JPH0894860A - プラスチック光ファイバの線引方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバの線引方法

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JPH0894860A
JPH0894860A JP6235168A JP23516894A JPH0894860A JP H0894860 A JPH0894860 A JP H0894860A JP 6235168 A JP6235168 A JP 6235168A JP 23516894 A JP23516894 A JP 23516894A JP H0894860 A JPH0894860 A JP H0894860A
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optical fiber
plastic optical
preform
fiber
core
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JP6235168A
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Inventor
Takeshi Nonaka
毅 野中
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長手方向の線径の変動が少ないプラスチック
光ファイバを簡便に製造する方法を提供する。 【構成】 コア部と、該コア部より低い屈折率を有する
クラッド部とを含むプラスチック光ファイバ母材を炉芯
管内で加熱し、溶融させてプラスチック光ファイバを線
引するに際し、前記炉芯管内に窒素ガスを1.4(m・
min.-1)以上の見掛け流速で流しつつ、線引を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック光ファイ
バの線引方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コア部及びクラッド部が共にプラスチッ
クから構成されるプラスチック光ファイバは、ガラスフ
ァイバに比べ加工や取扱いが容易で低コストであるた
め、その伝送損失が実質的に問題にされない程度に短距
離の光伝送路等として、多用されている。このような特
徴を有するプラスチック光ファイバは、LAN(local
area network)、ISDN(integrated service digit
al network)等の次世代通信網構想において、その重要
性が増大してきている。
【0003】プラスチック光ファイバとしては、図7に
模式的に示すように、階段状に変化する屈折率分布を有
するステップインデックス型(SI型)ファイバが既に
実用化されている。このSI型ファイバは、極く短距離
の伝送用として、電子機器内部の部品同士の伝送用等に
用いることができるが、伝送容量が少ないため、通信用
としては必ずしも適していない。
【0004】上記SI型ファイバに比較して時間当りの
情報量を多量に送ることが可能(伝送容量が多い)で、
通信用光伝送路としてより好適な特性を有する光ファイ
バとして、図8に模式的に示すように、半径方向に変化
するコア部屈折率分布を有するグレーデッドインデック
ス(GI)型光ファイバが提案されている。
【0005】従来より、プラスチック光ファイバの製造
方法としては、まずコア材を所定の径に紡糸し、このよ
うに紡糸したコア材の上にクラッド材をコーティングに
より被覆していくことにより、前記したSI型プラスチ
ック光ファイバを作製する方法が知られている(例え
ば、特開平4−124602号公報)。しかしながら、
このようなコーティングを用いて前記したGI型プラス
チック光ファイバを作製しようとすると、半径方向に屈
折率が変化するコア部を形成するに際して、まず屈折率
の高い小さな径のコア中心部を紡糸し、該コア中心部の
表面上に屈折率を少しづつ低下させたコーティングを多
層にわたって塗布する必要がある。したがって、コーテ
ィングによりGI型プラスチック光ファイバを製造する
工程は大変煩雑なものとなる。
【0006】一方、コアとクラッドとから成るGI型プ
ラスチック光ファイバ母材をあらかじめ形成し、これを
加熱溶融により線引きしてファイバ化する方法を用いた
場合には、煩雑な工程を用いることなく外径の異なる種
々のGI型プラスチック光ファイバを作製することが可
能となるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな母材の線引により製造された従来のプラスチック光
ファイバにおいては、その線径がファイバの長手方向に
関して変動するという問題があった。このようなファイ
バ線径の変動が生じた場合、作製されたプラスチック光
ファイバをコネクタ等と接続するに際して、該ファイバ
をフェルール(ferrule 、光ファイバ固定用部品)の中
心に緊密に固定することが困難となったり、ファイバの
フェルールへの挿入が困難となるという問題が、しばし
ば生じていた。
【0008】従って、本発明の目的は、長手方向に関す
る線径の変動を抑制したプラスチック光ファイバの線引
方法を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、コネクター取り付け
等の際、フェルールへの挿入・固定化が容易なプラスチ
ック光ファイバを製造可能なプラスチック光ファイバの
線引方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、プラスチッ
ク光ファイバの線径が長手方向に変動する原因について
鋭意検討した結果、母材表面の温度変動が、ファイバ線
径の変動に重要な影響を与えていることを見出した。本
発明者は、更に、線引炉内で母材の酸化を防止するた
め、母材に対して流している窒素等のガス(母材に化学
変化を生じさせないガス;以下「不活性なガス」とい
う)が、母材表面からの熱移動に大きく寄与しているこ
とを見出した。
【0011】本発明者は、上記発見に基づき更に実験と
試作とを重ねた結果、母材のネックダウン(母材の線引
方向先端の、通常は略円錐形状を有している箇所)部分
で不活性なガスが滞留した場合に、該ネックダウン部分
の表面温度が周方向で不均一になることを見出した。
【0012】本発明のプラスチック光ファイバの線引方
法(第1の態様)は上記知見に基づくものであり、より
詳しくは、コア部と、該コア中心部より低い屈折率を有
するクラッド部とを含むプラスチック光ファイバ母材を
炉芯管内で加熱し、溶融させてプラスチック光ファイバ
を線引するに際し、炉芯管内に窒素ガスを1.4(m・
min.-1)以上の見掛け流速で流しつつ線引を行うこ
とを特徴とする。
【0013】本発明者の知見によれば、母材が内部に配
置された炉芯管を流れる窒素ガスの見掛け流速が1.4
(m・min.-1)以上である場合、母材(通常、略円
筒形状)の上記した「ネックダウン部」(通常、略円錐
形状)付近でガスは滞留なく流れるため、該ガスによる
母材表面からの熱移動が経時的に安定して、表面温度が
母材の周方向に関して均一化するものと推定される。こ
こに、ガスの「見掛け流速」(単位:m・min.-1
とは、該ガスの流量(単位:cm3 min.-1)を、炉
芯管の半径方向断面積(cm2 )で除した値(有効桁2
桁)をいう。
【0014】本発明者は、更に、上記した不活性なガス
として熱伝導率の低いガスを用いた場合には、母材の表
面温度が周方向に不均一になり易いこと、したがって表
面温度の周方向の不均一化を防止するためには、約0.
