JP3657242B2 - X線透過検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はX線透過検査装置に関し、特に、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Scale Package)パッケージのようなLSI(大規模集積回路)を基板に半田付したときの半田接合部をX線により検査するX線透過検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
サブミクロンの微細加工技術によりLSIの高集積化が進み、従来複数のパッケージに分かれていた機能をひとつのLSIに積め込むことができるようになった。BGA/CSPパッケージのLSIは、最近、特に使用されるものになったものであり、必要な機能をワンパッケージに組み込むことで、必要なピン数が著しく増えたことに対して、従来のQFP(Quad Flat Package)やPGA(Pin Grid Array)では対応できなくなったために現れたものである。また、携帯電話機などの超小型化が必要なものでは、ピン数がそれほど必要なくてもBGAパッケージが使用されている。
【0003】
LSIのBGAやCSPパッケージは超小型化には大いに貢献する反面、半田部分が目に見えないという特徴がある。BGAやCSPパッケージを実装したプリント基板を検査するとき、通電検査だけでは信頼性が乏しいため、従来は品質保証としてX線装置で透過画像を見て、その形状から目視にて半田の過多,過少の判断をしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、透過画像の目視判定では、光学顕微鏡画像と異なり、奥行きが判定できないため、不良の中でも半田の過少,半田内の空洞の判定が困難である。このため1個あたり5分〜10分程度の検査時間を必要とし、拭き取り検査しかできない。
【0005】
また、最近の不良傾向として、ゴミの問題がある。ゴミといっても空気中の埃ではなく「部品」である。高速マウンタを使用すると時々部品を飛ばすことがある。特に、高速機のロータリー式の装置では基板を動かすために、搭載した部品が飛んでしまうことがあり、それがLSIの下にもぐり込み、ショート,オープンやLSIの浮となって不良品を作ってしまう場合がある。
【0006】
また、BGA,CSPでは半田ボールが溶けてゴミ(小さい部品)を隠してしまう傾向があり、外観ではLSIの浮によるゴミの噛み込み不良の判別が全くつかない場合がある。
【0007】
図12は半田ボールとプリント基板との接続の良否を示した側面透過図であり、図13は半田ボール同士がショートしている例を上から見た透過図である。
【0008】
図12において、プリント基板1上にLSI2の半田ボールが半田付けされており、(a)に示した例が良品であり、半田ボールとプリント基板1とが適正に接続されている。(b)は隣接する半田ボール同士が半田によりショートしてしまっており、ブリッジと称される。この場合、図13(a)に示すように線状にショートしている例と、(b)に示すように面状にショートしている例がある。
【0009】
図12(c)は半田ボールとプリント基板1との接合面の半田が過多になっており、(d)は逆に半田が過少の例である。(e)は小さい部品がゴミとしてプリント基板1とLSI2との間に入り込んだ例であり、(f)は半田が半田ボールの一方側にずれてしまっている例であり、(g)は半田ボール内に空洞ができるボイドと称される例であり、(h)は半田ボールとプリント基板1とが半田によって接続されていないオープンまたはコールドジョイントと称される例である。
【0010】
図12に示した(a)以外の(b)〜(h)に示した例はそれ自体あるいは後に障害となるおそれがあるので、検査の段階で見つけ出して排除し、LSI2をプリント基板1から取外し、再度プリント基板1に半田付けする必要がある。
【0011】
さらに、メモリボードのようにプリント基板1の両面にびっしり同じパッケージを実装したり、携帯電話機のように大小さまざまな部品が両面に付いていたり、コンデンサだけが裏面に実装していたり、さまざまな両面実装の形式がある。片面の判定は目視によってもある程度行なえるが、両面実装の場合、裏面の画像が重なって見えるため、X線画像の解析が極めて困難となる。
【0012】
目視の場合は、頭の中で裏面の部品の濃さを引いて表面の部品の半田形状を推測するが、コンデンサ1個くらいならともかく、多数の部品がある場合、現実にはその部分は見ていないのと同じになる。
【0013】
それゆえに、この発明の主たる目的は、上面からの一方向だけからの透視画像により、迅速かつ実用的に十分な内容の判定ができ、自動検査に適したX線透過検査装置を提供することである。
【0014】
