JP3654990B2 - セラミック軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック軸受に関する。特に、真空環境、高温環境、低温環境、腐蝕環境などで用いるのに好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、本願出願人は、セラミックス製の転がり軸受やすべり軸受について種々鋭意研究している。そもそも、セラミックス製の転がり軸受やすべり軸受は、一般的なグリースやオイルなどの潤滑剤を用いることができない環境において好適に使用できるものであるが、転動、摺動部位の円滑性を高めるためには、転動面または摺動面に固体潤滑剤をコーティングすることが考えられている。固体潤滑剤としては、例えば金、銀、銅、すず、鉛などの軟質金属や、フッ素系樹脂(例えばPTFE:ポリテトラフルオロエチレンなど)などが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなコーティング膜では、摩耗したり剥離したりなど、長期間にわたって保持されにくいなどの不具合が指摘される。なお、潤滑膜を介さない直接接触になると、金属に比べ凝着摩耗はほとんどないものの、転動、摺動時の摩擦抵抗は増大し、円滑性が低下することになる。また、セラミックスは鋼などに比べてはるかに硬度が高く、よって面圧が高くなるため、甚だしい場合には、転動面や摺動面が早期に摩耗、損傷して荒れることがあり、振動や騒音の増大につながる。
【0004】
したがって、本発明は、セラミック軸受において、転動面や摺動面の潤滑性を長期間にわたって良好に維持できるようにすることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミック軸受は、相対的に転動あるいは摺動する二つの部材のうち、少なくとも一方がセラミックスで形成されているセラミック軸受であって、前記セラミックス製部材の転動・摺動面に、この転動・摺動面そのものの表層の組成を変化させた前記セラミックス製部材の構成金属元素の弗化化合物層が形成されているとともに、前記弗化化合物は、セラミックスとして窒化けい素、炭化けい素を用いる場合、弗化シリコンであり、アルミナ、窒化アルミを用いる場合、弗化アルミであり、ジルコニアを用いる場合、弗化ジルコニウムであり、酸化マグネシウムを用いる場合、弗化マグネシウムである。
【0006】
このような本発明では、転動面や摺動面の表層が、良好な潤滑性を持つものであるから、コーティング膜のような剥離がなくなるとともに、摩擦抵抗が軽減されて摩耗が抑制されるので、転動、摺動動作が長期にわたって円滑となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図1および図2に示す実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1は本発明の一実施例にかかり、図1は、転がり軸受の上半分の縦断面図である。図中、Aはラジアルタイプの転がり軸受の全体を示しており、ここでは内輪1と、外輪2と、球状の転動体3と、保持器4とを備える深溝型玉軸受を例に挙げている。この転がり軸受Aにおいて、内・外輪1,2の軌道溝の表面および転動体3の表面には、弗化化合物層5が形成されている。
【0009】
内・外輪1,2および転動体3は、窒化けい素を主体とするセラミックス製部材により形成されている。このセラミックス製部材としては、焼結助剤として、イットリア(Y2O3)およびアルミナ(Al2O3)、その他、適宜、窒化アルミ(AlN)、酸化チタン(TiO2)、スピネル(MgAl2O4)を用いた窒化けい素(Si3N4)を主体とするものの他、アルミナ(Al2O3)や炭化けい素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化アルミ(AlN)などを用いることができる。但し、転動体3のみをセラミックス製部材で形成し、内・外輪1,2については、金属材料により形成してもよい。この金属材料としては、例えばJIS規格SUJ2などの高炭素クロム軸受鋼などが挙げられる。耐蝕性が要求される場合には、JIS規格SUS440Cなどのマルテンサイト系ステンレス鋼、例えばJIS規格SUS630などの析出硬化型ステンレス鋼に適当な硬化熱処理を施した金属材などが好ましい。また、軽荷重用途では、例えばJIS規格SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼とすることができる。
【0010】
保持器4は、JIS規格SPCC材などの軟鋼の他、合成樹脂材料により形成される。合成樹脂材料としては、一般的なポリアミド樹脂(ナイロン66)の他、耐熱性を有する熱可塑性樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのふっ素系樹脂やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ナイロン46などのエンジニアリングプラスチックスなども使用できる。保持器の形式としては、図例の波形だけでなく、冠形などが使用される。
