JP3653831B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いられる電子写真感光体とそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の電子写真感光体の基体としては、アルミニウム、スチール、銅、ニッケル等の金属や紙、プラスチック等の非金属が使用されており、円筒状基体としてはアースの容易性、寸法安定性等の点から金属、特にアルミニウムを基体として使用しているのが現状である。
【0003】
しかし、アルミニウムは物流コスト、切断及び表面研磨コストが高くつき加工性に乏しいという難点がある。
【0004】
この点を改良するために、低価格軽量で、加工性等の優れたプラスチック等の樹脂を円筒状に成型したものを感光体の基体として使用することが提案されている。
【0005】
一方、カールソンプロセスを用いた従来の記録装置では、各工程の手段が感光体のまわりに密接に並んでいる。そのため、小型化に限界があり、しかも現像器から現像剤が飛散して画像露光手段に用いられる光学系を汚し、印刷に悪影響を及ぼす等の欠点がある。最近、上記の問題点を解決するものとして、画像露光プロセスにおいて画像露光源を感光体の内側に設置し、感光体の背面から光照射を行う装置が考案されている(例えば、特開昭63−174072号等)。
【0006】
この方式では、画像露光源が感光体の内側に設置されることで、装置を小型化するとともに、現像剤の飛散による光学系の汚れをなくすことができる。画像露光手段としては、LEDアレイ光学系,レーザ光学系,EL光学系,液晶シャッタ光学系等を使用することができる。
【0007】
この方式の装置を実現するには、感光体の背面から露光しても、従来の外側から露光を行った場合と同じ特性を持つ背面露光用の感光体が必要となる。感光体は、支持体である基体上で、装置側に導電層と感光層を順次積層したものであるが、背面露光用の感光体は背面から照射される光を感光層まで透過しなければならず、そのためには、基体が透明であることが必要であり、ガラスや透明樹脂材料を用いた基体が提案されている。
【0008】
しかし、これらの基体を用いた場合の問題として繰り返し使用すると地肌汚れが目立ち、また、得られた複写品質が不鮮明となるという難点があった。特開平1−102577号公報及び特開昭62−279344号公報では樹脂基体及びその表面層に導電性を付与することによって、繰り返し使用しても、異常画像や地肌汚れのない鮮明な複写画像を提供できるとされている。しかし、基体に樹脂を使用しているため、基体表面に導電性層として金属メッキを付設し電気的接地をはからなれけばならない。電気的接地部材は特開昭63−20176号公報に示されるように感光層を導電層の片端が露出した状態となるように設け、導電層の片端部に導電性フランジを付設されていた。この場合導電性フランジの寸法精度は大変厳しく設定する必要があり、生産性、コストに問題がある。
【0009】
特開平7−13352号公報では、非金属円筒基体上に設けた導電層が基体表面とそれに連続して基体裏面まで形成され、かつ該感光層を基体表面のみに形成することにより比較的簡単な構造で、しかも寸法精度がそれ程高く要求されず長期間の繰り返し使用に満足する電気的接地手段が得られるとされている。
【0010】
しかし、高画質化をはかる為、現像器と感光体との距離を規制するための部材が感光体に当接されるような電子写真装置において使用した場合、繰り返し使用することにより当接部の導電層、感光層が剥がれ電子写真装置との電気的接地が得られなくなり画像形成できなくなるという問題がある。
【0011】
特開平7−43923号公報では、感光層を設けず導電層を露出させた部分に導電性ペーストを設け、さらに、その上に導電性テープを張りその部分を電子写真装置と電気的に接地する方法をとった背面露光用感光体に使用される透明基体が提案されている。しかし、これも高画質化をはかる為、現像器と感光体との距離を規制するための部材が感光体に当接されるような電子写真装置において使用した場合、当接部が導電層あるいは、導電層と感光層との積層部分であると、繰り返し使用することにより当接部の導電層、感光層が剥がれ電子写真装置との電気的接地が得られなくなり画像形成できなくなる。
【0012】
