JP3653251B2 - ライター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライターに関し、特に、燃料槽を入れる外ケースを省略したライターに関する。
【0002】
【従来の技術】
廉価な喫煙用ライターには、燃料槽を入れる外ケースを省略したライターがある。燃料槽の、燃料放出ノズルが突き出た上端部に、嵌め合わせ或いは接着剤を用いる接続により、着火機構枠が固定されている。この着火機構枠に、ノズル操作レバー,着火ボタンおよびフリント発火機構または圧電ユニットが組み付けられている。風防は、燃料放出ノズルの上方の着火空間を覆い上面には炎が出る火口を形成したものであり、金属薄板をプレス加工したものであり、カシメによって着火機構枠に固定されて、着火機構を係止している。炎長調整用の爪付きリングの該爪の先端部が風防の窓から外側方に突出しいる。該爪は、ライターの組み上げ時には調整範囲の中央に設定されている。
【0003】
従来のこの種のタイラーは、いわゆる使い捨てライターといわれるもので、燃料補充用の燃料注入弁を持っていない。したがって燃料が変わることが無く、炎長調整範囲の再設定は実質状必要ないといわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが燃料注入弁を備える場合には、異なった燃料の注入により炎長が変わることがあり、炎長調整範囲の再設定が必要になる。また、出荷先の温度や、炎長の好みに合わせて、ライター組み立て時に個別に、炎長調整範囲の設定をすることがある。ところが上述の従来例では、風防を外して着火機構の係止を解除しなければ、炎長調整範囲の再設定(炎長調整用の爪付きリングを外し、調整筒を廻し、そして該リングの再度の取付け)ができない。ところが風防がカシメで着火機構枠に固定されているので、カシメを無理やりに広げる必要があり、ライターを壊してしまう可能性が高いし、炎長調整範囲の再設定の作業性が悪く、信頼性も低い。
【0005】
本発明は、燃料槽を入れる外ケースを省略したライターの、分解および再組立てを容易にし、再組立の信頼性を高くすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)上方向(z)に延びる燃料放出ノズル(2)を装着した燃料槽(1)の上壁(1a)に上方向に延びる支幹(1b)を一体連続に形成し、該燃料槽の表,裏面壁(1c,1d)は該支幹(1b)よりもさらに上方に延ばし、火口(3a)を有する中枠(3)を表,裏面壁(1c,1d)の間に挿入して前記支幹(1b)および表,裏面壁(1c,1d)の少なくとも一つで中枠(3)を上下方向(z)には滑動可に厚み方向(x)および幅方向(y)には移動不可に支持して、表,裏面壁(1c,1d)の一方のみを厚み方向(x)に貫通するピン(4)を、前記中枠(3)および前記支幹(1b)に通して中枠(3)を上下方向(z)でも固定した、ライター。
【0007】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応又は相当要素又は部材の符号を、参考までに付記した。以下も同様である。
【0008】
ライターを組み立てるが、調整或いはテストをしてみて、好ましい結果がえられるまで分解,再設定を行う可能性があるときには、ライターに対する着脱が容易な、長い仮ピンを用いて仮りの組立てをして、調整或いはテストをすることができる。
【0009】
そして、調整が終わると、該長いピンを抜いて代わりに、製品用のピン(4)を通す。この製品用のピン(4)は、抜けにくくするために、やや強く圧入しなければならない太径であり、ピン(4)の後端面が燃料槽の外表面と同じ面に位置する。この外表面には、注意シールや広告シールあるい装飾シールを貼り付けるのが好ましい。これらのシールを剥がして、ライターを指で掴んでピン廻りを厚み方向(x)に圧縮すると、表,裏面壁(1c,1d)に少々の撓み性があるので、ピンの後端がかすかに突出する。そこをラジオペンチで挟んで、ピンを抜き出すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
(2)前記燃料槽(1)の一方の側面壁(1e)も上壁(1a)よりも上方に高く延ばし、他方の側面壁(1f)は上壁(1a)の高さとし;前記中枠(3)は、該他方の側面壁の上方に位置して表,裏面壁(1c,1d)間の空隙を埋める側面(3b)を有する;上記(1)のライター。
【0011】
