JP3653917B2 - 通信網におけるパケット中継方法及びエンドシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信網、特に、非放送型多元接続網(Non Broadcast Multi-Access Network、以下、NBMA網と記す)におけるパケットの中継方法及びエンドシステムに関する。
【0002】
これまでの企業内ネットワーク(イントラネット)は、メールやニュースのグローバルな規模での授受、各ワークグループにおけるファイルやプリンタ等の資源の共有、グループ業務の効率化などを主な目的として発展してきた。このようなネットワークでは、グループ内の各端末をイーサネット(Ethernet)などの共有伝送路で接続し、更に、そのようにして構成されたワークグループごとのLAN間をFDDI(Fiber Distributed Data Interface)などのバックボーン・ネットワークを介して相互接続するという形態が典型的なものであり、トラヒックもファイルやプリンタ共有などのローカルトラヒックが大半であった。
【0003】
しかし、最近におけるインターネットの爆発的な広がりと、WWW(World Wide Web)サービスへのアクセスの急増などに伴うマルチメディア・アプリケーションの急速な普及により、ワークグループLANから外部リソースにアクセスするトラヒックも急激に増加している。更に最近では、音声や動画など、一定の帯域や品質を要求するアプリケーションの増加、マルチメディア対応のプロトコル開発の進展などミドルウェアさえも変革の兆候が現れている。このような近年の変化は、特にバックボーンネットワークにおける情報転送方法の従来の規範、即ち、ルータを用いたホップ・バイ・ホップ(Hop-by-Hop)のベストエフォート転送方式の性能限界を示唆するに至っており、バックボーンネットワークにおける情報転送方法の新たな規範が求められている。
【0004】
【従来の技術】
〔従来技術の概要〕
通信網、特にATM(Asynchronous Transfer Mode, 非同期転送)網に代表されるNBMA網上で、ネットワーク層プロトコル(Network Layer Protcol)のアドレス(例えばTCP/IPプロトコルによるIPアドレス)を使用するパケットを中継する技術は、ATMフォーラム(ATM LANの業界標準化団体)等の国際的組織において活発に議論されているが、従来のパケット中継方法は次の3つの形式に大別することができる。図20は従来技術の通信網におけるパケット中継方法の中継方式を図示したものであるが、以下、通信網としてATM網が使用され、上位プロトコルにTCP/IPが使用される場合を例に図20の3つの中継方法について説明する。
(1)サブネット中継形
図20の(a) はサブネット中継形の中継方式を図示したものである。同図には3つの論理サブネットワーク(以下、単にサブネットワークまたはサブネットと記す)からなるひとつのATM網120 が図示されている。サブネット中継形はこのような構成の網における最も一般的な中継方式で、サブネットワーク130 間にルータ110 を配備して接続する形式のものである。公知のLANエミレーション方式や Classical IP over ATM方式はこの形式に相当する。ここで、エンドシステム111 はATM網に直接接続されている端末や、既存LANまたは別の物理網に対するATM網の出入口に設けられているルータを総称するものである。
【0005】
この形式では一つのエンドシステム111 (エンドシステムAと記す)から他のエンドシステム111 (エンドシステムBと記す)に送られるIPパケットはサブネットワーク内ではセルに分割され、ATMセルの形で転送されるが、サブネットワーク間に跨がって転送される場合は、図20のATM網120 のようにATM網がひとつの網(即ち、エンドシステム111 間がATMレベルで到達できる網構成)であっても、サブネットワーク間に配置されているルータ110 を経由(太線の矢印で経路を図示)する。そして、ルータ内ではIPパケットに戻され、IPレイヤで中継される。通常、この中継処理はソフトウェアによる処理が主体となるため、この形式は中継処理に時間を要するという難点をもつ。
(2)ルータ内短絡形
図20の(b) はルータカットスルー形の中継方式を図示したものである。この形式も(1) のサブネット中継形と同様にサブネットワーク130 間にルータを配備する構成であるが、この形式ではルータ内にATMセルスイッチ機能を具備する。図20の(b) 内の113 はルータ112 内に設けられたATMスイッチを示している。
【0006】
中継ルータ112 は最初にデフォルトルート(経路について特に指定がないパケットが経由するルートとして宛先対応に予め定められているルート)に送られてきたパケットはサブネット中継形におけると同様にルータ112 内のIPレイヤで中継処理を行う(中継経路を点線の矢印で示しているが、この経路は(a) の太線の矢印と同一になる)。前述のようにこの中継処理はソフト処理主体で時間を要するため、ルータ112 はショートカットパスを使用した方がよいプロトコル、例えば、FTP(File Transfer Protocol)やHTTP(Hiper Text Transfer Protocol)のようなパケットフローであることを検出した場合には、ATMスイッチ113 の入力ポートと出力ポート間にSVC(Switched Virtual Channel)を設定する。以後入力されるパケットはこのSVCを通すので、ルータ112 に入出力されるパケットはATMスイッチ113 でカットスルーされ、図中に太線で示したように中継される。このため、パケットの中継処理が高速化される。
(3)短絡ルート設定形
図20の(c) は短絡ルート設定形の中継方式を図示したものである。この形式も(1) または(2) と同様にサブネットワーク130 間にルータを配備し、短絡ルート設定以前のパケットは(1) 、(2) と同様なルータ機能を有するNext Hop解決サーバ(以下、単にサーバとも記す)115 内で中継処理を行い、デフォルトルートを介して転送する(中継経路を点線の矢印で図示)。しかし、パケットフローの入口となるエンドシステム116 (エンドシステムA)においてそのパケットフローがFTPやHTTPのパケットフローであることを検出すると、そのパケットフローの出口となるエンドシステム116 (エンドシステムB)までルータ(サーバ)をショートカット(短絡)するように直通のSVCを設定し、以後のIPパケットはエンドシステムAにおいてセル化し、ATMレイヤで直通SVCを介して転送する(転送経路を太線の矢印で経路を図示)。
【0007】
しかし、この形式では入口のエンドシステムAは出口となるエンドシステムBのATMアドレスを知らないため、エンドシステムAはデフォルトルートまたは別に設定されたルートによりNext Hop解決サーバ115 (この場合はサーバA)に宛先のIPアドレスを送り、ATMアドレス解決要求を行う。サーバAがエンドシステムBのATMアドレスを知らないときはサーバAはデフォルトルートまたは別に設定されたルートを介して隣接サブネットワークに接続されているNext Hop解決サーバ115 (この場合はサーバB)に宛先のIPアドレスを送り、ATMアドレス解決要求を行う。
【0008】
サーバBよりエンドシステムBのATMアドレスが回答(アドレス解決応答)されると、サーバAはこれをエンドシステムAに回答し、エンドシステムAは回答されたATMアドレスを用いてATM網にSVCの設定を要求し、それによってエンドシステムAとエンドシステムB間に直通のSVCが設定される。従って、この形式では宛先IPアドレスからATM網の出口となるエンドシステムのATMアドレスを解決するための機構が必要となる(詳細後述)。
【0009】
以上の3つの形式を比較すると、(2) と(3) はデフォルトルートによる転送では(1) と差がないが、ルータ内でカットスルーする機構やルータをショートカットする機構により、ルータに入っては出てゆくバックボーンネットワーク内の中継(Hop-by-Hop中継と呼ばれる)経路がATMコネクションによりバイパスされるため、(1) に比してパケット中継性能が飛躍的に向上する。
【0010】
次に(2) と(3) を比較すると、両者は図から明らかなようにバイパスルートの設定方法が異なる。(2) ではデフォルトルートとバイパスルートはルータ内のパケット処理が異なるものの同一経路である。デフォルトルートは宛先が決まれば固定されるので、(2) の方法はバイパスルートがルータの物理的位置によって固定されることとなり、トラヒックを複数のルートに分散したり、網の信頼性設計を行ううえで難点となる。このため、ルータに上記のような機構を設ける際にルータ自体を大容量かつ高速化しても、その近傍のATM網側にもトラヒックの集中に対応する手段、例えば、トラヒックの集中に対応できる大容量のATM交換機を配備したり、サブネットワーク間に上記のようなカットスルー機構を備えたルータを複数配備するなどの措置が必要となる。大容量のATM交換機を配備する場合は勿論、ルータを複数配備する場合もルータが保持するデータを複数のルータ間で常時照合するために複雑な機能が必要となるため、ATM網側の設備は高価になる。
【0011】
以上から、図20に図示した3つの中継形式の中では(3) の短絡ルート設定形が優れていると言えるので、以下、従来技術を短絡ルート設定形に絞って記す。短絡ルート設定形を具体化したものとして国際的なインターネット技術委員会であるIETF(Internet Engineering Task Force )で検討されているNHRP(Next Hop Resolution Protocol)がある。この他に、同じく国際的組織であるATMフォーラム(ATM LANの業界標準化団体)においてMPOA(Multi Protocol over ATM )の検討が進められているが、MPOAにおいてもサブネットワーク間の通信方式としてNHRPを流用することが合意されているので、以下においてはNHRPの動作概要と問題点を記す。
〔NHRPの動作概要と問題点〕
図21は従来のNHRPによるパケット中継方法の中継動作を説明する図であるが、最初に図21によりNHRPの構成を説明する。
【0012】
ア.NHRPではあるサブネットワーク(以下、図21のサブネットワークをLIS:Logical IP Subnetwork と記す)131 に接続されるすべてのATM端末(以下、NHC:NHRP Client と記す)119 は、LIS間通信のためのデフォルト中継ルータ(図21ではルータ118 )に対してデフォルトルートパスを設定する。
【0013】
イ.また、あるLIS131 に接続されるすべてのNHC119 は自LIS131 内のNHCのATMアドレスと上位のIPアドレスの対応関係を管理するサーバ(以下、NHS:NHRP Server と記す)117 に対してパスを設定する。このパスを使って各NHC119 は自身のATMアドレスとIPアドレスをNHS117 に登録(または、定期的にリフレッシュ)する。これにより、NHS117 は配下のNHC119 に関するアドレス情報テーブル(図示省略)を作成し管理する。
【0014】
ウ.上記アの中継ルータ118 がNHS機能をも具備する場合は、アとイのパスは共用することができる(図21はこの形態を図示) が、高信頼性の構成とするために両機能を分割した場合にはアとイの2つのパスが必要となる。更に、一つのLIS内に複数のNHSを設けて運用する場合には、同一LIS131 内において複数のNHS117 間にパスを設定する必要がある。
【0015】
次に、NHRPの基本動作を同じ図21を用いて説明する。
(a) 一つのNHC119 (以下、NHC−Aと記す)に転送すべきIPパケットがあると、まず、デフォルトルートに沿ってパケットを転送する。図21に▲1▼と記した点線の矢印はこの転送経路を図示している。
【0016】
(b) NHC−Aは処理内容を確認することにより▲1▼のパケットフローをショートカットすべきと判断すると、NHS117 (この場合はNHS−A)に対してNHRP要求メッセージ(図中の▲2▼NHRP Reqの矢印)を送信し、このパケットフローの着信側ATMエンドシステム(この場合はNHC−B)のATMアドレスの問い合わせを行う。
【0017】
(c) これを受けたNHS−Aは、登録されているアドレス情報テーブルを調べ、エントリが見つかればNHRP応答メッセージ(図中の▲5▼NHRP Repの矢印)で回答するが、エントリがなければ隣接するNHS117 (この例ではNHS−B)に対してNHRP要求メッセージ(図中の▲3▼NHRP Reqの矢印)を送出する。
【0018】
(d) これを受けた隣接のNHS−Bでも(c) と同様に、エントリが見つかればNHRP回答メッセージで応答するが、エントリがなければ更に別のNHSにNHRP要求メッセージを送出する。
【0019】
(e) 上記(c),(d) のNHSの連携によりそのパケットフローの着信側エンドシステム(この場合はNHC−B)のATMアドレスが判明すると、NHRP応答メッセージが例えば、図中に矢印で示した▲4▼及び▲5▼のように要求元のNHC−Aまで返送される。
【0020】
(f) アドレス解決要求元であるNHC−Aは、NHRP応答メッセージで得られたATMアドレスを用いてNHC−Bへの直通ルートの設定をATM網に要求し、直通ルート(図の▲6▼)が設定されると、それ以降のパケットフローはこの直通ルートを介して中継する。
【0021】
以上のようにNHRPでは図21に示したNHSとNHCのようにサーバとクライアントを関連づけることによりATM網内のATMエンドシステムのアドレス情報を管理しているが、この方法には次のような問題がある。
【0022】
(P1) 最低限必要なデフォルトルートのパスに加えて、NHCとNHS間や、LIS内に複数のNHSが設けられ同一LIS内でもNHCによって上位に当たるNHSが異なるような場合のLIS内の複数のNHS間、或いは、異なるLISに跨がるNHS間、などには定常的に設定されたパスが必要である。しかも、このようなパスを自動的に選定し、設定する手法が確立されていない現状では、網管理者がサブネットワークの構成から人手作業によりパスを選定し、設定する必要がある。
【0023】
(P2) 各NHCは事前に自己の接続に関する情報をNHSに登録する必要がある。また、これらの情報を蓄積しているNHS内のデータベースを維持するために、NHSと各NHCとの間で登録情報の更新を定期的に行う必要がある。管理するNHCの数が多くなるとこの処理がNHSにとって大きな負担となる。
【0024】
(P3) 上記(P2)の情報の管理の一環として端末の電源断や移動時には登録情報の抹消などの作業が必要となるが、この作業のためにNHCやNHSの構成が複雑となる。例えば、NHCの直接上位に当たるNHSは(P2)に記載した定期的な交信が停止することでNHCの電源断や移動を検出することができるが、このNHCに関する情報を記憶している別のNHSやNHCは、どこからか情報をもらわなければ内部に記憶している情報(以下、このような情報をキャッシュ情報と記す)を削除することができない。このため、電源断や移動があったNHCの直接上位に当たるNHSでは過去に応答したすべてのNHC/NHSに対してNHCの電源断などを通知するか、それぞれのキャッシュ情報を消去する処理を行う必要がある。それを行うためにはすべての問い合わせや応答の履歴を保持しておく必要があるが、これは網の規模が大きくなるほど、深刻な問題となる。
【0025】
(P4) 上記(P2)、(P3)関連の処理によるサーバの性能低下を防止するため、途中経路のNHSがキャッシュ情報をもとに、NHRP応答メッセージ(この応答は非オーソラティブ応答、Non Authoritative Reply と呼ばれる) で応答する方法など、多くの改良技術が必要とされる。図21においてはNHC−Bに対するNHRP応答メッセージはオーソラティブなサーバであるNHS−Bより返送するのが基本であるが、非オーソラティブ応答は、例えばNHS−A(或いはNHS−AとNHS−Bの間にもう一つNHSが介在する場合にそのNHS)が自分の記憶しているキャッシュ情報を用いてNHC−BのATMアドレスを応答するような方法である。この方法では特定のNHSに負荷が集中しないようにできるためNHSの効率は向上するが、キャッシュ情報が古かったときなどの対策が必要であり、課題も多い。
【0026】
(P5) あるNHSの障害時に、システムダウンするエリアがLIS全体に及ぶ場合があるが、これを回避する考慮がなされたプロトコルメカニズムは未だ規定されていない。
【0027】
(P6) LIS内のアドレス情報を複数のNHSで管理する場合、或いは(P5)の問題を回避するためにNHSを二重化した場合には、NHS間でデータベースの内容を同期化する必要があり、例えば、SCSP(Server Cache Synchronization Protocol )など、複雑なプロトコルが新たに必要となる。
