JP3655294B2 - 空間光変調素子及びこれを用いた投射型表示装置 - Google Patents

空間光変調素子及びこれを用いた投射型表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に回折効果を利用した空間光変調素子及びこれを用いた投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルを空間光変調素子に用いた投射型表示装置は、100〜200インチの画面サイズの表示が可能であり、TV映像の表示、さらにはコンピュータ用の表示装置として実用化され、広く普及しつつある。液晶パネルを投射型表示装置に用いると、CRTを用いた場合に比較して装置の小型・軽量化、低消費電力化、低価格化が可能となる。
【0003】
液晶パネルを用いた表示装置は、このように種々の利点を有する反面、光源からの光の利用効率が数%と低く、表示される像が暗いという欠点がある。この問題は部屋を暗くすることで解決できるので、映画観賞などの目的でTV映像表示に用いる場合にはあまり問題とならないが、コンピュータ画面を表示するデータプロジェクタは、明るいところで使うことが多く、明るい画像を表示できることが必須となっている。
【0004】
液晶パネルを用いた投射型表示装置において光の利用効率を下げている要因としては、光の変調に偏光を利用しているために、液晶パネルに入射する光の半分を捨てていることが大きい。そこで、明るい像の表示を実現するために、偏光を利用しない変調方式が研究されている。その一つが回折効果を利用した空間光変調素子(回折型空間光変調素子と呼ぶ)を用いる方式である。
【0005】
図20に、回折型空間光変調素子を用いた投射型表示装置の光学系の概要を示す。この光学系は、基本的には光源101からの光によって回折型空間光変調素子105を照明し、この空間光変調素子105上の像を投射レンズ106によりスクリーン109に投射するものである。すなわち、照明光学系では光源101から出射した白色光をコンデンサレンズ102によって集光し、その集光位置に配置された光源側開口絞り103によって開口制限を行った後、コリメートレンズ104によりほぼ平行な光束にして、空間光変調素子105に照射する。
【0006】
空間光変調素子105を照明する光は、光源側開口絞り103とコリメートレンズ104の働きによって、空間光変調素子105に対する最大入射角(または広がり角)が制限された光、つまり指向性が強められた光となっている。空間光変調素子105では、入射光はある画素ではそのまま通過するが、ある画素では空間的周期構造を持った複素振幅変調を受け、特定の方向に回折される。
【0007】
投射側の光学系では、空間光変調素子105上の像を投射レンズ106によってスクリーン109上に投射する。この光学系の例では、空間光変調素子105の画素で回折されなかった光は、遮光板107によって反射あるいは吸収され、回折された光だけがスクリーン109に到達する。その結果として、光が回折された画素と回折されなかった画素との間で投射像の明るさに差が生じ、コントラストを持った表示が可能となる。
【0008】
回折型空間光変調素子105としては、例えばY.Horiらの報告 (IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,Vol.ED-26,No.11(1979) 以下、公知文献1という)に示されているように、ストライプ状の透明電極を設けた第1の基板と全面に透明電極を設けた第2の基板との間に液晶を挟んだ構造の素子が用いられる。2枚の基板上の透明電極間に電圧を印加していないときには、液晶は一様に配向しており、この素子は光学的には平板と同じに見えるが、電圧を印加したときには、ストライプ状透明電極に沿って液晶の配向状態が変わり、回折格子としての効果が現れる。従って、印加電圧のオン・オフによって白黒の表示が可能となる。なお、公知文献1に示された素子構成では、回折効果は入射光の偏光方向に依存することが予想されるが、電極の構成等を工夫することにより液晶の配向状態を制御し、偏光に対する依存性を低減できると考えられ、それによって明るい表示が実現できる可能性がある。
【0009】
このような回折型空間光変調素子105を用いた投射型表示装置では、明るくコントラストの高い像をスクリーン109上に表示するためには、光源101として形状が小さく輝度の高いものを用い、また投射側の遮光板107の大きさを光源101の大きさ、あるいは光源側開口絞り103の大きさに合わせて最適化すれば良いとされている。
【0010】
しかし、実際には十分な明るさを持った光源は発光点がある程度以上の大きさを持っており、また光源101の光を効率良く伝えるためには、光源側開口絞り103の大きさもあまり小さくできず、これらに合わせて投射側の遮光板107の大きさを決めても、スクリーン109上に表示される像の明るさとコントラストを両立させることができない。すなわち、この構成によって回折型でない通常の空間光変調素子を用いる投射型表示装置に対して明るさのメリットを損なわないようにすると、コントラストは公知文献1によれば10〜20程度しか得られず、著しく不十分である。
【0011】
図20に示した光学系は、空間光変調素子105で回折された光をスクリーン106上に投射する系であり、暗視野投射光学系と呼ばれている。この暗視野投射光学系では、黒の表示を十分暗くでき、表示コントラストを高くすることができる。そこで、回折型光変調素子を用いた投射型表示装置では、この系の方が一般的に用いられている。
【0012】
この暗視野投射光学系では、前述のように白の表示が空間光変調素子105の画素で回折が起こる場合に対応するため、白を表示する時の光の利用効率が光変調素子107上の回折格子の形状や照明光の波長帯域幅などに強く依存し、高い効率を得るためには回折格子形状の厳密な管理が必要である。従って、光の利用効率を高くとれるような空間光変調素子の製作が困難であった。また、表示の明るさの一様性が回折格子形状の均一性に依存することから、光の利用効率が高く、かつ、均一な表示を実現することが困難であった。さらに、この光学系では回折光を投射に使用するため、投射レンズ106としてF値の小さいレンズが必要であり、投射レンズが大きくコスト高になりがちで、小型で低コストの装置を作ることが困難であった。
【0013】
これに対して、逆に投射側遮光素子30の代わりに、この位置に光軸付近だけ光を通すような開口制限素子を置き、回折された光を遮光し、回折されなかった光だけをスクリーンへ投射する光学系(明視野投射光学系)を用いることも可能である。この系では、光軸付近を通る光を投射に用いるため投射レンズのFナンバーが比較的大きくても良く、小型で低コストの投射レンズを用いることが可能である。また、白の表示が画素での回折が起こらないときに対応するため、白を表示する時の光の利用効率が回折格子の形状や波長帯域幅などに依存せず、光の利用効率が高く明るさが均一な表示を実現することも容易である。しかし、この系では、黒を表示する場合に、黒が十分暗くならないためコントラストが低くなってしまうという問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、回折型空間光変調素子は偏光に依存しない光変調が可能な素子の一つであり、原理的に明るい表示が可能であるが、投射型表示装置の光学系に組み込んで実際に使用可能な光源と組み合わせると、像の明るさや一様性とコントラストを両立させることが難しくなる。
【0015】
従来では、この問題の解決のために光源あるいは光源側開口絞りの開口の大きさと投射側の遮光板の遮光面の大きさの関係を最適化することが試みられてきたが、この構成で通常の空間光変調素子を用いた投射型表示装置と比較したときの像の明るさというメリットを維持しようとすると、コントラストが犠牲になってしまうという問題点があった。
【0016】
本発明の目的は、光の利用効率が高く像の明るさの一様性も良く、かつ小型の投射レンズを使用可能な明視野投射光学系と組み合わせて用いた時にも高いコントラストを確保できる回折型光変調素子を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、回折型空間光変調素子を用いつつ、実際に使用可能な光源を用いた場合にも、明るさとコントラストを両立することができる投射型表示装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は本発明は入射光に対して各画素内で所定の方向に周期的に複素振幅変調を行う複数の画素が配列された空間光変調素子において、光ビームが入射したとき出射光における1次の回折光と−1次の回折光が0次光の存在する領域付近で互いに弱め合うように各画素における複素振幅変調パターンを定めたことを特徴とする。