これによれば、燃料槽(1)の上方の空間が、燃料槽の壁と一体連続の表,裏面壁(1c,1d)および側面壁(1e)と中枠(3)の前側面(3b)で囲まれ、該空間に中枠(3)があるので、中枠(3)の表,裏および後側面は燃料槽の壁で囲まれている。
【0012】
(3)前記ピン(4)が貫通する穴(5a)がある、下方向に延びる脚(5b)を有し、前記表,裏面壁(1c,1d)の間の空間および前記中枠(3)の上空間を閉じる上蓋(5);を更に備える上記(1)又は(2)のライター。
【0013】
これによれば、中枠(3)の上方は上蓋(5)で覆われ、上蓋(5)はピン(4)を中心に回動できる。すなわち、上蓋(5)は回動により開閉できる。
【0014】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0015】
【実施例】
図1の(a)に本発明の1実施例の正面を、(b)に背面を、(c)に外観を、(d)に底面を、(e)に使用状態の正面を、(f)に使用状態の上面を、(g)に使用状態の外観を示す。図1の(a)に示す正面図において、上蓋5の右上面を親指の腹で押し下げると、上蓋5が図1の(b)に示す背面図において端面が裏面壁1dに露出するピン4を中心に回動して、図1の(e)〜(g)に示すように上蓋5が開き、中枠3の、図1の(f)および(g)に現れている火口3aから、高温の燃焼ガスが、高速に吹き出る。アジャスタ爪3cを、紙面の上方に向かう方向に押すことにより、アジャスタ爪3cが突出したリングが結合した燃料流量調整筒が回って、燃料槽1から燃料放出ノズル2に出る燃料ガスの流量(放出量/時間)が増えて、火口3aから吹き出る燃焼ガスの火力が強くなる。アジャスタ爪3cを、紙面の下方に向かう方向に押すと、火口3aから吹き出る燃焼ガスの火力が弱くなる。
【0016】
図1の(d)に現れた燃料注入ノズル1hに、燃料ガスボンベの液化燃料ノズルを当ててノズル1hを押し込むようにボンベを押すと、液化燃料ノズルがボンベの方向に下がって弁開となりしかも燃料注入ノズル1hも燃料槽1の内側にさがって弁開となって、ボンベの液化燃料が燃料槽1に入る。
【0017】
図2に、ピン4を燃料槽1の裏面壁1dから抜きとって、中枠3,上蓋5および圧電ユニット6を、燃料槽1の表面壁1cと裏面壁1dの間の空間から抜き出した状態での、燃料槽1の縦断面を拡大して示す。
【0018】
燃料槽1の、上方向zに延びる燃料放出ノズル2を装着した上壁1aに、z方向に延び、厚み方向xで空間を置いて相対向する一対の支幹1bを一体連続に形成している。各支幹1bには、中枠3を受け入れる上下方向zに延びる溝1iと、ピン4を通すピン穴1jがある。燃料放出ノズル2には、空気混合器8が装着されており、また、燃料ガスを放出する(ガス放出弁を開く)ために、燃料放出ノズル2を引き上げるレバー10の先端が係合している。燃料槽1の下壁は、燃料注入弁装置9を装着した底板1gでありこれは、上本体部への底板1gの圧入および接着剤による接合で上本体部に一体に固着されている。燃料注入弁装置9に、前述の、図1の(d)に現れている燃料注入ノズル1hがある。
【0019】
再度図2を参照する。燃料槽1の表,裏面壁1c,1dはそれらの支幹1bよりもさらに上方に延びている。燃料槽1の右側面壁1eも上壁1aよりも上方に高く延ばし、左側面壁1fはアジャスタ(3c)部の上壁1aの高さとしている。
【0020】
中枠3には、左側面壁1fの上方の、表面壁1cと裏面壁1dの間の空間を埋める長さの側面3bを有する左側壁部分と、火口3aに連なる円形空間があるスリーブ部分と、一対の支幹1bの内向きの対向溝1iに嵌まるスライドブロック部分と、がありそれらが一体連続である。スライドブロック部分には、そこを支幹1bの溝1iに挿入してスライドブロックの下端を上壁1aの上面に当てたときに溝1iのピン穴1jに整合するピン穴(5a)がある。
【0021】
中枠3を、そのスライドブロック部分を燃料槽1の一対の支幹1bの内向きの対向溝1iの間に嵌め込んで下に滑らして上壁1aの上面に当てたときの、中枠3の上方の空間を閉じる上蓋5は、相対抗する一対の脚5bをもっており、各脚は、一方の支幹1bと裏面壁1dの間の空間(隙間)に入る厚み方向xの位置および他方の支幹と表面壁1cの間の空間(隙間)に入る厚み方向xの位置にあり、しかも両脚ともに、ピン4を通すピン穴(5a)がある。
【0022】
中枠3のスリーブ部分の、火口3aに連なる円形空間には、金属リングで挟持された金属細線が火口3aの直下にあり、その下にカップ状のセラミック筒があって、このセラミック筒の底の中央を燃焼ノズルが貫通している。
【0023】
