JP3654225B2 - 磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの加工装置及び加工方法並びに磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの加工装置及び加工方法並びに磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果(MR)型薄膜磁気ヘッドの加工装置、MR型薄膜磁気ヘッドの加工方法及びMR型薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。このため、読出し用の薄膜磁気ヘッドとして、インダクティブ電磁変換素子に代えてMR素子を用いることが一般的に行われている。その場合、読出し用のMR素子と書込み用のインダクティブ電磁変換素子とを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが用いられることが多い。
【0003】
この種のMR型薄膜磁気ヘッドを製造する場合、MR素子の寸法出し(MRハイト調整)のための研磨処理が必ず行われる。この研磨処理は、複数のMR型薄膜磁気ヘッドが一列に一体的に配置されるようにウエハをシングルバー又はブロックバーと呼ばれる列毎に切断して得たバーの一面(浮上面、ABS:Air Bearing Surface)を研磨することにより行われ、これによって、複数のMR型薄膜磁気ヘッドのMRハイトが一括して調整される。
【0004】
1つのバー内の複数のMR型薄膜磁気ヘッド相互のMRハイト及び複数のバーのMR型薄膜磁気ヘッド相互のMRハイトを正確な値に調整するために、通常は、研磨された高さを検出するELG(Electric Lapping Guide)センサ等と称される研磨量センサが各バーに複数設けられており、これら研磨量センサからの電気的信号に応じて、研磨が制御される。
【0005】
ELGセンサは、例えば特開2000−6129号公報に開示されているように、工程数を削減したり、製法上の簡便さ等の観点から、MR素子のMR膜と同じ構造のMR膜を有しているのが一般的であり、研磨されるべきABSに隣接しかつ平行に伸長するように構成されている。MRハイトの研磨に応じてこのELGセンサのMR膜も研磨され、その高さが減少しこれによる素子抵抗の変化から研磨量を教えるように構成されている。このようなELGセンサを用いたMRハイト制御については、例えば、特開平9−93214号公報、特開平10−269530号公報及び特開2001−6128号公報等に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ELGセンサは一般にMR膜で構成されているため、外部磁界に対して磁気抵抗効果、即ち抵抗変化を示す。一方、研磨装置の定盤自体及びその周辺の部材は、磁化されていることが多い。
【0007】
従って、このような状態の研磨装置でELGセンサに基づいたMRハイトの制御を行うと、ELGセンサの抵抗値自体が周囲の磁界により変動して正確な研磨量を把握できず、正しいMRハイト制御を行えない場合がある。特に最近のように、MR膜が巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用した積層構造を有する場合には、この傾向が顕著となってきている。
【0008】
本発明の目的は、正確なMRハイト制御を行うことができるMR型薄膜磁気ヘッドの加工装置、MR型薄膜磁気ヘッドの加工方法及びMR型薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、複数のMR型薄膜磁気ヘッドが一体的に配列されたバーの研磨を、このバーに設けられたMR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値に応じて制御するMR型薄膜磁気ヘッドの加工装置であって、MR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界をバーに印加する磁界印加手段を備えたMR型薄膜磁気ヘッドの加工装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、さらに、複数のMR型薄膜磁気ヘッドが一体的に配列されたバーに設けられたMR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界をバーに印加しておき、磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値に応じてバーの研磨を制御するMR型薄膜磁気ヘッドの加工方法が提供される。
【0011】
さらにまた、本発明によれば、ウエハ上に複数のMR型薄膜磁気ヘッドをマトリクス状に形成し、このウエハを切断して複数のMR型薄膜磁気ヘッドが一体的に配列された複数のバーを得、得られた各バーについて、バーに設けられたMR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界をバーに印加した状態で、MR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値に応じてバーの研磨を制御し、その後、バーを切断して個々のMR型薄膜磁気ヘッドを得るMR型薄膜磁気ヘッドの製造方法が提供される。
【0012】
MR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界をバーに印加した状態で、研磨量の検出を行っている。このように、研磨量センサの動作点が外部磁界の変化に対して安定な領域に固定されているため、その出力は外部磁界の影響では変化せず、研磨量のみに従って変化することとなる。従って、研磨量を正しく把握できるので、MRハイトを正確に制御することが可能となる。
