JP3656475B2 - Cmpコンディショナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエーハ等の被研磨材の表面をCMP装置によって研磨する際に用いられる研磨用のパッドをコンディショニングするためのCMPコンディショナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコンインゴットから切り出した半導体ウエーハ(以下、単にウエーハという)の表面を化学的且つ機械的に研磨するCMP装置(ケミカルメカニカルポリッシングマシン)の一例として、図7に示すような装置がある。
ウエーハはデバイスの微細化に伴って高精度かつ無欠陥表面となるように鏡面研磨することが要求されている。CMPによる研磨のメカニズムは、微粒子シリカ等によるメカニカルな要素(遊離砥粒)とアルカリ液や酸性液等によるエッチング要素とを複合したメカノ・ケミカル研磨法に基づいている。
このCMP装置1は、図7に示すように中心軸2に取り付けられた円板状の回転テーブル3上に例えば硬質ウレタンからなるポリッシング用のパッド4が設けられ、このパッド4に対向して且つパッド4の中心軸2から偏心した位置に自転可能なウエーハキャリア5が配設されている。このウエーハキャリア5はパッド4よりも小径の円板形状とされてウエーハ6を保持するものであり、このウエーハ6がウエーハキャリア5とパッド4間に配置されてパッド4側の表面の研磨に供され鏡面仕上げされる。
【0003】
研磨に際して、例えば上述した微粒子シリカ等からなる遊離砥粒が研磨剤として用いられ、更にエッチング用のアルカリ液等が混合されたものが液状のスラリsとしてパッド4上に供給されているため、このスラリsがウエーハキャリア5に保持されたウエーハ6とパッド4との間に流動して、ウエーハキャリア5でウエーハ6が自転し、同時にパッド4が中心軸2を中心として回転するために、パッド4でウエーハ6の一面が研磨される。
ウエーハ6の研磨を行う硬質ウレタン製などのパッド4上にはスラリsを保持する微細な発泡層が多数設けられており、これらの発泡層内に保持されたスラリsでウエーハ6の研磨が行われる。
ところが、ウエーハ6の研磨を繰り返すことでパッド4の研磨面の平坦度が低下したり目詰まりするためにウエーハ6の研磨精度と研磨効率が低下するという問題が生じる。
【0004】
そのため、従来からCMP装置1には図7に示すようにパッドコンディショナ8が設けられ、パッド4の表面を再研削(コンディショニング)するようになっている。
このパッドコンディショナ8は、回転テーブル3の外部に設けられた回転軸9にアーム10を介して電着ホイール11が自転可能に設けられ、回転軸9によってアーム10を回動させることで、回転するパッド4上において自転する電着ホイール11を往復揺動させてパッド4の表面を研削してパッド4の表面の平坦度等を回復または維持し目詰まりを解消するようになっている。
この電着ホイール11は、図8(A)及び(B)に示すように円形板状の台金12上に上面が平面状をなしていて一定幅でリング状の砥粒層13が形成されており、この砥粒層13は例えば図9に示すように台金12上に電気めっきなどによりダイヤモンドやcBNなどの超砥粒14を金属めっき相15で分散固定して構成されている。この金属めっき相15は例えばニッケルなどで構成されている。
尚、砥粒層13の表面には例えば45°等の所定間隔で径方向に凹溝17が形成されており、スラリsや切り粉をこの凹溝17を通して外部に排出することになる。
【0005】
ところで、このような電着ホイール11を用いてパッド4の研削を行う場合、電着ホイール11はパッド4上を少なくともパッド4の半径に相当する距離に亘って往復揺動させる。砥粒層13に分散配置された超砥粒14で研磨するとパッド4の起毛をなぎ倒しつつ切断する。その際、超砥粒14は砥粒層13の表面から超砥粒14の平均粒径の1/3程度しか突出していないために砥粒層13全体がベタ当たりして研削圧力が分散して滑り、パッド4の起毛が切れずに倒されてしまい切れ味が悪く発泡層や超砥粒が目詰まりしやすいという欠点がある。
