JP3653924B2 - プロジェクションスクリーン用光拡散層 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレネルレンズとレンチキュラーシートの組み合わせから構成されるプロジェクションスクリーンに用いられる光拡散層に関し、特に、透過型液晶プロジェクションテレビで、液晶プロジェクターからの投影光を結像(および、光拡散させて透過)させて機能する光拡散層の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクションスクリーンの一般的な形態としては、フレネルレンズとレンチキュラーシートとの組み合わせからなり、プロジェクターからの投影光を結像(および、光拡散させて透過)させて機能する光拡散層が、スクリーンの何れかの場所に存在する。
【0003】
レンチキュラーシートは、シリンドリカルレンズの並設方向(一般には、水平方向)である所定の角度範囲には投影光を広げられるが、それと垂直な方向には投影光をほとんど広げられない。
水平方向へ光を広げる補助的な役割、及び垂直方向に光を広げる主役的な役割を果たすために光拡散層が必要である。
また、光拡散層には、画面の明るさが均一になるように、プロジェクターからの入射光の中心点の輝度が局所的に高くなり、シリンドリカルレンズの並設方向に縞状に見える現象であるホットスポットをなくす役割もある。
【0004】
光拡散機能を付与するために、光透過性樹脂に屈折率の異なる光拡散性微粒子を分散配合するのは公知であり、光拡散特性を得るために以下に例示される様々な手法がある。
(1) レンチキュラーシートの成形品の内部に光拡散性を有する微粒子を1種又は2種以上練り込み、色温度特性を改善することを目的とする特開平4−134440号公報,特開平4−134441号公報や、垂直方向に於ける視野特性の改善を目的とする特開平2−157735号公報が提案されている。
(2) レンチキュラーシートの成形品の出射面側に、微細な凹凸を形成(マット処理)し、光利用効率を改善したり、ギラツキ防止と視野特性の改善を目的とする特開平3−43724号公報,特開平5−61120号公報,特開平7−270918号公報が提案されている。
(3) レンチキュラーシートの成形品の前後、特に出射面側に光拡散性を有する微粒子を分散配合させた樹脂を塗布形成するか、前記樹脂をフィルム化したものをラミネートし、高輝度化,コントラスト改善を目的とする特開昭63−266442号公報,特開平1−1661328号公報,特開平4−322240号公報があり、光拡散シートを用いて、簡単に光拡散層を積層させることを目的とする特開平8−43608号公報が提案されている。
(4) フレネルレンズやレンチキュラーシート自体に光拡散機能を付与するのではなく、最も観察者側に位置する前面パネルの内部に光拡散性を有する微粒子を1種又は2種以上練り込むか、入射面側・出射面側の表面に光拡散性を有する微粒子を分散配合させた樹脂を塗布形成し、外光吸収機能の改善,高解像度化,コントラスト改善,視野特性の改善などを目的とする特開平6−273852号公報,特開平7−248537号公報が提案されている。
【0005】
(1) は、入射する投影光を、レンチキュラーシート内部の微粒子によって光拡散させる手法であるが、以下に挙げる問題を有している。
▲1▼前記微粒子を多用することにより入射光の迷光が発生し、解像度の低下を招くと共に、視覚される映像光(出射光)の光量低下によるコントラストを下げる要因ともなる。
▲2▼前記微粒子を分散配合させることにより、レンズシートの外観不良や、成型精度の低下、強度不足などの問題も生じることになる。
【0006】
(2) は、入射する投影光を、レンチキュラーシート出射面側に微細な凹凸を形成(マット処理)することによって光拡散させる手法であるが、以下に挙げる問題を有している。
▲1▼微細な凹凸を成形品に形成するにあたり、成形用金型のレンズ成形面である内壁に微細な凹凸を形成するのは難しく、成形用金型の精度の問題、成形品のレンズシートの外観不良や、成形精度の低下などの問題が生じることになる。
【0007】
(3) は、入射する投影光を、微粒子によって光拡散させる手法であり、成形されたレンズシートの出射面側に、光拡散層を塗布形成するか、フィルム化したものをラミネートし、光拡散させる手法であるが、以下に挙げる問題を有している。
