JP3659125B2 - Gps受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPS受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球を周回する複数個の人工衛星から送信される衛星信号を受信することにより、受信位置を測定する測位システムが普及してきている。この種の測位システムとしてGPS(Global Positioning System)が広く知られている。GPSにおいては、人工衛星(以下、「GPS衛星」という)の時刻および位置を示す50bpsの航法データを、チップ速度が1,023MHzで周期が1msec(つまり、1周期1023チップ)である疑似雑音符号(PNコード)でスペクトラム拡散変調するとともに、1575.42MHzと1227.6MHzの2つの搬送波を直交位相変調して送信している。PNコードはGPSを構成する各GPS衛星ごとに固有の符号列であって、受信側ではPNコードを復調すれば衛星信号(以下、「GPS信号」という)を送信したGPS衛星を特定することができる。
【0003】
受信位置を測定する受信装置では、3個以上(一般には4個以上)のGPS衛星からのGPS信号を受信し、搬送波を捕捉する処理とPNコードを追尾する処理とを行い、PNコードのスペクトラム逆拡散を行って各GPS衛星からの航法データを復調し、各GPS衛星からのGPS信号の送信時刻と受信時刻との時間差(到達時間データ)に基づいて各GPS衛星までの疑似距離を求め、求めた疑似距離などに基づいて受信位置を3次元的に決定する。
【0004】
この種の受信装置は、たとえば特開平8−338866号公報に記載されたものなどがある。受信装置は、一般に図10に示すように、アンテナ1により受信したGPS信号を高周波回路2に入力し、高周波回路2ではGPS信号を搬送波の周波数よりも十分に低い中間周波数帯信号に周波数変換する。その後、中間周波数帯信号に対してGPS信号の捕捉および追尾を行ってGPS衛星を特定し航法データを復調して疑似距離を求める。GPS信号の捕捉はアナログ回路で行う構成もあるが、図ではデジタル信号処理を行う例を示している。すなわち、高周波回路2の出力は2値化回路3において2値化され、2値化された中間周波数帯信号は複数個(複数チャンネル)の信号処理回路(ベースバンド回路)4にそれぞれ入力される。
【0005】
各信号処理回路4では信号追尾回路5からの指示により生成されたPNコードとGPS信号に含まれるPNコードとの相関値を出力し、相関値を信号追尾回路5に出力する。信号追尾回路5はGPS信号に含まれるPNコードに追尾するように各信号処理回路4を制御するから、各信号処理回路4では受信しているGPS信号に含まれるPNコードに相当するPNコードを生成することができる。PNコードが特定されれば航法データを復調することができるから、各信号処理回路4で生成したPNコードに基づいて疑似距離演算部6において航法データを復調するとともに疑似距離を求める。ここに、信号追尾回路5および疑似距離演算部6はマイコンを用いて構成される。
【0006】
各信号処理回路4は同構成であって、一般的には図11に示す構成を有している。上述した中間周波数帯信号IFは、排他的論理和回路からなる2つの乗算器11a,11bに入力され、数値制御発振器(以下、「NCO」という)と90度移相器とを備えるキャリア発生器12から出力される2つのキャリア信号と乗算される。キャリア発生器12から出力されるキャリア信号の周波数は信号追尾回路5により制御され、キャリア発生器12からは位相が90度異なる2つのキャリア信号が出力される。したがって、乗算器11aからは中間周波数帯信号IFの同相成分Iが出力され、乗算器11bからは直交成分Qが出力される。
【0007】
同相成分Iおよび直交成分Qは、それぞれ排他的論理和回路からなる位相比較器13a,13bに入力され、それぞれ後述するPコードとの位相差成分が抽出される。また、同相成分Iについてはそれぞれ排他的論理和回路からなる位相比較器13c,13dにも入力され、後述するEコードおよびLコードとの位相差成分が抽出される。各位相比較器13a〜13dの出力はそれぞれレジスタ14a〜14dに入力され、PNコードの周期毎に積算される。したがって、レジスタ14a〜14dの出力は、それぞれPコードに対する同相成分Iの相関値R(I)、Pコードに対する直交成分Qの相関値R(Q)、Eコードに対する同相成分Iの相関値R(E)、Lコードに対する同相成分Iの相関値R(L)に相当する。言い換えると、各位相比較器13a〜13dと各位相比較器13a〜13dの出力をそれぞれ積算する各レジスタ14a〜14dとの組によってそれぞれ相関値R(I),R(Q),R(E),R(L)を求める相関器が構成されていることになる。つまり、各信号処理回路4ごとに4個ずつのレジスタが設けられていることになる。
