JP3652390B2 - プラスチック光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
プラスチック光ファイバ母材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3652390B2 JP3652390B2 JP24956794A JP24956794A JP3652390B2 JP 3652390 B2 JP3652390 B2 JP 3652390B2 JP 24956794 A JP24956794 A JP 24956794A JP 24956794 A JP24956794 A JP 24956794A JP 3652390 B2 JP3652390 B2 JP 3652390B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- refractive index
- monomer
- optical fiber
- core
- plastic optical
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B29—WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
- B29D—PRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
- B29D11/00—Producing optical elements, e.g. lenses or prisms
- B29D11/00663—Production of light guides
- B29D11/00721—Production of light guides involving preforms for the manufacture of light guides
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Ophthalmology & Optometry (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プラスチック光ファイバの母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コア部及びクラッド部が共にプラスチックから構成されるプラスチック光ファイバは、ガラスファイバに比べ加工や取扱いが容易で低コストであるため、その伝送損失が実質的に問題にされない程度に短距離の光伝送路等として、多用されている。このような特徴を有するプラスチック光ファイバは、LAN(local area network)、ISDN(integrated service digital network)等の次世代通信網構想において、その重要性が増大してきている。
【0003】
プラスチック光ファイバとしては、図11に模式的に示すように、階段状に変化する屈折率分布を有するステップインデックス型(SI型)ファイバが既に実用化されている。このSI型ファイバは、極く短距離の伝送用として、電子機器内部の部品同士の伝送用等に用いることができるが、伝送容量が少ないため、通信用としては必ずしも適していない。
【0004】
上記SI型ファイバに比較して時間当りの情報量を多量に送ることが可能(伝送容量が多い)で、通信用光伝送路としてより好適な特性を有する光ファイバとして、図12に模式的に示すように、半径方向に変化するコア部屈折率分布を有するグレーデッドインデックス(GI)型光ファイバが提案されている。
【0005】
従って、本発明は、コア部とクラッド部との屈折率の差が充分大きく且つ滑らかな屈折率分布を有するプラスチック光ファイバ母材を生産性良く容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
GI型のプラスチック光ファイバを作製するには、あらかじめ屈折率分布を持ったプラスチック光ファイバ母材を作製しこれを線引する方法によれば、曲げ損失の少ないファイバを簡便に製造できる。そして、このような母材を製造する方法としては、特開平2−16504(第1の従来技術)に記載されているように、屈折率の異なる2種以上の重合性混合物の積層状物を同心円状に押し出す方法がある。
【0007】
また、ポリメタクリル酸メチルから成る円管内に、屈折率を上昇させる添加剤とメタクリル酸メチルモノマーとの混合液を充填して一段階で重合させて円管と一体の構造体を得る方法が特開平4−97302(第2の従来技術)に開示され、この方法では、屈折率分布をもつ重合物が1回の重合反応により作製される。この重合物をコア部とし、円管をクラッド部にすることでプラスチック光ファイバ母材が作製される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の第1の従来技術における製造方法は積層押し出し法であるため、屈折率の異なる層は多くとも10層程度しか形成できない。従って、屈折率分布は階段状を呈することになり、この方法では図12に示すような、中心部から半径方向外側に向かって降下する滑らかな屈折率分布を有する母材を作製することができない。
【0009】
また、この方法を利用して、押し出し後にモノマーを各層間で拡散させることにより、連続した滑らかな屈折率分布を得る方法もあるが、この場合には工程数が増加し、その結果、生産性が損なわれる。更に、この場合は、コア部とクラッド部との屈折率の差を充分大きくとれない。
【0010】
一方、第2の従来技術における製造方法の場合は、コア部形成の重合反応が一段階であるため、コア部の中心部と最外殻部との屈折率の差を充分に大きくすることはできない。
【0011】
従って、これらの母材製造方法で製造された母材を線引しても、曲げ特性の優れたファイバを得ることはできない。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、より詳しくは、コア部とクラッド部との屈折率の差が充分大きく且つ滑らかな屈折率分布を有するプラスチック光ファイバ母材を生産性良く容易に製造する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記問題を解決するプラスチック光ファイバ母材の製造方法を実現するに当たり、クラッド部の内側に屈折率が漸次高くなる多数の層を形成することによりコア部を作製する手法を用いることにより、プラスチック光ファイバを製造することを考えた。そして、実験と試作とを重ねた結果、このような手法において各層の形成にはモノマーを投入して重合させる重合法を採用することが、上記目的を実現するには極めて効果的であることを見出だした。
【0014】