▲1▼両面レンチキュラーシートへの塗布成形の場合は、出射面側の非レンズ面に形成されるブラックストライプ部を避けて行う為、マスキングなどしなければならず製造工程で手間がかかり、塗布精度の問題が生じることになる。
▲2▼フィルム化したものをラミネートする場合は、フィルム化への精度は出やすく、簡便ではあるが、両面レンチキュラーシートへのラミネートは、出射面側のレンズ面と非レンズ面にあたるブラックストライプ部の高低差(通常70〜150μm)によって、均一で正確なラミネートはできず、いずれ剥離してしまうなどの問題も生じることになる。
【0008】
(4) は、入射する投影光を、前面パネルにて微粒子によって光拡散させる手法であるが、以下に挙げる問題を有している。
▲1▼前記微粒子を内部分散配合させることにより、前面パネルの外観不良や、成型精度の低下、強度不足などの問題が生じることになる。
▲2▼前記微粒子を前面パネルに印刷する場合には、高解像度が得られるμmオーダーでの拡散層厚みの制御が難しいため、拡散層膜厚の精度が出ず、塗布安定性に欠けるなどの問題も生じることになる。
【0009】
透過型プロジェクションテレビとして、プロジェクターが3管式のCRT方式の場合には、表裏のレンズでR・G・Bの3色のズレを補正する必要があるため、両面にシリンドリカルレンズ群が形成されたレンチキュラーシートが用いられるが、近年、透過型液晶プロジェクションテレビが普及しつつあり、その映像を観察するためのプロジェクションスクリーンが要求されている。
【0010】
映像画質の高精細化に伴い、液晶プロジェクターの画素数も従来の数十万画素から100万画素以上に増加していることから、レンチキュラーシートに対してもシリンドリカルレンズのファインピッチ化が要求されている。ファインピッチ化によって、液晶プロジェクターの画素の周期性とシリンドリカルレンズの周期性に起因するモアレの現象が低減されることになる。
【0011】
具体的には、0.7mm前後のピッチでシリンドリカルレンズが配列されているCRT方式でのレンチキュラーシートを、液晶方式では0.3mm以下にファインピッチ化を図ることが要求されている。
それに伴って、透過型液晶プロジェクションスクリーン用に適した光拡散層も要求されている。
【0012】
透過型液晶プロジェクションスクリーン向けの光拡散層にかかる出願として、本出願人による特願平8−325495号があるが、前記出願は、光拡散層の上に保護フィルムや着色フィルムをラミネートして、最終製品としてのスクリーンを完成するにあたって、光拡散機能の低下しない光拡散層を提供することを目的とした出願であって、ホットスポットの問題については一切考慮していない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような技術的背景を考慮してなされたものであり、光拡散性微粒子を含まないほぼ透明な材料で形成された透過型液晶プロジェクションスクリーン用片面レンチキュラーシートの、映像光の出射側となる平坦面に配置した場合に好適な光拡散層を提供することを目的とする。
特に、透過型液晶プロジェクションテレビにおけるホットスポットへの対策が十分講じられた光拡散層を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、粒径の異なる2種類の光拡散性微粒子を用いて光拡散性インキを作製する。
すなわち、光拡散性微粒子が光透過性樹脂に分散されてなる光拡散インキが、透明樹脂フィルムの表面に塗布形成され、光拡散性微粒子が光透過性樹脂の内部に分散されると共に、表面から突出して凹凸が形成されており、
光拡散性微粒子が、
0.5μm≦dAμm≦7.5μm ………(1)
2.0μm≦dBμm≦12.0μm ………(2)
を満足する平均粒径dAμmの光拡散性微粒子(A)と、平均粒径dBμmの光拡散性微粒子(B)とからなり、光拡散性微粒子(A)(B)が光透過性樹脂に分散配合され、主として光拡散性微粒子(B)が光透過性樹脂の表面から突出した構成であり、
光拡散インキからなる光拡散層の厚さTが、
4×dAμm≦T≦3.5×dBμm ………(3)
を満足するプロジェクションスクリーン用光拡散層である。
【0015】
光拡散性微粒子が分散配合されるバインダーとなる光透過性樹脂としては、アクリル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリ塩化ビニル系樹脂,ポリ酢酸ビニル系樹脂の単体あるいは混合体が好適である。
【0016】
