm_inc,目標減少時間Tm_decは、いずれもエンジントルクTeの関数とする。図11(B)及び(C)に示すように、目標変速時間Tm_sは、エンジントルクTeを入力として、算出する構成とし、さらに、変速パターン毎に別設定とする。
次に、ステップ905において、図10(C)に示す基本慣性トルクTq_bを算出する。基本慣性トルクTq_bは、目標変速時間Tm_sで、変速前の入力相当の回転数Ni_preから変速後の入力相当の回転数Ni_nxtへ変速するにあたり、変速に必要なトルクである。エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとすると、変速に必要なトルクである基本慣性トルクTq_bは、J×(Ni_pre−Ni_nxt)×α÷Tm_sとなる。すなわち、アップシフトの場合は、基本慣性トルクTq_b>0となり、ダウンシフトの場合は、基本慣性トルクTq_b<0となる。ここで、変速前入力回転数Ni_pre=出力回転数No×変速前ギア比、変速後入力回転数Ni_nxt=出力回転数No×変速後ギア比で算出する。
次に、ステップ906では、図10(C)に示す基準慣性トルクTq_Bを算出する。基準慣性トルクTq_Bは、目標変速時間Tm_s以内で、目標増加時間Tm_incで増加(ダウンシフトの場合は減少)し、目標減少時間Tm_decで減少(ダウンシフトの場合は増加)する際に、基本慣性トルクTq_b×目標変速時間Tm_sと、面積が等しくなるトルクであり、図9のステップ906に示す式に従って算出する。目標変速時間Tm_s以内で、目標増加時間Tm_incで増加し、目標減少時間Tm_decで減少する際の基準慣性トルクTq_Bは、図10(B)の面積S1と図10(C)の面積S2が等しくなるように算出される。このとき、目標増加時間Tm_incで、0から基準慣性トルクTq_Bまで増加し、目標減少時間Tm_decで、基準慣性トルクTq_Bから0まで減少するトルクが目標変速トルクTq_Jとなる。また、基準慣性トルクTq_Bの算出においては、アシストトルク学習補正値LatDSTTqによって補正する。アシストトルク学習補正値LatDSTTqの算出方法については、図16を用いて後述する。
ステップ907、ステップ908、ステップ909、ステップ910は、目標変速トルク設定処理であり、ステップ907では、トルクアシスト制御フェーズタイマTm_taによる場合わけを行い、目標変速トルクTq_Jの算出方法を決定する。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta<目標増加時間Tm_incのときは、ステップ908に進み、トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta<目標変速時間Tm_s−目標減少時間Tm_decのときは、ステップ909に進み、それ以外のときはステップ910に進む。
トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta<目標増加時間Tm_incのときは、ステップ908において、目標増加時間Tm_incで、目標変速トルクTq_Jを基準慣性トルクTq_Bまで立ち上げる(ダウンシフトの場合は立ち下げる)。目標変速トルクTq_J=基準慣性トルクTq_B×トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta÷目標増加時間Tm_incとする。
トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta<目標変速時間Tm_s−目標減少時間Tm_decのときは、ステップ909において、目標変速トルクTq_J=基準慣性トルクTq_Bとする。
それ以外の時は、ステップ910において、目標減少時間Tm_decで目標変速トルクTq_Jを0まで立ち下げる(ダウンシフトの場合は立ち上げる)。目標変速トルクTq_J=基準慣性トルクTq_B×(目標変速時間Tm_s−トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta)÷目標減少時間Tm_decとする。
次に、ステップ911において、図10(D)に示すアシストクラッチの目標トルクTTqを算出する。目標トルクTTq=目標変速トルクTq_J×変速トルク調整ゲインJgain+エンジントルクTe×エンジントルク調整ゲインBgainとする。変速トルク調整ゲインJgain、エンジントルク調整ゲインBgainは、変速パターン毎に設定することが望ましいものである。さらには、変速前の入力トルク(もしくはエンジントルク)の関数とすることが望ましいものである。
図14(E)に示すように、シフト位置rpSFTが位置SF2付近となると(時刻tb)、トルクアシスト制御フェーズとなる。トルクアシスト制御フェーズでは、図14(A)の目標変速トルクTq_Jが、基準慣性トルクTq_Bまで上昇し、0まで下降するのに伴い、図14(B)のアシストクラッチの目標トルクが上昇、下降する。図14(B)のアシストクラッチの目標トルクTTqの上昇、下降に伴い、図14(C)の実際のアシストクラッチの伝達トルクが上昇、下降し、図14(D)の入力回転数Niが低下する。これにより、目標変速トルクTq_Jを実現しつつ、入力回転数Niを制御できる。また、図14(F)のセレクト位置rpSELが位置SL1からSL2へ移動する。
なお、図9の説明においては、目標増加時間Tm_inc,目標減少時間Tm_decによって、目標変速トルクTq_Jを算出する構成としているが、目標とする増加トルク,減少トルクを設定することによって目標変速トルクTq_Jを算出するようにしてもよいものである。
また、エンジントルクTeのかわりに、変速前の回転差(変速前入力回転数Ni_pre−変速後入力回転数Ni_nxt)を入力として算出する構成としても良いものである。また、エンジントルクTeのかわりに、アクセル開度を入力として算出する構成としても良いものである。
次に、図12及び図14を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ509の回転同期制御フェーズの制御内容について説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の回転同期制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。
以下に示す回転同期制御フェーズの内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ1201〜1210の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
ステップ1201において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、次に、ステップ1202において、回転同期制御フェーズタイマTm_nsの値により、回転同期制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。回転同期制御フェーズタイマTm_ns=0のときは、ステップ1203を実行し、ステップ1204へ進む。回転同期制御フェーズタイマTm_ns≠0のときは、ステップ1204へ進む。
回転同期制御フェーズ開始直後の時は、ステップ1203において、回転数フィードバックのための比例補正ゲインKp、積分補正ゲインKiを設定する。ここで、比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKiは、変速パターン毎もしくは、目標変速段毎に別設定とすることが望ましいものである。
次に、ステップ1204において、回転数フィードバックのための目標同期回転数(目標入力回転数)Ni_refを設定する。目標同期回転数Ni_refは、出力回転数Noに、変速後ギア比Gmを乗算し、入力回転数周りの値としたものとする。
次に、ステップ1205において、目標同期回転数Ni_refと、入力回転数Niとの偏差Ni_errを算出し、ステップ1206では、回転数偏差Ni_errの積分値Ni_errIを算出する。
次に、ステップ1207において、回転数偏差Ni_err、回転数偏差積分値Ni_errI、比例補正ゲインKp、積分補正ゲインKiを用いて、比例補正値DNi_p、積分補正値DNi_iを算出する。
次に、ステップ1208において、フィードバックトルクTq_FBを設定する。エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとすると、Tq_FB=J×(DNi_p+DNi_i)×αと算出される。
次に、ステップ1209において、フィードフォワードトルクTq_FFを設定する。フィードフォワードトルクTq_FF=エンジントルクTe×エンジントルク調整ゲインBgainとする。エンジントルク調整ゲインBgainは、図9(トルクアシスト制御フェーズ)と同様、変速パターン毎に設定することが望ましいものである。さらには、エンジントルクの関数とすることが望ましいものである。
次に、ステップ1210において、アシストクラッチの目標トルクTTqを設定する。目標トルクTTqは、フィードバックトルクTq_FBと、フィードフォワードトルクTq_FFから、TTq=Tq_FB+Tq_FFとする。
回転同期制御フェーズにおいては、図14(D)の入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refに追従するよう、図14(B)のアシストクラッチの目標トルクTTqが変更されることによって、図14(C)の実際のアシストクラッチの伝達トルクが制御される。
次に、図13及び図14を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ511の締結制御フェーズの制御内容について説明する。
図13は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の締結制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。
以下に示す締結制御フェーズの内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ901〜911の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図13のステップ1301において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、次に、ステップ1302において、締結制御フェーズタイマTm_cnの値により、締結制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。締結制御フェーズタイマTm_cn=0のときは、ステップ1303を実行し、ステップ1304へ進む。締結制御フェーズタイマTm_cn≠0のときは、ステップ1304へ進む。
次に、ステップ1303において、回転数フィードバックのための比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKiを設定する。ここで、比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKiは、図12(回転同期制御フェーズ)と同様、変速パターン毎もしくは、目標変速段毎に別設定とすることが望ましいものである。
次に、ステップ1304において、回転数フィードバックのための目標同期回転数Ni_refを設定する。目標同期回転数Ni_refは、出力回転数Noに、変速後ギア比Gmを乗算し、入力回転数周りの値としたものとする。
次に、ステップ1305において、目標同期回転数Ni_refと、入力回転数Niとの偏差Ni_errを算出し、ステップ1306において、回転数偏差Ni_errの積分値Ni_errIを算出する。
次に、ステップ1307において、回転数偏差Ni_err,回転数偏差積分値Ni_errI,比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKiを用いて、比例補正値DNi_p,積分補正値DNi_iを算出する。
次に、ステップ1308において、フィードバックトルクTq_FBを設定する。フィードバックトルクTq_FBは、エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとすると、Tq_FB=J×(DNi_p+DNi_i)×αと算出される。
次に、ステップ1309において、フィードフォワードトルクTq_FFを設定する。フィードフォワードトルクTq_FF=エンジントルクTe×エンジントルク調整ゲインBgainとする。エンジントルク調整ゲインBgainは、図9(トルクアシスト制御フェーズ),図12(回転同期制御フェーズ)と同様、変速パターン毎に設定することが望ましいものである。さらには、エンジントルクの関数とすることが望ましいものである。
次に、ステップ1310において、アシストクラッチの目標トルクTTqを設定する。アシストクラッチの目標トルクTTqは、フィードバックトルクTq_FBと、フィードフォワードトルクTq_FFから、TTq=Tq_FB+Tq_FFとする。
一方、ステップ1311において、シフト位置の移動を行う。目標シフト位置tpSFTは、例えば2→3変速の場合は、図3の位置SF2から、位置SF1とする。
締結制御フェーズでは、ひきつづき図14(D)の入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refに追従するよう、図14(B)のアシストクラッチの目標トルクTTqが変更されることによって、図14(C)の実際のアシストクラッチの伝達トルクが制御され、図14(E)のシフト位置rpSFTが位置SF2からSF1へ移動する。シフト位置rpSFTのSF1への移動が完了した時刻tgで変速終了フェーズとなり、図14(B)のアシストクラッチの目標トルクTTqが0となって、変速制御終了となる。
次に、図15を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御において、図9のステップ906によるアシストトルク学習補正値LatDSTTqによる補正がない場合の変速時間について説明する。
図15は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御において、図9のステップ906によるアシストトルク学習補正値LatDSTTqによる補正がない場合の制御内容を示すタイムチャートである。
図15は、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時のタイムチャートを示しており、アシストクラッチの機差ばらつきや経年変化によって、変速時間が長くなった例を示している。
図14に示した例に比較して、図15(D)の入力回転数Niの低下が遅く、入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refに同期するまでの時間が長く、時刻teから時刻tfまでの回転同期制御フェーズの所要時間が長くなり、全体の変速時間が長くなっている。
一方、図15に示した例とは逆に、変速時間が短くなった場合は、入力回転数Niの低下が逆に早くなるため,入力回転数Niの変化によって生じるイナーシャトルクが大きくなり、変速時の突き上げ感が発生し、変速フィーリングが悪化する。
次に、図16及び図17を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の処理内容について説明する。
図16は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。図17は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理における目標変速所要時間上限TTm_sfnMX、目標変速所要時間下限TTm_sfnMNの算出方法の説明図である。
