JP3658520B2 - アモルファス鉄心変圧器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アモルファス鉄心変圧器であり、特に巻鉄心等のアモルファス鉄心を覆ったケース(樹脂板など)を利用した、変圧器短絡事故時等の電磁機械力に耐えうる補強構造を備えたアモルファス鉄心変圧器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアモルファス鉄心を有する変圧器では、特開平7−161539号公報に見られるように、アモルファス鉄心の周囲に被覆容器を配置し、輸送中や使用中の衝撃等による鉄心破片の飛散を防止したり、鉄心の磁歪振動により生じる騒音を低減させていた。また、変圧器短絡事故時の電磁機械力に対する強度を向上させる場合には、内側コイルの内周絶縁層を補強し対応していた。しかしながら、この従来技術では、容量拡大等により、変圧器短絡事故時の電磁機械力が大きくなった場合、内側コイルの内周絶縁層を補強しただけでは発生応力に耐えきれず規格を満足できない場合があった。
【0003】
アモルファス合金からなるトロイダル鉄芯をケースに収納することも提案されている(特開平8−186032号公報)が、電磁機械力に耐える構造や解体を容易とすること等が考慮されていなかった。
【0004】
また、コイル内側にスペーサを介し鉄心の周囲に配置したケース(樹脂板など)により、発生応力を受けようとした場合、発生応力に耐えうる構造を考案する必要があり、更に、解体が容易となるようケース(樹脂板など)を分割構造とすると、強度不足が生じるという問題も生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであって、変圧器の解体が容易にでき、更に、変圧器短絡事故時の電磁機械力に耐えうる、信頼性の高いアモルファス鉄心変圧器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アモルファス鉄心と、該鉄心を挿入するコイルと、を具備するアモルファス鉄心変圧器において、前記鉄心を覆うケースと、該ケースの外周部を覆う熱収縮性のチューブ又はテープと、を備え、前記ケースは、2ヶ所以上の接合面を有する枠板を組合せた枠体で構成し、該枠体は、板状の枠板と断面コの字形又は先端部に折曲部を有する断面コの字形の枠板とを接合させ、かつ前記接合面は前記コイルの長辺と平行となるようにし、前記鉄心は、単位鉄心をアモルファス薄帯幅方向に2個以上有し、隣合う単位鉄心の間にスペーサ部材を有するアモルファス鉄心変圧器である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発明の実施形態を説明する。
本発明のアモルファス鉄心変圧器の実施例について、図1〜図8を用いて説明する。図1は、実施例1のアモルファス鉄心変圧器の断面説明図である。図2は、実施例1のアモルファス鉄心変圧器における鉄心の詳細説明図である。図3は、実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース1例の詳細説明図である。図4は、実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース2例の詳細説明図である。図5は、実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース3例の詳細説明図である。図6は、実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース4例の詳細説明図である。図7は、実施例2のアモルファス鉄心変圧器におけるケースの詳細説明図である。図8は、実施例3のアモルファス鉄心変圧器の断面説明図である。
【0013】
実施例1を説明する。本実施例のアモルファス鉄心変圧器は、図1に示すように、アモルファス鉄心1、コイル2、ケース3、熱収縮性のチューブ4、を備えている。アモルファス鉄心1は、例えばアモルファス磁性薄帯の積層体をU字形に変形させ、コイル2に挿入し、先端部をつないで作成される。アモルファス鉄心1は、図2に示すように、その外周にケース3を配置し、ケース3の外周部を熱収縮性のチューブ4にて覆われる。熱収縮性のチューブ4の代わりに熱収縮性のテープを使用し、ケースの外周に巻き付けることも可能である。更に、熱収縮性のチューブ又はテープ4の外周とコイル2との間に、数カ所スペーサ部材5を配置する。これにより、変圧器短絡事故時の電磁機械力をスペーサ部材5を介し、ケース3で受ける構造とすることができる。
【0014】
実施例1のアモルファス鉄心変圧器に使用するケースについて、詳しく説明する。ケースは、例えば樹脂板等からなる枠板を組合せた枠体であり、その構造は解体を容易にするため、図3〜図6に示すように、各枠板に接合面を2カ所以上設けている。接合面は、枠体に組合せたとき、突き合わされる面である。図3に示すケース3は、2種類の板状の枠板31a、31bをそれぞれ2枚用意し、接合面31cを設けて組立てる。図4に示すケース3は、2つの断面L字形の枠体32を、接合面32cを設けて組立てる。図5に示すケース3は、板状の枠体33aと断面コの字形の枠体33bとを、接合面33cを設けて組立てる。図6に示すケース3は、板状の枠体34aと先端に折曲部を有する断面コ字形の枠体34bとを、接合面34cを設けて組立てる。このように、図3〜図6に示す各ケースにおいて、使用する枠体はすべて接合面を2ヵ所以上有しており、そして、接合面は矩形であるケースの長い辺に平行になっており、鉄心を覆い、そして、コイルに挿入すると、コイルの長辺に平行となる。
【0015】