【0019】
このような空間光変調素子の複素振幅変調パターンは、(a) 所定の方向における画素の有効開口幅を変調周期の整数倍とし、かつ各画素内の複素振幅変調パターンを画素の開口内で対称とする、(b) 所定の方向における画素の有効開口幅を変調周期の半分の長さの奇数倍とし、かつ各画素内の複素振幅変調パターンを画素の開口内で対称となる位置から変調周期の4分の1だけ所定の方向にずらせる、(c) 所定の方向における画素の有効開口幅を変調周期の半分の長さの奇数倍とし、かつ画素内の複素振幅変調パターンを画素の開口内で反対称とする、のいずれかの条件を設定することにより実現される。
【0020】
これらの条件のうちいずれか1つを満たす光変調素子を明視野投射型光学系に組み込んだ場合には、画素で複素振幅の周期的変調を受けた光の開口制限素子面上での回折パターンは、光軸付近で十分暗くなる。従って、投射側開口制限素子として光軸付近の光を通すような開口絞りを使用する明視野投射型光学系を用いた場合、すなわち空間光変調素子に照明光を入射させ、該空間光変調素子からの出射光を該空間光変調素子の近傍に配置された集光レンズにより集光し、該集光レンズの集光点近傍に配置された光束制限素子および投射レンズを介してスクリーン上に投射する投射型表示装置に用いた場合にも、黒レベルを十分暗くすることができ、高いコントラストを確保することが可能になる。
【0021】
さらに、上述した本発明に基づく出射光における1次の回折光と−1次の回折光が0次光の存在する領域付近で互いに弱め合うように各画素における複素振幅変調パターンを定めた空間光変調素子、すなわち上記(a)(b)(c) のいずれかの条件と、以下に示す条件、すなわち
0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6
0.8<θLx+arctan(λ/Wx)<θasx <1.3
θasx ≦θasy
θLx≦θLy
θLy+arctan(λ/Wy)≦θasy
の一つまたはいくつかの条件を同時に満たすようにすることも可能である。
【0022】
すなわち、入射光に対して各画素内で所定の方向に周期的に複素振幅変調を行う空間光変調素子として上述した本発明に基づく空間光変調素子を用い、この空間光変調素子に照明光を入射させ、空間光変調素子からの出射光を空間光変調素子の近傍に配置された集光レンズにより集光し、この集光レンズの集光点近傍に配置された光束制限素子および投射レンズをスクリーン上に投射する第1の投射型表示装置、あるいは入射光に対して各画素内で所定の方向に周期的に複素振幅変調を行う空間光変調素子を用い、この空間光変調素子に照明光を入射させ、空間変調素子からの出射光を投射レンズおよび該投射レンズの焦点近傍に配置された光束制限素子を順次介してスクリーン上に投射する第2の投射型表示装置において、空間光変調素子における複素振幅変調の空間的周期をp、入射光の中心波長をλ、集光レンズまたは投射レンズから見た光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθasx とするとき、
0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6
なる条件を満たすことを特徴とする。
【0023】
ここで、光束制限素子は例えば中央に開口を有する開口絞りまたは中央部に遮光面を有する遮光板により構成され、開口絞りの場合は開口の端縁、遮蔽板の場合は遮蔽面の端縁がそれぞれ制限側端縁となる。
【0024】
空間変調素子の各画素で複素振幅変調を受けた光の回折角は、複素振幅変調の空間的周期pに依存する。本発明では、この周期pと光束制限素子を構成する開口絞りの開口の大きさや遮光板の遮光面の大きさとの関係を最適化することで、回折された光と回折されない光との分離が最適な条件で行われ、表示される像の明るさとコントラストの両立が可能になる。具体的には、周期pと光束制限素子を構成する開口絞りの開口または遮光板の遮光面の大きさとの関係が上の式の条件を満たすように構成することにより、表示される像は実用上要求される100以上のコントラストが確保され、かつ光の利用効率は60%以上となることで、像の明るさも十分に確保される。
【0025】
また、本発明は上記投射型表示装置において、空間光変調素子の各画素の所定の方向の寸法をWx、空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθLxとするとき、
0.8<θLx+arctan(λ/Wx)<θasx <1.3
なる条件をさらに満たすことを特徴とする。
【0026】
空間光変調素子上の画素を通過した光の広がりは、複素振幅変調による回折の影響のみならず、照明光の広がり角の大きさ(θLx)と空間光変調素子の各画素の所定の方向の幅Wx(画素開口による回折)にも依存する。そこで、これらを全て考慮して上記二つの条件を満たすようにすることにより、複素振幅変調による回折光と変調を受けなかった光をより完全に分離でき、かつ照明光の広がり角の許容範囲が広くなるため、コントラストを犠牲にすることなく明るい表示を得ることが可能となる。
【0027】
さらに、本発明は上記投射型表示装置において、集光レンズまたは投射レンズから見た光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって所定の方向に直交しかつ空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθasy とするとき、
θasx ≦θasy
なる条件を満たすことを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明は上記投射型表示装置において、空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって、所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθLx、所定の方向に直交しかつ空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθLyとするとき、
θLx≦θLy
なる条件を満たすことを特徴とする。
【0029】
さらに、本発明は上記投射型表示装置において、空間光変調素子の各画素の所定の方向に直交する方向の寸法をWy、空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって所定の方向に直交しかつ空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθLy、集光レンズまたは投射レンズから見た光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって所定の方向に対して直交しかつ空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθasy とするとき、
θLy+arctan(λ/Wy)≦θasy
なる条件を満たすことを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明の一実施形態に係る投射型表示装置の光学系の構成を示す。この光学系は光源11と、反射鏡12と、光源側開口絞り13と、コリメートレンズ14と、回折型空間変調素子15と、集光レンズ16と、投射側開口絞り17と、投射レンズ18およびスクリーン19によって構成される。
【0031】
光源11から出射した白色光は反射鏡12で反射されることにより集光され、集光位置つまり反射鏡12の幾何学的焦点位置に配置された光束制限素子である光源側開口絞り13により光束が制限された後、コリメートレンズ14でほぼ平行な光束とされ、回折型空間光変調素子15に照明光として入射する。光源11には、メタルハライドランプのような発光部が小さく発光効率が高いランプが用いられ、反射鏡12には回転楕円体形状のミラーが用いられる。
【0032】
空間光変調素子15では、入射する照明光はある画素では特別な変調を受けずに透過し、また別のある画素では空間的周期構造を持った複素振幅変調を受けて特定の方向に回折される。空間光変調素子15上の像は投射レンズ18によってスクリーン19上に投射される。この場合、空間光変調素子15の画素で回折された光は、光束制限素子である投射側開口絞り17によって反射あるいは吸収され、回折を受けなかった光だけがスクリーン19に到達する。その結果として、光が回折された画素と回折されなかった画素との間でスクリーン19上に表示される像の明るさに差が生じ、コントラストを持った表示が可能となる。
