JP3658701B2 - 火災感知器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、火災感知器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火災感知器、例えば光電式の火災感知器は、煙検出部内に塵埃がたまったり、発光素子や受光素子が経年変化によって劣化することによって、感度が初期時に比べて変化してしまうことがある。そこで、火災感知器は定期的に点検を行うことが消防法によって義務付けられている。火災感知器の点検には、感知器が正常に動作するか否かを点検する動作試験と、感知器の感度が正常であるか否かを点検する感度試験の2つの試験(点検)がある。
【0003】
また火災感知器には、火災受信機のポーリングに応じてセンサ出力(アナログ信号)を出力するアナログ型の火災感知器と、火災であるか否かを自ら判断して、火災であると判断した時にスイッチング回路を動作させて、火災受信機に火災信号を送出するオンオフ型の火災感知器の2種類がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、アナログ型の火災感知器には、センサ出力を常時、監視することで、感度試験を自動的に行う機能が設けられるようになってきている。これに対し、オンオフ型の火災感知器は、火災時にのみ火災信号を火災受信機に送出するという特性もあって、このような自動試験機能は未だに備えられていない。このため、オンオフ型の火災感知器の感度試験を行う際には、火災感知器を天井から一つづつ外しながら、感度の点検を行うという大変手間のかかる作業を必要としている。
【0005】
そこで、本発明は、火災感知器、特にオンオフ型の火災感知器の感度試験を容易に行うことができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、火災現象の物理量を検出し、該物理量に応じたセンサ出力を出力する火災検出手段と、通常時における前記センサ出力の値を基準値として記憶する基準値記憶手段と、前記火災検出手段から出力されるセンサ出力と前記基準値記憶手段に記憶された基準値とを比較する比較手段とを備えた火災感知器において、
感知器本体の外部から視認できる位置に設けた正常監視灯と、比較手段が、センサ出力が前記基準値から外れ、感度異常であることを判別した時に起動されるタイマと、比較手段が感度異常であることを判別した時に、前記正常監視灯の発光形態を変化させる共に、前記タイマによる所定時間、前記センサ出力が前記基準値から外れた時に、前記正常監視灯を消灯させる表示制御手段とを備えたことをことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施形態1
図1は本発明の火災感知器1を示すブロック図で、一例としてオンオフ型の光電式の火災感知器を示す。図において、10はマイコン(マイクロコンピュータ)で、火災感知器1の全体を制御するものである。20はROMで、火災判別用の閾値、上限値と下限値とからなるセンサ出力の基準値、及び所定のプログラムなどを格納している。センサ出力の基準値とは、煙検出部内に煙が全く存在しない時のセンサ出力レベルからある程度のバンドをもたせた設定された閾値である。21は作業領域としてのRAMで、サンプルホールド回路42のセンサ出力を一時的に格納する領域である。
【0008】
30は発光回路で、マイコン10からの発光制御パルスを受けた時に、発光素子31に発光用の電流パルスを供給するものである。40は増幅回路で、受光素子41の散乱光の受光出力を所定の増幅率で増幅するものである。50はスイッチング回路であり、センサ出力が火災閾値を越えたことをマイコン10が判別した時に、閉じられて火災受信機2に火災信号を送出するものである。60は定電圧回路で、電源兼信号線3を介して火災受信機2から火災感知器1に供給された電圧を、マイコン10等に必要な定電圧にして供給する回路である。
【0009】
70は表示制御手段としての点灯制御回路で、常時は、正常監視灯71を点灯させ、火災時に確認灯72を点灯させる。そしてセンサ出力が基準値から外れ、感度異常であることが判別された時には、正常監視灯71の発光形態を変化、例えば点灯状態から点滅状態へと変化させる回路である。この正常監視灯71及び確認灯72は共に、火災感知器1本体の外側から視認できる位置に設けられている。なお73は感度異常が判別された時に起動され、かつ正常監視灯が点滅している間は動き続けるタイマであり、所定時間、例えば1時間経過後にタイムアップする際に、マイコン10にタイムアップ信号を出力する。
【0010】