【0013】
直流バイアス磁界を、バーを研磨する定盤に一体化されているか、又はバーを取り付ける研磨用治具に一体化された磁界発生手段から印加することが好ましい。定盤に一体化されるとは、定盤自体が磁界発生手段で構成されるか又は定盤に磁界発生手段が一体的に取り付けられていることを表している。また、研磨用治具に一体化されるとは、研磨用治具自体が磁界発生手段で構成されるか又は研磨用治具に磁界発生手段が一体的に取り付けられていることを表している。
【0014】
この磁界発生手段が、永久磁石又は電磁石であることが好ましい。
【0015】
MR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサが、MR型薄膜磁気ヘッドのMR素子とは別個に設けられた専用の研磨量センサであるか、又はMR型薄膜磁気ヘッドのMR素子自体であることも好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用されるMR型薄膜磁気ヘッドの一例の構造を概略的に示す断面図である。
【0017】
このMR型薄膜磁気ヘッドは、基板10上にMR素子を有する読出しヘッド部とインダクティブ電磁変換素子を有する書込みヘッド部とを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドである。
【0018】
同図において、11はAl2O3−TiC等による基板10上に積層された例えばAl2O3等による絶縁膜、12は絶縁膜11の上に積層された例えばNiFe等による下部シールド膜、13はその上に積層された例えばAl2O3等による下部シールドギャップ膜、14はその上に積層されたMR膜、15はMR膜14を挟むように下部シールドギャップ膜13上に積層された例えばAl2O3等による上部シールドギャップ膜、16はその上に積層された例えばNiFe等による上部シールド膜をそれぞれ示している。
【0019】
下部シールド膜12及び上部シールド膜16は、MR膜15を磁気的にシールドするためのものであり、下部シールドギャップ膜13及び上部シールドギャップ膜15を介してMR膜14を挟み互いに対向するように配置されている。上部シールド膜16は、書込みヘッド部における下部磁極としての機能も兼ね備えている。
【0020】
MR膜14は、ABS17の近傍に配置されており、例えば異方性磁気抵抗効果(AMR)膜、例えばスピンバルブ(Spin Valve)膜のごときGMR膜、又はトンネル磁気抵抗効果(TMR)膜等で構成されている。
【0021】
MR膜14のABS17側の端縁から反対側の端縁までの長さが、MRハイトである。このMRハイトは、素子抵抗、再生出力をはじめ、多くのヘッド動作特性値を制御する際に重要である。
【0022】
下部磁極をも構成する上部シールド膜16上には、例えばAl2O3等による記録ギャップ膜18が積層されており、その上には例えばフォトレジストによる絶縁層19、薄膜コイル20、例えばフォトレジストによる絶縁層21、薄膜コイル22、例えばフォトレジストによる絶縁層23、例えばNiFe等による上部磁極24が順次積層されており、その上には例えばAl2O3等による保護膜25が積層されている。
【0023】
図2は、本発明におけるMR型薄膜磁気ヘッドの製造方法の一実施形態の流れを概略的に示すフローチャートである。以下、同図を参照してMR型薄膜磁気ヘッドの製造工程を説明する。
【0024】
まず、薄膜集積技術を用いて、ウエハ上に多数の複合型薄膜磁気ヘッドをマトリクス状に形成すると共に、MR素子の成膜プロセスにおいて、同時に複数のMR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサ(MR型ELGセンサ)をも形成する(ステップS1)。
【0025】
次いで、図3(A)及び(B)に示すように、このウエハ(基板)30を複数のバー31に切り出す(ステップS2)。この切断は、同図(B)に示すように、各バー31が少なくとも1列に配列された複数のMR型薄膜磁気ヘッド32及び複数のMR型ELGセンサを有するように行う。
【0026】
次いで、バー31のABS(研磨面)31aをある程度の深さまで粗研磨する(ステップS3)。この粗研磨工程においては、ELGセンサを用いず、例えば画像処理等を用いておおまかな量の研磨を行う。
【0027】
次いで、ABSの本研磨を行ってMRハイトの調整を行う(ステップS4)。この研磨にはELGセンサからの検出出力を利用する。
【0028】
図4はこの本研磨工程の流れを概略的に示すフローチャートであり、図5はこの工程で使用される研磨装置の構成を概略的に示す図である。以下これらの図を用いてこの本研磨工程について説明する。
【0029】
図5に示すように、研磨装置は、定盤50と、この定盤50に同軸に連結された回転シャフト51と、この回転シャフト51をベルト52aを介して駆動し定盤50を回転させるモータ52bと、定盤50の全面に渡って均一に一体的に取り付けられた永久磁石又は直流電磁石による直流磁化用磁石53と、バー54に設けられたELGセンサ55に一定の直流電流を流しその出力抵抗値を検出する抵抗検出回路56と、抵抗検出回路56が検出したELGセンサ55の出力に応じて、MRハイトを計算し、回転数検出器58などの信号から定盤50の回転制御、研磨剤の制御及び研磨の終了制御等を行うコントローラ57とを主に備えている。定盤50自体を永久磁石又は直流電磁石による直流磁化用磁石で構成しても良い。
【0030】
まず、定盤50に取り付けられた直流磁化用磁石53からの磁界方向を設定する(ステップS41)。その方向は、MR膜を構成する積層膜、例えばスピンバルブ膜(下部強磁性層/電気伝導層/上部磁性層/ピン止め層)の上部磁性層がピン止めされている方向に設定する。このように設定することで、ELGセンサに使われているMR膜の下部強磁性層(フリー層)の磁化方向と上部磁性層(ピンド層)の磁化方向とがほぼ平行となり、外部磁界に対して抵抗が安定な領域とすることができる。