【0033】
図2に、回折型空間光変調素子15の構成例を示す。図2において(a)はX−X′断面図、(b)は平面図、(c)は等価回路図であり、1画素分の構成を示している。この例では入射光に対して空間的周期構造を持った複素振幅変調を行うため、画素電極として櫛形透明電極22が形成された第1の基板21と、全面に共通透明電極24が形成された第2の基板23との間に液晶層25が挟まれている。また、液晶層25と基板21,23との間には透明配向層26,27がそれぞれ配置されている。第1の基板21上にはx方向に沿ってデータ線28、y方向に沿って走査線29が形成され、さらにTFT(薄膜トランジスタ)30が形成されている。TFT30のゲート電極はデータ線28に接続され、ソース電極は走査線29に接続され、ドレイン電極は櫛形透明電極22と液晶層25および共通透明電極24で構成される画素31とキャパシタ32に接続されている。データ線28には画像信号に応じた電圧が印加され、走査線29には走査電圧が順次印加される。
【0034】
液晶層25の分子配向を櫛形透明電極22の櫛の歯に対して平行な平行配向 (ホモジニアス配向)にしておくと、電極22,24間に電圧を印加していないときには、画素31は光学的には平板と同じに見えるが、電圧を印加したときには、櫛形透明電極22の櫛の歯に当たる部分で、電極形状に沿って液晶層25の配向状態が変わり、回折格子としての効果、すなわち空間的に周期構造を持った光の複素振幅変調効果が現れる。櫛の歯に平行な方向の振幅を持った光に対しては、櫛形透明電極22の部分の空間的周期pdがそのまま光に対する位相変調の周期pとなる。このような構成の空間変調素子では、回折効果の偏光方向に対する依存性が残るが、櫛形透明電極22の構成や液晶層25の配向等を工夫することで、動作時の液晶層25の配向状態を制御して、偏光に対する依存性を低減あるいは全く無くすることも可能である。
【0035】
なお、回折型空間光変調素子15は図2のような構成に限られるものでなく、要は画素の大きさと光の複素振幅変調の空間的周期が後述する条件を満たしていれば良い。
【0036】
次に、本発明の第1のポイントである回折型空間光変調素子15のパラメータと投射側開口絞り17との関係について説明する。
【0037】
以下の説明のために、図1に示す光学系の断面図と図2に示す空間光変調素子15の向きの関係を決めておく。図1は、投射光学系を空間光変調素子15による光の複素振幅変調の変調方向、すなわち図2における画素31内の電極櫛形電極22の櫛歯の配列方向xに沿った面(図2の紙面に垂直で直線X−X′を含む面)で切断した断面図である。従って、画素31内の周期的複素振幅変調による光の回折は、図1のθx方向に起こるものとする。
【0038】
まず、図1の光学系で光源側開口絞り13の開口を十分小さく絞った場合、すなわち光源11がほぼ点光源とみなせる場合を考える。このとき、空間光変調素子15のある1画素を透過して、投射側開口絞り17の面に達する光の強度分布を考えると、その画素がOFF、つまりその画素の透過光が特別に複素振幅変調を受けない場合には、図3(a)のように画素の大きさを持った開口による回折で決まる広がり角θmwx (半角値)を持った分布となる。ただし、θmwx は
θmwx =arctan(λ/Wx) (1)
λ:照明光の波長
Wx:空間光変調素子15の画素の変調方向の寸法
で与えられる。なお、図3で横軸は図1におけるθx方向の集光レンズ16の位置から見たときの見込み角を示しており、強度分布は簡単のためメインローブのみを示している。
【0039】
一方、画素がON、つまりその画素の透過光が空間的周期構造を持つ複素振幅変調を受ける場合には、図3(b)のように画素内の光の複素振幅変調の空間的周期(複素振幅変調の基本周期)pで決まる方向θdに一次の回折光が現れる。ただし、θdは
θd=arcsin(λ/p) (2)
λ:照明光の波長
p:画素内の光の複素振幅変調の空間的周期
で与えられる。
【0040】
回折型空間変調素子15のパネル全体である画面内には、表示すべき画像に応じてONとOFFの画素が多数混在しているので、実際には図3(a)(b)の成分が同時に存在するわけであるが、この両者のいずれかを選択的にスクリーン19へ投射することで、コントラストを持った表示が可能になる。図1の光学系は、投射側開口絞り17によって図3(b)の成分を遮光し、図3(a)の成分を投射する明視野投射系であるので、以下ではこの例に限定して説明する。ただし、図3(a)の成分を遮光し、図3(b)の成分を投射する図12に示したような暗視野投射の光学系に対しても本発明は有効である。
【0041】
図1の明視野投射の光学系では、前述のように画素のONとOFFを区別するために、図3(b)の光を投射側開口絞り17で遮光し、図3(a)の光を投射する。そこで、投射側開口絞り17の開口の大きさのうち、図1の上下方向x (空間光変調素子15の画素内の複素振幅変調の変調方向)の幅を集光レンズ16から投射側開口絞り17の開口端縁を見た見込み角の半角値(開口半幅という)θasx が
θasx =θd/2 (3)
となるように決める。
【0042】
このようにすることで、図3(a)(b)の光を互いに分離するための開口の大きさのマージンを最も大きく確保することができる。この条件は、後に述べる光源側開口絞り13をある程度開いた場合、つまり光源11が点光源でなく広がりを持っている場合にも、スクリーン19上に表示される像のコントラストを確保するための最適の設定条件となる。
【0043】
実際には、(3)式の成り立つ近傍が開口の大きさのマージンがとれる領域の許容範囲となる。そこで、投射側開口絞り17の開口の大きさの許容範囲を求めるために行ったシミュレーション結果について説明する。表1に、シミュレーション条件を示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003655294
【0045】
光学系は図1の系を用い、光源11から出射する光の光源側開口絞り13面上での光強度の分布として円形で強度が一様な分布を仮定した。円の半径は、コリメートレンズ14の位置から見た見込み角(θLr)が3°となる大きさであると仮定した。また、空間光変調素子15の画素の設定および照明光の再代入射角は表1に示すように仮定した。
【0046】
図4および図5は、このシミュレーション結果であり、投射側開口絞り17の開口の大きさθasx と、コントラストおよび光の利用効率との関係をそれぞれ示している。(3)式は、(2)式に代入すると、θasx /arcsin(λ/p)=0.5とかけるので、横軸にはθasx をarcsin(λ/p)で割った値を用いた。一般的に、コントラストは100以上であることが要求されるので、図4からθasx /arcsin(λ/p)<0.6であることが必要である。一方、光の利用効率については、偏光板を用いない方式としての像の明るさというメリットを保つためには、60%以上であることが望ましい。図5からθasx /arcsin(λ/p)が0.35以下では光の利用効率が急速に低下して0.6以下に低下するので、0.35<θasx /arcsin(λ/p)であることが望ましい。なお、光の利用効率は光源側開口絞り13で遮られる前の光の総量に対する投射側開口絞り17を通過した光の総量の比で定義される。
【0047】
以上のシミュレーション結果から、スクリーン19上に表示される像のコントラストを実用上要求される100以上確保し、かつ光の利用効率を60%以上確保して十分な像の明るさを得るためには、
0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6 (4)
なる条件を満たせばよいことが分かる。
【0048】
次に、本発明の第2のポイントである空間光変調素子15のパラメータと光源側開口絞り13との関係について説明する。
【0049】
空間光変調素子15に対する照明光の最大入射角は、図1のような光学系では光源側開口絞り13の開口の大きさとコリメートレンズ14の焦点距離で規定される。そこで、光源側開口絞り13の開口の大きさのうち、図1の上下方向x、すなわち空間光変調素子15の画素内の複素振幅変調の変調方向の幅をx1とし、コリメートレンズ14の焦点距離をf1とすると、コリメートレンズ14から見た光源側開口絞り13の開口の大きさ、すなわち空間光変調素子15に入射する照明光の図1の上下方向xの最大入射角θLxは、
θLx=arctan(x1/f1) (5)
と表される。
【0050】