以下に示す補正値算出処理の内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ1601〜1609の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図16のステップ1601において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、次に、ステップ1602において、回転同期フェーズが終了したか否かの判定を行う。
ステップ1602の判定において、回転同期フェーズが終了している場合は、ステップ1603へ進み、回転同期フェーズが終了していない場合は、ステップ1609へ進み、アシストトルク学習補正値LatDSTTqの値を保持して処理を終了する。
回転同期フェーズが終了している場合は、テップ1603において、変速所要時間Tm_sfnの算出を行う。変速所要時間Tm_sfnは、開放制御から締結制御までの所要時間とする。図16の例では、変速所要時間Tm_sfnは、トルクアシスト制御フェーズタイマTm_atと、回転同期制御フェーズタイマTm_nsの和として算出している。変速所要時間Tm_sfnは、シフト位置rpSFTがニュートラル位置である時間によって算出する構成としても良いし、アシストクラッチの指令値が開放指令以外である時間によって算出する構成としても良いものである。
次に、ステップ1604において、変速所要時間Tm_sfnが所定範囲内であるか否かの判定を行う。変速所要時間Tm_sfnが目標変速所要時間上限TTm_sfnMXよりも大きい場合、または、変速所要時間Tm_sfnが目標変速所要時間下限TTm_sfnMNよりも小さい場合は、ステップ1605へ進み、それ以外の場合は、ステップ1609へ進み、アシストトルク学習補正値LatDSTTqの値を保持して処理を終了する。
ここで、目標変速所要時間上限TTm_sfnMX、目標変速所要時間下限TTm_sfnMNは、それぞれ、図17(A),(B)に示すように、いずれもエンジントルクTeを入力として、算出する構成とする。またさらに、変速パターン毎に別設定とする。また、エンジントルクTeのかわりに、変速前の回転差(変速前入力回転数Ni_pre−変速後入力回転数Ni_nxt)を入力として算出する構成としても良いものである。また、エンジントルクTeのかわりに、アクセルペダル踏み込み量Apsを入力として算出する構成としても良いものである。
次に、ステップ1605およびステップ1606において、図12のステップ1206で算出した回転数偏差積分値Ni_errIの符号によって、目標同期回転数Ni_refと入力回転数Niの大小関係の場合分けを行う。
回転数偏差積分値Ni_errI>0の場合は、ステップ1607へ進み、アシストトルク学習補正値LatDSTTqに正側補正値LatPlsを加算してアシストトルク学習補正値LatDSTTqを更新して処理を終了する。
回転数偏差積分値Ni_errI<0の場合は、ステップ1608へ進み、アシストトルク学習補正値LatDSTTqに負側補正値LatMnsを加算してアシストトルク学習補正値LatDSTTqを更新して処理を終了する。
回転数偏差積分値Ni_errI=0の場合は、ステップ1609へ進み、アシストトルク学習補正値LatDSTTqの値を保持して処理を終了する。ここで、正側補正値LatPls、負側補正値LatMnsは、あらかじめ定めた定数とするか、または変速機の状態を表すパラメータによるテーブル構造としても良いものである。また、変速パターンによって別設定とすることが望ましいものである。また、アシストトルク学習補正値LatDSTTqは、アシストクラッチの動作領域によって領域分けして更新することが望ましいものである。
なお、ステップ1604における目標変速所要時間上限TTm_sfnMXと、目標変速所要時間下限TTm_sfnMNのかわりに、目標変速所要時間を設定し、ステップ1604の判定において、変速所要時間Tm_sfnが目標変速所要時間よりも大きいか否かを判定する構成としても良いものである。または、ステップ1604における目標変速所要時間上限TTm_sfnMXと、目標変速所要時間下限TTm_sfnMNのかわりに、目標変速所要時間を設定し、ステップ1604の判定において、変速所要時間Tm_sfnが目標変速所要時間よりも小さいか否かを判定する構成としても良いものである。
以上のように構成することで、本実施形態によれば、アシストクラッチの機差ばらつきや経年変化があっても、図15に示したように変速所要時間が長くなることなく、また逆に短くなることもなく、図14に示したように変速することができ、変速フィーリングの低下を防止できる。
次に、図18〜図20を用いて、本実施形態による自動車の制御装置によるアシストクラッチの伝達特性が変化した場合の制御内容について説明する。
図18は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置によるアシストクラッチの伝達特性が小さい方に変化した場合の制御内容の説明図である。図19は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置によるアシストクラッチの伝達特性が大きい方に変化した場合の制御内容の説明図である。図20は、本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置によるアシストクラッチの伝達特性が変化した場合の制御時の変速時間の推移の説明図である。



図18は、アシストクラッチの交換や、アシストクラッチ作動油の交換によって、アシストクラッチの伝達トルク特性が小さい方へ変化した場合の、トルクアシスト制御フェーズ(図15の時刻tbから時刻teに相当)における、学習補正によるアシストクラッチトルクおよび入力回転数Niの変化を示している。
変速を繰り返す毎に、トルクアシスト制御フェーズにおいて、図18(A)に示すように、アシストクラッチトルクが増加し、トルクアシスト制御フェーズ終了時(時刻te)には、図18(B)に示すように、入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refに漸近してゆく。トルクアシスト制御フェーズ終了時(時刻te)の回転数差が小さくなってゆくため、時刻te以降の回転同期制御フェーズの所要時間が短くなり、変速所要時間を短縮することができる。
図19は、アシストクラッチの交換や、アシストクラッチ作動油の交換によって、アシストクラッチの伝達トルク特性が大きい方へ変化した場合の、トルクアシスト制御フェーズ(図15の時刻tbから時刻teに相当)における、学習補正によるアシストクラッチトルクおよび入力回転数Niの変化を示している。
変速を繰り返す毎に、トルクアシスト制御フェーズにおいて、図19(A)に示すように、アシストクラッチトルクが減少し、トルクアシスト制御フェーズ終了時(時刻te)には、図19(B)に示すように、入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refに漸近してゆく。トルクアシスト制御フェーズ終了時(時刻te)の回転数差が小さくなってゆくため、時刻te以降の回転同期制御フェーズの所要時間が短くなり、変速所要時間を短縮することができる。また一方で、入力回転数Niが早く低下してトルクアシスト制御フェーズ終了時(時刻te)が早まり、その結果、イナーシャトルクが大きくなることで突き上げ感が発生することも回避できる。
図18もしくは図19に示したように、アシストクラッチの交換や、アシストクラッチ作動油の交換によって、アシストクラッチの伝達トルク特性が変化した場合、図20に示すように、変速を繰り返す毎に、変速所要時間が短縮され、目標変速所要時間下限から目標変速所要時間上限の間に収束してゆく。また、変速所要時間が、目標変速所要時間下限よりも小さい場合も同様に、変速を繰り返す毎に、変速所要時間が徐々に長くなり、目標変速所要時間下限から目標変速所要時間上限の間に収束してゆく。
以上説明したように、本実施形態においては、機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止することができる。また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上することができる。
次に、図21〜図27を用いて、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
なお、本実施形態による自動車の制御装置の構成は、図1若しくは図2に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるクラッチとドリブンギアの噛合い関係は、図3に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるパワートレーン制御ユニット100と、エンジン制御ユニット101と、油圧制御ユニット102との間の通信手段103による入出力信号関係は、図4に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の全体の制御内容は、図5に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の経過時間を示すタイマの内容は、図6に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ503の開放制御フェーズの制御内容は、図7,図8及び図14に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ505のトルクアシスト制御フェーズの制御内容は、図9〜図11及び図14に示したものと同様であるが、図9の制御内容に代えて、図26で後述する制御内容としている。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ509の回転同期制御フェーズの制御内容は、図12及び図14に示すものと同様であるが、図12の制御内容に代えて、図27で後述する制御内容としている。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ511の締結制御フェーズの制御内容は、図13及び図14に示すものと同様である。本実施形態では、補正値算出処理の内容が、図16に示したものと異なるものである。
最初に、図21を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御において、図9のステップ906によるアシストトルク学習補正値LatDSTTqによる補正がない場合の変速時間について説明する。
図21は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御において、図9のステップ906によるアシストトルク学習補正値LatDSTTqによる補正がない場合の制御内容を示すタイムチャートである。
図21は、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時のタイムチャートを示しており、エンジン1の機差ばらつきや経年変化によって入力トルクが変化し、変速時間が長くなった場合の例を示している。
図21に示すように、図14に比較して、図21(D)の入力回転数Niの低下が早く、入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refよりも下がりすぎている。そのため、入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refに同期するまでの時間が長く、時刻teから時刻tfまでの回転同期制御フェーズの所要時間が長くなり、全体の変速時間が長くなっている。
次に、図22〜図27を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の処理内容について説明する。
図22は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。図23は、図22に示したトルク差積算値算出処理の内容を示すフローチャートである。図24は、図22に示した学習補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。図25は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理における学習補正値の更新方法の説明図である。
以下に示す補正値算出処理の内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ2201〜2202の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図22に示すように、図5に示したステップ514の補正値算出処理は、本実施形態では、ステップ2201のトルク差積算値算出処理と、ステップ2202の学習補正値算出処理から構成される。それぞれの処理内容は、図23及び図24を用いて後述する。ステップ2201およびステップ2202は、補正値算出処理によってサブルーチンコールされる。
ここで、図23を用いて、図22のステップ2201のトルク差積算値の算出処理の詳細処理内容について説明する。
ステップ2301において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ2302において、回転同期フェーズであるか否かの判定を行う。回転同期フェーズである場合はステップ2303へ進み、回転同期フェーズではない場合は、処理を終了する。
回転同期フェーズである場合は、ステップ2303において、回転同期フェーズの所要時間が長いか否かを判定する。回転同期制御フェーズタイマTm_ns>回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXのときは、ステップ2306へ進む。回転同期制御フェーズタイマTm_ns≦回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXのときは、ステップ2304にてトルク差積算値STTqDns=0とし、ステップ2305にてトルク差積算タイマTm_nsST=0とし、処理を終了する。
回転同期制御フェーズタイマTm_ns>回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXのときは、ステップ2306において、目標トルクTTqと、フィードフォワード指令値トルクTq_FFのトルク差TTqDを算出する。
次に、ステップ2307において、トルク差積算値STTqDns+TTqDとしてトルク差積算値STTqDnsを更新する。
さらに、ステップ2308において、トルク差積算タイマTm_nsSTをカウントアップし、処理を終了する。ここで、回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXは、エンジントルクTeを入力として、算出する構成とする。またさらに、変速パターン毎に別設定とする。また、エンジントルクTeのかわりに、変速前の回転差(変速前入力回転数Ni_pre−変速後入力回転数Ni_nxt)を入力として算出する構成としても良いものである。また、エンジントルクTeのかわりに、アクセルペダル踏み込み量Apsを入力として算出する構成としても良いものである。
図23の処理終了後は、図22の補正値算出処理514に戻り、次のステップ2202を実行する。
次に、図24を用いて、図22のステップ2202の学習補正値の算出処理の処理内容について説明する。
ステップ2401において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ2402において、回転同期フェーズが終了したか否かの判定を行う。回転同期フェーズが終了している場合は、ステップ2403へ進み、回転同期フェーズが終了していない場合は処理を終了する。
次に、ステップ2403において、トルク差積算タイマTm_nsSTがカウントアップされているか否かを判定する。トルク差積算タイマTm_nsSTがカウントアップされている(≠0)の場合は、ステップ2404へ進み、トルク差積算タイマTm_nsST=0の場合は処理を終了する。
次に、ステップ2404において、変速が終了した直後か否かの判定を行う。変速終了直後の場合は、ステップ2405へ進み、それ以外の場合は処理を終了する。
