JP3652163B2 - 研磨方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高精度な光学素子の製造に必要な研磨方法に関する。詳しくは高精度な光学素子の形状が回転楕円面、楕円筒面、放物面、双曲面、または、子線と母線の曲率半径差が比較的大きく、かつ母線の曲率半径も比較的短いトロイダル面、または高次の次数を持つ回転対称非球面など、従来の被加工面とほぼ同等な大きさを持つ全面皿研磨工具を被加工面に対して相対運動させる研磨方法では加工が困難な形状の光学素子を研磨加工する方法に関する。また、その光学素子材料としては、石英ガラス、低熱膨張ガラス、CVD−SiCなど、短波長光用光学素子材料が使われることが多い。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成石英ガラス、低熱膨張ガラス、CVD−SiC材は高価であるにもかかわらず、その物理化学特性が優れているために高エネルギー短波長光用ミラーとして採用されている。これらのミラーの形状としては、平面、シリンドリカル面、球面、など単純な形状が使用されてきたが、近年のSOR施設、エキシマレーザ光源等の発達により子線の曲率半径と母線の曲率半径との差が大きく、かつ母線の曲率半径も比較的短いトロイダル面、楕円筒面、回転楕円体面、放物面、双曲面、そして高次の次数を持つ回転対称非球面などの複雑な形状のミラー、レンズの要求も増してきている。これらの光学素子の代表的な構造を、CVD−SiC材を用いた場合を例に挙げて説明する。CVD−SiC材を短波長光用のミラーとする工程は、β−SiCの焼結体基板を、最終形状、または近似最終形状にする研削、その基板にCVD法により、主にβ−SiC緻密質多結晶膜を形成、そして、その面を再び形状創成する研削、そして、形状誤差、リップル(うねりのことである)、表面粗さ等を低減し表面品質を向上する研磨からなる。
【0003】
この最終工程の研磨では、通常、研磨工具(シリンドリカル面を創成しようとする場合にはそのシリンドリカル面と絶対値が同じで符号が反対の(凹凸が逆の)曲率半径を持つ研磨工具)を、CVD−SiCミラー基板と相対運動をさせ、酸化クロム微粉、シリカ微粉、ダイアモンド微粉等の研磨材を水に分散した研磨液を介在させて研磨を行い、所定の曲率のシリンドリカル面を鏡面に仕上げていく。
【0004】
使用上、これらのミラーは高い形状精度が要求される。しかしながら、研削により仕上げられた形状は通常リップルと呼ばれる、周期が約1mmから10mm程度のうねりを持つ。また、形状精度も研削加工のみでは達成することは困難である。そして、子線の曲率半径と母線の曲率半径との差が大きく、かつ母線の曲率半径も比較的短いトロイダル面、楕円筒面、回転楕円体面、放物面、双曲面、そして高次の次数を持つ回転対称非球面などの複雑な形状では、研磨加工では研削の形状精度を維持することさえも困難であり、設計要求形状に対する誤差形状を測定し、その誤差形状を選択的に研磨除去するプロセスを繰り返す修正研磨法で、徐々に形状精度を高める手段が通常では取られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
高精度な形状精度を要求される、子線の曲率半径と母線の曲率半径との差が大きく、かつ母線の曲率半径も比較的短いトロイダル面、楕円筒面、回転楕円体面、放物面、双曲面、そして高次の次数を持つ回転対称非球面などの複雑な形状の光学素子の加工には、仕上げの研磨に習熟した加工者が酸化セリウム、酸化ジルコニウム、コロイダルシリカ、酸化クロム、ダイアモンドなどの研磨材と被加工面よりも小径な研磨工具を用いて、研磨面の形状状態を測定しながら細かく研磨工具、研磨条件を設定し、加工を進め(形状測定と部分修正研磨を交互に行う)ていた。このため、加工時間も長くなり、また、加工コストも高いものとなっている。そして、従来のこのような小径な研磨工具を用いる修正研磨法では、特にリップルの除去修正が困難であり、形状精度の絶対値は小さくなるにもかかわらず、多数のリップルのために設計値の光学性能が発揮されない非球面ミラー、レンズなどが製作されることがあった。このため、例えば特開平4−256562号公報のように、被加工面に対向してリップル周期Pの2倍以上の直径Dを有する研磨工具が配置され、研磨工具と被加工物との間には研磨工具に密着したアスファルトピッチが介在し、被加工物を研磨するにあたり研磨工具を被加工物に押圧しながらリップル周期の2分の1以上の揺動幅でリップルの山谷を横切る方向に毎秒1mmの平均揺動速度以上で揺動させて研磨することでリップルを除去し、短波長光学素子として要求される高い形状精度を研磨により得ようとしていた。