また他の電着ホイールとして例えば特開平9−19868号公報に記載されてものがある。
この電着ホイールは2〜10個の超砥粒を集合させて1つの島状に配設し、これら島状の超砥粒を研削面である砥粒層の表面に分散配置することで研削時の目詰まりを防ぎ、長期間に亘って研削加工できるようにしたものである。このような電着ホイールでは、台金上の下地メッキ部に2〜10個の超砥粒を電気めっきで一層分仮固定し、その後に台金全体を電気めっきして超砥粒を砥粒層に固着するというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような電着ホイールでは、平坦な台金表面上に超砥粒を電着して固定してなるために、砥粒層の金属めっき相表面とこの表面から突出する超砥粒との高さの差が実質的に超砥粒の平均粒径の1/2以下程度しかない。
そのためにこの電着ホイールをパッドコンディショナとして用いると、被削材がCMP装置1のパッド4等のように発泡層を有する厚さ1.7mm等で軟質の起毛で構成され、その下側に厚さ3.5mm程度のクッション層が配設されているような軟質または柔軟性のある構成を有する場合、超砥粒の平均粒径の1/2以下程度の高低差では砥粒層表面全体がベタ当たりしてしまう。すると研削圧が超砥粒に集中せずに周囲に分散してしまって滑り、起毛が切れずに倒れてしまうために切れ味が悪く発泡層の開口が潰れてしまい、切り粉の排出が不十分になりパッド4が目詰まりし易いという欠点がある。
しかも島状に分散された超砥粒は研削面全体で略格子状に分離配列されているために研削面の内外周部における周速差に起因する超砥粒切れ味の差によって研削抵抗がばらつき、そのため電着ホイールが上下方向に振動して平面バランスが悪いという欠点があった。そのために研削効率と研削精度を低下させるという不具合が生じていた。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて、研削時の振動を抑制して切れ味を向上させたCMPコンディショナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるCMPコンディショナは、砥粒層が中央領域と周辺領域とを備え、中央領域では互いに間隔をおいて複数の略円柱形状の突起部が形成されていて該突起部にそれぞれ複数の超砥粒が金属結合相で装着されてなり、周辺領域ではリング状の凸平面部に超砥粒が金属結合相で装着されてなることを特徴とする。
研削時に、研削面は外周側領域の砥粒層で安定して被削材に接触するために平面バランスが良くて研削時の振動を抑制でき、しかも中央領域の突起部の超砥粒で研削圧が高くて切れ味の良い研削加工ができる。
また突起部に超砥粒を設けたことで突起部と隣接する突起部間の砥粒層底部との高低差が大きくCMP装置のパッド等、比較的軟質の被削材であってもベタ当たりすることなく突起部の超砥粒が被削材に接触して研削することで高い研削圧を維持できて切れ味がよい。
尚、外周側領域の超砥粒は金属結合相中に個別に分散配置されていてもよい。
【0009】
突起部は隣接する突起部間の砥粒層底部からの高さが超砥粒の平均粒径以上としてもよい。
突起部と砥粒層底部とのギャップを超砥粒の平均粒径以上とすることでギャップを大きく確保できてベタ当たりすることなく突起部の超砥粒が高い研削圧を維持できて切れ味がよく、砥粒層底部で研削液等を保持できると共に切り粉の排出性がよく超砥粒の部分に切り粉が目詰まりせず排出性がよい。
また、各突起部に設けられてなる超砥粒は11〜500個とされ、平面視で前記砥粒層の全面積に対する超砥粒の占める割合は20%〜80%の範囲に設定されていてもよい。
超砥粒が11個より少ないとパッドに対する粗研削と仕上げ研削とを連続して実行できず、500個より多いと超砥粒の目詰まりを起こしやすいという欠点がある。また超砥粒の面積が20%より少ないと研削時に超砥粒が脱落するおそれがあって寿命が短くなり、パッド等の被削材に超砥粒がささってウエーハ等を傷つけるおそれがあり、また80%を越えると目詰まりを生じるおそれがある。
