JPH08146259A - プラスチック光ファイバコードの製造方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバコードの製造方法

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JPH08146259A
JPH08146259A JP6280367A JP28036794A JPH08146259A JP H08146259 A JPH08146259 A JP H08146259A JP 6280367 A JP6280367 A JP 6280367A JP 28036794 A JP28036794 A JP 28036794A JP H08146259 A JPH08146259 A JP H08146259A
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optical fiber
plastic optical
cooling
fiber cord
manufacturing
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JP6280367A
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Inventor
Takeshi Nonaka
毅 野中
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性に優れ且つ伝送損失の小さなプラスチ
ック光ファイバコードを生産性良く製造する方法を提供
することを目的とする。 【構成】 本発明によるプラスチック光ファイバコード
の製造方法は、プラスチックファイバを所定の温度に冷
却する第1のステップと、第1のステップ終了の直後
に、押出し法によりプラスチック光ファイバを熱可塑性
樹脂を含む被覆材で被覆する第2のステップとを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック光ファイ
バコードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コア部及びクラッド部が共にプラスチッ
クから構成されるプラスチック光ファイバは、ガラスフ
ァイバに比べ加工や取扱いが容易で低コストであるた
め、その伝送損失が実質的に問題にされない程度に短距
離の光伝送路等として、多用されている。このような特
徴を有するプラスチック光ファイバは、LAN(local
area network)、ISDN(integrated service digit
al network)等の次世代通信網構想において、その重要
性が増大してきている。
【0003】プラスチック光ファイバとしては、図8に
模式的に示すように、階段状に変化する屈折率分布を有
するステップインデックス型(SI型)ファイバが既に
実用化されている。このSI型ファイバは、極く短距離
の伝送用として、電子機器内部の部品同士の伝送用等に
用いることができるが、伝送容量が少ないため、通信用
としては必ずしも適していない。
【0004】上記SI型ファイバに比較して時間当りの
情報量を多量に送ることが可能(伝送容量が多い)で、
通信用光伝送路としてより好適な特性を有する光ファイ
バとして、図9に模式的に示すように、半径方向に変化
するコア部屈折率分布を有するグレーデッドインデック
ス(GI)型光ファイバが提案されている。
【0005】プラスチック光ファイバを利用した光伝送
路等に用いるためのプラスチック光ファイバコードは、
一般には、コード布設時の張力にファイバが耐えられる
ようにポリアラミド繊維や繊維強化プラスチック等の抗
張力体が縦添えされ、更に保護のために熱可塑性樹脂等
の被覆物で被覆される構成を有する。
【0006】このようなプラスチック光ファイバコード
を製造する方法としては、ファイバと抗張力体とに被覆
物をかぶせてこれに電子線を照射し架橋反応させて被覆
する方法等が知られており、例えば、特開平2−223
905号に開示される方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記文献の方
法では、バッチ処理であるために、生産性を向上するこ
とが困難であった。
【0008】従って、本発明は、耐熱性に優れ且つ伝送
損失の小さなプラスチック光ファイバコードを生産性良
く製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、熱
可塑性樹脂の押出し法によりプラスチック光ファイバと
抗張力体とを被覆する方法を用い、このとき、プラスチ
ック光ファイバを所定の温度に冷却した直後に押出しを
行うことが、押出し時にプラスチック光ファイバが加熱
された場合にもプラスチック光ファイバコードの伝送損
失の上昇を抑制することを可能にし、これにより、プラ
スチック光ファイバコード製造時の生産性を良好にする
ことを見出した。
【0010】従って、本発明によるプラスチック光ファ
イバコードの製造方法は、プラスチック光ファイバを所
定の温度に冷却する第1のステップと、第1のステップ
が終了の直後に、プラスチック光ファイバを熱可塑性樹
脂を含む被覆材で押出し法により被覆する第2のステッ
プとを含むことを特徴とする。
【0011】また、本発明によるプラスチック光ファイ
バコードの製造方法は、第1のステップに先立ち、抗張
力体を縦添えする操作を行うことを特徴としてもよく、
又は、第2のステップが、抗張力体を縦添えする操作を
含むことを特徴としてもよい。
【0012】また、本発明によるプラスチック光ファイ
バコードの製造方法は、第2のステップが、第1のステ
ップの終了後5秒以内に開始されることを特徴としても
よい。
【0013】また、本発明によるプラスチック光ファイ
