JP2005284911A - 火災感知器およびその状態情報取得システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】状態情報判定・出力手段23は、取り込まれたA/D値でメモリに格納されている一番古いデータを更新し、格納されている6つのデータの平均値を算出し、算出値を現在の感度としてメモリに格納する。そして、状態情報送信手段24は、現在の感度のデータが感度許容範囲内のいずれの段の感度レベルに合致するかを判定し、合致した段の感度レベルに対応するパルス間隔を設定し、設定されたパルス間隔で2パルスを感度データ発信用発光素子20からパルス発光させる。
【選択図】図3
Description
また、他の従来の火災感知器では、周期的に、煙検出器の感度データをコード化した伝送信号によりLEDを発光させて外部に伝送させていた(例えば、特許文献2)。
そして、火災感知システムでは、この種の火災感知器を建物内の各監視空間に設置することから、多数の火災感知器が設置されることになり、システム全体としての消費電力は大きなものとなってしまうので、個々の火災感知器の消費電力を小さくすることが要求されている。
図1はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器の状態情報取得システムを模式的に示すシステム図、図2はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器を示す正面図、図3はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器の構成を模式的に示すブロック図、図4はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器の回路構成を模式的に示すブロック回路図、図5はこの発明の実施の形態1に係る感度テスターを示す正面図、図6はこの発明の実施の形態1に係る感度テスターの構成を模式的に示すブロック図、図7はこの発明の実施の形態1に係る感度テスターの回路構成を模式的に示すブロック回路図である。図8はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器の全体動作を説明するフロー図、図9はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器における火災判別動作を説明するフロー図、図10はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器における感度測定動作を説明するフロー図、図11はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器におけるブリンキング動作を説明するフロー図、図12はこの発明の実施の形態1に係る感度テスターの動作を説明するフロー図である。図13はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器における感度とA/D値との関係を説明する図、図14はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器における火災表示灯および感度データ送信用発光素子の動作を説明するタイミングチャート、図15はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器における感度データ送信用発光素子への出力パルスを示す図、図16はこの発明の実施の形態1に係る火災感知器における感度レベルに対応するパルス間隔の設定状態を説明するタイミングチャート、図17はこの発明の実施の形態1に係る感度テスターにおける動作を説明するタイミングチャートである。
煙検出用発光素子11は、煙を検出するための発光を行う発光ダイオード(LED)であり、煙検出用受光素子12は、煙検出用発光素子11から発光された光を受光するためのフォトダイオードである。煙検出用発光素子11および煙検出用受光素子12は、本体10内に設けられた暗箱(図示せず)内に設置され、煙検出部を構成している。この暗箱は、煙が入るラビリンスを備えている。そして、煙検出用発光素子11から発光された光がラビリンスから入った煙粒子により散乱され、その散乱光が煙検出用受光素子12に受光される。この煙検出用受光素子12の出力がアンプ13によって増幅される。
EEPROM15は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、火災判別レベル、初期状態での出力レベル、煙検出機能に関する断線判別レベル、感度許容範囲の上限値および下限値のレベルなどがA/D値と対比されるデータとして格納されている。これらのデータは、製造時に、感度調整されて書き込まれることになる。
ブリンキング用トランジスタ17は、マイコン14からのパルス出力を受けて例えば10.5秒間隔で周期的にオンする。そこで、火災表示灯16が、例えば10.5秒間隔で周期的に点灯(ブリンキング)し、火災感知器1が稼働していることを視覚的に判別できる。