さらに当接部が導電性テープ部分であると、繰り返し使用により電気的接地が得られなくなることはなくなるが、感光層部と導電性テープ部との寸法精度(振れ、真円度)に差が生じるため画質が低下するという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非導電性の透明円筒状基体を用いた電子写真感光体を用い、帯電手段、該感光体内部より画像露光する露光手段、現像手段、像転写手段、分離手段、感光体クリーニング手段、及び像定着手段を持つ画像形成装置における、現像器と感光体との間隔を正確に保ち、ブレードクリーニング法にて長期に亘り繰り返し使用しても、感光体の電気的接地が安定して得られ、それゆえ高品質の画像が得られる画像形成装置を提供するためになされた。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記何れかの構成を採ることによって達成される。
【0015】
(1) 非導電性の透明円筒状基体に導電層及び感光層をこの順に有する電子写真感光体を用い、帯電手段、該感光体内部より画像露光する露光手段、現像手段、像転写手段、分離手段、感光体クリーニング手段、及び像定着手段を持つ画像形成装置において、該感光体端部の塗膜を除去し、該円筒状基体に円筒外面から内面又は端面へ貫通する導電性部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【0016】
(2) 電子写真感光体の透明円筒状基体上に設けた導電性部材と導電層の接合部分の上に感光層が設けられていることを特徴とする(1)記載の画像形成装置。
【0018】
(3) 距離を規制するための部材を電子写真感光体の外周面に当接させて、現像器と該感光体との間隔を一定に保つ機構を有し、その当接位置が該感光体の透明円筒状基体に設けられた導電性部材と導電層との接合部分より基体の端部側にあることを特徴とする(1)又は(2)記載の画像形成装置。
【0019】
(4) クリーニングブレード方式の電子写真感光体クリーニング手段を用い、該感光体へ当接したクリーニングブレードの端部が、透明円筒状基体に設けられた導電性部材と導電層との接合部分より、画像形成部側にあることを特徴とする(3)記載の画像形成装置。
【0025】
本発明における円筒状基体とは、特に素材としての限定はないが、導電性の低い非金属材料の方が効果は顕著であり、加工性が高いものが望ましく、樹脂又は樹脂を主成分とする混和物、ガラス等の材料を用いるのが好ましい。後述する感光体背面露光方式の画像形成装置には、これらの中から透明性の高い材料が選択される。
【0026】
本発明において、円筒状基体の作製に当たっては、現在広く用いられている成型法である押出法を用いてもよいが、後述する遠心重合法を用いるのが好ましい。押出法と比べて、円筒状基体の表面にダイス傷を残さず、特に内表面は遠心力によって得られた自然な面に成形され、ガラス面のごとき極めてスムーズな内表面を形成する。しかも、押出法によって得られた円筒状基体より強度が高く、方向性のない安定した機械強度と熱変形温度に優れている。さらに内部応力も少ないところから光を透過した場合の不均一な光屈折が無いので、感光体用円筒状基体として用い、その内部に画像露光光源を設置する方式の画像形成装置に適用しても、画像露光が歪む事がなく、画像性能の劣化を起こさない。
【0027】
先に、本発明の出願者は特願平7−13983号において、透明で精度の高い円筒状基体を軽量で耐衝撃性にも優れ、コストも低い合成樹脂を用いて作製する方法(遠心重合法)を提案している。
【0028】
本発明に係わる画像形成装置用円筒状透明基体の代表的製造方法である遠心重合法を具体的に説明すると、図1に示すごとくで、図2は製造装置の一例を示している。
【0029】
図2の製造装置で、C1は円筒状の型で内面は研磨されて良好で高精度の円筒面を形成している。C2は加熱部材で型C1の外部より加熱を行う。C3は型保持部材で、型C1を左右より挟み、挟んだ状態では型C1内側にある液体は漏れないようになっている。C4は重合性液状材料を注入する注入口である。C5は温度計で型C1内部の温度が測定される。この装置は型C1の軸が水平となるよう調整され、重合性液状材料を注入したのち、高速回転する構造となっている。また型成形後は一方の型保持部材C3を矢示B方向に移動させることによって円筒状基体が取り出される。
【0030】
図1に示した製造工程においてまず重合性液状材料、例えばメタクリル酸エステルをある程度重合させた液状ポリマーを合成し、これを速やかに重合させるため触媒を添加して円筒状の型C1に注ぐ。これを型ごとで回転させると共に、適度に加熱することにより均一な重合を促進する。重合終了後は例えば極めて緩やかに温度を下げる等のアニーニング処理を行ってから室温に近い温度まで冷却し、得られた基体を型から取り出し、切断及び必要なら仕上げ工程を経て画像形成装置用円筒状基体の完成となる。
【0031】
かかる製造工程によって得られた円筒状基体は、内部歪みもなく、高い硬度と光透過率90%以上、耐衝撃性能はガラスの15倍程度に達するものが得られる。
【0032】