バコードの製造方法は、所定の温度が30℃以下である
ことを特徴としてもよい。
【0014】また、本発明によるプラスチック光ファイ
バコードの製造方法は、第1のステップにおいて、液体
を冷却のための媒体として用いて冷却することを特徴と
してもよく、更には、この液体が液体窒素であることを
特徴としてもよい。
【0015】また、本発明によるプラスチック光ファイ
バコードの製造方法は、第1のステップにおいて、気体
を冷却のための媒体として用いて冷却することを特徴と
してもよく、更には、この気体がヘリウムであることを
特徴といてもよい。
【0016】また、本発明によるプラスチック光ファイ
バコードの製造方法は、コア部が、中心から外側に向か
って漸次降下するグレーデッドインデックス型の屈折率
分布を有することを特徴としてもよい。
【0017】本発明のプラスチック光ファイバコードの
製造方法によれば、押出しの直前にファイバを冷却する
ことにより、押出しの過程で加熱溶融された被覆材から
プラスチック光ファイバが熱を受けても、プラスチック
光ファイバの温度は、伝送損失増を引き起こすファイバ
自身の収縮を生じる温度までは上昇しない。また、本発
明においては、被覆時の電子線照射が必須ではないた
め、高価で大掛かりな電子線照射装置を用いることなく
伝送損失の少ないプラスチック光ファイバコードを生産
することが可能となる。更には、このように電子線照射
を用いない態様においては、連続的な被覆処理の速度が
高くなれば架橋反応の効率が悪化し被覆の性能も劣化す
るという電子線照射を用いた場合に特有な生産性に対す
る制約を受けることがない。
【0018】以下、添付した図面を参照して、本発明を
更に詳細に説明する。尚、添付した図面において、同一
の要素には同一の番号を付し、重複する説明を省略す
る。
【0019】(プラスチック光ファイバ母材)図1は、
本発明のプラスチック光ファイバ母材1の構成の一態様
を示す模式斜視図である。図1を参照して、光ファイバ
母材1は、コア2と、該コア2より低い屈折率を有する
クラッド3とからなる。
【0020】(光ファイバ母材の製造方法)本発明の線
引方法に好適に用いることができる光ファイバ母材1の
製造方法については、既知の成型材料による押し出し法
等、あらゆる方法を特に制限なく用いることが可能であ
るが、光ファイバ母材1が図9に示されるようなGI型
の屈折率分布を有する母材である場合、該母材は、例え
ばクラッド部3に対応するプラスチック製中空回転体中
で、屈折率調整剤と、コア形成用のモノマーとを少なく
とも含む組成物を重合させて形成することができる。
【0021】このようなコア形成用の重合反応において
は、上記コア用モノマー由来のオリゴマーまたはポリマ
ー中における粘度上昇により、連鎖担体(chain carrie
r ;例えば、ポリマー成長ラジカル)の拡散が阻害され
る、いわゆる「ゲル効果」に基づき、上記コア用モノマ
ーが優先的に重合に供されるため、屈折率が低いポリマ
ーが先に(コア中心部から見て、より外部に)生成し、
図9に示されるようなGI型屈折率分布を有するコア部
2を得ることが可能となる。すなわち、ゲル効果によっ
て、コアの重合はコア、クラッド界面から中心に向かっ
て進むが、この際、屈折率調整剤はモノマーよりも分子
サイズが大きいために中心に集まることとなり、これに
基づきGI型の屈折率分布が形成される。
【0022】このようなコア形成用の重合反応において
は、光ファイバ母材1を形成するに際して、コア形成反
応に用いるべき「クラッド部3」は、コア部2とは別に
用意してもよく、また、それ自体を重合により得てもよ
い。クラッドを重合により形成する場合、上記したコア
形成反応は該クラッド形成反応と別個に行ってもよく、
クラッド形成反応と連続して行ってもよい。
【0023】このようなコア形成用の重合反応において
は、該クラッド部3は、例えば、中空の回転体形状を有
する容器内で重合反応を行うことにより得ることが可能
である。
【0024】次に、このようなコア形成用の重合反応に
おいて、クラッド3およびコア2をともに重合により形
成する場合に使用可能な方法には、例えば以下に述べる
ような方法がある。
【0025】まず最初に中空の円筒体(例えばガラス容
器)の中でクラッドを重合により形成する。より具体的
には、該中空円筒体の中に、クラッドを構成するモノマ
ーと重合開始剤とを少なくとも含むクラッド形成用組成
物を注入し、中空円筒体を回転させつつクラッドを形成
させる。
【0026】次いで、上記重合により形成した管状のク
ラッドを上記中空円筒体状の容器から取り出し、該クラ
ッド中に、少なくともコア形成用のモノマーと屈折率調
整剤と重合開始剤とを含むコア形成用組成物を注入して
コア重合を行う。
【0027】(クラッド用重合体)本発明の線引方法に
用いることのできる母材に関して、上記クラッド3を構
成すべき重合体A(屈折率:Na )に関しては、母材の
製造方法に関わらず、公知の透明な重合体を特に制限な
く使用することが可能であるが、例えば、メタクリル酸
メチルのホモポリマー(ポリメタクリル酸メチル:PM
MA)、ポリカーボネート(PC)、例えば、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとフェニルエ
ステルとのエステル交換反応により生成するポリカーボ
ネート;あるいは、メタクリル酸またはメタクリル酸メ
チルと他の単量体との透明な共重合体が使用可能であ
る。このような「他の単量体」としては、例えば、単官
能の(メタ)アクリレート類、フッ素化アルキル(メ
タ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類、
アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル系単量体;スチ