1(kcal.・m-1hr-1-1)以上の比較的高い熱
伝導率をもつガスを用いることが、極めて効果的なこと
を見出した。
【0015】本発明のプラスチック光ファイバの線引方
法(第2の態様)は上記知見に基づくものであり、より
詳しくは、コア部と、該コア中心部より低い屈折率を有
するクラッド部とを含むプラスチック光ファイバ母材を
炉芯管内で加熱し、溶融させてプラスチック光ファイバ
を線引するに際し、炉芯管内にヘリウムガスを流しつつ
線引を行うことを特徴とするものである。
【0016】上記した本発明の第2の態様においては、
約0.18(kcal.・m-1hr-1-1)の熱伝導率
を有し且つ化学的に安定なヘリウムガスを炉芯管内に流
すことにより、該ガスによる母材表面からの熱移動が経
時的に安定するため、表面温度が母材の周方向に関して
均一化(表面温度の場所依存性が減少)する。
【0017】本発明のプラスチック光ファイバの線引方
法(第1および第2の態様)は、プラスチック光ファイ
バ母材コア部の光屈折率が、コア部の中心部を最大とし
該母材の半径方向外側に向って減少するGI型(グレー
デッドインデックス型)である場合に、特に効果的であ
る。
【0018】以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本
発明を詳細に説明する。以下の図面においては、一部重
複する要素には同一ないし類似した符号を付すること
し、該図面に関する記載においては、重複する説明は省
略する。
【0019】(プラスチック光ファイバ母材)図1は、
本発明のプラスチック光ファイバ母材1の構成の一態様
を示す模式斜視図である。図1を参照して、光ファイバ
母材1は、コア2と、該コア2の中心部より低い屈折率
を有するクラッド3とからなる。
【0020】(光ファイバ母材の製造方法)本発明の線
引方法に好適に用いることができる光ファイバ母材1を
製造する方法については、既知の成型材料による押し出
し法等、あらゆる方法を特に制限なく用いることができ
るが、光ファイバ母材1がGI型の屈折率分布を有する
母材である場合、該母材は、例えば、屈折率調整剤と、
コア形成用のモノマーとを少なくとも含む組成物を重合
させて形成することができる。
【0021】このようなコア形成用の重合反応において
は、例えば、上記コア用モノマー由来のオリゴマーまた
はポリマー中における粘度上昇により、連鎖担体(chai
n carrier ;例えば、ポリマー成長ラジカル)の拡散が
阻害される、いわゆる「ゲル効果」を利用することによ
り、図8に示すようなGI型屈折率分布を有するコア部
2を得てもよい。
【0022】このようなコア形成用の重合反応において
は、光ファイバ母材1を形成するに際して、コア形成反
応に用いるべき「クラッド部3」は、コア部2とは別に
用意してもよく、また、それ自体を重合により得てもよ
い。クラッドを重合により形成する場合、上記したコア
形成反応は該クラッド形成反応と別個に行ってもよく、
クラッド形成反応と連続して行ってもよい。
【0023】このようなコア形成用の重合反応において
は、該クラッド部3は、例えば、中空の回転体形状を有
する容器内で重合反応を行うことにより得ることが可能
である。
【0024】次に、このようなコア形成用の重合反応に
おいて、クラッド3およびコア2をともに重合により形
成する場合に使用可能な方法には、例えば、以下に述べ
るような方法がある。
【0025】まず最初に中空の円筒体(例えばガラス容
器)の中でクラッドを重合により形成する。より具体的
には、該中空円筒体の中に、クラッドを構成するモノマ
ーと重合開始剤とを少なくとも含むクラッド形成用組成
物を注入し、中空円筒体を回転させつつクラッドを形成
させる。
【0026】次いで、上記重合により形成した管状のク
ラッドを上記中空円筒体状の容器から取り出し、該クラ
ッド中に、少なくともコア形成用のモノマーと屈折率調
整剤と重合開始剤とを含むコア形成用組成物を注入して
コア重合を行う。
【0027】(クラッド用重合体)本発明の線引方法に
用いることのできる母材に関して、上記クラッド3を構
成すべき重合体A(屈折率:Na )に関しては、母材の
製造方法に関わらず、公知の透明な重合体を特に制限な
く使用することが可能であるが、例えば、メタクリル酸
メチルのホモポリマー(ポリメタクリル酸メチル:PM
MA)、ポリカーボネート、例えば、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパンとフェニルエステルと
のエステル交換反応により生成するポリカーボネート;
あるいは、メタクリル酸またはメタクリル酸メチルと他
の単量体との透明な共重合体が使用可能である。このよ
うな「他の単量体」としては、例えば、単官能の(メ
タ)アクリレート類、フッ素化アルキル(メタ)アクリ
レート類、多官能(メタ)アクリレート類、アクリル
酸、メタクリル酸等のアクリル系単量体;スチレン、ク
ロロスチレン等のスチレン系単量体ないしこれらの塩化
物等が好適に使用可能である。
【0028】上記した重合体の中でも、ポリメタクリル
酸メチル(屈折率n=1.49)、又はポリカーボネート
(特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パンと、フェニルエステルとのエステル交換反応により
生成するポリカーボネート(n=1.59))が特に好適
に使用可能である。
【0029】(コア用重合体)本発明の線引方法に用い
ることのできる母材に関し、上記コア2を構成すべき重
合体B(屈折率:Nb )としては、上記クラッド用重合
