JP3655552B2 - 湿し水供給装置および印刷装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、印刷版に対し湿し水を供給する湿し水供給装置および湿し水供給装置を備える印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷においては、印刷版上の親水性である非画線部に湿し水を供給し、親油性である画線部に対しインキを供給することによって印刷版上にインキ画像を形成し、このインキ画像をブランケットなどを介して印刷用紙上に転写するようにしている。このため平版印刷装置には、印刷版上に湿し水を供給する湿し水供給装置が備えられている。この湿し水供給装置としては、水着けローラにより湿し水を均一に塗布する方式と複数の噴霧ノズルから湿し水を噴射塗布する方式とが一般的である。例えば後者の例では、特開平5−330009号に記載の技術がある。上記公報の技術では印刷装置の印刷速度に対応して湿し水量を可変するようにしているが、印刷版面に対しては湿し水を均一に塗布するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的なオフセット印刷では、湿し水量が不足すると本来インキがのらなくてもよい部分にまでインキがのってしまう、いわゆる「インキ絡み」という現象が生じてしまい印刷品質上好ましくない。また湿し水量が多すぎると印刷濃度が下がり、乾燥すると素抜けの網点になってしまう、いわゆる「水入り」という現象が生じてしまって、これも好ましくない。従って、従来のオフセット印刷では適切な湿し水量の調整が必要であった。
【0004】
ところが、印刷版面の画像領域には各領域毎に画線部・非画線部の割合(画像面積または画像濃度)が異なり、各々の領域では消費する湿し水量が異なる。特に印刷版面上の各領域の画像面積率が大きく異なる絵柄であれば、適切な湿し水量を調整することが困難であり印刷版面上に均一な量の湿し水を供給しても各領域毎に湿し水量に過不足の状態が生じる可能性がある。
【0005】
本発明では、上記課題を解決するためになされたものであって、印刷版上の所定の領域毎に湿し水量を可変して供給する湿し水供給装置、ならびに当該湿し水供給装置を備えた印刷装置を提供することにあり、特に湿し水の可変方向として版胴軸線方向のみならず版胴の回転方向にも可変することによって印刷版面上の画像面積に応じた2次元的な湿し水量の可変が可能な湿し水供給装置、ならびに当該湿し水供給装置を備えた印刷装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、版胴の周面に備えられた印刷版面に対し湿し水を供給する湿し水供給装置であって、印刷版面に対して略均一に規定量の湿し水を供給する第1の湿し水供給手段と、画像データに基づいて1滴単位で湿し水を吐出可能なインクジェットヘッド形式であり、印刷版面の軸線方向に沿った所望の位置に対し選択的に湿し水を追加供給する第2の湿し水供給手段と、を備え、前記第1の湿し水供給手段による規定量の湿し水量と、前記第2の湿し水供給手段による追加の湿し水量との合計によって印刷版面上の画像に応じた湿し水量を供給することが可能なことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の湿し水供給装置であって、前記第2の湿し水供給手段は、前記インクジェットヘッドから吐出される湿し水吐出量を版胴軸線方向ならびに版胴の回転方向に対して制御する制御手段、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の湿し水供給装置であって、前記印刷版上の画像に対応する画像データに基づいて湿し水を供給するための湿し水供給用画像データを演算し、当該湿し水供給用画像データの湿し水画像濃度が前記第1の湿し水供給手段の規定量に対応する湿し水画像濃度を越える分について、前記第2の湿し水供給手段から追加の湿し水を供給するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、版胴上に装着した印刷版に対し湿し水およびインキを供給し、印刷版面上のインキ画像を印刷用紙に転写して印刷を行う印刷装置であって、印刷版面に対して略均一に規定量の湿し