【0006】
しかし、このようなリップル除去法では図11(a)のように被加工面に対して小さな研磨工具を一定の条件で揺動させながら被加工面上をスパイラル走査、またはラスター走査させるため、その走査軌跡の送り幅がわずかに残り、新たなリップル(ラスター走査の場合にはラスター走査の定送り量が顕著に現れやすい、また、スパイラル走査の場合にはワーク1回転当たりの送り量が現れやすい)となり、そのリップルの深さは小さいにもかかわらず、一般的なリップルよりも規則的な周期を持つために、光学素子性能を悪化させることがあった。
【0007】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工面に規則的なリップルを残すことを防止できる研磨方法及び光学素子を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる研磨方法は、小径な研磨工具を1軸方向に揺動させ、その揺動方向と直交する方向に前記研磨工具を走査させて被加工物を研磨する研磨方法であって、前記研磨工具の揺動振幅をランダムに変化させるながら研磨を行うことを特徴としている。
【0009】
また、この発明に係わる研磨方法において、前記研磨工具の揺動振幅は、乱数発生部から発生される信号に基づいて決定されることを特徴としている。
【0010】
また、この発明に係わる研磨方法において、初期条件として前記研磨工具の揺動の最大振幅、前記研磨工具の移動速度、揺動端部での運動条件を事前に定めることを特徴としている。
【0011】
また、この発明に係わる研磨方法において、前記研磨工具の揺動の所定周期毎に、前記研磨工具の揺動振幅を、前の周期の揺動振幅と異なる振幅に設定することを特徴としている。
【0012】
また、この発明に係わる研磨方法において、前記走査は、前記研磨工具を前記被加工物に対してラスター状に走査することにより行われることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施形態は高脆性多結晶材料であるCVD−SiCや高価格材料である合成石英ガラス、低熱膨張ガラスを高い信頼性で形状を高精度に研磨する方法を提供するものである。詳しくは、今まで被加工物の光学性能に悪影響を与えていた一定周期で形成される残存リップルをその深さを小さくさせるだけではなくその周期を一定値に収束することなく発散させることで被加工物を高精度に研磨し、高度な光学性能を発揮させるものである。また、本実施形態の研磨方法は、シリンドリカル面、子線、母線の曲率半径差が比較的小さなトロイダル面などの、面上の位置による曲率半径変化が少ない非球面ばかりではなく、面上の位置により曲率半径が大きく変化するような、子線方向の曲率半径が無限大である楕円筒面、そして回転楕円体面などの複雑な形状、また子線の曲率半径と母線の曲率半径との差が大きく、かつ母線の曲率半径も比較的短いトロイダル面、放物面、双曲面、そして高次の次数を持つ回転対称非球面などにも適用できる汎用性の高い新規な研磨法である。
【0016】
本実施形態の特徴は、図11(b)に示すようにこれら複雑な形状の被加工面に対して小径な研磨工具を1軸方向に揺動し、その揺動と直行する方向に研磨工具を走査し、その走査パターンがたとえばラスターパターンである研磨時に、研磨工具の揺動振幅を一定とせずに乱数発生部による信号に基づいてランダムに変化させ制御することにある。本実施形態は、リップルの除去修正を目的としたラスター走査の走査速度が一定であり、ラスター走査の送り量が一定であるときに、小径研磨工具の揺動振幅を乱数発生部によりランダムな振幅とする。これにより、通常の一定揺動振幅での研磨ではラスター走査の送り量に関連したいわゆる一定周期状のリップルがその高さは低くとも残存しやすかったが、本方法によれば規則的なリップルは残存せず、また、その高さも低くなる。