体と同様に、母材の製造方法に関わらず、公知の透明な
重合体を特に制限なく使用することが可能であるが、例
えば、メタクリル酸メチルのホモポリマー(ポリメタク
リル酸メチル:PMMA)、ポリカーボネート(P
C)、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンとフェニルエステルとのエステル交換反応
により生成するポリカーボネート、;あるいは、メタク
リル酸またはメタクリル酸メチル他の単量体との透明な
共重合体が使用可能である。このような「他の単量体」
としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート類、
フッ素化アルキル(メタ)アクリレート類、多官能(メ
タ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸等のア
クリル系単量体;スチレン、クロロスチレン等のスチレ
ン系単量体ないしこれらの塩化物等が好適に使用可能で
ある。
【0030】上記した重合体の中でも、ポリメタクリル
酸メチル(屈折率n=1.49)、又はポリカーボネート
(n=1.59)(特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンと、フェニルエステルとのエステル
交換反応により生成するポリカーボネート)が特に好適
に使用可能である。
【0031】(屈折率調整剤)本発明の線引方法に用い
ることのできる母材に関し、上記した重合体Bの屈折率
(Nb )を変化させる物質(屈折率調整剤)としては、
該重合体の屈折率と異なる屈折率(Nc )を有する材料
を特に制限なく使用可能である。
【0032】所望の屈折率分布を与え、且つ、上記重合
体Bと安定に共存することが可能である限り、屈折率調
整剤の分子量は特に制限されない。また、該屈折率調整
剤自体が重合性の官能基(例えば、ビニル基CH2 =C
H−等の不飽和重合性基)を有していてもよい。すなわ
ち、屈折率調整剤は単量体ないしはその混合物であって
もよく、またオリゴマーないしポリマーであってもよ
い。
【0033】本発明において、上記重合体Bをポリメタ
クリル酸メチル(PMMA)(Na=n=1.49)とし
た場合に、該重合体Bとの組合せにおいて好適に使用可
能な屈折率調整剤の具体例としては、例えばフタル酸ブ
チルベンジルエステル(これをメタクリル酸メチルに添
加して重合したポリマーの屈折率Nb =n=1.536、
以下同様)、酢酸2−フェニルエチル(n=1.51)、
フタル酸ジメチル(n=1.515)、ジフェニルスルフ
ィド(n=1.635)、安息香酸ベンジル、トリフェニ
ルフォスフェート、安息香酸ビニル(n=1.577)、
ベンジルメタクリレート(n=1.568)、フタル酸ジ
アリル(n=1.518)等を例示することができる。上
記した具体例中、安息香酸ビニル、ベンジルメタクリレ
ート、フタル酸ジアリルは重合性の官能基を有する屈折
率調整剤である。好適なGI型屈折率分布を形成可能で
ある限り、屈折率調整剤の使用量は特に制限されない。
【0034】本発明においては、光ファイバ母材1線引
の際の作業性(線引時の断線防止、ないし母材加熱時の
硬さ)の点からは、該母材1のコア2とクラッド3とを
構成する高分子の、GPC(gel permeation chromatog
raphy )による重量平均分子量が、10, 000以上3
00, 000以下であることが好ましく、更には30,
000以上250, 000以下(更には50, 000以
上200, 000以下)であることが好ましい。
【0035】光ファイバ母材1のコア2とクラッド3と
を構成する高分子の重量平均分子量は、例えば、以下の
ようにして測定することが可能である。
【0036】(重量平均分子量の測定方法)平均分子量
を測定すべきプラスチック光ファイバ母材の全体を、テ
トラヒドロフラン(THF)に溶解して、濃度が0.1
mg/ml程度のTHF溶液とする。
【0037】このようにして得たTHF溶液を、必要に
応じてメンブレン・フィルター(例えば、ミリポア社の
メンブレン・フィルター)を通過させた後、GPC測定
系に導入してGPC分析を行い、該GPC分析結果に基
づき光ファイバ母材の重量平均分子量を求める。このG
PC分析の際には、例えば、以下の測定条件が好適に用
いられる。
【0038】 GPC装置:東ソー社製、商品名:HLC-8020 GPCカラム:東ソー社製、商品名:TSK gel 4000HXL TSK gel 2500HXL TSK gel 2000HXL(3本連結) (内径7.8mm×長さ300mm(1本当たり)) カラム槽温度:40℃ 移動相:THF 流量:1.0ml/min 検出器:RI(屈折率) データ処理装置:東ソー社製、商品名:CP−8000 本発明に用いることのできる母材の分子量は、特に制限
されないが、光ファイバ母材1線引の際の作業性(線引
時の断線防止、ないし母材加熱時の硬さ)の点からは、
コア2を構成する高分子の重量平均分子量(M
は、10, 000以上300, 000以下であることが
好ましい。また、クラッド3を構成する高分子の重量平
均分子量(MD )も、10, 000以上300, 000
以下であることが好ましい。このようなコア2またはク
ラッド3の重量平均分子量も、上記した母材1全体の重
量平均分子量と同様に測定することが可能である。
【0039】光ファイバ母材1線引の際の作業性(線引
時の断線防止、ないし母材加熱時の硬さ)の点からは、
上記MR とMD との比MD /MR は、0.8〜1.2程