【0028】
(P6) 着信側のATMエンドシステム(ATM端末やATM網の出口に当たるルータなど)の管理ポリシーとは無関係に、ただ、NHSが管理するアドレス情報に問い合わせるだけでATMエンドシステムの物理的なアドレスであるATMアドレスを知ることができるため、セキュリティーの面から何らかの認証メカニズムが必要である。
【0029】
(P7) 多様なアプリケーションへの対応やセキュリティーの面で下記のように不備な点が多い。
a. (P6)に記載したような認証メカニズムが仮にあったとしても、一旦正規の認証手順で設定されたコネクションのその後の使われ方、例えば、長時間に渡って不用なデータを送信してそのエンドシステムの通信を妨害するような悪意のある使い方がなされても、それに対する認証機構がない。
【0030】
b. VC(Virtual Channel )を共有したり占有したりする方法、或いはアプリケーション(上位セッション)単位にコネクションを設定するなど、多様な利用形態に対応するメカニズムが規定されていない。
【0031】
c. パス切断に関する規定がない。一般にはショートカットパス(直通パス)上のトラヒックを監視し、一定時間(例えば20分)無通信状態が続くとそのコネクションを切断するという手法が用いられるが、この時間定数は、アプリケーションの通信要求とは無関係のものであるため、通信要求に比してこの時間が大きく設定されているとネットワークの使用効率が低下し、逆に小さ過ぎるとアプリケーションの通信途中で一時的な無通信状態があるとパスが切断されてしまうという現象が生じやすい。また、何らかのトラヒック、例えば制御トラヒックや異常または悪意のトラヒックなどが混在していると、長時間にわたってパスが切断されないという問題がある。これは特に従量課金が行われる網では重要な問題である。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来技術によるパケットの中継方法には各種の方法があるが、サブネット中継形ではサブネットワークを跨がって転送される都度、ルータ内でIPパケットに戻して中継するため中継処理に時間を要し、ルータ内短絡形ではルータ内でバイパスされるため中継処理は高速化されるが、バイパスルートがサブネットワーク間を中継するルータの位置によって固定されるためにトラヒックの分散が困難であり、高信頼度で経済的な網を構成し難いという問題がある。また、従来技術の中で上記のような問題を有しない短絡ルート設定形はバイパスルートは中継ルータの位置に関係なく設定できるが、サーバとクライアントの構成をとるため、デフォルトルート以外にサーバ/クライアント間や複数のサーバ間に特別なパスを設定する必要があり、網の設計や管理が複雑となる。また、バイパスルートのパスを共有することができず、パスの切断の規定が不充分であるなど、多様なアプリケーションへの対応やセキュリティの面でも不備な点が多い。
【0033】
本発明は、デフォルトルートを介して通信網のアドレス情報を得ることにより通信網のエンドシステム間に直通パスを設定し、効率がよく、セキュリティの高いパケット転送を行うことを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の通信網のパケット中継方法の原理説明図、図2乃至図4は本発明の通信網のパケット中継方法の基本フロー図、図5は本発明のエンドシステムの基本構成図である。
図中、1(1a〜1d)は通信網に直接接続されたルータまたは端末、2は複数のサブネットワークからなり、一つのサブネットワークに直接接続されたルータまたは端末から他のサブネットワークに直接またはルータ経由で接続された端末に宛てて送信されるパケットが、事前に通信網上で定義されたデフォルトルート上のルータまたは端末を経由して宛先の端末に転送されるように構成された通信網、3a〜3cは通信網2を形成するサブネットワークである。
【0035】
10a 〜10d は複数のサブネットワーク3a〜3c(以下、サブネットワーク3a〜3cを総称する場合にはサブネットワーク3と記す)からなる通信網2に直接接続されるエンドシステム(以下、エンドシステムク10a 〜10d を総称する場合にはエンドシステム10と記す)、11乃至14はエンドシステム10内に設けられ、13は通信網2にアクセスしてパケットフローを送受信する相手システムとの間にパスを設定させる処理を行う網接続制御手段、14はパケット及びメッセージの転送処理を行うパケット転送手段(図5にはPKT転送手段と記載)である。
【0036】
11はパケット転送手段14がデフォルトルートパスを介して転送中のパケットフローの種別を監視し、パケットフローをデフォルトルートを介さないパスによって転送するのが適切であると判断したときに、直通パス設定処理手段(図5にはSP処理手段と記載)12に対して直通パスの設定処理を行うよう指示するフロー判定手段である。
【0037】
12はフロー判定手段11より直通パスの設定処理を行うよう指示されたとき、自エンドシステムがあるパケットフローにとって通信網2の入口または出口に位置していると判断されるときは、自エンドシステムの通信網上のアドレス情報を含めて自エンドシステムに対する直通パスの設定を依頼する直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介してパケットフローの送信相手のエンドシステム10に向けて送信し、かつ、パケット転送手段14がデフォルトルートより直通パス設定依頼メッセージを受信したときに、その直通パス設定依頼メッセージが自エンドシステム宛でないことを確認したときはその直通パス設定依頼メッセージをパケット転送手段14を介して所定のデフォルトルートに転送し、直通パス設定依頼メッセージが自エンドシステム宛であることを確認したときは網接続制御手段13に対してその直通パス設定依頼メッセージに含まれている通信網上のアドレス情報を用いて直通パス設定依頼元のエンドシステム10との間に直通パスを設定するよう要求するとともに、直通パス設定後に該直通パスを介してパケットフローを転送するようパケット転送手段14に対して指示する直通パス設定処理手段(SP処理手段)である。
【0038】
以下、本発明の通信網におけるパケット中継方法の動作原理と作用について図1乃至図4を参照して説明する。
本発明の通信網におけるパケット中継方法は従来技術における短絡ルート設定形(図20の(c) 及び図21参照)をベースとしている。即ち、サブネットワークに跨がって通信網内にデフォルトルートを短絡する形の直通パスを形成し、この直通パスを介してパケットを転送する形式のものである。しかし、本発明の中継方法は従来技術におけるNext Hop解決サーバ(図20)のようなサーバを必要とせず、通信網に直接接続されたルータまたは端末だけで直通パスを設定するという完全な自律分散制御のものである。
【0039】
図1の通信網2は複数のサブネットワーク3a〜3cからなっているが、一つのサブネットワーク3に直接接続されたルータまたは端末(以下、ルータ/端末と記す)から他のサブネットワーク3に直接またはルータ経由で接続された端末に宛てて送信されるパケットが、事前に通信網2上で定義されたデフォルトルート上のルータ/端末を経由して宛先の端末に転送されるように構成されている。
【0040】
上記のような通信網2においてルータ/端末1a(以下、端末Aと記す)からルータ/端末1b(以下、端末Bと記す)に対してパケットフローを送信するものとする。この場合、そのパケットフローにとって端末Aは通信網2への入口システムにあたり、端末Bは通信網2からの出口システムに当たる(以下、端末A,Bをそれぞれ入口システム、出口システムとも記す)。最初のパケットは入口システムから事前に通信網2上で定義されたデフォルトルート上のルータ/端末1c(以下、ルータCと記す)に対して送出される。
【0041】
ルータCはこのパケットが自ルータ宛でないことを確認すると、デフォルトルートを介して次のルータ/端末1d(以下、ルータDと記す)にこのパケットを送出する。ルータDはそのパケットが自ルータが接続されているサブネットワーク3cに接続されている端末B宛であることを確認するので、受信したパケットをデフォルトルートを介して端末Bに転送する。以上のパケットの転送経路を図1に▲1▼を付した点線の矢印で示す。
【0042】
ここで、端末Aはそのパケットの送信に際し、そのパケットフローをデフォルトルートを短絡するパスにより転送するのが適切であるか否か検討し、短絡パスを設定するのが適切であると判断したときは、自装置の通信網上のアドレス情報を含む直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介してそのパケットフローの宛先である端末Dに向けて送信する。
【0043】
この直通パス設定依頼メッセージは最初のパケットと同様、デフォルトルートを介して順次各ルータ/端末(この場合はルータC及びルータD)に転送されるが、ルータC,Dはこのメッセージの宛先が自ルータ(または自ルータに接続されている端末)でないことを確認したときはメッセージをデフォルトルート上の次のルータ/端末に転送する(以下、ルータC及びルータDを中継システムとも記す)。転送の結果、端末Bはメッセージの宛先が自システムであることから自分が通信網2からの出口システムに当たると判断する。以上の直通パス設定依頼メッセージの転送経路を図1に▲2▼を付した矢印の線で示すが、この経路は最初のパケットと同じく、デフォルトルートになっている。
【0044】
自装置が出口システムであると判断すると、端末Bは直通パス設定依頼メッセージ内に設定されている入口システム(端末A)の通信網上のアドレスを用いて入口システムとの間に直通パスを設定する処理を行う。直通パスの設定要求は通信網2に対して行われるが、図にはこの要求の経路を▲3▼の矢印で示す。以後、入口システムと出口システム間で送受信されるパケットは直通パスを用いて転送されるが、図に▲4▼を付した太線の矢印はその経路を示している。
【0045】
以上においてはパケットフローをデフォルトルートを短絡するパスにより転送するのが適切であるか否かを入口システムが判断し、通信網に対する直通パスの設定要求を出口システムが行っていたが、短絡ルートの設定の可否判断や通信網に対する直通パスの設定要求は他の装置が行ってもよい。これを図2乃至図4のフロー図を用いて説明する。なお、図2乃至図4にはルータ/端末を図1の説明に使用した記号で記載しているが、ルータC,Dに当たる中継システムは1組のみを図示している。また、図中及び以下に記す「装置」はルータ/端末を示す。
【0046】
図2は図1で説明した動作(請求項1の発明の動作)をフロー図に図示したものである。パケットフローの送信元のルータ/端末(端末Aとする)が最初のパケットをデフォルトルートに送信する(図2のステップS1参照)とデフォルトルート上のルータ/端末(ルータC,D)はこれが自装置宛であるか否かを調べ、自装置宛でなければ次のルータ/端末に転送する(S2,S3)。このパケットは順次転送され、宛先の端末Bに受信されると、そこで自装置宛であることが確認されるので端末Bは出口システムとしてそのパケットの受信処理を行う(S4,S5)。
【0047】
一方、パケットの送信を開始した端末Aでは、そのパケットを直通パスを介して送信するのが適切であるか否かを調べ、直通パス設定の必要がないと判断すれば以後のパケットも最初のパケットと同様にデフォルトルートを介して送信する(S6→S7)。しかし、直通パスを設定する必要があると判断したときは直通パス設定依頼メッセージを宛先装置に向け、デフォルトルートを介して送信する(S8) 。この直通パス設定依頼メッセージは最初のパケットと同じく、デフォルトルートを通って端末Bまで送られる(S9〜S10)が、端末Bでは直通パス設定依頼メッセージが自装置宛であることを確認すると、通信網に対して直通パスの設定要求を行う(S11→S12)。
【0048】
通信網ではこれにより入口システムに当たる端末Aと出口システムに当たる端末Bの間に直通パスを設定する(S13,S14)。直通パスが設定されると入口システムは以後のパケットを直通パスを介して送信し、出口システムから入口システムに送られるパケットも直通パスを介して返送される(S15,S16)。
【0049】
次に入口システムの代わりに出口システムが直通パス設定依頼を行う場合について図3により説明する(請求項2の発明の動作)。図3でも最初のパケットは図2のステップS1〜S5におけると同様にして端末Aからデフォルトルートを介して端末Bまで送られる(図3のS21〜S25)。また、端末Aでは図2のS6と同じく直通パスの設定の要否を判断する(図3のS26)が、この場合は入口システムとしては直通パスの設定の必要はないと判断し、以後のパケットもデフォルトルートを介して送信を続けるものとする(S27)。
【0050】
上記の直通パスの設定の要否判断は入口システムのほか、中継システムや出口システムにおいても行われる(中継システムについては図示省略)。その結果、例えば、中継システムや出口システムも直通パスの設定の必要がないと判断すれば以後のパケットも最初のパケットと同じくデフォルトルートを介して受信し、処理する(S28→S29)。しかし、端末Bが直通パスの設定が必要と判断したときは、出口システムの端末Bから入口システムに向けて直通パス設定依頼メッセージを送出する(S28→S30)。このメッセージはデフォルトルートを逆向きに転送されるが、中継システムでは自装置宛でないことを確認するとそのメッセージをデフォルトルートを入口システムに向けて転送する(S31,S32)。
【0051】
図3の例では、入口システムの端末Aは直通パス設定依頼メッセージが自装置宛であることを確認し、通信網に対して直通パスの設定要求を行う(S33→S34)。以下、図2におけると同様に直通パスが設定され、その直通パスを介して以後のパケットの転送が行われる。
【0052】
次に図4により説明する(請求項3の発明の動作)。図4でも最初のパケットは図2または図3におけると同様にしてデフォルトルートを介して出口システムまで送られる(図4のS41〜S45)。図4では入口システム及び出口システムにおける直通パス設定の要否の判断フローが図示省略されているが、いずれも設定不要と判断したものとする。しかし、図4では中継システムのひとつ(複数であってもよいが、複数の例は実施形態の説明で詳述する)が直通パスの設定が必要と判断したものとする。
【0053】
中継システムが直通パスの設定が必要と判断するのは自中継システムをバイパスさせることが望ましい場合が主であるため、中継システム自身に直通パスの一端を設定することは意味がないことが多い。このため、中継システムは直通パス設定依頼メッセージを出さずに、直通パス設定処理を開始するよう要請する直通パス設定開始要請メッセージをデフォルトルートを介して入口システムか出口システムのいずれか一方に向けて送信する。図4では入口システムに向けて送信する例を図示している(S46→S47)。直通パス設定開始要請メッセージを受信すると入口システムはここで始めて直通パス設定依頼メッセージを送信するが、その送信先は出口システムになる(S48) 。
【0054】
この直通パス設定依頼メッセージはデフォルトルートを介して出口システムまで送られるが、以後の動作フロー(S48〜S56)は図2のステップS8〜S16と全く同様であるので説明を省略する。なお、中継システムが出口システムに向けて直通パス設定開始要請メッセージを送信した場合は出口システムが入口システムに向けて直通パス設定依頼メッセージを送信することになるが、その動作フローは図3のステップS30〜S38と同一であるので図示を省略する。
【0055】
以上のように本発明のパケット中継方法では、あるパケットフローにとって通信網における入口システム、出口システムまたは中継システムの何れかに当たるルータまたは端末がそのパケットフローをデフォルトルートを短絡するパスにより転送するのが適切であると判断した場合に、入口システムと出口システム間を直接接続する直通パスをNBMA網内に設定してパケットを送受信するので、デフォルトルートの経路上のルータなどにおけるパケット中継処理が不要となり、パケットを高速で転送することができる。
【0056】
更に、本発明の方法では入口システムか出口システムのいずれかが自システムの通信網上のアドレス情報を直通パス設定依頼メッセージに含めてデフォルトルートを介して相手システムに送信し、相手システムに直通パスを設定させるので、直通パス設定に際してアドレス解決を行うサーバなどの装置を必要としない。また、中継システムが直通パスの設定が適切と判断した場合でも、中継システムから入口システムまたは出口システムのいずれかに直通パス設定開始を要請して前記の直通パス設定依頼メッセージを送出させるのでこの場合もアドレス解決を行うサーバなどを介することなく直通パスが設定できる。(その他の作用については実施形態の説明において詳述する。)