この発明の他の目的は、両面搭載基板の検査面における裏面の部品画像を自動的に取り除いて検査面だけの検査を可能にしたX線透過検査装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は、大規模集積回路を基板に半田付したときの球状の半田接合部をX線により検査するX線透過検査装置であって、基板上から大規模集積回路の半田接合部にX線を照射するX線源と、半田接合部を透過したX線透過画像を撮影する撮影手段と、撮影手段から出力される半田接合部のX線透過画像から階調画像を作成し、所定レベルで2値化した画像の重心を解析し、基準となる重心と比較して球状の半田接合部と前記基板の接合部とのずれを判別する画像解析手段とを備える。
【0018】
この発明の他の局面は、大規模集積回路を基板に半田付したときの球状の半田接合部をX線により検査するX線透過検査装置であって、基板上から大規模集積回路の半田接合部にX線を照射するX線源と、半田接合部を透過したX線透過画像を撮影する撮影手段と、撮影手段から出力されるX線透過画像を2値化して、半田の塊ごとに重心を求め、半田接合部が正常である場合に形成される球状の各半田接合部が存在するべき場所ごとに領域を設定し、隣接する各領域のそれぞれに重心があれば正常であると判別し、隣接する領域を合わせたときに重心が1つしかないときは隣接する半田接合部同士が短絡されていると判別する画像解析手段とを備える。
【0019】
好ましくは、画像解析手段は判定を行ない、球状の半田接合部と登録されたデータを消去した後、X線透過画像に残された画像があれば、ごみと判定する。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態におけるX線透過検査装置の概略ブロック図である。図1において、LSI2が半田付けされたプリント基板1はステージ3に載置されて図示しない搬送路を介して検査装置内に搬送される。プリント基板1の上下には対向するようにX線源4とカメラ5とが配置される。X線源4はLSI2の上側からプリント基板1にX線を透過させ、カメラ5は透過した半田接合部のX線透過画像を撮影する。
【0023】
X線源4とカメラ5は、XYZ駆動装置6に結合されており、プリント基板1の面に対してXY方向(水平方向)に自在に移動し、かつX線源4とカメラ5との対向する間隔を自在に設定できるようにZ方向(垂直方向)に移動可能に駆動される。X線源4とXYZ駆動装置6はCPU10からインタフェース7を介して制御され、カメラ5の撮像出力はインタフェース7を介してCPU10に与えられる。また、検査結果を表示するためのディスプレイ8がインタフェース7を介してCPU10に接続されている。
【0024】
図2および図3はこの発明の一実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0025】
次に、図1〜3図を参照してこの発明の一実施形態における具体的な動作について説明する。まず、図2に示すように、ステップSP(図示ではSPと略称する)1において、LSI2の半田付けされたプリント基板1が検査装置内に搬送され、ステップSP2においてCPU10はインタフェース7を介してX線源4に指令を与え、X線源4からX線がLSI2の上方からプリント基板1の半田接合部に照射される。ステップSP3においてカメラ5は半田接合部のX線透過画像を撮像し、ステップSP4において階調画像のデジタルデータとして記憶する。
【0026】
ステップSP5において、CPU10は2値化画像から図4に示す透視階調像と階調をグラフ化したものおよび立体を再現した像を作成する。図4(a)は良品の例であり、(b)は半田過少の例である。その画像を3次元透過画像に変換してディスプレイ8に表示する。
【0027】
図5はその半田接合部の3次元透過画像の一例を示す。図5ではプリント基板1に半田付けした半田ボールが斜め上方から見た様子が立体的に表示されている。図6はその立体図の一断面のレベルを示す図である。図6において、aは半田ボールがプリント基板1の接合部から浮いてしまっているオープンまたはコールドジョイントと称される状態であり、bは隣接する半田ボールが短絡しているブリッジを生じている状態であり、cはプリント基板1のパターンや素材によりわずかなレベル変動を生じている様子を示している。
【0028】
ステップSP6において、CPU10は基準レベルで2値化した透視階調像の黒レベルの面積を演算して基準の面積と比較する。基準の面積はサンプル基板を基準レベルで2値化して得られた数値データが予め取得されている。たとえば、図4(a)に示すように良品と判断された半田接合部の透視階調像が基準とされ、この透視階調像の設定したレベルでの2値化黒レベルの面積が基準とされる。
【0029】
CPU10はステップSP7において、半田接合部における透視階調像の設定したレベルでの2値化黒レベルの面積が基準の面積と比較してたとえば115%以上であれば、ステップSP8において半田が過多であると判断される。しかし、透視階調像の黒レベルの面積が115%以下であり、ステップSP9においてたとえば85%以下であることが判別されればステップSP10において半田が過少であると判断される。
【0030】
なお、判断基準とした115%や85%は一例であり、これらの数値に限定されるものではない。
【0031】