光拡散性微粒子(A)(B)としては、シリカ,炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,アクリル樹脂,有機シリコーン樹脂,ポリスチレン,尿素樹脂,ホルムアルデヒド縮合物のうちから選択される2種類の組み合わせが好適である。
【0017】
透過型液晶プロジェクションスクリーン用レンチキュラーシートへ適用するにあたっては、片面のみにシリンドリカルレンズ群が形成され、前記レンズの配列されるピッチが0.25mm以下であるレンチキュラーシートの反レンズ側の平坦面に、
上記の光拡散層の透明樹脂フィルム側を貼り合わせるか、上記の光拡散インキを直接塗布形成する。
【0018】
本発明での光拡散性微粒子が具備すべき要件には、平均粒径が挙げられるが、その前に、本発明の目的を達成するには、光透過性樹脂と光拡散性微粒子との屈折率差があることが当然必要である。
一般的に、両者の屈折率差が0.02以上が良好である。屈折率差が0.02未満の場合は、光の拡散効果が小さいため、多量の添加が必要となり、経済的理由あるいは機械的物性面からみて好ましくない。以上から、一般的に屈折率差が0.02以上であることが良好であるとされている。
また、2種類の平均粒径を有する光拡散性微粒子同士の屈折率差は、あってもなくても特に限定されるものではなく、ゲインの角度微調整や色温度特性の微調整をするなど、要求性能を考慮して組み合わせればよい。
【0019】
光拡散性微粒子の平均粒径は、光拡散層の膜厚と表面光沢度にも関係する。
光拡散層の膜厚は、高解像度を得るにはできるだけ薄くすべきであり、光拡散性微粒子を分散さた光拡散インキを一般的な塗布方式により、5〜35μm程度に形成することが好ましい。
【0020】
また、高解像度を得るため、この程度の拡散層膜厚では、光拡散層の層内に光拡散性微粒子が埋もれてしまうと、ゲイン(明るさ)は広い角度に渡って減衰しないが、ホットスポットが発生しやすい。
また、光拡散層の層内より光拡散性微粒子が突出してしまうと、ホットスポットは発生しづらく、ゲインの減衰が大きく、狭い範囲でしか高いゲインが得られない。
光拡散層の層内のみに光拡散性微粒子が分散された状態を「内部拡散」、層内から光拡散性微粒子が突出して表面に凹凸が形成された状態を「表面拡散」と称することとする。
【0021】
表面拡散の場合、光拡散性微粒子が光拡散層より突出する程度は、表面光沢度で表示することができる。表面光沢度(G)は、20以下であると適当で、20を超える(平滑に近くなる)とホットスポットが発生しやすくなる。
【0022】
このように、相対的に粒径の小さな光拡散性微粒子(内部拡散用)と大きな光拡散性微粒子(表面拡散用)を適度に組み合わせ、光拡散層の膜厚により、表面光沢度を制御することで、ゲインは大きい角度まで減衰せず、ホットスポットも発生しない光拡散層が得られることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明に係る透過型液晶プロジェクションスクリーンの一例を示す断面図である。
同図下より、フレネルレンズ1(透明)、シリンドリカルレンズ部2(透明)と透明支持体3とからなるレンチキュラーシート4に、粒径の小さい光拡散性微粒子6、粒径の大きい光拡散性微粒子7を光透過性樹脂5中に分散配合してなる光拡散層8がフィルム基材11上に塗布され、光拡散層8と異なる面に施された粘着層10を含めた光拡散シート12が、ブラックストライプ9(シリンドリカルレンズ部の非集光部に相当する遮光パターン)上にラミネートされた場合の構成である。
【0024】
図2は、フィルム基材11を用いず、光拡散層8を、ブラックストライプ9の形成されたレンチキュラーシート4上に直接塗布(または転写により)形成した場合の構成についての断面図である。
【0025】
図1でも図2でも、光拡散層8の機能には大きく影響しないため、光拡散層の形成手段は、プロジェクションスクリーンの製造工程や要求特性に応じて任意に使い分ければ良い。
【0026】
光拡散層8を構成する光透過性樹脂5としては、アクリル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリ塩化ビニル系樹脂,ポリ酢酸ビニル系樹脂,セルロース系樹脂,ポリアミド系樹脂,フッ素系樹脂,ポリプロピレン系樹脂,ポリスチレン系樹脂などが挙げられる。
【0027】