【0008】
同相成分Iと直交成分Qとの関係は、GPS信号(中間周波数帯信号IF)の搬送波とキャリア発生器12から出力されるキャリア信号との周波数および位相の差に対応しており、キャリア発生器12から出力されて乗算器11aに入力されるキャリア信号とGPS信号の搬送波との周波数および位相の差が少ないほど乗算器11bから出力される直交成分Qが少なくなる(直交成分Qの出力される期間が短くなる)。ここで、乗算器11a,11bの出力は位相比較器13a,13bを通るものの、両位相比較器13a,13bはどちらもPコードとの位相差を検出するものであるから、各位相比較器13a,13bの出力は各乗算器11a,11bの出力をそのまま反映している。その結果、レジスタ14aの出力値(相関値R(I))を大きくしレジスタ14bの出力値(相関値R(Q))を小さくするようにキャリア発生器12の出力を制御すれば、GPS信号の搬送波にキャリア発生器12から出力されるキャリア信号の周波数および位相を一致させることができる。要するに、GPS信号を捕捉することができる。
【0009】
ところで、信号処理回路4はPNコードのチップ速度と同じ周波数のクロック信号(以下、「コードクロック」と呼ぶ)を出力するNCOからなるコード用発振器15を備え、コードクロックの位相情報は信号追尾回路5にも入力され、コードクロックにより与えられるPNコードの位相情報を用いて疑似距離が演算される。コードクロックはPNコード発生器16に入力され、GPS衛星からのPNコードに相当するPNコードが生成される。このPNコードがシフトレジスタ17に入力されることによって位相のみが異なる3つのコード、つまりPコードとEコードとLコードとが生成される。Pコード(Punctualコード)は基準となるPNコードであり、Pコードに対して1/2位相進んだPNコードがEコード(Earlyコード)、1/2位相遅れたPNコードがLコード(Lateコード)となる。
【0010】
上述したように、EコードとLコードとについては位相比較器13c,13dにより位相差が抽出されレジスタ14c,14dから相関値R(E),R(L)が出力される。なお、Pコードについての相関値はレジスタ14aから出力される相関値R(I)と等価である。各レジスタ14c,14dからそれぞれ出力される相関値R(E),R(L)の差はGPS衛星からのGPS信号に含まれるPNコードと信号追尾回路5がPNコード発生器16に生成させたPNコードとの相関を表している。すなわち、相関値R(E),R(L)の差が小さいほど信号処理回路4で生成したPコード(つまり、PNコード)とGPS信号に含まれるPNコードとの一致度が高いことになる。したがって、信号追尾回路5では信号処理回路4に対して相関値R(E),R(L)の差が小さくなるようなPNコードの生成を指示すれば、GPS信号を追尾することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように信号追尾回路5はGPS信号を捕捉するための指示とGPS信号を追尾するための指示とを信号処理回路4に与えるが、捕捉と追尾とは独立して行われる。つまり、信号追尾回路5は捕捉の機能と追尾の機能とを切り換えて使用している。
【0012】
一方、信号処理回路4は複数チャンネル設けられており、いずれの信号処理回路4においても捕捉処理の期間にのみ用いる構成と追尾処理の期間にのみ用いる構成とを含んでいる。たとえば、レジスタ14a,14bは捕捉処理の期間にのみ用いられ、レジスタ14c,14dは追尾処理の期間にのみ用いられるものであって、捕捉期間と追尾期間とにおいて各信号処理回路4では2個ずつのレジスタが使用されていないことになる。
【0013】
また、捕捉処理の期間には複数の信号処理回路4において異なる周波数のキャリア信号を生成するほうが、GPS信号(中間周波数帯信号IF)を短時間で捕捉できるが、この期間にはPNコードを生成して追尾する処理は行っていないから、コード用発振器15、PNコード発生器16、シフトレジスタ17は1種類のPコードのみを生成できればよいものである。逆に、追尾処理の期間には複数種類の異なるPNコードを生成するほうが、PNコードを短時間で捉えることができるが、この期間には捕捉処理は行っていないから、キャリア発生器12は1種類のキャリア信号を生成できればよい。