従って、本発明によるプラスチック光ファイバ母材の製造方法は、(1)中空の略円筒形状の部分を有しポリマーから成る1つのクラッド部に対し、(a)屈折率降下剤をモノマーに添加した複数の第1の数iの個数のモノマー屈折率降下剤混合液S(1)〜S(i)であって、重合した際の屈折率に関して、1<a≦iの数aに対して(S(a−1)の屈折率)≦(S(a)の屈折率)の関係をもつモノマー屈折率降下剤混合液S(1)〜S(i)を用い、1≦x≦iの数xに対して、クラッド部の側面内側表面上にモノマー屈折率降下剤混合液S(x)を投入し、クラッド部を長手軸方向を中心に回転させながらモノマー屈折率降下剤混合液を重合させて略均一な厚さの層を形成する操作を、数xに対して1からiまで順に行い、クラッド部の側面内側表面上に、第1の数i層から成り且つ半径方向内側に向かって屈折率が上昇する屈折率分布を有するコア外側部を形成する第1のステップと、(2)1つの前記コア外側部に対して、(b)屈折率上昇剤をモノマーに添加した複数の第2の数jの個数のモノマー屈折率上昇剤混合液T(1)〜T(j)であって、重合した際の屈折率に関して、1<b≦jの数bに対して(T(b−1)の屈折率)≦(T(b)の屈折率)の関係をもつモノマー屈折率上昇剤混合液T(1)〜T(j)を用いて、1≦y≦iの数yに対して、コア外側部の側面内側表面上にモノマー屈折率上昇剤混合液T(y)を投入し、コア外側部を長手軸方向を中心に回転させながらモノマー屈折率上昇剤混合液を重合させて略均一な厚さの層を形成する操作を、数yに対して1からjまで順に行い、コア外側部の側面内側表面上に、第2の数j層から成り且つ半径方向内側に向かって屈折率が上昇する屈折率分布を有するコア内側部を形成する第2のステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
この方法によれば、クラッド部の内側に屈折率降下剤をモノマーに添加した混合液を重合させ多層に亘って形成することにより、充分に低い屈折率をもつコア最外殻を有し内側に向かって漸次屈折率が増加するコア外側部を形成した後、更にその内側に、屈折率上昇剤をモノマーに添加した混合液を重合させ多層に亘って形成することにより、更に内側に向かって漸次屈折率が増加しコア中心部分で屈折率が充分高くなるコア内側部を形成するため、コアの中心部分とコア最外殻との屈折率の差を充分大きくしたプラスチック光ファイバ母材を製造することが可能となる。また、各層の形成には、作業性が悪くまた反応に時間のかかるCVDや溶液塗布乾燥法を用いず、簡便で反応に要する時間の比較的短い重合法を用いているため、作業性が良好で時間のかからないプラスチック光ファイバ母材の製造法が提供される。更に、回転により生じる遠心力を利用して各層の厚さを均一にしつつ重合する方法を採用しているので、簡便な装置を用いることができる。
【0016】
尚、本発明ではコア部のうち、屈折率降下剤を添加したポリマーから成る部分をコア外側部、屈折率上昇剤を添加したポリマーから成る部分をコア内側部と称する。また、本発明において長手軸とは、円筒又は円柱を回転体とみたときに、その回転軸のことである。また、円柱形状とは、特に中空部分のない円筒形状のことを指す。
【0017】
また、本発明によるプラスチックファイバ母材の製造方法は、第1のステップが、コア外側部の形成に先立ち、中空の略円筒形状のクラッド部製造モールドの側面内側表面にモノマーを投入し、クラッド部製造モールドを長手軸方向を中心に回転させながらモノマーを重合させて、略均一な厚さを有する略円管形状のクラッド部を形成するクラッド部製造操作を更に含むことを特徴としてもよい。
【0018】
また、本発明によるプラスチックファイバ母材の製造方法は、屈折率降下剤と屈折率上昇剤との少なくとも一方が、ラジカル重合性を有し、且つ第1のステップ、第2のステップ、又は第1のステップ及び第2のステップにおける重合において、屈折率降下剤と屈折率上昇剤との少なくとも一方の、モノマー若しくはモノマーの重合物との反応速度がモノマー単独の重合速度と異なることを特徴としてもよい。
【0019】
徐々に屈折率の差を付けた多層を形成することに加えて、モノマー重合反応と屈折率降下剤あるいは屈折率上昇剤のモノマーとの共重合反応の速度の差を利用することにより、各層内において層の外側から内側に向かって屈折率が上がるように、各層を形成することが可能となる。例えば、加熱によるラジカル重合において、回転する円筒の外側から加熱して層状のモノマー屈折率上昇剤混合液を重合する場合、層の外側から重合反応が開始するため、屈折率上昇剤をモノマーとの共重合反応速度がモノマーの重合速度よりも低いように選べば、層の外側は比較的モノマーリッチになり、内側に進むにつれて屈折率上昇剤の濃度が高くなるような層を形成することができる。そしてこのような層を、屈折率上昇剤の添加率を変えつつ多層に亘って形成することにより、更に滑らかな屈折率分布をもったコア部を形成することが可能になる。
【0020】
また、本発明によるプラスチック光ファイバの製造方法は、屈折率降下剤及び屈折率上昇剤の少なくとも一方の分子における飽和及び不飽和の共有結合の数が、モノマーの分子における飽和及び不飽和の共有結合の数よりも多いことを特徴としてもよい。
【0021】
この場合も、反応速度の差を利用した場合と同様に、例えば、加熱によるラジカル重合において、回転する円筒の外側から加熱して層状のモノマー屈折率上昇剤混合液を重合する場合、層の外側から重合反応が開始するため、屈折率上昇剤をモノマーよりも分子のサイズが大きくなるように選択することにより、層の外側は比較的モノマーリッチになり、内側に進むにつれて屈折率上昇剤の濃度が高くなるような層を形成することができる。そしてこのような層を、屈折率上昇財の添加率を変えつつ多層に亘って形成することにより、更に滑らかな屈折率分布をもったコア部を形成することが可能になる。この場合、分子サイズは、係る分子内の飽和及び不飽和の共有結合の数をもって、定義する。
【0022】
また、本発明によるプラスチック光ファイバの製造方法は、クラッド部がメタクリル酸メチルを重合させた重合物から成ることを特徴としてもよい。
【0023】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
【0024】
(モノマー又は係るモノマーを重合したポリマー)
公知の透明なポリマーを特に制限なく用いることができるが、例えば、メタクリル酸メチルのホモポリマー(ポリメタクリル酸メチル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとフェニルエステルとのエステル交換反応により生成されるポリカーボネート、並びに、メタクリル酸と、次に挙げる他のモノマーとの透明な共重合体が、好適に使用可能である。この他のモノマーとは、例えば、単官能性の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸弗化アルキル、多官能性のアクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類、スチレン、スチレンの塩化物等が使用可能である。更に好適な材料は、ポリメタクリル酸メチル(屈折率n=1.490)並びに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとフェニルステルとのエステル交換反応により生成されるポリカーボネート(屈折率n=1.59)である。
【0025】
(屈折率上昇剤)
本発明では、係るモノマーに添加した混合物を重合させた際、モノマーのみの重合物の屈折率よりも高い屈折率を与える添加剤を、屈折率上昇剤と称する。所望の屈折率分布を与え、且つ上記ポリマーと安定に共存することが可能である限り、屈折率上昇剤の分子量は特に制限されない。また、屈折率上昇剤自体が重合性の官能基(例えば、ビニル基等の不飽和結合を有する官能基等)を有していてもよい。即ち、屈折率上昇剤は、単量体ないしその混合物であってもよく、またオリゴマーないしポリマーであってもよい。メタクリル酸メチル(屈折率n=1.490)がモノマーとして用いられた場合、コア部には、好適には以下に挙げるような屈折率上昇剤を添加したポリメタクリル酸メチルが用いられる。この屈折率上昇剤には、例えば、フタル酸ブチルベンジルエステル(屈折率n=1.536)、酢酸2−フェニルエチル(n=1.51)、フタル酸ジメチル(n=1.515)、ジフェニルスルフィド(n=1.635)、安息香酸ビニル(n=1.577)、ベンジルメタクリレート(n=1.568)、フタル酸ジアリル(n=1.518)等が好適に使用可能である。尚、上記した中で、安息香酸ビニル、ベンジルメタクリレート、フタル酸ジアリルは、重合性の官能基を有する屈折率上昇剤である。