次に、半田ボールのずれについて判別する。すなわち、ステップSP11において、半田接合部における透視階調像の設定したレベルでの2値化像の重心が算出され、ステップSP12において算出された重心と設定した基準の重心とが比較されて重心間の距離が直径の40%を越えているか否かが判別され、越えていることが判別されると、ステップSP13において半田ボールがずれていると判断される。
【0032】
ステップSP14において基準画像と入力画像の各半田ボール領域の最も暗い部分を探す。ステップSP15において、基準画像の最も暗い部分の明るさと入力画像の最も暗い部分の明るさを比較して、入力画像の方が10%以上明るいときはステップSP16においてオープンと判断する。図3のステップSP17において、図7に示すX線透過画像の(明るい部分−暗い部分)×10%+暗い部分が算出され、これを判定領域とする。
【0033】
次に、ボイドについて判別する。ボイドは前述の図12(g)で説明したように半田ボール内にできる空洞である。ステップSP18において、明暗の差である(明るい部分−暗い部分)/84によりピッチが求められ、そのピッチで判定領域を暗い部分から順次輪切りし、ボイドがあれば明るい部分(白部分)が現われるのでその白部分を探してその画素の数がカウントされる。ステップSP19において、そのカウント値が所定数以上であるか否かが判別され、所定数以上であればステップSP20においてボイドと判断される。
【0034】
ステップSP21において前述のステップSP18と同様にして輪切りした暗い部分がカウントされて加算され、擬似的な体積が求められる。ステップSP22において、擬似的な体積が基準値以上であるか否かが判別され、基準値以下であればステップSP23においてコールドジョイントであると判断される。
【0035】
次に、ブリッジについて説明する。ステップSP24において、X線透過像に基づいて隣接する各半田ボールごとの小領域を設定したレベルで2値化した後、重心を求める。図14に小領域S1,S2ごとに分割して、それぞれの重心Z0,Z1,Z2を求めた例を示す。連続した一塊の像ごとに、ステップSP25において2値化像の重心があるか否かを判別し、図14(b)に示すように複数の重心Z1,Z2があるときは正常であると判別し、図14(a)に示すように1つの重心Z0しかないときはブリッジと判別する。すなわち、例えば隣接した2つの小領域について重心を求めた後、図14(a),(b)に示すように小領域S1,S2に分割し、各小領域S1,S2に重心が含まれているか否かを判別し、分割した各小領域内に重心が含まれていれば正常であると判別する。隣接した2つの小領域が接続されてしまっている場合は各小領域合わせても1つの重心しか判別されないので、ブリッジであることが判別できる。
【0036】
ステップSP27において、半田ボール画像からスルーホール部などの画像を除外する。そして、ステップSP28において、過多,過少判定のときの半田ボールに関するデータを消去する。ステップSP29において、残されたデータがあるか否かを判別し、残されたデータがあり、そのデータが設定した大きさを越える大きさのとき、ステップSP30においてそれがゴミであると判断する。残されたデータがなければ検査処理を終了する。
【0037】
次に、プリント基板の両面に部品が実装されている場合の半田接合部の検査について説明する。図8(a)に示すようにプリント基板1の一方面にLSI2の半田ボールが半田付けされており、他方面に電子部品20が実装されているとき、X線透過像は図8(b)に示すようにLSIの半田ボールの透過像と電子部品20の透過像とが重なった像となり、重なっている半田ボール同士がブリッジされているのか判断できない。
【0038】
そこで、半田ボールの画像と電子部品20の画像とを分離するための処理が必要になる。その第1の方法は、プリント基板の裏面にのみ部品を実装してX線透過像を先に取得しておき、両面に部品が実装されたプリント基板のX線透過像を得て、先のX線透過像を差し引くことで、表面に部品の実装されたプリント基板のX線透過象を得ることができる。
【0039】
第2の方法として、両面に部品が実装されたプリント基板の画像から表面の部品の画像を取出す方法がある。
【0040】
図9はそのような実施形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図10は画像処理の流れを示す図である。
【0041】
まず、図9に示すステップSP31において、図10(a)に示すようにBGAの半田ボールと裏面に実装された部品との重なった画像が入力され、必要があればステップSP32においてプリント基板の傾きが補正される。ステップSP33において図10(b)の交差する斜線で示す裏面の部品と重なった半田ボールの小領域が指定される。ステップSP34において、重なった領域の画像が削除され、図10(c)に示すように、削除した領域に周辺の半田ボールで補完した完全な形のBGAボールが形成される。そして、図10(b)に示す重なった両面の画像から図10(c)に示す小領域を減算することにより、図10(d)に示すように裏面の部品の画像が作成される。
【0042】