次に、ステップ2405において、図23のステップ2307およびステップ2308で算出したトルク差積算値STTqDnsを、トルク差積算タイマTm_nsSTで割って、トルク差平均値ATTqDnsを算出する。
次に、ステップ2406において、学習補正値LnsTTqD+トルク差平均値ATTqDnsによって、学習補正値LnsTTqDを更新し、処理を終了する。
ここで、ステップ2406において、学習補正値LnsTTqDを更新する際には、トルク差平均値ATTqDnsの上限、下限を所定の値で制限した上で更新することが望ましいものである。さらには、トルク差平均値ATTqDnsに、学習補正量を調節するゲインを乗算した上で学習補正値LnsTTqDを更新することが望ましいものである。
また、学習補正値LnsTTqDは、駆動力源の動作領域によって領域分けして更新することが望ましく、駆動力源がエンジン1である場合は、図25に示すように、エンジン1の噴射パルス幅とエンジン回転数Ne等によって領域を分割してマップ構造とし、各領域毎に学習補正値LnsTTqDを更新することが望ましい。ここで噴射パルス幅の代わりに、スロットル開度や、エンジントルクの指令値等、エンジン1の状態を示す他のパラメータを用いても構成可能である。
次に、図26を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ505のトルクアシスト制御フェーズの制御内容について説明する。
図26は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。
ステップ2601において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ2602において、トルクアシスト制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta=0のときは、ステップ2603,ステップ2604,ステップ2605,ステップ2606を実行し、ステップ2607へ進む。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta≠0のときは、ステップ2607へ進む。
トルクアシスト制御フェーズ開始直後のときは、ステップ2603(目標変速時間設定処理)において、目標変速時間Tm_sを設定する。目標変速時間Tm_sは、図9と同様に、エンジントルクTeの関数とする。
次に、ステップ2604(目標増加時間設定処理、目標減少時間設定処理)において、目標増加時間Tm_inc、目標減少時間Tm_decを設定する。目標増加時間Tm_inc、目標減少時間Tm_decは、図9と同様に、いずれもエンジントルクTeの関数とする。
次に、ステップ2605において、目標変速時間Tm_sで、変速前の入力相当の回転数Ni_preから変速後の入力相当の回転数Ni_nxtへ変速するにあたり、変速に必要なトルクを算出する。エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとすると、変速に必要なトルクである、基本慣性トルクTq_bは、J×(Ni_pre−Ni_nxt)×α÷Tm_sとなる。すなわち、アップシフトの場合は、基本慣性トルクTq_b>0となり、ダウンシフトの場合は、基本慣性トルクTq_b<0となる。ここで、変速前入力回転数Ni_pre=出力回転数No×変速前ギア比、変速後入力回転数Ni_nxt=出力回転数No×変速後ギア比で算出する。
次に、ステップ2606において、目標変速時間Tm_s以内で、目標増加時間Tm_incで増加(ダウンシフトの場合は減少)し、目標減少時間Tm_decで減少(ダウンシフトの場合は増加)する際に、基本慣性トルクTq_b×目標変速時間Tm_sと、面積が等しくなるトルクである、基準慣性トルクTq_Bを算出する。
ステップ2607,ステップ2608,ステップ2609,ステップ2610は、目標変速トルク設定処理であり、処理内容は、図9と同一である。
次に、ステップ2611において、アシストクラッチの目標トルクTTqを算出する。ステップ2406で算出した学習補正値LnsTTqDを用いて、目標トルクTTq=目標変速トルクTq_J×変速トルク調整ゲインJgain+(エンジントルクTe+学習補正値LnsTTqD)×エンジントルク調整ゲインBgainとする。変速トルク調整ゲインJgain、エンジントルク調整ゲインBgainは、図9と同様に、変速パターン毎に設定することが望ましいものである。さらには、変速前の入力トルク(もしくはエンジントルク)の関数とすることが望ましいものである。
また、目標増加時間Tm_inc、目標減少時間Tm_decによって目標変速トルクTq_Jを算出する構成としているが、目標とする増加トルク、減少トルクを設定することによって目標変速トルクTq_Jを算出することとしても構成可能である。
次に、図27を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ509の回転同期制御フェーズの制御内容について説明する。
図27は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の回転同期制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。
ステップ2701において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ2702において、回転同期制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。回転同期制御フェーズタイマTm_ns=0のときは、ステップ2703を実行し、ステップ2704へ進む。回転同期制御フェーズタイマTm_ns≠0のときは、ステップ2704へ進む。
回転同期制御フェーズ開始直後のときは、ステップ2703において、回転数フィードバックのための比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKiを設定する。ここで、比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKiは、図12同様、変速パターン毎もしくは、目標変速段毎に別設定とすることが望ましいものである。
次に、ステップ2704において、回転数フィードバックのための目標同期回転数(目標入力回転数)Ni_refを設定する。目標同期回転数Ni_refは、出力回転数Noに、変速後ギア比Gmを乗算し、入力回転数周りの値としたものとする。
次に、ステップ2705において、目標同期回転数Ni_refと、入力回転数Niとの偏差Ni_errを算出し、ステップ2706において、回転数偏差Ni_errの積分値Ni_errIを算出する。
次に、ステップ2707において、回転数偏差Ni_err、回転数偏差積分値Ni_errI、比例補正ゲインKp、積分補正ゲインKiを用いて、比例補正値DNi_p、積分補正値DNi_iを算出する。
次に、ステップ2708において、フィードバックトルクTq_FBを設定する。
次に、ステップ2709において、フィードフォワードトルクTq_FFを設定する。フィードフォワードトルクTq_FFは、ステップ2406で算出した学習補正値LnsTTqDを用いて、Tq_FF=(エンジントルクTe+学習補正値LnsTTqD)×エンジントルク調整ゲインBgainとする。
次に、ステップ2710において、アシストクラッチの目標トルクTTqを設定する。
さらには、図7のステップ702において、学習補正値LnsTTqDによって、目標開放トルクの設定を、TTq_off=Tq_in+LnsTTqD、と補正することが望ましいものである。
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン1の機差ばらつきや経年変化があっても、図20に示したように変速所要時間が長くなることなく、図14に示したように変速することができ、変速フィーリングの低下を防止できる。
次に、図28〜図31を用いて、本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
なお、本実施形態による自動車の制御装置の構成は、図1若しくは図2に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるクラッチとドリブンギアの噛合い関係は、図3に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるパワートレーン制御ユニット100と、エンジン制御ユニット101と、油圧制御ユニット102との間の通信手段103による入出力信号関係は、図4に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の全体の制御内容は、図5に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の経過時間を示すタイマの内容は、図6に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ503の開放制御フェーズの制御内容は、図7,図8及び図14に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ505のトルクアシスト制御フェーズの制御内容は、図26,図10,図11及び図14に示したものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ509の回転同期制御フェーズの制御内容は、図27及び図14に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ511の締結制御フェーズの制御内容は、図13及び図14に示すものと同様である。本実施形態では、補正値算出処理の内容が、図16,図22に示したものと異なるものである。
最初に、図28〜図29を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の処理内容について説明する。
図28は、本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。図29は、図28に示したトルク差積算値算出処理の内容を示すフローチャートである。図30は、図28に示した学習補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。
以下に示す補正値算出処理の内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ2801〜2802の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図28に示すように、図5に示したステップ514の補正値算出処理は、本実施形態では、ステップ2801のトルク差積算値算出処理と、ステップ2802の学習補正値算出処理から構成される。それぞれの処理内容は、図29及び図30を用いて後述する。ステップ2801およびステップ2802は、補正値算出処理によってサブルーチンコールされる。
ここで、図29を用いて、図28のステップ2801のトルク差積算値の算出処理の詳細処理内容について説明する。
ステップ2901において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ2902において、回転同期フェーズであるか否かの判定を行う。回転同期フェーズである場合は、ステップ2903へ進み、回転同期フェーズではない場合は、処理を終了する。
回転同期フェーズである場合、ステップ2903において、回転同期フェーズの所要時間が長いか否かを判定する。回転同期制御フェーズタイマTm_ns>回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXのときは、ステップ2907へ進み、回転同期制御フェーズタイマTm_ns≦回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXのときは、ステップ2904に進む。
回転同期制御フェーズタイマTm_ns≦回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXのときは、ステップ2904において、積分補正値積算値SDNi_i=0とし、ステップ2905にて積分補正値積算タイマTm_nsSI=0とし、処理を終了する。
回転同期制御フェーズタイマTm_ns>回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXのときは、ステップ2907において、積分補正値積算値SDNi_i+DNi_iとして積分補正値積算値SDNi_iを更新し、ステップ2908にて、積分補正値積算タイマTm_nsSIをカウントアップし、処理を終了する。
ここで、回転同期フェーズ所要上限時間Tm_nsMXは、図23と同様、エンジントルクTeを入力として、算出する構成とする。またさらに、変速パターン毎に別設定とする。また、エンジントルクTeのかわりに、変速前の回転差(変速前入力回転数Ni_pre−変速後入力回転数Ni_nxt)を入力として算出する構成としても良いものである。また、エンジントルクTeのかわりに、アクセルペダル踏み込み量Apsを入力として算出する構成としても良いものである。
図29の処理終了後は、図28の補正値算出処理に戻り、次のステップ2802を実行する。
次に、図30を用いて、図28のステップ2802の学習補正値の算出処理の処理内容について説明する。
ステップ3001において、パラメータを読み込み、ステップ3002において、回転同期フェーズが終了したか否かの判定を行う。回転同期フェーズが終了している場合は、ステップ3003へ進み、回転同期フェーズが終了していない場合は処理を終了する。
回転同期フェーズが終了している場合は、ステップ3003において、積分補正値積算タイマTm_nsSIがカウントアップされているか否かを判定する。
積分補正値積算タイマTm_nsSIがカウントアップされている(≠0)の場合はステップ3004へ進み、積分補正値積算タイマTm_nsSI=0の場合は処理を終了する。
次に、ステップ3004において、変速が終了した直後か否かの判定を行う。変速終了直後の場合はステップ3005へ進み、それ以外の場合は処理を終了する。
次に、ステップ3005において、図29のステップ2907,ステップ2908で算出した積分補正値積算値SDNi_i、積分補正値積算タイマTm_nsSIによって、積分補正値平均値ADNi_iを算出し、ステップ3006へ進む。
次に、ステップ3006において、エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとして、平均積分トルクATq_FBIを算出する。
次に、ステップ3007において、学習補正値LnsTTqD+平均積分トルクATq_FBIによって、学習補正値LnsTTqDを更新し、処理を終了する。
ここで、ステップ3007にて、学習補正値LnsTTqDを更新する際には、平均積分トルクATq_FBIの上限、下限を所定の値で制限した上で更新することが望ましいものである。さらには、平均積分トルクATq_FBIに、学習補正量を調節するゲインを乗算した上で学習補正値LnsTTqDを更新することが望ましいものである。
また、学習補正値LnsTTqDは、図24と同様に、駆動力源の動作領域によって領域分けして更新することが望ましいものである。
また、図7のステップ702において、学習補正値LnsTTqDによって、目標開放トルクの設定を、TTq_off=Tq_in+LnsTTqD、と補正することが望ましいものである。
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン1の機差ばらつきや経年変化があっても、図20に示したように変速所要時間が長くなることなく、図14に示したように変速することができ、変速フィーリングの低下を防止できる。
次に、図31を用いて、図29に示したトルク差積算値算出処理の変形例について説明する。
図31は、本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の中にトルク差積算値算出処理の変形例の内容を示すフローチャートである。