【0026】
(屈折率降下剤)
本発明では、係るモノマーに添加した混合物を重合させた際、モノマーのみの重合物の屈折率よりも低い屈折率を与える添加剤を、屈折率降下剤と称する。所望の屈折率分布を与え、且つ上記ポリマーと安定に共存することが可能である限り、屈折率上昇剤の場合と同様に、屈折率降下剤の分子量は特に制限されない。また、屈折率降下剤自体が重合性の官能基(例えば、ビニル基等の不飽和結合を有する官能基等)を有していてもよい。即ち、屈折率降下剤は、単量体ないしその混合物であってもよく、またオリゴマーないしポリマーであってもよい。メタクリル酸メチル(屈折率n=1.490)がモノマーとして用いられた場合、コア部には、好適には以下に挙げるような屈折率上昇剤を添加したポリメタクリル酸メチルが用いられる。この屈折率降下剤には、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、(屈折率n=1.361)、酢酸ヘキシル(n=1.408)、フタル酸ビス(3,5,5−トリメチルヘキシル)(n=1.478)、フタル酸ビス(2−メチルヘキシル)(n=1.486)等が好適に使用可能である。尚、上記した中で、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートは重合性の材料である。
【0027】
(母材の分子量)
本発明においては、光ファイバ母材線引の際の作業性(線引時の断線防止、ないし母材加熱時の硬さ)の点からは、該母材のコア部とクラッド部とを構成する高分子の、GPC(gel permeation chromatography )による重量平均分子量が、10, 000以上300, 000以下であることが好ましく、更には30, 000以上250, 000以下(特に50, 000以上200, 000以下)であることが好ましい。
【0028】
光ファイバ母材のコア部とクラッド部とを構成する高分子の重量平均分子量は、例えば、以下のようにして測定することが可能である。
【0029】
(重量平均分子量の測定方法)
平均分子量を測定すべきプラスチック光ファイバ母材の全体を、テトラヒドロフラン(THF)に溶解して、濃度が0.1mg/ml程度のTHF溶液とする。
【0030】
このようにして得たTHF溶液を、必要に応じてメンブレン・フィルター(例えば、ミリポア社のメンブレン・フィルター)を通過させた後、GPC測定系に導入してGPC分析を行い、該GPC分析結果に基づき光ファイバ母材の重量平均分子量を求める。このGPC分析の際には、例えば、以下の測定条件が好適に用いられる。
【0031】
本発明に用いることのできる母材の分子量は、特に制限されないが、光ファイバ母材線引の際の作業性(線引時の断線防止、ないし母材加熱時の硬さ)の点からは、コア部を構成する高分子の重量平均分子量(MR )は、10, 000以上300, 000以下であることが好ましい。また、クラッド部を構成する高分子の重量平均分子量(MD )も、10, 000以上300, 000以下であることが好ましい。このようなコア部またはクラッド部の重量平均分子量も、上記した母材全体の重量平均分子量と同様に測定することが可能である。
【0032】
光ファイバ母材線引の際の作業性(線引時の断線防止、ないし母材加熱時の硬さ)の点からは、上記MR とMD との比MD /MR は、0.8〜1.2程度、更には0.9〜1.1程度であることが好ましい。
【0033】
本発明において、上記分子量を得るための方法は特に制限されないが、例えば、コア部および/又はクラッド部の重合を、重合開始剤および/又は重合反応を停止させる連鎖移動剤の存在下に行うことにより、更には、該重合開始剤および/又は連鎖移動剤の量を調整することにより、前記した特定の分子量を得ることができる。
【0034】
(重合反応)
例えば、モノマーにメタクリル酸メチルを用いた場合、好適には、O−O結合を有する過酸化物やアゾ系化合物等を開始剤とするラジカル重合が用いられる。この開始剤には、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の、約40℃〜約100℃で有効にラジカルを解離するいわゆる中温開始剤が好適に使用可能である。従って、このような中温開始剤を用いた場合、重合反応の温度条件は、好適には約40℃〜約100℃である。重合反応速度は、反応熱や反応自体による膨脹収縮によって重合反応中若しくは反応後ポリマーにクラック等が生じないように、並びに、反応熱によってメタクリル酸メチルモノマーが反応中に沸騰することのないように調節される必要があり、これは重合温度と開始剤添加量との組み合わせにより調節可能である。該開始剤の添加量は、約40℃〜約100℃において、モノマーに対して0.001〜10重量%程度、更には0.01〜0.3重量%程度(特に0.05〜0.15重量%程度)であればよい。例えば、メタクリル酸メチルに0.1重量%の過酸化ベンゾイルを添加し70℃で重合反応を行えば、クラック等を生じず且つモノマーの沸騰を起こさずにポリマーを生成することができる。尚、このような熱エネルギーによる塊状重合以外にも、光エネルギーを用いた塊状重合等も使用可能である。また、メタクリル酸メチル以外のモノマーを用いた場合でも、同様に、温度等の入力エネルギー量と濃度との組み合わせにより、重合反応速度を調節することが可能である。
【0035】
また、クラッド部、コア部の重合の際必要に応じて使用される連鎖移動剤は、上記したプラスチック母材としての重量平均分子量10, 000〜300, 000を与える限り特に制限されず、公知の連鎖移動剤から適宜選択して使用することが可能である。このような公知の連鎖移動剤としては、例えば、ベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物;ブチルメルカプタン等のメルカプト系化合物(−SH基を有する化合物)が挙げられる。
【0036】
(母材製造装置及び回転数)
プラスチック光ファイバ母材及びモールドを一体で回転可能で、且つ温度制御の機能をもつ加熱手段を有する装置であれば、形態を問わず、本発明に好適に使用できる。但し、重合反応には、空気中の酸素に反応の進行が阻害される場合もあるため、母材をモールドに挿入して設置する際、その両端を封止できる必要がある。
【0037】
上記重合反応の際、母材及びモールドを回転させる場合は、回転数が約10, 000rpm以下(特に、約100rpm〜約5, 000rpm)であることが好ましい。
【0038】
(モールド)
クラッド部の製造に用いられるモールドは、中空の円筒形状であればよく、ガラス等様々な材料が使用可能である。第2コア部は、コア中心まで重合を行う必要はなく、途中で重合を終了させコラプスして製造してもよい。
【0039】
(線引方法)
次に、光ファイバ母材を光ファイバに線引する方法について説明する。
【0040】
本発明の方法により製造された母材の線引に使用可能な、図10の模式断面図(縦断面図)を参照しつつ説明する。なお、以下の図面においては、説明の便宜のため、実際とは若干異なる縮尺を用いる場合がある。
【0041】
図10に示されるように、この態様のプラスチック光ファイバの線引装置910は、線引炉912と、外径モニタ914と、巻き取り手段916とから構成される。