【0011】
弗化化合物層5は、セラミックスとして窒化けい素、炭化けい素を用いる場合には、弗化シリコンであり、アルミナや窒化アルミを用いる場合には、弗化アルミであり、ジルコニアを用いる場合には、弗化ジルコニウムであり、酸化マグネシウムを用いる場合には、弗化マグネシウムである。このような弗化化合物層5は、次のようにして形成される。例えば、セラミックスとして窒化けい素を用いる場合には、対象となるセラミックス製の内・外輪1,2の軌道溝および転動体3の全表面に対して、イオン注入法またはCVD法により、弗化剤を所要深さまで注入して、必要に応じて反応拡散させれば、内・外輪1,2の軌道溝および転動体3の主たる組成である窒化けい素(Si3N4)の表面領域が、弗化されて弗化シリコン(SiF4)となる。つまり、内・外輪1,2および転動体3の表面部分が改質されて、優れた潤滑性を有するものになる。ここで、弗化化合物層5は、例えば表面から適宜深さ例えば0.5μm程度までの領域に形成される。使用する弗化剤としては、F(弗素)またはFを含むイオン種例えばCF4、BF2 +、CHF3、SF6などが挙げられる。イオン注入法の場合、例えばイオン注入電圧を30〜200KeV、イオン注入量を1014〜1016K/cm2とする。
【0012】
このような転がり軸受Aでは、内・外輪1,2および転動体3そのものの転動、摺動面の表層の組成を変化したものであり、いわゆるコーティング膜のような剥離がなく、また、きわめて潤滑性に優れたものゆえ、摩擦抵抗が軽減されて摩耗が抑制されるとともに、転動、摺動動作が長期間にわたって円滑となる。したがって、転がり軸受Aの回転トルク特性ならびに振動・騒音特性が改善されることになる。
【0013】
ところで、本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。例えば、実施例では、軸受形式として深溝型玉軸受を引用しているが、その他の種類の転がり軸受や、各種のすべり軸受に本発明を適用できる。また、弗化化合物層5は、軸受構成要素のうち少なくともセラミックスで形成される部材のみに形成すればよいが、形成対象は特に限定されない。
【0014】
【発明の効果】
本発明のセラミック軸受では、セラミックス製部材において転動または摺動する部位の表面を、潤滑性に優れているとともに剥離、摩耗がほとんどない状態に改質しているから、転動、摺動動作が長期間にわたって円滑にできて、トルク特性ならびに振動・騒音特性が改善されることになる。
【0015】
したがって、本発明のセラミック軸受は、特に、真空環境、高温環境、低温環境、腐蝕環境などの苛酷な環境で使用される場合において、長寿命化を達成できるなど、好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるセラミック軸受の上半分の縦断面図
【符号の説明】
A セラミック軸受
1 内輪
2 外輪
3 転動体
4 保持器
5 弗化化合物層
Claims (1)
- 相対的に転動あるいは摺動する二つの部材のうち、少なくとも一方がセラミックスで形成されているセラミック軸受であって、
前記セラミックス製部材の転動・摺動面に、この転動・摺動面そのものの表層の組成を変化させた前記セラミックス製部材の構成金属元素の弗化化合物層が形成されているとともに、
前記弗化化合物は、セラミックスとして窒化けい素、炭化けい素を用いる場合、弗化シリコンであり、アルミナ、窒化アルミを用いる場合、弗化アルミであり、ジルコニアを用いる場合、弗化ジルコニウムであり、酸化マグネシウムを用いる場合、弗化マグネシウムである、ことを特徴とするセラミック軸受。
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JP03464796A JP3654990B2 (ja) | 1996-02-22 | 1996-02-22 | セラミック軸受 |
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Family Applications (1)
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JP03464796A Expired - Fee Related JP3654990B2 (ja) | 1996-02-22 | 1996-02-22 | セラミック軸受 |
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1996
- 1996-02-22 JP JP03464796A patent/JP3654990B2/ja not_active Expired - Fee Related
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