JP3658352B2 - キッチン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対面式のキッチンに係り、更に詳しくは、台所側からダイニング側への油の飛散や煙の流出等を規制し、しかも、使い勝手の良いキッチンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、室内空間を台所側とダイニング側とに仕切る対面式のキッチンが知られている。この対面式キッチンは、シンクやコンロ等が装着される上端側のカウンターと、このカウンターを下方から支持する略箱型のキャビネットとを備えて構成されており、壁面に沿って配置するタイプのキッチンと異なり、シンクやコンロ等の奥行側にも空間が存在する状態で配置されるため、次のような特有の問題が起こり易い。
例えば、シンクからの湯水やコンロからの油がダイニング側に飛び散ったり、また、ダイニング側から台所側への空気流が発生したときに、コンロ上の鍋等から上昇する煙が調理中の作業者に向かって流れ、或いは、コンロ上の火炎の揺れや吹き消え等が発生し易くなる。更に、コンロからダイニング側に熱が伝達されることでダイニング空間の室温上昇をもたらし易くなり、また、ダイニング側からの隠蔽が望まれるシンクやコンロ等がダイニング側から見え易くなる。
【0003】
従って、対面式キッチンに、略フラットとなる上面形状を備えたカウンターを採用した場合には、例えば、コンロを用いた調理作業の際に、別体となるアルミニウム製のガード等をコンロの周囲に自立させることが必要となり、その設置や撤去作業が面倒となる。しかも、前記ガードは、カウンターの上面に単に載っている状態であるため、使用中に不用意に倒れたり位置ずれし易くなり、コンロ等をダイニング側から確実にガードすることができない。
【0004】
そこで、前記対面式キッチンに適用されるカウンターとしては、台所側に位置するシンクやコンロをダイニング側からガード可能とするために、当該ダイニング側の上面を台所側の上面をよりも高くする段差を設けることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような段差が形成されたカウンターにあっては、成形を簡単に行う等の理由で当該段差が左右方向略全域に形成されるため、シンクやコンロ等が設けられていない部位においても、台所側の上面とダイニング側の上面との間に段差が存在し、当該段差に跨って食器等を置くことができない等、キッチンの使い勝手が悪くなるという不都合がある。
また、キッチンのカウンターは、台所側に立って調理等をする者の平均的な身長に応じた高さに設定されているため、この面位置よりもダイニング側が高くなると、当該ダイニング側に立つ者にとっては負担となる。この場合、段差を小さくして対応することも考えられるが、小さな段差では、前述した特有の問題は一向に解消されない。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、カウンターの上面に段差を設けることなく、コンロやシンクをダイニング側から確実にガードすることができるキッチンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、室内空間を台所側とダイニング側とに仕切る対面式キッチンにおいて、
略フラットとなる上面形状をなすカウンターと、このカウンターに設けられたコンロ及び/又はシンクの近傍に取付部材としての取付棒を前記カウンターに貫通させることにより起立姿勢を維持した状態で固定される仕切部材とを備え、
前記仕切部材は、前記カウンターの上面を台所側とダイニング側とに区分する、という構成を採っている。このような構成によれば、カウンターの上面が略フラットに設けられているため、当該カウンターの成形を容易に行える他、カウンターに食器等を置く領域の制約がない等、使い勝手を改善することができる。しかも、略フラットなカウンターの上面におけるコンロ及び/又シンクの近傍に、前記仕切部材が起立姿勢を維持した状態で取り付けられているため、カウンターの上面に段差を設けなくても、コンロやシンクをダイニング側から確実にガードすることができる。
【0009】
また、本発明は、室内空間を台所側とダイニング側とに仕切る対面式キッチンにおいて、
略フラットとなる上面形状をなすカウンターと、このカウンターに設けられたコンロ及び/又はシンクの近傍に取付部材を介して起立姿勢を維持した状態で固定される仕切部材とを備え、
前記仕切部材は、前記カウンターの上面を台所側とダイニング側とに区分する一方、前記取付部材は、前記仕切部材の下端と前記カウンターの上面との間に隙間を形成可能に設けられる、という構成も採用される。これにより、仕切部材の下端側に掃除用の雑巾やモップ等が入り込み易くなり、仕切部材の下端側とカウンターの上面との間に形成される入隅部分の清掃性を向上させることができる。
【0010】
更に、本発明は、室内空間を台所側とダイニング側とに仕切る対面式キッチンにおいて、
略フラットとなる上面形状をなすカウンターと、このカウンターに設けられたコンロ及び/又はシンクの近傍に取付部材を介して起立姿勢を維持した状態で固定される仕切部材とを備え、