【0014】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、複数の信号処理回路を備える場合に、捕捉処理と追尾処理との一方で使用されていない構成要素や共用可能な構成要素を他の機能に転用したり他の機能と共用したりすることによって、全体として構成要素の削減を可能とし、ひいてはコストの低減を可能とするGPS受信装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、GPS衛星から受信したGPS信号の搬送波に相当するキャリア信号を生成し搬送波とキャリア信号との相関値である第1の相関値を求めるとともに、GPS信号に含まれるPNコードに相当するPNコードを生成し両者の相関値である第2の相関値を求める機能をそれぞれ備えた複数個の信号処理回路と、各信号処理回路で得られる第1の相関値に基づいてGPS信号を捕捉する機能と第2の相関値に基づいてGPS信号を追尾する機能とを備えた信号追尾回路と、生成したPNコードを用いてGPS信号から復調される航法データに基づいてGPS衛星までの疑似距離を求める疑似距離演算部とを設け、前記キャリア信号を生成するキャリア発生器と前記PNコードを生成する際に用いるコード用発振器とをそれぞれ数値制御発振器を用いて構成し、GPS信号を捕捉する捕捉モードでは各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をキャリア発生器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するコード用発振器として用い、GPS信号を追尾する追尾モードでは各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をコード用発振器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するキャリア発生器として用いるものである。この構成によれば、数値制御発振器で構成されたキャリア発生器とコード用発振器との一部を共用することができるから、従来構成よりも数値制御発振器の個数を削減することができ、コストの低減につながる。また、従来構成と比較して捕捉モードと追跡モードとにおいて実使用されるキャリア発生器とコード用発振器との個数には変化がないから、構成要素を削減しながらも捕捉や追尾の処理に要する時間を従来構成と同程度に保つことができる。
【0017】
請求項2の発明は、GPS衛星から受信したGPS信号の搬送波に相当するキャリア信号を生成し搬送波とキャリア信号との相関値である第1の相関値を求めるとともに、GPS信号に含まれるPNコードに相当するPNコードを生成し両者の相関値である第2の相関値を求める機能をそれぞれ備えた複数個の信号処理回路と、各信号処理回路で得られる第1の相関値に基づいてGPS信号を捕捉する機能と第2の相関値に基づいてGPS信号を追尾する機能とを備えた信号追尾回路と、生成したPNコードを用いてGPS信号から復調される航法データに基づいてGPS衛星までの疑似距離を求める疑似距離演算部とを設け、前記キャリア信号を生成するキャリア発生器と前記PNコードを生成する際に用いるコード用発振器とをそれぞれ数値制御発振器を用いて構成し、前記各信号処理回路が共用するレジスタを設け、GPS信号を捕捉する捕捉モードでは、各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をキャリア発生器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するコード用発振器として用い、かつ前記レジスタに各信号処理回路で生成した第1の相関値を保持させて前記信号追尾回路に渡し、GPS信号を追尾する追尾モードでは、各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をコード用発振器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するキャリア発生器として用い、かつ前記レジスタに各信号処理回路で生成した第2の相関値を保持させて前記信号追尾回路に渡すものである。この構成によれば、数値制御発振器で構成されたキャリア発生器とコード用発振器との一部を共用することができるから、従来構成よりも数値制御発振器の個数を削減することができ、コストの低減につながる。また、従来構成と比較して捕捉モードと追跡モードとにおいて実使用されるキャリア発生器とコード用発振器との個数には変化がないから、構成要素を削減しながらも捕捉や追尾の処理に要する時間を従来構成と同程度に保つことができる。しかも、同じレジスタを第1の相関値の保持用と第2の相関値の保持用とに共用することができるから、従来構成よりもレジスタの個数を削減することができ、コストの低減につながる。