水を供給する第1の湿し水供給手段と、画像データに基づいて1滴単位で湿し水を吐出可能なインクジェットヘッド形式であり、印刷版面の軸線方向に沿った所望の位置に対し選択的に湿し水を追加供給する第2の湿し水供給手段と、を備え、印刷版面上には、前記第1の湿し水供給手段による規定量の湿し水量と、前記第2の湿し水供給手段による追加の湿し水量との合計した湿し水の供給が可能とされており、前記版胴の回転にともない吐出される湿し水吐出量を可変とすることにより、印刷版面上の所望の部位に対して2次元的に湿し水量を可変供給するものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の印刷装置であって、前記第2の湿し水供給手段は、前記インクジェットヘッドから吐出される湿し水吐出量を版胴軸線方向ならびに版胴の回転方向に対して制御する制御手段、を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の印刷装置であって、前記印刷版上の画像に対応する画像データに基づいて湿し水を供給するための湿し水供給用画像データを演算し、当該湿し水供給用画像データの湿し水画像濃度が前記第1の湿し水供給手段の規定量に対応する湿し水画像濃度を越える分について、前記第2の湿し水供給手段から追加の湿し水を供給するようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の印刷装置であって、前記画像データに基づいて版胴上に保持された印刷版に対し画像を記録する画像記録手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の印刷装置であって、前記湿し水吐出ヘッドの解像度は前記印刷版記録手段の解像度よりも粗いことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、この発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る湿し水供給装置を備えた印刷装置の一例を示す側面概要図である。図において、印刷装置は、印刷版を保持する版胴1と、版胴1に対し当接するブランケット胴2と、ブランケット胴2に対し当接する圧胴3と、圧胴3に対し印刷用紙を給紙する給紙胴4ならびに圧胴3から印刷用紙を受け取る排紙胴5と、給紙胴4に印刷用紙を給紙する給紙部6と、排紙胴5から印刷用紙が排紙される排紙部7と、前記版胴1に対し印刷版を供給または排出する給排版部8と、版胴1上の印刷版に対し画像を記録する画像記録部9ならびに画像が記録された印刷版を現像する現像部10と、印刷版に対し湿し水を供給する湿し水供給部11と、印刷版に対しインキを供給するインキ供給手段12と、上記印刷装置の各部を制御する制御部13と、を備える。
【0019】
版胴1は、その周面に異なる色の2色分の印刷版を装着可能な周面を有し、その周面には印刷版を装着する図示しない咥え手段を備える。この版胴1は、印刷時には図示しない印刷用モータにより他の胴2〜5と共通して回転駆動され、製版時には図示しない製版用モータにより単独的に回転駆動されるように構成されており、両モータからの駆動を選択的に伝達するための図示しないクラッチ手段が備えられている。
【0020】
ブランケット胴2は版胴1と同径であり、その周面に2色分のブランケットを備える。ブランケット胴2は印刷時には版胴1と当接して回転し、版胴1上の印刷版から2色分のインキ画像を転写するように構成されている。
【0021】
圧胴3は、前記版胴1やブランケット胴2の半分の直径であり、その周面には1枚の印刷用紙を装着可能な咥え手段を備えている。圧胴3は、印刷時にはブランケット胴2と当接して回転し、ブランケット胴2が1回転する間に2回転して、異なる2色分のインキ画像を印刷用紙に重ね刷りすることが可能である。
【0022】
給紙胴4および排紙胴5は、前記圧胴と同径であり、各々圧胴との間で印刷用紙を受け渡し可能な咥え手段を備えている。なお、この印刷装置では圧胴の2回転毎に印刷用紙の給排を行うため、給紙胴4と排紙胴5とが各々圧胴3と印刷用紙を受け渡すのは2回転毎に行われる。
【0023】