【0042】
線引炉912は、金属製のカバー920と、該カバー920の上下にそれぞれ配置された上部円筒928と下部円筒932とからなるハウジングを有する。線引炉912は、上記ハウジングと、その内部に配置された円管状の炉芯管922と、該炉芯管922の外側に配置されたヒータ924と含む。
【0043】
上記構成を有する線引装置910を用いて円筒形状のプラスチック光ファイバ母材926を線引する場合、該母材926は、後述するネックダウン部927を与えるべきその先端部分を下にして、上部円筒928から下方へ向かうように炉芯管922の内側に挿入され、線引炉912内に配置される。
【0044】
線引された母材の一部(すなわち、光ファイバ)が巻き取り手段916により巻き取られることにより、図10に示すように、光ファイバ母材926は加熱によって生じたネックダウン部927を下にして線引炉912内に配置されることとなる。
【0045】
上記プラスチック光ファイバ母材926は、通常はカバー920に完全に包囲されず、一部が上部円筒928の上方に突き出たまま残った状態となっている。線引炉912内の気密性を保つために、上部円筒928の上面は、プラスチック光ファイバ母材926の外径とほぼ同等の大きさの穴を有するリング930により、シールされている。一方、下部円筒932の下面には、金属製のシャッター934が備えられており、該シャッター934の中心付近には、線引されたファイバが通過可能なように、小さな開口が設けられている。
【0046】
上記した図10の線引装置を用いた場合、プラスチック光ファイバ母材926はヒータ924によって加熱され、一方、不活性なガスは、リング930を通過して線引炉912内へ供給され、矢印929に沿って炉芯管922内部を流れ母材926と接触する。加熱されて溶融した母材926は、所定の速度で紡糸されてプラスチック光ファイバ938となり、上記シャッター934の開口部を通過し、外径モニタ914を通過してその外径が測定された後、巻き取り手段916に巻き取られる。
【0047】
以下、実施例、比較例により本発明を更に具体的に説明する。
【0048】
【実施例】
以下、添付した図面を必要に応じて参照しつつ、実施例により本発明を更に詳細に説明する。尚、添付した図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略した。
【0049】
図1は、本発明に好適に使用されるプラスチック光ファイバ母材の製造装置の斜視図である。図1によれば、製造装置100は、台102と、重合部収容部104とにより構成される。重合部収容部104には、2台の重合部組み立て体108a、bが収容され、それぞれモータ106a、bに接続されて回転可能な状態にある。底面部を持たない重合部収容部104は、台102の上面が無い部分の上に設置される。重合部収容部104の下方の台102の底面には、ヒータ110(点線で図示)が配置される。従って、ヒータ110と重合部組み立て体108a、bとの間には遮るものが存在せず、重合部組み立て体108a、bは、ヒータ110から直接加熱される。ヒータ110は、温度制御の機能を有している。
【0050】
以下、構成の同一な左右の重合部組み立て体108a及びbのうち、108aに関して説明する。
【0051】
図2は、製造途中の母材を設置した状態での重合部組み立て体108の断面図である。図1及び図2によれば、重合部組み立て体108は、両側に1個づつの円柱状のテフロン製チャック122、123及びカバー124、125とから成り、内部に円管状の製造途中の母材126を包含する。重合部組み立て体108は、以下のように重合部収容部に保持される。重合部組み立て体108の片方の端のチャック122は、モータ106の駆動を伝える軸128に固定された支持円筒132に係合し、他方の端のチャック123は、軸受け130に挿入された軸129に固定された支持円筒133に係合する。即ち、重合部組み立て体108は、モータ106の駆動によって回転可能な状態でその両端で支持され、重合部収容部104に保持される。
【0052】
図2によれば、チャック122及び123はそれぞれ、一方の底面の中心に母材126と同じ直径の円柱状の窪み134及び135を有し、母材126がこれら窪み134及び135に係合される。
【0053】
実施例1
図3は、本実施例に係るプラスチック光ファイバの工程図であり、製造の各工程におけるプラスチック光ファイバ母材の側面図である。尚、工程毎の変化をわかり易く表現するため、図3では厚さの尺度を実際より誇張して描いている。本実施例では、図1及び図2に示すプラスチック光ファイバ母材製造装置を用い、モノマーにメタクリル酸メチル、屈折率降下剤に酢酸ヘキシル、屈折率上昇剤にジクロロベンゼンを用いて、GI型プラスチック光ファイバ母材を作製した。尚、図1に示されるプラスチック光ファイバ母材製造装置は、以後全ての実施例及び比較例において使用される。
【0054】
本実施例では、以下のようにプラスチック光ファイバ母材を作成した。図1及び図3を参照して、その工程を説明する。まず、内径40mm、外径50mmのメタクリル酸メチルの重合物から成る円管126を用意した(図3(a)参照)。これを、クラッド部として用いる。
【0055】
コア外側部の形成は、次のように行った。図1及び図2に示されるように、母材(本明細書の実施例においては、少なくともクラッド部を有するものを総称して母材と称する)126を、重合部組み立て体108に設置した。このとき、母材126の両端をチャック122及び123に係合させ、カバー124、125を配して重合部組み立て体108を形成した。母材126(即ち、この場合は図3においてクラッド部302)の内側表面上に、メタクリル酸メチル100部(重量基準、以下同じ)に酢酸ヘキシル70部を加えた混合液S(1)に、混合液中のメタクリル酸メチルに対して重量比で0.1%の過酸化ベンゾイルを混合して注入した。その後、重合部組み立て体108を製造装置100に設置し、ヒータ110を70℃の温度に設定して作動させ、同時にモータ106を作動させて重合部組み立て体108を約1000rpmの回転数で回転させた。重合部組み立て体108を回転させることにより、クラッド部の内側に投入された混合液S(1)は遠心力により、クラッド部の円周方向及び長手方向に均一な厚さで母材126(この場合はクラッド部302)内側表面上に存在する。この状態で加熱及び回転を継続し、クラッド部302の内側にコア外側部第1層304が形成された(図3(b1)参照)。第1層形成の重合反応が完全に終了した後、先ほどの混合液に少量のメタクリル酸メチルを添加した新たな混合液S(2)を調整し、これに混合液中のメタクリル酸メチルに対して重量比で0.1%の過酸化ベンゾイルを混合して、コア外側部第1層の内側表面に注入した。そして、第1層形成のときと同じ条件で加熱及び回転を行い、コア外側部第2層を形成した。更に少量のメタクリル酸メチルを添加した新たな混合液S(3)を用いて、同様の操作をもう1度行いコア外側部第3層を形成して、クラッド部302の内側に、3層から成り内側に向かって屈折率が上昇するコア外側部305が形成された(図3(bi)参照、本実施例ではi=3)。
【0056】