スイッチング回路18は、火災を検出したときに、マイコン14からの出力に基づいてオンされる自己保持回路である。このスイッチング回路18のオン状態保持により、火災受信機2からの一対の電源兼信号線4間のインピーダンスが高インピーダンスから低インピーダンスに変化され、火災受信機2に火災信号を送出する。また、この火災信号の送出と同時に、火災表示灯16が連続点灯する。
端子19は、火災受信機2からの一対の電源兼信号線4が接続される端子であり、火災信号出力端子と電源端子とを兼ねている。
発信素子としての感度データ送信用発光素子20は、感度データを送信する赤外LEDであり、マイコン14の制御により、例えば10.5秒間隔の周期で火災表示灯16の点灯に同期して発光(送信)している。この感度データ送信用発光素子20は、その発光が火災感知器1の設置面である天井から床面に向かって円錐状に出射されるように本体10の正面側に配設されている。即ち、感度データ送信用発光素子20の送信角度範囲が広角度となっている。
この火災感知器1における感度許容範囲は、例えば1%/ft〜3%/ftとなっている。そして、初期の特性(NORMAL LEVEL)に基づいて、上下限の状態の特性を予想して、その状態の0%/ftのA/D値をD2、D3として、D1、D2、D3およびD4(A/D値)が、それぞれ断線判定レベル、感度許容範囲の下限値、感度許容範囲の上限値および火災判定レベルとして予め設定されて、EEPROM15に書き込まれる。また、感度許容範囲における上限領域(D3近辺)及び下限領域(D2近辺)を密に、かつ、中央領域を粗にして、例えばトータル30段に分割して得られた30段のレベル(A/D値)が感度出力されるパルス間隔TwのレベルとしてEEPROM15に書き込まれる。この30段の分割に関する粗密によって、限られた段数の中で、異常に近い部分のレベルを詳細に出力することができる。なお、D1、D2、D3およびD4の関係は、D1<D2<D3<D4となっている。
さらに、上記の30段に対応するパルス間隔Twが各感度レベルに対応付けられてEEPROM15に書き込まれる。つまり、D3に対応するパルス間隔Twは1msに設定され、D2に対応するパルス間隔Twは40msに設定されている。また、1msと40msとの間をトータル30分割して得られたパルス間隔Twが、それぞれ上述の30段の感度レベルに対応する。さらに、感度異常の送信信号を表すパルス間隔Tw1、Tw2が例えば感度許容範囲に対応するパルス間隔1ms〜40msの範囲外である60ms、65msに設定されてEEPROM5に格納されている。
なお、後述するように、マイコン14は、感度としてA/D値が上下限D2、D3の範囲を外れるときに感度異常と判断して、火災表示灯16によって異常状態を示す点滅を行うので、異常時の範囲を上記30段から外しているが、異常時の範囲を含めて、上記30段のレベルを設定してもよい。
電源兼切換表示灯31は、緑色とオレンジ色の2色のLEDで構成され、感度テスター3の電源がオンされている状態を示すとともに、火災感知器が光電式/イオン化式の切換状態を示す。そして、感度を測定する対象として、光電式の火災感知器の場合には緑色のLEDを点灯させ、イオン化式の火災感知器である場合にはオレンジ色のLEDを点灯させる。なお、電源投入時には、光電式が選択されるようになっている。
エラー表示灯32は赤色のLEDで構成され、感度テスター3が火災感知器1からの感度データを正常に受信できなかった場合に点灯する。表示器33は感度の数値を表示する7セグメント表示器であり、また、受信した感度データが許容範囲の上限値を超えている場合に「88」を表示し、下限値を下回っている場合に「00」を表示する。なお、感度データが許容範囲外であることがわかれば、「88」又は「00」以外の表示であってもよい。
電源スイッチ35は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、長押しにより電源をオン/オフする。そして、電源投入後の通常操作(長押しでない操作)により、光電式とイオン化式とのモード切替が行われる。測定開始スイッチ36は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、この測定開始スイッチ36の作動により、火災感知器1から発信される感度データの信号の受信を開始する。
そして、感度データ受信用受光素子34の出力はアンプ40によって増幅され、搬送波復調器41により復調された後、マイコン37に取り込まれる。マイコン37に取り込まれた感度データのパルス間隔Twが、パルス間隔測定部42によって測定される。MPU38は、測定されたパルス間隔Twとメモリ39に格納されているデータとを比較して火災感知器1の感度の状態を判定し、判定結果を表示駆動部43に出力して表示器33に表示させる。ここで、感度データ受信用受光素子34、アンプ40、搬送波復調器41およびマイコン37などから状態情報取得手段が構成されている。なお、感度テスター3は手のひらサイズで携帯型であり、感度テスター3には、電池44が内蔵されている。