次に本発明のエンドシステムについて図5を参照して説明するが、その動作と作用は図1乃至図4を用いて説明した本発明の通信網における中継方法と同一内容の部分が多いので重複を避け、簡単に説明する。
【0057】
図5におけるエンドシステム10a 〜10d は通信網に直接接続されるルータまたは端末に相当するが、説明を簡単にするため、以下、エンドシステム10a と10bを端末、エンドシステム10cと10d をルータとし、エンドシステム10a からエンドシステム10b に対してパケットを送信する場合を例に説明する。
【0058】
送信を開始する時点ではエンドシステム10a のパケット(PKT)転送手段14は予め定められたデフォルトルートパス4aに対してパケットを送出する。このパケットはデフォルトルートパス4aを介してエンドシステム10c のパケット転送手段14に受信されるが、エンドシステム10c のパケット転送手段14はこのパケットが自エンドシステム宛でないことを確認し、デフォルトルート上の次のエンドシステム(エンドシステム10d とする)に転送(フォーワーディング)する。
【0059】
エンドシステム10d ではパケット転送手段14がこのパケットの宛先が自エンドシステムの接続されているサブネットワーク3bに直接接続されているエンドシステム10b (端末)であることを確認し、エンドシステム10b に対するデフォルトルートパス4bにこのパケットを転送する。エンドシステム10b のパケット転送手段14はこのパケットを受信し、図示省略された処理手段がそのパケットを処理する。(以下、上記パケットフローを転送するデフォルトルート上の位置から、エンドシステム10a を入口システム、エンドシステム10b を出口システム、エンドシステム10c 及び10d を中継システムとも記す)。
【0060】
このとき、各エンドシステムのフロー判定手段11はパケット転送手段14が転送(入口システムにおける送信、出口システムにおける受信を含む)中のパケットフローの種別を監視し、パケットフローをデフォルトルートを介さないルートによって転送するのが適切であるか否かを判定するが、いま、入口システムであるエンドシステム10a のフロー判定手段11がこのパケットフローはデフォルトルートを介さないルートで転送するのが適切であると判定したものとする。
【0061】
この判定を行うとフロー判定手段11は自エンドシステム内の直通パス設定処理手段(図にはSP処理手段と記載)12に対して直通パス設定処理を行うよう指示する。この指示を受けると直通パス設定処理手段12は自エンドシステムの通信網上のアドレス情報と上位プロトコルのアドレス情報を含めて自エンドシステムまでの直通パス設定を依頼する直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートパス4aに対して送出する。
【0062】
エンドシステム10c はデフォルトルートパス4aより直通パス設定依頼メッセージを受信すると自エンドシステム内の直通パス設定処理手段12にこのメッセージを送るが、直通パス設定処理手段12は受信したメッセージが自エンドシステム宛でないことを確認するので、その直通パス設定依頼メッセージをパケット転送手段14を介して次のデフォルトルートに転送(フォーワーディング)する。
【0063】
エンドシステム10d においても同様な処理が行われるが、エンドシステム10d ではデフォルトルートパス4bを介して直通パス設定依頼メッセージをエンドシステム10b に送る。エンドシステム10b の直通パス設定処理手段12はこの直通パス設定依頼メッセージが自エンドシステム宛であることを確認し、自システムが出口システムに当たると判断する。
【0064】
そこで、直通パス設定処理手段12は直通パス設定依頼メッセージに含まれている入口システム(エンドシステム10a )の通信網上のアドレス情報と上位プロトコルのアドレス情報を確認する。入口システムの通信網上のアドレス情報が確認できれば入口システムとの間に直通パスを設定することができるので、直通パス設定処理手段12はこのアドレス情報などを網接続制御手段13に送り、直通パスを設定するよう指示する。
【0065】
網接続制御手段13はこの指示を受けると、信号パス6bを介して通信網2に対して入口システムに対する直通パスの設定を要求する。直通パスが設定されると通信網2より両エンドシステム10a, 10bに対して直通パスの設定が通知されるのでそれ以降、両エンドシステムのパケット転送手段14はその直通パス(直通パスは実際には図5に示すように、エンドシステム10a と通信網2間のパス5a, 通信網内に設定されるパス5、通信網2とエンドシステム10b 間のパス5bの3つの部分からなるが、特に断らない限り、直通パス5はパス5a及びパス5bを含むものとする)を介してパケットフローを転送するが、パケットの転送に先立ち、エンドシステム10b の直通パス設定処理手段12は自エンドシステムの通信網上のアドレスと上位プロトコルのアドレスを含む直通パス設定応答メッセージを直通パスを介して依頼元のエンドシステムに返送する。
【0066】
以上の動作は本発明のパケット中継方法の動作フローを図示した図2の動作に相当するが、図3または図4に図示された動作フローに相当する動作についても同様であるので、説明は省略する。
【0067】
以上から明らかなように、図5のエンドシステムは入口システム、出口システム、中継システムとも直通パス設定関係の機能部分が同一の構成となっており、直通パスを設定する際はデフォルトルートを介してメッセージを授受するだけでよく、個々のエンドシステムはそれぞれ独立に動作することが可能である。即ち、本発明のエンドシステムは、サーバ/クライアント構成のように維持管理が難しいシステムの情報を備えたり、情報授受のための特別なルートを設ける必要がない自律分散制御方式となっているため、網の初期構築や拡張が容易であるという効果をもつ。その他の作用効果は図1乃至図4で説明した本発明のパケット中継方法の作用効果と同一であるので説明を省略する。
【0068】
【発明の実施の形態】
図6は本発明を適用するATM網のモデル構成図、図7乃至図12は本発明の実施例のパケット中継方法の動作説明図、図13及び図14は本発明の直通パス設定関係メッセージの基本フォーマット、図15は本発明のパケット中継方法の入出力用キャッシュの基本構成図、図16は本発明の実施例のパケット中継方法のフロー種別選別仕様、図17及び図18は本発明の実施例の入出力用キャッシュの記憶状態図、図19は本発明の実施例のエンドシステムの構成図である。全図を通じ、同一符号は同一対象物を示すが、図6に本発明の通信網における中継方法に関連するすべての符号が記載されているので、図6の説明を兼ねて本発明のパケット中継方法に関連する構成要素の符号について説明する。なお、エンドシステムの構成については後述する本発明のエンドシステムの実施形態の説明の中で詳記する。
【0069】
図6は本発明のパケット中継方法を適用する通信網がATM網である場合の網構成のモデルを図示しているが、以下においてはこのATM網を介してパケット転送する場合に上位のプロトコルとしてTCP/IPが使用されることを前提として説明する。
【0070】
図6の20はATM網であり、31a 、31b 及び31c はATM網20のサブネットワークである。従来技術にも記載したが、IPを使用する網の論理サブネットワークはLIS(Logical IP Subnetwork )と呼ばれることが多いので、以下、サブネットワーク31a, 31b, 31c を総称する場合にはLIS31と記し、サブネットワーク31a 、31b 及び31c を個別に指す場合には各々をLIS−A、LIS−B及びLIS−Cと記す。
【0071】
1A及び1Bは本発明のパケット中継方法による動作を行うルータまたは端末で、1AはATM端末(図にはSPH−iと記載)、1BはATMルータ(図にはSPR−jと記載)である。端末は図示されたもののほかに例えば図6の既存LAN7内にも存在するが、ATM端末1AはATM網20に直接接続された端末である。従って、図6のATM端末1AとATMルータ1BはATM網20に直接接続されるエンドシステムであり、図1に図示したルータ/端末1a〜1dに相当する。以下、ATM端末1A、ATMルータ1B、既存LAN7を個別に指す場合には図に記載されている記号を用い、SPH−A、SPR−B、既存LAN−Cなどと記す。
【0072】
図6のATM網20は3つのLIS31から構成されている例であるが、このように複数のLIS31が存在する場合、LIS31を跨がって通信するためにはデフォルトルートの中継ルータを経由する。図6ではSPR−AとSPR−Bがデフォルト中継ルータになる。そして、各LIS31内のATM端末1A及びATMルータ1BはLIS間通信のためにそれぞれのデフォルト中継ルータであるSPR−AまたはSPR−Bに対してデフォルトルートパス40が設定される。また、デフォルト中継ルータのSPR−AとSPR−B間にも同様なデフォルトルートパス40が設定される。
【0073】
TCP/IPを使ったネットワーク環境下では、このデフォルトルートパスの設定は、下位のプロトコルに如何なる方式を用いたとしても事実上不可欠なものである。本発明の第一の特徴は、このデフォルトルートの設定のみでパケットを中継する構成が完了する点である。
【0074】
パケットの中継は一つの既存LAN内の端末と他の既存LAN内の端末との間で行うのが一般的であるが、説明を簡略化するためLIS−Aに接続されたATM端末SPH−AからLIS−Cに接続されたATMルータSPR−Cの下位に接続された既存LAN−C(以下、LAN−Cと記す)内の端末(図示省略)に対してパケットを送信する場合を例に本発明の実施形態を説明する。従って、以下の各実施例では、SPH−Aが入口システム(Ingress システム)、SPR−Cが出口システム(Egressシステム)、SPR−AとSPR−Bが中継システム(Transit システム)に当たる。
〔本発明のパケット中継方法の第1の実施形態〕
図7は本発明のパケット中継方法の第1の実施形態を説明する図で、入口システム(SPH−A)側で直通パスを設定する必要があると判断し、出口システム(SPR−C)側がATM網20に対して直通パス設定要求を行って直通パスを設定する場合の構成と信号シーケンスを図示している。図7の(a) はパケット及びメッセージの転送経路を示す図、(b) はパケット及びメッセージの転送シーケンスを示す図であるが、(a) は図6の網構成を前提にしている。(a) 及び(b) の記載方法は他の実施例の図面(図8〜図12)についても同様である。
【0075】
図7の(a) には、SPH−Aから既存LAN−CへのパケットフローがATM網20内ではSPH−AとSPR−C間に設定された直通パス51によりショートカットされて転送されることが示されているが、以下、図7の(b) を主に参照して説明する。なお、以下の説明中の括弧内のa〜nの記号は図7の(b) に記載されている記号である(他の実施形態の説明についても同様とする)。
【0076】
(1)入口システム(SPH−A)はLAN−C宛のパケットがあると、先ずLIS−CにとってのデフォルトルータであるSPR−Aに向けてパケットを転送する。このパケットは通常、デフォルトルートに沿って宛先まで中継される。即ち、図7の(a) に点線の矢印で記載したようにSPH−AからSPR−A→SPR−B→SPR−CとATMルータ1Bをホップ・バイ・ホップ(Hop-by-Hop)に経由してLAN−Cに転送される(図7のa参照)。なお、直通パスが設定されるまでの間に受信するパケットをバッファリングする余裕がある場合には、入口システムはデフォルトルートによるパケット転送を行わずにパケットを蓄積しておき、直通パスが設定されてから送出するようにしてもよい。
【0077】
(2)入口システム(SPH−A)はこのとき、上記(1) で転送するパケットのヘッダやポート番号などを解析し、このパケットフローをショートカットする(直通パスを設定する)のが適切か否か判定する(図7のb)。そのときに、例えば、前述のFTP或いはFTTPといった大量のデータを転送する通信アプリケーションのパケットフローを検出すれば、このパケットフローをショートカットすべきと判断し、直通パス設定依頼メッセージ(Shortcut Path Request メッセージ、以下、SP依頼メッセージとも記す) をデフォルトルートに送出する(図7のc)。
【0078】
SP依頼メッセージは自エンドシステムまでの直通パスの設定を依頼するメッセージであり、自装置の通信網上のアドレス(実施例ではATMアドレス)と上位プロトコルアドレス(実施例ではIPアドレス)のほか、その直通パスで受信する自装置あてのパケットフローの種別を指定する情報(フロー種別選別仕様、後述)を宛先に対して通知する。このメッセージは直通パスを設定する両端の装置の何れか一方、即ち、入口システムか出口システムから他方の装置に向けて送信される。
【0079】
図13の(a) はSP依頼メッセージのフォーマットと情報内容の一例を示したもので、以下、SP依頼メッセージの情報内容について説明する。図中の(1) は通信網を識別する番号であり、この実施例ではATM網20を識別する番号になる(図6にはATM網は1つしか図示されていないが、このようなATM網が複数存在する場合がある)。(2) のメッセージ種別識別コードにはSP依頼メッセージを示すコードとして例えば「0」を指定する。(3) はメッセージを識別する情報であるが、この情報はリクエスト(直通パスの設定依頼)の際に指定し、そのリクエストに対して応答する場合にも同じ識別情報を使用する(以下、リクエストIDと記す)。
【0080】
図13(a) の(4) は通信網のアドレスの形式を記憶させるが、実施例では「ATMアドレス」であることを示す情報を記憶させる。(5) はアドレス長で、この例ではATMアドレスの長さ(バイト数など)を記憶させる。(6) はリクエスト送信元の通信網上のアドレスで、この場合はSP依頼メッセージの送信元であるSPH−AのATMアドレスになる。
【0081】
図13(a) の(7) はリクエスト送信元のプロトコルアドレスの形式で、この場合はSPH−AがIPアドレスを使用することを示す。(8) はリクエスト送信元のプロトコルアドレス長で、この場合はSPH−AのIPホストアドレスの長さ、(9) はリクエスト送信元のプロトコルアドレス長で、この場合はSPH−AのIPアドレスを記憶させる。
【0082】
図13(a) の(10)〜(12)はリクエストの送信先(この場合はLAN−Cの宛先端末)についての情報であり、(10)はプロトコルアドレスの形式(この場合はIPアドレスであることを示す)、(11)はプロトコルアドレス長(この場合はIPアドレス長)、(12)はプロトコルアドレス(この場合はLAN−C内の宛先端末のIPホストアドレス)である。
【0083】
図13(a) の(13)はVCの共有を許可するか否かの情報(VC Sharing Permition)で、同一VCを他のパケットフローに使用させても良いか否かを指定する(詳細後述)。(14)〜(17)は直通パスで受信する自装置宛のパケットフローの種別を指定する「フロー種別選別仕様」に関する情報であるが、詳細は後述する。
【0084】
この例では以上のような内容のSP依頼メッセージをSPH−Aからデフォルトルートに対して送出するが、このメッセージは途中のネットワークにおいて輻輳状態が発生した場合などに廃棄されることがあるため、直通パスが設定されるまでの間、一定周期(例えば30秒ごと)で繰り返し送信するのが望ましい。
【0085】
(3)上記のSP依頼メッセージは先ずSPR−Aが受信するが、SPR−Aはそのメッセージの送信先のプロトコルアドレス(図13(a) の(12)参照)を調べ、自分が出口システムであるか中継システムであるかを判定する。この判定は、送信先のプロトコルアドレスに示されている宛先が、SP依頼メッセージを受信したATM網20の外側の別ネットワーク(SPR−Aの場合はLAN−Aがこれに当たる)にあるのか、或いは内側の別のサブネットワーク(図7ではLIS−Bまたはその先のネットワーク)にあるのかという基準で行われる。
【0086】
図7の例では宛先のIPアドレスがLAN−C内の端末を示している(実際には端末は特定せずにIPアドレス内のネットワークアドレスと呼ばれる上位桁によりLAN−C内のいずれかの端末であると判定するのが普通)ので、SPR−Aは自分が中継システムであり、そのパケットフローの転送先は同じATM網20内のLIS−Bであると判断し、受信したSP依頼メッセージをデフォルトルートを介してSPR−Bに転送する(図7のd,e)。
【0087】
(4)SPR−Bでも同様にSP依頼メッセージの判定処理を行い、SPR−Cに転送する(図7のf,g)。
(5)SPR−Cでも同様にSP依頼メッセージの判定処理を行うが、SPR−CではIPアドレスのネットワークアドレスから宛先(LAN−C)がATM網20の外側にあると判定し、自分が出口システムであると判断する(図7のh)。