つぎに、本発明の円筒状基体を感光体に用いたものにつき説明する。本発明の円筒状基体は表面が滑らかであり、特にメタクリル酸エステルの重合体を用いた場合などでは、透明性が極めてよく、強度も高いので、基体ドラムの内側に露光装置を入れて、内側より露光を行う機構を採用した画像形成装置用として適している。
【0033】
導電性部材としては、電子写真感光体の電気的接地を図るためのものであり、スチール、アルミニウム、銅等の金属、樹脂にカーボンブラック、金属等の導電性材料の微粒子粉末を分散させ導電性を付与したもの等、公知の導電性材料を用いることが出来る。
【0034】
導電性部材は、円筒状基体の外面から突出してもよいが、画像形成装置に組み込んだ場合に、現像器、クリーニングブレード等と干渉しないように配慮が必要になるため外周面から突出しないようにすることが望ましい。又、外周面より凹状になるように取り付ける場合には、その深さが0.5mm以下となるのが好ましく、より好ましくは0.3mm以下が良い。
【0035】
尚、接地(アース)する方法としては、導電性部材から、感光体フランジを介して画像形成装置本体のフレームに落とし、これをアース線により地上に落とすのが普通である。
【0036】
導電性部材の設置方法としては、円筒状基体の成型時に導電性部材をインサートしておく方法や、基体に加工して圧入、接着、ねじ込み等により設置する方法がある。又、導電性部材の設置後、必要によっては円筒状基体の該当表面部を加工しても良く、導電性部材を設置する数は複数であってもよい。
【0037】
次に、本発明の画像形成装置は望ましくは現像器と感光体(通常円筒ドラム形状をしているので、感光体ドラム又は単にドラムと呼ぶことがある。)との距離を規制するための突き当て部材を有している。突き当て部材の当接箇所が溝にかかる場合においては、溝の形状を当接部材が感光体ドラムに必ず常に当接するようにする必要がある。これらの具体例として、例えば図8(a)(b)のような形状があるが無論これに限定されるものではない。又、溝の付け方は、感光体の基体成型用の金型に加工を施しておく方法や、基体成型後に加工を施して設ける方法があり、何れの方法でも良い。
【0038】
導電層には、ITO(インジュウム ティン オキサイド)、酸化スズの蒸着膜や導電性高分子、ITOあるいは酸化スズ等の導電性微粉末を樹脂中に分散させた導電性塗布層等を用いることが出来る。尚、感光体背面(内周面)からの露光方式では、これらの中から透明性の高い材料が選択される。
【0039】
さらに本発明の具体的実施態様においては、導電層上、つまり導電層と感光層の間に中間層を設ける場合がある。中間層には、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂系中間層、或いは有機金属化合物、シランカップリング剤又はそれらからの生成物を含有する硬化型中間層(セラミック型中間層ともいう)の何れかを用いるのが良い。
【0040】
又、感光層の形成には、無機光導電体層を蒸着等により形成しても良いが、有機光導電体層、特に電荷輸送物質と電荷発生物質を双方含有する機能分離型、特に各々を別々に重層したタイプの有機感光体を塗布して形成することが望ましい。
【0041】
電荷発生層は、電荷発生物質(CGM)を必要に応じてバインダー樹脂中に分散させて形成される。CGMとしては、金属または無金属フタロシアニン化合物、ビスアゾ化合物、トリスアゾ化合物等のアゾ化合物、スクエアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン系化合物、インジコ化合物、キナクリドン化合物、多環キノン系化合物、シアニン色素、キサンテン染料、ポリ−N−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンなどからなる電荷移動錯体等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。またこれらは必要に応じて二種以上混合して用いてもよい。ただし本発明の目的を最も高いレベルで達成するためには、ペリレン化合物の一種、イミダゾールペリレン化合物や金属フタロシアニン化合物の一種、チタニルフタロシアニン(TiOPc)が好ましい。
【0042】
また、電荷発生層に使用可能なバインダー樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリシリコーン樹脂、ポリメラミン樹脂、並びにこれら樹脂の繰り返し単位のうち二つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、また高分子有機半導体、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。上記のうちCGMとしてイミダゾールペリレン化合物を用いた場合に好ましいバインダーとしては、ポリビニルブチラール樹脂が、TiOPcを用いた場合に好ましいバインダーとしては、ポリシリコーン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、あるいは両方を混合したものなどが挙げられる。