説明を簡単にするために、光源側開口絞り13の中心と図1の上下方向の両端点(光軸から±x1離れた位置)に点線で示すように点光源を置いたモデルを考える。このとき、投射側開口絞り17の面での光の強度分布は図6および図7に示したようになる。図6と図7の違いは、光源側開口絞り13の開口の大きさx1である。投射型開口絞り17の開口の大きさは、前述のように決められ、ここでは最適値である(3)式に示したθasx =θd/2の条件を満たす場合を例にとる。
【0051】
この光源側開口絞り13の開口の大きさx1が大きめの場合には、空間光変調素子15のOFFの画素を通った図7(a)の光とONの画素を通った図7(b)の光との分離が不完全になり、表示される像のコントラストが低下する。
【0052】
画素内で特別な複素振幅の変調を受けないOFFの画素を通った光は、図7 (a)に示す分布をとる。図7(a)中のメインローブ71は光軸上の点光源からでた光であり、メインローブ72,73は光源側開口端の点光源から出た光を表している。投射側開口絞り17の開口は、光軸を中心として全角で2θasx =θdの幅しか持たないので、本来全てスクリーン19へ投射されるべき図7(a)の光の一部が投射側開口絞り17で遮られてしまい、投射光量が落ちてしまう。
【0053】
一方、画素内で空間的周期構造を持った複素振幅変調を受けるONの画素を通った光は、図7(b)の分布をとる。この光は逆に全て投射側開口絞り17で遮られるべきであるが、やはり一部の光が投射側開口側絞り17の開口を通過し、投射レンズ18によってスクリーン19上に投射されてしまう。
【0054】
このように光源側開口絞り13の開口の大きさx1が大きいと、表示される像の明るさとコントラストの両方が低下することになる。これを防ぐためには、光源側開口絞り13の開口の大きさと空間光変調素子15の画素内の光の複素振幅変調の空間的周期との関係を図6に示すように限定すればよい。このときの条件は、式で表すと
θLx+θmwx =θasx (6)
となる。この条件の下では、OFFの画素を通った図6(a)の光とONの画素を通った図6(b)の光は完全に分離され、表示される像のコントラストは高く保たれる。コントラストが高く保たれる条件の下で照明光の広がり角も最大値をとっているため、光源11からの光をできる限り使っている条件となっており、表示される像の明るさも確保できる。なお、実際には(6)式の条件を厳密には満たしていなくとも、近い条件となっていれば実用的効果が得られる。
【0055】
そこで、光源側開口絞り13の開口の大きさの許容範囲を求めるために行ったシミュレーション結果について説明する。光学系と光源の仮定は、表1のシミュレーション条件に示したものと同じである。また、空間光変調素子15の画素の設定および照明光の最大入射角等は、表2のシミュレーション条件に示すように仮定した。
【0056】
【表2】
Figure 0003655294
【0057】
図8および図9は、このシミュレーション結果であり、光源側開口絞り13の大きさとコンラストおよび光の利用率との関係をそれぞれ示している。前述したように、コントラストは一般的に100以上であることが要求されるので、図8からθLx+arctan(λ/Wx)/θasx <1.3であることが必要である。一方、偏光板を用いない方式としての像の明るさのメリットを保つために光の利用効率を60%以上確保するには、0.8<θLx+arctan(λ/Wx)/θasx であることが要求される。
【0058】
以上の結果から、コントラストを実用上要求される100以上確保し、かつ光の利用効率を60%以上確保するためには、
0.8<{θLx+arctan(λ/Wx)}/θasx <1.3 (7)
なる条件を満たせばよいことが分かる。
【0059】
以上の説明では、光源側開口絞り13や投射側開口絞り17の開口の大きさについて、特に画素内の光の複素振幅の変調方向(回折の起こる方向)θxに限って説明してきた。これは主に、回折された光と回折されなかった光との分離が表示される像のコントラストを保つ上でポイントとなるからである。
【0060】
一方、回折の起こる方向と直交する方向では、光源側開口絞り13や投射側開口絞り17の開口の大きさは像のコントラストにはほとんど影響しないが、使用する光源11との組み合わせ次第では、像の明るさを左右する要因になると考えられる。以下では、回折の起こる方向に直交する方向での開口絞り13,17の開口の大きさについて説明し、開口絞り13,17の具体的な開口形状の実施形態について述べる。
【0061】
表示される像のコントラストを確保するためには、θx方向では投射側開口絞り17の開口の大きさθasx や、回折型光変調素子15に入射する照明光の最大入射角、つまり光源側開口絞り13の開口の回折型光変調素子15から見た見込み角θLxをある範囲に限定することが必要である。しかし、θx方向と直交するθy方向では、θx方向ほど厳しい制限条件は要求されない。そこで、本発明ではθLyをθLxより大きくとり、これに合わせてθasy をθasx より大きくとる、すなわち
θLx≦θLy
θasx ≦θasy
とする。このようにすることで、表示される像のコントラストを損なわずに、より明るい表示が可能になる。
【0062】
まず、光源側開口絞り13の設定例について説明する。図1に示すように、反射鏡12として回転楕円体のミラーを用い、その第2焦点位置にメタルハライドランプのように直線状の発光部を持つ光源11を置くと、光源側開口絞り13の位置(反射鏡12の第2焦点面)では、光のエネルギは円形の領域に分布する。この円形領域の半径をRL 、これをコリメートレンズ14の位置から見た時の見込み角をθLxとすると、
θLx=arctan(RL/f1) (8)
で与えられる。この光源11の広がりに対して、
θLr<θLx (9)
が成り立つ場合には、光源11の大きさを気にする必要はないわけで、問題はない。しかし、一般的には
θLx≦θLr (10)
である場合が多く、この場合には光源側開口絞り13の設定が像の明るさやコントラストを最適化する上で必要になる。本発明では、
θLx≦θLr≦θLy (11)
つまり、
θLx≦θLy (12)
となるように、θLyを決める。
【0063】
次に、投射側開口絞り17の設定例について説明する。θy方向では、開口の大きさθasy は回折を受けた光の選択には直接は関与しないため、ある程度自由に設定することが可能である。そこで、サイドローブまで投射に利用できるようにθasx を決める。光源11として点光源を仮定すると、θy方向では各画素を通過した光の投射側開口絞り17の面上での広がりは、メインローブの広がり角θmwy (半角値)で表すと、
θmwy =arctan(λ/Wy) (13)
λ:照明光の波長
Wy:空間光変調素子の画素の幅のうち画素内の複素振幅変調の方向に直交する方向の寸法
と書くことができる。これに、さらに照明光の広がり角θLyを考慮して、回折型空間光変調素子15を照明する光が有効に投射に用いられるようにするために、以下の式を満たすようにθasy を決める。
【0064】
θLy+θmwy ≦θasy
すなわち、
θLy+arctan(λ/Wy)≦θasy (14)
(14)式で等号が成り立つ場合に、メインローブが完全に投射側開口絞り17の開口内に収まり、光源11から出射される光を有効に投射に利用できる。また、(14)式で不等号が成り立つ場合には、さらにサイドローブも投射側開口絞り17の開口に入るようになり、より明るい表示が可能になる。
【0065】
図10に、以上のようにして決まる光源側開口絞り13および投射側開口絞り17の形状の具体例を示す。図10では、開口と遮光面の境界の座標をθx方向とθy方向のそれぞれについてθbxとθbyとしているが、光源側開口絞り13ではθbxとθbyをθLxとθLyに、また投射側開口絞り17ではθasx とθasy にそれぞ置き換えればよい。開口の形状は、図10(a)に示す円形状のほかに、 (b)に示す楕円状、(c)に示す長方形状、(d)に示すスリット状、(e)に示すような円の一部を削った形状等が有効である。
【0066】
また、暗視野投射型の光学系では、投射側光束制限素子として図10の投射側開口絞り13の反転形状、すなわち図10の開口を遮光面に置き換えた図11 (a)〜(e)に示す遮光板を用いることによって同様の効果が得られる。
【0067】
最後に、本発明の数値例を示す。まず、θx方向の設定例として第1の数値例を表3に示す。
【0068】
【表3】
Figure 0003655294
【0069】
また、前述の各条件式と表3に示した第1の数値例における諸数値との関係を表4に示す。
【0070】
【表4】
Figure 0003655294
【0071】