電源が火災感知器1に投入され、動作をスタートする(S1)。そして、イニシャル処理(S2)を行った後、マイコン14を所定周期で起動させるタイマー回路21が動作を開始する。このタイマー回路21は3.5秒毎にタイムアップし(S3)、マイコン14に起動出力を出力する。これにより、マイコン14が、図14の(a)に示されるように、3.5秒周期でスリープ状態からラン状態となる。
ついで、マイコン14が起動すると、計数C1を1インクリメントする(S4)。そして、計数C1が3であるか否かを判定する(S5)。
そして、S9のブリンキングルーチンが終了すれば、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。この時、マイコン14はスリープ状態であり、ステップとして示されていないが、ブリンキングルーチンの処理後に、マイコン14は自動的にラン状態からスリープ状態に入る。
火災判別ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させ(S11)、ついで煙検出用発光素子11を発光させる。そして、マイコン14は、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む(S12)。
ついで、マイコン14は、取り込んだA/D値とEEPROM15に格納されている断線判別レベル(D1)とを比較し、煙検出用発光素子11または煙検出用受光素子12の断線などの異常を判別する(S13)。S13において、断線(取り込んだA/D値≦D1)と判別されると、S14に移行して断線フラグF1をオンする。また、断線でない(取り込んだA/D値>D1)と判別されると、S15に移行して断線フラグF1をオフとする。
そして、スイッチング回路18は、火災出力を受けてオンして自己保持し、端子19間を低インピーダンス状態に維持する。これにより、端子19に接続されている電源兼信号線4を介して火災受信機2に火災信号が出力される。また、スイッチング回路18がオン状態に自己保持されているので、火災表示灯16が、図14の(c)に示されるように、点灯状態を維持し、火災発生が視覚的に報知される。ここで、マイコン14を火災出力後にストップ状態とすることは、スイッチング回路18がオン状態となると、低インピーダンス状態となり、電源電位が低下してしまい、火災感知器1が通常通りに動作できなくなるからである。
感度測定ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させ(S21)、ついで煙検出用発光素子11を発光させる。そして、マイコン14は、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む(S22)。この感度測定ルーチンでは、煙が存在していないため、煙検出用受光素子12の出力は低レベルとなる。そこで、低レベルの出力を正確に判別するために、アンプ13のゲインを高く設定し、大きく増幅した受光出力を取り込んでいる。
ついで、マイコン14は、メモリに記憶されているA/D値を書き換える。すなわち、メモリに格納されている一番古いデータを最新のデータに更新するフィルター処理を行う。そして、メモリに格納されている6個のデータからA/D値の平均値を算出する(S23)。この算出した平均値を現在の感度としてメモリの所定位置に格納する(S24)。
なお、火災感知器1の経年変化は、暗箱内の汚れや回路素子の劣化などにより感度が徐々に変化することにより発生するものである。この感度変化は徐々に変化することから、この感度測定ルーチンでは、1分間の平均値をとることで、一瞬の異常値の影響をなくしている。
ブリンキングルーチンでは、マイコン14は、まず係数C1が0であるかを判別する(S31)。S31において、C1≠0であると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。また、S31において、C1=0であると判別されると、S32に移行して断線フラグF1がオンしているかを判別する。
そして、S32において、断線フラグF1がオンしていると判別されると、初期に戻って、タイムアップ(S3)を待つ。この時、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17の消灯を維持する。そして、火災表示灯16は、図14の(d)に示されるように、消灯し、断線不良の発生、あるいは電源オフが視覚的に報知される。一方、S32において、断線フラグF1がオフしていると判別されると、S33に移行して異常フラグF2がオンしているかを判別する。