前記仕切部材は、前記カウンターの上面を台所側とダイニング側とに区分する一方、前記仕切部材の下端側は、当該仕切部材の上部側よりも台所側若しくはダイニング側に位置する曲面形状に設けられる、という構成を採っている。このような構成によっても、前記入隅部分の清掃性を向上させることができる。
【0011】
なお、本明細書における「上」、「下」、「左」、「右」、は、特に明示しない限り、対面式となるキッチンを台所側から見た状態を基準として用いられる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1には、本実施例に係る対面式のキッチンの一部概略斜視図が示されており、図2には、前記キッチンの概略平面図が示されている。これらの図において、キッチン10は、図1中手前側となる台所K側と図1中奥行側となるダイニングD側とに室内空間を仕切るように配置されている。このキッチン10は、シンク12(図2参照),コンロ13等が装着されるカウンター15と、このカウンター15を支持する箱型のキャビネット16とを備えて構成されている。なお、本実施例では、前記コンロ13として、上端側に冷却用の吸気口19が装備されたIH式のコンロが用いられている。ここで、吸気口19は、鍋等が載る調理器置き部20の奥行側すなわちダイニングD側に位置するとともに、左右方向に開口する形状に設けられている。また、コンロ13の上方位置には、当該コンロ13側から上昇した煙を室外に排出する排気装置22が設けられている。
【0014】
前記カウンター15は、略フラットとなる上面形状に設けられており、このカウンター15の上面15Aには、当該上面15Aを台所K側とダイニングD側とに区分する一枚のステンレス板等からなる仕切部材としての仕切板26が配置されている。この仕切板26は、当該仕切板26の左右両側及び中央下端側に固定されたステンレス製の取付部材としての取付棒28を介して、すなわち、取付棒28を貫通させることによりカウンター15に取り付けられるようになっている。
【0015】
前記カウンター15の上面におけるコンロ13よりもダイニングD側に位置する部分には、図3中一点鎖線で示される仮想円弧Cに沿う三箇所に、相互に略同一内径を備えた貫通穴30が形成されている。
【0016】
前記仕切板26は、図3に示されるように、前記仮想円弧Cに沿って起立する曲面形状に設けられており、前記吸気口19よりも奥行側すなわちダイニングD側に配置されている。この仕切板26は、コンロ13から排気装置22(図1参照)に向かう排気方向に煙を案内可能な形状及びサイズに設けられている。すなわち、仕切板26は、図4に示されるように、ダイニングD側から台所K側に向かう空気の流れを規制することにより、吸気口19の上方近傍に負圧発生空間Pを形成して負圧傾向に保ち、これによって、前記調理器置き部20に置かれた鍋N等の調理器から上昇する煙がダイニングD側に引き寄せられることになる。
【0017】
前記取付棒28は、図3に示されるように、各下端側が前記各貫通穴30にそれぞれ上方から挿入できるようになっている。各取付棒28は、下部が上部よりも小径となる段付き棒状をなし、上部側に位置する本体部38と、下部側に位置するねじ軸39とにより構成されている。
【0018】
前記本体部38は、図5に示されるように、その外径が各貫通穴30の内径よりも大きく設定されて当該貫通穴30への挿通が規制されるようになっている。また、本体部38の外周には、図6に示されるように、その一部分を軸方向に沿って切り欠くことで仕切板26の固定面42が形成されており、この固定面42に仕切板26を面接触させた状態で溶接することで当該仕切板26が固定される。なお、図3に示されるように、仕切板26の左右両端側に固定される各本体部38,38は、その軸線方向長さが仕切板26の上下幅と略同一に設定されており、仕切板26の中央下端側に固定される本体部38よりも軸線方向長さが大幅に長くなっている。
【0019】
前記ねじ軸39は、図5に示されるように、その外径が貫通穴30の内径と略同一若しくは僅かに小さく設定されており、軸線方向長さがカウンター15の厚みよりも長くなっている。従って、ねじ軸39を貫通穴30にブッシュB等を介して挿通し、本体部38の下端がカウンター15の上面15Aに当接した図5の状態では、ねじ軸39の先端側がカウンタ15―の裏面側に突出することになる。この突出部分に六角ナットや蝶ナット等のナット44をねじ込むことによって、取付棒28がカウンター15に固定され、これによって、仕切板26の起立姿勢が維持される。
【0020】
従って、このような実施例によれば、カウンター15を略フラットとした状態で仕切板26によりコンロ13をダイニングD側からガードすることができ、しかも、仕切板26がカウンター15にねじ止めされるため、仕切板26の不用意なる倒伏や位置ずれが回避され、コンロ13のダイニングD側からのガードを確実に行えるという効果を得る。
【0021】
なお、図7に示されるように、仕切板26の下端とカウンター15の上面15Aとの間に隙間Sを形成可能に取付棒28を設けることもできる。すなわち、ここでは、各取付棒28における段差位置を仕切板26の下端位置よりも下方にシフトさせた状態で各取付棒28が仕切板26に固定されている。このようにすると、仕切板26の下端側とカウンター15の上面15Aとによって形成される入隅部分の清掃も容易に行うことができる。