なお、ここでは投射光つまり回折型空間光変調素子13を照明する光の中心波長は、白黒表示(B&W)のときは0.55(μm)と仮定した、実際には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色でそれぞれ条件が異なるが、表4に示すように、各色での中心波長を考慮し条件を比較しても、各条件の評価値はそれほど中心値からずれておらず、十分許容範囲内にあると考えられる。
【0072】
表3に示した第1の数値例で、回折型空間光変調素子15として図2の構成を用いた場合には、前述のように櫛形透明電極22の歯の部分の空間的周期pdがそのまま光に対する位相変調の周期pとなるので、pdを8(μm)とすれば良い。このとき、櫛の歯の部分の電極幅は周期の半分の4(μm)程度とすれば良い。これらの数値は、従来の製造技術で十分対応可能な範囲である。
【0073】
表5に、表3に示した第1の数値例よりも照明光最大入射角の許容値を大きくとった第2の数値例を示す。
【0074】
【表5】
Figure 0003655294
【0075】
この第2の数値例では、複素振幅変調の周期が小さいので、線幅の広い電極でこれを実現する技術や電極を微細に加工する技術が必要であるが、照明光の最大入射角の許容範囲を大きくとることができる利点がある。従って、発光点の大きな光源に対しても光を有効に投射に使うことが可能であり、より明るい表示を可能とすることができる。
【0076】
表6に、表3に示した第1の数値例よりも照明光最大入射角の許容値を大きくとった第3の数値例を示す。
【0077】
【表6】
Figure 0003655294
【0078】
この第3の数値例は、前述のシミュレーションに用いたものである。この数値例では画素が大きいので、光変調素子全体の大きさも大きくなるが、微細加工技術を用いずに照明光の最大入射角の許容範囲を大きくとることができるという利点がある。
【0079】
次に、θy方向の設定例を表7に示す。
【0080】
【表7】
Figure 0003655294
【0081】
この設定に当たり、光源11にはアーク長5mmのメタルハライドランプを用い、反射鏡12には焦点距離fr1=20mm、fr2=100mmの回転楕円体ミラーを用いるものとした。また、コリメートレンズ14には焦点距離200mmのものを用いるものとした。
【0082】
これらの条件を満たす照明光を用いると、光源側開口絞り13の面上で実質的に光のエネルギが集まる領域の半径RL は15mm程度となる。これはθLxに換算すると、4.3(deg)となる。これを、第1および第2の数値例におけるθLxと比較すると、いずれの場合もθLrのほうが大きい。そこで、θLyはさらにこれより大きくなるように決めた。θasx は、このθLyとWyから既に述べた条件を満たすように決定した。
【0083】
本発明の他の実施形態として、光学系として従来用いられてきた図11の構成に本発明を適用することも可能である。図11の光学系は暗視野投射型であり、特に図1の光学系における集光レンズ16とスクリーン19の役割を投射レンズ106に兼ねさせた構成となっている。この光学系においては、回折型空間光変調素子105における光の複素振幅変調の周期と画素幅、遮光板107の遮光面の幅および空間光変調素子105を照明する光の最大入射角を前述の数値例のように設定することにより、先の実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
このように本発明の投射型表示装置では、回折型空間光変調素子の画素内の光の複素振幅変調の空間的周期と投射側開口絞りの大きさとの関係を適切に設定することで、表示コントラストを高く保ちつつ、空間光変調素子を照明する光の広がりに対してマージンを最大にとることが可能となる。また、投射側開口絞りの開口の大きさと空間光変調素子の画素の幅、空間光変調素子を照明する光の最大入射角との関係を限定することで、表示像のコントラストを損なうこと無く、許容範囲いっぱいの入射角の光を投射に用いることができ、明るい画像の表示が可能となる。
【0085】
なお、以上の実施形態の説明では、空間光変調素子の画素内の複素振幅変調の空間的周期から投射側開口絞りの開口の大きさを決め、光源側開口絞りの大きさを決めるというような手順を示したが、本発明では、各々のパラメータの関係を規定することが重要であり、パラメータの決定順序は異なっていても構わない。画素内の光の複素振幅変調の空間的周期が比較的自由に決められる場合には、光源側絞りの大きさを基準に画素の大きさや光の複素振幅変調の空間的周期を決めていくことも可能である。
【0086】
さらに、上述の説明では空間光変調素子への照明光の最大入射角を規定するものとして光源側開口絞りを用いたが、これは必須の要素ではない。照明系の光学素子の有効径を決める外縁がこの役割を果たすこともあれば、光源の発光点そのものの大きさが照明光の最大入射角を決める要因になる場合もある。このような場合に対しても、本発明の有効性は変わらない。
【0087】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る空間変調素子の好ましい実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る空間光変調素子の原理説明図であり、図示しない光源からの光ビーム40が空間光変調素子41に入射したとき、空間光変調素子41の出射光における0次回折光42および±1次回折光43,44がスクリーン45上に到達する様子を示している。本実施形態では、同図の右側にスクリーン45上における±1次回折光43,44の振幅分布を示したように、+1次回折光43と−1次回折光44が0次回折光42の存在する領域で弱め合うように空間光変調素子41の各画素における複素振幅変調パターンが定められている。以下、この点について詳細に説明する。
【0088】
まず、空間光変調素子41の画素構成と±1次回折光43,44の位相差との関係について詳細に述べる。例として、光軸上にある幅Wxの画素で正弦波状の複素振幅変調をかける場合を考える。簡単のため、光源は点光源であると仮定する。複素振幅変調のパターンとして仮定する正弦波の周期をΛ、初期位相をφとすると、画素を通過した光の複素振幅分布波形f(x)は、次式のように表すことができる。
【0089】
【数1】
Figure 0003655294
【0090】
rect関数とsinc関数は、それぞれ次式で定義される関数である。
【0091】
【数2】
Figure 0003655294
【0092】
この光の図示しない投射側開口制限素子面までの伝播は、フラウンホーファー回折で近似でき、投射側開口絞り面上での光の振幅分布h(f(x))は、次式で表される。
【0093】
【数3】
Figure 0003655294
【0094】
ここで、F{f(x)}はf(x)のフーリエ変換、*は畳み込み積分(コンボリューション)、jは虚数単位をそれぞれ表す。
【0095】
この式(18)から、±1次の回折光43,44はそれぞれfx=±1/Λの位置に幅2/Wxのメインローブを持ち、両者の位相差はπ+2φであることが分かる。
【0096】
ここで、画素の有効開口幅が画素内の複素振幅変調の空間的周期の整数倍である場合、つまり、Wx=nΛ(nは整数:以下の説明では、特にn=2の場合を仮定する)である場合を考える。この場合には、回折光の投射側開口制限素子面上の分布は図13(a)または図14(a)に示すようになる。図13(a)は複素振幅変調パターンが画素内で対称である場合、例えばφ=π/2の場合の例であり、図14(a)は複素振幅変調パターンが画素内で対称となる位置に対して変調周期の4分の1だけずれた場合(特に、特定の複素振幅変調パターンに対しては画素内で複素振幅変調パターンが反対称となる場合)、例えばφ=0の場合の例を示している。
【0097】
これらの図13(a)および図14(a)から、空間光変調素子の画素の有効開口幅が画素内の複素振幅変調の空間的周期の整数倍である場合には、本発明に基づき図13(a)に示すように画素の開口内で複素振幅変調パターンが対称になるように画素を構成すると、光軸付近で±1次の光の振幅の符号が逆になり、±1次回折光が互いに弱め合って光軸中心付近が十分暗くなることが分かる。逆に、図14(a)に示すように複素振幅変調パターンがずれていると、光軸付近で±1次回折光の振幅の符号が一致してしまい、±1次回折光が互いに強め合うため、光軸中心付近が十分暗くはならない。
【0098】
次に、画素の有効開口幅が画素内の複素振幅変調の空間的周期の半分の長さの奇数倍である場合、つまりWx=(n−1/2)Λ(nは整数:以下の説明では特にn=2の場合を仮定する)を考える。この場合には、回折光の投射側開口制限素子面上の分布は図13(b)または図14(b)に示すようになる。図14(b)は複素振幅変調パターンが画素内で対称である場合、例えばφ=π/2の場合の例であり、図13(b)は複素振幅変調パターンが画素内で対称となる位置に対して変調周期の4分の1だけずれた場合(特に、特定の複素振幅変調パターンに対しては画素内で複素振幅変調パターンが反対称となる場合)、例えばφ=0の場合の例を示している。