度、更には0.9〜1.1程度であることが好ましい。
【0040】本発明において、上記分子量を得るための
方法は特に制限されないが、例えば、コア2および/又
はクラッド3の重合を、重合開始剤および/又は重合反
応を停止させる連鎖移動剤の存在下に行うことにより、
更には、該重合開始剤および/又は連鎖移動剤の量を調
整することにより、前記した特定の分子量を得ることが
できる。
【0041】(線引方法)次に、光ファイバ母材を光フ
ァイバに線引する方法について説明する。
【0042】(窒素ガスを用いる態様)本発明の線引方
法(第1の態様)においては、上述したように、該母材
が内部に配置された炉芯管に、窒素ガスを見掛け流速
1.4(m・min.-1)以上で流している。光ファイ
バの線径変動を更に抑制する点からは、窒素ガスの見掛
け流速は、2.0(m・min.-1)以上(特に2.5
(m・min.-1)以上)であることが更に好ましい。
【0043】前述したように、上記「見掛け流速」は、
ガスの流量(単位:m3 min.−1)を、炉芯管の半
径方向断面積(m)で除した値(有効数字2桁)で
ある。
【0044】炉芯管の断面積がその長手方向に関して実
質的に一定である場合には、上記「炉芯管の半径方向断
面積」としては、その半径方向断面積を用いる。一方、
炉芯管の断面積がその長手方向に関して変化している場
合には、「炉芯管の半径方向断面積」としては、ファイ
バ母材(通常、略円筒形状)の「ネックダウン部」(通
常、略円錐形状)近傍の断面積を用いればよい。
【0045】(ヘリウムガスを用いる態様)本発明の線
引方法(第2の態様)においては、上述したように、炉
芯管内に流すべき不活性なガスは、約0.18(kca
l.・m-1hr-1-1)の熱伝導率を有するヘリウムガ
スを用いる。
【0046】この態様で用いるべき「ヘリウムガス」
は、必ずしも100%純粋である必要はなく、熱伝導率
が本質的に変わらない限り他の化学種のガスが微量混入
していてもよい。ここに、「熱伝導率が本質的に変わら
ない」とは、炉心管内に流すヘリウムガスの熱伝導率
が、純粋なヘリウムガスの熱伝導率約0.18(kca
l.・m-1hr-1-1)の±20%以内(更には±15
%以内)にあることをいう。
【0047】不活性なガスとしてヘリウムガスを用いる
場合、光ファイバの線径変動を抑制する点からは、該ガ
スの見掛け流速は0.42(m・min.-1)以上であ
ればよい。
【0048】(線引の好ましい態様)本発明に好適に使
用可能な線引装置を示す図2の模式断面図(縦断面図)
を参照しつつ説明する。なお、以下の図面においては、
説明の便宜のため、実際とは若干異なる縮尺を用いる場
合がある。
【0049】図2によれば、この態様のプラスチック光
ファイバの線引装置10は、線引炉12と、外径モニタ
14と、巻き取り手段16とから構成される。
【0050】線引炉12は、金属製のカバー20と、該
カバー20の上下にそれぞれ配置された上煙突28と下
煙突32とからなるハウジングを有する。線引炉12
は、上記ハウジングと、その内部に配置された円管状の
炉芯管22と、該炉芯管22の外側に配置されたヒータ
24と含む。
【0051】上記構成を有する線引装置10を用いて円
筒形状のプラスチック光ファイバ母材26を線引する場
合、該母材26は、後述するネックダウン部261を与
えるべきその先端部分を下にして、上煙突28から下方
へ向かうように炉芯管22の内側に挿入され、線引炉1
2内に配置される。
【0052】線引された母材の一部(すなわち、光ファ
イバ)が巻き取り手段16により巻き取られることによ
り、図2に示すように、光ファイバ母材26は巻取によ
って生じたネックダウン部261を下にして線引炉12
内に配置されることとなる。
【0053】上記プラスチック光ファイバ母材26は、
通常はカバー20に完全に包囲されず、一部が上煙突2
8の上方に突き出たまま残った状態となっている。線引
炉12内の気密性を保つために、上煙突28の上面は、
プラスチック光ファイバ母材26の外径とほぼ同等の大
きさの穴を有するリング30により、シールされてい
る。一方、下煙突32の下面には、金属製のシャッター
34が備えられており、該シャッター34の中心付近に
は、線引されたファイバが通過可能なように、小さな開
口が設けられている。
【0054】上記した図2の線引装置を用いた場合、プ
ラスチック光ファイバ母材26はヒータ24によって加
熱され、一方、不活性なガスは、リング30を通過して
線引炉12内へ供給され、炉芯管22内部を流れ母材2
6と接触する。加熱されて溶融した母材26は、所定の
速度で紡糸されてプラスチック光ファイバ38となり、
上記シャッター34の開口部を通過し、外径モニタ14
を通過してその外径が測定された後、巻き取り手段16
に巻き取られる。
【0055】母材の酸化を防止するため、炉芯管内には
矢印29の流路で不活性なガスが流される。
【0056】(線径変動幅の測定方法)図2を参照し
て、外径モニタ14を用い、光ファイバ38の線径を約
100〜200mの長さに亙って測定し、測定された線
径のデータに基づいて、線径変動の周期(通常は数m程
度であることが多い)を求める。この1周期の長さの光
ファイバについて、10cm間隔で線径を公知の手段
(例えば、ノギスによる測定)で測定して、線径の最大
値及び最小値を求める。これらの最大値及び最小値の幅
をもって、「線径変動値」とする(プラスチック光ファ
イバの線径の場合は、通常、中心値からの変動がプラス
方向マイナス方向共に同じ幅で変動する)。
【0057】(ネックダウンの温度測定)上記ファイバ