【0088】
(6)自分が出口システムであると判断すると、SPR−Cは(1) のデフォルトルートからのパケットの受信処理を行う一方、(5) のSP依頼メッセージ内のメッセージ送信元のATMアドレス(この場合はSPH−AのATMアドレスが記憶されている)を用いてそのATMアドレスをもつ装置、即ち、入口システムであるSPH−Aまでのパス(VC)の設定要求を行う。このパス設定要求はATM交換機の接続に使用される呼設定要求(SETUP)メッセージをATM網20に送出することにより行われるが、このメッセージはATM網20を介して相手のSPH−Aまで転送される。また、そのSETUPメッセージにはSP依頼メッセージで通知されたリクエストID(図13(a) の(3) 参照)をエンド・ツー・エンド(End-to-End)情報要素として付加する(図7のi)。
【0089】
(7)SP依頼メッセージの発信元である入口システム(SPH−A) は前記SETUPメッセージを受信するとエンド・ツー・エンド情報要素に含まれたリクエストIDを見て、これが自分が送出したものと一致していればVC設定要求を受け付け、被呼者応答を知らせるCONNECT(以下、CONNと記す)メッセージを返送する(図7のj,k)。このように本発明では、リクエストIDにより自分が要求したパス接続であるか否かが判断できるので、ATM網のVCレベルのセキュリティが確保できる。 CONNメッセージがATM網20を介してSETUPメッセージの送信元であるSPR−Cまで送られたのち、SPR−CとSPH−Aの間に直通パスが設定される。パスの設定はVPI/VCIを決定することであるが、ここではVPI/VCIとして0/100が指定されて、直通パスが設定されたものとする(図7のm)。
【0090】
(8)上記によって図7(a) のように直通パス51が設定されると、出口システムに当たるSPR−Cは直通パス設定応答メッセージ(Shortcut Path Reply メッセージ、以下、SP応答メッセージとも記す) を作成して入口システム(SPH−A) に返送するが、これは新たに設定された直通パス51を使って転送される(図7のn)。
【0091】
SP応答メッセージはSP依頼メッセージに対する応答メッセージであり、SP依頼メッセージを最後に受けたエンドシステムによって直通パスが設定されたのち、その直通パス上で返送されるのが基本である。このメッセージでは、自装置の通信網(実施例ではATM)アドレスと上位プロトコルアドレス(実施例ではIPアドレス)のほか、その直通パスで受信する自装置宛のパケットフローの種別(フロー種別選別仕様、後述)を通知する。
【0092】
SP応答メッセージのフォーマットと指定する情報の一例を図13の(b) に示すが、SP依頼メッセージと同様な内容については説明を省略する。図中の(2) のメッセージ種別コードにはSP応答メッセージを示すコードとして例えば「1」を指定する。また、(3) のリクエストIDはSP依頼メッセージで指定されたものと同一の内容にする。
【0093】
図13(b) の(4) 〜(9) はすべて応答メッセージ送信元(この場合はSPR−C)についての情報で、(6) の応答メッセージ送信元の通信網アドレスにはSPR−CのATMアドレス、(9) の応答メッセージ送信元のプロトコルアドレスにはSPR−CのIPホストアドレスを記憶させる。(13)以下は後述する。
【0094】
(9)出口システムのSPR−Cはこのとき、受信したSP依頼メッセージ(図13の(a) 参照)内の「依頼メッセージ送信元のプロトコルアドレス」(SPH−AのIPホストアドレス)、「依頼メッセージ送信元の通信網アドレス」(SPH−AのATMアドレス)及び「フロー種別選別仕様」から図17の(c) に例示するような出力パケット条件記憶部(Egress Cashe、以下、出力用キャッシュと記す)を作成し、また、自らがSP応答メッセージで通知した「フロー種別選別仕様」から図17の(d) に例示するような入力パケット条件記憶部(Ingress Cashe 、以下、入力用キャッシュと記す)を作成する。
【0095】
ここで図17の(c) 及び(d) の説明に先立ち、出力用キャッシュ、入力用キャッシュ及びフロー種別選別仕様について説明する。先に、入口システム、出口システムまたは中継システムは送信中、受信中または中継中のパケットフローを監視し、そのパケットフローをショートカットすべきか否か判定すると説明したが、このフロー判定機構は直通パス設定の可否判断の際のみでなく、直通パス設定後にその直通パス上に流れるパケットフローの監視も行う。この監視を行うために、直通パスを通して通信網(実施例ではATM網)から入力されるパケット及び通信網(実施例ではATM網)に出力されるパケットに対応して構成されるのが入力用キャッシュと出力用キャッシュである。入力用キャッシュと出力用キャッシュはSP依頼メッセージまたはSP応答メッセージに含まれるフロー種別選別仕様と通信網アドレス情報、これらを用いて設定された直通パスの属性により作られる。各エンドシステムはこの情報をもとに、各直通パス上のパケットフローを監視し、異常パケットの流入や流出を防止する。
【0096】
図15は通信網全般に適用する出力用キャッシュと入力用キャッシュの基本構成を図示したものである。図15の(a) は出力用キャッシュの構成を示しているが、図のように(1) には次に詳述するフロー種別選別仕様を指定し、この仕様に適合するパケットフローのみを通信網(ATM網)に出力するようにする。(2) と(3) にはそのパケットフローの送受信相手の装置のプロトコルアドレスと通信網アドレスを指定し、そのアドレスの装置に送信するパケットフローのみを出力するようにする。(4) はこの出力用キャッシュをもつ装置が複数のポートをもつ場合に特定のポートから入力されたパケットフローのみを出力するようにする。(5) は直通パスのVPI/VCI番号でこのVPI/VCIを指定して送受信するパケットフローのみを出力する。(6) の共有可否指定はこの直通パスに他の端末などからのパケットを重畳させても良いか否かを指定するものである。
【0097】
図15の(b) は入力用キャッシュの構成を示しているが、図のように(1) にはこの入力用キャッシュをもつ装置が複数のポートをもつ場合にパケットフローが入力されるポートを指定するもの、(2) には直通パスのVPI/VCI番号、(3) にはフロー種別選別仕様を指定する。
【0098】
次にフロー種別選別仕様(Filter Spec )について説明する。SP依頼メッセージやSP応答メッセージに含まれるフロー種別選別仕様とは、設定された直通パス上で扱うパケットフローの属性を示すもので、図16に具体的な内容の一部を示す。ここで指定された情報をもとに前述の出力用キャッシュと入力用キャッシュを構成し、各直通パス上のパケットフローを監視して異常パケットの流入や流出を防止する。
【0099】
フロー種別の指定は図16に示すように具体的な指定内容に対応してタイプを識別する番号を付してフロー種別選別仕様をタイプ番号で指定することができる。フロー種別選別仕様は図16に示すようにいくつかのタイプを規定することが可能である。例えば、図16のタイプ1とタイプ2はそれぞれ宛先のプロトコルアドレスのみを規定し、タイプ3とタイプ4は発信元のプロトコルアドレスと宛先のプロトコルアドレスの組み合わせを指定している。また、タイプ5は発信元も宛先もプロトコルの他にポート番号を組み合わせて指定している。この他にもネットワークアドレス/ホストアドレス/ポート番号と、宛先/発信元の組み合わせ方によって多様な規定ができるが、図16には一部を記載するにとどめた。
【0100】
以下、選別の例を具体的に説明する。図16のタイプ1の指定内容は「宛先ネットワークアドレス」、タイプ2は「宛先ホストアドレス」となっている。IPアドレスの場合、ネットワークアドレスがIPアドレスの上位桁で指定されるのに対して、ホストアドレスは全桁で指定されるので、「ネットワークアドレス」で例えば特定のLANが指定でき、「ホストアドレス」で例えばLAN内の特定の端末を指定することができる。従って、フロー種別選別仕様にタイプ1を指定した場合はそれによって特定されるLAN内のどの端末に送受信されるパケットでも直通パスの利用を許可するが、タイプ2を指定した場合には同一LAN内の端末であってもホストアドレスが指定されたものと異なる端末に送受信されるパケットは直通パスの利用は許可しないことになる。
【0101】
以下、図7のSPR−Cの動作説明に戻る。前述のように、SPR−CはSPH−Aから受信したSP依頼メッセージの情報を用いて出力用キャッシュを作成するが、ここで先に説明を省略したSP依頼メッセージ中のフロー種別選別仕様について説明する。SPH−AはSP依頼メッセージを送信する際にフロー種別選別仕様を指定するが、ここでは自身のホストアドレスのみを指定したものとする。この場合、図13の(a) に図示したSP依頼メッセージ中の(14)の「フロー種別選別仕様の数」に「1」、(17)の「フロー種別選別仕様内容」に「SPH−AのIPホストアドレス」、(15)にフロー種別タイプの番号(タイプの番号は各システム共通)を指定し、(16)にSPH−AのIPホストアドレスの長さを記憶させる。
【0102】
出口システムのSPR−CはSP応答メッセージを送出したのち、図15に図示した出力用キャッシュと入力用キャッシュを作成する(図7のp参照)が、出力用キャッシュは上記のSP依頼メッセージ内の情報を用いて作成する。図17の(a) に図示したSP依頼メッセージを参照しながら図15の(a) の構成の出力用キャッシュに記憶すべき情報を説明する。
【0103】
先ず、図15(a) の(1) の「フロー種別選別仕様内容」には図17の(a) の(17)の「フロー種別選別仕様内容」(この例では「SPH−AのIPホストアドレス」が指定されている)を記憶する。図15(a) の(2) と(3) は仕様適用対象装置のアドレスを記憶するが、この場合の仕様適用対象装置はSPH−Aであるので、図15(a) の(2) には図17の(a) の(9) の「依頼メッセージ送信元のプロトコルアドレス」(この例では「SPH−AのIPホストアドレス」)、図15(a) の(3) には図17(a) の(6) の「依頼メッセージ送信元の通信網アドレス」(この例では「SPH−AのATMアドレス」)を記憶させる。
【0104】
図15(a) の(4) の「ポート」にはSPR−Cがこのパケット通信で使用するTCP/IPのポート番号(例えば「1」とする)を記憶させる。図15(a) の(5) の「VPI/VCI」には直通パスのVPI/VCI(この例では前述の「0/100」)を記憶させる。図15(a) の(6) の「共有可否指定」には図17の(a) の(13)の内容(この例では共有許可を示すフラグが設定されているものとする)を記憶させる。
【0105】
以上によって作成されたSPR−Cの出力用キャッシュの内容を図17の(c) に示す。図の(6) の「共有可否指定」には「共有許可」と記載しているが、実際には許可/不許可のいずれかを示すフラグを記憶する。図7ではこの出力用キャッシュの作成はSP応答メッセージを送出したのちに行う(図7のp)ように記載されているが、SP依頼メッセージを受信したときに「VPI/VCI」を除いて作成しておき、直通パスが設定されたときに「VPI/VCI」を記憶させるようにしてもよい。この出力用キャッシュが作成されると、以後、出口システムにおいてフローを判定する機構がこの出力用キャッシュに指定された条件に適合するパケットフローのみを直通パスに送出するようにする。
【0106】
次にSPR−Cは図15の(b) に図示されているような入力用キャッシュを作成する。先ず、図15(b) の(1) の「ポート」にはこの直通パスを使用するTCP/IPのポート番号(例えば「1」)を記憶させ、図15(b) の(2) の「VPI/VCI」には直通パスのVPI/VCIの値(この例では「0/100」)を記憶させる。図15(b) の(3) の「フロー種別選別仕様」にはSPR−C自身が送出したSP応答メッセージの中に指定した「フロー種別選別仕様内容」を記憶する。SP応答メッセージの説明では省略したが、例えばSPR−Cの下位のLAN−C宛のパケットフローのみを直通パスにより送信するのであれば図13の(b) のSP応答メッセージ中の(17)「フロー種別選別仕様内容」に「LAN−CのIPネットワークアドレス」を指定し、入力用キャッシュの(3) は同じ内容を記憶させる。
【0107】
以上によって作成されたSPR−Cの入力用キャッシュの内容を図17の(c) に示す。この例ではSPR−Cは、VPI/VCIが0/100であり、LAN−CのIPネットワークアドレスが指定され、かつ、ポート番号が「1」であるパケット(ATMセル)のみを通過させることになる。
【0108】
(10)一方、SP応答メッセージを受信した入口システムのSPH−Aは出力用キャッシュと入力用キャッシュを作成する(図7のq)。入口システムにおいて作成する出力用キャッシュ、入力用キャッシュの構成も図15に図示した内容になるが、出力用キャッシュはSP応答メッセージ内の情報をもとに作成する。
【0109】
図15の(a) の(1) の「フロー種別選別仕様内容」には図13(b) の(17)の「フロー種別選別仕様内容」(例えば前述の「LAN−CのIPネットワークアドレス」)を記憶させ、(2) と(3) にはそれぞれ図13(b) の(9) の「応答メッセージ送信元のプロトコルアドレス」(この例では「SPR−CのIPホストアドレス」)及び図13(b) の(6) の「通信網アドレス」(この例では「SPR−CのATMアドレス」)を記憶させる。また、図15(a) の(4) の「ポート」にはSPH−AのTCP/IPのポート番号、図15の(a) の(5) 「VPI/VCI」には直通パスのVPI/VCIの値(この例では「0/100」)、(6) 「共有可否指定」には図13(b) の(13)の「共有可否指定」(例えば「共有許可」を示すフラグ)を記憶させる。このようにして作成されたSPH−Aの入力用キャッシュの内容を図17の(a) に示す。
【0110】
また、入力用キャッシュ( 図15の(b) 参照)では、図15(b) の(1) の「ポート」にTCP/IPのポート番号(例えば「1」)、(2) の「VPI/VCI」に直通パスのVPI/VCI値(この例では「0/100」)を記憶させる。図15(b) の(3) の「フロー種別選別仕様」には自身がSP依頼メッセージで通知した「フロー種別選別仕様内容」(図13(a) の(17)に指定した内容で、前述の例によれば「SPH−AのIPホストアドレス」)を記憶させる。
【0111】
(11)以上のように入口システム及び出口システムにおいてそれぞれ出力用キャッシュ及び入力用キャッシュが作成されたのち、直通パスを介してパケットフローの送受信が行われる(図7のr)が、このフローは前述のように、入口システム及び出口システム内のフロー判定機構が出力用キャッシュに従ってパケットフローを直通パスにマッピングし、入力用キャッシュに従って受信するパケットのフィルタリングを行うので、直通パス確立後におけるパケットフローのセキュリティが確保される。
【0112】
以上、本発明の第1の実施形態について説明したが、この使用形態の特徴は、▲1▼直通パスを要求するエンドシステム(上記ではSPH−A)が自らATMアドレスを申告し、リクエストIDを使用してVC設定を行うので、不当にATMアドレスが漏れることがなく、ATMレベルのセキュリティが確保されること、▲2▼エンドシステム間でフロー種別選別仕様を通知し合うことで直通パスに流れるパケットフローを管理し、アプリケーションごとのパス設定やセキュリティ管理を可能としていること、▲3▼以上の制御がエンドシステムごとに独立して行われるため、セキュリティなど独立の管理ポリシーが規定でき、障害が発生してもネットワーク全体に波及することがなく局所化される(サーバの障害のようにネットワーク全体に影響する障害が生じない)こと、などである。
〔本発明のパケット中継方法の第2の実施形態〕
図8は本発明のパケット中継方法の第2の実施形態を説明する図で、出口システム(SPR−C)側で直通パスを設定する必要があると判断し、入口システム(SPH−A)側がATM網20に対して直通パス設定要求を行って直通パスを設定する場合の動作を示している。図8も第1の実施形態と同様に、SPH−AからLAN−CへのパケットフローがATM網20内ではSPH−AとSPR−C間に設定された直通パス51によりショートカットされて転送されることが示されており、SPR−A及びSPR−Bは第1の実施形態同様、パケットフローにとって中継システムとなる。以下、図8の(b) を主に用いて説明するが、以下で扱われるパケットフローは、SPH−Aではホストアドレスにより、また、SPR−CではLAN−Cのネットワークアドレスにより、それぞれ選別されるように指定した場合を前提とし、第1の実施形態と類似する箇所は説明を簡略化することとする。