【0031】
次いで、バー54をこの研磨装置に装着し(ステップS42)、ELGセンサ55の端子電極55aを抵抗検出回路56に電気的に接続する。
【0032】
その後、バー54の研磨を行いながらELGセンサ55からの検出出力を取り込み(ステップS43)、MRハイトの計算を行うと共に定盤50の回転速度を制御して研磨量を制御する(ステップS44)。その際、バー54には、従ってELGセンサ55には、直流磁化用磁石53からELGセンサ55の出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界が印加される。
【0033】
MRハイトの求め方は公知であるが、以下にその一例を簡単に説明する。
【0034】
図6に示すように、バー54上には、そのABS側の面(研磨面)54aに沿って1列に配列された薄膜磁気ヘッドのMR膜60〜62が形成されており、さらにこれらのMR膜の間には、ELGセンサのMR膜(以下単にELGセンサと称する)63及び64がそれぞれ形成されているとする。
【0035】
ELGセンサ63の集積時に測定された抵抗値をR1とすると、MRハイトHMRは次の(1)式で与えられる、
HMR=RS/(R1−RL)=C+RSH×W1/(R1−RL) (1)
ただし、RSはMR膜の集積時の仮想抵抗、RLは集積時のリード導体抵抗、CはMR膜及びリード導体の接続部におけるクラウディング抵抗等のその他の抵抗分、RSHはMR膜のシート抵抗、W1はELGセンサ63の幅をそれぞれ表している。
【0036】
仮想抵抗RS及びリード導体抵抗RLは、以下のようにして求められる。ELGセンサ63及び64の各抵抗値をR1及びR2、幅をW1及びW2、高さをH1及びH2とすると、次の(2)及び(3)式が成り立つ。
【0037】
R1=RL+(C/H1)+(RSH×W1)/H1 (2)
R2=RL+(C/H2)+(RSH×W2)/H2 (3)
ここで、H2=H1−a、W2=W1 を(2)及び(3)式に代入すると、次の(4)及び(5)式を得る。但し、aはH1より小さい定数である。
【0038】
R1=RL+(C/H1)+(RSH×W1)/H1 (4)
R2=RL+(C/(H1−a))+(RSH×W1)/(H1−a) (5)
従って、この連立方程式を解くことにより、次の(6)及び(7)式で表される仮想抵抗RS(=C+RSH×W1)及びリード導体抵抗RLが得られる。
【0039】
RL=R1+(H1−a)×(R1−R2)/a (6)
RS=−H1×(H1−a)×(R1−R2)/a (7)
なお、これら仮想抵抗RS及びリード導体抵抗RLの組は、一組のELGセンサ63及び64ごとに得られる。そして、研磨中のELGセンサの抵抗値RからHMR=RS/(R−RL)を用いてMRハイトHMRが計算される。
【0040】
次いで、計算されたMRハイトHMRが所望値(終点)となったかどうかが判別される(ステップS45)。
【0041】
計算されたMRハイトHMRが所望値に達していない場合は、ステップS43に戻って研磨処理を繰り返して続行し、MRハイトHMRが所望値となった場合は研磨を終了し(ステップS46)、図2に示すステップS5へ進む。
【0042】
このステップS5においては、バーのABS上に例えばDLC(ダイアモンドライクカーボン)膜等の保護膜を形成する。
【0043】
次いで、バーのABSにレールを形成した(ステップS6)後、そのバーを切断して個々の磁気ヘッドスライダを得る(ステップS7)。
【0044】
その後、磁気ヘッドスライダをサスペンションに搭載してヘッドジンバルアセンブリ(HGA)を形成する(ステップS8)。
【0045】
図7に示すように、本実施形態においては、少なくともELGセンサ55が動作している際には、永久磁石又は直流電磁石による直流磁化用磁石53からELGセンサ55に直流バイアス磁界が印加される。この直流バイアス磁界の方向及び値は、ELGセンサ55の出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるように設定されている。
【0046】
一般に、MR膜は、少量の正方向又は負方向への磁界に対しても抵抗変化を生じる。図8は本実施形態のごときELGセンサのMR膜に印加された外部磁界に対するその抵抗値変化の一例を示す特性図である。このELGセンサでは、例えば極度に大きい負方向(正方向)への磁界を印加した場合、MR膜は最小の抵抗値を示す。この状態から磁界を正方向に増やして(負方向に減らして)行くと、磁界ゼロを経て最大抵抗値を迎え、次いで抵抗値は下がりはじめ、図8には示してないが、極度に大きい正方向(負方向)の磁界では、再び最小の抵抗値となる。従って、通常の動作範囲ではMR膜は最もMR変化を起こし易い状態にあり、定盤又はその周辺が多少磁化されたのみでその抵抗値の読みが変ってしまう。そこで本実施形態では、本研磨中に、抵抗変化を起こさない程度の、即ち、MR膜の出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流磁界を印加することによって、磁界によるELGセンサ55の抵抗値変化を防止しているのである。その結果、研磨量を正しく把握することができ、MRハイトを正確に制御することが可能となる。
【0047】
図8のELGセンサでは、約−20000A/mより大きい負方向の磁界、例えば−40000A/mの磁界を印加することにより、ELGセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となって、換言すれば、MR膜の下部強磁性層(フリー層)の磁化方向と上部磁性層(ピンド層)の磁化方向とがほぼ平行となって、磁界による抵抗変化が生じないことが分かる。