次に、上述したコア外側部の形成方法と同様に、コア内側部を形成した。即ち、図1及び図2によれば、母材126は両端でチャック122及び123と係合して、重合部組み立て体108をなした。母材126の内側表面上(即ち、図3ではコア外側部305の内側表面上)に、メタクリル酸メチルにジクロロベンゼンを加えた混合液T(1)に、混合液中のメタクリル酸メチルに対して重量比で0.1%の過酸化ベンゾイルを混合して注入した。その後、重合部組み立て体108を製造装置100に設置し、ヒータ110を70℃の温度に設定して作動させ、同時にモータ106を作動させて重合部組み立て体108を約1000rpmの回転数で回転させた。この回転によって生じた遠心力によって、混合液t(1)は、円周方向及び長手方向に均一な厚さをもって、母材126(この場合はコア外側部305)の内側表面上に存在する。この状態で加熱及び回転を継続し、コア外側部305の内側にコア外側部第1層306が形成された(図3(c1)参照)。第1層形成の重合反応が完全に終了した後、先ほどの混合液に少量のジクロロベンゼンを添加した新たな混合液T(2)を調整し、これに混合液中のメタクリル酸メチルに対して重量比で0.1%の過酸化ベンゾイルを混合して、コア内側部第1層306の内側表面に注入した。そして、第1層形成のときと同じ条件で加熱及び回転を行い、コア外側部第2層を形成した。そして、このメタクリル酸メチルとジクロロベンゼンとの混合液T(2)にジクロロベンゼンを添加して、順に屈折率が高くなるT(3)〜T(20)を調製しつつ、これを1つずつ用いて同様の操作を第3層(T(3))から第20層(T(20))まで行い、20層から成り内側に向かって屈折率が上昇するコア内側部307が形成され、円柱状、即ち中空ではない母材126が作成された(図3(cj)参照)。ここで、プラスチック光ファイバ母材の製造工程は終了した。
【0057】
以上のように形成されたプラスチック光ファイバ母材の屈折率分布を、プリフォームアナライザ法(測定装置名:P−101、ヨーク社製、以下、全ての実施例及び比較例の屈折率分布測定において、この方法及び装置を用いる)調べたところ、図4のような滑らかな屈折率分布を有することが明らかになった。
【0058】
そして、このプラスチック光ファイバ母材を、図10に示される線引装置を用いて線引し、直径650μmのプラスチック光ファイバを作製した。このプラスチック光ファイバを、直径10mmのマンドレルに巻き付けた状態で、まきつけ法により(測定装置名:AQ−6315B 光スペクトラムアナライザ(安藤電気社製)、以下、全ての実施例及び比較例の曲げ損失測定において、この方法及び装置を用いる)曲げ損失を測定した。このとき波長650nmでの曲げ損失の値は、0.5dBであった。
【0059】
尚、実施例1と同様の操作で、コア外側部及びコア内側部を形成する際の層の数を、コア外側部が2層、コア内側部が3層の、計5層として行った例も、比較のために示しておくと、この場合に作製された母材の屈折率分布は、図5のように階段状であった。
【0060】
実施例2
図6は、図2に示した重合部組み立て体108の断面図であり、本実施例のクラッド部の形成の工程における充填前の様子を示す。本実施例では、図1、図2及び図6に示すプラスチック光ファイバ母材製造装置を用い、モノマーにメタクリル酸メチル、屈折率降下剤に酢酸ヘキシル、屈折率上昇剤にフタル酸ブチルベンジルエステルを用いて、図3に示される工程により、クラッド部、コア外側部及びコア内側部の全てを重合により形成して、GI型プラスチック光ファイバ母材を作製した。尚、フタル酸ブチルベンジルステルは、メタクリル酸メチルよりも分子サイズが大きく、これを共有結合の数で比べれば、フタル酸ブチルベンジルステルの1分子内の飽和及び不飽和の共有結合が43個に対して、メタクリル酸メチルのそれは14個である。
【0061】
まず、以下のようにしてクラッド部を作製した。図1、図3及び図6によれば、内径50mmの円管形状のガラス製クラッド部製造モールド120の両端をチャック122及び123に係合させて重合部組み立て体108を作製した。このとき、クラッド部製造モールド120の内部は円筒状の空洞141である。この空洞141内に、過酸化ベンゾイルを0.1重量%添加したメタクリル酸メチルを注入した。次いで、注入が終了した後、モールド組み立て体108を製造装置100に設置し、ヒータ110を70℃の温度に設定して作動させ、同時にモータ106を作動させて重合部組み立て体108を約4000rpmで回転させた。この回転によって生じた遠心力によって、混合液は、円周方向及び長手方向に均一な厚さをもって、モールドの内側表面上に存在する。この状態で加熱及び回転を続け、外径50mm、内径40mmの均一な厚さを有する円筒状のクラッド部を形成した(図3(a)参照)。
【0062】
そして、実施例1のコア外側部及びコア内側部の形成方法と全く同様に、図3(b)及び(c)に示される工程を行い、コア中心部の上にコア内側部及びコア外側部とを重合により形成して、直径50mmのプラスチック光ファイバ母材を作製した。
【0063】
以上のように形成されたプラスチック光ファイバ母材の屈折率分布を調べたところ、図4のような滑らかな屈折率分布を有することが明らかになった。
【0064】
そして、このプラスチック光ファイバ母材を、図10に示される線引装置を用いて線引し、直径650μmのプラスチック光ファイバを作製した。このプラスチック光ファイバを、直径10mmのマンドレルに巻き付けた状態で曲げ損失を測定した。このとき波長650nmでの曲げ損失の値は、0.4dBであった。
【0065】
実施例3
実施例3では、図1及び図2に示すプラスチック光ファイバ母材製造装置を用い、モノマーにメタクリル酸メチル、屈折率降下剤に酢酸ヘキシル、屈折率上昇剤にフタル酸ブチルベンジルエステルを用いて、図3に示される工程により、クラッド部、コア外側部及びコア内側部の全てを重合により形成して、GI型プラスチック光ファイバ母材を作製した。
【0066】
本実施例では、実施例2のクラッド部形成方法と同様に、メタクリル酸メチルに過酸化ベンゾイルを添加してクラッド部製造モールドの内側に注入し、70℃及び4000rpmの条件で重合させてクラッド部を作製した(図3(a)参照)。その後、実施例1及び2のコア部形成方法と同じ層の数及び温度、回転数等の重合条件で、図3(b)及び(c)に示される工程を行い、メタクリル酸メチルと酢酸ヘキシルとの混合物によりコア外側部を形成し、メタクリル酸メチルとフタル酸ブチルベンジルエステルとの混合液によりコア内側部を形成して母材を作製した。
【0067】
以上のように形成されたプラスチック光ファイバ母材の屈折率分布を調べたところ、図4のような滑らかな屈折率分布を有することが明らかになった。
【0068】
そして、このプラスチック光ファイバ母材を、図10に示される線引装置を用いて線引し、直径650μmのプラスチック光ファイバを作製した。このプラスチック光ファイバを、直径10mmのマンドレルに巻き付けた状態で曲げ損失を測定した。このとき波長650nmでの曲げ損失の値は、0.6dBであった。
【0069】
実施例4
本実施例では、図1及び図2に示すプラスチック光ファイバ母材製造装置を用い、モノマーにメタクリル酸メチル、屈折率降下剤に2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、屈折率上昇剤にフタル酸ブチルベンジルエステルを用いて、図3に示される工程により、予め用意したメタクリル酸メチルの重合物から成るクラッド部の内側に、コア外側部及びコア内側部を重合により形成して、GI型プラスチック光ファイバ母材を作製した。尚、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートは、ラジカル重合性を有する屈折率降下剤である。
【0070】