S33において、異常フラグF2がオンしていると判別されると、S35に移行してブリンキング用トランジスタ17にパルス点灯出力を2回出力した後、S36に移行する。そして、パルス点灯出力がブリンキング用トランジスタ17に2回出力されると、火災表示灯16が、図14の(e)に示されるように、例えば100msの間隔で2回続けてパルス点灯するダブルブリンキングを行い、通常のブリンキングと明確に区別でき、火災感知器1が感度異常であることが視覚的に報知される。また、S36では、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し、当該データに対応した発光出力を出力する(S37)。この時、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。ここで、S31〜S37が状態情報送信手段24の動作に相当する。
また、S37において、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。
この感度のデータに対応した発光出力は、図15に示されるように、特定の周波数fc、例えば38kHzで変調されて、感度データ送信用発光素子20に出力される。これにより、感度データ送信用発光素子20から発光される光が白熱電球や蛍光灯などのノイズ光源から光と区別される。
感度テスター3は、まず電源スイッチ35の長押しにより電源が投入されてスタートする(S41)。そこで、マイコン37はイニシャル処理(S42)を行った後、スイッチ操作を監視する。
そして、S43において、電源スイッチ35が通常操作されると、モード切替が行われ(S44)、感度測定される火災感知器1が光電式かイオン化式かが選択され、電源兼切換表示灯31が選択されたモードに応じて点灯する。
そして、S47において1回目のパルスP1が受信されると、カウンタがスタートされ(S49)、タイマーT1がクリアされる(S50)。ついで、タイマーT2がスタートされ(S51)、感度データを示す2回目のパルスP2を待つ(S52)。この時、タイマーT2は例えば0.5秒に設定され、タイマーT2がタイムアップするまで2回目のパルスP2を待つ(S53)。そして、タイマーT2がタイムアップすると、エラーと判断し、S62に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する。
また、図17の(a)に示されるように、3回目のパルスが受信されることなくタイマーT3がタイムアップする(S59)と、S60に移行する。そこで、マイコン37は、カウンタがスタートしてストップするまでのカウント値から現在の感度を換算し、現在の感度の数値(単位:%/ft)を表示器33に表示する(S61)。また、カウント値から換算された現在の感度が感度許容範囲を下回っていると、「00」を表示器33に表示し、上回っていると、「88」を表示器33に表示する。これにより、作業者が、感度の異常を認識できる。この時、マイコン37は、取得した現在の感度をメモリ39に保持し、表示器33への表示を維持する。
また、火災感知器1の近傍に設置されている照明機器から照明光として赤外光が照射されることがある。この照明機器からの赤外光が感度テスター3に受信されると、タイマーT3がタイムアップする前に3つめのパルス、即ちノイズが受信されたことになる。この場合、エラー表示灯32が点灯し、点検者が視覚的にエラーを認識できる。そこで、点検者は、感度テスター3を火災感知器1に近づけて感度測定を再度実行することができ、ノイズを確実に排除することができる。
また、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得ているので、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲の分解能が高くなり、感度許容範囲の上限範囲または下限範囲に到達した時の現在の感度を高精度に検知できる。そこで、現在の感度が感度許容範囲外となる前に、火災感知器1の検出部を交換することができ、安定した火災検知を実現できる。
また、感度テスター3が、所定のタイミングに2つ以上のパルスを受信したときに、又は、所定のタイミング外でパルスを受信したときに、エラー表示灯32にエラー表示するようにしているので、ノイズによる感度データの誤検出を目視確認できる。そこで、エラー表示32にエラー表示されたら、再度測定をし直すことで、ノイズの影響を排除して、正確な感度データを得ることができる。
また、感度許容範囲内に入っている感度情報と感度許容範囲内に入っていない異常情報とが単一の感度データ送信用発光素子20を用いて送信されているので、部品点数が削減され、火災感知器1の低コスト化、小型化が図られる。