【0099】
これらの図13(b)および図14(b)から、空間光変調素子41の画素の有効開口幅が画素内の光の変調の空間的周期の半分の長さの奇数倍である場合には、本発明に基づき図13(b)に示すように画素の開口内で複素振幅変調パターンが対称となる位置に対して変調周期の4分の1だけずれるように(特に、特定の複素振幅変調パターンに対しては画素内で複素振幅変調パターンが反対称となるように)画素を構成すると、光軸付近で±1次の光が弱め合って、その近辺が十分暗くなることが分かる。逆に、図14(b)に示すように複素振幅変調パターンが画素内で対称になるようにすると、光軸付近で±1次の光の振幅の符号が一致してしまい、±1次の光が互いに強め合うため、光軸中心付近が十分暗くはならない。
【0100】
このように本実施形態によると、空間光変調素子41の画素内で複素振幅変調を受けた光の開口制限素子面上での回折パターンの光軸付近の光強度を十分落すことによって、明視野投射型の光学系を用いた場合の黒レベルを十分暗くし、高いコントラストを確保することができる。
【0101】
次に、本発明の空間光変調素子による画素での複素振幅変調パターンの具体的な実施形態を示す。以下の実施形態を示す図では、1つの画素に光強度分布が一様な平面波が入射した場合の画素の透過光の複素振幅分布の変調方向に沿った断面のパターンを示している。図の紙面の奥行き方向については、TFT等の開口を制限するものの影響を除くと、図と同じ複素振幅変調パターンが画素の端まで続いているものとする。
【0102】
図15に、複素振幅変調パターンの第1の実施形態を示す。これは1画素の有効開口幅が複素振幅変調パターンの周期Λの整数倍(この例では4倍)で、かつ複素振幅変調パターンが画素内で対称になるようにした例である。特に、図15(a)は複素振幅変調パターンとして正弦的な振幅変調あるいは位相変調を用いたもので、(b)は正弦波が歪んだパターン、(c)は矩形波状のパターンを用いた例である。
【0103】
図16に、複素振幅変調パターンの第2の実施形態を示す。これは1画素の有効開口幅が複素振幅変調パターンの周期Λの半分の長さの奇数倍(この例では7倍)で、かつ複素振幅変調パターンが画素内で対称になる位置に対して変調方向に変調周期Λの4分の1ずれた位置となるように設定した例である。
【0104】
図17に、複素振幅変調パターンの第3の実施形態を示す。本発明では、変調波形の一周期分のパターンとして反対称なパターンを取り得る場合には、1画素の有効開口幅が複素振幅変調パターンの周期Λの半分の長さの奇数倍(この例では7倍)で、かつ複素振幅変調パターンが画素内で反対称になるようにしても良い。
【0105】
次に、上述した複素振幅変調パターンを実現する空間光変調素子の具体的構成例を図18に示す。図18(a)(b)は、それぞれ1個分の画素の平面図と断面図であり、(c)は画素での光の複素振幅変調の様子を示す図である。なお、この空間光変調素子の等価回路図は、図2(c)と同様である。
【0106】
この空間光変調素子は、基本的には図2に示した素子と同様に透明電極を設けた2枚の基板の間に液晶層25を挟んだ構造となっている。図2の素子と異なるのは電極の構造であり、第1の基板21上に設けられる透明電極33と、第2の基板23上に設けられる透明電極34の両方とも櫛形透明電極とし、かつ両電極33,34の位置関係は、櫛の歯の部分が互い違いになるようにしている。画素31の有効開口幅Wxを32μmにすると、櫛の歯の部分の周期Pdは16μmとなり、これを上下で8μmずらして重ね合わせることになる。この程度の精度であれば、現在の技術でも十分に対応可能である。液晶層25と基板21,23との間には、透明配向層26,27がそれぞれ配置されている。
【0107】
第1の基板21上には図2と同様、x方向に沿ってデータ線28、y方向に沿って走査線29が形成され、さらにTFT(薄膜トランジスタ)が形成されている。TFTのゲート電極はデータ線28に接続され、ソース電極は走査線29に接続され、ドレイン電極は櫛形透明電極33と液晶25および櫛形透明電極34で構成される画素31と図示しないキャパシタに接続されている。データ線28には画像信号に応じた電圧が印加され、走査線29には走査電圧が順次印加される。
【0108】
データ線28と走査線29を介して櫛形透明電極33,34間に電圧を印加していないときには、液晶層25内の液晶分子は全て同じ方向、例えば櫛歯に平行な方向を向いており、画素31は光学的には平板と同じに見える。一方、櫛形透明電極33,34間に電圧を印加したときには、両電極33,34間に櫛の歯の間の領域で強い電場が生じ、液晶分子がそれに沿うように配列する。一方、電極33,34の櫛の歯の真上または真下では、電場の影響が小さいため、液晶分子の配列はほとんど変らない。これにより、図中に示しているような液晶分子の配列が実現される。
【0109】
液晶層25に用いる液晶材料として、例えば分子の長軸方向の屈折率(Ne)がこれと直交する方向の屈折率(No)より大きい材料を用いると、画素31に入射する光のうちx方向の偏光成分に対して、画素31はx方向に周期的に屈折率が変化しているように見えるため、画素31を透過したx偏光成分は、図18(c)図中の曲線38に示すような周期構造を持った位相分布を示す。同様に、y偏光成分は、曲線37に示すような周期構造を持った位相分布を示す。すなわち、x,y両偏光成分に対して同時に図15(a)に示した分布に相当する位相の複素振幅変調パターンを実現することができる。
【0110】
なお、画素31の周辺付近では、データ線28やTFT等の影響で液晶分子の配列が不定になる領域もある。図中に領域36として模式的に示した領域がそれに該当し、この領域36では安定した複素振幅変調パターンが得られないと考えられる。しかし、データ線28や走査線29の無い側の基板21上の櫛形透明電極33を他方の基板23上の櫛形透明電極34よりもデータ線28あるいは走査線29に近い位置に配置するような電極構成をとれば、この領域を画素31の有効開口39の外側にもっていくことができ、不安定な変調の影響を抑えることができる。
【0111】
次に、本実施形態による空間光変調素子を図1に示した明視野投射型光学系の投射型表示装置に適用した実施形態について説明する。図1において、光源11にはアーク長が3mm程度のメタルハライドランプを用い、反射鏡12には焦点距離fr1=20mm,fr2=100程度の回転楕円体ミラーを用いた。光源11から出射した白色光は反射鏡12により一旦集光され、集光位置近傍で半径10mm程度の円形領域に光が集中する。この位置に光源側開口絞り13を配置し、図の紙面内方向で光束を制限する。光源側開口絞り13の開口の大きさは、空間光変調素子15での複素振幅変調パターンの周期Λに応じて決めることが望ましい。先に示した例(Λ=Pd/2=8μm)の場合には、空間光変調素子15への照明光の最大入射角θLxが1.0°となる程度がよい。
【0112】
光源側開口絞り13で開口制限を受けた照明光は、コリメートレンズ14でほぼ平行な光束とされ、照明光として空間光変調素子15に入射する。コリメートレンズ14に、例えば焦点距離fc=200mm程度の平凸レンズを用いる。
【0113】
空間光変調素子15としては、前述したような画素31の有効開口39の幅がWx=32μmで、画素31内で周期Λ=8μmの正弦波状の位相変調がかかり、かつ複素振幅変調パターンが画素31の有効開口39内で対称となるような素子を用いる。
【0114】
空間光変調素子15の画素31に入射した光は、電圧の印加されているONの画素では周期的な位相変調を受けて特定の方向に強く回折され、電圧の印加されていないOFFの画素ではそのまま通過する。これらの光は集光レンズ16によって集められ、集光面に空間光変調素子15のフラウンホーファー回折パターンを形成する。この集光レンズ16の集光面に投射側開口絞り17を配置し、ONの画素で回折された光を遮り、OFFの画素を素通りした光をスクリーン19上に投射することによって、像の明暗が表示される。
【0115】
本実施形態の空間光変調素子を用いると、前述したようにONの画素からの回折光が光軸付近で非常に弱くなる。従って、ONの画素を十分暗くすることができ、コントラストの高い表示が可能になる。なお、像の明るさを確保するためにOFFの画素の光の透過率をある程度確保することと、ONの画素を暗くすることを両立させるためには、投射側開口絞り17の開口の大きさは、その開口部を集光レンズ16の位置から見た場合の見込み角の半角θasx 2.0°程度となるようにするとよい。