【0017】
なお、本実施形態を実現するためには、例えば特開平6−134666号公報に開示されているような、揺動幅を自在に設定できる研磨ヘッドが必要である。この研磨装置は、被加工物に研磨液をかけ流す、または被加工物を研磨液中に設置し、被加工物よりも小さい径をもつ研磨工具を被加工物に任意の荷重で押しつけ、かつ被加工物に対して研磨工具を相対運動させて被加工物から必要な部分を研磨除去する加工に使用し、研磨工具、研磨工具の保持手段及び荷重を発生する手段が固定された、アクチュエータを駆動源とする移動軸を有する。また、移動軸の現在位置を検出する位置検出手段と、目標位置を設定する位置設定手段と、移動軸を駆動する制御手段とを有し、位置検出手段からの位置信号と位置設定手段の値とを比較し、この比較結果に基づいて移動軸の目標位置を演算し、この演算結果により制御手段へ制御信号を送る演算器を有する。
【0018】
そして、本実施形態の研磨装置では、位置設定手段に乱数発生部により次の周期の振幅をランダムに決定する次周期決定手段が設けてあり、事前に入力された研磨工具の揺動の最大振幅を1とし、また、乱数発生部から発生する乱数の最大値を同様に1として、次周期以降の揺動の振幅をランダムに決めるために乱数発生部から発生する乱数の大きさを最大振幅に対して比例配分する。こうすることによって次周期以降の研磨工具の揺動振幅を定める。このとき、単位時間毎の除去量を一定にするために、揺動端部(揺動運動のターン部分)以外の研磨工具の揺動速度を一定とし(以下、この値を研磨工具の揺動速度と呼ぶ、また、この値は初期値として入力される)、揺動端部での運動パターンを数種類記憶しておき、研磨工具の揺動速度、研磨工具の揺動の最大振幅ごとに、揺動端部での運動パターンを選択することで、移動軸の基本的な揺動条件を変更することができる。
【0019】
さらに、本実施形態の研磨装置は、荷重を発生する手段においてはアクチュエータを駆動源とする移動機構を有し、この移動機構の位置を検出し位置信号を出力する検出器と、アクチュエータを駆動する制御手段とを有し、検出器からの位置信号をもとに移動機構の出力を演算し制御手段へ制御信号を送る演算器を有することが可能である。
【0020】
本実施形態は、研磨面上のX軸、Y軸、Z軸上を研磨工具が移動するように研磨工具を移動制御する。
【0021】
また、本実施形態は、アクチュエータを駆動源とした移動軸を使用し、この移動軸の現在位置を検出した検出器から出力される位置信号と位置設定手段の値とを比較し、この比較結果に基づいて移動軸の移動量を演算、制御するのであるから、研磨工具の運動、すなわち移動軸の運動(揺動の最大振幅、揺動速度、端部での運動パターン)について、自由度を大きくとれる。すなわち、これらのパラメータを入力するだけで移動軸の運動を変更することが可能であり、研磨工具のサイズの変更に伴う移動軸の運動を容易に変更することができる。
【0022】
さらに本実施形態は、アクチュエータを駆動源とした荷重のための移動機構を有し、この移動機構の現在位置を検出した検出器から出力される位置信号をもとに移動機構の移動量を演算することで、移動機構の移動方向に発生する合力を一定に保つ。
【0023】
つぎに、本実施形態の具体的な内容について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明の研磨装置の一実施形態を示す斜視図、図2は図1中の研磨ヘッド1を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A線に沿った横断面図、図3は図2中のリニアモータ5aを示す説明図である。
【0025】
図1は本発明の研磨方法を実施するための研磨装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0026】