図18はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器の状態情報取得システムを模式的に示すシステム図、図19はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器を示す正面図、図20はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器の構成を模式的に示すブロック図、図21はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器の回路構成を模式的に示すブロック回路図、図22はこの発明の実施の形態2に係る感度テスターを示す正面図、図23はこの発明の実施の形態2に係る感度テスターの構成を模式的に示すブロック図、図24はこの発明の実施の形態2に係る感度テスターの回路構成を模式的に示すブロック回路図である。図25はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器の全体動作を説明するフロー図、図26はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器における火災判別動作を説明するフロー図、図27はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器における感度測定動作を説明するフロー図、図28はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器におけるブリンキング動作を説明するフロー図、図29はこの発明の実施の形態2に係る感度テスターの動作を説明するフロー図である。図30はこの発明の実施の形態2に係る火災感知器における火災表示灯および感度データ送信用発光素子の動作を説明するタイミングチャートである。
なお、火災感知器1Aの他の構成は上述の火災感知器1と同様に構成されている。
起動パルス送信・測定開始スイッチ46は、本体30の表面に設けられた押し釦式のスイッチであり、この起動パルス送信・測定開始スイッチ46の作動により、火災感知器1Aに起動パルスを送信するとともに、火災感知器1Aから送信される感度データの信号の受信を開始する。
そして、マイコン37は、起動パルス送信・測定開始スイッチ46の作動を受けて、起動パルス送信用発光素子45から起動パルスを発光させ、火災感知器1Aに起動パルスを送信する。また、マイコン37は、火災感知器1Aからの送信信号を受信して、火災感知器1Aへの起動パルスの送信を停止するとともに、火災感知器1Aから発信される感度データの信号の受信を開始する。
そして、感度データ受信用受光素子34の出力はアンプ40によって増幅され、搬送波復調器41により復調された後、マイコン37に取り込まれる。マイコン37に取り込まれた感度データのパルス間隔Twが、パルス間隔測定部42Aによって測定される。MPU38は、測定されたパルス間隔Twとメモリ39に格納されているデータとを比較して火災感知器1Aの感度の状態を判定し、判定結果を表示駆動部43に出力して表示器33に表示させる。
なお、感度テスター3Aの他の構成は上述の感度テスター3と同様に構成されている。
電源が火災感知器1Aに投入され、動作をスタートする(S101)。そして、イニシャル処理(S102)を行った後、マイコン14を所定周期で起動させるタイマー回路21が動作を開始する。このタイマー回路21は3.5秒毎にタイムアップし(S103)、マイコン14に起動出力を出力する。これにより、マイコン14が、図30の(a)に示されるように、3.5秒周期でスリープ状態からラン状態となる。
ついで、マイコン14が起動すると、計数C1を1インクリメントする(S104)。そして、計数C1が3であるか否かを判定する(S105)。
そして、S109のブリンキングルーチンが終了すれば、初期に戻って、タイムアップ(S103)を待つ。この時、マイコン14はスリープ状態であり、ステップとして示されていないが、ブリンキングルーチンの処理後に、マイコン14は自動的にラン状態からスリープ状態に入る。
火災判別ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させる(S111)。このアンプ13の起動時、アンプ13の立ち上がり時間があるので、それに合わせて、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信しているか否かを判別する(S112)。S112において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していると判別されると、S113に移行して起動フラグF3をオンする。ついで、S114に移行して感度データ送信用発光素子20から応答パルスP0を送信した後、受光出力を取り込むことなくS109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
ここで、S114の後にすぐS109へ移行するのは、応答パルスP0の発光によるわずかな電源電圧変動の影響を受けることが考えられ、正確なA/D値取り込みが確保できないからである。
また、S112において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していないと判別されると、S115に移行する。そして、S115において、マイコン14は、煙検出用発光素子11を発光させ、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む。