レン、クロロスチレン等のスチレン系単量体ないしこれ
らの塩化物等が好適に使用可能である。
【0028】上記した重合体の中でも、ポリメタクリル
酸メチル(屈折率n=1.490)、又はポリカーボネー
ト(特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパンと、フェニルエステルとのエステル交換反応によ
り生成するポリカーボネート(n=1.59))が特に好
適に使用可能である。
【0029】(コア用重合体)本発明の線引方法に用い
ることのできる母材に関し、上記コア2を構成すべき重
合体B(屈折率:Nb )としては、上記クラッド用重合
体と同様に、母材の製造方法に関わらず、公知の透明な
重合体を特に制限なく使用することが可能であるが、例
えば、メタクリル酸メチルのホモポリマー(ポリメタク
リル酸メチル:PMMA)、ポリカーボネート(P
C)、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンとフェニルエステルとのエステル交換反応
により生成するポリカーボネート、;あるいは、メタク
リル酸またはメタクリル酸メチル他の単量体との透明な
共重合体が使用可能である。このような「他の単量体」
としては、例えば、単官能の(メタ)アクリル酸類、フ
ッ素化アルキル(メタ)アクリレート類、多官能(メ
タ)アクリル酸類、アクリル酸、メタクリル酸等のアク
リル系単量体;スチレン、クロロスチレン等のスチレン
系単量体ないしこれらの塩化物等が好適に使用可能であ
る。
【0030】上記した重合体の中でも、ポリメタクリル
酸メチル(屈折率n=1.49)、又はポリカーボネート
(n=1.59)(特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンと、フェニルエステルとのエステル
交換反応により生成するポリカーボネート)が特に好適
に使用可能である。
【0031】(屈折率調整剤)本発明の線引方法に用い
ることのできる母材に関し、上記した重合体Bの屈折率
(Nb )を変化させる物質(屈折率調整剤)としては、
該重合体の屈折率と異なる屈折率(Nc )を有する材料
を特に制限なく使用可能である。
【0032】所望の屈折率分布を与え、且つ、上記重合
体Bと安定に共存することが可能である限り、屈折率調
整剤の分子量は特に制限されない。また、該屈折率調整
剤自体が重合性の官能基(例えば、ビニル基CH2 =C
H−等の不飽和重合性基)を有していてもよい。すなわ
ち、屈折率調整剤は単量体ないしはその混合物であって
もよく、またオリゴマーないしポリマーであってもよ
い。
【0033】本発明において、上記重合体Bをポリメタ
クリル酸メチル(PMMA)(Na=n=1.49)とし
た場合に、該重合体Bとの組合せにおいて好適に使用可
能な屈折率調整剤の具体例としては、例えばフタル酸ブ
チルベンジルエステル( =n=1.536)、酢酸2−
フェニルエチル(n=1.51)、フタル酸ジメチル(n
=1.515)、ジフェニルスルフィド(n=1.63
5)、安息香酸ベンジル、トリフェニルフォスフェー
ト、安息香酸ビニル(n=1.577)、ベンジルメタク
リレート(n=1.568)、フタル酸ジアリル(n=1.
518)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレ
ート(n=1.361)、酢酸ヘキシル(n=1.40
8)、フタル酸ビス(3,5,5−トリメチルヘキシ
ル)(n=1.478)、フタル酸ビス(2−メチルヘ
キシル)(n=1.486)等を例示することができ
る。上記した具体例中、安息香酸ビニル、ベンジルメタ
クリレート、フタル酸ジアリル及び2,2,2−トリフ
ルオロエチルメタクリレートは重合性の官能基を有する
屈折率調整剤である。
【0034】本発明においては、光ファイバ母材1線引
の際の作業性(線引時の断線防止、ないし母材加熱時の
硬さ)の点からは、該母材1のコア2とクラッド3とを
構成する高分子の、GPC(gel permeation chromatog
raphy )による重量平均分子量が、10, 000以上3
00, 000以下であることが好ましく、更には30,
000以上250, 000以下(更には50, 000以
上200, 000以下)であることが好ましい。
【0035】光ファイバ母材1のコア2とクラッド3と
を構成する高分子の重量平均分子量は、例えば、以下の
ようにして測定することが可能である。
【0036】(重量平均分子量の測定方法)平均分子量
を測定すべきプラスチック光ファイバ母材の全体を、テ
トラヒドロフラン(THF)に溶解して、濃度が0.1
mg/ml程度のTHF溶液とする。
【0037】このようにして得たTHF溶液を、必要に
応じてメンブレン・フィルター(例えば、ミリポア社の
メンブレン・フィルター)を通過させた後、GPC測定
系に導入してGPC分析を行い、該GPC分析結果に基
づき光ファイバ母材の重量平均分子量を求める。このG
PC分析の際には、例えば、以下の測定条件が好適に用
いられる。
【0038】 GPC装置:東ソー社製、商品名:HLC-8020 GPCカラム:東ソー社製、商品名:TSK gel 4000HXL TSK gel 2500HXL TSK gel 2000HXL(3本連結) (内径7.8mm×長さ300mm(1本当たり)) カラム槽温度:40℃ 移動相:THF 流量:1.0ml/min 検出器:RI(屈折率) データ処理装置:東ソー社製、商品名:CP−8000 本発明に用いることのできる母材の分子量は、特に制限
されないが、光ファイバ母材1線引の際の作業性(線引
時の断線防止、ないし母材加熱時の硬さ)の点からは、
コア2を構成する高分子の重量平均分子量(MR )は、
10, 000以上300, 000以下であることが好ま
しい。また、クラッド3を構成する高分子の重量平均分