図31のステップ3101〜ステッ3105の処理は、図29のステップ2903と、ステップ2907の間に、追加される。
ステップ3101において、目標同期回転数Ni_refと、入力回転数Niの回転差が小さいか否かを判定する。回転差が小さい場合は、ステップ3102へ進み、回転差が大きい場合は、図29のステップ2904へ進む。
次に、ステップ3102において、入力回転数Niの単位時間あたりの変化量が小さいか否かを判定する。|ΔNi|が小さい場合は、ステップ3103へ進み、大きい場合は、図29のステップ2904へ進む。
次に、ステップ3103において、出力回転数Noの単位時間あたりの変化量が小さいか否かを判定する。|ΔNo|が小さい場合は、ステップ3104へ進み、大きい場合は、図29のステップ2904へ進む。
次に、ステップ3104において、エンジントルクTeの単位時間あたりの変化量が小さいか否かを判定する。|ΔTe|が小さい場合は、ステップ3105へ進み、大きい場合は、図29のステップ2904へ進む。
次に、ステップ3105において、アクセルペダル踏み込み量Apsの単位時間あたりの変化量が小さいか否かを判定する。|ΔAps|が小さい場合は、図29のステップ2907へ進み、大きい場合は、図29のステップ2904へ進む。
この変形例のように構成することで、学習補正の精度をより向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン1の機差ばらつきや経年変化があっても、図20に示したように変速所要時間が長くなることなく、図14に示したように変速することができ、変速フィーリングの低下を防止できる。
次に、図32〜図41を用いて、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
なお、本実施形態による自動車の制御装置の構成は、図1若しくは図2に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるクラッチとドリブンギアの噛合い関係は、図3に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるパワートレーン制御ユニット100と、エンジン制御ユニット101と、油圧制御ユニット102との間の通信手段103による入出力信号関係は、図4に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の全体の制御内容は、図5に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の経過時間を示すタイマの内容は、図6に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ503の開放制御フェーズの制御内容は、図7,図8及び図14に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ505のトルクアシスト制御フェーズの制御内容は、図9〜図11及び図14に示したものと同様であるが、図9〜図11の制御内容に代えて、図32〜図34で後述する制御内容としている。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ509の回転同期制御フェーズの制御内容は、図12及び図14に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ511の締結制御フェーズの制御内容は、図13及び図14に示すものと同様である。本実施形態では、補正値算出処理の内容が、図16,図22,28に示したものと異なり、図37以降で後述する内容としている。
最初に、図32〜図35を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシストフェーズの処理内容について説明する。
図32は、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシストフェーズの処理内容を示すフローチャートである。図33は、図32のステップ3202の内容を示すフローチャートである。図34は、図32のステップ3203の内容を示すフローチャートである。図35は、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容を示すタイムチャートである。
図35は、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時の制御のタイムチャートを示している。図35において、時刻taから時刻tbの期間が開放制御フェーズ、時刻tbから時刻teの期間がトルクアシスト制御フェーズ、時刻teから時刻tfの期間が回転同期制御フェーズ、時刻tfから時刻tgの期間が締結制御フェーズ、時刻tgから時刻thの期間が変速終了フェーズとなっている。図35(A)は、目標変速トルクTq_Jを示している。図35(B)は、アシストクラッチの目標トルクTTqを示している。図35(C)は、アシストクラッチの伝達トルクを示している。図35(D)は、入力回転数Ni及び目標同期回転数Ni_refを示している。図35(E)は、シフト位置rpSFTを示している。図35(F)は、セレクト位置rpSELを示している。
以下に示す補正値算出処理の内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ3201〜3204の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図32のステップ3201において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ3202において、フィードフォワードトルク算出処理として、フィードフォワードトルクTq_FFを算出する。ステップ3202の詳細は、図33を用いて後述する。
次に、ステップ3203において、フィードバックトルク算出処理として、フィードバックトルクTq_FBを算出する。ステップ3203の詳細は、図34を用いて後述する。
次に、ステップ3204において、フィードフォワードトルクTq_FF、フィードバックトルクTq_FBから、アシストクラッチの目標トルクTTqを算出する。
次に、図33を用いて、図32のステップ3202(フィードフォワードトルク算出処理)の処理内容について説明する。基本的な処理は、図9と同様である。
ステップ3301において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ3302において、トルクアシスト制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta=0のときは、ステップ3303,ステップ3304,ステップ3305,ステップ3306を実行し、ステップ3307へ進む。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta≠0のときは、ステップ3307へ進む。
トルクアシスト制御フェーズ開始直後のときは、ステップ3303(目標変速時間設定処理)において、目標変速時間Tm_sを設定する。目標変速時間Tm_sは、エンジントルクTeの関数とする。
次に、ステップ3304(目標増加時間設定処理,目標減少時間設定処理)において、目標増加時間Tm_inc,目標減少時間Tm_decを設定する。目標増加時間Tm_inc,目標減少時間Tm_decは、いずれもエンジントルクTeの関数とする。
次に、ステップ3305において、ステップ3303で設定された目標変速時間Tm_sで、変速前の入力相当の回転数Ni_preから変速後の入力相当の回転数Ni_nxtへ変速するにあたり、変速に必要なトルクを算出する。エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとすると、変速に必要なトルクである、基本慣性トルクTq_bは、J×(Ni_pre−Ni_nxt)×α÷Tm_sとなる。ここで、変速前入力回転数Ni_pre=出力回転数No×変速前ギア比、変速後入力回転数Ni_nxt=出力回転数No×変速後ギア比で算出する。
次に、ステップ3306において、目標変速時間Tm_s以内で、目標増加時間Tm_incで増加(ダウンシフトの場合は減少)し、目標減少時間Tm_decで減少(ダウンシフトの場合は増加)する際に、基本慣性トルクTq_b×目標変速時間Tm_sと、面積が等しくなるトルクである、基準慣性トルクTq_Bを算出する。基準慣性トルクTq_Bを算出する際には、アシストトルク学習補正値LatDSTTqによって補正を行う。アシストトルク学習補正値LatDSTTqは、図37で後述する補正値算出処理によって算出される。
次に、ステップ3307,ステップ3308,ステップ3309,ステップ3310は、目標変速トルク設定処理であり、ステップ3307において、トルクアシスト制御フェーズタイマTm_taによる場合わけを行い、それぞれの場合(Case1, Case2, Case3)の目標変速トルクTq_Jを、ステップ3308,ステップ3309,ステップ3310により算出する。
ステップ3311において、アシストクラッチのフィードフォワードトルクTq_FFを算出する。フィードフォワードトルクTq_FF=目標変速トルクTq_J×変速トルク調整ゲインJgain+エンジントルクTe×エンジントルク調整ゲインBgainとする。変速トルク調整ゲインJgain、エンジントルク調整ゲインBgainは、変速パターン毎に設定することが望ましいものである。さらには、変速前の入力トルク(もしくはエンジントルク)の関数とすることが望ましいものである。
また、目標増加時間Tm_inc、目標減少時間Tm_decによって目標変速トルクTq_Jを算出する構成としているが、目標とする増加トルク、減少トルクを設定することによって目標変速トルクTq_Jを算出することとしても構成可能である。
次に、図34を用いて、図32のステップ3203(フィードバックトルク算出処理)の処理内容について説明する。
ステップ3401において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ3402において、図33のステップ3308,ステップ3309,ステップ3310で算出した目標変速トルクTq_Jを実現するための回転数変更量DNi_Tを算出する。エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をα、制御周期時間をTm_jobとすると、回転数変更量DNi_Tは、DNi_T=−(Tq_J÷(J×α))×Tm_jobとなる。
次に、ステップ3403において、トルクアシスト制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta=0のときは、ステップ3404,ステップ3405を実行し、ステップ3407へ進む。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta≠0のときは、ステップ3406を実行し、ステップ3407へ進む。
トルクアシスト制御フェーズ開始直後のときは、ステップ3404において、回転数フィードバックのための比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKi,微分補正ゲインKdを設定する。ここで、比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKi,微分補正ゲインKdは、変速パターン毎もしくは、目標変速段毎に別設定とすることが望ましいものである。
次に、ステップ3405において、基本入力回転数Ni_bの初期値を設定する。トルクアシスト制御フェーズ開始直後の基本入力回転数Ni_bは、変速前入力回転数Ni_preとする。
トルクアシスト制御フェーズ開始直後でないときは、ステップ3406において、基本入力回転数Ni_bを設定する。ステップ3402で算出した回転数変更量DNi_Tずつ、基本入力回転数Ni_bを変化させる。基本入力回転数Ni_bは、車速が変化することによる、回転数の変化を考慮していない目標入力回転数に相当するものである。
次に、ステップ3407において、目標変速比設定処理を実行する。目標変速比T_ratは、基本入力回転数Ni_b、変速開始時の出力回転数No_stから、T_rat=Ni_b÷No_stとして算出する。ここで、変速開始時の出力回転数No_stの代わりに、変速開始時の入力回転数Ni_st÷変速前ギア比としても良いものである。
次に、ステップ3408において、目標入力回転数設定処理を実行する。目標入力回転数Ni_ref=出力回転数No×目標変速比T_ratとして算出する。これによって、車速が変化することによる、回転数の変化を反映できる。
次に、ステップ3409において、目標入力回転数Ni_refと、入力回転数Niとの偏差Ni_errを算出し、ステップ3410において、回転数偏差Ni_errの積分値Ni_errIを算出し、ステップ3411において、回転数偏差Ni_errの微分値dNi_errを算出する。
次に、ステップ3412において、回転数偏差Ni_err,回転数偏差積分値Ni_errI,回転数偏差微分値dNi_err,比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKi,微分補正ゲインKdを用いて、比例補正値DNi_p,積分補正値DNi_i,微分補正値DNi_dを算出する。
次に、ステップ3413において、フィードバックトルクTq_FBを設定する。エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとすると、フィードバックトルクTq_FB=J×(DNi_p+DNi_i+DNi_d)×αと算出される。
ここで、ステップ3407における変速開始時の出力回転数No_stは、開放制御フェーズ時からトルクアシスト制御フェーズに切り替わるときの出力回転数Noとする。さらには、開放制御による回転変動を影響を抑えるために、開放制御フェーズ時からトルクアシスト制御フェーズに切り替わるときの出力回転数Noのフィルタ値、切り替わる直前の値の数回前からの平均値とするのが望ましいものである。
次に、図35を用いて、トルクアシスト制御時の制御内容について説明する。
開放フェーズ(時刻taから時刻tb)においては、図35(D)のアシストクラッチの目標トルクTTqが立ち上がると、図35(E)のシフト位置rpSFTが位置SF3からSF2へ移動を開始する。
シフト位置rpSFTが位置SF2付近となると(時刻tb)、トルクアシスト制御フェーズ(時刻tbから時刻te)となる。トルクアシスト制御フェーズにおいて、図35(A)の目標変速トルクTq_Jが、基準慣性トルクTq_Bまで上昇し、0まで下降するのに伴い、図35(B)のフィードフォワードトルクTq_FFが上昇、下降する。図35(B)のフィードフォワードトルクTq_FFの上昇、下降に伴い、図35(C)の入力回転数Niが低下する。また、図35(A)の目標変速トルクTq_Jを実現するための回転数である、図35(C)の目標入力回転数Ni_refが変化し、目標入力回転数Ni_refと入力回転数Niの偏差がなくなるように、図35(D)のフィードバックトルクが変更され、フィードフォワードトルクTq_FFと、フィードバックトルクTq_FBから、図35(D)の目標トルクTTqが設定される。これにより、目標変速トルクTq_Jを実現しつつ、目標入力回転数Ni_refに追従するよう、入力回転数Niを制御できる。また、図35(F)のセレクト位置rpSELが位置SL1からSL2へ移動する。
回転同期制御フェーズ(時刻teから時刻tf)においては、図35(C)の入力回転数Niが目標入力回転数Ni_refに追従するよう、図35(D)のアシストクラッチの目標トルクTTqが制御される。
締結制御フェーズ(時刻tfから時刻tg)では、ひきつづき図35(C)の入力回転数Niが目標入力回転数Ni_refに追従するよう、図35(D)のアシストクラッチの目標トルクTTqが制御され、図35(E)のシフト位置rpSFTが位置SF2からSF1へ移動する。
シフト位置rpSFTの、SF1への移動が完了した時刻tgで変速終了フェーズ(時刻tgから時刻th)となり、(D)のアシストクラッチの目標トルクTTqが0となって、変速制御終了となっている。