図1において、50はベッドであり、ベッド50上にはベッド50に対して相対的にy方向に往復移動可能なyテーブル52が取り付けられている。54はyテーブル52の移動を駆動するためのモータであり、モータ54にはエンコーダ56が付設されており、エンコーダ56によりyテーブル52のy方向移動量が検出される。yテーブル52上にはyテーブル52に対して直交方向に相対的に往復移動可能なxテーブル58が取り付けられている。60はxテーブル58の移動を駆動するためのモータであり、モータ60にはエンコーダ62が付設されており、エンコーダ62によりxテーブル58のx方向移動量が検出される。
【0027】
xテーブル58上には研磨槽64が固設されている。研磨槽64中には支持体66が固定されており、支持体66には軸68により被研磨物保持体70が取り付けられている。保持体70はL字形状をなしており、その垂直面部分に軸68が接続されている。軸68はx軸方向を向いていて、従って保持体70はx軸のまわりに回動可能である。支持体66にはモータ72が取り付けられており、その駆動回転軸は軸68に結合されている。
【0028】
一方、xテーブル58には研磨槽64の外側にコラム74が固定されている。コラム74には上下方向すなわちz方向のガイド76が形成されており、ガイド76に沿って上下方向に往復移動可能なように研磨工具ヘッド保持体78が取り付けられている。保持体78にはx方向に1軸揺動可能な研磨ヘッド80が支持されている。研磨ヘッド80の揺動軸82の下端には研磨工具84が取り付けられている。保持体78にはモータ86が取り付けられており、その駆動回転軸は研磨ヘッド80に接続されていて、研磨ヘッド80のy軸のまわりの回動を駆動することができる。88は保持体78をガイド76に沿って上下方向に移動させるための駆動手段たるエアシリンダーであり、エアシリンダー88のロッド90の先端が保持体78と連結されている。92は制御装置であり、エンコーダ56,62からのyテーブル移動量およびxテーブル移動量が入力され、モータ54,60,72,86、研磨ヘッド80中の不図示の研磨ヘッド駆動モータ、およびエアシリンダー88またはその動きを代換するモータを駆動する。
【0029】
上述した研磨装置を用いて研磨を行う際には、保持体70上に被加工物100を積載固定する。被加工物100は適切な前加工により所定の表面粗さ、形状精度に仕上げられている。
【0030】
次に、図2(a),(b)に示すように、研磨ヘッド80の基準フレーム18はアングル形状で、その端部は、保自体78に接続されている。基準フレーム18の内側には、リニアモータ5aがネジなどの固着手段によって取り付けられている。
【0031】
リニアモータ5aについて説明する。図2に示すように、基準フレーム18にテーブルベース34が固定されている。テーブルベース34には、図3に示すように、矩形の板のヨーク23aが固定されている。ヨーク23aにはテーブルガイド19aのレール部が固定され、テーブルガイド19aの可動部とコイル20aがリニアモータテーブル10aに固定されている。コイル20aは、通電時にはヨーク23aに固定されたマグネット22aと磁気回路を形成する。ヨークバー21aは、角柱形状の磁性体でヨーク23aの内側に固定され、コイル20aを貫通している。コイル20aに流す電流によって、リニアモータテーブル10aは図2におけるB方向およびその逆方向に移動可能である。光学式のリニアスケールヘッド12aはリニアモータテーブル10aにブラケット46を介して装着され、また、スケール13aはヨーク23aに固定され、リニアモータテーブル10aの位置を検出する。リニアモータテーブル10aには原点リファレンス14aおよびリミットリファレンス16aが装着されている。原点検出器15aおよびリミット検出器17aは公知のフォトスイッチで、テーブルベース34の側面に装着されたセンサプレート45に固定されており、リニアモータテーブル10aの原点およびリミットを検出する。リニアモータテーブル10aには、荷重を発生する定圧機構2が固定されている。また、定圧機構2にはその下方に、研磨工具84を保持する研磨工具保持機構3が装着されている。
【0032】
定圧機構2において、定圧ベース36はリニアモータテーブル10aにネジで固定され、さらに荷重軸ガイド(公知のリニアガイド)32のレール、ブロック37が固定されている。荷重軸28は荷重軸ガイド32の可動部に固定され、ブロック37に設けられた穴を貫通し、図2におけるC方向およびその逆方向に移動可能である。
【0033】