また、従来構成と比較して捕捉モードと追跡モードとのレジスタの個数に変化が生じないから、構成要素を削減しながらも従来構成と同程度の性能を得ることができる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記捕捉モードと前記追尾モードとの選択命令を前記信号追尾回路から与えるものである。この構成によれば、捕捉と追尾との指示を与えている信号追尾回路が捕捉モードと追尾モードとの指示を与えるから、受信状態に追従した制御が可能になる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記各信号処理回路がGPS信号を捕捉しているか追尾しているかの別を保持する処理モード保持回路を備え、前記捕捉モードと前記追尾モードとの選択命令を前記信号追尾回路とは別に設けた処理モード保持回路から制御回路を通して与えるものである。この構成によれば、各信号処理回路ごとの情報に基づいて捕捉モードと追尾モードとの指示を与えるから、受信状態に追従した制御が可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(参考例)
本例は、図1に示すように、積算器として用いるレジスタ21a,21b,……を複数の信号処理回路4で共用するようにしたものである。つまり、図11に示した従来構成では各信号処理回路4ごとに4個ずつのレジスタ14a〜14dを設けていたから信号処理回路4のチャンネル数の4倍の個数のレジスタ14a〜14dを必要としていたのに対して、本例では信号処理回路4のチャンネル数の2倍の個数のレジスタ21a,21b,……によって図11に示した従来構成と同様に機能させるものである。図1において図11と同符号を付した部材は同機能を備えるものであるから説明を省略し、以下では従来構成との相違点を中心に説明する。
【0022】
すなわち、本例では各信号処理回路4に設けた4個の位相比較器13a〜13dと積算器として用いるレジスタ21a,21b,……との間にセレクタ18を設けてあり、位相比較器13a,13bの出力をレジスタ21a,21b,……に入力する状態と、位相比較器13c,13dの出力をレジスタ21a,21b,……に入力する状態とをセレクタ18により切り換えるようになっている。セレクタ18は信号追尾回路5により制御され、捕捉処理の期間には位相比較器13a,13bの出力がレジスタ21a,21b,……に入力され、追尾処理の期間には位相比較器13c,13dの出力がレジスタ21a,21b,……に入力される。
【0023】
すなわち、捕捉処理の期間には図2に示す接続状態になり、追尾処理の期間には図3に示す接続状態になる。各信号処理回路4における位相比較器13a〜13dとレジスタ21a,21b,……との接続関係を切り換えるセレクタ18は信号追尾回路5により制御される。つまり、信号追尾回路5がGPS信号の捕捉処理を行う期間であるか、GPS信号の追尾処理を行う期間であるかに応じてセレクタ18が切り換えられる。
【0024】
図2に示す接続状態では、すべてのレジスタ21a,21b,……が同相成分Iと直交成分Qとの相関値R(I),R(Q)を求めるために用いられる。また、図3に示す接続状態では、すべてのレジスタ21a,21b,……がGPS信号に含まれるPNコードとEコードおよびLコードに対する相関値R(E),R(L)を求めるために用いられる。このように、レジスタ21a,21b,……を捕捉処理用の相関値R(I),R(Q)を求める目的と、追尾処理用の相関値R(E),R(L)を求める目的とに共用しているから、従来構成のように各信号処理回路4にレジスタを4個ずつ設ける場合に比較すると、レジスタ21a,21b,……の個数が少なくなり(信号処理回路4の個数の2倍でよい)、部品点数の削減になり、結果的にコストを低減することができる。他の構成および動作は従来構成と同様である。
【0025】
(第1の実施の形態)
上述した参考例では、積算器として用いるレジスタ21a,21b,……を捕捉処理と追尾処理とで共用するものであったが、本実施形態ではキャリア発生器12とコード用発振器15とがともにNCOを用いていることを利用し、NCOの個数を信号処理回路4の個数に1を加えた個数としたものである。つまり、図11に示した従来構成では信号処理回路4の2倍の個数のNCOを必要としていたのに対して、本実施形態では信号処理回路4の個数に1を加えた個数のNCOのみで同処理を可能としている。
【0026】
捕捉処理の期間には図4に示すようにNCOのうちの1個だけをコード用発振器15として用い、残りのNCOをキャリア発生器12として用いる。したがって、キャリア発生器12は信号処理回路4の個数分設けることができ、複数個のキャリア発生器12で並行してGPS信号を捕捉するから、GPS信号を短時間で捕捉することが可能になる。
【0027】