給紙部6は、シート状の印刷用紙が積載されたパイルから印刷用紙を1枚ずつ取り出して前記給紙胴へ供給する給紙装置であって、本実施の形態では給紙胴4の2回転毎に1枚の印刷用紙を供給する。同様に排紙部7は、前記排紙胴5から印刷用紙を受け取って順次パイル上に排出する装置であって、排紙胴5の2回転毎に1枚の印刷用紙を受け取って排紙を行う。
【0024】
給排版部8は、未使用のシート状印刷版を貯蔵しておいて版胴1へ供給するとともに、使用した印刷版を版胴1から剥離して再収納する装置である。なお本実施の形態では、各々1色分の画像を記録可能な独立した2枚の印刷版を版胴1上に対し保持するようにしているが、2色分の画像領域を記録可能な連続した1枚の印刷版を版胴1上に保持するようにしてもよい。また給排版部8としてはロール状の印刷版を適宜切断して印刷版上に装着するものであってもよい。さらに版胴内にロール状の印刷版を内蔵しておき、必要な分だけ版胴1の周面に繰り出す形式であってもよい。
【0025】
画像記録部9は、版胴1上に保持された印刷版に対し画像を記録する装置であって、本実施の形態では銀塩感光材料の印刷版に対しレーザ露光により画像を記録する。画像記録部9は、版胴の軸線方向に沿って列んだ複数のレーザ照射手段を備えた露光ヘッドを有し、各レーザ照射手段は、元画像データをRIP処理して得られた2値の画像データに基づいて各画素(ドット)毎にon/off制御される。そして当該露光にともない、版胴1が前記製版用モータにより回転駆動するとともに露光ヘッドを版胴の軸線方向に移動させて印刷版上に画像を記録するように構成されている。
【0026】
なお本発明では、前記画像データに基づいて露光された部位が親水性の非画線部になるポジタイプの印刷版でも、これとは逆に露光された部位が親油性の画線部になるネガタイプの印刷版であっても実施することができる。また本実施例では、画像記録部9はレーザ露光により画像を記録する形式であるが、熱溶融、熱転写、レーザ加工、アブレーション加工、放電加工、インクジェット製版などのその他の画像記録方式により製版を行うものであってもよい。
【0027】
現像部10は前記レーザ露光により画像が記録された印刷版に対し現像処理を行う装置であり、印刷版に対し現像液などの処理液を順次印刷版に対し塗布するよう構成されている。なお前記画像記録部9が、熱溶融、熱転写、レーザ加工、アブレーション加工、または放電加工などにより画像を記録するものであって銀塩感材における現像処理が不要な画像記録方法であれば、現像部10は不要である。
【0028】
湿し水供給部11は、図2を用いて説明する。なお図2は版胴1と湿し水供給部11との対応関係を示す説明図である。図において、湿し水供給部11は、版胴1の軸線方向(図2の紙面左右方向)に沿って配置された複数の吐出素子群からなるインクジェットヘッド20と、吐出された湿し水をならすために印刷版面に対し接離移動可能なならしローラ21とで構成されており、当該インクジェットヘッド20の描画解像度は前記画像記録部9よりも粗い解像度でよい。
【0029】
なお本願明細書では、前記インクジェットヘッド20は湿し水を吐出することに利用され、インク(インキ)自体は吐出しないが、一般的な表現で理解しやすいようにインクジェットヘッドと表現している。また、インクジェットヘッド20は湿し水を1滴単位(1画素単位)で吐出することが可能であればよく、例えばピエゾ駆動型やサーマル駆動型などいずれの形式でも利用可能である。またインクジェットヘッド20は、1滴の湿し水の吐出量を中間的な階調で可変可能なものであってもよい。
【0030】
この実施の形態では、インクジェットヘッド20は印刷版Pの横幅サイズをカバーするように版胴軸線方向に沿って配置されている。ただし使用するインクジェットヘッド20が短いものであれば、複数のインクジェットヘッド20を直列または千鳥状に接続して前記印刷版Pの幅サイズまで延設するようにしてもよい。また複数のインクジェットヘッド20を版胴軸線方向に沿って並列するようにして、それぞれのインクジェットヘッドを関連づけて制御するようにしてもよい。
【0031】
なおインクジェットヘッド20は共通する湿し水貯留タンク22から湿し水が供給されるように配管されている。この湿し水貯留タンク22は、水自体またはアルコールや防腐剤などの種々の薬品が添加された水を湿し水として貯留し、必要により循環、温度調節、濾過、種々の薬品の添加調整などを行う機構を備えている。