母材ネックダウン部261の先端の中心付近の温度を検
出する場合には、図3に示したような線引装置(モデル
線引装置)が好適に使用可能である。
【0058】図3を参照して、このモデル線引装置10
aにおいては、ヒータ24からの加熱により軟化した母
材26内部の中心付近に石英管35が挿入され、該石英
管35の中に接触式温度センサ36が挿入され(温度セ
ンサ36の先端部は、母材26のネックダウン部261
先端近くに配置されている)いる以外は、図2の構成と
同様である。このような構成のモデル線引装置を用いた
場合、上記温度センサ36により、ファイバ母材ネック
ダウン部261の先端の中心付近の温度を検出すること
が可能となる。
【0059】以下、実施例、比較例により本発明を更に
具体的に説明する。
【0060】
【実施例】
(製造例1)中空円筒形状のガラス管(外径:17m
m、内径:15mm、長さ:400mm)を用意し、水
平に保持した該ガラス管中に、クラッド形成用モノマー
たるメタクリル酸メチル(MMA)に重合開始剤たる過
酸化ベンゾイルを0.1重量%を添加して注入し、ガラ
ス管の両端をビニールテープでシールした。次いで、該
ガラス管を約4000rpmで回転させながら、70℃
で12時間加熱を行い、上記モノマーを重合させてポリ
メタクリル酸メチル(PMMA)からなるクラッドを形
成した。
【0061】上記で形成したクラッド外側の上記ガラス
管を壊して取り除いた後、得られたクラッド管を水平に
保持し、該クラッド管の中に、メタクリル酸メチル10
0重量部に対し屈折率調整剤たるフタル酸ジブチルベン
ジルエステル25重量部添加した混合液に、重合開始剤
たる過酸化ベンゾイルを該混合液中のメタクリル酸メチ
ルに対して0.1重量%を添加して注入し、ビニールテ
ープでシールドした後、約1000rpmで回転させな
がら、70℃で12時間加熱を行い、上記モノマーを重
合させてポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる
コアを形成して、GI型プラスチック光ファイバ母材
(外径15mm、コア径12mm、長さ350mm)を
得た。このようにして作製された母材の全体をテトラヒ
ドロフラン(THF)に溶解してGPC分析を行い、該
GPC分析結果に基づき光ファイバ母材の重量平均分子
量を求めたところ、該分子量は100000であった。
【0062】上記で得られたGI型プラスチック光ファ
イバ母材の半径方向に対する光屈折率分布を、プリフォ
ームアナライザ法(測定装置:ヨーク社製、商品名:P
−101)により測定したところ、図4のグラフ(横軸
は、コア中心からの距離を、光ファイバの半径を1とし
た相対値で示す。)に示すようなGI型の屈折率分布が
得られた。図4に示すように、コア部の屈折率が中心部
で1.51であり、外側になるに従いほぼ連続的に屈折
率が減少していた。クラッド部の屈折率は、1.49で
あった。尚、この方法により作製された母材は、以下の
全ての実施例及び全ての比較例において使用される。
【0063】実施例1 (窒素ガスを不活性なガスとして用いたGI型ファイバ
の線引)図2に示される線引装置10の線引炉12内
に、不活性なガスとして窒素ガスを所定の流量(N2
見掛け流速1.4(m・min.-1)、N2 の流量0.
10(m3 min.-1))で供給しながら、GI型プラ
スチックファイバの線引を行った。該線引装置10にお
いて、炉芯管22の内径は、30mmであった。
【0064】製造例1で作製したプラスチック光ファイ
バ母材26を上記線引炉12の炉芯管22内に挿入し、
ヒータ24により加熱した。センサ36(図3)により
検出される温度が220℃に安定した後、線径中心値を
650μmとして、10m/min.の線引速度で、母
材26の線引を開始した。線引されたプラスチック光フ
ァイバ38は、外径モニタ14(レーザ照射法、測定機
器名:M501B、アンリツ社製)によりその外径(線
径)を測定しつつ、巻き取り手段16で巻き取った。
【0065】線径の変動に関しては、外径モニタ14を
用いて約100〜200mの長さに亙って測定した線径
のデータに基づいて、線径変動の周期を見出した。本実
施例においては、上記した線径変動の周期は2〜3mで
あった。
【0066】このようにして求めた1周期の長さについ
て、10cm間隔で線径をノギスにより直接測定して、
線径の最大値及び最小値を求めた。このようにして求め
た最大値及び最小値の目標値からの幅を線径変動幅とし
た(プラスチック光ファイバの線径の場合は、通常、目
標値からの変動がプラス方向マイナス方向共に同じ幅で
変動する。)。このようにして求めた線径変動幅は、±
20μmであった。
【0067】上記線引により得られたプラスチック光フ
ァイバの屈折率分布を製造例1におけるのと同様のNF
P法により測定したところ、図4に示す屈折率分布と相
似なGI型の屈折率分布を示すことが確認された。即
ち、線引されたプラスチック光ファイバにおいて、コア
部の中心では屈折率が1.51であり、外側に向って屈
折率が低くなっており、一方、クラッド部の屈折率は
1.49であった。また、コア部とクラッド部の厚さの
比率は、母材のそれと同じであった。
【0068】図5の模式斜視図(便宜上、光ファイバ上
の被覆物を一部剥離した状態で示す)を参照して、上記
線引により得られたプラスチック光ファイバ(線径中心
値650μm)38上に、ポリアラミド繊維(商品名ケ
ブラー、デュポン社製)を「縦添え」しつつポリ塩化ビ
ニル樹脂を押出しすることにより、光ファイバ38上に
配置されたポリアラミド繊維層42(外径1.4m