【0048】
以上述べた実施形態では、ELGセンサとして、MR型磁気ヘッドのMR膜とは別個に設けた専用のMR膜を用いているが、MR型磁気ヘッド自体のMR膜をELGセンサとして流用することも可能である。ただし、その場合、MR膜がシールド膜でカバーされているため、MR膜の出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流磁界をMR膜に与えるためにはより大きな外部磁界が必要となる。
【0049】
図9はこのようなELGセンサのMR膜に印加された外部磁界に対するその抵抗値変化の一例を示す特性図である。この実素子を流用したELGセンサでは、外部印加磁界がゼロの付近では、MR変化がなく、ある程度の大きさの外部磁界が印加されたところで、MR特性を示している。このELGセンサにおいても、約−20000A/mより大きい負方向の磁界、例えば−40000A/mの磁界を印加することにより、ELGセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となって、換言すれば、MR膜の下部強磁性層(フリー層)の磁化方向と上部磁性層(ピンド層)の磁化方向とがほぼ平行となって、磁界による抵抗変化が生じていない。
【0050】
図10は、本発明の製造方法の他の実施形態における本研磨工程で直流磁界が印加される様子を説明する図である。
【0051】
この実施形態においては、永久磁石又は直流電磁石による直流磁化用磁石103が、研磨装置の定盤100には取り付けられておらず、バー104を装着する研磨用治具108に一体的に取り付けられているか、又は治具108自体が直流磁化用磁石103によって形成されている。これによって、バー104の研磨中は、直流磁化用磁石103からELGセンサにその出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界が印加される。
【0052】
本実施形態におけるその他の構成、変更態様及び作用効果は、前述した実施形態の場合と同様である。
【0053】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0054】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、MR膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界をバーに印加した状態で、研磨量の検出を行っている。このように、研磨量センサの動作点が安定な領域に固定されているため、その出力は外部磁界の変化によっては変化せず、研磨量のみに従って変化することとなる。従って、研磨量を正しく把握できるので、MRハイトを正確に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるMR型薄膜磁気ヘッドの一例の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の製造方法の一実施形態の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図3】ウエハ及びこのウエハから切り出されるバーを示す斜視図である。
【図4】本研磨工程の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図5】図2の実施形態における本研磨工程で使用される研磨装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】バー上に形成された薄膜磁気ヘッドのMR膜及びELGセンサのMR膜の一例を示す平面図である。
【図7】図2の実施形態における本研磨工程で直流磁界が印加される様子を説明する図である。
【図8】ELGセンサのMR膜に印加された外部磁界に対するその抵抗値変化の一例を示す特性図である。
【図9】実素子を流用したELGセンサのMR膜に印加された外部磁界に対するその抵抗値変化の一例を示す特性図である。
【図10】本発明の製造方法の他の実施形態における本研磨工程で直流磁界が印加される様子を説明する図である。
【符号の説明】
10 基板
11 絶縁膜
12 下部シールド膜
13 下部シールドギャップ膜
14、60〜62 MR膜
15 上部シールドギャップ膜
16 上部シールド膜
17、31a ABS
18 記録ギャップ膜
19、21、23 絶縁層
20、22 薄膜コイル
24 上部磁極
25 保護膜
30 ウエハ
31、54、104 バー
32 MR型薄膜磁気ヘッド
50、100 定盤
51 回転シャフト
52a ベルト
52b モータ
53、103 直流磁化用磁石
55、63、64 ELGセンサ
56 抵抗検出回路
57 コントローラ
58 回転数検出器
108 研磨用治具
Claims (21)
- 複数の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが一体的に配列されたバーの研磨を、該バーに設けられた磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値に応じて制御する磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの加工装置であって、前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界を該バーに印加する磁界印加手段を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの加工装置。