【0032】
図1に戻って、2つのインキ供給手段12は版胴1上の対応する印刷版に対し、それぞれ異なる色のインキを供給する装置であって、一般的なインキ壷手段ならびにインキを練って伝達する複数のインキローラとからなる。このインキローラの最終インキ着けローラは版胴上の印刷版に対し選択的に当接するよう図示しないカム機構による昇降手段が備えられている。
【0033】
制御部13は、上記湿し水供給部11を含む印刷装置の各部を制御する制御手段として電気的に接続されたコンピュータシステムであって、各種入力手段、記憶手段、表示手段などを備える。また制御部13は前記画像記録部9に対する画像データの送信や各種処理等を行うとともに、本発明に係る湿し水供給動作において画像データに対し種々の演算等の処理も行う。すなわち制御部13は画像データから必要な湿し水量を演算する演算手段等としても機能する。
【0034】
次に本実施の形態に係る印刷装置の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。なお、図3(A)は印刷作業全体のフローを示し、図3(B)は湿し水の供給動作のフローを示す。図において、まず印刷作業が開始されると、ステップS1では印刷装置上で各種初期設定がなされる。例えば、印刷作業に使用する画像データの選定や、各部機構のプリセットなどである。
【0035】
ステップS2では、給排版部8から取り出された2枚の印刷版Pが順次版胴1上の対向する位置に装着される。続くステップS3では、画像記録部9によって2つの印刷版Pに対し画像が記録される。そしてステップS4では現像部10が版胴1に対し接近し、記録された2つの印刷版Pに対し現像処理が行われる。現像処理後、当該現像部10は版胴1より待避する。
【0036】
ステップS5では、印刷作業が行われる。この印刷作業では、まず版胴1上の2つの印刷版に対し湿し水供給部11から湿し水が供給される。この湿し水供給手順の詳細については後述する。次に2つのインキ供給手段12により、それぞれ対応する印刷版に対し選択的にインキが供給される。この印刷版P上の2色分のインキ画像はブランケット胴2に転写される。一方、圧胴3には、給紙部8および給紙胴4から印刷用紙が給紙され、前記ブランケット胴2に対し当接して2回転する。これにより圧胴3上の印刷用紙には2色分のインキ画像が順次重ね刷りされる。そして圧胴3から排紙胴5および排紙部7を介して2色印刷が行われた印刷用紙が排出される。この印刷作業では上記工程が繰り返され、所望枚数の印刷が行われる。
【0037】
印刷作業が終了すると、ステップS6では使用した印刷版が版胴1上から剥離され、給排版部8に再収容される。そしてステップS7でブランケット洗浄やインキ洗浄などの処理がなされて全体作業が終了する。もちろん作業を終了せずに、別の印刷作業を継続して行っても良い。
【0038】
上記実施の形態では、印刷用紙に対し2色印刷を行う例を示したが、例えば一般的な4色印刷を行う場合にも適用できる。具体的には、前記版胴1、ブランケット胴2、圧胴3、給紙胴4、排紙胴5等と同じ構成の第2の印刷ユニットを備え、最初の印刷ユニットで2色印刷した印刷用紙を図示しない渡し胴などによって次の印刷ユニットへ供給し、続けて次の2色印刷を行えば、総計4色の多色印刷が行える。また6色以上の印刷も同様である。さらに各印刷ユニット間に印刷用紙の表裏を反転する反転装置を備えれば、両面印刷も実施することができる。
【0039】
次に、本実施の形態における湿し水の供給手順について図3(B)を用いて説明する。まずステップS11では、印刷版上の画像に対する元画像データを用いて湿し水供給に用いるための画像データを演算する。ここで以後、この湿し水供給に用いるための画像データを湿し水供給用画像データと言い、この湿し水供給用画像データは必要な湿し水量を便宜的に湿し水の画像濃度として表すものとする。
【0040】
この演算では、印刷版上の画像に比べて湿し水の供給が低解像度で行われるため、前記元画像データを解像度変換して湿し水供給用画像データを作成する。この際、湿し水供給用の画像データは元画像データに対し反転して変換される。すなわち元画像データはインキの画像濃度を表すものであり、前記湿し水の画像濃度はインキの画像濃度に略相反するように供給されるのが好ましいためである。なお、この湿し水供給用画像データは印刷装置より上流の画像データ作成装置などで作成されてもよい。