定圧ベース36にはボイスコイルモータ(VCM)27のマグネット29、および変位計ブラケット47が固定されている。変位計リファレンス26がマグネット29を貫通して荷重軸28に固定され、変位計ブラケット47に固定された変位計25が加工中に生じる荷重軸28の上下方向変位を検出する。荷重軸28には一端をブロック37に固定された荷重スプリング31が圧縮装着されている。さらに荷重軸28の上部にはVCM27のボビン30が固定され、VCM27に通電することにより、スプリング31とともに研磨荷重を発生する。研磨工具84の保持部は磁性体で構成され、研磨工具保持機構に設けられたマグネットにより吸引固定されている。
【0034】
次に、揺動運動の制御について説明する。
【0035】
図4は本実施形態中の研磨ヘッドの揺動を制御する制御部を示すブロック図、図5乃至図7は揺動の制御を説明するための図であり、図5はランダムな揺動振幅を示す説明図、図6は位置および時刻を示す説明図、図7はインデックス42の内容を示す説明図である。
【0036】
図4に示すようにリニアモータ5aはコントロールボックス40のアンプ41aにより電流I1sが与えられて移動する。図6に示すように、リニアモーターテーブル10aの位置P1,P2は、単位時間(2ms)毎に、すなわち時刻t1,t2,…でリニアスケールヘッド12aによって検出される。時刻t1,t2,…でのリニアモータテーブル10aの位置P1,P2…は、それぞれ位置信号P1a’としてコントローラ40aに入力される。コントローラ40aは、事前に入力されている研磨工具の揺動速度、指定最大振幅と、乱数発生部により演算された乱数値から算出された予定揺動幅から、一周期以前に予め算出した単位時間毎の揺動周期の1周期分の目標位置が格納されている、たとえばインデックス42a(メモリ)の値P1aと、位置信号P1a’とを比較し、その差がゼロになるように、アンプ41aに制御信号C1aを入力することにより、PID制御を行う。アンプ41aが制御信号C1aに基づき、リニアモータ5aに電流I1aを与えて、リニアモータ5aの軌跡が制御される。これにより、荷重軸28および研磨工具84は、図5、図6に示すように、揺動幅W1、周期T1で揺動する。ただし、揺動動作前には、原点を検出するようリニアモータテーブル10aを駆動する。原点を検出する(原点検出器15aのスリットを原点リファレンス14aが通過する)と同時に、スケールの現在値カウンター43aをリセットし、ゼロとする。
【0037】
インデックス42には、メモリ領域が複数箇所(a,b,c…)ある。事前に入力されている研磨工具の揺動速度、指定最大振幅と、揺動端部での運動パターン(例えば、正弦状、矩形状、台形状、三角状など)と、乱数発生部により演算された揺動幅ファクタから算出される予定揺動幅から、メモリ領域の複数箇所に、順番に一周期以前に予め算出した単位時間毎の揺動周期の1周期分の目標位置が格納されており、そのそれぞれに単位時間毎の、図7に示す時刻t1,t2,・・・とその目標位置P1,P2,・・・が記憶されている。したがって、実際の研磨加工時にはすでに計算の終了しているたとえばインデックス42aを読み、コントローラ40aは、次周期、または次次周期の揺動振幅がランダムに変更された揺動1周期分の図7に示す時刻t1,t2,・・・とその目標位置P1,P2,・・・を前もって計算しインデックス42の使われていない他の領域の部分、たとえばインデックス42b、インデックス42cに書き込んでいる。
【0038】
次に、荷重の制御について説明する。
【0039】
図8は本実施形態中の研磨ヘッドの荷重を制御する制御部を示すブロック図である。図8に示すように、VCM27はコントロールボックス40のアンプ41cにより電流I1cが与えられて推力を発生する。変位計25で検出された荷重軸28の位置は、位置信号P1cとしてバッファ43cを介してコントローラ40cに入力される。コントローラ40cでは位置信号P1cから荷重スプリング31の反力の変化を演算し、予め設定された荷重との差がゼロとなるように、アンプ41cに制御信号C1cを入力することにより、PID制御を行う。アンプ41cが制御信号C1cに基づきVCM27に電流I1cを与えて、VCM27により発生される推力が制御され、常に設定された荷重に保たれる。なお、変位センサ25に代えて荷重センサを用いても良い。