ここで、図36を用いて、図33のステップ3306のアシストトルク学習補正値LatDSTTqによる補正がない場合、アシストクラッチの機差ばらつきや経年変化によって、変速時間が長くなった場合の、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時の例について説明する。
図36は、本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御においてアシストトルクの補正が行われない場合の制御内容を示すタイムチャートである。
図35の例と比較して、図36(D)の入力回転数Niの低下が遅く、入力回転数Niが目標同期回転数Ni_refに同期するまでの時間が長く、時刻teから時刻tfまでの回転同期制御フェーズの所要時間が長くなり、全体の変速時間が長くなっている。
次に、図37〜図40を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の処理内容について説明する。
図37は、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。図38は、図37に示した面積差積算値算出処理の内容を示すフローチャートである。図39は、図37に示した学習補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。図40は、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理における学習補正値の更新方法の説明図である。
以下に示す補正値算出処理の内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ3701〜3702の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図37に示すように、図5に示したステップ514の補正値算出処理は、本実施形態では、ステップ3701の面積差積算値算出処理と、ステップ3702の学習補正値算出処理から構成される。それぞれの処理内容は、図38及び図39を用いて後述する。ステップ3701およびステップ3702は、補正値算出処理によってサブルーチンコールされる。
ここで、図38を用いて、図37のステップ3701の面積差積算値の算出処理の詳細処理内容について説明する。
ステップ3801において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ3802において、トルクアシスト制御フェーズであるか否かの判定を行う。トルクアシスト制御フェーズである場合は、ステップ3805へ進み、トルクアシスト制御フェーズではない場合は、ステップ3803に進む。
トルクアシスト制御フェーズではない場合は、ステップ3803において、フィードフォワードトルク積算値STq_FF=0とし、次に、ステップ3804において、アシストクラッチ目標トルク積算値STTq=0として処理を終了する。
トルクアシスト制御フェーズである場合は、ステップ3805において、フィードフォワードトルク積算値STq_FF+フィードフォワードトルクTq_FFによって、フィードフォワードトルク積算値STq_FFを更新し、次に、ステップ3806において、アシストクラッチ目標トルク積算値STTq+目標トルクTTqによって、目標トルク積算値STTqを更新する。次に、ステップ3807において、目標トルク積算値STTqと、フィードフォワードトルク積算値STq_FFによって面積差DSTTqを算出し、処理を終了する。
次に、図39を用いて、図37のステップ3702の学習補正値の算出処理の詳細処理内容について説明する。
ステップ3901において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ3902において、トルクアシスト制御フェーズが終了しているか否かの判定を行う。終了している場合は、ステップ3903へ進み、終了していない場合は処理を終了する。
トルクアシスト制御フェーズが終了している場合は、ステップ3903において、変速が終了した直後か否かの判定を行う。変速終了直後のときはステップ3904へ進み、それ以外のときは、処理を終了する。
変速が終了した直後の場合は、ステップ3904において、アシストトルク学習補正値LatDSTTq+面積差DSTTqによって、アシストトルク学習補正値LatDSTTqの更新を行い、処理を終了する。
ここで、アシストトルク学習補正値LatDSTTqを更新する際には、面積差DSTTqの上限,下限を所定の値で制限した上で更新することが望ましいものである。さらには、面積差DSTTqに学習補正量を調節するゲインを乗算した上でアシストトルク学習補正値LatDSTTqを更新することが望ましいものである。
また、アシストトルク学習補正値LatDSTTqは、アシストクラッチの動作領域によって領域分けして更新することが望ましく、図40に示すように、基本慣性トルクTq_b等によってよって領域を分割し、各領域毎にアシストクラッチ学習補正値LatDSTTqを更新することが望ましいものである。ここで基本慣性トルクTq_bの代わりに、アシストクラッチ油圧や、アシストクラッチ電流等、アシストクラッチの状態を示す他のパラメータを用いても構成可能である。
以上説明したように、本実施形態では、アシストクラッチの機差ばらつきや経年変化があっても、図36に示したように変速所要時間が長くなることなく、また、変速所要時間が短すぎることもなく、図35のように変速することができ、変速フィーリングの低下を防止できる。また、アシストクラッチの交換や、アシストクラッチ作動油の交換によって、アシストクラッチの伝達トルク特性が変化した場合、図20と同様に、変速を繰り返す毎に、変速所要時間が収束してゆく。
次に、図41を用いて、図38に示した面積差積算値算出処理の変形例について説明する。
図41は、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の中に面積差積算値算出処理の変形例の内容を示すフローチャートである。
図41のステップ4101〜ステッ4104の処理は、図38のステップ3802と、ステップ3805の間に、追加される。
ステップ4101において、出力回転数Noの単位時間あたりの変化量(ΔNo)が小さいか否かを判定する。|ΔNo|が小さい場合はステップ4102へ進み、大きい場合は図38のステップ3803へ進む。
次に、|ΔNo|が小さい場合は、ステップ4102において、エンジントルクTeの単位時間あたりの変化量(ΔTe)が小さいか否かを判定する。|ΔTe|が小さい場合はステップ4103へ進み、大きい場合は図38のステップ3803へ進む。
|ΔTe|が小さい場合は、ステップ4103において、アクセルペダル踏み込み量Apsの単位時間あたりの変化量(ΔAps)が小さいか否かを判定する。|ΔAps|が小さい場合は図38のステップ3805へ進み、大きい場合は図38のステップ3803へ進む。
以上のように構成することで、学習補正の精度をより向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、アシストクラッチの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、また、変速所要時間が短すぎることもなく、変速することができ、変速フィーリングの低下を防止できる。また、アシストクラッチの交換や、アシストクラッチ作動油の交換によって、アシストクラッチの伝達トルク特性が変化した場合、変速を繰り返す毎に、変速所要時間が収束してゆく。
次に、図42〜図44を用いて、本発明の第5の実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
なお、本実施形態による自動車の制御装置の構成は、図1若しくは図2に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるクラッチとドリブンギアの噛合い関係は、図3に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置におけるパワートレーン制御ユニット100と、エンジン制御ユニット101と、油圧制御ユニット102との間の通信手段103による入出力信号関係は、図4に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の全体の制御内容は、図5に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の経過時間を示すタイマの内容は、図6に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ503の開放制御フェーズの制御内容は、図7,図8及び図14に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ505のトルクアシスト制御フェーズの制御内容は、図9〜図11及び図14に示したものと同様であるが、図9〜図11の制御内容に代えて、図42〜図44で後述する制御内容としている。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ509の回転同期制御フェーズの制御内容は、図12及び図14に示すものと同様である。本実施形態による自動車の制御装置による変速制御のステップ511の締結制御フェーズの制御内容は、図13及び図14に示すものと同様である。本実施形態では、補正値算出処理の内容は、図37で示したものと同様である。
ここで、図42〜図44を用いて、本実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシストフェーズの処理内容について説明する。
図42は、本発明の第5の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシストフェーズの処理内容を示すフローチャートである。図43は、図42のステップ4202の内容を示すフローチャートである。図44は、図42のステップ4203の内容を示すフローチャートである。
以下に示す補正値算出処理の内容は、パワートレーン制御ユニット100のコンピュータ100cにプログラミングされ、あらかじめ定められた周期で繰り返し実行される。すなわち、以下のステップ4201〜4204の処理は、パワートレーン制御ユニット100によって実行される。
図42のステップ4201において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ4202において、フィードフォワードトルク算出処理として、フィードフォワードトルクTq_FFを算出する。ステップ4202の詳細は、図43を用いて後述する。
次に、ステップ4203において、フィードバックトルク算出処理として、フィードバックトルクTq_FBを算出する。ステップ4203の詳細は、図44を用いて後述する。
次に、ステップ4204において、フィードフォワードトルクTq_FF、フィードバックトルクTq_FBから、アシストクラッチの目標トルクTTqを算出する。
次に、図43を用いて、図42のステップ4202(フィードフォワードトルク算出処理)の処理内容について説明する。基本的な処理は、図9と同様である。
ステップ4301において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ4302において、目標とする入力回転数Ni_refを設定する。目標入力回転数Ni_refは、変速パターンや、出力回転数等から設定される。
次に、ステップ4303において、目標入力回転数Ni_refを実現する変速トルクTq_Jを算出する。目標入力回転数Ni_refの変化量をΔNi_refとし、エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとし、目標変速時間をTm_s、アシストトルク学習補正値をLatDSTTqとすると、目標変速トルクTq_J=J×ΔNi_ref×α+LatDSTTq÷Tm_sと算出される。
次に、ステップ4304において、アシストクラッチのフィードフォワードトルクTq_FFを算出する。フィードフォワードトルクTq_FF=目標変速トルクTq_J×変速トルク調整ゲインJgain+エンジントルクTe×エンジントルク調整ゲインBgainとする。変速トルク調整ゲインJgain、エンジントルク調整ゲインBgainは、図33と同様、変速パターン毎に設定することが望ましいものである。さらには、変速前の入力トルク(もしくはエンジントルク)の関数とすることが望ましいものである。
次に、図44を用いて、図42のステップ4203(フィードバックトルク算出処理)の処理内容について説明する。
ステップ4401において、パワートレーン制御ユニット100は、パラメータを読み込み、ステップ4402において、トルクアシスト制御フェーズ開始直後か否かの判定を行う。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta=0のときは、ステップ4403を実行し、ステップ4404へ進む。トルクアシスト制御フェーズタイマTm_ta≠0のときは、ステップ4404へ進む。
トルクアシスト制御フェーズ開始直後のときは、ステップ4403において、回転数フィードバックのための比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKi,微分補正ゲインKdを設定する。ここで、比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKi,微分補正ゲインKdは、変速パターン毎もしくは、目標変速段毎に別設定とすることが望ましいものである。
次に、ステップ4404において、目標入力回転数Ni_refと、入力回転数Niとの偏差Ni_errを算出し、ステップ4405において、回転数偏差Ni_errの積分値Ni_errIを算出し、ステップ4406において、回転数偏差Ni_errの微分値dNi_errを算出する。
次に、ステップ4407において、回転数偏差Ni_err,回転数偏差積分値Ni_errI,回転数偏差微分値dNi_err,比例補正ゲインKp,積分補正ゲインKi,微分補正ゲインKdを用いて、比例補正値DNi_p,積分補正値DNi_i,微分補正値DNi_dを算出する。
次に、ステップ4408において、フィードバックトルクTq_FBを設定する。エンジンから入力軸までのイナーシャ係数をJ、単位変換係数をαとすると、フィードバックトルクTq_FB=J×(DNi_p+DNi_i+DNi_d)×αと算出される。
以上説明したように、本実施形態のように構成することで、アシストクラッチの機差ばらつきや経年変化があっても、図36に示したように変速所要時間が長くなることなく、また変速所要時間が短すぎることもなく、図35のように変速することができ、変速フィーリングの低下を防止できる。また、アシストクラッチの交換や、アシストクラッチ作動油の交換によって、アシストクラッチの伝達トルク特性が変化した場合、図20と同様に、変速を繰り返す毎に、変速所要時間が収束してゆく。
次に、図45及び図46を用いて、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対してアシストクラッチの故障診断機能を追加制御した例の処理内容について説明する。
図45は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの故障診断処理の内容を示すフローチャートである。
本実施形態によるアシストクラッチの故障診断処理は、図24に示した学習補正値の算出処理に追加される。図24におけるステップ2405と、ステップ2406の間に、ステップ4501,4502,4503を追加している。さらに、ステップ4504の処理を追加している。
ステップ4501において、パワートレーン制御ユニット100は、図24のステップ2405で算出したトルク差平均値ATTqDnsの絶対値が、所定値ATTqDnsNGよりも大きいか否かを判定する。大きい場合はステップ4502へ進み、小さい場合は図24のステップ4506に戻る。