【0113】
(1)入口システムとなるSPH−AはLAN−C宛のパケットがあると先ずLIS−AにとってのデフォルトルータであるSPR−Aに向けてパケットを転送する。このパケットはデフォルトルートに沿って宛先のLAN−Cまで転送される(図8のa)。
【0114】
(2)SPR−Cはこのパケットの受信処理を行う一方、このパケットフローのヘッダーの内容などを解析し、このパケットフローをショートカットするのが適切か否か判定する(図8のb)。その結果、このパケットフローをショートカットすべきと判断したときは、SP依頼メッセージ(直通パス設定依頼メッセージ)をデフォルトルートに送出する(図8のc)。
【0115】
このSP依頼メッセージには図13の(a) に図示したような情報を指定するが、この例では、「依頼メッセージ送信元の通信網アドレス」に「SPR−CのATMアドレス」、「依頼メッセージ送信元のプロトコルアドレス」に「SPR−CのIPホストアドレス」、「依頼メッセージ送信先のプロトコルアドレス」に「SPH−AのIPホストアドレス」、「VC共有の可否指定」に「共有許可のフラグ」、「フロー種別選別仕様の数」に「1」(仕様は1種類とする)、「フロー種別選別仕様番号」に「タイプ1」(タイプ1は図16に記載の「宛先ネットワークアドレス」であるとする)、「フロー種別選別仕様内容」に「LAN−CのIPネットワークアドレス」(タイプ1の具体的内容)を指定したものとする。このSP依頼メッセージは一定周期で繰り返し送信する。
【0116】
(3)このSP依頼メッセージは第1の実施形態におけると同様に、受信した装置が自分が中継システムとなるのか宛先装置になるのか判定しながらデフォルトルートに沿って入口システム側に向けて転送され、入口システムのSPH−Aまで中継される(図8のd〜h)。この経路は図8の(a) に細い実線の矢印で示されている。
【0117】
(4)入口システムのSPH−Aはデフォルトルートを介してSP依頼メッセージを受信すると、その中の「依頼メッセージ送信元の通信網アドレス」に指定されている「SPR−CのATMアドレス」を用いてATM網20に対して自装置から出口システム(SPR−C)までの直通パスの設定を要求する。このとき、直通パス設定要求(SETUP)メッセージにはリクエストIDを付加する(図8のi)。
【0118】
(5)SETUPメッセージは出口システムのSPR−Cまで送られるが、SPR−Cは受信したSETUPメッセージ内のリクエストIDを確認し、自分がSP依頼メッセージに設定した内容と一致することを確認すると、SETUPメッセージに対する応答(CONN)メッセージを返送する(図8のj,k)。これによりVPI/VCI値が0/100の直通パスがSPH−AとSPR−C間に設定されたものとする(図8のm)。
【0119】
(6)直通パスが設定されるとSPH−AはSP応答メッセージを作成し、直通パス51を介して出口システム(SPR−C)に転送する(図8のn)。このときSP応答メッセージには図13の(b) に図示された情報を指定するが、具体的には、「応答メッセージ送信元の通信網アドレス」に「SPH−AのATMアドレス」、「応答メッセージ送信元のプロトコルアドレス」に「SPH−AのIPホストアドレス」、「VC共有の可否指定」に「共有許可のフラグ」、「フロー種別選別仕様の数」に「1」(仕様は1種類とする)、「フロー種別選別仕様番号」に「タイプ2」(タイプ2は図16に記載の「宛先ホストアドレス」であるとする)、「フロー種別選別仕様内容」に「SPH−AのIPホストアドレス」(タイプ2の具体的内容)を指定したものとする。
【0120】
(7)入口システムのSPH−Aはこのとき、先に受信したSP依頼メッセージ内の「依頼メッセージ送信元のプロトコルアドレス」、「依頼メッセージ送信元の通信網アドレス」及び「フロー種別選別仕様内容」から図17の(a) に例示するような出力用キャッシュを作成し、自身がSP応答メッセージで通知した「フロー種別選別仕様内容」から図17の(b) に例示するような入力用キャッシュを作成する(図8のp)。作成方法は第1の実施形態の場合に準ずるので詳細説明を省略する。
【0121】
(8)一方、SP応答メッセージを受信した出口システムのSPR−CはSP応答メッセージ内の「応答メッセージ送信元のプロトコルアドレス」、「応答メッセージ送信元の通信網アドレス」及び「フロー種別選別仕様内容」から図17の(c) に例示するような出力用キャッシュを作成し、自身がSP依頼メッセージで通知した「フロー種別選別仕様内容」から図17の(d) に例示するような入力用キャッシュを作成する(図8のq)。この作成方法も第1の実施形態の場合に準ずるので詳細説明は省略する。
【0122】
(9)以上のように入口システム及び出口システムにおいてそれぞれ出力用キャッシュ及び入力用キャッシュが作成されたのち、直通パスを介してパケットフローの送受信が行われる(図8のr)が、入口システム(SPH−A)と出口システム(SPR−C)はそれぞれが管理する出力用キャッシュによってパケットフローを直通パスにマッピングし、入力用キャッシュによってパケットのフィルタリングを行うので、直通パス確立後におけるパケットフローのセキュリティが確保される。
【0123】
以上の第2の実施形態における特徴は第1の実施形態とほぼ同様であるが、唯一異なる点は直通パスの設定が適切であるとの判断をフローの受信側が行い、直通パスの設定を受信側主体で行われる点である。このため、例えばSPR−Cがサーバの立場、SPH−Aなどがクライアント端末の立場となってFTPやHTTPなどのサーバアクセスを行う場合にこの第2の実施形態を利用すれば、クライアント端末(例えばSPH−A)側からSP依頼メッセージを送出することがないので、クライアント端末のATMアドレスがATM網内に送出されることがない(SP応答メッセージではSPH−AのATMアドレスが送られるが、図8に示すようにSP応答メッセージは直通パスを介して送られ、モニタされる恐れがあるデフォルトルートには送出されない)。従って、この形態ではATM網内に流れるATMアドレス情報はサーバ(SPR−C)に関する情報のみとなり、セキュリティの面でより信頼性の高いネットワーク運用が可能となる。
〔本発明のパケット中継方法の第3の実施形態〕
図9は本発明のパケット中継方法の第3の実施形態を図示したもので、中継システム(SPR−A、SPR−Bの一方または両方)が直通パスを設定するのが適切と判断し、入口システム(SPH−A)(出口システムのSPR−Cでもよい)に対して直通パスの設定開始を要請して直通パスを設定する場合を示している。以下、中継システムとなるSPR−AとSPR−Bの両方が直通パスの設定が必要と判断した場合を例に、図9の(b) を主に用いて説明するが、以下で扱われるパケットフローは、SPH−Aではホストアドレスにより、また、SPR−CではLAN−Cのネットワークアドレスにより、それぞれ選別されるように指定した場合を前提とする。なお、第1または第2の実施形態と類似の箇所は簡略化して説明する。
【0124】
(1)入口システムとなるSPH−AはLAN−C宛のパケットがあるとLIS−Aにとってのデフォルトルータ(SPR−A)に向けてパケットを転送する。このパケットは第1または第2の実施形態におけると同様、デフォルトルートに沿って出口システムのSPR−Cまで転送され、SPR−Cがこのパケットを受信処理して宛先のLAN−Cに転送する(図9のa)。
【0125】
(2)中継システムとなるSPR−A及びSPR−Bは自身が中継しているトラヒックを監視しているが、(1) のパケットフローが定常的なものであり、ショートカットすべきであると判断したときはそのフローの送信元または送信先に向けて直通パス設定開始要請メッセージ(以下、SP Initiation メッセージまたはSP設定要請メッセージと記す)を送出する(図9のb〜c ,d〜e )。フローの送信元と送信先のいずれに送るかは予め決めておくが、以下では送信元(SPH−A)に向けて送出するものとする。なお、図9の(a) にはSP設定要請メッセージの送信ルートがデフォルトルートとは別個に記載されているが、実際にはデフォルトルートを介して送信する。ここで、SP設定要請メッセージに指定する情報について図14の(c) により説明する。
【0126】
図14の(c) はSP設定要請メッセージの構成を示しているが、図14(c) の(1) はSP依頼メッセージと同じく、通信網(図9ではATM網20)上の識別番号を指定する。(2) はメッセージの種別を識別するコードで、SP設定要請メッセージは例えば「4」とする。(3) はリクエストIDを指定する領域であるが、SP設定要請メッセージでは空欄(Null)とする。また、(4) 〜(6) も空欄(Null)とする。
【0127】
図14(c) の(7) 〜(9) はSP設定要請メッセージの送信元(図には直通パス設定開始要請元と記載)のプロトコルアドレス関係の情報で、(7) にプロトコルアドレスの形式(ここではIPアドレスになる)、(8) にそのアドレス長、(9) にSP設定要請メッセージを送信した中継システム(ここではSPR−AまたはSPR−B)のIPホストアドレスを指定する。ただし、後述する第4の実施形態の処理方法によっては(7) 〜(9) のSP設定要請メッセージ送信元のアドレス情報を省略することもができ、その場合は(7) 〜(9) を空欄とする。
【0128】
図14(c) の(10)〜(12)はSP設定要請メッセージの送信先(図には直通パス設定開始要請先と記載)のプロトコルアドレス関係の情報で、(10)にプロトコルアドレスの形式(IPアドレスになる)、(11)にそのアドレス長を指定する、(12)にはSP設定要請メッセージの送信先である入口システムまたは出口システムのプロトコルアドレスを指定するが、ここでは入口システムに送信する前提であるのでSPH−AのIPホストアドレスを指定する。
【0129】
図14(c) の(13)〜(15)はフロー種別選別仕様関係を指定する領域で、(13)はフロー種別選別仕様のタイプ番号として例えば「タイプ1」(図16参照)、(14)にはその長さ、(15)にはフロー種別選別仕様の内容としてLAN−CのIPネットワークアドレスを指定する。
【0130】
このSP設定要請メッセージの送信はデフォルトルートに存在する複数の中継システムの各々が独自の判断で行い、例えば、入口システムや出口システムでは直通パスの設定が必要ないと判断している場合でも中継システムの位置にある特定のルータのトラヒックが輻輳しているような場合にはそのルータ(中継システム)から送信される。
【0131】
SP設定要請メッセージはそれを送信した中継システムが安定した状態に回復するまで一定周期(例えば30秒ごと)で繰り返し送信され、▲1▼直通パスが設定され、デフォルトルートを介して転送されていたパケットフローのトラヒックがなくなった、▲2▼送信元(例えばSPH−A)からのデフォルトルートによるトラヒックが減少した、▲3▼他のいくつかの中継トラヒックが減少または消滅し、その中継システムの中継能力が回復した、などの状態となったときに送信が停止される。
【0132】
(3)上記のSP設定要請メッセージはあるパケットフローのデフォルトルート上にある複数の中継システムから同時に発生する可能性がある。図9の例ではSPR−AとSPR−Bの両方からSP設定要請メッセージが送信される例を図示している(図9(a) 及び図9(b) のc,e)が、すべてのSP設定要請メッセージをパケットフローの送信元であるSPH−Aに送ることはデフォルトルート上の中継システムやSPH−Aの処理を徒に増加することになるので、各中継システムは自らがSP設定要請メッセージを送信している状態にあるときはその上流からのSP設定要請メッセージを下流にフォーワーディングしないようにする。図9の(b) にはSPR−BからのSP設定要請メッセージ(図9のe)がSPR−Aにおいて阻止されてSPH−Aには送られない例を示している。
【0133】
(4)SP設定要請メッセージを受信した入口システムのSPH−AはSP依頼メッセージを出口システム(SPR−C)に向けて送信する(図9のf)が、以下のシーケンスは図7と同一であるので説明は省略する(SP設定要請メッセージを出口システムに送信した場合は出口システムがSP依頼メッセージを送信するが、その場合の以後のシーケンスは図8と同一になる)。
【0134】
以上の第3の実施形態における特徴は、中継システム(一般には中継用ルータ)から直通パスの設定要求が可能という点である。例えば、ある管理分野においてはエンドシステム間の通信は特に必要がない限り積極的にショートカットしないという運用スタイルをとることがある。これは例えば、セキュリティを重視する場合(直通パス設定にはATMアドレスを網に流すが、これを避けたいユーザがある)や、ATM網レベルのリソースが少なく、リソースの大半がデフォルトルート用に割り当てられているような場合にとられる。この場合、中継ルータの処理負荷が高くなるのは必至であるが、セキュリティ上問題のあるトラヒックはそのままデフォルトルートを使用させ、問題がないと判断されるパケットフローから徐々にショートカットしてトラヒックの負荷分散を図るような運用形態に適している。
〔本発明のパケット中継方法の第4の実施形態〕
図10は本発明のパケット中継方法の第4の実施形態を図示している。この形態は、第3の実施形態と同様にある中継システムからSP設定要請メッセージが発出されたが、これを受信した入口システム(または出口システム)側が応答できないか、応答したくない(例えばセキュリティ上の理由で)場合の動作例である。以下では、SPH−AからLAN−Cへのパケットフローに対してSPR−BがSPH−Aに対して直通パスの設定開始要請を行ったのに対してSPH−Aが要請を拒否する場合を例に説明する。以下、図10の(b) を主に用いて説明するが、以下で扱われるパケットフローは、SPH−Aではホストアドレスにより、また、SPR−CではLAN−Cのネットワークアドレスにより、それぞれ選別されるように指定した場合を前提とする。なお、すでに説明した内容と類似の箇所は簡略化して説明する。
【0135】
(1)入口システムとなるSPH−AはLAN−C宛のパケットがあるとSPR−Aに向けてパケットを転送する。このパケットはデフォルトルートに沿って出口システムのSPR−Cまで転送され、SPR−Cはこのパケットを受信処理して宛先のLAN−Cに転送する(図10のa)。
【0136】
(2)中継システムとなるSPR−A及びSPR−Bは第3の実施形態と同様、中継トラヒックを監視しているが、いま、SPR−Bが上記のパケットフローをショートカットすべきであると判断し、そのフローの送信元のSPH−Aに向けてSP設定要請メッセージを送出したものとする(図10のb,c)。このSP設定要請メッセージはSPR−Aにおいて中継され、SPH−Aに送られる(図10のd,e)。
【0137】
(3)しかし、SP設定要請メッセージを受信したSPH−Aはセキュリティ上の問題など何らかの理由で自装置に直通パスを設定することが好ましくない状態にあるとする。この場合、SPH−AはSP設定要請メッセージを拒否するメッセージである直通パス設定開始要請拒否メッセージ(以下、SP Initiation NAK メッセージ、または、SP設定拒否メッセージとも記す)を作成し、予め定められている選定方法によって選定したデフォルトルート上のエンドシステムに対して送信する。
【0138】
このSP設定拒否メッセージの送信先はSP設定要請メッセージを受信したシステム(この場合は入口システムのSPH−A)の代わりに直通パスの設定処理を開始する代行中継システムになる(後述)が、最も一般的なものは入口システムSPH−AにとってデフォルトルータとなるSPR−Aである。SPR−Aが入口システムを代行して直通パスを設定すれば、パケットフローはATM網内の大部分を直通パスによって転送されるからである。しかし、セキュリティの問題を考慮すると常にデフォルトルータに直通パスを設定することが望ましいとは限らないので、その場合はSP設定拒否メッセージの送信元(SP設定拒否メッセージに設定されている)と網の構成に応じて適切な代行中継システムが選定できるように予め選定基準を設定したテーブルなどを準備しておく。逆に、常にデフォルトルータを選定するように定められている場合にはSP設定拒否メッセージには送信元のアドレス情報を設定する必要がない。
【0139】
ここでSP設定拒否メッセージに指定する情報について図14の(d) を用いて説明する。(1) の通信網識別番号はこれまで説明したものと同一である。(2) のメッセージ種別識別コードにはSP設定拒否メッセージに定められたコードとして例えば「5」を記憶させる。(3) 〜(9) は空欄とし、(10)〜(12)にSP設定拒否メッセージの送信先のプロトコルアドレス関係の情報を指定するが、この場合の送信先をデフォルトルータのSPR−Aとした場合には、(10)にIPアドレス、(11)にそのアドレス長、(12)にSPR−AのIPホストアドレスを指定する。また、フロー種別選別仕様については(13)に図16の「タイプ1」を指定し、(15)にLAN−CのIPネットワークアドレスを指定する。