【0010】
尚、突起部はコーナR部と頂部とを有する略円柱面状に形成され、これらコーナR部と頂部に超砥粒が配設されていてもよい。
研削時にコーナR部の超砥粒で粗研削を行い、次いで頂部の超砥粒で仕上げ研削を行う。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面により説明するが、上述の従来技術と同一の部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。図1は実施の形態による電着ホイールの研削面である砥粒層を示す平面図、図2は図1に示す電着ホイールの中央縦断面図、図3は図2に示す電着ホイールの部分拡大縦断面図である。
図1及び図2に示す実施の形態による電着ホイール20(電着砥石)は、例えばステンレス等からなる円板形の台金21の略円形をなす一面21a上に砥粒層22が形成されている。砥粒層22は、例えばNiからなる金属めっき相(金属結合相)23中にダイヤモンドやcBNなどの超砥粒14が配置されていて、例えば電気めっきによって製作されている。砥粒層22はその表面が研削面20aであり、中央の略円形領域を中央領域24とし、その外側のリング状領域を周辺領域26とする。
台金21の一面21aにおいて中央領域24に複数の略円柱状の隆起部25…が所定間隔で格子状または網目状に配列形成されており、周辺領域26に例えば幅3mm程度の小幅をなすリング状平坦面の凸平面部27が形成されている。隆起部25…と凸平面部27とは同一高さとされている。
【0012】
中央領域24において、砥粒層22は各隆起部25上にのみ複数の超砥粒14が金属めっき相23で固着され、隆起部25と隆起部25の間は金属めっき相23のみからなる砥粒層底部22aとされ超砥粒14は設けられていない。尚、砥粒層底部22aには金属めっき相23が設けられていなくてもよく、この場合には台金21の表面が露出して砥粒層底部22aを構成する。隆起部25において砥粒層22はその略円柱状の表面に沿って超砥粒14及び金属めっき相23が設けられており、この領域を突起部28とする。
図3に示す突起部28において、台金21の各隆起部25は全周に亘って形成された側壁25c及びコーナR部25aと頂部25bとで形成され、その表面全体に例えば11〜500個の範囲の超砥粒14が金属めっき相23で固着されている。超砥粒14が11個より少ないとパッド4に対する粗研削と仕上げ研削とを連続して実行できず、500個より多いと超砥粒の目詰まりを起こしやすいという欠点がある。
各突起部28は最大直径Dがφ1〜10mmの範囲とし、砥粒層底部22aからの高さHは超砥粒14の平均粒径以上あり、好ましくは平均粒径の2倍以上あるものとし、超砥粒14の平均粒径を1mm以下として例えば0.1mm〜0.7mm程度に設定する。高さHを超砥粒14の平均粒径以上にしたのは、パッド4の研削時に超砥粒14のみがパッド4に接触して研削加工が行われて砥粒層底部22aがパッド4に接触しないようにするためである。尚、各突起部28は同一高さにあるものとする。
【0013】
周辺領域26では、リング状の凸平面部27上に超砥粒14が金属めっき相23で個々に分散固定されており、これらの超砥粒14は突起部28と同一高さHにある。しかも周辺領域26の超砥粒14の集中度は中央領域24の超砥粒14の集中度より高いものとする。
電着ホイール20の平面視で研削面20aの全面積に対する超砥粒14の面積は20%〜80%の範囲に設定する。超砥粒14の面積が20%より少ないと研削時に超砥粒14が脱落するおそれがあって寿命が短くなる上にパッド4に超砥粒14がささってウエーハ等を傷つけるおそれがあり、また80%を越えると電着ホイール20が目詰まりを生じるおそれがある。
【0014】
本実施の形態による電着ホイール20は上述のように構成されており、次に電着ホイール20の製造方法について図4により説明する。