この実施形態において、発光回路30、発光素子31、増幅回路40、受光素子41及びサンプルホールド回路42が、火災現象の物理量を検出し、その物理量に応じたセンサ出力を出力する火災検出手段の一例である。またROM20が、通常時におけるセンサ出力の値を基準値として記憶している基準値記憶手段の一例で、マイコン10が、火災検出手段から出力されるセンサ出力と、基準値記憶手段に記憶された基準値とを比較する比較手段の一例である。
【0011】
次に本実施形態の動作について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態においてマイコン10が実行する動作を示すフローチャートである。本実施形態における正常監視灯71はセンサ出力の状態によって、その発光形態が変化する。そこで以下に示すように実施形態を4つに場合分けして説明する。
【0012】
(1)火災発生によりセンサ出力が火災閾値を越える場合
初めにフローチャートにおけるステップ3〜ステップ9(以下、ステップをSと省略する)の通常の火災監視モードについて説明する。まずS1にて初期設定を行う。そして発光回路30に発光制御パルスを出力して、発光素子31を発光させる。この時の受光素子31の受光出力が増幅回路40によって増幅され、サンプルホールド回路42のセンサ出力が取り込まれRAM21に格納される(S3)。ROM20に格納された火災閾値を読み出して、RAM21に格納し、サンプルホールド回路42のセンサ出力と火災閾値とを比較する(S5)。
【0013】
ここで、センサ出力が火災閾値以上であれば、マイコン10は火災であると判別し、スイッチング回路50を閉じて、火災受信機2に火災信号を送出し、確認灯72を点灯させる(S7)。なおこの時、正常監視灯71は、センサ出力が基準値より更に大きい火災閾値を越えていることから、点灯状態から点滅状態に切り換えられる。スイッチング回路50は、S9で火災受信機2で復旧操作がされない限り、図示しない自己保持回路によって保持され、復旧操作があれば(S9)、S3に戻って、また新たにセンサ出力を取り込む。このように火災時においては、正常監視灯71は点滅し、確認灯72は点灯する。
【0014】
(2)一時的にセンサ出力が基準値から外れる場合
次にS11〜S23の感度試験モードについて説明する。S5にてセンサ出力が火災閾値よりも小さければ、次にS11にて、ROM20に格納された基準値を読みだして、RAM21に格納し、そのセンサ出力と基準値とを比較する。センサ出力が基準値の上限値と下限値内にはいっていなければ、感度が異常であると判別して、正常監視灯71を点灯状態から点滅状態に切り換える(S13)。そしてS15において、タイマ73を起動させる。S15でタイマ73が起動してから、まだ所定時間、経過していなければ(S17)、S3に戻って新たなセンサ出力を読み込む。
【0015】
例えば火災感知器1の下で、タバコなどが吸われ、センサ出力が一時的に上昇するような場合は、センサ出力は火災閾値には達しないが、基準値からは外れる。このため、フローチャートにおいて、S3、S5、S11、S13、S15、S17と進んだ後、S3に戻るという処理を、タイマ73がタイムアップするまで何度か繰り返す。時間が経過して、センサ出力が低下して、基準値内に戻るようになると、S11からS19へ進んで、点滅状態にあった正常監視灯71を点灯状態に戻し、そしてタイマ73を停止させる(S21)。このようにセンサ出力が一時的に基準値から外れる場合においては、その間だけ正常監視灯71が点滅し、また確認灯72は消灯状態にある。
【0016】
(3)永続的にセンサ出力が基準値から外れる場合
感知器の検出部内に塵埃が溜まったり、発光素子などの劣化が原因で、センサ出力が基準値から外れる場合には、センサ出力は永続的に基準値から外れたままである。このためS15でタイマ73が起動され、その後、所定時間の間、何回かS3に戻って新たなセンサ出力を取り込んでも、センサ出力は基準値内から外れており、上述のタバコの場合ようにS11からS19に進むことはない。このためS17でタイマ73がタイムアップすると、正常監視灯71は消灯状態に切り換えられる(S23)。このように感度異常などでセンサ出力が永続的に基準値から外れる場合においては、正常監視灯71及び確認灯72は共に消灯状態となる。
【0017】
(4)センサ出力が基準値内にある場合
通常の何もない状態における、フローチャートの流れは、S3、S5、S11、S19、S21と進んだ後、S3に戻るということを繰り返す。このため通常時においては、正常監視灯71は点灯し、確認灯72は消灯状態にある。
【0018】