【0022】
また、前記入隅部分の清掃性を容易に行えるようにするために、仕切板26の形状を図8及び図9に示される形状にすることも可能である。すなわち、仕切板26の下部側を、上部側よりも台所K側に位置する曲面形状のスカート状部46として形成することができる。この際、前記各取付棒28は、ダイニングD側(図8中上側)から仕切板26に固定すればよい。スカート状部46は、仕切板26の上部側よりもダイニングD側に位置する曲面形状としてもよい。
【0023】
また、仕切板26としては、コンロ13の奥行側で左右方向に直線的に延びる平面形状としたもの、或いは、コンロ13の周囲を囲むように平面視略コ字状となる屈曲面形状としたもの等、種々の形状を備えたものを採用することができる。
【0024】
更に、前記実施例では、仕切板26をステンレス材によって形成したが、本発明はこれに限らず、透光性を有する樹脂若しくはガラスによって形成することもでき、また、仕切板26の上端側を上下方向に振幅する波形形状にすることもできる。以上のようにすると、仕切板26の上部に透光領域が形成されることとなり、仕切板26による台所K側での圧迫感を低減することができる。
【0025】
また、前記仕切板26をシンク12の近傍等の別位置に同様に配置することも可能である。
【0026】
更に、仕切板26の取り付け構造は、前記実施例に限らず、仕切板26の起立姿勢を維持できる限りにおいて種々の構造を採用することができる。例えば、前記実施例では、ナット44を用いて取付棒28を固定したが、ナット44を用いることなく単なる挿入のみであってもよい。また、取付棒28を用いることなく吸着盤等を仕切板26の下端に設ける構成等も考えられる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、略フラットとなる上面形状のカウンターに設けられたコンロ及び/又はシンクの近傍に起立姿勢を維持した状態で取り付けられる仕切部材を備え、当該仕切部材によって、前記カウンターの上面を台所側とダイニング側とに区分したから、カウンターの上面側に段差を設けなくても、コンロやシンクをダイニング側から確実にガードすることができる。
【0030】
また、前記カウンターへの取付部材を介して前記仕切部材を支持し、当該仕切部材の下端とカウンターの上面との間に隙間を形成可能に取付部材を設けたから、仕切部材の下端側とカウンターの上面との間に形成される入隅部分の清掃性を向上させることができる。
【0031】
更に、前記仕切部材の下端側を、上部側よりも台所側若しくはダイニング側に位置する曲面形状に設けたから、前記入隅部分の清掃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係る対面式キッチンの一部概略斜視図。
【図2】 前記キッチンの概略平面図。
【図3】 図1の要部分解斜視図。
【図4】 コンロ上の煙を上方に案内する作用を説明するための概略断面側面図。
【図5】 取付棒周辺の要部拡大正面図。
【図6】 図5の平面図。
【図7】 変形例に係るカウンターの要部正面図。
【図8】 他の変形例に係るカウンターの要部平面図。
【図9】 図8のA−A線矢視拡大断面図。
【符号の説明】
10・・・キッチン、12・・・シンク、13・・・コンロ、15・・・カウンター、15A・・・上面、19・・・吸気口、26・・・仕切板(仕切部材)、28・・・取付棒(取付部材)、D・・・ダイニング、K・・・台所、S・・・隙間

Claims (3)

  1. 室内空間を台所側とダイニング側とに仕切る対面式キッチンにおいて、
    略フラットとなる上面形状をなすカウンターと、このカウンターに設けられたコンロ及び/又はシンクの近傍に取付部材としての取付棒を前記カウンターに貫通させることにより起立姿勢を維持した状態で固定される仕切部材とを備え、
    前記仕切部材は、前記カウンターの上面を台所側とダイニング側とに区分することを特徴とするキッチン。
  2. 室内空間を台所側とダイニング側とに仕切る対面式キッチンにおいて、
    略フラットとなる上面形状をなすカウンターと、このカウンターに設けられたコンロ及び/又はシンクの近傍に取付部材を介して起立姿勢を維持した状態で固定される仕切部材とを備え、
    前記仕切部材は、前記カウンターの上面を台所側とダイニング側とに区分する一方、前記取付部材は、前記仕切部材の下端と前記カウンターの上面との間に隙間を形成可能に設けられていることを特徴とすキッチン。
  3. 室内空間を台所側とダイニング側とに仕切る対面式キッチンにおいて、
    略フラットとなる上面形状をなすカウンターと、このカウンターに設けられたコンロ及び/又はシンクの近傍に取付部材を介して起立姿勢を維持した状態で固定される仕切部材とを備え、
    前記仕切部材は、前記カウンターの上面を台所側とダイニング側とに区分する一方、前記仕切部材の下端側は、当該仕切部材の上部側よりも台所側若しくはダイニング側に位置する曲面形状に設けられていることを特徴とすキッチン。
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