トルク差平均値ATTqDnsの絶対値が、所定値ATTqDnsNGよりも大きい場合には、ステップ4502において、トルク差平均値ATTqDnsの絶対値が、所定値ATTqDnsNGよりも大きくなった回数をカウントする。カウンタCATTqDnsをカウントアップし、ステップ4503へ進む。
次に、ステップ4503において、カウンタCATTqDnsが所定カウント値CATTqDnsNGよりも大きいか否かを判定する。小さい場合は、図24のステップ4506に戻り、大きい場合は、ステップ4504へ進む。
カウンタCATTqDnsが所定カウント値CATTqDnsNGよりも大きい場合には、ステップ4504において、アシストクラッチの使用を禁止する。さらには、図1の警告ランプ104を点灯させて、運転者に報知することが望ましいものである。ここで、運転者への報知手段は、警告ランプのかわりにブザーを用いても良いものである。
ステップ4504によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の変速は、はじめに入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を開放して、シフト位置、セレクト位置を目標位置に変更した後に、入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を締結することで行う。
次に、図46を用いて、アシストクラッチの使用を禁止した場合の、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時の制御内容について説明する。
図46は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの診断処理によってアシストクラッチの使用を禁止した場合のタイムチャートである。
時刻taで変速が開始されると、はじめに図46(A)に示す入力軸クラッチトルクが低下し、図46(C)のエンジン回転数Neが低下をはじめる。時刻tbから時刻tc間で、図46(D)のシフト位置rpSFTが、SF3からSF2へ移動し、時刻tcから時刻td間で、図46(E)のセレクト位置rpSELが、SL1からSL2へ移動し、時刻tdから時刻te間で、図46(D)のシフト位置rpSFTが、SF2からSF1へ移動し、時刻teから時刻tf間で、図46(A)の入力軸クラッチトルクが上昇して変速完了となる。図46(B)に示すように、アシストクラッチトルクは開放のままである。
以上説明したように、本実施形態によってアシストクラッチの診断を行え、故障の場合には、アシストクラッチの使用を禁止することができる。
次に、図47を用いて、本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対してアシストクラッチの故障診断機能を追加制御した例の処理内容について説明する。
図47は、本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの故障診断処理の内容を示すフローチャートである。
本実施形態によるアシストクラッチの故障診断処理は、図30に示した学習補正値の算出処理に追加される。図30におけるステップ3005と、ステップ3006の間に、ステップ4701,4702,4703を追加している。さらに、ステップ4704の処理を追加している。
ステップ4701において、パワートレーン制御ユニット100は、ステップ4701において、図30のステップ3005で算出した積分補正値平均値ADNi_iの絶対値が、所定値ADNi_iNGよりも大きいか否かを判定する。大きい場合はステップ4702へ進み、小さい場合は図30のステップ3006に戻る。
積分補正値平均値ADNi_iの絶対値が、所定値ADNi_iNGよりも大きい場合には、ステップ4702において、積分補正値平均値ADNi_iの絶対値が、所定値ADNi_iNGよりも大きくなった回数をカウントする。カウンタCADNi_iをカウントアップし、ステップ4703へ進む。
次に、ステップ4703において、カウンタCADNi_iが所定カウント値CADNi_iNGよりも大きいか否かを判定する。小さい場合は、図30のステップ3006に戻り、大きい場合は、ステップ4704へ進む。
カウンタCADNi_iが所定カウント値CADNi_iNGよりも大きい場合には、ステップ4704において、アシストクラッチの使用を禁止する。さらには、図1の警告ランプ104を点灯させて、運転者に報知することが望ましいものである。ここで、運転者への報知手段は、警告ランプのかわりにブザーを用いても良い。
ステップ4704によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の変速は、はじめに入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を開放して、シフト位置、セレクト位置を目標位置に変更した後に、入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を締結することで行う。また、ステップ4704によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時のタイムチャートは図46と同様となる。
以上説明したように、本実施形態によってアシストクラッチの診断を行え、故障の場合には、アシストクラッチの使用を禁止することができる。
次に、図48を用いて、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対してアシストクラッチの劣化診断機能を追加制御した例の処理内容について説明する。
図48は、本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの劣化診断処理の内容を示すフローチャートである。
本実施形態によるアシストクラッチの劣化診断処理は、図24に示した学習補正値の算出処理に追加される。図24におけるステップ2406の後に、ステップ4801,4802を追加している。
ステップ4801において、パワートレーン制御ユニット100は、図24のステップ2406で算出した学習補正値LnsTTqDの絶対値が、所定値LnsTTqDNGよりも大きいか否かを判定する。小さい場合は処理を終了する。
大きい場合はステップ4802へ進み、アシストクラッチの使用を禁止する。さらには、図1の警告ランプ104を点灯させて、運転者に報知することが望ましいものである。ここで、運転者への報知手段は、警告ランプのかわりにブザーを用いても良いものである。
ステップ4802によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の変速は、はじめに入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を開放して、シフト位置、セレクト位置を目標位置に変更した後に、入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を締結することで行う。また、ステップ4802によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時のタイムチャートは図46と同様となる。
ここで、図48の劣化診断機能は、図24以外にも、図30に示した実施の形態の制御フローに追加しても良いし、図45、図47に示した故障診断機能を追加した実施の形態の制御フローに、さらに追加しても良いものである。望ましくは図45もしくは図47に追加して構成する。
以上説明したように、本実施形態によってアシストクラッチの劣化診断を行え、劣化の場合には、アシストクラッチの使用を禁止することができる。
次に、図49を用いて、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対してアシストクラッチの劣化診断機能を追加制御した例の処理内容について説明する。
図49は、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの劣化診断処理の内容を示すフローチャートである。
本実施形態によるアシストクラッチの劣化診断処理は、図38に示した学習補正値の算出処理に追加される。図38におけるステップ3807の後に、ステップ4901,4902,4903,4904を追加している。さらに、ステップ4905の処理を追加している。
ステップ4701において、パワートレーン制御ユニット100は、変速が終了した直後か否かの判定を行う。変速終了直後の場合はステップ4902へ進み、それ以外の場合は処理を終了する。
変速終了直後の場合は、ステップ4902において、図38のステップ3807で算出した面積差DSTTqの絶対値が、所定値DSTTqNGよりも大きいか否かを判定する。大きい場合はステップ4903へ進み、処理を終了する。
面積差DSTTqの絶対値が、所定値DSTTqNGよりも大きい場合には、ステップ4903において、面積差DSTTqの絶対値が、所定値DSTTqNGよりも大きくなった回数をカウントする。カウンタCDSTTqをカウントアップし、ステップ4904へ進む。
次に、ステップ4904において、カウンタCDSTTqが所定カウント値CDSTTqNGよりも大きいか否かを判定する。小さい場合は処理を終了し、大きい場合は、ステップ4905へ進み、アシストクラッチの使用を禁止する。さらには、図1の警告ランプ104を点灯させて、運転者に報知することが望ましいものである。ここで、運転者への報知手段は、警告ランプのかわりにブザーを用いても良いものである。
ステップ4905によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の変速は、はじめに入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を開放して、シフト位置、セレクト位置を目標位置に変更した後に、入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を締結することで行う。また、ステップ4905によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時のタイムチャートは図46と同様となる。
以上説明したように、本実施形態によってアシストクラッチの劣化診断を行え、劣化の場合には、アシストクラッチの使用を禁止することができる。
次に、図50を用いて、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対してアシストクラッチの劣化診断機能を追加制御した第2の例の処理内容について説明する。
図50は、本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの劣化診断処理の内容を示すフローチャートである。
本実施形態によるアシストクラッチの劣化診断処理は、図39に示した学習補正値の算出処理に追加される。図38におけるステップ3904の後に、ステップ5001,5002を追加している。
ステップ5001において、パワートレーン制御ユニット100は、図39のステップ3904で算出した、アシストトルク学習補正値LatDSTTqの絶対値が、所定値LatDSTTqNGよりも大きいか否かを判定する。小さい場合は処理を終了する。
大きい場合はステップ5002へ進み、アシストクラッチの使用を禁止する。さらには、図1の警告ランプ104を点灯させて、運転者に報知することが望ましいものである。ここで、運転者への報知手段は、警告ランプのかわりにブザーを用いても良いものである。
ステップ5002によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の変速は、はじめに入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を開放して、シフト位置、セレクト位置を目標位置に変更した後に、入力軸クラッチ入力ディスク2と出力ディスク3を締結することで行う。また、ステップ5002によってアシストクラッチの使用を禁止した場合の、第2変速段から第3変速段へのアップシフト時のタイムチャートは図46と同様となる。
ここで、図50の劣化診断機能は、図39以外にも、図16、図49に示した実施の形態の制御フローに追加しても良い。
以上説明したように、本実施形態によってアシストクラッチの劣化診断を行え、劣化の場合には、アシストクラッチの使用を禁止することができる。
以上のように、図45〜図50に示した故障診断,劣化診断の機能を備えることにより、アシストクラッチの故障や劣化を判定でき、さらなる故障、劣化の発生を防止することができる。
次に、図51を用いて、本発明の第6の実施形態による自動車の制御装置の構成及び動作について説明する。
図51は、本発明の第6の実施形態による自動車の制御装置の構成を示すシステム構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態が、図1に示した実施形態と異なる点は、図1に示した実施形態では、第1クラッチ入力ディスク2、第2クラッチ出力ディスク3の係合によってエンジン1のトルクを変速機入力軸10に伝達するように構成されているのに対し、本実施形態では、ツインクラッチで構成している点である。すなわち、エンジン1と第1クラッチ入力ディスク301は直結され、第1クラッチ第1出力ディスク302は変速機第1入力軸312に、第1クラッチ第2出力ディスク303は変速機第2入力軸304に直結されている。変速機第2入力軸304は中空になっており、変速機第1入力軸312は、変速機第2入力軸304の中空部分を貫通し、変速機第2入力軸304に対し回転方向への相対運動が可能な構成となっている。変速機第2入力軸304には、第1ドライブギア4と第3ドライブギア6と第5ドライブギア8が固定されており、変速機第1入力軸312に対しては、回転自在となっている。また、変速機第1入力軸312には、第2ドライブギア5と第4ドライブギア7が固定されており、変速機第2入力軸304に対しては、回転自在となっている。第1クラッチ入力ディスク301と第1クラッチ第1出力ディスク302の係合、開放は第1クラッチアクチュエータ305によって行われ、第1クラッチ入力ディスク301と第1クラッチ第2出力ディスク303の係合、開放は第1クラッチアクチュエータ306によって行われる。
そして、第1ドリブンギア12と第3ドリブンギア14の間には、第1ドリブンギア12を変速機出力軸18に係合させたり、第3ドリブンギア14を変速機出力軸18に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第1噛合いクラッチ309が設けられている。したがって、第1ドライブギア4、または第3ドライブギア6から第1ドリブンギア12または第3ドリブンギア14に伝達された回転トルクは、第1噛合いクラッチ309に伝達され、第1噛合いクラッチ309を介して変速機出力軸18に伝達される。
また、第2ドリブンギア13と第4ドリブンギア15の間には、第2ドリブンギア13を変速機出力軸18に係合させたり、第4ドリブンギア15を変速機出力軸18に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第3噛合いクラッチ311が設けられている。したがって、第2ドライブギア5、または第4ドライブギア7から第2ドリブンギア13または第4ドリブンギア15に伝達された回転トルクは、第3噛合いクラッチ311に伝達され、第3噛合いクラッチ311を介して変速機出力軸18に伝達される。
また、第5ドリブンギア16には、第5ドリブンギア16を変速機出力軸18に係合させる、シンクロナイザ機構を有した第2噛合いクラッチ310が設けられている。したがって、第5ドライブギア8から第5ドリブンギア16に伝達された回転トルクは、第2噛合いクラッチ310に伝達され、第2噛合いクラッチ310を介して変速機出力軸18に伝達される。