【0043】
電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)を単独で、あるいはバインダー樹脂とともに構成される。CTMとしては、例えばカルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。またこれらは単独でも、二種以上の混合で用いてもよい。
【0044】
また、電荷輸送層に使用可能なバインダー樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0045】
また繰り返し使用した際の疲労劣化を少なくするために、あるいは耐久性を向上させるために、感光体の各層いずれにでも従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子受容性物質、表面改質剤、可塑剤等、環境依存性低減剤などを、必要に応じて適当量添加して用いることができる。
【0046】
また耐久性向上のために、必要に応じて感光層以外に保護層等の非感光層を設けてもよい。
【0047】
感光体用の基体は、架橋剤等を重合性液状材料と混合して用いることにより、より好ましい物性を実現することができる。例えば、架橋剤の添加により耐熱性、耐溶剤性、強度の向上が期待出来る。これらは使用中に外力や、熱がかかったり、基体上に溶液を塗布する感光体作製方法に対して有効である。
【0048】
次に本発明の画像形成装置の実施態様を、図3のカラー画像形成装置を用いて説明する。図3は、先に説明した本発明の円筒状基体で作製した電子写真感光体を適用した画像形成装置の一例を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【0049】
10はドラム状の静電荷像形成体である感光体で、透明性の高いメチルメタアクリル酸エステル重合体樹脂によって形成される円筒状の基体の外周に透明導電層,電荷発生層と電荷移動層とからなる機能分離型有機感光層を形成したものである。110Y,110M,110Cおよび110Kはイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)および黒(K)の各色の画像形成プロセスに用いられるスコロトロンコロナ帯電装置で、感光体10の前述した有機感光層に対し所定の電位の電荷を保持させるためコロナ放電によって帯電作用を行い、感光体10に対し一様な電位を与える。
【0050】
12Y,12M,12Cおよび12Kは、感光体10の軸方向に配列した発光素子をアレイ状に一列に並べたFL(蛍光体発光),EL(エレクトロルミネッセンス),PL(プラズマ放電),LED(発光ダイオード)や、ランプと光シャッタ機能をもつ素子を一列に並べたLISA(光磁気効果光シャッタアレイ),PLZT(透過性圧電素子シャッタアレイ),LCS(液晶シャッタ)等の露光素子と、等倍結像素子としてのセルフォックレンズとによりユニットとして構成された像露光装置である露光光学系で、別体の画像読み取り装置によって読み取られた各色の画像信号がメモリより順次取り出されて前記の露光光学系12Y,12M,12Cおよび12Kにそれぞれ電気信号として入力される。前記の露光光学系12Y,12M,12Cおよび12Kは何れも円柱状の保持部材20に取り付けられて前記感光体10の基体内部に収容される。
【0051】
13Y,13M,13Cおよび13Kはイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)および黒色(K)の各現像剤を収容する非接触現像法を用いた現像装置である現像器で、それぞれ感光体10の周面に対し所定の間隙を保って同方向に回転する現像スリーブ130Y,130M,130Cおよび130Kを備えている。
【0052】
前記の現像器13Y,13M,13Cおよび13Kは、前述したコロナ帯電装置110Y,110M,110Cおよび110Kによる帯電,露光光学系12Y,12M,12Cおよび12Kによる像露光によって形成される感光体10上の静電潜像を現像バイアス電圧の印加により非接触の状態で反転現像する。
【0053】
原稿画像は本装置とは別体の画像読み取り装置において、撮像素子により読み取られた画像あるいは、コンピュータで編集された画像を、Y,M,CおよびKの各色別の画像信号として一旦メモリに記憶し格納される。