これらのうち、レンチキュラーシート4の支持体3やフィルム基材11として使用されるポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネイト(PC)などに対して接着性および塗布適性に優れると共に、光拡散性微粒子の分散適性(濡れ性)や屈折率差の制御適性なども優れたものとして、アクリル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリ塩化ビニル系樹脂,ポリ酢酸ビニル系樹脂の単体あるいは混合体が良好である。
【0028】
また、光透過性樹脂5のTg(ガラス転移点)としては、50℃以上が望ましく、Tgが50℃未満であると、光拡散層8と他の部材が接触した場合、保存性に問題が生じたりするため好ましくない。
【0029】
光拡散層8を構成する光拡散性微粒子6,7としては、シリカ,炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,アクリル樹脂,有機シリコーン樹脂,ポリスチレン,尿素樹脂,ホルムアルデヒド縮合物を例示することができるが、特に限定されるわけではない。
【0030】
そして、このうちから選ばれた2種類を組み合わせて、相対的に粒径の小さな光拡散性微粒子と大きな光拡散性微粒子を適度に組み合わせればよい。光透過性樹脂5と光拡散性微粒子との屈折率差は、一般的に0.02以上であると良好である。
【0031】
光拡散層8を形成する方法としては、光透過性樹脂5と2種類の光拡散性微粒子6,7を適当な有機溶剤(または、水)に溶解または分散させたものを一般的な塗布方式で塗布・乾燥して得ることが可能である。光拡散性微粒子6,7の添加量としては、光透過性樹脂5に対して各々1〜20%重量部が望ましく、要求特性のピークゲイン(正面のゲイン)及びゲインの減衰に合わせて分散配合すれば良い。
【0032】
光拡散層8は、フィルム基材11上に塗布しても、レンチキュラーシート4の支持体3上に直接塗布して形成しても良い。前者の場合には、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネイト(PC)などのフィルム基材11の片面に光拡散層8を塗布・乾燥して、他面に粘着層10を施してなる光拡散シートを、図1に示すようにレンチキュラーシート4にラミネートする。
光拡散層8の塗布膜厚は、表面光沢度(G)が20以下になるような膜厚にすることが必要である。当然、ラミネート前の光拡散シート12の粘着層10面には、離型処理を施された剥離フィルムまたは剥離紙が存在する。
【0033】
【実施例】
<実施例1>
両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム基材11の片面に、以下に示す組成の光拡散インキを塗布・乾燥させて光拡散層8を形成後、他面に粘着剤(東洋インキ製造(株)製BPS3233D)を塗布・乾燥させて粘着層10を形成した光拡散シートを作製した。
光拡散シートの粘着層10側を、レンチキュラーシート4の平坦面にラミネートし、レンチキュラーシートを光学的に評価した。光拡散シートの光拡散層8の膜厚は乾燥後の膜厚で15μm、粘着層11の乾燥後の膜厚は20μmである。
【0034】
Figure 0003653924
【0035】
<実施例2>
両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム基材11の片面に、以下に示す組成の光拡散インキを塗布・乾燥させて光拡散層8を形成後、他面に粘着剤(東洋インキ製造(株)製BPS3233D)を塗布・乾燥させて粘着層10を形成した光拡散シートを作製した。
光拡散シートの粘着層10側を、レンチキュラーシート4の平坦面にラミネートし、レンチキュラーシートを光学的に評価した。光拡散シートの光拡散層8の膜厚は乾燥後の膜厚で15μm、粘着層11の乾燥後の膜厚は20μmである。
【0036】
Figure 0003653924
【0037】
<比較例1>
両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム基材11の片面に、以下に示す組成の光拡散インキを塗布・乾燥させて光拡散層8を形成後、他面に粘着剤(東洋インキ製造(株)製BPS3233D)を塗布・乾燥させて粘着層10を形成した光拡散シートを作製した。