子量(MD )も、10, 000以上300, 000以下
であることが好ましい。このようなコア2またはクラッ
ド3の重量平均分子量も、上記した母材1全体の重量平
均分子量と同様に測定することが可能である。
【0039】光ファイバ母材1線引の際の作業性(線引
時の断線防止、ないし母材加熱時の硬さ)の点からは、
上記MR とMD との比MD /MR は、0.8〜1.2程
度、更には0.9〜1.1程度であることが好ましい。
【0040】本発明において、上記分子量を得るための
方法は特に制限されないが、例えば、コア2および/又
はクラッド3の重合を、重合開始剤および/又は重合反
応を停止させる連鎖移動剤の存在下に行うことにより、
更には、該重合開始剤および/又は連鎖移動剤の量を調
整することにより、前記した特定の分子量を得ることが
できる。
【0041】(被覆材)本発明に使用することが可能な
被覆材の種類は、押出しの過程での加熱により成形でき
る程度の熱可塑性が得られる合成樹脂(即ち、熱可塑性
樹脂)又はこれを含むものであれば、特に制限はされな
い。このような熱可塑性樹脂としては、線形あるいは分
枝状の高分子が好適に使用可能であり、例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ポリ塩化ビ
ニリデン等が挙げられる。これらの高分子は、好ましく
は、メルトフローインデックス(ASTM1238)が
0.1〜20である熱可塑性を有するものが使用可能で
ある。
【0042】(抗張力体)本発明に使用可能な抗張力体
は、これを含むプラスチック光ファイバコードに所望の
抗張力を与えるものである限り、公知のものを特に制限
なく用いることができる。このような抗張力体として
は、例えば、ポリアラミド樹脂(例えば、デュポン社の
ケブラー)又はポリアラミド繊維、ガラス繊維や炭素繊
維等で強化したポリアラミド樹脂又はポリアラミド繊
維、あるいは、不飽和ポリエステル樹脂等の引き抜き成
形による繊維強化プラスチック等が好適に使用可能であ
る。
【0043】(プラスチック光ファイバコードの構成)
本発明のプラスチック光ファイバコードは、単心であっ
てもよくまた多心であってもよい。
【0044】本発明のプラスチック光ファイバコードに
おいては、抗張力体は、プラスチック光ファイバに縦添
えされる。ここで、「縦添え」とは、抗張力体の長手方
向がファイバの長手方向と略平行になるように、抗張力
体をファイバに対して配置することである。また、コー
ド1本につき抗張力体が1つのみ含まれてもよくまた複
数含まれていてもよい。また、多心コードの場合におい
ては、抗張力体はコードの中心附近に配置されファイバ
がその外側に配置されてもよく、又は、ファイバはコー
ドの中心附近に配置され抗張力体がその外側に配置され
てもよい。
【0045】(線引の好ましい態様)本発明に好適に使
用可能なプラスチック光ファイバの線引装置を示す図2
の縦断面図を参照しつつ説明する。尚、以下の図面にお
いては、説明の便宜のため、実際とは若干異なる縮尺を
用いる場合がある。また、本発明には図2に使用した装
置以外にも、公知のプラスチック光ファイバを製造する
ための線引き装置を特に制限なく用いることができる。
【0046】図2に示されるように、この態様のプラス
チック光ファイバの線引装置10は、線引炉12と、外
径モニタ14と、巻き取り手段16とから構成される。
【0047】線引炉12は、金属製のカバー20と、該
カバー20の上下にそれぞれ配置された上部円筒28と
下部円筒32とからなるハウジングを有する。線引炉1
2は、上記ハウジングと、その内部に配置された円管状
の炉心管22と、該炉心管22の外側に配置されたヒー
タ24と含む。
【0048】上記構成を有する線引装置10を用いて円
筒形状のプラスチック光ファイバ母材26を線引する場
合、該母材26は、後述するネックダウン部27を与え
るべきその先端部分を下にして、上部円筒28から下方
へ向かうように炉心管22の内側に挿入され、線引炉1
2内に配置される。
【0049】線引された母材の一部(すなわち、光ファ
イバ)が巻き取り手段16により巻き取られることによ
り、図2に示すように、光ファイバ母材26は、巻き取
られることによって生じたネックダウン部27を下にし
て、線引炉12内に配置されることとなる。
【0050】上記プラスチック光ファイバ母材26は、
通常はカバー20に完全に包囲されず、一部が上部円筒
28の上方に突き出たまま残った状態となっている。線
引炉12内の気密性を保つために、上部円筒28の上面
は、プラスチック光ファイバ母材26の外径とほぼ同等
の大きさの穴を有するリング30により、シールされて
いる。一方、下部円筒32の下面には、金属製のシャッ
ター34が備えられており、該シャッター34の中心付
近には、線引されたファイバが通過可能なように、小さ
な開口が設けられている。
【0051】上記した図2の線引装置を用いた場合、プ
ラスチック光ファイバ母材26はヒータ24によって加
熱され、一方、不活性なガスは、リング30を通過して
線引炉12内へ供給され、炉心管22内部を流れ母材2
6と接触する。加熱されて溶融した母材26は、所定の
速度で紡糸されてプラスチック光ファイバ38となり、
上記シャッター34の開口部を通過し、外径モニタ14
を通過してその外径が測定された後、巻き取り手段16
に巻き取られる。
【0052】(被覆の好ましい態様)図3は、本発明の
被覆の形成に好適に使用可能な装置の構成図である。図
3に示されるように、被覆形成装置40は、プラスチッ
ク光ファイバ38を供給するファイバサプライ42と、
プラスチック光ファイバを冷却するための冷却手段44
と、ファイバの温度を検出する温度検出手段45と、抗
張力体をファイバに縦添えするための抗張力体供給器4
6と、押出し法により被覆を形成する押出し装置48