【0140】
以上の前提によりSP設定拒否メッセージはデフォルトルータのSPR−Aに向けて送信される(図10のf)。
(4)上記のSP設定拒否メッセージはデフォルトルートを経てSPR−Aに受信されるが、SPR−Aはこれを受信するとSPH−Aになり代わってSP依頼メッセージを出口システムに向けて送信する(図10のg)。この場合のメッセージ送信元の通信網アドレス(図13の(6) 参照)には勿論SPR−AのATMアドレスを指定する。
【0141】
(5)上記のSP依頼メッセージはSPR−Bにおいて中継されたのち、SPR−Cに受信される(図10のh〜j)。SPR−Cはこれを受信すると図7におけると同様にATM網20に対して直通パスの設定を要求するが、この場合の直通パスの設定先はSPH−Aではなく中継システムのSPR−Aになる。
【0142】
(6)以下、SPR−AとSPR−Cの間で行われる動作のシーケンスは図7の(b) においてSPH−AとSPR−Cの間で行われる動作のシーケンスと同様である(図10のk〜s)。これにより図10の(a) に図示するような直通パス52が設定される。この直通パスをによりパケットフローを転送する場合、SPR−Aは、デフォルトルートを介してSPH−Aとの間で送受信するパケットフローと直通パスを介してSPR−Cとの間で送受信するパケットフローを中継する(図10のt,u)。
【0143】
以上の第4の実施形態における特徴は、入口システム(または出口システム)がSP設定拒否メッセージを送出することにより直通パスの設定を入口システム以外の装置が代行し、代行装置が直通パスとデフォルトルートパス上のパケットフローを中継するという点である。この実施形態ではSP設定拒否メッセージを送出することにより入口システムは自分の通信網上のアドレス(例えばATMアドレス)をデフォルトルートに送出せずに済むので、直通パスを設定する実体を特定のサブネットワークの代表ルータ(例えば、図10のSPR−C)に集めることができる。従って、この機構の積極的な利用は、セキュリティの設定を集中的に管理する場合に効果的である。
〔本発明のパケット中継方法の第5の実施形態〕
図11は本発明のパケット中継方法の第5の実施形態を図示したもので、第1〜第4の実施形態で設定された直通パスの保留方法と切断方法を説明するものである。第1〜第4の実施形態では直通パスの設定方法が異なっていたが、一旦設定されたのちの直通パスの保留方法と切断方法は共通であるので、以下、第1の実施形態で設定された直通パスを例に説明する。なお、ここで扱われるパケットフローは、第1 の実施形態と同様に、SPH−Aではホストアドレスにより、また、SPR−CではLAN−Cのネットワークアドレスにより、それぞれ選別されるように指定した場合を前提とする。
【0144】
(1)図11の(b) ではSPR−CよりATM網20に対して直通パスの設定要求を行うSETUPが送出される動作から図示しているが、これによって設定された直通パスによりパケットフローが転送されるまでの動作のシーケンス(図12のa〜h)は第1の実施形態における動作(図7のi〜r)と同一である。この状態でSPH−AとSPR−Cの間では直通パス51を介してパケットフローの転送が行われている。
【0145】
(2)ここで、直通パス51の両端のエンドシステム、即ち、入口システムに当たるSPH−Aと出口システムに当たるSPR−Cは、直通パス上でパケットの転送を実行する一方、パス維持メッセージ(Cashe Updateメッセージとも記す)を直通パス上に一定の周期(例えば、3分ごと)で送信する。これは相手エンドシステムの出力用キャッシュの記憶内容をリフレッシュするよう要求するものであるが、このパス維持メッセージを送信する際に自装置の入力用キャッシュもリフレッシュする。即ち、SPH−Aは自装置の入力用キャッシュをリフレッシュしてから相手のSPR−Cにパス維持メッセージを送信し(図11のi,j)、また、SPR−Cも自装置の入力用キャッシュをリフレッシュしてから相手のSPH−Aにパス維持メッセージを送信する(図11のm,n)。このパス維持メッセージの送信は送信すべきパケットデータが存在する限り定期的に繰り返す。
【0146】
図14の(e) はパス維持メッセージの基本構成を図示したものであるが、以下、パス維持メッセージの内容について説明する。図14(e) の(1) の通信網識別番号はこれまで説明したものと同一である。(2) のメッセージ種別識別コードにはパス維持メッセージに定められたコード、例えば「2」を設定する。(3) のリクリストIDは先に説明したものと同じである。(4) 以下も既に説明した内容と同じであるが、これについては具体的な指定内容を装置ごとに説明する。
【0147】
先ず、SPH−Aがパス維持メッセージで指定する情報(図11(b) のjで送信する内容)は、図14(e) の(4) の「VC共有の可否指定」に「共有許可」を示すフラグ、(5) の「フロー種別選別仕様の数」には第1の実施形態で指定した値(この例では「1」)、(6) の「フロー種別選別仕様番号」も同様に「タイプ1」(図16参照)、(8) の「フロー種別選別仕様内容」も同様に「SPH−AのIPホストアドレス」を指定する。なお、(7) には(8) の長さを記憶させる。以上から明らかなように、パス維持メッセージで指定する内容は、第1の実施形態で説明したSP依頼メッセージで指定した内容と同一である。
【0148】
一方、SPR−Cがパス維持メッセージで指定する情報(図11(b) のnで送信する内容)は、図14(e) の(4) の「VC共有の可否指定」に「共有許可」を示すフラグ、(5) の「フロー種別選別仕様の数」に「1」、(6) の「フロー種別選別仕様番号」も同様に「タイプ1」、(8) の「フロー種別選別仕様内容」に「LAN−CのIPネットワークアドレス」を指定する。これも第1の実施形態で説明したSP応答メッセージで指定した内容と同一である。
(3)SPR−CはSPH−Aよりパス維持メッセージを受信するとその直通パスに関わる自装置の出力用キャッシュを更新し(図11のk)、SPH−AもSPR−Cよりパス維持メッセージを受信すると自装置の出力用キャッシュをリフレッシュする(図11のp)。図11(b) のi.k.m,pには「更新」と記載されているが、以上から明らかなように、これまでの過程では出力用キャッシュも入力用キャッシュもリフレッシュされるだけで、内容は変更されていない。
【0149】
(4)前述のように、通信すべきパケットデータが存在する限り、上記(2) と(3) の動作は一定周期で繰り返されるが、所定の周期でリフレッシュされている間は直通パス及び両端のエンドシステム内の入口/出力用キャッシュは維持されている。しかし、予め定められている時間(フレッシュの周期よりも長い時間で、例えば5分間)経過しても新たなパス維持メッセージを受信しなくなると、そのエンドシステムの出力用キャッシュは消去される(図11のr)。出力用キャッシュが消去されると、たとえ直通パスが切断されていなくてもその直通パスを利用することはできない。従って、逆方向のパケットフローがまだ存在していてるような場合には直通パスを使用せずにデフォルトルートのパスを使用する。
【0150】
なお、一方のエンドシステム(例えば出口システム)がパス維持メッセージを受信しなくなったときは、パス維持メッセージを送信する側のエンドシステム(入口システム)の入力用キャッシュも消去されている(図11のs)。これは、パス維持メッセージが自装置の入力用キャッシュをリフレッシュしてから相手装置に送信されるとことから明らかである(図11のi参照)。
【0151】
(5)上記のように両端のエンドシステム(SPH−AとSPR−C)で入力用キャッシュ/出力用キャッシュがともに消去されるといずれかのエンドシステムからATM網レイヤの切断処理が行われる。切断処理は直通パスの設定要求(SETUP)を行った側の装置から行うのが普通(逆の装置から行ってもよい)であり、図11にはSPR−CがRELEASEメッセージを送出する例を記載している。このRELEASEメッセージはATM網20を経由してSPH−Aまで送られる(図11のt)。
【0152】
(6)RELEASEメッセージを受信したSPH−Aではその直通パスに関連するリソースを開放し、RELEASEメッセージに対する応答として切断処理完了(RELEASE COMPと記す)メッセージを送出する。このRELEASE COMPメッセージはATM網20を経由してSPR−Cまで転送され、直通パスの切断が完了する。
【0153】
以上の第5の実施形態における特徴は、パス維持メッセージを周期的な送信により直通パスを維持(保留)し、パス維持メッセージの交信停止に伴う入力用キャッシュ/出力用キャッシュの消滅を直通パス切断のトリガとしている点である。このようにパス維持メッセージを用いて直通パスの維持(保留)と切断を行うことにより、故障など、何らかの理由により異常パケットが混入しているような状態でも正規のパケットフローの終了(即ち、アプリケーションによる通信の終了)を契機に直通パスを開放することができる。
〔本発明のパケット中継方法の第6の実施形態〕
図12は本発明のパケット中継方法の第6の実施形態を図示したものである。第6の実施形態も第5の実施形態と同様に直通パスの保留(維持)に関係するものであるが、ここではすでに設定されている直通パスに新たなパケットフローを混在させる手法について記載し、切断手順については第5の実施形態に準ずるものとして特に記載しない。
【0154】
以下、第1の実施形態で設定された直通パスを介してSPH−Aと既存LAN−Cとの間でパケットフローが転送されている状況を前提として、SPR−Cに接続されているLAN−Dから新たにパケットフローが発生したことを想定し、このパケットフローにすでに設定されている直通パスを共有させて転送する場合について説明する。なお、ここで扱われるパケットフローは、第1の実施形態と同様に、SPH−Aではホストアドレスにより、また、SPR−CではLAN−Cのネットワークアドレスにより、それぞれ選別されるように指定した場合を前提とするが、ここでは新たにLAN−Dのパケットフローが加わるため、SPR−CはLAN−Dのネットワークアドレスも選別されるように指定する。
【0155】
(1)図12の(b) ではSPR−CよりATM網20に対して直通パスの設定要求を行うSETUPが送出される動作から図示しているが、これによって設定された直通パスによりパケットフローが転送されるまでの動作のシーケンス(図12のa〜h)は第1の実施形態における動作(図7のi〜r)と同一である。また、パケットフローの転送中にパス維持メッセージの交信によってSPH−A及びSPR−Cは入力用キャッシュと出力用キャッシュをリフレッシュ(更新)しながら直通パスを維持(保留)している(図12のi〜q)が、この動作は第5の実施形態において説明した内容と同一である(図11のi〜p)。また、パス維持メッセージに指定する情報の内容も第5の実施形態において説明した内容と同一である。
【0156】
(2)ここで、新たにSPR−Cに接続されているLAN−DからSPH−Aに向かうパケットフローが発生したものとする。SPR−Cはこのパケットフローを受信すると先ず宛先IPアドレスをキーとして出力用キャッシュを調べ、転送可能な直通パスが存在するか否かを調べる。直通パスの存在を示すキャッシュエントリがなければ通常のルーチング処理を実行して第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0157】
この例ではSPR−Cの出力用キャッシュには図17の(c) に記載された内容のエントリが存在する。図17の(c) の出力用キャッシュには、 (2)にLAN−Dからのパケットフローの宛先であるSPH−AのIPアドレスが記憶されており、このアドレスに対してVPI=0、VCI=100の直通パスが設定され、かつ、この直通パスは共有が許可されることが示されている。そこで、SPR−Cはこの直通パスが利用可能であると判断する。
【0158】
(3)すでに設定されている直通パスを共有利用する場合は、SPR−Cは直ちに新しいパス維持メッセージを送信する。これは相手エンドシステムの出力用キャッシュに対する変更要求になるが、その際、SPR−Cは同時に自装置の入力用キャッシュも変更する(図12のq,r)。この更新されたパス維持メッセージは以後一定周期で繰り返し転送されるが、この更新されたパス維持メッセージに指定する情報は次の通りである。
【0159】
図14の(e) の(1) 〜(4) については変更がなく、(4) には共有を許可するフラグを指定する。図14(e) の(5) 「フロー種別選別仕様の数」はそれまでの「1」を「2」に変更し、(6) 〜(8) に2組の情報を指定する。そのうちの1組はそれまでと同じく(6) の「フロー種別選別仕様番号」が「タイプ1」、(8) の「フロー種別選別仕様内容」が「LAN−CのIPネットワークアドレス」であるが、これに新たに(6) の「フロー種別選別仕様番号」が「タイプ1」、(8) の「フロー種別選別仕様内容」が「LAN−DのIPネットワークアドレス」の情報を1組追加する(「フロー種別選別仕様長」は説明省略)。なお、LAN−CとLAN−Dのアドレスが連続していてひとつに纏めることが可能な場合にはひとつのエントリとして通知することもできる(この場合は「フロー種別選別仕様の数」は「1」のままで、「フロー種別選別仕様内容」のアドレスの内容のみの変更になる)。
【0160】
(4)上記のパス維持メッセージを受信したSPH−Aはその直通パスに係わる出力用キャッシュを変更する(図12のs)。しかし、SPH−A側からのフロー種別選別仕様は変更する必要がないので、SPH−A側から送信するパス維持メッセージについてはそれまでの内容のものをそのまま送り続ける。
【0161】
(5)以上によって変更されたのちのSPH−A及びSPR−ABCの入力用キャッシュ/出力用キャッシュの内容を図18に示す。SPR−Cは自装置の入力用キャッシュの(3) 「フロー種別選別仕様内容」をそれまでの「LAN−CのIPネットワークアドレス」(図17の(d) 参照)から図18の(d) に示すように「LAN−C/LAN−DのIPネットワークアドレス」に変更して前述のような新たなパス維持メッセージを送信し、これを受けたSPH−Aは自装置の出力用キャッシュを変更するが、変更箇所は図18の(d) に示すように(1) の「フロー種別選別仕様内容」をそれまでの「LAN−CのIPネットワークアドレス」(図17の(d) 参照)から「LAN−C/LAN−DのIPネットワークアドレス」に変更するだけで、それ以外はそれまでと変わらない。
【0162】
以後、SPH−AとSPR−Cは、それぞれが管理する出力用キャッシュに従ってSPH−AとLAN−C/LAN−D間のパケットフローを直通パスにマッピングし、入力用キャッシュに従ってパケットの選別を行う。
【0163】
以上の第6の実施形態における特徴は、直通パスの共有に関して、周期的に送信されるパス維持メッセージを使ってこの直通パスに関する入力用キャッシュ/出力用キャッシュを変更してあらたなパケットフローを混在させる点にある。この方法では、最初に直通パスを設定する際に共有が可能である(共有許可)ことを表明しておくことにより、上記のような単純な方法でパケットフローを同一直通パス上に次々に多重化することができる。なお、上記においては多重化されていたパケットフローを除く処理については説明を省略したが、上記の方法により不要となったパケットフローや問題のあるパケットフローを直通パス上から除くことが可能であることは明らかである。
〔本発明のエンドシステムの実施形態〕
図19は本発明のエンドシステムの実施例の構成を図示したもので、図5に図示したエンドシステム10a 〜10d の具体的な構成を示している。図19のエンドシステム10は通信網に直接接続されるルータまたは端末として使用され、あるパケットフローにとって通信網の入口システム、出口システムまたは中継システムのいずれとしても使用される。即ち、図6に図示されているSPH(端末)1A及びSPR(ルータ)1bのいずれとしても使用できるものである。 図中、11a はフロー判定部、11b は出力用キャッシュ、11c は入力用キャッシュ、12a は直通パス設定制御部(SP制御部と略記)、12b はSP依頼処理部、12c はSP応答処理部、12d はSP設定要請処理部、12e はSP設定拒否処理部、12f はパス維持処理部、12g はパス維持監視タイマである。11a 〜11c は図5のフロー判定手段11を実現する各構成部分、12a 〜12g は図5の直通パス設定処理手段(SP処理手段)12を実現する各構成部分である。また、13は網接続制御部(図5の網接続制御手段13の実施形態)、14はパケット転送処理部(図5のパケット転送手段14の実施形態)である。なお、図19はパケット中継に関連する部分を主体に図示しており、ルータまたは端末が備える一般的な機能部分は図示を省略している。