ついで、マイコン14は、取り込んだA/D値とEEPROM15に格納されている断線判別レベル(D1)とを比較し、煙検出用発光素子11または煙検出用受光素子12の断線などの異常を判別する(S116)。S116において、断線(取り込んだA/D値≦D1)と判別されると、S118に移行して断線フラグF1をオンする。また、断線でない(取り込んだA/D値>D1)と判別されると、S117に移行して断線フラグF1をオフとする。
そして、スイッチング回路18は、火災出力を受けてオンして自己保持し、端子19間を低インピーダンス状態に維持する。これにより、端子19に接続されている電源兼信号線4を介して火災受信機2に火災信号が出力される。また、スイッチング回路18がオン状態に自己保持されているので、火災表示灯16が、図30の(c)に示されるように、点灯状態を維持し、火災発生が視覚的に報知される。ここで、マイコン14を火災出力後にストップ状態とすることは、スイッチング回路18がオン状態となると、低インピーダンス状態となり、電源電位が低下してしまい、火災感知器1Aが通常通りに動作できなくなるからである。
感度測定ルーチンでは、マイコン14は、まずアンプ13を起動させる(S131)。このアンプ13の起動時、アンプ13の立ち上がり時間があるので、それに合わせて、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信しているか否かを判別する(S132)。S132において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していると判別されると、S133に移行して起動フラグF3をオンする。ついで、S134に移行して感度データ送信用発光素子20から応答パルスP0を送信した後、受光出力を取り込むことなくS109に移行してブリンキングルーチンが実行される。
また、S132において、起動パルス受信用受光素子27が起動パルスを受信していないと判別されると、S135に移行する。そして、S135において、マイコン14は、煙検出用発光素子11を発光させ、アンプ13で増幅された煙検出用受光素子12の受光出力をA/D変換して取り込む。この感度測定ルーチンでは、煙が存在していないため、煙検出用受光素子12の出力は低レベルとなる。そこで、低レベルの出力を正確に判別するために、アンプ13のゲインを高く設定し、大きく増幅した受光出力を取り込んでいる。
ついで、マイコン14は、メモリに記憶されているA/D値を書き換える。すなわち、メモリに格納されている一番古いデータを最新のデータに更新するフィルター処理を行う。そして、メモリに格納されている6個のデータからA/D値の平均値を算出する(S136)。この算出した平均値を現在の感度としてメモリの所定位置に格納する(S137)。
なお、火災感知器1Aの経年変化は、暗箱内の汚れや回路素子の劣化などにより感度が徐々に変化することにより発生するものである。この感度変化は徐々に変化することから、この感度測定ルーチンでは、1分間の平均値をとることで、一瞬の異常値の影響をなくしている。
ブリンキングルーチンでは、マイコン14は、まず送信フラグF4がオンされているか否かを判別する(S141)。そして、S141において、送信フラグF4がオンされていると判別されると、マイコン14は、メモリに格納されている現在の感度のデータを読み出し(S142)、当該データに対応した発光出力を出力し(S143)、送信フラグF4をオフとして(S144)、S147に移行する。
また、S143において、現在の感度のデータが感度許容範囲より下回っていると、パルス間隔Tw1を選択し、パルス間隔Tw1の発光出力を出力する。また、現在の感度のデータが感度許容範囲を上回っていると、パルス間隔Tw2を選択し、パルス間隔Tw2の発光出力を出力する。
この感度のデータに対応した発光出力は、図15に示されるように、特定の周波数fc、例えば38kHzで変調されて、感度データ送信用発光素子20に出力される。これにより、感度データ送信用発光素子20から発光される光が白熱電球や蛍光灯などのノイズ光源から光と区別される。
そして、S146において、断線フラグF1がオンしていると判別されると、マイコン14はブリンキング用トランジスタ17の消灯を維持させ、S150に移行する。そして、火災表示灯16は、図30の(d)に示されるように、消灯し、断線不良の発生、あるいは電源オフが視覚的に報知される。
また、S146において、断線フラグF1がオフしていると判別されると、S147に移行して異常フラグF2がオンしているかを判別する。
また、S147において、異常フラグF2がオンしていると判別されると、S149に移行してブリンキング用トランジスタ17にパルス点灯出力を2回出力した後、S150に移行する。そして、パルス点灯出力がブリンキング用トランジスタ17に2回出力されると、火災表示灯16が、図30の(e)に示されるように、2回続けてパルス点灯するダブルブリンキングを行い、通常のブリンキングと明確に区別でき、火災感知器1Aが感度異常であることが視覚的に報知される。