と、被覆がなされたプラスチック光ファイバコードを冷
却するための冷却装置50と、ローラー52と、巻き取
り54とから構成される。
【0053】ここで、冷却手段を出たファイバがその温
度が上昇する前に(即ち冷却のステップが終了の直後
に)押出し装置に導入されるように、ラインの速度と冷
却手段−押出し装置間の距離を決めることが好ましい。
この場合、冷却手段を出たファイバが押出し装置に導入
されるまでの時間は、10秒間以下であればよく、好適
には5秒間以下、更に好適には3秒間以下である。ま
た、冷却手段44によって冷却された直後のプラスチッ
ク光ファイバの温度は、30℃以下であればよく、好適
には25℃以下、更に好適には20℃以下である。
【0054】尚、本発明による被覆の形成は、図7に示
されるように、線引から引続いて行う態様であってもよ
い。この態様のプラスチック光ファイバコード製造装置
は、線引き装置10と、これと同一のラインで引続いて
被覆を行う押出し被覆装置40とから成る。図7に示さ
れるように、このプラスチック光ファイバコード製造装
置100では、線引き装置10において母材26から線
引されたプラスチック光ファイバ38は、ローラー10
2を通って冷却手段44に直接導入されて、被覆が施さ
れる。
【0055】尚、ここに挙げたプラスチック光ファイバ
コード製造装置以外にも、押出し法による被覆装置を備
えた製造装置であって、上記に挙げた温度にプラスチッ
ク光ファイバを冷却することが可能な冷却手段を押出し
装置の直前に備えていれば、公知のプラスチック光ファ
イバコードの製造装置を特に制限なく本発明の実施に用
いることができる。
【0056】
【実施例】
(光ファイバ母材の作製)中空円筒形状のガラス管(外
径:17mm、内径:15mm、長さ:400mm)を
用意し、水平に保持した該ガラス管中に、クラッド形成
用モノマーたるメタクリル酸メチル(MMA)に重合開
始剤たる過酸化ベンゾイルを0.1重量%を添加して注
入し、ガラス管の両端をビニールテープでシールした。
次いで、該ガラス管を約4000rpmで回転させなが
ら、70℃で12時間加熱を行い、上記モノマーを重合
させてポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなるク
ラッドを形成した。
【0057】上記で形成したクラッド外側の上記ガラス
管を壊して取り除いた後、得られたクラッド管を水平に
保持し、該クラッド管の中に、メタクリル酸メチル10
0重量部に対し屈折率調整剤たるフタル酸ジブチルベン
ジルエステル25重量部添加した混合液に、重合開始剤
たる過酸化ベンゾイルを該混合液中のメタクリル酸メチ
ルに対して0.1重量%を添加して注入し、ビニールテ
ープでシールドした後、約1000rpmで回転させな
がら、70℃で12時間加熱を行い、上記モノマーを重
合させてポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる
コアを形成して、GI型プラスチック光ファイバ母材
(外径15mm、コア径12mm、長さ350mm)を
得た。このようにして作製された母材の全体をテトラヒ
ドロフラン(THF)に溶解してGPC分析を行い、該
GPC分析結果に基づき光ファイバ母材の重量平均分子
量を求めたところ、該分子量は100, 000であっ
た。
【0058】上記で得られたGI型プラスチック光ファ
イバ母材の半径方向に対する光屈折率分布を、NFP法
(測定装置:ヨーク社製、商品名:FCM−1000)
により測定したところ、図9のグラフに示すようなGI
型の屈折率分布が得られた。尚、この方法により作製さ
れた母材は、以下の全ての実施例及び全ての比較例にお
いて使用される。
【0059】(実施例1)プラスチック光ファイバをヘ
リウムガスで冷却した直後に被覆して、プラスチック光
ファイバコードを作製した。
【0060】以下、図2〜図6を参照して説明する。本
実施例では、次のようにプラスチック光ファイバコード
を作製した。まず、上述のように製造されたプラスチッ
ク光ファイバ母材を、図2に示される装置を用いて線引
きして、直径650μmのプラスチック光ファイバを得
た。得られたファイバは、巻き取り16に巻き取られた
状態で保管された。この際の線引きの条件は、炉心管の
温度が220℃、線引き速度が10m・min.-1であ
り、炉心管内にはヘリウムガスを流通させていた。尚、
この線引きの条件は、以下全ての実施例及び比較例にお
いて共通して用いられる。このようにして得られたプラ
スチック光ファイバの屈折率分布を調べたところ、図9
に示されるようなグレーデッドインデックス(GI)型
の分布を持つことがわかった。
【0061】次に、図3に示されるプラスチック光ファ
イバコード製造装置を用いて、このプラスチック光ファ
イバを用いたコードを作製した。本実施例の場合は、図
2に示される巻き取り16を、そのままファイバサプラ
イ42として用いた。図3に示されるように、ファイバ
サプライ42から供給されたプラスチック光ファイバ3
8は、冷却手段44に導入される。本実施例では、冷却
手段44は、図6(b)に示されるような、ヘリウムガ
スを用いた冷却であった。即ち、図6(b)に示される
ように、プラスチック光ファイバ38は、液体ヘリウム
が充填されたボンべ78から噴射されるヘリウムガス
(79で図示)により直接冷却された。
【0062】図3に示されるように、ヘリウムガスによ
って冷却されたプラスチック光ファイバ38は、冷却温
度を検出するための温度検出手段45に導入された。図
5(b)は、本実施例において用いられた温度検出手段
45の斜視図である。図5(b)に示されるように、温
度検出手段45は、中央にファイバを通すための穴が開
いた、非接触式の温度センサ69(東京精工社製TH−
BM型、以下全ての実施例において使用)により構成さ