【0041】
次のステップS12では、前記湿し水供給用画像データにおける湿し水の画像濃度値を誤差拡散法やデイザ法などにより面積階調に変換する。この面積階調への変換には予め湿し水画像濃度と実際の湿し水量との相関関係を実験的に求めておいて変換率を定めるようにしている。これにより湿し水の画像濃度が湿し水の画素の個数により表現される。ステップS13では得られた面積階調に基づいて版胴の回転にともない湿し水が適宜のタイミングで吐出制御される。これにより湿し水濃度の高いところには湿し水画素が多数吐出され、湿し水濃度の低いところには湿し水画素が少なく吐出されるので、必要な湿し水が供給できる。なお解像度が低くてインクジェットヘッド20から吐出された湿し水が不均一になる場合は、湿し水吐出後の印刷版面をならしローラ21等でならすようにしてもよい。
【0042】
一方、上記の湿し水用画像データは元画像データを階調変換して得た多階調の画像データを用いているが、画像記録部9で印刷版の作成時に用いられたRIP処理済みの2値の画像データを用いるようにしてもよい。この場合は、例えば所定の領域毎に画素数を計数して必要な湿し水の画像濃度を演算するようにしてもよい。またビットマップ形式の画像データを反転して、湿し水を吐出するようにしてもよい。さらに、印刷装置のインキ供給量の設定に用いられるCIP3規格のPPFデータを用いる場合であれば、所定の領域毎に必要なインキ量が演算可能であるから、このインキ量に相対して湿し水供給量を演算するようにしてもよい。
【0043】
以上の実施の形態によれば、インクジェットヘッドなどの湿し水吐出手段を用いて湿し水を供給するため印刷版上の画像に対応して正確な量の湿し水が供給できる。これにより印刷品質を向上させることができる。特に本実施の形態の印刷装置のように印刷版に画像を記録する画像記録装置を備えた印刷装置では、画像データを流用して湿し水量を調整することができるので好適である。さらに、本願実施の形態の印刷装置のように版胴上に2版を保持する形式の印刷装置では湿し水が非接触で供給できるため、貯留された湿し水に対して異なる色のインキの混入がなく湿し水供給装置を1個で兼用できるという利点もある。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に図4ないし図6を用いて第2の実施の形態について説明する。なお図4ないし図6はそれぞれ図1ないし図3に対応する図であって、図4は印刷装置の側面概要図、図5は湿し水供給部と坂胴との関係を示す図、図6は湿し水供給手順のフローチャートである。なお第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付与して詳細な説明は省略する。
【0045】
図4において、この第2の実施の形態では、湿し水供給部30が、各々対応する印刷版に対し均一に湿し水を供給する第1の湿し水供給手段31と、追加の湿し水を供給する第2の湿し水供給手段32と、からなる点が第1の実施の形態と相違する。この第2の実施の形態では、第1の湿し水供給手段31により印刷版面に対し略最小限度必要な量の湿し水を均一に供給するとともに、印刷版上において湿し水を多く必要とする部位では第2の湿し水供給手段32により追加の湿し水を供給するものである。以下、この詳細について説明する。
【0046】
第1の湿し水供給手段31は、水舟内に貯留した湿し水を水元ローラで汲み上げて対応する印刷版面に対して水着けローラで塗布する一般的な構成になっている。この第1の湿し水供給手段31は版胴1上の2つの印刷版に対応するように2セット配置されており、それぞれの水着けローラは対応する印刷版に対し選択的に当接するように図示しないカム機構により版胴に対し昇降するように構成されている。この第1の湿し水供給手段31では、各印刷版に対し均一な規定量の湿し水を塗布することができる。
【0047】
第2の湿し水供給手段32は、図5で示すようにインクジェットヘッド33から構成されており、このインクジェットヘッド33は当該幅サイズが印刷版P上の画像領域Rをカバーするように構成されている点が前記第1の実施の形態と相違する。これに対し図2に示すように、第1の湿し水供給手段は前記第1の実施の形態におけるインクジェットヘッド20と同様に印刷版のほぼ全幅をカバーするように配置されている。これは印刷版左右両端の余白部への水着けを行うためである。なお図2では、便宜上、第1の湿し水供給手段31と第2の湿し水供給手段32とを図の縦方向に並べて図示してある。