図4(A)において、例えばSUS304等からなる円板形状の台金21の一面21aに関して外周側のリング状周辺領域26を除く円形の中央領域24について、エッチング等で除去して格子状に複数の略円柱状の隆起部25A…を残す。エッチングで除去された部分は底部22Aをなす。具体的には硫酸または硝酸等を高圧ジェットで一面21aに吹き付けたり、電解エッチングまたは放電加工などによって隆起部25A…を残して他の部分を彫り込んでも良い。このようにして図4(B)に示す凸平面部27の内側に隆起部25A…が格子状に残る凹凸面を一面21aに形成する。各隆起部25Aは所定の外径Dと高さH′を備えた略円柱状になる。
次にこの一面21aについてショットブラストやバレル研磨等によって各隆起部25Aのエッジを研磨することで図4(C)に示すコーナR付きで略円柱状の隆起部25を形成する。或いは型成形で図4(C)に示す台金21を形成してもよい。
【0015】
そして超砥粒14の電気めっきに関して図3を参照して説明すれば、凸平面部27と各隆起部25…を除いてマスキングして凸平面部27と各隆起部25の全面に例えばNi(Cu、Cr等でも良い)からなる薄層の下地めっきを下地めっき層23a、23bとして施す。次いで電気めっきによって下地めっき層23a、23b上に複数の超砥粒14を例えばNi(Cu、Cr等でも良い)からなる第一金属めっき相23c,23dによって固着する。そして、一面21aからマスキングシートを剥離して電気めっきによって全面に再度例えばNi(Cu、Cr等でも良い)からなる第二金属めっき相23e、23fを形成する。
或いはマスキングしたままで凸平面部27と隆起部25にのみ第二金属めっき相23e,23fを形成してもよく、この場合凹部をなす砥粒層底部22aには金属めっき相23は形成されない。
このようにして下地めっき層23a、23b、第一及び第二金属めっき相23c、23d、23e、23fからなる金属めっき相23でそれぞれ超砥粒14が隆起部25及び凸平面部27に固着された図3及び図4(d)に示す砥粒層22が形成され、電着ホイール20が形成される。
この場合、突起部28の間隔を適当に設定することによって周辺領域26の超砥粒14の集中度を中央領域24の超砥粒14の集中度より高く設定できる。或いは別の製法として、隆起部25…と凸平面部27の一方を交互にマスキングすることで別々に電気めっきしてもよい。この場合にめっき液中の超砥粒14の添加量を増減調整すれば、周辺領域27と中央領域24の集中度を異なるように調整できる。
また台金21の隆起部25及び凸平面部27に下地めっき層を施すことなく電気めっきで直接砥粒層23を形成し、これとは別にマスキングを除去して底部22Aに電気めっきを施して砥粒層底部22aを形成するようにしてもよい。
尚、電着ホイール20の直径を例えば101mmとして周辺領域26の幅を例えば約3mm以下に設定する。
【0016】
本実施の形態による電着ホイール20は上述の構成を備えており、図7に示すCMP装置1のアーム10に電着ホイール20を装着した状態で、パッド4のコンディショニングを行うに際して、回転する回転テーブル3上のパッド4に対してアーム10を揺動させることで自転する電着ホイール20を往復揺動させ、パッド4を研削してその平坦度を回復または維持させる。
研削に際して電着ホイール20の中央領域24の各突起部28ではまずコーナR部25aの超砥粒14でパッド4の粗研削を行い、続いてコーナR部25aに続く頂部25bの超砥粒14で仕上げ研削を行うことができる。しかも研削に際して超砥粒14は隆起部25の側壁およびコーナR部25aから頂部25bに沿って固着されており、砥粒層22の研削面20a全体がパッド4に接触してベタ当たりすることもなく突起部28の超砥粒14でのみ接触して研削が行われるために超砥粒14にかかる研削圧力を高く維持できて切れ味が良い。
そのため、パッド4の発泡層の開口がきれいに切断され開口が潰れることがないので、スラリsの保持能力を高く維持できる。しかも研削面20aの大部分を占める中央領域24でベタ当たりしないために研削時に発泡層内部のスラリsがはじき出されることがなく水分を含んだ状態で研削が行われる。