一方、追尾処理の期間には図5に示すようにNCOのうちの1個だけをキャリア発生器12として用い、残りのNCOをコード用発振器15として用いる。この場合はコード用発振器15を信号処理回路4の個数分設けることができ、複数種類のPNコードを生成するから、GPS信号を追尾して短時間でGPS衛星を特定することが可能になる。
【0028】
図4に示す状態と図5に示す状態とを切り換えるには、図4および図5に示す最下段の信号処理回路4に用いている2個のNCOについては、それぞれキャリア発生器12およびコード用発振器15として固定的に用い、他のNCOについてはそれぞれキャリア発生器12とコード用発振器15とに選択的に用いるように図示しないセレクタで出力経路を選択する。
【0029】
なお、捕捉処理の際にコード用発振器15を1個とし、追尾処理の際にキャリア発生器12を1個としているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要に応じてそれぞれ複数個設けるようにしてもよい。この場合でもNCOの個数は従来構成よりも少なくすることが可能である。他の構成および動作は参考例と同様である。
【0030】
(第2の実施の形態)
本実施形態は、上述した参考例と第1の実施の形態とを組み合わせた構成を有するものであって、図6に捕捉処理の期間における接続状態を示す。すなわち、捕捉処理の期間には参考例のようにレジスタ21a,21b,……を相関値R(I),R(Q)の積算に用いるとともに、第1の実施の形態のようにNCOのうちの1個を残してNCOをキャリア発生器12に用いるのである。また、図示していない追尾処理の期間には参考例のようにレジスタ21a,21b,……を相関値R(E),R(L)の積算に用いるとともに、第1の実施の形態のようにNCOのうち1個を残してNCOをコード用発振器15に用いるのである。
【0031】
このような構成を採用することによって、レジスタ21a,21b,……およびNCOの個数をともに従来構成よりも低減することができ、部品点数を減らしてコストを削減することが可能になる。他の構成および動作は参考例と同様である。
【0032】
ところで、本実施形態では、レジスタ21a,21b,……により積算するデータの選択およびNCOの用途の選択を行う命令は、図7のようにマイコンからなる信号追尾回路5から出力されるように構成している。つまり、信号追尾回路5では各信号処理回路4に対応したチャネルの処理モード(捕捉処理の期間か追尾処理の期間かの別)をチャネルごとにどのように設定すべきかを判断しているから、信号追尾回路5では処理モードに応じてレジスタ21a,21b,……により積算するデータの選択およびNCOの用途が可能になる。ただし、この命令は図8のように各信号処理回路4に付設した処理モード保持回路7に設定されている処理モードに基づいて制御回路8から出力するようにしてもよい。処理モード保持回路7は各チャネルの処理モードを保持する回路であって、処理モード保持回路7の内容に応じて制御回路8を通して信号処理回路4を制御する。
【0033】
(参考例)
本例は図9に示すように従来構成において各信号処理回路4ごとに設けていたレジスタ14a〜14dに代えて各信号処理回路4で共用される1個のSRAM22を設けたものである。SRAM22はレジスタ14a〜14dに比較すると大量にデータを格納することができるから、従来構成と同機能を持たせながらも部品点数を削減することが可能になる。また、上述した参考例と同様に、捕捉処理の期間と追尾処理の期間とでSRAM22に格納するデータを異ならせるようにすれば、SRAM22として容量の比較的小さいものを用いることが可能になる。他の構成および動作は上述した参考例と同様である。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明は、GPS衛星から受信したGPS信号の搬送波に相当するキャリア信号を生成し搬送波とキャリア信号との相関値である第1の相関値を求めるとともに、GPS信号に含まれるPNコードに相当するPNコードを生成し両者の相関値である第2の相関値を求める機能をそれぞれ備えた複数個の信号処理回路と、各信号処理回路で得られる第1の相関値に基づいてGPS信号を捕捉する機能と第2の相関値に基づいてGPS信号を追尾する機能とを備えた信号追尾回路と、生成したPNコードを用いてGPS信号から復調される航法データに基づいてGPS衛星までの疑似距離を求める疑似距離演算部とを設け、前記キャリア信号を生成するキャリア発生器と前記PNコードを生成する際に用いるコード用発振器とをそれぞれ数値制御発振器を用いて構成し、GPS信号を捕捉する捕捉モードでは各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をキャリア発生器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するコード用発振器として用い、GPS信号を追尾する追尾モードでは各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をコード用発振器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するキャリア発生器として用いるものであり、数値制御発振器で構成されたキャリア発生器とコード用発振器との一部を共用することができるから、従来構成よりも数値制御発振器の個数を削減することができ、コストの低減につながるという利点がある。