- 前記磁界印加手段が、前記バーを研磨する定盤に一体化された磁界発生手段であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記磁界印加手段が、前記バーを取り付ける研磨用治具に一体化された磁界発生手段であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記磁界発生手段が、永久磁石であることを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
- 前記磁界発生手段が、電磁石であることを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
- 前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサが、前記磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子とは別個に設けられた専用の研磨量センサであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
- 前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサが、前記磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
- 複数の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが一体的に配列されたバーに設けられた磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界を該バーに印加しておき、前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値に応じて該バーの研磨を制御することを特徴とする磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの加工方法。
- 前記直流バイアス磁界を、前記バーを研磨する定盤に一体化された磁界発生手段から印加することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記直流バイアス磁界を、前記バーを取り付ける研磨用治具に一体化された磁界発生手段から印加することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記磁界発生手段が、永久磁石であることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
- 前記磁界発生手段が、電磁石であることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
- 前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサが、前記磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子とは別個に設けられた専用の研磨量センサであることを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサが、前記磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の方法。
- ウエハ上に複数の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドをマトリクス状に形成し、該ウエハを切断して前記複数の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが一体的に配列された複数のバーを得、得られた各バーについて、該バーに設けられた磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値が外部磁界の変化に対して安定な領域となるような直流バイアス磁界を該バーに印加した状態で、前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサの出力抵抗値に応じて該バーの研磨を制御し、該バーを切断して個々の磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを得ることを特徴とする磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法。
- 前記直流バイアス磁界を、前記バーを研磨する定盤に一体化された磁界発生手段から印加することを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
- 前記直流バイアス磁界を、前記バーを取り付ける研磨用治具に一体化された磁界発生手段から印加することを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
- 前記磁界発生手段が、永久磁石であることを特徴とする請求項16又は17に記載の製造方法。
- 前記磁界発生手段が、電磁石であることを特徴とする請求項16又は17に記載の製造方法。
- 前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサが、前記磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子とは別個に設けられた専用の研磨量センサであることを特徴とする請求項15から19のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記磁気抵抗効果膜をセンサ膜として有するラッピングセンサが、前記磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項15から19のいずれか1項に記載の製造方法。
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