【0116】
次に、本実施形態に示した投射型表示装置で得られるコントラストを計算機シミュレーションで見積もった結果について説明する。
シミュレーションにおいては、計算を容易にするため、光源側開口絞り13面上での光強度の分布として円形で強度が一様な分布を仮定した。円の半径は、コリメートレンズ14の位置から見た見込み角(θLr)が3°であると仮定した。また、光源11から出射する光を代表するものとして単一波長の光を仮定した。空間光変調素子15への照明光の最大入射角、画素の設定および投射側開口絞り17等の条件は、表8にまとめた通りである。
【0117】
【表8】
Figure 0003655294
【0118】
なお、表8中で照明光の最大入射角θLxと投射側開口絞り17の開口の大きさθasx は、共に図の紙面内方向の角度であり、また図18の空間光変調素子面上のx方向は、図1では紙面内にあるものとした。
【0119】
コントラストの計算結果を図19に示す。横軸は画素での位相変調の最大振幅を示し、縦軸はコントラストを示している。図中の実線71は既に説明した本発明の条件を満たす設定の場合の計算結果であり、破線72は基本的には同様の設定を用い、複素振幅変調パターンの空間的位相(位置)がパターンが画素内で反対称になるようにずらした場合(本発明によらない場合)の計算結果である。
【0120】
この結果から、位相変調の最大振幅を0.38程度に設定すると、コントラストを最も高くとることができるが、本発明による実線71の場合と本発明によらない破線72の場合とでは、得られるコントラストに大きな差があることが分かる。一般的には、コントラストは少なくとも100以上必要で、200程度あることが望ましいとされている。本発明の条件を満たさない場合には、得られるコントラストは50程度と低く、十分な性能が得られないが、本発明の条件を満たす場合には、380程度と十分高いコントラストが得られることが分かる。
【0121】
このように本実施形態による空間光変調素子および投射型表示装置では、空間光変調素子の画素の有効開口幅と光の複素振幅変調の空間的周期との関係、および画素内での光の複素振幅変調パターンの位置を適切に設定することで、ONの画素からの回折光の光軸付近での強度を十分弱くすることが可能であり、図1に示したような明視野型投射光学系を用いてコントラストの高い表示を実現することができる。従って、低コストで明るくコントラストの高い投射型表示装置を実現することが可能となる。
【0122】
なお、本実施形態では空間光変調素子の画素の具体的構成も示したが、本発明の主旨は複素振幅変調パターンの特徴を規定することであるので、複素振幅変調パターンを発生させる具体的手段は異なっていても構わない。すなわち、櫛形電極の歯の数や形状が異なっていても、あるいは電極の形状が櫛形でなくとも構わない。また、空間光変調素子が本実施形態で示したような透過型の素子であっても、2枚の基板のうちの一方の近くに反射膜を設けた反射型の素子であっても、光の変調に液晶を用いるものでも用いないものでも構わない。要するに、空間光変調素子を透過した光の複素振幅変調パターンが本実施形態で示した条件を満たしていれば良い。
【0123】
また、本実施形態で説明した空間光変調素子は、第1の実施形態で示した種々の条件、すなわち
0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6
0.8<θLx+arctan(λ/Wx)<θasx <1.3
θasx ≦θasy
θLx≦θLy
θLy+arctan(λ/Wy)≦θasy
の一つまたはいくつかの条件を同時に満たすようにすることも可能である。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空間光変調素子によれば、光ビームが入射したとき出射光における1次の回折光と−1次の回折光が0次光の存在する領域付近で互いに弱め合うように各画素における複素振幅変調パターンを定めたことにより、明視野投射光学系を用いてコントラストの高い表示を実現することができ、もって低コストで明るくコントラストの高い表示が可能な投射型表示装置を実現することが可能となる。
【0125】
また、このような空間光変調素子を用いて回折型空間光変調素子の画素内での光の複素振幅変調の空間的周期と、投射側光束制限素子を構成する開口絞りの開口や遮光板の遮光面の大きさ、空間光変調素子を照明する光の最大入射角との関係を最適化することによって、投射型表示装置に実用上使用可能な光源と空間光変調素子を用いた際に、表示される像のコントラストを損なうこと無く明るさを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る投射型表示装置の光学系の構成を示す断面図
【図2】同実施形態における回折型空間光変調素子の画素の構成例を示す断面図と平面図および等価回路図
【図3】同実施形態における光源側開口絞りを十分絞ったときの投射側開口絞り面での光強度分布の例を示す図
【図4】同実施形態における投射側開口絞りの大きさとコントラストとの関係についてのシミュレーション結果を示す図
【図5】同実施形態における投射側開口絞りの大きさ光の利用率との関係についてのシミュレーション結果を示す図
【図6】図1の光学系で点光源を照明側開口絞りの開口の中心と端点に置いたときの投射側開口絞り面での光強度分布の例を示す図
【図7】図6と同じ系で光源側開口絞りの開口を大きくしたときの投射側開口絞り面での光強度分布の例を示す図
【図8】同実施形態における光源側開口絞りの大きさとコントラストとの関係についてのシミュレーション結果を示す図
【図9】同実施形態における光源側開口絞りの大きさ光の利用率との関係についてのシミュレーション結果を示す図
【図10】同実施形態で用いる光源側開口絞りおよび投射側開口絞りの具体的な形状の例を示す図
【図11】本発明の他の実施形態で用いる投射側遮光板の具体的な形状の例を示す図
【図12】本発明の好ましい実施形態に係る空間光変調素子による回折光の様子を模式的に示す図。
【図13】同実施形態に係る空間光変調素子による回折光のファーフィールドでの振幅分布の例を示す図
【図14】本発明の条件を満たさない空間光変調素子による回折光のファーフィールドでの振幅分布の例を示す図
【図15】画素での光の位相または振幅の変調の様子の第1の例を示す図
【図16】画素での光の位相または振幅の変調の様子の第2の例を示す図
【図17】画素での光の位相または振幅の変調の様子の第3の例を示す図
【図18】同実施形態に係る空間光変調素子の画素の構成を示す断面図と平面図および画素を透過した光の複素振幅を示す図
【図19】同実施形態に係る空間光変調素子を図1の投射型表示装置に用いた場合のコントラストの計算結果を示す図
【図20】回折型空間光変調素子を用いた投射型表示装置の暗視野投射型の光学系の構成を示す図
【符号の説明】
11…光源
12…反射鏡
13…光源側開口絞り(光源側光束制限素子)
14…コリメートレンズ
15…回折型空間光変調素子
16…集光レンズ
17…投射側開口絞り(投射側光束制限素子)
18…投射レンズ
19…スクリーン
21…第1の基板
22…櫛形透明電極
23…第2の基板
24…共通透明電極
25…液晶層
26,27…透明配向層
28…データ線
29…走査線
30…TFT
31…画素
32…キャパシタ
33,34…櫛形透明電極
35…液晶分子のモデル
39…画素の有効開口
40…光ビーム
41…空間光変調素子
42…0次回折光
43…+1次回折光
44…−1次回折光
51…スクリーン45上の+1次回折光振幅分布
52…スクリーン45上の−1次回折光振幅分布
101…光源
102…コンデンサレンズ
103…光源側開口絞り(光源側光束制限素子)
104…コリメートレンズ
105…回折型空間光変調素子
106…投射レンズ
107…投射側遮光板(投射側光束制限素子)
109…スクリーン

Claims (12)

  1. 入射光に対して各画素内で所定の方向に周期的に複素振幅変調を行う複数の画素が配列された空間光変調素子において、
    前記所定の方向における画素の有効開口幅が変調周期の半分の長さの奇数倍であり、かつ各画素内の複素振幅変調パターンが画素の開口内で対称となる位置から変調周期の4分の1だけ前記所定の方向にずれていることを特徴とする空間光変調素子。
  2. 入射光に対して各画素内で所定の方向に周期的に複素振幅変調を行う複数の画素が配列された空間光変調素子において、