【0017】
また突起部28のコーナR部25aの一部の超砥粒14が摩耗したとしても残りのコーナR部25aの超砥粒14で研削を続けることができ電着ホイール20の寿命を向上できる。
更に研削時に突起部28の超砥粒14でのみパッド4に接触して砥粒層底部22aはパッド4に接触しないから、突起部28と突起部28の間の砥粒層底部22aに研削液(例えば純水等)を留めることができ、しかも砥粒層底部22aを通して切り粉等を排出することができる。
そして研削面20aの周辺領域26では中央領域24より超砥粒14の集中度が高いために研削時の電着ホイール20の安定度が高く、電着ホイール20が上下方向に揺動して振動することが少なく平面バランスがよくなる。また周辺領域26に適宜設けた凹溝17から切り粉等を外部に排出できる。
周辺領域26は超砥粒14と金属めっき相23との高低差が超砥粒14の平均粒径の約1/3程度であって集中度が高いから研削時にベタ当たりし易いが、周辺領域26の幅を例えば約3mm以下に設定してあるから、超砥粒14が目詰まりしたとしても切れ味に与える影響は小さく、中央領域24での研削性能にはほとんど悪影響を与えない。
【0018】
次に本発明の実施例による電着ホイール20によってパッド4を研削した状態を図5に示す。図5はパッド4表面の500倍の写真である。図において、パッド4の表面は発泡層の開口kがつぶれることなくきれいに切断されて平坦度を回復できている。これによれば、パッド4の発泡層内にスラリs等を十分滞留させることができる状態でパッド4の平坦度が回復されている。
これに対して上述の従来例の構成による電着ホイールでは、平坦な台金上の下地めっき層に超砥粒14を電気めっきで島状に固着させ、砥粒層底面との高低差が超砥粒14の平均粒径以下とされており、これでパッド4を研削した状態を図6に示す。図6はパッド4表面の500倍の写真である。これによれば、砥粒層の研削面がほぼベタ当たりしているためにパッド4の表面の起毛がなぎ倒され、発泡層の開口kがかなり潰れて目詰まりしており、切れ味が悪く発泡層の状態も悪くスラリsの保持能力が不十分となりパッド4の加工性が悪くなる。
またパッド4を45rpmの周速度で回転させた状態で電着ホイールを56rpmで自転させ速度200mm/secで往復揺動させた場合の振動を、実施例によるものと超砥粒を全体に島状に配設した従来例によるものとについてそれぞれ5回測定した。これによれば、実施例による電着ホイール20では、平均0.05G程度の振動が測定できた。これに対して従来例による電着ホイールでは振動が0.1〜0.3Gであり、平均0.2Gであった。
【0019】
上述のように本実施の形態によれば、電着ホイール20の周辺領域26でパッド4に接触して平面バランスを良好に保てるために研削時の振動を抑制できる。
しかも中央領域24では砥粒層底部22aはパッド4に接触せず突起部28の超砥粒14のみがパッド4に接触して研削するために、超砥粒14にかかる研削圧力が高く粗研削から仕上げ研削まで連続して行えて切れ味がよく、パッド4の発泡層の開口がつぶれることなくきれいに研削できる。また超砥粒14に切り粉が残ることがなく目詰まりせず切り粉の排出性が良い。しかも突起部28,28間の砥粒層底部22aで研削液を保有できて、パッド4のコンディショニングを乾式にすることなく湿式研削のための良好な水分保有状態に維持して行える。
【0020】
尚、電着ホイール20によるコンディショニングに際しては、電着ホイール20をコンディショナ8のアーム10に代えてウエーハキャリア5に装着してもよく、この場合パッド4に対して偏心した位置で電着ホイール20を回転させつつパッド4を研削することになる。この場合、電着ホイール20の回転中心付近は周速が小さく研削能力が低いから回転中心付近の突起部28を切除して形成してもよい。
【0021】
また、中央領域24における突起部28の配列は格子状または網目状に代えて同心円状、螺旋状等適宜の配列形状を採用できる。