また、従来構成と比較して捕捉モードと追跡モードとにおいて実使用されるキャリア発生器とコード用発振器との個数には変化がないから、構成要素を削減しながらも捕捉や追尾の処理に要する時間を従来構成と同程度に保つことができる。
【0036】
請求項2の発明は、GPS衛星から受信したGPS信号の搬送波に相当するキャリア信号を生成し搬送波とキャリア信号との相関値である第1の相関値を求めるとともに、GPS信号に含まれるPNコードに相当するPNコードを生成し両者の相関値である第2の相関値を求める機能をそれぞれ備えた複数個の信号処理回路と、各信号処理回路で得られる第1の相関値に基づいてGPS信号を捕捉する機能と第2の相関値に基づいてGPS信号を追尾する機能とを備えた信号追尾回路と、生成したPNコードを用いてGPS信号から復調される航法データに基づいてGPS衛星までの疑似距離を求める疑似距離演算部とを設け、前記キャリア信号を生成するキャリア発生器と前記PNコードを生成する際に用いるコード用発振器とをそれぞれ数値制御発振器を用いて構成し、前記各信号処理回路が共用するレジスタを設け、GPS信号を捕捉する捕捉モードでは、各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をキャリア発生器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するコード用発振器として用い、かつ前記レジスタに各信号処理回路で生成した第1の相関値を保持させて前記信号追尾回路に渡し、GPS信号を追尾する追尾モードでは、各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をコード用発振器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するキャリア発生器として用い、かつ前記レジスタに各信号処理回路で生成した第2の相関値を保持させて前記信号追尾回路に渡すものであり、数値制御発振器で構成されたキャリア発生器とコード用発振器との一部を共用することができるから、従来構成よりも数値制御発振器の個数を削減することができ、コストの低減につながるという利点がある。また、従来構成と比較して捕捉モードと追跡モードとにおいて実使用されるキャリア発生器とコード用発振器との個数には変化がないから、構成要素を削減しながらも捕捉や追尾の処理に要する時間を従来構成と同程度に保つことができる。しかも、同じレジスタを第1の相関値の保持用と第2の相関値の保持用とに共用することができるから、従来構成よりもレジスタの個数を削減することができ、コストの低減につながる。また、従来構成と比較して捕捉モードと追跡モードとのレジスタの個数に変化が生じないから、構成要素を削減しながらも従来構成と同程度の性能を得ることができる。
【0038】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記捕捉モードと前記追尾モードとの選択命令を前記信号追尾回路から与えるものであり、捕捉と追尾との指示を与えている信号追尾回路が捕捉モードと追尾モードとの指示を与えるから、受信状態に追従した制御が可能になるという利点がある。
【0039】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記各信号処理回路がGPS信号を捕捉しているか追尾しているかの別を保持する処理モード保持回路を備え、前記捕捉モードと前記追尾モードとの選択命令を前記信号追尾回路とは別に設けた処理モード保持回路から制御回路を通して与えるものであり、各信号処理回路ごとの情報に基づいて捕捉モードと追尾モードとの指示を与えるから、受信状態に追従した制御が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例を示す要部ブロック図である。
【図2】 同上の一動作状態を示す要部ブロック図である。
【図3】 同上の他動作状態を示す要部ブロック図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態の一動作状態を示す要部ブロック図である。