光拡散シートの粘着層10側を、レンチキュラーシート4の平坦面にラミネートし、レンチキュラーシートを光学的に評価した。光拡散シートの光拡散層8の膜厚は乾燥後の膜厚で15μm、粘着層11の乾燥後の膜厚は20μmである。両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィ
【0038】
Figure 0003653924
【0039】
<比較例2>
両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム基材11の片面に、以下に示す組成の光拡散インキを塗布・乾燥させて光拡散層8を形成後、他面に粘着剤(東洋インキ製造(株)製BPS3233D)を塗布・乾燥させて粘着層10を形成した光拡散シートを作製した。
光拡散シートの粘着層10側を、レンチキュラーシート4の平坦面にラミネートし、レンチキュラーシートを光学的に評価した。光拡散シートの光拡散層8の膜厚は乾燥後の膜厚で15μm、粘着層11の乾燥後の膜厚は20μmである。両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィ
【0040】
Figure 0003653924
【0041】
<比較例3>
両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム基材11の片面に、以下に示す組成の光拡散インキを塗布・乾燥させて光拡散層8を形成後、他面に粘着剤(東洋インキ製造(株)製BPS3233D)を塗布・乾燥させて粘着層10を形成した光拡散シートを作製した。
光拡散シートの粘着層10側を、レンチキュラーシート4の平坦面にラミネートし、レンチキュラーシートを光学的に評価した。光拡散シートの光拡散層8の膜厚は乾燥後の膜厚で15μm、粘着層11の乾燥後の膜厚は20μmである。両面に易接着処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートのフィ
【0042】
Figure 0003653924
【0043】
上記の<実施例>及び<比較例>に係る光拡散シートと、それをラミネートしたレンチキュラーシートについての評価結果を下記表1に示す。
なお、レンチキュラーシート4は、本出願人による特願平8−277484号に係る透過型液晶プロジェクションテレビ向けのスクリーン用として好適な構成のレンチキュラーシートを用いた。すなわち、透明支持体の片面に、放射線硬化性樹脂の硬化物からなる凸シリンドリカルレンズが(ファインピッチで)形成されており、前記支持体の他面には、各シリンドリカルレンズの非集光部に相当する位置にストライプ状の遮光パターンが形成され、前記パターン上に光拡散層が形成された構成のレンチキュラーシートである。
【0044】
ピークゲイン(正面のゲイン)の測定にあたっては、光拡散シート12とレンチキュラーシート4とのラミネート品を50インチ透過型液晶プロジェクションテレビの前面に取り付け、白色の信号を写し出し、距離1mの位置から、法線方向の輝度を測定し、ゲイン既知のサンプルより計算した。輝度測定は、色彩輝度計BM−7((株)トプコン製)を用いた。水平方向のゲインの減衰を測定するには、レンチキュラーシートのシリンドリカルレンズの並設方向に0〜55゜の角度におけるゲインを測定し、ピークゲインと比較した。垂直方向のゲインの減衰を測定するには、レンチキュラーシートのシリンドリカルレンズの並設方向と垂直方向の0〜35゜の角度におけるゲインを測定し、ピークゲインと比較した。この際、ゲインがピークゲインの1/3となる角度をβ角度とした。
【0045】
入射光の中心点の輝度が異常に高くなり縞状に見える現象であるホットスポットは、ピークゲイン測定時、目視にて評価した。
表面光沢度の評価にあたっては、グロスチェッカTMS−723(タスコジャパン(株)製)を用い、60度計にて測定した。
【0046】
【表1】
Figure 0003653924
【0047】
上記表1より明らかなように、本発明(実施例)に係る光拡散層は、透過型液晶プロジェクションスクリーン用光拡散層として良好であることが確認された。実施例1〜2は、ホットスポットもなく、ゲインの減衰も広い角度まで見受けられない。比較例1〜2はホットスポットは無いが、ゲインの減衰が狭い角度で見られ、比較例3は、ゲインの減衰が広い角度までないが、ホットスポットがみられる。