【0054】
画像記録のスタートにより感光体駆動モータの始動により感光体10を時計方向へと回転し、同時にコロナ帯電装置110Yの帯電作用により感光体10に電位の付与が開始される。
【0055】
感光体10は電位を付与されたあと、前記の露光光学系12Yにおいて第1の色信号すなわちイエロー(Y)の画像信号に対応する電気信号による露光が開始されドラムの回転走査によってその表面の感光層に原稿画像のイエロー(Y)の画像に対応する静電潜像を形成する。
【0056】
前記の潜像は現像器13Yにより現像スリーブ上の現像剤が非接触の状態で反転現像され感光体ドラム10の回転に応じイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0057】
次いで感光体ドラム10は前記イエロー(Y)のトナー像の上にさらにコロナ帯電装置110Mの帯電作用により電位を付与され、露光光学系12Mの第2の色信号すなわちマゼンタ(M)の画像信号に対応する電気信号による露光が行われ、現像器13Mによる非接触の反転現像によって前記のイエロー(Y)のトナー像の上にマゼンタ(M)のトナー像が順次重ね合わせて形成していく。
【0058】
同様のプロセスによりコロナ帯電装置110C、露光光学系12Cおよび現像器13Cによってさらに第3の色信号に対応するシアン(C)のトナー像が、またコロナ帯電装置110K、露光光学系12Kおよび現像器13Kによって第4の色信号に対応する黒色(K)のトナー像が順次重ね合わせて形成され、感光体ドラム10の一回転以内にその周面上にカラーのトナー像が形成される。
【0059】
これ等露光光学系12Y,12M,12Cおよび12Kによる感光体ドラム10の有機感光層に対する露光は基体の内部より前述した透明の基体を通して行われる。従って第2、第3および第4の色信号に対応する画像の露光は何れも先に形成されたトナー像の影響を全く受けることなく行われ、第1の色信号に対応する画像と同等の静電潜像を形成することが可能となる。なお露光光学系12Y,12M,12Cおよび12Kの発熱による感光体ドラム内の温度の安定化及び温度上昇の防止は、前記保持部材20に熱伝導性の良好な材料を用い、低温の場合はヒータを用い、高温の場合はヒートパイプを介して外部に放熱する等の措置を講ずることにより支障のない程度迄抑制することができる。また現像器13Y,13M,13Cおよび13Kによる現像作用に際しては、それぞれ現像スリーブ130Y,130M,130Cおよび130Kに対し直流、あるいは、さらに交流を加えた現像バイアスが印加され、現像器の収容する一成分或いは二成分現像剤によるジャンピング現像が行われて、透明電導層を接地する感光体10に対してトナーと同極性の直流バイアスを印加して、露光部にトナーを付着させる非接触の反転現像が行われるようになっている。
【0060】
かくして、感光体ドラムの周面上に形成されたカラーのトナー像は、転写器14aにおいて、給紙カセット15より送り出しローラ15aにより送り出され、搬送ローラ対15b、15cによりタイミングローラ16へ搬送され、タイミングローラ16の駆動によって、感光体10上のトナー像と同期して給紙される転写材である転写紙Pに転写される。
【0061】
トナー像の転写を受けた転写紙Pは、除電器14bにおいては帯電の除去を受けてドラム周面より分離した後、搬送駆動ローラ14c、従動ローラ14d間に張り渡された搬送ベルト14eにより定着装置17へ搬送される、定着装置17において定着ローラ17a、圧着ローラ17b間で加熱・圧着されトナーを転写紙P上に溶着・定着したのち、定着出口ローラ対17dにより定着装置17より排出され、排紙搬送ローラ対18aにより搬送されて排紙ローラ18を介して装置上部の排紙トレイ200上に排出されたが、上述した本発明の円筒状基体上に感光層を設けた感光体ドラム10を用いたものは鮮明で極めて良好な画像が得られた。
【0062】
一方、転写紙を分離した感光体10はクリーニング装置19においてクリーニングブレード19aによって感光体10面を摺擦され残留トナーを除去、清掃されて原稿画像のトナー像の形成を続行するかもしくは一旦停止して新たな原稿画像のトナー像の形成にかかる。クリーニングブレード19aによって掻き落とされた廃トナーは、トナー搬送スクリュウ19bによって、図示せぬ廃トナー容器へと排出される。
【0063】
クリーニングブレードの設置に当たっては、感光体に当接したブレードの端部が、感光体基体に設けられた導電性部材と導電層の接合部にかかると、接合部分に生じた微小な凸凹により、ブレードの不要な振動やブレードめくれを起こす可能性がある。又、凹部にたまった残留トナーが凝固したものにより、あるいは、反対に凸部によって、ブレードの先端を傷める可能性があり望ましくない。ブレードの当接端部は上記接合部分より画像形成部側にあるのが望ましい。これは感光体基体に溝を作った場合にも同様なことがいえる。