【0164】
以下、図19を参照して本発明のエンドシステムの動作を説明するが、具体的な動作は本発明のパケット中継方法の実施形態について説明した内容と重複するところが多いので、エンドシステム10を構成する各部の動作を主体に説明する。
【0165】
図19のエンドシステム10は一端は通信網(例えばATM網)に接続されるが、もう一端はLANまたはNBMA網に接続される場合と、何にも接続されない場合がある。LANに接続される場合はLAN内の端末からのパケットフローにとって通信網への入口システムまたは出口システムとして使用される場合であり、通信網に接続される場合はパケットフローの中継システムとして使用される場合になる。また、エンドシステム10が端末として使用される場合はどこにも接続されない。
【0166】
通信網(ATM網)に接続する場合には、デフォルトルートで接続する場合と通信網のアドレス(例えばATMアドレス)を用いて接続する場合があるが、図19では両者は物理的に同一伝送路を使用するものとして1本のパス50で図示している。また信号パス60は通信網のアドレスを使用してVCパスの設定要求や切断などを行う信号路である(物理的にはパケットを転送するパス50と同一の伝送路が使用されるのが普通である)。
【0167】
以下、通信網がATM網であるとし、図19の構成をもつエンドシステム10が4組、図6のSPH−A(入口システム)、SPR−A及びSPR−B(中継システム)及びSPR−C(出口システム)に使用されるものとし、SPH−AからSPR−Cに接続されているLAN−C内の端末に対してパケットを送信する場合を例に説明する。以下、4組のエンドシステム10を使用される位置によってそれぞれSPH−A、SPR−A、SPR−B及びSPR−Cと記す。なお、上位プロトコルにはTCP/IPが使用されるものとする。
【0168】
SPH−AはLAN−C内の端末に対してパケットフローの送信を開始すると、パケット転送部14よりパケットがATM網に送出される。このパケットはデフォルトルートを介してSPR−Aに送られるが、SPR−Aではパケット転送部14がこのパケットをデフォルトルートを介して次のSPR−Bに転送する。SPR−Bではパケットの宛先が自LIS−C内であることを識別してSPR−Cにパケットを転送し、SPR−Cはこのパケットの受信処理(LAN−Cの宛先端末への転送を含む)を行う。
【0169】
ここで、SPH−Aのフロー判定部11a はパケット転送処理部14が転送しているパケットの内容を確認し、このパケットフローを直通パスで転送すべきか否か判断し、直通パスで転送すべきと判定するとSP制御部12a にそれを通知する。SP制御部12a はこの通知を受けるとSP依頼処理部12b にSP依頼メッセージを作成させ、これをパケット転送処理部14を介してデフォルトルートに送出する。このSP依頼メッセージには自システムのATMアドレスやリクエストIDを含め、宛先にはLAN−C内の宛先端末のIPホストアドレスを指定する。また、SPH−A自身が送信するフローの種別を示す情報(フロー種別選別仕様)をSP依頼メッセージ内に指定する。
【0170】
SPR−Aではパケット転送処理部14を経てSP制御部12a がこのSP依頼メッセージを受信するが、その宛先が自システムでないことを確認するとパケット転送処理部14を介してデフォルトルート経由でこのメッセージをSPR−Bに転送し、SPR−Bでも同様にしてSPR−Cに転送する。SPR−Bでは宛先がATM網の外であり、自システムが出口システムに当たると判断するとSP制御部12a がSP依頼メッセージの受信処理を行う。SP制御部12a はSP依頼メッセージ内の依頼元(SPH−A)のATMアドレスを確認するとそのATMアドレスに対してVCパスを設定する要求を行うよう網接続制御部13に指示する。
【0171】
網接続制御部13ではこの指示を受けるとATM網に対して呼設定要求(SETUP送出)を行うが、その中にSP依頼メッセージ内に指定されていたリクエストIDを含める。ATM網はこの要求に応じてSPR−CからSPH−Aに対するVCパス(これがデフォルトルートを短絡する直通パスとなる)を設定する。SPH−Aの網接続制御部13はATM網よりSETUPメッセージを受信すると、受信した情報をSP制御部12a に送るが、SP制御部12a はSETUPメッセージ内のリクエストIDを確認したうえで網接続制御部13を介してSPR−Cに対して応答(CONN)メッセージを送出する。
【0172】
SPR−CのSP制御部12a は直通パスが設定され、SPH−AからCONNメッセージを受信すると、自身から送信するフローの種別を選別する仕様を含むSP応答メッセージをSP応答処理部12c に作成させ、作成されたSP応答メッセージをパケット転送処理部14を介して直通パスに送出する。また、SP応答メッセージに指定したフロー種別選別仕様を自身が直通パスから受信するパケットフローの仕様として入力用キャッシュ11c に記憶させ、SP依頼メッセージに指定されていたフロー種別選別仕様を自身が直通パス上に送出するフローの仕様として出力用キャッシュ11b に記憶させる。
【0173】
SPH−AはSPR−CよりSP応答メッセージを受信すると、SP制御部12a はSP応答メッセージの中に含まれているフロー種別選別仕様を自身が直通パス上に送出するフローの種別を選別する仕様として出力用キャッシュ11b に設定する。また、先に送信したSP依頼メッセージに設定したフロー種別選別仕様の内容を自身が直通パスから受信するパケットフローの仕様として入力用キャッシュ11c に記憶させる。また、SPH−AのSP制御部12a は先に受信したSETUPメッセージ内の直通パスの情報(VPI/VCI値)をパケット転送処理部14に送るので、パケット転送処理部14は以後のパケットをそのVPI/VCI値をもつパス、即ち、直通パスに送出する。
【0174】
以後、SPH−AとSPR−C間では直通パスを介してパケットフローが転送されるが、その際、SPH−AとSPR−Cのフロー判定部11a はそれぞれ自システム内の出力用キャッシュ11b に記憶されている情報に従ってパケットフローを直通パス上にマッピングし、入力用キャッシュ11c に記憶されている情報に従って受信情報の選別を行う。
【0175】
また、パケットの転送が行われている間、SPH−AとSPR−Cではパス維持監視タイマ12g が一定周期の時間パルスをSP制御部12a に送る。SP制御部12a はこの時間パルスを受信すると入力用キャッシュ11c の記憶内容をリフレッシュするとともに、リフレッシュした入力用キャッシュ11c の内容をパス維持処理部12f に送ってパス維持メッセージを作成させ、パルス転送処理部14より直通パスに送出する。
【0176】
SPR−C及びSPH−Aでは相手よりパス維持メッセージを受信するとその内容をSP制御部12a に送り、SP制御部12a はその内容により出力用キャッシュ11b の内容を更新する(通常は内容のリフレッシュになる)。入力用キャッシュ11c と出力用キャッシュ11b の更新は送信するパケットが存在する間は一定周期で行われるが、送信するパケットがなくなったシステムは入力用キャッシュ11c のリフレッシュとパス維持メッセージの送出を停止する。
【0177】
SPR−C及びSPH−Aのパス維持監視タイマ12g は上記の更新周期よりも長い時間で入力用キャッシュ11c 及び出力用キャッシュ11b の更新状況を監視しているが、その時間に達しても更新が行われない場合は入力用キャッシュ11c 及び出力用キャッシュ11b の記憶内容を消去する。入力用キャッシュ11c が消去されたシステムは送信するパケットが存在しないため直通パスは使用されないが、出力用キャッシュ11b が消去された場合はフロー判定部11a がこれを検出してパケット転送処理部14に通知するので、そのとき自システム内に送信すべきパケットが存在した場合にはデフォルトルートから送出するようにする。
【0178】
以上においては入口システムであるSPH−AよりSP依頼メッセージを送出し、これを受信した出口システムのSPR−Cが直通パスの設定を行っていたが、出口システムのSPR−CからSP依頼メッセージを送出する場合も全く同一である。
【0179】
次に、エンドシステム10が中継システム(ここでは図5におけるSPR−AまたはSPR−B)として使用された場合について説明する。SPR−Aとしてパケットの転送を行っていた場合に、フロー判定部11a が直通パスを設定すべきと判定すると、フロー判定部11a はこれをSP制御部12a に通知する。自システムが転送中のパケットフローにとって中継システムに当たると判断される場合は、SP制御部12a は上記の通知を受けるとSP設定要請処理部12d にSP設定要請メッセージ(直通パス設定開始要請メッセージ)の作成を指示し、これをデフォルトルートを介して入口システムまたは出口システム(SPH−AまたはSPR−C)に送信する。SP設定要請メッセージを受信したSPH−AまたはSPR−CはSP依頼メッセージを作成して相手のSPR−CまたはSPH−Aに送信するが、以下の動作はすでに説明した内容と変わらないので説明を省略する。
【0180】
次にエンドシステム10が入口システムまたは出口システム(SPH−AまたはSPR−C)として使用された場合に中継システムより受信したSP設定要請メッセージを拒否する場合について説明する。いま、入口システム(SPH−A)がSP設定要請メッセージを受信したとすると、SP制御部12a は予め設定されている条件を参照して自システムに直通パスを設定させることができるか否かを検討する。
【0181】
直通パスを設定させることができないと判断されると、SP制御部12a はSP設定拒否処理部12e にSP設定拒否メッセージ(直通パス設定開始拒否メッセージ)の作成を指示し、これをデフォルトルートを介して予め定められた中継システムに宛て送信する。この場合、宛先は例えば自システムが直接接続されるデフォルトルート上のルータであるのが一般的であるが、網の構成によって他の中継システムであってもよい。この宛先の中継システム(例えばSPR−A)はSP設定拒否メッセージを受信すると、自システムが入口システム(SPH−A)の代行システムとして出口システム(SPR−C)に対してSP依頼メッセージを送出する。直通パス設定後はその中継システム(SPR−A)が出口システム(SPR−C)側の直通パスと入口システム(SPH−A)側のデフォルトルート間においてパケットフローを中継する役割を担う。
【0182】
以上のように、本発明のエンドシステムは通常のルータまたは端末に図19のエンドシステム10に図示したような機能を付与することにより入口システム、出口システム或いは中継システムのいずれに使用する場合でも適切な直通パスを設定することが可能となるため、直通パス設定のために特殊なサーバなどを設けたりする必要がない。
〔実施形態説明の補足〕
以上、図5乃至図20を用いて本発明の通信網におけるパケット中継方法及びエンドシステムの実施形態を説明したが、本発明が図示された内容のみに限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、実施形態の説明では通信網としてATM網、上位プロトコルとしてTCP/IPを用いる場合について説明したが、本発明を適用する通信網はATM網のみに限られず、パケット網、フレームリレー網など、非放送型多元接続網(NBMA網)或いはコネクション型通信網と呼ばれる通信網が含まれ、また、上位プロトコルもTCP/IPに限定されるものではない。
【0183】
また、上記の説明ではパケットフローの送信元が端末、宛先がLAN内の端末である場合を例に説明したが、本発明のパケット中継方法は、例えば、送信元がLAN内の端末、宛先がルータ機能を備えた端末、など、各種の組み合わせに適用でき、また、中継システムもルータに限られず、例えばルータ機能を備えた端末であってもよい。
【0184】
また、上記においてはサブネットワーク(LIS)を跨がる位置にあるエンドシステム(ルータ)が1組である例について説明したが、サブネットワーク間に跨がるルータが複数存在する場合、例えば、図6のLIS−Aに接続されているSPH−Aは隣接サブネットワークのLIS−Bに対してSPR−Aを介してパケットを転送するが、同じLIS−Aに接続されているSPH−BはLIS−Bに対してSPR−A以外のルータ(図示省略)を介してパケットを転送するように構成された網であってもよい。
【0185】
また、図19に実施例として図示されたエンドシステム10には本発明の通信網におけるパケット中継方法で使用される機能をすべて備えた構成が図示されているが、本発明のエンドシステムがこれらの機能すべてを備えたものに限定されるものでないことは勿論である。また、エンドシステムには図19に図示された構成以外にも各種の構成のものあり得ることは勿論である。例えば、図19では直通パスの設定に直接関係する構成として、SP制御部12a のほかにSP依頼処理部12b 〜パス維持処理部12f など、相手システムとの間で送受信するメッセージごとに処理部を設けた例を図示しているが、これらの処理部を適当に併合したり、SP制御部12a を含めて全体をひとつのSP処理部として構成しても本発明の効果は変わらない。また、パケット転送処理部14とSP制御部12a はフロー判定部11a を介して接続されるように図示されているが、パケット転送処理部14とSP制御部12a 間で直接情報を授受する構成としてもよい。その他にも情報の授受経路などを変更することを排除するものではない。
【0186】
【発明の効果】
以上のように、本発明による通信網におけるパケット中継方法及びエンドシステムは、デフォルトルートを介してパケットフローを転送する場合に、そのパケットフローをデフォルトルートを介して転送せずに、デフォルトルートを短絡するパスによって転送するのが適切であると判断したときは、パケットフローの入口に当たるシステムと出口に当たるシステム間に直通パスを設定して転送するので、論理サブネットワーク間に跨がるパケットフローの転送を効率的に行うことができる。
【0187】
しかも、直通パスの設定に当たっては、直通パスを設定する一方のシステムが自己の通信網上のアドレスを他方のシステムに対してデフォルトルートを通して通知する方法をとっているので、相手システムの通信網上のアドレスをサーバなどに記憶させてアドレス解決などを行う必要がない。また、基本的にはデフォルトルートのパスのみを予め明確にしておくだけで直通パスの設定が可能となるため、網の初期構築や追加拡張などが容易にできる。
【0188】
また、本発明では直通パスの設定を要求するエンドシステムが自ら通信網上のアドレス(ATMアドレスなど)を申告し、更にリクエストIDを用いて直通パスを設定するので、不当にアドレスが漏れることがなく、通信網レベルでのセキュリティが確保される。また、エンドシステムは必要に応じて自システムの通信網上のアドレスを通信網内のデフォルトルートに送出しないようにすることもできるので、エンドシステムのセキュリティが保たれる。
【0189】
また、直通パスを設定するか否かは、転送するパケットフローにとって通信網の入口、出口または中継する位置にあるエンドシステムが独自に判断するので、特定のエンドシステムに負荷が集中する事態などを避けることができ、トラヒックの分散が図れる。
【0190】
また、直通パスを設定するプロトコルは、極めて簡単な内容のメッセージを両端のシステム間で授受するだけであるので、エンドシステムに簡単に付与することができ、また、維持も簡単である。
【0191】
本発明では、直通パス上で転送するパケットフローの仕様(フロー種別選別仕様)を両端のシステムで通知し合うことにより、直通パスに流れるパケットフローを管理するので、異常なパケットの流入や流出を防止し、セキュリティが管理できる。
【0192】
また、本発明では直通パスの両端のシステム間で上記のフロー種別選別仕様を含む簡単な情報をパス維持メッセージとして一定周期で送受信することにより上位アプリケーションの通信開始/終了と連動した直通パスの設定/開放が可能となる。また、これにより、異常なパケットや悪意のパケットによって直通パスが設定されたままとなることがない。
【0193】
また、本発明の方法は、直通パス設定機能をパケットフローにとって通信網の入口、出口または中継点に当たる位置に設置されたエンドシステム(ルータまたは端末)に分散して自律的に制御を行うため、完全な自律分散システムが構成できる。即ち、本発明においては直通パス設定に関するすべての制御がすべてのエンドシステムにおいて独立して行われるため、一部の障害が網全体に波及することがなく、障害箇所の局所化が容易である。
【0194】