    前記所定の方向における画素の有効開口幅が変調周期の半分の長さの奇数倍であり、かつ画素内の複素振幅変調パターンが画素の開口内で反対称であることを特徴とする空間光変調素子。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の空間光変調素子に照明光を入射させ、該空間光変調素子からの出射光を該空間光変調素子の近傍に配置された集光レンズにより集光し、該集光レンズの集光点近傍に配置された光束制限素子および投射レンズを介してスクリーン上に投射することを特徴とする投射型表示装置。
  4. 照明光を出射する光源と、
    複数の画素を有し、前記光源から出射された照明光を入射し、該入射光に対して各画素内で所定方向に周期的に複素振幅変調を行う請求項1または2のいずれか1項に記載の空間光変調素子と、
    前記空間光変調素子の近傍に配置され、該空間光変調素子からの出射光を集光する集光レンズと、
    前記集光レンズからの光をスクリーン上に投射する投射レンズと、
    前記集光レンズの焦点近傍に配置され、前記集光レンズから前記投射レンズに至る光の光束を制限する光束制限素子とを備え、
    前記空間光変調素子における前記複素振幅変調の空間的周期をp、前記入射光の中心波長をλ、前記集光レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθasx とするとき、
    0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6
    なる条件を満たすことを特徴とする投射型表示装置。
  5. 照明光を出射する光源と、
    複数の画素を有し、前記光源から出射された照明光を入射し、該入射光に対して各画素内で所定方向に周期的に複素振幅変調を行う請求項1または2のいずれか1項に記載の空間光変調素子と、
    前記空間光変調素子からの出射光をスクリーン上に投射する投射レンズと、
    前記投射レンズの焦点近傍に配置され、前記投射レンズから前記スクリーンに至る光の光束を制限する光束制限素子とを備え、
    前記空間光変調素子における前記複素振幅変調の空間的周期をp、前記入射光の中心波長をλ、前記投射レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に沿った方向の角度をθasx とするとき、
    0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6
    なる条件を満たすことを特徴とする投射型表示装置。
  6. 照明光を出射する光源と、
    複数の画素を有し、前記光源から出射された照明光を入射し、該入射光に対して各画素内で所定方向に周期的に複素振幅変調を行う請求項1または2のいずれか1項に記載の空間光変調素子と、
    前記空間光変調素子の近傍に配置され、該空間光変調素子からの出射光を集光する集光レンズと、
    前記集光レンズからの光をスクリーン上に投射する投射レンズと、
    前記集光レンズの焦点近傍に配置され、前記集光レンズから前記投射レンズに至る光の光束を制限する光束制限素子とを備え、
    前記空間光変調素子における前記複素振幅変調の空間的周期をp、前記入射光の中心波長をλ、前記集光レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθasx とするとき、
    0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6
    なる条件を満たし、
    前記空間光変調素子の各画素の有効開口の前記所定の方向の寸法をWx、該空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって該所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθLxとするとき、
    0.8<{θLx+arctan(λ/Wx)}/θasx <1.3
    なる条件を満たすことを特徴とする投射型表示装置。
  7. 照明光を出射する光源と、
    複数の画素を有し、前記光源から出射された照明光を入射し、該入射光に対して各画素内で所定方向に周期的に複素振幅変調を行う請求項1または2のいずれか1項に記載の空間光変調素子と、
    前記空間光変調素子からの出射光をスクリーン上に投射する投射レンズと、
    前記投射レンズの焦点近傍に配置され、前記投射レンズから前記スクリーンに至る光の光束を制限する光束制限素子とを備え、
    前記空間光変調素子における前記複素振幅変調の空間的周期をp、前記入射光の中心波長をλ、前記投射レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に沿った方向の角度をθasx とするとき、
    0.35<θasx /arcsin(λ/p)<0.6
    なる条件を満たし、
    前記空間光変調素子の各画素の有効開口の前記所定の方向の寸法をWx、該空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって該所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθLxとするとき、
    0.8<{θLx+arctan(λ/Wx)}/asx <1.3
    なる条件を満たすことを特徴とする投射型表示装置。
  8. 前記集光レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に直交しかつ該空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθasy とするとき、
    θasx ≦θasy
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項4または6記載の投射型表示装置。
  9. 前記投射レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に直交しかつ該空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθasy とするとき、
    θasx ≦θasy
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項5または7記載の投射型表示装置。
  10. 前記空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって、前記所定の方向に沿った面に含まれる方向の角度をθLx、該所定の方向に直交しかつ該空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθLyとするとき、
    θLx≦θLy
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項記載の投射型表示装置。
  11. 前記空間光変調素子の各画素の前記所定の方向に直交する方向の寸法をWy、該空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって前記所定の方向に直交しかつ該空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθLy、前記集光レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に対して直交しかつ該空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθasy とするとき、
    θLy+arctan(λ/Wy)≦θasy
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項4または6記載の投射型表示装置。
  12. 前記空間光変調素子の各画素の前記所定の方向に直交する方向の寸法をWy、該空間光変調素子に入射する照明光の最大入射角であって前記所定の方向に直交しかつ該空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθLy、前記投射レンズから見た前記光束制限素子の制限側端縁の見込み角の半角値であって前記所定の方向に対して直交しかつ該空間光変調素子の面に直交する面に含まれる方向の角度をθasy とするとき、
    θLy+arctan(λ/Wy)≦θasy
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項5または6記載の投射型表示装置。
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