これにより、起動パルスを受信した場合(起動フラグF3がオンしている場合)、次のタイムアップ後(3.5秒後)、現在の感度のデータを表すパルス間隔Twの2パルスが感度データ発信用発光素子20から発光される。そして、この感度のデータの送信は、係数C1にかかわらず行われ、同時に、火災表示灯16のパルス点灯が同じタイミングで行われ、感度データが送信されていることが目視確認できる。
感度テスター3は、まず電源スイッチ35の長押しにより電源が投入されてスタートする。そこで、マイコン37はイニシャル処理(S161)を行った後、スイッチ操作を監視する。
そして、S162において、電源スイッチ35が通常操作されると、モード切替が行われ(S163)、感度測定される火災感知器1が光電式かイオン化式かが選択され、電源兼切換表示灯31が選択されたモードに応じて点灯する。
また、タイマーT4がタイムアップするまでに応答パルスP0が受信されると、S169に移行してタイマーT4をクリアし、S170に移行してタイマーT1をスタートさせた後、S171に移行して感度データを示す1回目のパルスP1を待つ。この時、タイマーT1は例えば30秒に設定され、タイマーT1がタイムアップするまで1回目のパルスP1を待つ(S172)。そして、タイマーT1がタイムアップすると、エラーと判断し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する。
そして、S171において1回目のパルスP1が受信されると、カウンタがスタートされ(S173)、タイマーT1がクリアされる(S174)。ついで、タイマーT2がスタートされ(S175)、感度データを示す2回目のパルスP2を待つ(S176)。この時、タイマーT2は例えば0.5秒に設定され、タイマーT2がタイムアップするまで2回目のパルスP2を待つ(S177)。そして、タイマーT2がタイムアップすると、エラーと判断し、S186に移行してエラー表示灯32を点灯させ、エラー表示する。
また、図17の(a)に示されるように、3回目のパルスが受信されることなくタイマーT3がタイムアップする(S183)と、S184に移行する。そこで、マイコン37は、カウンタがスタートしてストップするまでのカウント値から現在の感度を換算し、現在の感度の数値(単位:%/ft)を表示器33に表示する(S185)。また、カウント値から換算された現在の感度が感度許容範囲を下回っていると、「00」を表示器33に表示し、上回っていると、「88」を表示器33に表示する。これにより、作業者が感度の異常を認識できる。この時、マイコン37は、取得した現在の感度をメモリ39に保持し、表示器33への表示を維持する。
また、火災感知器1Aの近傍に設置されている照明機器から照明光として赤外光が照射されることがある。この照明機器からの赤外光が感度テスター3に受信されると、タイマーT3がタイムアップする前に3つめのパルス、即ちノイズが受信されたことになる。この場合、エラー表示灯32が点灯し、点検者が視覚的にエラーを認識できる。そこで、点検者は、感度テスター3を火災感知器1に近づけて感度測定を再度実行することができ、ノイズを確実に排除することができる。
また、火災感知器1Aは、起動パルスの受信がある時に、状態情報判定・出力手段23および状態情報送信手段24等の動作の実行に先だって応答パルスP0を送信し、感度テスター3Aは、応答パルスP0を受信すると、起動パルスの送信を停止し、感度データの信号の受信を開始している。そこで、感度テスター3Aによる感度データの受信動作が火災感知器1Aによる感度データの送信動作に同期して行われ、より消費電力を低減することができる。
また、感度データ送信用発光素子20および起動パルス受信用受光素子27の送受信角度範囲が広角度範囲に設定され、感度データ受信用受光素子34および起動パルス送信用発光素子45の送受信角度範囲が狭角度範囲に設定されている。そこで、感度テスター3Aの作業位置が限定されず、感度テスター3Aの送受信方向を火災感知器1Aに向けることで、ノイズ成分を拾わずに確実な信号の送受信を行うことができる。
また、感度許容範囲内に入っている感度情報と感度許容範囲内に入っていない異常情報とが単一の感度データ送信用発光素子20を用いて送信されているので、部品点数が削減され、火災感知器1の低コスト化、小型化が図られる。
また、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲を密に分割し、感度許容範囲の中央領域を粗に分割して、30段の感度レベルを得ているので、感度許容範囲の上限範囲および下限範囲の分解能が高くなり、感度許容範囲の上限範囲または下限範囲に到達した時の現在の感度を高精度に検知できる。そこで、現在の感度が感度許容範囲外となる前に、火災感知器1Aの検出部を交換することができ、安定した火災検知を実現できる。