本実施例では、メタクリル酸メチルの重合物から成る外径50mm、内径40mmのロッドを用意し、これをクラッド部とした(図3(a)参照)。そして、実施例1〜3のコア部形成方法と同じ層の数及び温度、回転数等の重合条件で、図3(b)及び(c)に示される工程を行い、メタクリル酸メチルと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートとの混合物によりコア外側部を形成し、メタクリル酸メチルとフタル酸ブチルベンジルエステルとの混合液によりコア内側部を形成して母材を作製した。
【0071】
以上のように形成されたプラスチック光ファイバ母材の屈折率分布を調べたところ、図4のような滑らかな屈折率分布を有することが明らかになった。
【0072】
そして、このプラスチック光ファイバ母材を、図10に示される線引装置を用いて線引し、直径650μmのプラスチック光ファイバを作製した。このプラスチック光ファイバを、直径10mmのマンドレルに巻き付けた状態で曲げ損失を測定した。このとき波長650nmでの曲げ損失の値は、0.5dBであった。
【0073】
実施例5
本実施例では、図1及び図2に示すプラスチック光ファイバ母材製造装置を用い、モノマーにメタクリル酸メチル、屈折率降下剤に酢酸ヘキシル、屈折率上昇剤に安息香酸ビニルを用いて、図3に示される工程により、予め用意したメタクリル酸メチルの重合物から成るクラッド部の内側に、コア外側部及びコア内側部を重合により形成して、GI型プラスチック光ファイバ母材を作製した。尚、安息香酸ビニルは、ラジカル重合性を有する屈折率上昇剤である。
【0074】
本実施例では、メタクリル酸メチルの重合物から成る外径50mm、内径40mmのロッドを用意し、これをクラッド部とした(図3(a)参照)。そして、実施例1〜4のコア部形成方法と同じ層の数及び温度、回転数等の重合条件で、図3(b)及び(c)に示される工程を行い、メタクリル酸メチルと酢酸ヘキシルとの混合液によりコア外側部を形成し、メタクリル酸メチルと安息香酸ビニルとの混合液によりコア内側部を形成して母材を作製した。
【0075】
以上のように形成されたプラスチック光ファイバ母材の屈折率分布を調べたところ、図4のような滑らかな屈折率分布を有することが明らかになった。
【0076】
そして、このプラスチック光ファイバ母材を、図10に示される線引装置を用いて線引し、直径650μmのプラスチック光ファイバを作製した。このプラスチック光ファイバを、直径10mmのマンドレルに巻き付けた状態で曲げ損失を測定した。このとき波長650nmでの曲げ損失の値は、0.7dBであった。
【0077】
比較例1〜4
以上のように説明した実施例1〜5によるプラスチック光ファイバ母材の製造方法との比較のため、以下の比較例1〜4を示す。重合により多層を形成することによりコア部を形成する方法であるが、本発明の製造方法によらず、屈折率上昇剤又は屈折率降下剤のいずれかのみを用いてコア部を形成する方法によって、プラスチック光ファイバ母材を作成した例を3例、並びにクラッド部の内側にコア部を1段階で形成した例を1例挙げておく。
【0078】
図7は、比較例1〜3における工程図であり、製造の各工程におけるプラスチック光ファイバ母材700の側面図である。比較例1〜3では、図1及び図2に示すプラスチック光ファイバ母材製造装置を用い、モノマーにメタクリル酸メチル、屈折率上昇剤にフタル酸ブチルベンジルエステルを用いて、図7に示される工程により、モノマーに屈折率上昇剤を比率を変えて加えた多数の混合液によりコア部の層701を多数形成し、多数の層から成り屈折率が中心に向かって増加するコア部702をクラッド部704の内側に形成して、GI型プラスチック光ファイバ母材を作製した。
【0079】
比較例4では、クラッド部の内側の空洞部にモノマーと屈折率上昇剤を加えた混合液を1度に充填して重合することにより、プラスチック光ファイバ母材を作製した。
【0080】
比較例1では、メタクリル酸メチルの重合物から成る外径50mm、内径40mmのロッドを用意し、これをクラッド部とした。そして、実施例1のコア内側部の形成方法と同様の条件で、図7(b)に示される工程を行い、メタクリル酸メチルにフタル酸ブチルベンジルエステル(屈折率上昇剤)を濃度が徐々に高くなるように添加した多数の混合液を重合させることにより多数の層から成るコア部を形成して、直径50mmの母材を作製した。
【0081】
比較例2では、実施例2のクラッド部の形成方法と同様に、内径50mmのガラス製クラッド部製造モールド内部にメタクリル酸メチルを投入して4000rpmで回転しながら重合し、クラッド部を形成した。そして、実施例1のコア内側部の形成方法と同様の条件で、図7(b)に示される工程を行い、メタクリル酸メチルにフタル酸ブチルベンジルエステル(屈折率上昇剤)を濃度が徐々に高くなるように添加した多数の混合液を重合させることにより多数の層から成るコア部を形成して、直径50mmの母材を作製した。
【0082】
比較例3では、実施例5と同じ条件で、メタクリル酸メチルの重合物から成るクラッド部の内側に、図7(b)に示される工程を行い、メタクリル酸メチルに安息香酸ビニル(屈折率上昇剤)を濃度が徐々に高くなるように添加した多数の混合液を重合させることにより多数の層から成るコア部を形成して、直径50mmの母材を作製した。
【0083】
比較例4では、メタクリル酸メチルの重合物から成るクラッド部の内側空洞に、メタクリル酸メチルに安息香酸ビニル(屈折率上昇剤)を加えた混合液を1度に充填し、これを1度に重合させてコア部を形成して、直径50mmの母材を作製した。
【0084】
このようにして比較例1〜3において作製された3本のプラスチック光ファイバ母材の屈折率分布のグラフを図8に、比較例4における屈折率分布のグラフを図9に表した。図8によれば、コア部形成において、屈折率上昇剤のみを用いて徐々に屈折率が変化する多層を形成して作製された母材は、屈折率降下剤を用いる多層形成と屈折率上昇剤を用いる多層形成との2つのステップによる方法による母材と比べれば、屈折率差のあまり大きくないGI型の分布をもつことが明らかになった。また、図9から明らかなように、コア部を1層で形成した比較例4では、GI型の分布は得られず、即ちSI型の母材が作製された。
【0085】
また、これらを実施例1〜5と同じ条件で線引した直径650μmの光ファイバについて、それぞれ直径10mmのマンドレルに巻き付けた状態で曲げ損失を測定した。このときの波長650nmでの曲げ損失の値は、比較例1及び比較例2では2.0dB、比較例3及び比較例4では2.5dBであった。
【0086】
線引した光ファイバの曲げ損失に関して、屈折率上昇剤にフタル酸ブチルベンジルエステルを用いた実施例2、3及び4と、同じく屈折率上昇剤にフタル酸ブチルベンジルエステルを用いた比較例1及び2とを比較するため、これらの結果を表1に纏めて示す。表1によれば、屈折率上昇剤を用いたコア部を形成するステップのみの比較例1及び2による光ファイバの曲げ損失が2.0dBであったのに対し、コア部形成において、屈折率降下剤を用いてコア外側部を形成するステップと屈折率上昇剤を用いてコア内側部を形成するステップとの2つのステップから成る本発明の実施例2、3及び4による光ファイバの曲げ損失は、0.4〜0.6dBと、顕著に向上している。
【0087】
【表1】
【0088】
同様に、屈折率上昇剤に安息香酸ビニルを用いた実施例5と、同じく屈折率上昇剤に安息香酸ビニルを用いた比較例3とを比較するため、これらの結果を表2に示す。表2によれば、屈折率上昇剤を用いたコア部を形成するステップのみの比較例3では、曲げ損失が2.5dBであったのに対し、コア部形成において、屈折率降下剤を用いてコア外側部を形成するステップと屈折率上昇剤を用いてコア内側部を形成するステップとの2つのステップから成る本発明の実施例5では、曲げ損失が0.7dBと、顕著に向上している。