【0048】
また、この第2実施の形態では第1の湿し水供給手段と第2の湿し水供給手段で使用する湿し水貯留タンク22、22’を別々に分離している。これは第2の湿し水供給手段32で使用する湿し水は、吐出に適した種々の処理、防腐処理や濾過処理等を行うためであり、また第1の湿し水供給手段31には水着けローラの接触によりインキが混入し、これがインクジェットヘッドの目詰まりの原因になる可能性があるためである。
【0049】
次に図6を用いて、第2の実施の形態における湿し水供給手順について説明する。まずステップS21では、ステップS11と同様に湿し水供給用画像データが演算される。前述したように、この湿し水供給用画像データは、印刷版面上における湿し水の画像濃度を示すものである。
【0050】
次のステップS22では、前記湿し水供給用画像データにおける各湿し水画像濃度から第1の湿し水供給手段31で供給される規定量の湿し水に対応する湿し水画像濃度分を減算する。ここで差分演算後の湿し水画像濃度が0以下であれば、該当する湿し水画像濃度を0とし、第2の湿し水供給手段32による追加の湿し水は必要でない。すなわち該当領域は第1の湿し水供給手段31による供給で湿し水量は足りていることになる。これに反し、差分演算後の湿し水画像濃度が0以上であれば、得られた差分に対応して第2の湿し水供給手段32により湿し水を追加する必要がある。
【0051】
ステップS23では、前記湿し水画像濃度の差分量に基づいて、前記ステップS12と同様に面積階調に変換する。そしてステップS24では、得られた面積階調に基づいて第2の湿し水供給手段32から湿し水供給がなされる。
【0052】
以上のように第2の実施の形態では第1の湿し水供給手段31を併用しているため、インクジェットヘッド33の吐出回数を第1の実施の形態に比べて少なくすることができる。従って、例えば一般的なカラープリンターなどにおいて1ノズルあたり数十億ドットの吐出が限界と言われるヘッドの寿命を少しでも長くすることができる。さらにインクジェットヘッド33の長さも画像領域Rに対応するだけでよいので第1の実施の形態に比較すれば短くすることができる。
【0053】
なお第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、第2の湿し水供給手段は印刷版を記録した際のビットマップ形式の画像データそのものに基づいて湿し水を吐出するようにしてもよい。
【0054】
[その他の実施の形態]
前記第2の実施の形態では、仕事内容に応じて適宜いずれかの湿し水供給手段を選択的に使用するようにしてもよい。例えば、それほど印刷品質を問わない仕事や試し刷り等の調整作業などであれば、従来どおりの手法により第1の湿し水供給手段だけで湿し水を調整し、より精細な印刷品質を要求される場合には第2の湿し水供給手段により、もしくは両湿し水供給手段により湿し水を供給するようにしてもよい。これによりインクジェットヘッド33の消耗を抑えることもできる。このような切替はオペレータが適宜操作モードを切り替えることによって達成することができる。また、本実施の湿し水供給手段は、各種印刷条件や印刷環境、例えば使用する印刷用紙やインキなどの種類や、印刷装置周辺の温湿度などに基づいてリアルタイムに調整することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明では、版胴の軸線方向や版胴の回転方向に沿って湿し水量を可変することができるので、印刷版上の画像の分布状況に応じて適切な湿し水供給が行える。これにより印刷版の各部における湿し水量の過不足を防止することができ、最適な印刷品質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る湿し水供給装置を備えた印刷装置の一例を示す側面概要図である。
【図2】同印刷装置の湿し水供給装置の構成を示す平面図である。
【図3】同印刷装置における作業手順と湿し水供給手順とを示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態に係る湿し水供給装置を備えた印刷装置の一例を示す側面概要図である