m)、および該ポリアラミド繊維層42上に配置された
ポリ塩化ビニル樹脂層44を形成し、外径2.1mmの
単心コード46を作製した。
【0069】このようにして得られた単心コードについ
て、ファイバ接続用のフェルールへの挿入性を評価し
た。
【0070】図6に、本実施例で用いたフェルールの模
式断面図を示す。図6(a)はファイバを挿入していな
い状態を示し、図6(b)及び(c)はファイバを挿入
した状態を示す。
【0071】図6(a)を参照して、本実施例で用いた
ファイバ接続用のフェルール50は、単心コードを挿入
するための、該単心コードの外径より若干大きな内径を
もつ管状の挿入開口52を有している。該挿入開口52
の(フェルール長手方向)反対側には、挿入開口52か
ら挿入された単心コードの光ファイバ部分を固定するた
めの、内径700μmの管状であるファイバ開口54を
有する。
【0072】図6(a)及び(b)を参照して、予め被
覆物を除去してプラスチック光ファイバ38を露出させ
た単心コード46を、該ファイバ38を先にしてフェル
ール50の挿入開口52から、ファイバ38がファイバ
開口54を貫通するまで手で挿入し、エポキシ系接着剤
で固定した後、(フェルール50とともに)端面研磨し
た。
【0073】このようなフェルール50への固定に際
し、上記ファイバ38のファイバ開口54への挿入の可
否、および該挿入後のファイバ38のファイバ開口54
中心部への固定の可否の2つの観点から、ファイバの挿
入性を評価した。
【0074】一般にプラスチック光ファイバは、線径6
50μmのものが産業上多用され、並びにこの接続用と
してはファイバ開口が700μmのフェルールが多用さ
れている。従って、この場合においては許容される線径
変動幅は、±50μmであり、本発明においても、この
線径変動幅±50μmをもって、フェルールへ挿入可能
な所定の値とした。
【0075】ファイバ38の線径変動幅が所定の値以内
であれば、図6(b)に示すように、該ファイバ38は
ファイバ開口54の中心に固定することが可能である。
これに対して、ファイバ38の線径変動幅が所定の値を
越えた場合には、該ファイバ38をファイバ開口54に
挿入できない場合(図示せず)や、あるいは図6(c)
に示すように、ファイバ38とファイバ開口54との間
の隙間541が大きくなり、ファイバ38をファイバ開
口54の中心に固定できない場合が生ずる。
【0076】本実施例において作製されたプラスチック
光ファイバ38の線径変動幅は、上記したように±20
μmであり、該ファイバ38を用いて作製された単心コ
ード46は、図6(b)で示すように、フェルール50
へ良好に挿入され、しかも該ファイバ38のフェルール
中心への固定は、容易であった。
【0077】実施例2 図2に示した装置を用い、線引工程におけるN2 の見掛
け流速を2.1(m・min.-1)(N2 の流量0.1
5(m3 min.-1))とした以外は、実施例1と同様
にしてプラスチックファイバ母材26を線引して、光フ
ァイバ38を作製した。実施例1と同様にして測定した
線径変動幅は、実施例1のそれよりも小さくなり、±1
5μmであった。
【0078】更に、このようにして作製した光ファイバ
38を用いた以外は、実施例1と同様にして単心コード
46の作製および該単心コード46のフェルール50へ
の固定を行った。
【0079】該ファイバ38を用いて作製された単心コ
ード46は、図6(b)で示すように、フェルール50
へ良好に挿入され、しかも該ファイバ38のフェルール
中心への固定は、容易であった。
【0080】比較例1〜2 実施例1及び2との比較のため、N2 を炉芯管に流す態
様であるが、N2 の見掛け流速を比較的低くした例を、
比較例1及び2として示す。
【0081】比較例1では、N2 の見掛け流速を1.1
(m・min.-1)(N2 の流量0.080m3 mi
n.-1)以外は、実施例1と同様の装置及び方法を用い
て、プラスチックファイバ母材26を線引して光ファイ
バ38を作製した。実施例1と同様にして測定した比較
例1の線径変動幅は、実施例1のそれよりも非常に大き
くなり、±60μmであった。
【0082】比較例2では、N2 の見掛け流速を0.4
2(m・min.-1)(N2 の流量0.030(m3
in.-1))とした以外は、実施例1と同様にしてプラ
スチックファイバ母材26を線引して光ファイバ38を
作製した。実施例1と同様にして測定した比較例2の線
径変動幅は、実施例1のそれよりも大きくなったのみな
らず、比較例1のそれよりも更に大きくなり、±100
μmであった。
【0083】更に、比較例1及び2共に、このようにし
て作製した光ファイバ38を用いた以外は、実施例1と
同様にして単心コード46の作製および該単心コード4
6のフェルール50への固定を行った。
【0084】比較例1及び2共に、該ファイバ38を用
いて作製された単心コード46は、フェルール50への
挿入性が良好ではなく、ファイバ38の中で、フェルー
ル50に挿入できる箇所と挿入できない箇所とが存在し
た。また、比較例1及び2共に、ファイバ38がフェル
ール50に挿入できる場合でも、図6(c)に示される
ように、フェルールとファイバとの間に空間が生じフェ
ルールの中心にファイバを固定することはできなかっ
た。
【0085】上記した実施例1〜2、および比較例1〜
2の操作条件、作製されたプラスチック光ファイバ38
の線径変動幅、及び該光ファイバ38を用いて作製され
た単心コードのフェルール50への挿入性を、下記表1
に纏めて示す。上記したように、ファイバが線径中心値
は650μmであり、フェルールのファイバ開口54の
内径が700μmである場合、ファイバがフェルールに
挿入可能であるために許容される線径変動幅は、±50
μmである。
【0086】
【表1】
【0087】上記表1に示したように、N2 の見掛け流
速が1.4(m・min.-1)以上の条件で線引された
ファイバは、良好なフェルールへの挿入性を発揮するこ
とが確認された。すなわち、N2 を不活性なガスとして
用いてプラスチック光ファイバの線引を行う場合、N2
の見掛け流速を1.4(m・min.-1)以上で線引を
行うことにより、線引された光ファイバの線径の変動が
抑制され、該光ファイバをコネクタ等に取り付ける際
に、フェルールへの挿入・固定が容易であることが確認
された。
【0088】実施例3 (不活性なガスとしてヘリウムを用いた光ファイバの線
引)実施例1で用いた窒素ガスに代えて、ヘリウムを不
活性なガスとして炉芯管内に比較的高い見掛け流速
(1.4(m・min.-1))で流した以外は、実施例
1と同様の方法を用いて、製造例1で作製したプラスチ
ック光ファイバ母材26を線引し、光ファイバ38を作
製した。実施例1と同様にして測定した線径変動幅は、
実施例1のそれよりも小さくなり、線径変動幅は±18
μmであった。
【0089】更に、このようにして作製した光ファイバ
38を用いた以外は、実施例1と同様にして単心コード
46の作製および該単心コード46のフェルール50へ
の固定を行った。
【0090】該ファイバ38を用いて作製された単心コ
ード46は、図6(b)で示すように、フェルール50
へ良好に挿入され、しかも該ファイバ38のフェルール
中心への固定は、容易であった。
【0091】実施例4 ヘリウムを不活性なガスとして炉芯管内に比較的低い見
掛け流速(0.42(m・min.-1))で流した以外
は、実施例3と同様の方法を用いて、製造例1で作製し
たプラスチック光ファイバ母材26を線引して、光ファ
イバ38を作製した。実施例1と同様にして測定した線
径変動幅は、±22μmであった。
【0092】更に、このようにして作製した光ファイバ
38を用いた以外は、実施例1と同様にして単心コード
46の作製および該単心コード46のフェルール50へ
の固定を行った。
【0093】該ファイバ38を用いて作製された単心コ
ード46は、図6(b)で示すように、フェルール50
へ良好に挿入され、しかも該ファイバ38のフェルール
中心への固定は、容易であった。ちなみに、本実施例で
用いた見掛け流速は、N2 を用いた比較例2と同じであ
ったが、ガス種の差異に基づき、線径変動幅及びフェル
ールへの挿入性に大きな違いが生じた。
【0094】比較例3 (不活性なガスとしてアルゴンを用いた光ファイバの線
引)炉芯管内に流す見掛け流速が等しいが、ガス種の異
なる実施例1及び3に対して、更にガス種を変えた比較
を行うため、比較的低い熱伝導率0.022(kca
l.・m-1hr-1-1)を有するアルゴンを不活性なガ
スとして用いた例を、比較例3として示す。
【0095】比較例3では、アルゴンを炉芯管内に比較
的高い見掛け流速(1.4(m・min.-1))で流し
た以外は、実施例1と同様の方法を用いて、製造例1で
作製したプラスチック光ファイバ母材26を線引し、光
ファイバ38を作製した。この見掛け流速は、実施例1
及び3の場合と同じである。実施例1と同様にして測定
した線径変動幅は、実施例1のそれよりも小さくなり、
線径変動幅は±80μmであった。
【0096】更に、このようにして作製した光ファイバ
38を用いた以外は、実施例1と同様にして単心コード
46の作製および該単心コード46のフェルール50へ
の固定を行った。
【0097】本例においては比較的高い見掛け速度で流
したにもかかわらず、線径変動幅は大きく、単心コード
46のフェルール50への固定化に際しても、ファイバ
38の中でフェルール50に挿入できる箇所と挿入でき
ない箇所があった。また、フェルール50へ挿入できる
場合でも、図6(c)に示されるように、フェルール5
0とファイバ38との間に空間ができ、フェルール50
の中心にファイバ38を固定することはできなかった。
【0098】上記実施例3〜4および比較例3で用いた
操作条件、作製されたプラスチック光ファイバの線径変
動幅、及びフェルールへの挿入性を、下記表2に纏めて
示す。上記したようにファイバの線径中心値は650μ
mであり、またフェルールのファイバ開口の内径は70
0μmであることから、ファイバ38がフェルール50
に挿入可能であるために許容される線径変動幅は、±5
0μmである。
【0099】
【表2】
【0100】上記表2に示したように、不活性なガスに
ヘリウムを用いた場合には、比較的低い見掛け流速で
も、良好なフェルールへの挿入性を有するファイバを作
製可能であることが判明した。すなわち、ヘリウムを不
活性なガスとして用いて線引を行うことにより、線引さ
れたプラスチック光ファイバの線径の変動が抑えられ、
該光ファイバを用いて作製した単心コードをコネクタ等
に取り付ける際に、フェルールへの挿入・固定が容易で
あることが判明した。
【0101】
【発明の効果】以上詳細に説明してきたように、本発明
によれば、コア部と該コア部の中心部より低い屈折率を
有するクラッド部とを含むプラスチック光ファイバ母材
を、炉芯管内に窒素ガスを1.4(m・min.-1)以
上の見掛け流速で流しつつ、加熱溶融させて線引を行う
プラスチック光ファイバの線引方法が提供される。
【0102】また、本発明によれば、上記のプラスチッ
ク光ファイバ母材を、炉芯管内に約0.1(kcal.
・m-1hr-1-1)以上の熱伝導率をもち化学的に安定
なガス、即ち約0.18(kcal.・m-1hr
-1-1)以上の熱伝導率をもつヘリウムガスを流しつ
つ、加熱溶融させて線引を行うプラスチック光ファイバ
の線引方法が提供される。
【0103】上記構成を有する本発明の線引方法によれ
ば、長手方向の線径の変動が小さく、したがってコネク
タ等に取り付ける際に、フェルールへの挿入・固定が容
易なプラスチック光ファイバを簡便に製造することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の線引方法に適用可能なプラスチック光
ファイバ母材の一態様を示す模式斜視図である。
【図2】本発明で使用可能な線引炉の構成の一態様を示
す模式縦断面図である。
【図3】本発明で使用可能なモデル線引炉(線引部の温
度測定が可能)の構成の一態様を示す模式縦断面図であ
る。
【図4】本発明で用いたGI型プラスチック光ファイバ
母材の半径方向に対する屈折率分布を表すグラフであ
る。該母材の線引により作製されたプラスチック光ファ
イバの半径方向に対する屈折率分布は、該グラフと相似
である。
【図5】本発明の線引方法により作製された光ファイバ
を被覆して形成した単心コード構成の一例を示す模式斜
視図である。
【図6】本発明の線引方法により作製されたプラスチッ
ク光ファイバのフェルールへの挿入性確認試験の概略を
示す模式縦断面図である。(a)はファイバを挿入して
いないフェルールの状態を示し、(b)は挿入性の良好
なファイバを挿入したフェルールの状態を示し、(c)
は挿入性が不良なファイバを挿入したため、該ファイバ
がフェルール開口の中心に固定が困難な状態を示す。
【図7】ステップインデックス(SI)型ファイバの屈
折率分布を示すグラフである。
【図8】グレーデッドインデックス(GI)型ファイバ
の屈折率分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1、26…プラスチック光ファイバ母材、2…コア部、
3…クラッド部、10、10a…線引装置、12…線引
炉、14…外径モニタ、16…巻き取り手段、20…カ
バー、22…炉芯管、24…ヒータ、28…上煙突、2
9…矢印、30…リング、32…下煙突、34…シャッ
ター、35…石英管、36…温度センサ、38…プラス
チック光ファイバ、42…ポリアラミド繊維被覆、44
…ポリ塩化ビニル被覆、46…単心コード、50…フェ
ルール、52…挿入開口、54…ファイバ開口、261
…ネックダウン部、541…隙間。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】本発明において、上記重合体Bをポリメタ
クリル酸メチル(PMMA)(Na=n=1.49)とし
た場合に、該重合体Bとの組合せにおいて好適に使用可
能な屈折率調整剤の具体例としては、例えばフタル酸ブ
チルベンジルエステル(n=1.536)、酢酸2−フェ
ニルエチル(n=1.51)、フタル酸ジメチル(n=1.
515)、ジフェニルスルフィド(n=1.635)、安
息香酸ベンジル、トリフェニルフォスフェート、安息香
酸ビニル(n=1.577)、ベンジルメタクリレート
(n=1.568)、フタル酸ジアリル(n=1.518)
等を例示することができる。上記した具体例中、安息香
酸ビニル、ベンジルメタクリレート、フタル酸ジアリル
は重合性の官能基を有する屈折率調整剤である。好適な
GI型屈折率分布を形成可能である限り、屈折率調整剤
の使用量は特に制限されない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】上記で形成したクラッド外側の上記ガラス
管を壊して取り除いた後、得られたクラッド管を水平に
保持し、該クラッド管の中に、メタクリル酸メチル10
0重量部に対し屈折率調整剤たるフタル酸ブチルベンジ
ルエステル25重量部を添加した混合液に、重合開始剤
たる過酸化ベンゾイルを該混合液に対して0.1重量%
を添加して注入し、ビニールテープでシールドした後、
約1000rpmで回転させながら、70℃で12時間
加熱を行い、上記モノマーを重合させてポリメタクリル
酸メチル(PMMA)からなるコアを形成して、GI型
プラスチック光ファイバ母材(外径15mm、コア径1
2mm、長さ350mm)を得た。このようにして作製
された母材の全体をテトラヒドロフラン(THF)に溶
解してGPC分析を行い、該GPC分析結果に基づき光
ファイバ母材の重量平均分子量を求めたところ、該分子
量は100000であった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア部と、該コア中心部より低い屈折率
    を有するクラッド部とを含むプラスチック光ファイバ母
    材を炉芯管内で加熱し、溶融させてプラスチック光ファ
    イバを線引するに際し、前記炉芯管内に窒素ガスを1.
    4(m・min.-1)以上の見掛け流速で流しつつ線引
    を行うことを特徴とするプラスチック光ファイバの線引
    方法。
  2. 【請求項2】 コア部と、該コア中心部より低い屈折率
    を有するクラッド部とを含むプラスチック光ファイバ母
    材を炉芯管内で加熱し、溶融させてプラスチック光ファ
    イバを線引するに際し、前記炉芯管内にヘリウムガスを
    流しつつ線引を行うことを特徴とするプラスチック光フ
    ァイバの線引方法。
  3. 【請求項3】 前記コア部の屈折率が、前記コア中心部
    を最大とし前記ファイバ母材の半径方向外側に向って減
    少するグレーデッドインデックス(GI)型であること
    を特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のプラ
    スチック光ファイバの線引方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030047616A (ko) * 2001-12-11 2003-06-18 천호식 플라스틱 광섬유 제조방법 및 그 제조장치

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