【0064】
前記の感光体10は、露光光学系をその内部に収める関係から、ドラムの径が比較的小さくとも、その外周面に、前述した複数のコロナ帯電装置110Y,110M,110Cおよび110K、現像器13Y,13M,13Cおよび13K等を配設することが可能であって、外径が30mmないし150mmの小径のドラムの使用によって装置の容積をコンパクトにすることが出来る。
【0065】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0066】
実施例1
(非金属円筒状基体)
感光体基体には、遠心重合法により形成された直径100mm、厚さ3mmで耐熱性、耐溶媒性を向上させたアクリル系重合体樹脂製の透明パイプを長さ360mmに切断したものを用いた。
【0067】
(導電性部材)
感光体導電層の電気的接地をはかるため感光体基体に取り付けた導電性部材の材料には、アルミニウムをもちい図4に示すごとく圧入した。10−1は導電性部材、10−2は感光体基体である。
【0068】
(導電層の塗設)
住友金属鉱山(株)製の導電性塗料X−101H 100重量部に対してトルエンを100重量部の比率で加えて希釈した液に、導電性の接地部材を取り付けた円筒状透明基体を浸漬した後、80℃、30分熱処理を行って、その内外周面に厚さ約0.5μmの導電層を設けた。
【0069】
(中間層)
A1 チタンキレート化合物TC−750(松本製薬(株)) 20重量部
B1 シランカップリング剤KBM−503(信越化学(株))13重量部
2−プロパノール 100重量部
を混合し、中間層塗布液とした。これを上記導電層を設けた円筒状透明基体の溝を設けた側の端部13mmを除いた部分に浸漬塗布し、100℃90分間乾燥し、厚さ1.0μmの中間層を得た。
【0070】
(電荷発生層)
G1 Y型チタニルフタロシアニン 4重量部
シリコーン樹脂 KR−5240(信越化学(株)) 45重量部
2−ブタノン 100重量部
を混合し、サンドミルにて10時間分散して電荷発生層塗布液を得た。この液を、前記中間層の上に浸漬塗布して、厚さ0.25μmの電荷発生層を得た。
【0071】
を混合溶解し、電荷輸送層塗布液を得た。この液を、前記電荷発生層の上に浸漬塗布して、95℃、1時間の熱処理を行い、厚さ25μmの電荷輸送層を形成した。
【0072】
【化1】
【0073】
(両端部塗膜の除去)
両端部の感光体塗膜10−3を溶剤を滲込ました布でふき取り図5のように除去した。10−3が10−5導電層、中間層10−6及び感光層10−7よりなる感光体塗膜、10−4がそのふき取られた部分である。
【0074】
(フランジの取り付け)
導電性部材10−1と電気的に接続をはかるため、金属板10−8が取り付けられたアルミニウム製のフランジ10−9を、図6のごとくに感光体基体にはめ込んだ。
【0075】
実施例2
(非金属円筒状基体)
感光体基体には、遠心重合法により形成された直径100mm、厚さ3mmで耐熱性、耐溶媒性を向上させたアクリル系重合体樹脂製の透明パイプを長さ360mmに切断したのち、端部に図7(a)に示す形状の幅1mmの溝10−20を円周上に中心から90°毎に4箇所に設けた。図8は円筒基体展開図で、図中10−21は感光体と現像器の距離を規制する規制部材の感光体への当接部分である。
【0076】
(導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層)
実施例1と同様に塗設した。
【0077】
(両端部塗膜の除去)
図9は基体に溝を持つ感光体の概念図である。
【0078】
両端部の感光体塗膜10−3を幅8mm溶剤を滲込ました布でふき取り除去した。10−3が10−5導電層、中間層10−6及び感光層10−7よりなる感光体塗膜、10−4がそのふき取られた部分である。
【0079】
(フランジの取り付け)
図10に示すごとく導電性部材と電気的に接続をはかるため、円周上に中心から90°毎に4箇所幅0.8mm、長さ3mmの突起のあるアルミニウム製のフランジ10−9を、感光体基体にはめ込み固定した。
【0080】
比較例1
実施例1において、基体に導電性部材を取り付けず、その代わり図11に示したごとく基体端部を外表面から内表面に回り込ませて導電層10−5を設け、基体端部は中間層10−6、感光層10−7は設けないことにし、その部分のふき取りは行わないで、アルミニウム製のフランジ10−9を取り付けた。これにより導電層端部とフランジ10−9の電気的接続を確保し、感光体の接地を行った。
【0081】
比較例2