【図5】第2の実施の形態に係る湿し水供給装置の構成を示す平面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る湿し水供給手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 版胴
2 ブランケット胴
3 圧胴
9 画像記録部
10 現像部
11 湿し水供給部
12 インキ供給手段
13 制御部
20 インクジェットヘッド
21 ならしローラ
22、22’湿し水貯留タンク
31 第1の湿し水供給手段
32 第2の湿し水供給手段
33 インクジェットヘッド
Claims (8)
- 版胴の周面に備えられた印刷版面に対し湿し水を供給する湿し水供給装置であって、
印刷版面に対して略均一に規定量の湿し水を供給する第1の湿し水供給手段と、
画像データに基づいて1滴単位で湿し水を吐出可能なインクジェットヘッド形式であり、印刷版面の軸線方向に沿った所望の位置に対し選択的に湿し水を追加供給する第2の湿し水供給手段と、
を備え、
前記第1の湿し水供給手段による規定量の湿し水量と、前記第2の湿し水供給手段による追加の湿し水量との合計によって印刷版面上の画像に応じた湿し水量を供給することが可能な湿し水供給装置。 - 前記第2の湿し水供給手段は、
前記インクジェットヘッドから吐出される湿し水吐出量を版胴軸線方向ならびに版胴の回転方向に対して制御する制御手段、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の湿し水供給装置。 - 前記印刷版上の画像に対応する画像データに基づいて湿し水を供給するための湿し水供給用画像データを演算し、
当該湿し水供給用画像データの湿し水画像濃度が前記第1の湿し水供給手段の規定量に対応する湿し水画像濃度を越える分について、前記第2の湿し水供給手段から追加の湿し水を供給するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の湿し水供給装置。 - 版胴上に装着した印刷版に対し湿し水およびインキを供給し、印刷版面上のインキ画像を印刷用紙に転写して印刷を行う印刷装置であって、
印刷版面に対して略均一に規定量の湿し水を供給する第1の湿し水供給手段と、
画像データに基づいて1滴単位で湿し水を吐出可能なインクジェットヘッド形式であり、印刷版面の軸線方向に沿った所望の位置に対し選択的に湿し水を追加供給する第2の湿し水供給手段と、
を備え、
印刷版面上には、前記第1の湿し水供給手段による規定量の湿し水量と、前記第2の湿し水供給手段による追加の湿し水量との合計した湿し水の供給が可能とされており、
前記版胴の回転にともない吐出される湿し水吐出量を可変とすることにより、印刷版面上の所望の部位に対して2次元的に湿し水量を可変供給することを特徴とする印刷装置。 - 前記第2の湿し水供給手段は、
前記インクジェットヘッドから吐出される湿し水吐出量を版胴軸線方向ならびに版胴の回転方向に対して制御する制御手段、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。 - 前記印刷版上の画像に対応する画像データに基づいて湿し水を供給するための湿し水供給用画像データを演算し、
当該湿し水供給用画像データの湿し水画像濃度が前記第1の湿し水供給手段の規定量に対応する湿し水画像濃度を越える分について、前記第2の湿し水供給手段から追加の湿し水を供給するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。 - 前記画像データに基づいて版胴上に保持された印刷版に対し画像を記録する画像記録手段、
を備えたことを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の印刷装置。 - 前記湿し水吐出ヘッドの解像度は前記印刷版記録手段の解像度よりも粗いことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
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