また、自律分散制御となっているため、アドレス情報は各エンドシステムが必要なものだけを独自に管理すればよい形態となっており、サーバ/クライアント方式のように自サブネットワーク内のみならず他サブネットワーク内のルータや端末の情報をサーバなど特定の装置に備えて煩雑な管理を行う必要がなく、システム全体の維持管理が容易である。また、セキュリティ対策なども各エンドシステムごとに独自の管理基準を設けて運用することが可能である。
【0195】
また、ある直通パスを途中から複数のパケットフローで共有したり、多重化されているパケットフローの一部を途中から排除することが可能であるため、使用効率の良いネットワークの構築が可能である。
【0196】
以上のように、本発明のパケット中継方法及びエンドシステムは、ますます拡大し、複雑化する通信網におけるパケット中継の効率化と信頼性の向上に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のパケット中継方法の原理説明図
【図2】 本発明のパケット中継方法の基本フロー図(1)
【図3】 本発明のパケット中継方法の基本フロー図(2)
【図4】 本発明のパケット中継方法の基本フロー図(3)
【図5】 本発明のエンドシステムの基本構成図
【図6】 本発明を適用するATM網のモデル構成図
【図7】 本発明の実施例パケット中継方法の動作説明図(1)
【図8】 本発明の実施例パケット中継方法の動作説明図(2)
【図9】 本発明の実施例パケット中継方法の動作説明図(3)
【図10】 本発明の実施例パケット中継方法の動作説明図(4)
【図11】 本発明の実施例パケット中継方法の動作説明図(5)
【図12】 本発明の実施例パケット中継方法の動作説明図(6)
【図13】 本発明の直通パス設定関係メッセージの基本フォーマット(1)
【図14】 本発明の直通パス設定関係メッセージの基本フォーマット(2)
【図15】 本発明のパケット中継方法の入出力用キャッシュの基本構成図
【図16】 本発明の実施例パケット中継方法のフロー種別選別仕様
【図17】 本発明の実施例入出力用キャッシュの記憶状態図(1)
【図18】 本発明の実施例入出力用キャッシュの記憶状態図(2)
【図19】 本発明の実施例エンドシステムの構成図
【図20】 従来技術の通信網におけるパケット中継方法の中継方式図
【図21】 従来技術のNHRP形パケット中継方法の中継動作説明図
【符号の説明】
1、1a〜1d ルータまたは端末
2 通信網
3、3a〜1c サブネットワーク
4a、4b デフォルトルートパス
5 直通パス
6a、6b 信号パス
10、10a 〜10d エンドシステム
11 フロー判定手段
12 直通パス設定処理手段
13 網接続制御手段
14 パケット転送手段
Claims (13)
- 複数のサブネットワークからなり、一つのサブネットワークに直接接続されたルータまたは端末から他のサブネットワークに直接またはルータ経由で接続された端末に宛てて送信されるパケットが、事前に通信網上で定義されたデフォルトルート上のルータまたは端末を経由して宛先の端末に転送されるように構成された通信網において、
あるパケットフローにとって通信網への入口システムに当たるルータまたは端末は、該パケットフローの送信に際し、デフォルトルートを短絡するパスによりパケットを転送するのが適切であると判断したときは、自ルータまたは自端末の通信網上のアドレス情報を含む直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介して前記パケットフローの宛先の端末に向けて送信し、
前記直通パス設定依頼メッセージを受信したデフォルトルート上の各ルータまたは端末は、該メッセージの宛先が自ルータに接続された端末または自端末でないことを確認したときは該メッセージをデフォルトルート上の次のルータまたは端末に転送し、該メッセージの宛先が自ルータに接続された端末または自端末であることを確認したときは自ルータまたは自端末が通信網からの出口システムに当たると判断して前記直通パス設定依頼メッセージ内に設定されている入口システムの通信網上のアドレスを用いて入口システムとの間に直通パスを設定し、以後、入口システムと出口システム間で送受信されるパケットを該直通パスを用いて転送することを特徴とする通信網におけるパケット中継方法。 - 複数のサブネットワークからなり、一つのサブネットワークに直接接続されたルータまたは端末から他のサブネットワークに直接またはルータ経由で接続された端末に対して送信されるパケットが、事前に通信網上で定義されたデフォルトルート上のルータまたは端末を経由して宛先の端末に転送されるように構成された通信網において、
あるパケットフローを受信したルータまたは端末は、自ルータまたは自端末が該パケットフローにとって通信網からの出口システムに当たると判断し、かつ、前記パケットフローの受信または受信パケットに対する応答パケットの送信に際し、デフォルトルートを短絡するパスによりパケットを転送するのが適切であると判断したときは、自ルータまたは自端末の通信網上のアドレス情報を含む直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介して前記パケットフローの入口システムに当たるルータまたは端末に向けて送信し、
前記直通パス設定依頼メッセージを受信したデフォルトルート上の各ルータまたは端末は、該メッセージの宛先が自ルータに接続された端末または自端末でないことを確認したときは該メッセージをデフォルトルート上の次のルータまたは端末に転送し、該メッセージの宛先が自ルータに接続された端末または自端末であることを確認したときは入口システムとして前記直通パス設定依頼メッセージ内に設定されている出口システムの通信網上のアドレスを用いて出口システムとの間に直通パスを設定し、以後、入口システムと出口システム間で送受信されるパケットを該直通パスを用いて転送することを特徴とする通信網におけるパケット中継方法。 - 前記通信網において、あるパケットフローにとって通信網内のデフォルトルート上の中間にあって中継システムに当たるルータまたは端末は、宛先が自ルータまたは自端末でないパケットフローを中継する際に、デフォルトルートを短絡するパスによりパケットを転送するのが適切であると判断したときは、前記パケットフローにとって通信網への入口システムに当たるルータまたは端末か、前記パケットフローにとって通信網の出口システムに当たるルータまたは端末のいずれか一方に宛ててデフォルトルートを短絡するルートの設定処理の開始を要請する直通パス設定開始要請メッセージをデフォルトルートを介して送信し、
前記直通パス設定開始要請メッセージの宛先が自ルータまたは自端末であることを確認した入口システムに当たるルータまたは端末、または、前記宛先が自ルータに接続された端末または自端末であることを確認することにより自ルータまたは自端末が前記パケットフローにとって通信網からの出口システムに当たると判断したルータまたは端末は、自ルータまたは自端末の通信網上のアドレス情報を含む直通パス設定依頼メッセージを前記パケットフローの宛先端末または前記入口システムに向けてデフォルトルートを介して送信し、
該直通パス設定依頼メッセージを受信した出口システムまたは入口システムは請求項1または請求項2記載の方法で入口システムと出口システムとの間に直通パスを設定し、以後、入口システムと出口システム間で送受信されるパケットを該直通パスを用いて転送することを特徴とする請求項1または請求項2記載の通信網におけるパケット中継方法。 - 前記直通パス設定依頼メッセージを送信する入口システムまたは出口システムは、該直通パス設定依頼メッセージ内に該メッセージを特定する設定依頼識別情報を設定して送信し、該直通パス設定依頼メッセージを受信した出口システムまたは入口システムは通信網に対してパスの設定を要求するメッセージを送出する際に該パスの設定を要求するメッセージ内に前記設定依頼識別情報を設定することを特徴とするとする請求項1、請求項2または請求項3記載の通信網におけるパケット中継方法。
- 前記直通パス設定依頼メッセージを送信する入口システムまたは出口システムは、該直通パス設定依頼メッセージ内に自入口システムまたは自出口システムが直通パスより受信可能なパケットフローの種別を明示したフロー種別選別仕様を設定して送信し、該直通パス設定依頼メッセージを受信した出口システムまたは入口システムは直通パスを設定したのち、前記直通パス設定依頼メッセージの受信を通知する直通パス設定応答メッセージ内に自出口システムまたは自入口システムが直通パスより受信可能なパケットフローの種別を明示したフロー種別選別仕様を設定して出口システムまたは入口システムに返送することにより、前記入口システム及び出口システムは受信したフロー種別選別仕様に従って自入口システムまたは自出口システムから直通パスに送出するパケットを選別することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の通信網におけるパケット中継方法。
- あるパケットフローにとって通信網内のデフォルトルート上の中間にあって中継システムに当たるルータまたは端末が、該パケットフローにとって通信網への入口システムに当たるルータまたは端末か、前記パケットフローの宛先端末のいずれか一方に向けて直通パス設定開始要請メッセージを送信している状態において、該直通パス設定開始要請メッセージの送信先に対してデフォルトルート上で自ルータまたは自端末よりも上流に当たるルータまたは端末より同一宛先に対する直通パス設定開始要請メッセージを受信したときは、受信した直通パス設定開始要請メッセージを自ルータまたは自端末よりも送信先側のデフォルトルートに対して転送しないことを特徴とする請求項3記載の通信網におけるパケット中継方法。
- あるパケットフローに対する直通パス設定開始要請メッセージを受信した入口システムまたは出口システムに当たるルータまたは端末は、自ルータまたは自端末より直通パスの設定依頼を行うことが適切でない状態にあると判断した場合に、予め定められたルータまたは端末に宛てて直通パス設定開始拒否メッセージをデフォルトルートを介して送信し、
該直通パス設定開始拒否メッセージの宛先であるルータまたは端末は該直通パス設定開始拒否メッセージを受信したときに前記直通パス設定開始拒否メッセージの送信元のルータまたは端末の直通パス設定依頼を代行する代行中継システムとして自ルータまたは自端末の通信網上のアドレス情報を含む直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介して前記直通パス設定開始拒否メッセージの送信元のルータまたは端末から送信されるパケットフローの宛先の端末に対して送信し、
前記直通パス設定依頼メッセージの宛先が自ルータに接続された端末または自端末であることを確認したルータまたは端末は、自ルータまたは自端末を通信網からの出口システムまたは入口システムと判断して前記直通パス設定依頼メッセージ内に設定されている代行中継システムの通信網上のアドレスを用いて該代行中継システムとの間に直通パスを設定し、以後、入口システムと出口システム間で送受信されるパケットフローは出口システムまたは入口システムと代行中継システムの間は前記直通パスを用い、代行中継システムと入口システムまたは出口システムの間はデフォルトルートを用いて転送することを特徴とする請求項3または請求項6記載の通信網におけるパケット中継方法。 - あるパケットフローにとっての通信網における入口システムと出口システム間、或いは入口システムまたは出口システムと代行中継システム間に直通パスが設定された状態において、直通パスの両端のシステムは通信すべきパケットフローがなくなるか、直通パスが不要となったと判断するまで定められた特定の情報をパス維持メッセージとして相手装置に対して定期的に送信し、直通パスの両端のシステムがともに予め定められた時間内に新たなパス維持メッセージを受信しなくなったことを検出したときにいずれか一方のシステムが直通パスの切断を行うことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7記載の通信網におけるパケット中継方法。
- あるパケットフローにとっての通信網における入口システムと出口システム間、或いは入口システムまたは出口システムと代行中継システム間に直通パスが設定された状態において、直通パスの両端のシステムはフロー種別選別仕様を前記直通パスを介して互いに相手システムに対して定期的に送信し、かつ、設定されている直通パスに新たなパケットフローを混在させる必要が生じた場合に前記フロー種別選別仕様の内容を変更して相手システムに送信することにより、両端のシステムが新たなフロー種別選別仕様を用いて新たなパケットフローを前記直通パスを介して転送すること可能とすることを特徴とする請求項5または請求項8記載の通信網におけるパケット中継方法。
- あるパケットフローにとっての通信網における入口システム、出口システムまたは代行中継システムは、他の出口システム、入口システムまたは代行中継システムに向け、直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介して送信する際に、依頼した直通パスが設定されるまでの間、予め定められた周期で前記直通パス設定依頼メッセージを繰り返し送信することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項7記載の通信網におけるパケット中継方法。
- あるパケットフローにとって通信網内のデフォルトルート上の中間にあって中継システムに当たるルータまたは端末は、前記パケットフローにとって通信網への入口システムに当たるルータまたは端末か、前記パケットフローの宛先端末のいずれか一方に宛てて直通パス設定開始要請メッセージをデフォルトルートを介して送信する際に、設定開始を要請した直通パスが設定されるまで、または直通パス設定開始拒否メッセージを受信するまでの間、予め定められた周期で前記直通パス設定開始要請メッセージを繰り返し送信することを特徴とする請求項3または請求項6記載の通信網におけるパケット中継方法。
- 複数のサブネットワークからなる通信網に直接接続され、通信網にアクセスしてパケットフローを送受信する相手システムとの間にパスを設定させる処理を行う網接続制御手段と、パケット及びメッセージの転送処理を行うパケット転送手段を備えたエンドシステムにおいて、
パケット転送手段がデフォルトルートパスを介して転送中のパケットフローの種別を監視し、パケットフローをデフォルトルートを介さないパスによって転送するのが適切であると判断したときに、直通パス設定処理手段に対して直通パスの設定処理を行うよう指示するフロー判定手段と、
フロー判定手段より直通パスの設定処理を行うよう指示されたとき、自エンドシステムがあるパケットフローにとって通信網の入口または出口に位置していると判断されるときは、自エンドシステムの通信網上のアドレス情報を含めて自エンドシステムに対する直通パスの設定を依頼する直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介してパケットフローの送信相手のエンドシステムに向けて送信し、かつ、パケット転送手段がデフォルトルートより直通パス設定依頼メッセージを受信したときに、該直通パス設定依頼メッセージが自エンドシステム宛でないことを確認したときは該直通パス設定依頼メッセージをパケット転送手段を介して所定のデフォルトルートに転送し、直通パス設定依頼メッセージが自エンドシステム宛であることを確認したときは網接続制御手段に対して該直通パス設定依頼メッセージに含まれている通信網上のアドレス情報を用いて直通パス設定依頼元のエンドシステムとの間に直通パスを設定するよう要求するとともに、直通パス設定後に該直通パスを介してパケットフローを転送するようパケット転送手段に対して指示する直通パス設定処理手段を備えたことを特徴とするエンドシステム。 - 請求項12のエンドシステムにおいて、前記直通パス設定処理手段は、自エンドシステムがNBMA網内においてあるパケットフローを中継する位置にあると判断されるときに前記フロー判定手段より直通パスの設定処理を行うよう指示されたときは、デフォルトルートを介して通信網の入口または出口に位置するエンドシステムに向けて直通パスの設定開始を要請する直通パス設定開始要請メッセージを送信し、自エンドシステムがあるパケットフローにとって通信網の入口または出口に位置していると判断されるときに、自エンドシステム宛の直通パス設定開始要請メッセージを受信したときは、自エンドシステムの通信網上のアドレス情報を含めて自エンドシステムに対する直通パスの設定を依頼する直通パス設定依頼メッセージをデフォルトルートを介してパケットフローの送信相手のエンドシステムに向けて送信することにより、送信相手のエンドシステムより自エンドシステムに対する直通パスを設定させるよう構成したことを特徴とする請求項12記載のエンドシステム。
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