以上、説明したように、本発明は、オンオフ型の火災感知器に正常監視灯を設けることで、感知器の感度が正常であるか異常であるかを識別できるようにした。このためスイッチング回路などの受信機との送信部に特別な改良を加える必要がなく、非常に簡単な回路を加えるだけで、点検員に火災感知器が異常になったことを知らせることが可能となる。
【0019】
本実施形態では、感度異常時に、正常監視灯を点灯状態から点滅状態へと変化させる場合について説明したが、正常監視灯の発光形態の変化は、例えば消灯状態から点滅状態、消灯状態から点灯状態、または点灯状態から点滅状態に変化させるようにしてもよい。また火災感知器として光電式の火災感知器を例にして説明したが、それ以外の火災感知器を使用するようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、火災感知器に、通常時におけるセンサ出力の値を基準値として記憶する基準値記憶手段と、センサ出力と基準値とを比較する比較手段と、感知器本体の外部から視認できる位置に取り付けられる正常監視灯とを設け、センサ出力の状態により正常監視灯の発光形態を変化させるようにしたものである。
【0021】
このため正常監視灯の発光形態を見るだけで、感知器がどのような状態にあるかがわかる。特に感度が異常になったことを、火災感知器を天井に取り付けたまま確認することができるので、従来のような1個づつ火災感知器を天井から外して行う手間のかかる試験が不要となる。つまり、感度試験時において、点検者は、感知器を下から見て正常監視灯が点灯しているか否かを確認することで、感知器の感度が正しいかの判別を行うことができる。
【0022】
また本発明は、正常監視灯の発光形態を、通常時は点灯状態、異常時に点滅状態、そして、異常状態が所定時間継続する時に、消灯状態にするようにした。このため、火災時には、確認灯が点灯する他に、正常監視灯が点滅するため、発報した火災感知器を確認しやすい。
【0023】
そしてタバコなどの煙によって一時的にセンサ出力が上昇する時に、正常監視灯は点灯状態から点滅状態に切り替わるので、「これ以上、タバコが充満すると感知器が発報する」という喫煙者への警告になると共に、感知器がタバコの煙によって実際に動作していることを視認できるので、火災感知器の動作に対しての信頼が増す。
【0024】
また感度異常の時には、すぐに正常監視灯を消灯させずに、所定時間、点滅させてから消灯するように構成した。このため、通常の従来からある火災感知器との識別が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の火災感知器のブロック図である。
【図2】火災感知器の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 火災感知器、 2 火災受信機、 3 電源兼信号線、
10 マイコン、 20 ROM、 21 RAM、 30 発光回路、
31 発光素子、 40 増幅回路、 41 受光素子、
42 サンプルホールド回路、 50 スイッチング回路、
60 定電圧回路、 70 点灯制御回路、 71 正常監視灯、
72 確認灯、 73 タイマ、
Claims (1)
- 火災現象の物理量を検出し、該物理量に応じたセンサ出力を出力する火災検出手段と、通常時における前記センサ出力の値を基準値として記憶する基準値記憶手段と、前記火災検出手段から出力されるセンサ出力と前記基準値記憶手段に記憶された基準値とを比較する比較手段とを備えた火災感知器において、
感知器本体の外部から視認できる位置に設けた正常監視灯と、
前記比較手段が、センサ出力が前記基準値から外れ、感度異常であることを判別した時に起動されるタイマと、
前記比較手段が感度異常であることを判別した時に、前記正常監視灯の発光形態を変化させる共に、前記タイマによる所定時間、前記センサ出力が前記基準値から外れた時に、前記正常監視灯を消灯させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする火災感知器。
Priority Applications (1)
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JP26710398A JP3658701B2 (ja) | 1998-09-21 | 1998-09-21 | 火災感知器 |
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1998
- 1998-09-21 JP JP26710398A patent/JP3658701B2/ja not_active Expired - Fee Related
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