れる。温度センサ69によって検出された温度は、電気
信号の形で測定部(図示せず)に送られて温度の測定が
なされる。本実施例では、温度検出手段によって検出さ
れたプラスチック光ファイバの温度は、約28℃であっ
た。
【0063】図3に示されるように、冷却手段44によ
り冷却されたプラスチック光ファイバは、抗張力体供給
器46に導入された。この際、ファイバが冷却手段44
から出て抗張力体供給器46に入るまでの時間は、約5
秒間であった。抗張力体供給器の詳細は、図5(a)の
斜視図で示される。図5(a)に示されるように、抗張
力体供給器46は、支持板65と、ボビン66a及び6
6bと、ローラー67a及び67bとから成る。尚、図
5(a)では、支持板65はボビン及びローラーを2個
づつ有する形態のものを図示しているが、ボビン及びロ
ーラーは使用する抗張力体の種類及び求めるコードの抗
張力に応じて、1〜6個程度有していればよい。本実施
例では、抗張力体にはポリアラミド繊維(商品名:ケブ
ラー、デュポン社製)を単体で用いた。以下、全ての実
施例及び比較例においてこの抗張力体を用いる。抗張力
体68は供給された後、プラスチック光ファイバ38と
共に被覆されて、巻き取り54に巻き取られた。
【0064】図5(a)に示されるように、抗張力体で
あるポリアラミド繊維68はボビン66a及び66bか
ら、ローラー67a及び67bを介して、抗張力体供給
器46に導入されたプラスチック光ファイバ38に対し
て略平行となるように供給された。この時、プラスチッ
ク光ファイバ38の供給速度と抗張力体68の供給速度
とは、共に同じ巻き取りに巻き取られていたためにほぼ
等しかった。
【0065】図4(a)は、押出し法により被覆を形成
するための押出し装置の側面図であり、図4(b)は、
押出し装置の上面図である。図4(a)及び図4(b)
に示されるように、押出し装置48は、ペレット状の樹
脂を供給するためのホッパ60と、内部にスクリュー6
3を有し且つ加熱のためのジャケット(図示せず)を具
備する押出し装置バレル61と、ファイバを通すための
開口621とファイバが被覆される押出しダイ64とを
具備するクロスヘッド62とから成る。
【0066】図4(a)及び(b)に示されるように、
ホッパ60にポリ塩化ビニル(PVC)のペレットが供
給された。スクリュー63を作動させて、PVCペレッ
トはバレル61の中をクロスヘッドの方向に移動され
た。このとき、バレル61の中は約180℃の温度に加
熱されていたため、PVCはバレル61の中で溶融した
状態でクロスヘッド62へ送りだされる。開口621を
通ってクロスヘッド62に導入されたプラスチック光フ
ァイバ38(ここでは、抗張力体が縦添えされたプラス
チック光ファイバも併せてプラスチック光ファイバと称
する)は、押出しダイ64の中で、溶融したPVCによ
り被覆された。
【0067】図3に示されるように、PVCによる被覆
がなされたプラスチック光ファイバコード38は、冷却
装置50に導入された。図6(a)は、冷却装置50の
斜視図である。図6(a)に示されるように、冷却装置
50は、冷却水を冷却装置に導入するための導入管73
と、冷却水を排出するための排出管74と、コードを冷
却装置内に導入するための開口75とを具備する。導入
管73により矢印76の方向に供給された冷却水は、冷
却装置50の内部でコード38と直接接触してコード3
8を冷却し、排出管74を通って矢印77のように冷却
装置50から排出された。
【0068】被覆が形成された後に冷却されたコード3
8は、ローラー52を介して、巻き取り54により巻き
取られた。
【0069】このようにして製造されたプラスチック光
ファイバコードの伝送損失は、カットバック法(測定装
置名:AQ−6315B、安藤電気社製)によって測定
された。尚、以下の全ての実施例及び比較例においてプ
ラスチック光ファイバコードの伝送損失の測定には、こ
の方法及び装置を用いる。本実施例において製造された
プラスチック光ファイバコードの伝送損失は、波長65
0nmにおいて、200dB/kmであった。
【0070】(実施例2)前述のプラスチック光ファイ
バ母材を、図2に示される装置を用いて実施例1と同一
の条件で線引きを行い、図9に示されるようなGI型の
屈折率分布を持つプラスチック光ファイバを製造した。
そして、図3に示される装置を用い、冷却手段44にお
いては液体窒素で直接プラスチック光ファイバを冷却し
た直後にこれを被覆して、プラスチック光ファイバコー
ドを作製した。
【0071】本実施例では、冷却手段44に冷却装置5
0と同一の構成をもつ装置を用いた。図6(a)に示さ
れるように、本実施例の冷却手段は、液体の冷却媒体を
冷却装置に導入するための導入管73と、冷却媒体を排
出するための排出管74と、ファイバを冷却装置内に導
入するための開口75とを具備する。導入管73により
矢印76の方向に供給された冷却媒体は、冷却装置50
の内部でファイバ38と直接接触してファイバ38を冷
却し、排出管74を通って矢印77のように冷却装置5
0から排出される。本実施例では、冷却媒体として液体
窒素を冷却手段44の冷却装置50内に流通させて、プ
ラスチック光ファイバを冷却した後、温度検出手段45
で検出されたファイバの温度は、25℃であった。冷却
手段44から出た後抗張力体供給器46に入るまでの時
間は、約5秒間であった。
【0072】更に、実施例1と同様に抗張力体(ポリア
ラミド繊維)を縦添えして押出し装置48にてPVCで
被覆が施されたプラスチック光ファイバコードは、冷却
装置50にて冷却され、ローラー52を介して、巻き取
り54により巻き取られた。本実施例のプラスチック光
ファイバコードの伝送損失を、実施例1と同様に測定し
たところ、波長650nmに対して210dB/kmで
あった。
【0073】(実施例3)本実施例では、線引きと押出