例えば、第1ドライブギア4、および第1ドリブンギア12によって変速機出力軸18にトルク伝達を行っている場合を第1変速段、第3ドライブギア6、および第3ドリブンギア14によって変速機出力軸18にトルク伝達を行っている場合を第3変速段、第4ドライブギア7、および第4ドリブンギア15によって変速機出力軸18にトルク伝達を行っている場合を第4変速段、とすると、第1変速段から第3変速段へのアップシフト変速や、第3変速段から第1変速段へのダウンシフト変速は、第1クラッチ第1出力ディスク302を開放状態とし、第3噛合いクラッチ311と第4ドリブンギア15を係合状態とした状態から、図1に図示の実施の形態における、アシストクラッチと同様の制御を、第1クラッチ第1出力ディスク302によって行うことで、変速中のトルク波形および入力回転数を制御することが可能である。
また例えば、第2ドライブギア5、および第2ドリブンギア13によって変速機出力軸18にトルク伝達を行っている場合を第2変速段、第4ドライブギア7、および第4ドリブンギア15によって変速機出力軸18にトルク伝達を行っている場合を第4変速段、第5ドライブギア8、および第5ドリブンギア16によって変速機出力軸18にトルク伝達を行っている場合を第5変速段、とすると、第2変速段から第4変速段へのアップシフト変速や、第4変速段から第2変速段へのダウンシフト変速は、第1クラッチ第2出力ディスク303を開放状態とし、第2噛合いクラッチ310と第5ドリブンギア16を係合状態とした状態から、図1に示した実施形態におけるアシストクラッチと同様の制御を、第1クラッチ第2出力ディスク303によって行い、変速中のトルク波形および入力回転数を制御することが可能である。
したがって、入力軸クラッチ入力ディスク301と入力軸クラッチ第1出力ディスク302間の押し付け力(第1入力軸クラッチトルク)と、入力軸クラッチ入力ディスク301と入力軸クラッチ第2出力ディスク303間の押し付け力(第2入力軸クラッチトルク)と、それぞれのクラッチの学習および故障診断を行うことができる。
ここで、補正値算出処理は、図16と図22や、図16と図28や、図37と図22や、図37と図28などを組み合わせて構成することも可能である。
以上説明したように、本実施形態においては、機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止することができる。また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上することができる。
なお、本発明の実施の態様としては、次のものがある。
本発明の第1の目的は、かかるアシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止し、また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上する自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止できる自動車の制御方法,自動車の制御装置,変速機および変速機の制御装置を提供することにある。
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記変速機の入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるように、上記摩擦伝達手段の指令値を設定する自動車の制御方法において、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標変速所要時間を設定し、変速開始から変速終了までの変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、かかるアシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止し、また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上し得るものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、上記目標同期回転数よりも上記入力回転数が大きい場合には、上記摩擦伝達手段の伝達トルクを大きくするように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(3)上記(1)において、好ましくは、上記目標同期回転数よりも上記入力回転数が小さい場合には、上記摩擦伝達手段の伝達トルクを小さくするように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(4)上記(1)において、好ましくは、変速を繰り返す毎に、上記変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(5)上記第2の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記変速機の入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるように、上記摩擦伝達手段の指令値を設定する自動車の制御方法において、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(6)上記第2の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御方法において、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(7)上記(5)または(6)において、好ましくは、上記目標同期回転数に、上記入力回転数を同期せしめるまでの同期所要時間が所定時間以上となった場合に、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(8)上記(5)または(6)において、好ましくは、上記入力回転数の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(9)上記(5)または(6)において、好ましくは、上記出力回転数の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(10)上記(5)または(6)において、好ましくは、上記入力トルクの単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(11)上記(5)または(6)において、好ましくは、アクセルペダル開度の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(12)上記(5)または(6)において、好ましくは、変速を繰り返す毎に、上記変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(13)上記第1の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御方法において、上記フィードフォワード指令値積算値と、上記摩擦伝達手段指令値積算値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、かかるアシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止し、また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上し得るものとなる。
(14)上記第1の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標入力回転数を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御方法において、上記フィードフォワード指令値積算値と、上記摩擦伝達手段指令値積算値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、かかるアシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止し、また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上し得るものとなる。
(15)上記(13)または(14)において、好ましくは、上記出力回転数の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(16)上記(13)または(14)において、好ましくは、上記入力トルクの単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(17)上記(13)または(14)において、好ましくは、アクセルペダル開度の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(18)上記(13)または(14)において、好ましくは、変速を繰り返す毎に、変速開始から変速終了までの変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。
(19)上記(1),(5),(6),(13)または(14)において、好ましくは、上記摩擦伝達手段の補正値が所定値よりも大きくなった場合に、上記摩擦伝達手段を開放したままで変速を行うようにしたものである。
(20)上記(1),(5),(6),(13)または(14)において、好ましくは、上記摩擦伝達手段の補正値が所定値よりも小さくなった場合に、上記摩擦伝達手段を開放したままで変速を行うようにしたものである。
(21)上記第1の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う自動車の制御装置において、上記変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標変速所要時間を設定し、変速開始から変速終了までの変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、かかるアシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止し、また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上し得るものとなる。
(22)上記第2の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う自動車の制御装置において、上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(23)上記第2の目的を達成するために、本発明は、駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御装置において、上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(24)上記第1の目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機において、上記変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標変速所要時間を設定し、変速開始から変速終了までの変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、かかるアシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止し、また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上し得るものとなる。
(25)上記第2の目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動源若しくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機において、上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(26)上記第2の目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する変速機において、上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(27)上記第1の目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段の中の摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機の制御装置において、上記変速制御手段は、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標変速所要時間を設定し、変速開始から変速終了までの変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、かかるアシストクラッチの機差ばらつきや経時劣化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を防止して変速フィーリングの低下を防止し、また、クラッチ交換や作動油交換による特性変化があっても、回転数同期の所要時間長期化もしくは短期化を抑制して変速フィーリングを向上し得るものとなる。
(28)上記第2の目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段の中の摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動源若しくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機において、上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
(29)上記第2の目的を達成するために、本発明は、複数の歯車列を備えた歯車式変速機一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段の中の摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、この変速制御手段は、駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する変速機において、上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正するようにしたものである。かかる方法により、エンジンの機差ばらつきや経年変化があっても、変速所要時間が長くなることなく、変速フィーリングの低下を防止し得るものとなる。