また、感度テスター3Aが、所定のタイミングに2つ以上のパルスを受信したときに、又は、所定のタイミング外でパルスを受信したときに、エラー表示灯32にエラー表示するようにしているので、ノイズによる感度データの誤検出を防止できる。そこで、エラー表示32にエラー表示されたら、再度測定をし直すことで、ノイズの影響を排除して、正確な感度データを得ることができる。
また、上記各実施の形態では、感度レベルの段数は30段に限定されるものではなく、火災感知器1の仕様に基づいて適宜設定されるものである。
また、上記各実施の形態では、現在の感度を表すための30段の感度レベルに対応するパルス間隔TwをEEPROM15に予め格納するものとして説明しているが、マイコン14が、現在の感度が30段の感度レベルのいずれの段の感度レベルに対応するかを判別した後、該当する段の感度レベルに対応するパルス間隔Twを演算処理して算出するようにしてもよい。この場合、マイコン14が、EEPROM15に格納されている感度許容範囲の上限値(D3)および下限値(D2)を読み出し、読み出された上限値(D3)および下限値(D2)に基づいて30段の感度レベルを演算処理して算出するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、表示器33を用いて感度表示を行い、エラー表示灯32を用いてエラー表示を行うものとしているが、表示器33を用いて感度表示とエラー表示を行うようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、火災感知器として煙感知器を用いるものとして説明しているが、火災感知器は煙感知器に限定されるものではなく、例えば熱感知器などを用いてもよい。
また、上記各実施の形態では、感度異常を火災表示灯16のダブルブリンキングにより報知するものとしているが、感度異常の報知は火災表示灯16のダブルブリンキングに限定されるものではなく、正常な感度情報の送信時と感度異常の送信時とを区別できればよく、両者のブリンキング回数が異なればよい。
また、上記実施の形態では、検出部の状態に応じた状態情報として感度を用いるものとして説明しているが、検出部の状態に応じた状態情報は感度に限定されるものではなく、例えば、自動試験機能を有するときの正常または異常を示す結果、設定されているアドレスやシリアル番号、火災感知器としての種別、動作の履歴などを用いることができる。
Claims (5)
- 火災を検出する検出部と、
上記検出部の状態に応じた状態情報を判定・出力する状態情報判定・出力手段と、
外部に向けてパルスを発して上記状態情報を送信する発信素子と、
上記状態情報に基づいて上記パルスの時間的要素を設定し、設定された時間的要素に基づいて上記発信素子から上記パルスを発せさせる状態情報送信手段と、
を備えることを特徴とする火災感知器。 - 上記状態情報判定・出力手段は、上記状態情報としての感度が感度許容範囲に入っているか否かを判定するとともに現在の感度を出力し、
上記状態情報送信手段は、上記現在の感度が上記感度許容範囲を所定段数に分割してなる感度レベルのいずれの段の感度レベルに入っているかを判断し、上記現在の感度が入っている上記段の感度レベルに適合する上記時間的要素としてパルス間隔を設定し、設定されたパルス間隔で上記発信素子に2パルスを所定のタイミングで発信させることを特徴とする請求項1記載の火災感知器。 - 所定段数の上記感度レベルは、上記感度許容値範囲の上限範囲および下限範囲を、該許容値範囲の中央範囲に対して密に分割しているものである請求項2記載の火災感知器。
- 可視光を発する火災表示灯を備え、上記状態情報送信手段は、上記発信素子から発する上記パルスに同期して上記火災表示灯をパルス発光させることを特徴とする請求項1記載の火災感知器。
- 火災を検出する検出部、上記検出部の状態に応じた状態情報を判定・出力する状態情報判定・出力手段、外部に向けてパルスを発して上記状態情報を送信する発信素子、および、上記状態情報に基づいて上記発信素子から上記パルスを発せさせる状態情報送信手段を有する火災感知器と、
上記発信素子からの上記パルスを受信して上記状態情報を取得する状態情報取得手段および取得した上記状態情報を表示する表示器を有する受信装置と、
を備え、
上記状態情報送信手段は、上記状態情報に応じたパルス間隔を設定し、上記パルス間隔で2つのパルスを所定のタイミングで上記発信素子から発信させ、
上記受信装置は、上記所定のタイミングに上記2つのパルスのみ受信したときに、該パルス間隔から導き出した上記状態情報を上記表示器に表示するとともに、上記所定のタイミングに2つ以上のパルスを受信したときに、又は、上記所定のタイミング外で上記パルスを受信したときに、上記表示器にエラー表示するようになっていることを特徴とする火災感知器の状態情報取得システム。
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