しによる被覆とを同一のラインで連続して行い、プラス
チック光ファイバコードを作製した。
【0074】図7は、本実施例で用いたプラスチック光
ファイバコードの製造装置の構成図である。図7に示さ
れるように、本発明に用いたプラスチック光ファイバコ
ードの製造装置100は、線引き装置10と被覆形成装
置40とから成る。図7に示される線引き装置10は、
図2に示される線引き装置10と同一の構成を有する。
また、図7に示される被覆形成装置40は、図3に示さ
れる被覆形成装置40と同一の構成を有する。
【0075】本実施例のプラスチック光ファイバコード
の作製は、以下の通りである。図7に示されるように、
まず、上述のように作製されたプラスチック光ファイバ
母材26を、線引き装置10のカバー20内に包含され
ている炉心管22の内部に挿入し、不活性なガスを矢印
29の方向に流しつつ、ヒータ24により母材26を加
熱し、ローラー102の方向へ線引きした。この際、実
施例1と同一の条件で線引きを行った。線引きされたプ
ラスチック光ファイバ38の屈折率分布を調べたとこ
ろ、図9に示されるようなGI型の屈折率分布を持つこ
とがわかった。
【0076】続いて、線引きされたプラスチック光ファ
イバ38は、ローラー102を介して冷却手段44に導
入された。本実施例では、冷却手段44においては図6
(b)に示されるような、実施例1でなされた冷却操作
と同一のヘリウムガスによる冷却を行った。冷却手段4
4において冷却されたファイバ38の温度は、温度検出
手段において27℃で検出された。冷却手段44を出た
後、約5秒後には抗張力体供給器46に導入された。そ
して、ポリアラミド繊維が縦添えされた後、押出し装置
48にてPVCの被覆を施された。押出し装置48にて
PVCで被覆が施されたプラスチック光ファイバコード
は、冷却装置50にて冷却され、ローラー52を介し
て、巻き取り54により巻き取られた。
【0077】本実施例のプラスチック光ファイバコード
の伝送損失を、実施例1と同様に測定したところ、波長
650nmに対して190dB/kmであった。
【0078】(比較例1〜2)本発明に従って実施され
た上記実施例との比較のため、図2に示される被覆形成
装置40において冷却装置44のみを用いずに使用した
例を比較例1、図7に示されるプラスチック光ファイバ
製造装置100において冷却装置44のみを用いずに使
用した例を比較例2として実施した。
【0079】比較例1においては、プラスチック光ファ
イバ38に対して冷却装置44を用いた冷却操作を行わ
なかった以外は、全て実施例1及び2と同じ操作で、線
引きを行ってファイバを作製した後、別のラインで被覆
を行いプラスチック光ファイバコードを作製した。また
同様に、比較例2においては、プラスチック光ファイバ
38に対して冷却装置44を用いた冷却操作を行わなか
った以外は、全て実施例3と同じ操作で、線引きと被覆
とを同一のラインで行いプラスチック光ファイバコード
を作製した。
【0080】温度検出手段45で検出されたファイバ3
8の温度は、比較例1では100℃、比較例2では10
5℃であった。比較例1及び比較例2で作製されたプラ
スチック光ファイバコードをそれぞれ、上記実施例1〜
3と同じ方法でそれらの伝送損失を測定した。比較例1
で得られたプラスチック光ファイバコードの伝送損失
は、波長650nmに対して400dB/km、比較例
2で得られたプラスチック光ファイバコードの伝送損失
は、波長650nmに対して350dB/kmであっ
た。
【0081】比較例1と実施例1及び実施例2とを比較
すれば、押出しによる被覆の直前にファイバを冷却した
実施例1及び2にて得られたコードの伝送損失は200
〜210dB/kmであったのに対し、冷却を行わなか
った比較例1では、コードの伝送損失は400dB/k
mであった。同様に、冷却を行わなかった比較例2では
伝送損失が350dB/kmであったのに対して、冷却
を行った実施例3では190dB/kmであった。
【0082】従って、これらの結果から、プラスチック
光ファイバを被覆してプラスチック光ファイバコードを
製造する際に、加熱を伴う押出し法による被覆操作の直
前にプラスチック光ファイバを冷却することにより、フ
ァイバの伝送損失を大きく損なうことなくプラスチック
光ファイバコードを製造することが可能であることが示
された。
【0083】
【発明の効果】以上詳細に説明してきたように、本発明
のプラスチック光ファイバコードの製造方法によれば、
加熱を伴う押出し法による被覆操作の直前にプラスチッ
ク光ファイバを冷却することにより、伝送損失に影響を
与えるファイバ自身の収縮を抑えることができる。
【0084】従って、伝送損失を損なうことなく、耐熱
性に優れたプラスチック光ファイバコードを生産性良く
製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適に使用可能なプラスチック光ファ
イバ母材の一態様を示す模式斜視図である。
【図2】本発明に好適に使用可能なプラスチック光ファ
イバの線引き装置の断面図である。
【図3】本発明に好適に使用可能なプラスチック光ファ
イバコード製造装置の構成図である。
【図4】本発明に好適に使用可能なプラスチック光ファ
イバコード製造装置の押出し装置であり、(a)は押出
し装置の側面図、(b)は押出し装置の断面図である。
【図5】(a)は本発明に好適に使用可能なプラスチッ
ク光ファイバコード製造装置の抗張力体供給器の斜視図
であり、(b)は本発明に好適に使用可能なプラスチッ
ク光ファイバコード製造装置の温度検出手段の斜視図で
ある。
【図6】本発明に好適に使用可能なプラスチック光ファ
イバコード製造装置のコードのための冷却装置及びファ
イバのための冷却手段であり、(a)はコードのための
冷却装置及び冷却媒体に液体を用いる場合の冷却手段の
斜視図であり、(b)は冷却媒体に気体を用いる場合の