図2に示すように中枠3,圧電ユニット6および上蓋5を組み合わせ、かつ、火口3aに連なる円形空間には柔らかいコイルばね7を挿入して、それらを、図2に2点鎖線で示すように燃料槽1の表,裏面壁1c,1d間の空間に挿入する。すると、裏面壁1dを貫通するピン穴,支幹1bのピン穴1j,中枠3および上蓋5のピン穴5aが全て厚み方向xで一直線に並ぶ。これらの穴に、裏面壁1dを貫通するピン穴から、ライター厚よりも長い仮ピンを差し込んで通すことにより、図1に示す組立て済となる。ここでライターの着火テストおよび火力チエックをして、内部の調整が必要であると仮ピンを抜いて図2に示すように分解して調整あるいは部品の取り替えをする。適であれば、仮ピンを抜き取って、製品用の短いピン4を差し込む。このピン4の後端は、裏面壁1dの外表面と同一面となる。
【0024】
組み立てた状態では、コイルばね7の下端がレバー10の先端部分を押し下げ、空気混合器8の上端部分が中枠3のスリーブの円形空間に侵入している。中枠3の側面3bは、左側面壁1fの上方に位置して表,裏面壁1c,1d間の空隙を埋めている(図1の(e))。中枠3の上方は上蓋5で覆われ、上蓋5はピン4を中心に回動できる。
【0025】
上蓋5の右上面を親指の腹で押し下げると、上蓋5が図1の(b)に示す背面図において端面が裏面壁1dに露出するピン4を中心に回動して、図1の(e)〜(g)に示すように上蓋5が開く。この過程で、圧電ユニット6の操作子が上蓋5の脚5bで下方向に押し下げられ、これに連動してレバー10の右端が押し下げられて、てこの原理で、レバー10が時計廻りに回動して燃料放出ノズル2を引き上げる。これにより燃料槽1内のバルブ機構が弁開となり、燃料ガスが燃料放出ノズル2に出て、空気混合器8で空気を吸引して空気と混合して、中枠3の内部の燃焼ノズルから火口3a直下のセラミック筒内(火室)に出る。上蓋5が全開位置近くまで回動したときに、圧電ユニット6において圧縮コイルスプリングの圧縮係止が解除されてプランジャがばねの反発力で駆動されて圧電素子を打撃し、これによりセラミック筒内の燃焼ノズルに15Kv前後の高圧が加わり、セラミック筒上端にある金属リングとのあいだに電気スパークを生じ、火口3a内の混合ガス(燃料ガスと空気の混合気)が着火して、火口3aから高温の燃焼ガスが高速に吹き出る。火口3aの内部の細い金属線が赤熱する。
【0026】
上蓋5は、圧電ユニット6の操作子に加わっているユニット内の圧縮コイルスプリングの反発力が加わっているので、上蓋5に加えている押し下げを解除すると、上蓋5がピン4を中心に反時計方向に回って、図1の(a)〜(c)に示す閉位置に戻る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の一実施例のライターの正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図、(d)は底面図である。(e)は使用状態の正面図、(f)は上面図、(g)は斜視図である。
【図2】 図1に示す燃料槽1の拡大縦断面図であり、中枠3,上蓋5および圧電ユニット6は、燃料槽1から分離して示す。
【符号の説明】
1:燃料槽 1a:上壁
1b:支幹 1c:表面壁
1d:裏面壁 1e,1f:側面壁
1g:底板 1h:注入ノズル
1i:溝 1j:ピン穴
2:燃料放出ノズル 3:中枠
3a:火口 3b:側面
3c:アジャスタ爪 4:ピン
5:上蓋 5a:穴
5b:脚 6:圧電ユニット
7:コイルばね 8:空気混合器
9:注入弁装置 10:レバー
Claims (3)
- 上方向に延びる燃料放出ノズルを装着した燃料槽の上壁に上方向に延びる支幹を一体連続に形成し、該燃料槽の表,裏面壁は該支幹よりもさらに上方に延ばし、火口を有する中枠を表,裏面壁の間に挿入して前記支幹および表,裏面壁の少なくとも一つで中枠を上下方向には滑動可に厚み方向および幅方向には移動不可に支持して、表,裏面壁の一方のみを厚み方向に貫通するピンを、前記中枠および前記支幹に通して中枠を上下方向でも固定した、ライター。
- 前記燃料槽の一方の側面壁も上壁よりも上方に高く延ばし、他方の側面壁は上壁の高さとし;前記中枠は、該他方の側面壁の上に位置して表,裏面壁間の空隙を埋める前側面を有する;請求項1記載のライター。
- 前記ピンが貫通する穴がある、下方向に延びる脚を有し、前記表,裏面壁の間の空間および前記中枠の上空間を閉じる上蓋;を更に備える請求項1又は請求項2に記載のライター。
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