比較例1において図12に示すごとく、露出させた導電層上に銀ペースト DOTITE−500(藤倉化成製)10−10を塗布し、40℃120分乾燥させた後、この上に銅テープ(Scotch製)10−11を貼って、この部分より電気的接地をはかった以外は同様にして感光体を作製した。
(評価の方法)
このようにして得られた実施例1、比較例1、2の感光体を電気的接地の安定性と画像性能から評価を行った。
【0082】
評価機は、ヒューレットパッカード社製のプリンタ Color LaserJetと前述した背面露光方式の画像形成装置(図3)を用いた。
【0083】
(評価の基準)
1)画質評価
電子写真感光体ドラム一周における画像線幅のバラツキで下記評価基準にておこなった。
【0084】
○:画像線幅バラツキ20μm未満のもの
△:画像線幅バラツキ20μm以上、40μm未満のもの
×:画像線幅バラツキ40μm以上のもの
2)電気的接地の安定性
5000コピーの実写テストを行い、画像の状態を観察した。
【0085】
○:良好な画像が得られたもの
△:画像形成されているが画像ムラを生じた
×:画像が得られない
(評価結果)
【0086】
【表1】
【0087】
表1から明らかなごとく、本発明内の実施例1、2を用いた場合は画質に関係する部分の寸法精度が低下することがなく、繰り返し使用しても感光体の電気的接地が安定しているので、高品質の画像が得られることがわかる。しかし、本発明外の比較例1、2においては、少なくても何れかの特性に問題が出る。
【0088】
【発明の効果】
本発明により、非導電性の透明円筒状基体を用いた電子写真感光体を用い、帯電手段、該感光体内部より画像露光する露光手段、現像手段、像転写手段、分離手段、感光体クリーニング手段、及び像定着手段を持つ画像形成装置における、現像器と感光体との間隔を正確に保ち、ブレードクリーニング法にて長期に亘り繰り返し使用しても、感光体の電気的接地が安定して得られ、それゆえ高品質の画像が得られる画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置用円筒状基体の製造方法工程図。
【図2】製造装置の一例を示す断面図。
【図3】本発明の画像形成装置の断面構成図。
【図4】導伝性部材の取り付け方法を示す概念図。
【図5】ふき取り部を説明する概念図。
【図6】フランジへの電気的接続を説明する図。
【図7】基体の溝を説明する図。
【図8】当接部材の当接幅を説明する図。
【図9】基体に溝を持つ感光体の概念図。
【図10】基体に溝を持つ感光体と突起を持つフランジの結合を説明する図。
【図11】端部まで導電層がある感光体とフランジの結合を説明する図。
【図12】導電性テープを用いて導電性を持たせる技術を説明する図。
【符号の説明】
10 感光体(感光体ドラム)
12Y,12M,12C,12K イエロー,マゼンタ,シアン,黒の露光光学系(露光装置)
13Y,13M,13C,13K イエロー,マゼンタ,シアン,黒の現像器110Y,110M,110C,110K イエロー,マゼンタ,シアン,黒のコロナ帯電装置
15 給紙カセット
16 タイミングローラ
17 定着装置
19 クリーニング装置
P 転写紙
Claims (4)
- 非導電性の透明円筒状基体に導電層及び感光層をこの順に有する電子写真感光体を用い、帯電手段、該感光体内部より画像露光する露光手段、現像手段、像転写手段、分離手段、感光体クリーニング手段、及び像定着手段を持つ画像形成装置において、該感光体端部の塗膜を除去し、該円筒状基体に円筒外面から内面又は端面へ貫通する導電性部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体の透明円筒状基体上に設けた導電性部材と導電層の接合部分の上に感光層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 距離を規制するための部材を電子写真感光体の外周面に当接させて、現像器と該感光体との間隔を一定に保つ機構を有し、その当接位置が該感光体の透明円筒状基体に設けられた導電性部材と導電層との接合部分より基体の端部側にあることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
- クリーニングブレード方式の電子写真感光体クリーニング手段を用い、該感光体へ当接したクリーニングブレードの端部が、透明円筒状基体に設けられた導電性部材と導電層との接合部分より、画像形成部側にあることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
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