冷却手段の斜視図である。
【図7】本発明に好適に使用可能なプラスチック光ファ
イバコード製造装置の構成図であり、線引き装置と被覆
形成装置とが同一のラインで連続して処理される製造装
置である。
【図8】ステップインデックス(SI)型ファイバの屈
折率分布を表すグラフである。
【図9】グレーデッドインデックス(GI)型ファイバ
の屈折率分布を表すグラフである。
【符号の説明】
1,26…母材、2…コア部、3…クラッド部、10…
線引き装置、12…線引き炉、14…外径モニタ、1
6,54巻き取り、20…カバー、22…炉心管、24
…ヒータ、27…ネックダウン、28…上部円筒、29
…矢印、30…リング、32…下部円筒、34…シャッ
ター、38…プラスチック光ファイバ、40…被覆形成
装置、42…ファイバサプライ、44…冷却手段、45
…温度検出手段、46…抗張力体供給器、48…押出し
装置、50…冷却装置、52…ローラー、60…ホッ
パ、61…押出し装置バレル、62…クロスヘッド、6
21…開口、63…スクリュー、64…押出しダイ、6
5…支持板、66a,b…ボビン、67a,b…ローラ
ー、68…抗張力体、69…温度センサ、73…導入
管、74…排出管、75…開口、76,77…矢印、7
8…ボンベ、79…ヘリウムガス、100…プラスチッ
ク光ファイバコード製造装置、102…ローラー。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア部と該コア部の中心部の屈折率より
    低い屈折率を有するクラッド部とを含むプラスチック光
    ファイバと、抗張力体とを備えるプラスチック光ファイ
    バコードを製造する方法であって、 プラスチック光ファイバを所定の温度に冷却する第1の
    ステップと、 第1のステップが終了の直後に、前記プラスチック光フ
    ァイバを熱可塑性樹脂を含む被覆材で押出し法により被
    覆する第2のステップとを含むことを特徴とするプラス
    チック光ファイバコードの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1のステップに先立ち、前記抗張
    力体を縦添えする操作を行うことを特徴とする請求項1
    に記載のプラスチック光ファイバコードの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2のステップが、前記抗張力体を
    縦添えする操作を含むことを特徴とする請求項1に記載
    のプラスチック光ファイバコードの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2のステップが、前記第1のステ
    ップの終了後5秒以内に開始されることを特徴とする請
    求項1に記載のプラスチック光ファイバコードの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記所定の温度が30℃以下であること
    を特徴とする請求項1に記載のプラスチック光ファイバ
    コードの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1のステップにおいて、液体を冷
    却のための媒体として用いて冷却することを特徴とする
    請求項1に記載のプラスチック光ファイバコードの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記液体が液体窒素であることを特徴と
    する請求項6に記載のプラスチック光ファイバコードの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1のステップにおいて、気体を冷
    却のための媒体として用いて冷却することを特徴とする
    請求項1に記載のプラスチック光ファイバコードの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記気体がヘリウムであることを特徴と
    する請求項8に記載のプラスチック光ファイバコードの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記コア部が、中心から外側に向かっ
    て漸次降下するグレーデッドインデックス型の屈折率分
    布を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに
    記載のプラスチック光ファイバコードの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100384366B1 (ko) * 2000-10-04 2003-05-22 주식회사 코오롱 연속적 굴절율 분포를 갖는 플라스틱 광섬유의 제조방법
WO2004107005A1 (ja) * 2003-05-27 2004-12-09 Asahi Glass Company, Limited 光ファイバケーブルの製造方法、および光ファイバケーブル
WO2004107004A1 (ja) * 2003-05-27 2004-12-09 Asahi Glass Company, Limited 光ファイバケーブルおよびその製造方法
JP2018205689A (ja) * 2017-06-02 2018-12-27 株式会社フジクラ 光ファイバケーブル
US11048054B2 (en) 2017-06-02 2021-06-29 Fujikura Ltd. Optical fiber cable and method of manufacturing optical fiber cable

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