本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置の第1の構成例を示すシステム構成図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置の第2の構成例を示すシステム構成図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置におけるクラッチとドリブンギアの噛合い関係の説明図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置におけるパワートレーン制御ユニット100と、エンジン制御ユニット101と、油圧制御ユニット102との間の通信手段103による入出力信号関係を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容の経過時間を示すタイマの内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の開放制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の開放制御フェーズにおける目標開放時間Tm_off、目標トルク勾配dTTqの算出方法の説明図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズの制御内容を示すタイムチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズにおける目標変速時間Tm_s、目標増加時間Tm_inc、目標減少時間Tm_decの算出方法の説明図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の回転同期制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の締結制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容を示すタイムチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御において、図9のステップ906によるアシストトルク学習補正値LatDSTTqによる補正がない場合の制御内容を示すタイムチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理における目標変速所要時間上限TTm_sfnMX、目標変速所要時間下限TTm_sfnMNの算出方法の説明図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置によるアシストクラッチの伝達特性が小さい方に変化した場合の制御内容の説明図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置によるアシストクラッチの伝達特性が大きい方に変化した場合の制御内容の説明図である。 本発明の第1の実施形態による自動車の制御装置によるアシストクラッチの伝達特性が変化した場合の制御時の変速時間の推移の説明図である。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御において、図9のステップ906によるアシストトルク学習補正値LatDSTTqによる補正がない場合の制御内容を示すタイムチャートである。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。 図22に示したトルク差積算値算出処理の内容を示すフローチャートである。 図22に示した学習補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理における学習補正値の更新方法の説明図である。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシスト制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の回転同期制御フェーズの制御内容を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。 図28に示したトルク差積算値算出処理の内容を示すフローチャートである。 図28に示した学習補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の中にトルク差積算値算出処理の変形例の内容を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシストフェーズの処理内容を示すフローチャートである。 図32のステップ3202の内容を示すフローチャートである。 図32のステップ3203の内容を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の制御内容を示すタイムチャートである。 本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御においてアシストトルクの補正が行われない場合の制御内容を示すタイムチャートである。 本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。 図37に示した面積差積算値算出処理の内容を示すフローチャートである。 図37に示した学習補正値算出処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理における学習補正値の更新方法の説明図である。 本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中の補正値算出処理の中に面積差積算値算出処理の変形例の内容を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施形態による自動車の制御装置による変速制御の中のトルクアシストフェーズの処理内容を示すフローチャートである。 図42のステップ4202の内容を示すフローチャートである。 図42のステップ4203の内容を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの故障診断処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの診断処理によってアシストクラッチの使用を禁止した場合のタイムチャートである。 本発明の第3の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの故障診断処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの劣化診断処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの劣化診断処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態による自動車の制御装置による変速制御に対して追加されるアシストクラッチの劣化診断処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施形態による自動車の制御装置の構成を示すシステム構成図である。
符号の説明
1…エンジン
2…第1クラッチ入力ディスク
3…第1クラッチ出力ディスク
4…第1ドライブギア
5…第2ドライブギア
6…第3ドライブギア
7…第4ドライブギア
8…第5ドライブギア
10…変速機入力軸
12…第1ドリブンギア
13…第2ドリブンギア
14…第3ドリブンギア
15…第4ドリブンギア
16…第5ドリブンギア
18…変速機出力軸
19…第1噛合いクラッチ
20…第2噛合いクラッチ
21…第3噛合いクラッチ
22…第1クラッチアクチュエータ
23…シフト第1アクチュエータ
24…シフト第2アクチュエータ
25…セレクト第1アクチュエータ
26…セレクト第2アクチュエータ
27…シフト/セレクト機構
29…入力軸回転センサ
30…出力軸回転センサ
100…パワートレイン制御ユニット
101…エンジン制御ユニット
102…油圧制御ユニット
104…警告ランプ
201…第7ドライブギア
202…第7ドリブンギア
203…アシストクラッチ入力ディスク
204…アシストクラッチ出力ディスク
205…アシストクラッチアクチュエータ

Claims (14)

  1. 駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、
    上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、
    一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、
    上記変速機の入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるように、上記摩擦伝達手段の指令値を設定する自動車の制御方法において、
    上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  2. 駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、
    上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、
    一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御し、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、
    上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御方法において、
    上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の自動車の制御方法において、
    上記目標同期回転数に、上記入力回転数を同期せしめるまでの同期所要時間が所定時間以上となった場合に、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  4. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の自動車の制御方法において、
    上記入力回転数の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  5. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の自動車の制御方法において、
    上記出力回転数の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  6. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の自動車の制御方法において、
    上記入力トルクの単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  7. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の自動車の制御方法において、
    アクセルペダル開度の単位時間あたりの変化量が所定範囲内のときに、上記指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  8. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の自動車の制御方法において、
    変速を繰り返す毎に、上記変速所要時間が上記目標変速所要時間に近づくように、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御方法。
  9. 駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、
    上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、
    一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、
    この変速制御手段は、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、
    上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う自動車の制御装置において、
    上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御装置。
  10. 駆動力を発生するための駆動力源と、複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、
    上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、
    一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、
    この変速制御手段は、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、
    上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、
    上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する自動車の制御装置において、
    上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする自動車の制御装置。
  11. 複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、
    上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、
    一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、
    この変速制御手段は、
    駆動源若しくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、
    上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機において、
    上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする変速機。
  12. 複数の歯車列を備えた歯車式変速機と、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段とを有し、
    上記トルク伝達手段の少なくとも1つを摩擦伝達手段とし、
    一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、
    この変速制御手段は、
    駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、
    上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、
    上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する変速機において、
    上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする変速機。
  13. 複数の歯車列を備えた歯車式変速機一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段の中の摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、
    この変速制御手段は、
    駆動源若しくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータと、上記変速機の出力回転数とによって、目標同期回転数を設定し、
    上記入力回転数を上記目標同期回転数に同期せしめるよう、上記摩擦伝達手段の指令値を設定して変速を行う変速機において、
    上記変速制御手段は、上記目標同期回転数と、上記入力回転数との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする変速機。
  14. 複数の歯車列を備えた歯車式変速機一方の歯車列から他方の歯車列へ変速するときに、上記変速機の入力軸と出力軸の間に備えられた複数のトルク伝達手段の中の摩擦伝達手段を制御することで変速を行う変速制御手段を有し、
    この変速制御手段は、
    駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、上記摩擦伝達手段へのフィードフォワード指令値を設定し、
    上記駆動力源もしくは上記変速機の状態を表すパラメータのうち、少なくとも一つのパラメータによって、目標同期回転数を設定し、
    上記目標同期回転数と、上記変速機の入力回転数との偏差をもとに上記摩擦伝達手段へのフィードバック指令値を設定し、
    上記フィードフォワード指令値と、上記フィードバック指令値から、上記摩擦伝達手段指令値を設定することによって、変速中の上記変速機の出力軸トルク、および上記変速機の入力回転数を制御する変速機において、
    上記変速制御手段は、上記フィードフォワード指令値と、上記摩擦伝達手段指令値との差から、上記摩擦伝達手段の指令補正値を算出し、上記摩擦伝達手段指令値を補正することを特徴とする変速機。
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