尚、金属結合相は金属めっき相23等の電着によらずメタルボンドで超砥粒を保持させてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るCMPコンディショナは、砥粒層の表面が中央領域と周辺領域とからなり、中央領域では互いに間隔をおいて複数の略円柱形状の突起部が形成されていて該突起部にそれぞれ複数の超砥粒が金属結合相で装着されてなり、周辺領域ではリング状の凸平面部に超砥粒が金属結合相で装着されてなるので、研削面は外周側領域の超砥粒で安定して被削材に接触するために平面バランスが良くて研削時の振動を抑制でき、しかも中央領域では突起部と隣接する突起部間の砥粒層底部との高低差が大きくCMP装置のパッド等比較的軟質の被削材であってもベタ当たりすることなく突起部の超砥粒が被削材に接触して研削することで高い研削圧を維持できて切れ味がよい。
【0023】
突起部は隣接する突起部間の砥粒層底部からの高さが超砥粒の平均粒径以上としたから、高低差を大きく確保できてベタ当たりすることなく突起部の超砥粒が高い研削圧を維持できて切れ味がよく、砥粒層底部でスラリ等の水分を保持できると共に切り粉の排出性がよく超砥粒の部分に切り粉が目詰まりせず排出性がよい。
また、各突起部に設けられてなる超砥粒は11〜500個とされ、平面視で前記砥粒層の全面積に対する超砥粒の占める割合は20%〜80%の範囲に設定されているから、パッドに対する粗研削と仕上げ研削とを連続して実行でき超砥粒の目詰まりや被削材の損傷を起こしにくいという利点があり、超砥粒が11個より少ないとパッドに対する粗研削と仕上げ研削とを連続して実行できず、500個より多いと超砥粒の目詰まりを起こしやすいという欠点がある。また超砥粒の面積が20%より少ないと研削時に超砥粒が脱落するおそれがあって寿命が短くなり、パッド等の被削材に超砥粒がささるおそれがあり、また80%を越えると目詰まりを生じるおそれがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による電着ホイールの研削面の平面図である。
【図2】 図1に示す電着ホイールの中央縦断面図である。
【図3】 図2に示す電着ホイールの中央領域と周辺領域の部分拡大断面図である。
【図4】 (A)、(B)、(C)、(D)は実施の形態による電着ホイールの製造工程を示すものである。
【図5】 実施の形態による電着ホイールで研削したパッドの一部分を示す500倍の写真である。
【図6】 従来例の構成を有する電着ホイールで研削したパッドの一部分を示す500倍の写真である。
【図7】 従来のCMP装置の要部斜視図である。
【図8】 図7に示す電着ホイールの(A)は部分平面図、(B)は(A)のA−A線縦断面図である。
【図9】 図8に示す砥粒層の部分縦断面図である。
【符号の説明】
14 超砥粒
20 電着ホイール
21 台金
22 砥粒層
23 金属めっき相
24 中央領域
25 隆起部
25a コーナR部
25b 頂部
26 周辺領域
28 突起部
Claims (3)
- 砥粒層が中央領域とその外周側の周辺領域とを備え、前記中央領域では互いに間隔をおいて複数の略円柱形状の突起部が形成されていて該突起部にそれぞれ複数の超砥粒が金属結合相で装着されてなり、前記周辺領域ではリング状の凸平面部に超砥粒が金属結合相で固定されてなることを特徴とするCMPコンディショナ。
- 前記突起部は隣接する突起部間の砥粒層底部からの高さが超砥粒の平均粒径以上とされていることを特徴とする請求項1記載のCMPコンディショナ。
- 前記各突起部に設けられてなる超砥粒は11〜500個とされ、平面視で前記砥粒層の全面積に対する超砥粒の占める割合は20%〜80%の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のCMPコンディショナ。
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