ところで、変圧器短絡事故時の電磁機械力はコイル2が矩形の場合、コイル短辺側より長辺側に大きく加わる。そして、ケース3を分割した部材から構成すると、特に接合面部分においては、直交する方向に働く力には強いが、平行方向に働く力に対して弱いため、強度不足となり、電磁機械力に耐えられなくなる。そこで、ケースの枠板の接合面をコイル長辺方向に平行とすると、ケースの強度を低減させないようにすることができる。
【0016】
更に、アモルファス鉄心1とケース3を熱収縮性のチューブ又はテープ4で覆うことにより、ケース3の強度を向上させ、且つ、鉄心破片を飛散させず、防錆を高めることができる。
【0017】
実施例2を説明する。本実施例のアモルファス変圧器は、実施例1と同様であるが、使用するケースの構造が相違している。実施例2におけるケースは、図7に示すように、断面コの字形の枠板35の組合せからなる枠体である。断面コの字形状の枠板35は、2辺ある短辺の内1辺を板厚の分だけ長くした第1短辺部351と、第2短辺部352と、長辺部353とにより構成される。この断面コの字形状の枠板35を2個用い、そして、第1短辺部351と第2短辺部352とが接するよう箱形に組み合わせると、接合面35cが長辺と平行となり、長辺に直交する方向からの力に対し強度を低減させないようにすることができる。また、短辺側では、第1短辺部351と第2短辺部352とが重ね合わされることにより、短辺に直交する方向からの力に対し強度を持つことができる。このように、長辺側及び短辺側に加わる力に耐えうる構造のケースとすることができる。
【0018】
実施例3を説明する。本実施例は、コイル2内に複数の単位鉄心を挿入したアモルファス鉄心変圧器である。実施例1と同様であるが、図8に示すように、コイル2に挿入される鉄心1として、複数の単位鉄心1aが使用されている。なお、スペーサ部材5の取付ける位置を、隣合う単位鉄心1aの間としており、強度が弱い部分へ働く力を弱めている。
【0019】
以上、実施例で説明したように、鉄心の周囲に配置したケース(樹脂板など)を分割構造とし、枠板の接合面をコイルの長辺と平行にし、そして、ケースの外周を熱収縮性のあるチューブ又はテープで覆うことにより、ケースの強度を向上させ、更に、鉄心破片の飛散や外気による鉄心の発錆を防止できるメリットがある。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、変圧器の解体が容易にでき、更に、変圧器短絡事故時の電磁機械力に耐えうる、信頼性の高いアモルファス鉄心変圧器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のアモルファス鉄心変圧器の断面説明図。
【図2】実施例1のアモルファス鉄心変圧器における鉄心の詳細説明図。
【図3】実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース1例の詳細説明図。
【図4】実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース2例の詳細説明図。
【図5】実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース3例の詳細説明図。
【図6】実施例1のアモルファス鉄心変圧器におけるケース4例の詳細説明図。
【図7】実施例2のアモルファス鉄心変圧器におけるケースの詳細説明図。
【図8】実施例3のアモルファス鉄心変圧器の断面説明図。
【符号の説明】
1 アモルファス鉄心
1a 単位鉄心
2 コイル
3 ケース
31〜35 枠板
4 熱収縮性のチューブ又はテープ
5 スペーサ部材

Claims (6)

  1. アモルファス鉄心と、該鉄心を挿入するコイルと、を具備するアモルファス鉄心変圧器において、
    前記鉄心を覆うケースと、該ケースの外周部を覆う熱収縮性のチューブ又はテープと、を備え、
    前記ケースは、2ヶ所以上の接合面を有する枠板を組合せた枠体で構成し、該枠体は、板状の枠板と断面コの字形又は先端部に折曲部を有する断面コの字形の枠板とを接合させ、かつ前記接合面は前記コイルの長辺と平行となるようにし、
    前記鉄心は、単位鉄心をアモルファス薄帯幅方向に2個以上有し、隣合う単位鉄心の間にスペーサ部材を有することを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
  2. 請求項1記載のアモルファス鉄心変圧器において、
    上記ケースは、2カ所以上の接合面を有する枠板を組合せた枠体であることを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
  3. 請求項2記載のアモルファス鉄心変圧器において、
    上記枠体は、枠板の接合面がコイルの長辺に平行となるよう組合されることを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
  4. 請求項2又は3に記載のアモルファス鉄心変圧器において、
    上記枠体は、断面コの字形の枠板の組合せからなることを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアモルファス鉄心変圧器において、
    上記鉄心は、単位鉄心をアモルファス薄帯幅方向に2個以上有する巻鉄心であることを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
  6. 請求項5記載のアモルファス鉄心変圧器において、
    隣合う単位鉄心の間にスペーサ部材を有することを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
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