【0089】
【表2】
【0090】
【発明の効果】
以上詳細に説明してきたように、コア部の形成に対して、屈折率降下剤を用いたコア外側部形成のステップと、屈折率上昇剤を用いたコア内側部形成のステップとを含む本発明のプラスチック光ファイバ母材の製造法によれば、滑らかな屈折率をもち且つ屈折率差の大きなプラスチック光ファイバ母材を、生産性良く容易に製造することが可能となる。
【0091】
従って、この母材を線引することにより、曲げ損失の低いGI型のプラスチック光ファイバを容易に製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適に使用されるプラスチック光ファイバ母材製造装置の斜視図である。
【図2】本発明に好適に使用されるプラスチック光ファイバ母材製造装置の重合部組み立て体の縦断面図であり、母材を内部に包含している状態を表す。
【図3】実施例1〜5の工程図である。
【図4】実施例1〜5により作製されたプラスチック光ファイバ母材の半径方向屈折率分布を表すグラフである。
【図5】実施例1により作製されたプラスチック光ファイバ母材の半径方向屈折率分布を表すグラフである。
【図6】本発明におけるクラッド部製造操作に好適に使用されるプラスチック光ファイバ母材製造装置の重合部組み立て体の縦断面図である。
【図7】比較例1〜3の工程図であり、各工程毎のプラスチック光ファイバ母材の状態を表す。
【図8】比較例1〜3により作製されたプラスチック光ファイバ母材の半径方向屈折率分布を表すグラフである。
【図9】比較例4により作製されたプラスチック光ファイバ母材の半径方向屈折率分布を表すグラフである。
【図10】本発明で作製された母材の線引に使用可能な線引装置の縦断面図である。
【図11】ステップインデックス(SI)型ファイバの屈折率分布を示すグラフである。
【図12】グレーデッドインデックス(GI)型ファイバの屈折率分布を示すグラフである。
【符号の説明】
100…製造装置、102…台、104…重合部収容部、106a、b…モータ、108a、b…重合部組み立て体、110…ヒータ、120…モールド、122a、b、123…チャック、124a、b、125…カバー、126a、b…母材、128a、b、129a、b…軸、130a、b…軸受け、132a、b、133…支持円筒、134、135…窪み、141…空洞、302…クラッド部、304…コア外側部第1層、305…コア外側部、306…コア内側部第1層、307…コア内側部、700…母材、701…コア部第1層、702…コア部、704…クラッド部、910…線引装置、912…線引炉、914…外径モニタ、916…巻取手段、920…カバー、922…炉芯間、924…ヒータ、926…母材、927…ネックダウン部、928…上部円筒、929…矢印、930…リング、932…下部円筒、934…シャッター、938…プラスチック光ファイバ。
Claims (5)
- 略円柱形状の部分をもちコア外側部とコア内側部とから成るコア部を有するプラスチック光ファイバの母材を製造する方法であって、
(1)中空の略円筒形状の部分を有しポリマーから成る1つのクラッド部に対し、
(a)屈折率降下剤をモノマーに添加した複数の第1の数iの個数のモノマー屈折率降下剤混合液S(1)〜S(i)であって、重合した際の屈折率に関して、1<a≦iの数aに対して(S(a−1)の屈折率)≦(S(a)の屈折率)の関係をもつモノマー屈折率降下剤混合液S(1)〜S(i)を用い、1≦x≦iの数xに対して、前記クラッド部の側面内側表面上に前記モノマー屈折率降下剤混合液S(x)を投入し、前記クラッド部を長手軸方向を中心に回転させながら前記モノマー屈折率降下剤混合液を重合させて略均一な厚さの層を形成する操作を、数xに対して1からiまで順に行い、前記クラッド部の側面内側表面上に、前記第1の数i層から成り且つ半径方向内側に向かって屈折率が上昇する屈折率分布を有するコア外側部を形成する第1のステップと、
(2)1つの前記コア外側部に対して、
(b)屈折率上昇剤をモノマーに添加した複数の第2の数jの個数のモノマー屈折率上昇剤混合液T(1)〜T(j)であって、重合した際の屈折率に関して、1<b≦jの数bに対して(T(b−1)の屈折率)≦(T(b)の屈折率)の関係をもつモノマー屈折率上昇剤混合液T(1)〜T(j)を用いて、1≦y≦iの数yに対して、前記コア外側部の側面内側表面上に前記モノマー屈折率上昇剤混合液T(y)を投入し、前記コア外側部を長手軸方向を中心に回転させながら前記モノマー屈折率上昇剤混合液を重合させて略均一な厚さの層を形成する操作を、数yに対して1からjまで順に行い、前記コア外側部の側面内側表面上に、前記第2の数j層から成り且つ半径方向内側に向かって屈折率が上昇する屈折率分布を有するコア内側部を形成する第2のステップと、を含むことを特徴とするプラスチック光ファイバ母材の製造方法。 - 前記第1のステップが、前記コア外側部の形成に先立ち、中空の略円筒形状のクラッド部製造モールドの側面内側表面にモノマーを投入し、前記クラッド部製造モールドを長手軸方向を中心に回転させながら前記モノマーを重合させて、略均一な厚さを有する略円筒形状のクラッド部を形成するクラッド部製造操作を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック光ファイバ母材の製造方法。
- 前記屈折率降下剤と前記屈折率上昇剤との少なくとも一方が、ラジカル重合性を有し、且つ前記第1のステップ、前記第2のステップ、又は前記第1のステップ及び前記第2のステップにおける前記重合において、前記屈折率降下剤と前記屈折率上昇剤との少なくとも一方の、前記モノマー若しくは前記モノマーの重合物との反応速度が前記モノマー単独の重合速度と異なることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ母材の製造方法。
- 前記屈折率降下剤と前記屈折率上昇剤との少なくとも一方の分子における飽和及び不飽和の共有結合の数が、前記モノマーの分子における飽和及び不飽和の共有結合の数よりも多いことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ母材の製造方法。
- 前記クラッド部がメタクリル酸メチルを重合させた重合物から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ母材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24956794A JP3652390B2 (ja) | 1994-10-14 | 1994-10-14 | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24956794A JP3652390B2 (ja) | 1994-10-14 | 1994-10-14 | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08114715A JPH08114715A (ja) | 1996-05-07 |
JP3652390B2 true JP3652390B2 (ja) | 2005-05-25 |
Family
ID=17194929