また、これらの光拡散層8における表面光沢度とホットスポットの関係では、実施例1〜2と比較例1〜2は表面光沢度20以下であるので、ホットスポットは見受けられず、比較例3は20以上であり、ホットスポットが見受けられる。以上のように、ホットスポット対策として有効と推測される表面拡散と、ゲインを広い角度まで減衰させない上で有効であると推測される内部拡散、とを複合させた本発明は、双方の光学特性が良好であることが判る。
【0048】
【発明の効果】
光透過性樹脂に、本発明の条件を満たす2種類の粒径を持つ光拡散性微粒子が分散されてなる光拡散インキを塗布してなる光拡散層を採用することによって、表面拡散と内部拡散の2種類の拡散特性を持たせることができ、前記光拡散層をスクリーンに適用する場合、光拡散性微粒子を多量に添加することなくして、十分な光拡散特性を持たせることが可能となり、ホットスポットのない透過型プロジェクションスクリーン用光拡散層が提供された。
本発明の光拡散層は、映像画質の高精細な液晶プロジェクターを用いた透過型液晶テレビ向けのプロジェクションスクリーン用レンチキュラーシートに適用する上で、光学特性が良好である。
【0049】
【図面の簡単な説明】
【図1】透過型液晶プロジェクションスクリーンの一例を示す断面図。
【図2】透過型液晶プロジェクションスクリーンの他例を示す断面図。
【符号の説明】
1…フレネルレンズ
2…シリンドリカルレンズ部
3…透明支持体(シート)
4…レンチキュラーシート
5…光透過性樹脂
6…小さな光拡散性微粒子
7…大きな光拡散性微粒子
8…光拡散層
9…ブラックストライプ
10…粘着層
11…フィルム基材
12…光拡散シート

Claims (5)

  1. フレネルレンズとレンチキュラーシートの組み合わせから構成されるプロジェクションスクリーンに用いられる光拡散層において、
    光拡散性微粒子が光透過性樹脂に分散されてなる光拡散インキが、透明樹脂フィルムの表面に塗布形成され、光拡散性微粒子が光透過性樹脂の内部に分散されると共に、表面から突出して凹凸が形成されており、
    光拡散性微粒子が、
    0.5μm≦dAμm≦7.5μm ………(1)
    2.0μm≦dBμm≦12.0μm ………(2)
    を満足する平均粒径dAμmの光拡散性微粒子(A)と、平均粒径dBμmの光拡散性微粒子(B)とからなり、光拡散性微粒子(A)(B)が光透過性樹脂に分散配合され、主として光拡散性微粒子(B)が光透過性樹脂の表面から突出した構成であり、
    光拡散インキからなる光拡散層の厚さTが、
    4×dAμm≦T≦3.5×dBμm ………(3)
    を満足することを特徴とするプロジェクションスクリーン用光拡散層。
  2. 光拡散性微粒子が分散配合されるバインダーとなる光透過性樹脂が、アクリル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリ塩化ビニル系樹脂,ポリ酢酸ビニル系樹脂の単体あるいは混合体であることを特徴とする請求項1記載のプロジェクションスクリーン用光拡散層。
  3. 光拡散性微粒子(A)(B)が、シリカ,炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,アクリル樹脂,有機シリコーン樹脂,ポリスチレン,尿素樹脂,ホルムアルデヒド縮合物のうちから選択される2種類の組み合わせからなることを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクションスクリーン用光拡散層。
  4. 片面のみにシリンドリカルレンズ群が形成され、前記レンズの配列されるピッチが0.25mm以下であるレンチキュラーシートの反レンズ側の平坦面に、
    請求項1〜3の何れかに記載の光拡散層の透明樹脂フィルム側を貼り合わせてなる構成の透過型液晶プロジェクションスクリーン用レンチキュラーシート。
  5. 片面のみにシリンドリカルレンズ群が形成され、前記レンズの配列されるピッチが0.25mm以下であるレンチキュラーシートの反レンズ側の平坦面に、
    請求項1〜3の何れかに記載の光拡散インキを、直接塗布形成してなる構成の透過型液晶プロジェクションスクリーン用レンチキュラーシート。
JP07785697A 1997-03-28 1997-03-28 プロジェクションスクリーン用光拡散層 Expired - Fee Related JP3653924B2 (ja)

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