図11は図10に示したプロセスで作成された基準画像を用いた実際の検査工程を説明するためのフローチャートである。ステップSP41において、図8(b)に示すような検査しようとする実際の画像が入力される。ステップSP42において、裏面部品が実装されていない部分の最も四隅のボール位置から予め記憶されてあり、その四隅のボールの重心座標と基準の四隅の重心座標から、検査しようとする画像のボール位置ずれ、角度ずれを補正する。ステップSP43で検査しようとする画像から図10(c)の画像を演算し、検査画像での裏面部品画像を作成する。
【0043】
ステップSP44において、ステップSP33で指定された小領域の画像とステップSP43で作成された画像のずれを算出し、ステップSP45の画像を補正する。そして、ステップSP46において入力画像から移動した画像を減算することにより、一方面に装着された部品のX線透視画像が得られる。この画像に基づいて、ステップSP47において図2および図3に示すフローチャートに基づく処理を実行することにより、半田接合部の検査が行なわれる。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、基板上から大規模集積回路の半田接合部にX線を照射して半田接合部を透過したX線透過画像を撮影し、半田接合部のX線透過画像から階調画像を作成し、その画像から基板の接合部不良を判別することができる。
【0046】
また、画像解析により半田接合部と基板の接合部とのずれ,半田接合部と基板の接合部とが接続されていないこと,半田接合部内に空洞があること,隣接する半田接合部同士が短絡されていること,残された画像があれば、ごみと判定するなど半田接合部の状態を自動検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態におけるX線透過検査装置の概略ブロック図である。
【図2】 この発明の一実施形態における前半の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】 この発明の一実施形態における後半の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】 透視階調像と階調をグラフ化したものおよび立体を再現した像を示す図である。
【図5】 半田接合部の3次元透過画像の一例を示す図である。
【図6】 半田接合部を2値化したレベルを示す図である。
【図7】 半田ボールのX線透過画像を示す図である。
【図8】 プリント基板の両面に部品が実装されている場合の半田接合部の検査について説明するための図である。
【図9】 両面に部品が実装されたプリント基板の画像から表面の部品の画像を取出して基準画像を生成する動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】 基準画像を作成する画像処理の流れを示す図である。
【図11】 図10に示したプロセスで作成された基準画像を用いた実際の検査工程を説明するためのフローチャートである。
【図12】 半田ボールとプリント基板との接続の良否を示した図である。
【図13】 半田ボール同士がショートしている例である。
【図14】 図13(b)の画像に対する小領域分割と2値化像および各重心の例である。
【符号の説明】
1 プリント基板、2 LSI、3 ステージ、4 X線源、5 カメラ、6XYZ駆動装置、7 インタフェース、8 ディスプレイ、10 CPU、20 電子部品。

Claims (3)

  1. 大規模集積回路を基板に半田付したときの球状の半田接合部をX線により検査するX線透過検査装置であって、
    前記基板上から前記大規模集積回路の半田接合部にX線を照射するX線源と、
    前記半田接合部を透過したX線透過画像を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段から出力される半田接合部のX線透過画像から階調画像を作成し、所定レベルで2値化した画像の重心を解析し、基準となる重心と比較して前記球状の半田接合部と前記基板の接合部とのずれを判別する画像解析手段とを備える、X線透過検査装置。
  2. 大規模集積回路を基板に半田付したときの球状の半田接合部をX線により検査するX線透過検査装置であって、
    前記基板上から前記大規模集積回路の半田接合部にX線を照射するX線源と、
    前記半田接合部を透過したX線透過画像を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段から出力されるX線透過画像を2値化して、半田の塊ごとに重心を求め、前記半田接合部が正常である場合に形成される球状の各半田接合部が存在するべき場所ごとに領域を設定し、隣接する各領域のそれぞれに重心があれば正常であると判別し、隣接する領域を合わせたときに重心が1つしかないときは隣接する半田接合部同士が短絡されていると判別する画像解析手段とを備える、X線透過検査装置。
  3. 前記画像解析手段は、前記判定を行なった後、球状の半田接合部と登録されたデータを消去した後、X線透過画像に残された画像があれば、ごみと判定する、請求項1または2に記載のX線透過検査装置。
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