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24956794A Expired - Lifetime JP3652390B2 (ja) | 1994-10-14 | 1994-10-14 | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3652390B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11119035A (ja) * | 1997-10-14 | 1999-04-30 | Sumitomo Wiring Syst Ltd | 屈折率分布型プラスチック光ファイバ用プリフォームの製造方法 |
KR100460720B1 (ko) * | 2002-05-22 | 2004-12-08 | 에스에스씨피 주식회사 | 플라스틱 광섬유 모재 및 이의 제조방법 |
JP4758774B2 (ja) * | 2006-01-24 | 2011-08-31 | 富士フイルム株式会社 | プラスチック光ファイバ素線の製造方法 |
JP6324979B2 (ja) * | 2013-09-30 | 2018-05-16 | 株式会社クラレ | 屈折率分布型プラスチック製ロッドの製造方法、屈折率分布型光ファイバの製造方法 |
JPWO2015046511A1 (ja) | 2013-09-30 | 2017-03-09 | 株式会社クラレ | プラスチック製イメージファイバ、及びその製造方法 |
-
1994
- 1994-10-14 JP JP24956794A patent/JP3652390B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08114715A (ja) | 1996-05-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3437848B2 (ja) | 屈折率分布型光ファイバ及びその製法 | |
US5614253A (en) | Plastic optical fiber preform, and process and apparatus for producing the same | |
US6429263B2 (en) | Method for fabricating a preform for a plastic optical fiber and a preform for a plastic optical fiber fabricated thereby | |
JP3719735B2 (ja) | 光ファイバー | |
JP2002505013A (ja) | 重合体光学製品 | |
KR20050006295A (ko) | 굴절율 분포형 광섬유의 제조 방법 | |
JP3652390B2 (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 | |
JP3657294B2 (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 | |
JPH1195045A (ja) | 屈折率分布型光ファイバ | |
US6563994B1 (en) | Object with radially-varying properties and apparatus and method of preparing the same | |
EP0844501A2 (en) | Plastic optical fibre with two cores | |
JPH08220350A (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法及びプラスチック光ファイバ | |
JPH08220348A (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法及びプラスチック光ファイバ | |
JPH08304634A (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法及びプラスチック光ファイバ | |
JPH08220349A (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法及びプラスチック光ファイバ | |
JPH08262240A (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 | |
JP3444317B2 (ja) | プラスチック光ファイバ | |
JP3574478B2 (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 | |
JPH0854520A (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法 | |
JPH08146259A (ja) | プラスチック光ファイバコードの製造方法 | |
JPH08146233A (ja) | プラスチック光ファイバの線引方法 | |
JPH0713029A (ja) | プラスチック光ファイバ母材の製造方法及び装置 | |
JP3719734B2 (ja) | プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー | |
JPH09138313A (ja) | 屈折率分布型プラスチック光ファイバの製造方法 | |
US20030091306A1 (en) | Rod type polymer preform having radially-varying properties, process for the preparation thereof and apparatus therefor |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 19950306 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20011001 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20030213 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20031125 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050223 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090304 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100304 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110304 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110304 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130304 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130304 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304 Year of fee payment: 9 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |