JP3652240B2 - 塗料用表面改質炭酸カルシウム粒子及び該粒子を含有してなる塗料組成物 - Google Patents

塗料用表面改質炭酸カルシウム粒子及び該粒子を含有してなる塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子及び該表面改質炭酸カルシウム粒子を含有してなる塗料組成物に関し、更に詳しくは、特に、塗料に色別れ防止、レベリング性、スリップ性、ブロッキング防止性、消泡性等を、特に、色別れ防止を付与する塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子並びにそれを含有してなる塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び本発明が解決しようとする課題】
従来、塗料にレベリング性、スリップ性、ブロッキング防止性、色別れ防止性、消泡性などを付与する目的で有機珪素化合物からなる塗料添加剤が広く使用されてきたが、それらは塗料製造時に添加される為に、塗料中にて体質顔料、着色顔料等の無機粒子を造粒させ、凝集を引き起こす原因にもなっている。
【0003】
また、従来より塗料やゴム成形材料、プラスチック成形材料等において、増量、軽量、補強、着色、隠蔽性、防錆性、磁性、難燃性等を目的として各種脂肪酸、樹脂酸、界面活性剤、高分子分散剤等による無機粒子の表面改質効果が提案されている。しかし乍ら、その効果は不十分であり、例えば、塗膜面のザラツキや光沢の低下、耐水性や耐候性の低下、レベリング性、スリップ性、ブロッキング性、色別れ防止性、消泡性などを改善するには不十分であるという問題点が残されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究の結果、有機珪素化合物を炭酸カルシウム粒子に担持させることにより、炭酸カルシウム粒子を効果的に塗料製造時に塗料系内に混合することが出来、同時に炭酸カルシウム粒子自身の溶剤や塗料樹脂との濡れや親和性を向上させ、その結果、レベリング性、スリップ性、ブロッキング防止性、色別れ防止性、消泡性等を、とりわけ、色別れ防止性を飛躍的に向上させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明の第1(請求項1)は、炭酸カルシウムに有機珪素化合物を担持させたことを特徴とする塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子を内容とする。
【0006】
本発明の第2(請求項2)は、炭酸カルシウムをアニオン性、カチオン性、ノニオン性の界面活性剤、エステル、脂肪酸、樹脂酸から選ばれる少なくとも1種からなる有機物で表面処理し、更に、該有機物の表面に有機珪素化合物を担持させたことを特徴とする塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子を内容とする。
【0007】
好ましい態様として請求項3は、有機珪素化合物が、下記一般式で示されるシリコーンオイルまたは変性シリコーンオイルからなる請求項1または2記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0008】
【化2】
Figure 0003652240
【0009】
[式中、R1 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基、R2 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−C6 5 、−(CH2 a NH2 、−(CH2 a SH2 、−(CH2 a COOH、−(CH2 a −(NHCH2 CH2 b NHR4 (式中、R4 は水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基、aは0〜10の整数、bは0〜10の整数)、R3 はR1 、R2 、水酸基または炭素数1〜20のアルコキシ基、−CH=CHCH3 、mは0〜3000の整数、nは0〜3000の整数、m+nは1〜3000の整数]
【0010】
好ましい態様として請求項4は、有機珪素化合物の平均分子量Mwが、100〜1,000,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0011】
好ましい態様として請求項5は、有機珪素化合物の量が、炭酸カルシウムに対して0.001〜30重量% である請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0012】
好ましい態様として請求項6は、有機物の量が、炭酸カルシウムに対して0.01〜30重量% である請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0013】
好ましい態様として請求項7は、炭酸カルシウムが合成炭酸カルシウムからなる請求項1〜のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0014】
好ましい態様として請求項8は、炭酸カルシウムが、合成炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0015】
好ましい態様として請求項9は、合成炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合物の混合比が1:99〜99:1である請求項記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0016】
好ましい態様として請求項10は、合成炭酸カルシウムが、平均一次粒子径が10μm 以下の粒子径を有する合成炭酸カルシウムである請求項のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子である。
【0017】
本発明の第3(請求項11)は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子を含有してなることを特徴とする塗料組成物である。
【0018】
好ましい態様として請求項12は、塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子の含有量が樹脂固形分100重量部に対して5〜150重量部である請求項11記載の塗料組成物である。
【0019】
【発明の実施の形態】
有機珪素化合物は、溶剤の対流現象、顔料の分散性、あるいは塗膜の表面張力、レベリング性、流動性等に起因している、塗料の色別れ(Flooding)、浮き(Floating)、ゆず肌(Orangepeel)、へこみ(Crater)等の塗膜欠陥の防止に微量添加することにより効果がある。しかし、従来の添加方法では塗料製造時に直接添加されているため、使用する樹脂とのなじみが悪く、塗料系内全体に均一に分散混合されない場合があった。また、その分散性を改善するために、有機溶媒である程度希釈してから使用することも考えられるが、環境問題より有機溶媒の使用量を少なくする昨今の動向に逆行するものである。
【0020】
そこで、本発明者等は塗料に配合される炭酸カルシウム粒子に該有機珪素化合物を担持させることにより、過剰な有機溶媒を使用せずに塗料中へ均一に分散させることが出来ることを見いだした。また、本発明の有機珪素化合物は無機粒子と塗料のビヒクルとの濡れを向上させ、炭酸カルシウム粒子がビヒクル中にて沈降しにくくなって塗料の保存安定性が向上し、沈降しにくいことから、造膜時のレベリング性を向上させるとともに、顕著な色別れ防止機能を発揮することを見いだした。
【0021】
本発明に用いられる有機珪素化合物は特に制限されないが、塗膜の耐擦傷性、耐色落ち性、塗料の色別れ防止性、浮き防止性、ゆず肌防止性、レベリング性の向上等の特性を充分に発揮させる点で下記一般式で示されるシリコーンオイル、変性シリコーンオイルが好ましい。
【0022】
【化3】
Figure 0003652240
【0023】
[式中、R1 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基、R2 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−C6 5 、−(CH2 a NH2 、−(CH2 a SH2 、−(CH2 a COOH、−(CH2 a −(NHCH2 CH2 b NHR4 (式中、R4 は水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基、aは0〜10の整数、bは0〜10の整数)、R3 はR1 、R2 、水酸基または炭素数1〜20のアルコキシ基、−CH=CHCH3 、mは0〜3000の整数、nは0〜3000の整数、m+nは1〜3000の整数]
【0024】
更に好ましくは、上記一般式で示される有機珪素化合物において、塗料樹脂との結合性を向上させ、溶剤の対流現象、顔料の分散性、あるいは塗膜の表面張力、レベリング性、流動性等を改善できる点で、式中R2 が、−C6 5 、−(CH2 a NH2 、−(CH2 a SH2 、−(CH2 a COOH、−(CH2 a −(NHCH2 CH2 b NHR4 (式中、R4 は水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基、aは0〜10の整数、bは0〜10の整数)、R3 はR1 、R2 、水酸基または炭素数1〜20のアルコキシ基、−CH=CHCH3 、mは0〜3000の整数、nは0〜3000の整数、m+nは1〜3000の整数の整数である変成シリコーンオイルが好ましい。これらは、塗料ビヒクルと無機粒子との界面の接着性を増大させるだけでなく、塗料樹脂と化学的に結合することにより上記した効果を持続させるばかりでなく、特に、色別れ防止性及び耐色落ち性を顕著に向上させる効果も併せ持つので好ましい。
【0025】
変性シリコーンオイルとして、特に代表的なものを例示すれば下記のとおりである。
(a)水酸基を有するシリコーンとしては、両末端に水酸基を有するものとして、X−22−160−AS、X−22−160A、X−22−160B、X−22−160C[信越シリコーン株式会社製商品名]、また、片末端に水酸基を有するものとして、X−22−170D[信越シリコーン株式会社製商品名]、更に、側鎖に水酸基を有するものとして、SH3746、SF8428、SH3771、BY16−036、BY16−027、BY16−038[東レダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名]等が挙げられる。
【0026】
(b)アミノ基を有するシリコーンオイルとしては、両末端にアミノ基を有するものとして、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B、X−22−161C[信越シリコーン株式会社製商品名]、また、片末端にアミノ基を有するものとして、X−22−171D[信越シリコーン株式会社製商品名]、更に、側鎖にアミノ基を有するものとして、BY16−828、BY16−850,BY16−8417、BY16−849、BY−16−872[東レダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名]などが挙げられる。
【0027】
(c)グリシジル基を有するシリコーンオイルとしては、両末端にグリシジル基を有するものとしては、、X−22−163AS、X−22−163A、X−22−163B、X−22−163C[信越シリコーン株式会社製商品名]、また、片末端にグリシジル基を有するものとして、X−22−173D[信越シリコーン株式会社製商品名]、更に側鎖にグリシジル基を有するものとして、SF8413、SF8411[東レダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名]等が挙げられる。
【0028】
(d)ビニル基を有するシリコーンオイルとしては、両末端にビニル基を有するものとして、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−167C[信越シリコーン株式会社製商品名]、また、片末端にビニル基を有するものとして、X−22−174D[信越シリコーン株式会社製商品名]等が挙げられる。
【0029】
(e)チオール基を有するシリコーンオイルとしては、両末端にチオール基を有するものとして、X−22−167AS、X−22−167A、X−22−167B、X−22−167C[信越シリコーン株式会社製商品名]、また、片末端にチオール基を有するものとして、X−22−177D[信越シリコーン株式会社製商品名]等が挙げられる。
【0030】
上記シリコーンオイル並びに変性シリコーンオイルは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0031】
有機珪素化合物はの分子量は、好ましくは数平均分子量が100〜1,000,000、より好ましくは300〜500,000、更に好ましくは500〜300,000である。数平均分子量が100未満では、その期待する効果が得にくい場合があり、1,000,000を越えると粘性が高くなり、炭酸カルシウム粒子に効率よく担持させることが出来ず、逆に炭酸カルシウム粒子の分散性を阻害する場合がある。
【0032】
炭酸カルシウム粒子に有機珪素化合物を担持させる量としては、炭酸カルシウム粒子に対して0.001〜30重量% の割合で用いることが好ましく、より好ましくは0.05〜20重量% である。有機珪素化合物が0.001重量% 未満では担持させる効果が期待できず、一方、30重量% を越えると炭酸カルシウム粒子自体の分散性を逆に阻害したりする場合がある。
【0033】
また、炭酸カルシウム粒子に有機珪素化合物を担持させる量としては、担持させる炭酸カルシウム粒子の吸油量の80% 以下が好ましく、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。80% を越えると炭酸カルシウム粒子が有機珪素化合物によりペースト状態に近くなり、ハンドリングが困難になる傾向がある。
【0034】
本発明に用いられる炭酸カルシウム、形状の制御性、コスト、色彩設計に制約を与えない等の観点から望ましい。
【0035】
即ち、酸化チタンは、白色顔料として塗料全般に広く使用されているが、その単価が高いため、汎用的でなく、硫酸バリウムは比較的平均粒子径が細かく、分散性が悪く凝集性が強い。また、カオリンやクレー、タルクといった板状粒子は、塗料の隠蔽性を上げたり、艶消し塗料などに使われているが、それらを配合した塗料は色相が悪く、白塗料などには余り適しない場合がある。
【0036】
そこで、比較的安価で、粒子径コントロールが容易でかつ粒度分布のシャープなものが得られやすい炭酸カルシウム粒子として、天然に産出される石灰石を乾式もしくは湿式で粉砕・分級を行い、粒子径をコントロールして製造される重質炭酸カルシウムや、石灰石を原料とし化学的製法により得られる合成炭酸カルシウムが好ましい。また、合成炭酸カルシウムは、平均一次粒子径が10μm 以下の粒子を得るのに適しており、同時に重質炭酸カルシウムよりも粒度分布のシャープなものが得やすく、一般的に一次粒子径が細かなものは、それら粒子の表面活性が高く、水分や有機物との吸着性に富んでおり、有機珪素化合物を担持させ易い点でも好ましい。更に、塗装した際の塗膜の強度や光沢等を鑑みた場合、微細な粒子のほうが塗料設計の自由度が増すと言った点でも合成炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウムやコロイド炭酸カルシウム)が好ましい。
【0037】
炭酸カルシウム粒子に有機珪素化合物を担持させる方法としては、乾式/湿式の表面処理を挙げることが出来るが、特にこれらに限定されるものではない。乾式処理を行うには、炭酸カルシウム粒子を高速攪拌機(ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等)等に投入し、高速攪拌を行いながら該有機珪素化合物を滴下あるいはスプレーにて添加し、均一になるように攪拌処理を行う。この際、該有機珪素化合物は、必要に応じて水もしくは有機溶剤にて希釈して使用しても差し支えない。また、攪拌処理後に乾燥を行ってもよい。湿式処理方法としては、炭酸カルシウム粒子を水または有機溶剤に分散させてスラリー化を行い、該有機珪素化合物を投入した後に、公知の方法にて脱水乾燥を行い、粉体とすることが出来る。
【0038】
合成炭酸カルシウムを使用する際、該合成炭酸カルシウムは、水スラリー中にて合成を行い、所望の粒子径に調整した後に有機珪素化合物で表面処理を行い、公知の方法にて脱水乾燥を行うことにより得ればよい。しかし、有機珪素化合物の多くは水に不溶性であるため脱水濾液中のCODが高くなり環境に影響を与える場合があり、好ましくは、粉体にて乾式処理を行うのがよい。この際に、該有機珪素化合物は、そのままで添加してもよいが、必要に応じて予め有機溶剤に溶解させればよい。なお、溶剤としては、有機珪素化合物を溶解するものであれば制限されないが、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、n−ヘキサン、ミネラルスピリッツ等の脂肪族炭化水素溶剤等が例示される。
【0039】
乾式処理を行うには、例えば、高速攪拌機(ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等)に合成炭酸カルシウムと有機珪素化合物とを投入し高速攪拌を行うが、合成炭酸カルシウムに限らず分散された微粉は、粉立ちが激しく処理時の作業性が悪い場合がある。このため、空気透過式比表面積から換算した平均粒子径が比較的大きな(好ましくは0.5〜50μm 、より好ましくは1〜20μm )粒子を混合させることにより、比較的粒子径の小さな粒子からなる合成炭酸カルシウムの流動性を改善することができるので好ましい。更に、合成炭酸カルシウムをベースに処理を行う場合、混合する粒子は、同組成からなり、比較的平均粒子径が大きな重質炭酸カルシウム(天然石灰石を粉砕分級して得られる)を使用するのが好ましい。
【0040】
前述の重質炭酸カルシウムと合成炭酸カルシウムの混合比は、塗料設計に応じて自由に選択すればよく、使用する有機珪素化合物の量や種類によっても自由に選択すればよい。例えば、高光沢の塗料を設計する場合、比較平均粒子径の大きな粒子を混合させると高光沢を発揮しない場合があるのでその混合量は出来るだけ抑える方がよく、逆に艶消し塗料や厚塗りの塗料を設計する場合は、比較的粒子径の大きな粒子の混合量を多めに配合すればよい。合成炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合比は、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは10:90〜90:10、更に好ましくは20:80〜80:20である。合成炭酸カルシウムの配合量が1よりも少ないと、担持させる有機珪素化合物が分離しやすくなる場合があり好ましくない。逆に99を越えると、前述の粉立ちが激しくなり作業性が悪くなり効率が低下する場合がある。
【0041】
本発明に使用する合成炭酸カルシウムは、走査型電子顕微鏡から観測した平均一次粒子径が10μm 以下が好ましく、より好ましくは5μm 以下、更に好ましくは0.5μm 以下である。10μm を越えると高光沢の塗膜が得られなかったり、塗料の貯蔵時に沈殿を生じたりする場合がある。この場合、軽質炭酸カルシウムのような紡錘状粒子の場合、その平均粒子径は投影面積を円換算から求めた直径を平均一次粒子径とする。
【0042】
本発明に使用する炭酸カルシウムの吸油量(ml/100g)は、10〜100ml/100gが好ましく、より好ましくは15〜75ml/100g、更に好ましくは20〜50ml/100gである。10ml/100g未満では有機珪素化合物が充分に担持されない場合があり、逆に100ml/100gを越えると、塗料中において有機珪素化合物が炭酸カルシウムに担持されたままになり、その効果を充分に発揮できない場合がある。
【0043】
本発明においては、炭酸カルシウム粒子は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性等の界面活性剤、エステル、脂肪酸、樹脂酸等の有機物のうち少なくとも1種であらかじめ表面処理したものが好ましい。即ち、炭酸カルシウム粒子は、その表面活性が乏しく、有機珪素化合物との付着力が乏しい場合がある。従って、炭酸カルシウム粒子に有機珪素化合物を単純に担持させただけでは、有機珪素化合物は炭酸カルシウム粒子に単に付着しているだけにすぎない。一般に、炭酸カルシウム粒子は輸送コストや保管を考えた場合、粉体として取り扱われる為、単に付着しているだけの場合は、粉体から有機珪素化合物が分離したりする場合があり、より強固に炭酸カルシウム粒子に担持させるのが好ましい。炭酸カルシウム粒子を前述のアニオン性、カチオン性、ノニオン性等の界面活性剤、エステル、脂肪酸、樹脂酸等の有機物のうち少なくとも1種以上であらかじめ表面処理することにより、炭酸カルシウム粒子と有機珪素化合物との親和性が向上し、炭酸カルシウム粒子に有機珪素化合物を強固に付着させることができる。また、前述のシリコーンオイル、変性シリコーンオイルの場合は、その構造式内に含有する反応性基(官能基)と前述のアニオン性、カチオン性、ノニオン性等の界面活性剤、エステル、脂肪酸、樹脂酸等の有機物との親和性がよいため、より強固に担持される点でも好ましい。
【0044】
アニオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等で例示されるアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸等で例示されるアルキルエーテル燐酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸等で例示されるアルキルアリールエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸等で例示されるアルキルアリールエーテル燐酸、ポリオキシアルキル硫酸エステル等で例示されるアルキル硫酸エステル、ポリオキシアルキル燐酸エステル等で例示されるアルキル燐酸エステル、ポリオキシアルキルフェニル硫酸エステル等で例示されるアルキルアリール硫酸エステル、ポリオキシアルキルフェニル燐酸エステル等で例示されるアルキルアリール燐酸エステル、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル等で例示されるアルキルアミド硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸等で例示されるアルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、ジアルキルスルホコハク酸エステル等で例示されるスルホコハク酸エステル、α−オレフインスルホン酸、N−アシルスルホン酸及び/又はそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属塩等の陰イオン性界面活性剤、α、β不飽和モノカルボン酸、α、β不飽和ジカルボン酸、メタアクリル酸アルキルエステル、アルコキシ基を有する(メタ)アクリルエーテル、シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート、α、βモノエチレン性不飽和ヒドロキシエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルエステル、ビニル系芳香族、不飽和ニトリル、不飽和ジカルボン酸エステル、ビニルエーテル、共役ジエン、鎖状オレフイン、環状オレフイン、スルホ基含有単量体等からなる共重合物等で例示させる陰イオン性高分子分散剤及びそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等による部分もしくは完全中和された塩等が挙げられる。
【0045】
カチオン性の界面活性剤としては、ステアリルアミンアセテート、ステアリルアミン塩酸塩などの脂肪族アミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの脂肪族4級アンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドなどの芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム物等の陽イオン性界面活性剤、アミノ基(第1アミン基)、イミノ基(第2アミン基)、第3アミン基、第4アンモニウム基、ヒドラジノ基等の極性基を有する陽イオン性高分子系分散剤、それらの極性基を有する単量体と共重合可能な単量体、例えばα、β不飽和モノカルボン酸、α、β不飽和ジカルボン酸、メタアクリル酸アルキルエステル、アルコキシ基を有する(メタ)アクリルエーテル、シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート、α、βモノエチレン性不飽和ヒドロキシエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルエステル、ビニル系芳香族、不飽和ニトリル、不飽和ジカルボン酸エステル、ビニルエーテル、共役ジエン、鎖状オレフイン、環状オレフイン、スルホ基含有単量体等の単量体との共重合物及びそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等により部分もしくは完全中和された塩等が挙げられる。
【0046】
ノニオン性の界面活性剤としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン等で例示されるベタイン、アミノカルボン酸、イミダゾリン誘導体が例として挙げられる。
【0047】
また、エステルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等で例示されるアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等で例示されるアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレエート等で例示されるアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等で例示されるアルキルアミン、ソルビタンラウレート等で例示されるソルビタン誘導体、多環フェニルエーテル、脂肪酸エステル等で例示される非イオン系界面活性剤、並びに高分子系分散剤、及びそれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム等により部分もしくは完全中和された塩等が挙げられる。
【0048】
また、脂肪酸、樹脂酸としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、ベヘン酸等に例示される飽和、不飽和の脂肪酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、安息香酸、桂皮酸等に例示される脂環族、芳香族の樹脂酸、及び/又は、これら酸のエステル類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン等から選ばれる1種以上の塩類などが挙げられる。
【0049】
上記有機物の量は、炭酸カルシウム粒子に対して0.01〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%である。0.01重量%未満では前処理効果が充分でなく、一方、30重量%を超えると炭酸カルシウム粒子に対して有機物が過剰となり、炭酸カルシウム粒子の凝集体を作り易くなるため好ましくない場合がある。尚、合成炭酸カルシウムを使用する場合は、合成された水スラリー中で表面処理することが好ましい。
【0050】
上記の如くして得られる表面改質炭酸カルシウム粒子を配合する塗料として、油性塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド塗料、アミノアルキッド塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料等の1種あるいは2種以上を含有する塗料が挙げられる。また、塗料は、その用い方によって、溶剤系塗料、水系塗料、紫外線硬化型のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂等からなる紫外線硬化型塗料、ポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ硬化型ポリエステル樹脂等からなる粉体塗料等の任意のものであってよいが、特に、溶剤系塗料や水系塗料に適している。
【0051】
水系塗料用樹脂としては、アルキド系、アクリル系、酢酸ビニル系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系、ステレン系、メラミン系、エポキシ系等の一般塗料用樹脂、アルキド系、アミン系、スチレン−アリルアルコール系、アミノアルキド系、ポリブタジエン系等の一般塗料用水溶性樹脂、エマルジョン樹脂と水溶性樹脂とをブレンドした塗料用ディスパージョン樹脂、架橋型水可溶性樹脂を乳化剤としたディスパージョン樹脂、アクリルハイドロゾル等から適宜選択することができ、また、これら樹脂成分を2種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0052】
塗料組成物中における樹脂分濃度は、適宜調整すればよいが、溶剤系塗料、水性塗料の場合は、通常、5〜75重量%、好ましくは10〜70重量%の範囲が適当である。
また、本発明の表面改質炭酸カルシウム粒子の含有量は、炭酸カルシウム顔料の含有量としては特に限定されるものではないが、好ましくは樹脂固形分100重量部に対して5〜150重量部であり、より好ましくは10〜80重量部である。含有量が5重量部未満では、期待される効果が発現しにくく、コスト的にも不利であり、一方、含有が150重量部を越えると得られる塗料において、塗装時のハンドリングが著しく悪くなったり著しく光沢が低下する場合がある。
【0053】
また上記塗料組成物をつくる場合、塗料用着色顔料及びその他の体質顔料、消泡剤、非粘着剤、湿潤剤、分散剤、硬化促進剤、防腐剤、防カビ剤、造膜助剤、凍結防止剤等、この分野で通常使用される添加剤の1種又は2種以上を必要に応じて、本発明の塗料組成物中に添加することができる。
【0054】
【実施例】
以下,実施例,比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらにより何ら制約を受けるものではない.
尚、表1及び表2中、略称はそれぞれ下記の物質を表す。
重炭:重質炭酸カルシウム
軽炭:軽質炭酸カルシウム
コロイド:コロイド炭酸カルシウム
【0055】
実施例1〜22、比較例1(表面改質無機粒子)
(A)無機粒子の作成・準備
無機粒子1
比重1.07の石灰乳を15℃に調整し、水酸化カルシウム1kgあたり30リットル/分の炭酸ガス(内25%CO2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のpHが8.0となったときに炭酸化反応を停止し、50℃、pH10.2で15時間攪拌し、系の粘度が2300cp に達したとき、再び炭酸ガスを導通して系のpHを6.8とした。これにより凝集体粒子の極めて少なく、電子顕微鏡写真より測定した平均1次粒子径が0.1μm の炭酸カルシウムからなる水スラリーを得た。その後、常法に従い脱水、乾燥、仕上げ解砕を行い、上記粒子径を有する合成炭酸カルシウム(コロイド炭酸カルシウム)を得た。
【0056】
無機粒子2
比重1.10の石灰乳を20℃に調整し、水酸化カルシウム1kgあたり30リットル/分の炭酸ガス(内25%CO2 )を導通し炭酸化反応を行い、系のpHが7.0となったときに炭酸化反応を停止した。これにより、電子顕微鏡写真より測定したところ長径が2.0 〜4.0 μm 、短径が0.8 〜1.0 μm の紡錘状粒子(平均粒子径2.0 μm )からなる水スラリーを得た。その後、常法に従い脱水、乾燥、仕上げ解砕を行い、上記粒子径を有する合成炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)粉末を得た。
【0057】
無機粒子3〜
無機粒子に酸化チタン(平均粒子径0.2μm )(無機粒子)、重質炭酸カルシウム(平均粒子径7.0μm )(無機粒子)を用いた。
【0058】
無機粒子(前処理)
上記無機粒子1のスラリーに、脂肪酸石鹸(無機粒子)、樹脂酸石鹸(無機粒子)、脂肪酸エステル/ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(無機粒子)、ポリアクリル酸と脂肪酸エステルの共重合物(ポリアクリル酸100:脂肪酸エステル10、分子量10,000)のアンモニウム塩(無機粒子)の各濃度を10%に調整した水溶液を投入し30min 間攪拌した後、常法に従い脱水・乾燥、仕上げ解砕し、上記各有機物3重量%(対炭酸カルシウム)で表面処理された合成炭酸カルシウム(コロイド炭酸カルシウム)を得た。
【0059】
(B)有機珪素化合物担持粒子の作成
無機粒子1〜を高速攪拌機カワタ製スーパーミキサーに投入し、表1記載の有機珪素化合物並びに添加量を投入し約30分間乾式処理し、表1に示すように、有機珪素化合物が担持された表面改質無機粒子を得た。
【0060】
【表1】
Figure 0003652240
【0061】
実施例2344(塗料組成物)
上記実施例1〜22で得られた表面改質無機粒子を使用し、下記の配合及び作成方法に基づいてアクリルウレタン塗料組成物を作成した。この評価結果を表2に示す。
【0062】
(塗料配合)
「白塗料」
(ミルベース)
a.アクリル・ウレタン樹脂(固形分60%) 18.83重量部
b.キシレン 38.3 〃
c.酸化チタン(「CR−50」石渡産業) 45.0 〃
d.無機粒子 別表2に記載
e.ガラスビーズ 160.0 〃
【0063】
(塗料作成方法)
上記配合物を1リットル容器中にて6cmφのディゾルバー羽根にて3000rpm で30分間分散・混合しミルベースを作成した。混練後該ミルベース100重量部に対してアクリル・ウレタン樹脂75.7重量部を加え、レッドダウンを行い白塗料とした。
【0064】
「黒塗料」
顔料として上記配合の酸化チタン45重量部の代わりにカーボンブラック粉末20重量部を用いた以外は同様にして黒塗料を作成した。
【0065】
(色別れ)
白塗料と黒塗料を7:3の重量比で約10分間混合し、試験用灰色塗料を作成した。その後、ブリキ板に刷毛にて塗り広げ、その塗面上に同一の塗料を、塗布直後と塗布1分後にそれぞれ1滴ずつ数カ所に滴下し、色別れ性を目視確認し、以下の評価方法で評価した。
塗布した直後は、無機粒子がよく混合分散されているので色別れがないが、塗布1分後では、塗面が半乾きで顔料の分散性が悪ければ無機粒子の沈降が早く、色別れとなる。
◎ :色別れがなく、塗布直後の部分と大差なし。
○ :僅かに色別れがあるが、塗布直後の部分と比べ僅かに黒っぽい。
△ :多少色別れがあり、塗布直後の部分と比べ若干黒みを帯びている。
× :ほとんどの滴下箇所で色別れがあり、塗布直後部分と比べかなり黒みを帯びてい る。
××:はっきりと色別れがあり、塗布直後の部分よりかなり黒く、黒塗料単独と大差な いぐらい黒い。
【0066】
(耐色落ち性)
前述で作成した灰色塗料を、ABS樹脂板上に、乾燥膜厚が50μm になるように塗布し、60℃で30分間の乾燥硬化を行った。次いで、室温に1週間放置したものにて、下記の方法で耐色落ち性試験評価を行った。
ラビングテスター;ABO型[大平理化工業株式会社]を用い、フェルト(10×50×10mm)をガーゼ(100×150mm)でくるんでなる試験片を所定の場所へ設定後、ここへ5kgの荷重をかけ、塗板上を100回擦って、ガーゼへの着色状態を目視より判定した。
◎ :ガーゼに、全く色が付かない。
○ :ガーゼに僅かに色が付く。
△ :ガーゼに色が付く。
× :ガーゼに色が付き、塗膜面もくぼみができる。
××:ガーゼに色が付き、塗膜自体が剥がれる。
【0067】
(貯蔵安定性)
前述で作成した灰色塗料を、200mlの塗料缶に入れて、50℃にて12時間放置した後20℃にて12時間放置し、これを1サイクルとして7サイクル繰り返した後に、沈殿物の有無を目視にて確認し評価した。
◎ :全く沈殿物がない。
○ :僅かに沈殿物が確認できたが、攪拌すれば消える。
△ :沈殿物が少量確認できたが、強攪拌すると消える。
× :やや堅い沈殿物があり、強攪拌してもツブが残る。
××:かなり堅い沈殿物があり、強攪拌してもツブが多数残る。
【0068】
(作業性)
塗料作成時の無機粒子(粉体)の状態を観察評価した。
◎ :全く粉立ちがなく、粉体の流動性も良い。
○ :僅かに粉立ちがあるが、作業に差し支えない。
△ :投入初期は粉立ちがあるが、しばらくすると塗料系内に均一になじむ。
× :粉立ちがあり容易に塗料に入り込まない。また粉体がべたつき壁面に大量に付着 する。
××:粉立ちが激しく、塗料液面に最後まで浮遊し、容器壁面にも大量に付着する。
【0069】
(耐候性)
前述で作成した灰色塗料にて、塗料作成1日後にABS樹脂板上に乾燥膜厚が50μm になるように塗布したものを2枚用意し、60℃で30分間の乾燥硬化を行った。その後、1枚は恒温恒湿(20℃、50%)雰囲気中にて保管し、もう一枚は1ヶ月間の屋外暴露試験を行い、6ヶ月後にそれら2枚を比較し評価を行った。
◎ :塗膜面に全く差が見られず、塗膜面をさわっても白粉(チョーキング)がない。
○ :若干塗膜面の光沢が低下しているが、白粉(チョーキング)はない。
△ :塗膜面が曇っており、白粉がある。
× :塗膜面が光沢を失い若干ざらついており、白粉がある。
××:塗膜面がざらついており、白粉もかなりある。
【0070】
比較例2
上記無機粒子(重質炭酸カルシウム:平均粒子径7.0μm )を用いた他は実施例2344と同様に操作及び評価した。結果を表2に示す。
【0071】
比較例3
上記無機粒子2(合成炭酸カルシウム:軽質炭酸カルシウム)を用いた他は実施例2344と同様に操作及び評価した。結果を表2に示す。
【0072】
比較例4
シリコーンオイルを上記無機粒子(重質炭酸カルシウム:平均粒子径7.0μm )と別々に添加した他は実施例2344と同様に操作及び評価した。結果を表2に示す。
【0073】
比較例5
上記比較例1で得られた表面改質無機粒子を用いた他は実施例2344と同様に操作及び評価した。結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 0003652240
【0075】
【発明の効果】
叙上のとおり、本発明の塗料用表面改質無機粒子は、塗料に色別れ防止、レベリング性、スリップ性、ブロッキング防止性、消泡性等を付与することができる。

Claims (12)

  1. 炭酸カルシウムに有機珪素化合物を担持させたことを特徴とする塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  2. 炭酸カルシウムをアニオン性、カチオン性、ノニオン性の界面活性剤、エステル、脂肪酸、樹脂酸から選ばれる少なくとも1種からなる有機物で表面処理し、更に、該有機物の表面に有機珪素化合物を担持させたことを特徴とする塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  3. 有機珪素化合物が、下記一般式で示されるシリコーンオイルまたは変性シリコーンオイルからなる請求項1または2記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
    Figure 0003652240
    [式中、R1 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基、R2 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基、−C6 5 、−(CH2 a NH2 、−(CH2 a SH2 、−(CH2 a COOH、−(CH2 a −(NHCH2 CH2 b NHR4 (式中、R4 は水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基、aは0〜10の整数、bは0〜10の整数)、R3 はR1 、R2 、水酸基または炭素数1〜20のアルコキシ基、−CH=CHCH3 、mは0〜3000の整数、nは0〜3000の整数、m+nは1〜3000の整数]
  4. 有機珪素化合物の平均分子量Mwが、100〜1,000,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  5. 有機珪素化合物の量が、炭酸カルシウムに対して0.001〜30重量% である請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  6. 有機物の量が、炭酸カルシウムに対して0.01〜30重量% である請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  7. 炭酸カルシウムが合成炭酸カルシウムからなる請求項1〜のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  8. 炭酸カルシウムが、合成炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  9. 合成炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合物の混合比が1:99〜99:1である請求項記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  10. 合成炭酸カルシウムが、平均一次粒子径が10μm 以下の粒子径を有する合成炭酸カルシウムである請求項のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子を含有してなることを特徴とする塗料組成物。
  12. 塗料の色別れ防止用表面改質炭酸カルシウム粒子の含有量が樹脂固形分100重量部に対して5〜150重量部である請求項11記載の塗料組成物。
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