【図5】 同上の他動作状態を示す要部ブロック図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態の一動作状態を示す要部ブロック図である。
【図7】 同上の制御経路を示すブロック図である。
【図8】 同上の他の制御形態を示すブロック図である。
【図9】 本発明の参考例を示す要部ブロック図である。
【図10】 GPS受信装置の全体構成を示すブロック図である。
【図11】 従来構成を示す要部ブロック図である。
【符号の説明】
4 信号処理回路
5 信号追尾回路
6 疑似距離演算部
7 処理モード保持回路
8 制御回路
12 キャリア発生器
15 コード用発振器
21a,21b,…… レジスタ
22 SRAM
Claims (4)
- GPS衛星から受信したGPS信号の搬送波に相当するキャリア信号を生成し搬送波とキャリア信号との相関値である第1の相関値を求めるとともに、GPS信号に含まれるPNコードに相当するPNコードを生成し両者の相関値である第2の相関値を求める機能をそれぞれ備えた複数個の信号処理回路と、各信号処理回路で得られる第1の相関値に基づいてGPS信号を捕捉する機能と第2の相関値に基づいてGPS信号を追尾する機能とを備えた信号追尾回路と、生成したPNコードを用いてGPS信号から復調される航法データに基づいてGPS衛星までの疑似距離を求める疑似距離演算部とを設け、前記キャリア信号を生成するキャリア発生器と前記PNコードを生成する際に用いるコード用発振器とをそれぞれ数値制御発振器を用いて構成し、GPS信号を捕捉する捕捉モードでは各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をキャリア発生器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するコード用発振器として用い、GPS信号を追尾する追尾モードでは各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をコード用発振器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するキャリア発生器として用いることを特徴とするGPS受信装置。
- GPS衛星から受信したGPS信号の搬送波に相当するキャリア信号を生成し搬送波とキャリア信号との相関値である第1の相関値を求めるとともに、GPS信号に含まれるPNコードに相当するPNコードを生成し両者の相関値である第2の相関値を求める機能をそれぞれ備えた複数個の信号処理回路と、各信号処理回路で得られる第1の相関値に基づいてGPS信号を捕捉する機能と第2の相関値に基づいてGPS信号を追尾する機能とを備えた信号追尾回路と、生成したPNコードを用いてGPS信号から復調される航法データに基づいてGPS衛星までの疑似距離を求める疑似距離演算部とを設け、前記キャリア信号を生成するキャリア発生器と前記PNコードを生成する際に用いるコード用発振器とをそれぞれ数値制御発振器を用いて構成し、前記各信号処理回路が共用するレジスタを設け、GPS信号を捕捉する捕捉モードでは、各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をキャリア発生器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するコード用発振器として用い、かつ前記レジスタに各信号処理回路で生成した第1の相関値を保持させて前記信号追尾回路に渡し、GPS信号を追尾する追尾モードでは、各信号処理回路ごとに設けた数値制御発振器をコード用発振器として用いるとともに少なくとも1つの数値制御発振器を複数の信号処理回路で共用するキャリア発生器として用い、かつ前記レジスタに各信号処理回路で生成した第2の相関値を保持させて前記信号追尾回路に渡すことを特徴とするGPS受信装置。
- 前記捕捉モードと前記追尾モードとの選択命令を前記信号追尾回路から与えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のGPS受信装置。
- 前記各信号処理回路がGPS信号を捕捉しているか追尾しているかの別を保持する処理モード保持回路を備え、前記捕捉モードと前記追尾モードとの選択命令を前記信号追尾回路とは別に設けた処理モード保持回路から制御回路を通して与えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のGPS受信装置。
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