【0040】
次に荷重の補正について説明する。
【0041】
図9(a),(b)は荷重の補正の概要を示す説明図、図10はこの補正のフローチャートである。例えば、図9(a)に示すように、初期設定が、荷重スプリングのバネ加圧力400gf、VCM27の作用推力100gfで、研磨工具4の加圧力が500gfであり、被加工物100からの反力が500gfとして、研磨工具84をX,Y軸面内で走査したとする。このときに何らかの原因により図9(b)に示すように研磨工具84の位置が変化量δだけ変位したときに、荷重スプリング31のバネ加圧力が450gfに変わる。この時、コントロールボックス40では、VCM27の位置を変位計25からの位置信号P1cとして検出し、その値に応じてVCMの作用推力を補正し、この場合には50gfとすることで、研磨工具84のトータルの加圧力を一定となるように制御する。
【0042】
コントロールボックス40での補正について説明する。
【0043】
図10において、まず、荷重軸28の基準位置での荷重スプリング31の反力F0および、バネ定数kとVCMの推力定数Cを入力する(ステップ111)。次に、変位計25で荷重軸28の現在位置(荷重スプリング31の変位δ)を読み込む(ステップ112)。読み込んだ現在位置と荷重軸28の基準位置との位置差ΔZとバネ定数kより、この現在位置でのスプリング反力を
Fs=F0+k・ΔZ
として計算する(ステップ113)。つぎに、目標押し付け力Fとスプリング反力Fsとの差Fv(F=Fs+Fv)をVCM27が発生するように指令する。すなわち、VCM27の推力定数Cより、VCM電流I(図8の電流I1cに相当する)を
Fv=C・I
としてVCM27に与える(ステップ114)。ステップ112〜114の計算および指令を研磨が終了するまで行い(ステップ115)、研磨が終了したら、VCM27に推力ゼロ指定を与える(ステップ116)。
【0044】
以上説明したように、小径な研磨工具を1軸方向に揺動し、その揺動と直行する方向に研磨工具を走査し、その走査パターンがラスターパターンである研磨時に、研磨工具の揺動振幅を一定とせずに乱数発生器による信号に基づいてランダムに変化させ制御することにより、被加工面に規則的なリップルを残すことを防止できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被加工面に規則的なリップルを残すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1中の研磨ヘッドを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A線に沿った横断面図である。
【図3】図2中のリニアモータの構造を示す説明図である。
【図4】研磨ヘッドの荷重を制御する制御部を示すブロック図である。
【図5】研磨ヘッドの揺動幅を示す説明図である。
【図6】研磨ヘッドの位置および時刻を示す説明図である。
【図7】インデックスの内容を示す説明図である。
【図8】研磨ヘッドの荷重を制御する制御部を示すブロック図である。
【図9】荷重の補正の概要を示す説明図である。
【図10】図9の補正動作のフローチャートである。
【図11】従来の研磨法による被加工物上での研磨工具の揺動軌跡と、本発明による研磨工具の揺動軌跡の説明図である。
【符号の説明】
2 定圧機構
3 工具保持機構
5a リニアモータ
10a リニアモータテーブル
12a リニアスケールヘッド
13a スケール
14a 原点リファレンス
15a 原点センサ
16a リミットリファレンス
17a リミットセンサ
18 基準フレーム
19a テーブルガイド
20a コイル
21a ヨークバー
22a マグネット
23a ヨーク
24 カバー
25 変位計
26 変位計リファレンス
27 ボイスコイルモータ(VCM)
28 荷重軸
29 マグネット
30 ボビン
31 荷重スプリング
32 荷重軸ガイド
33 研磨アーム取付部
36 定圧ベース
37 ブロック
40 コントロールボックス
40a コントローラ
41a アンプ
42 インデックス
43a 現在値カウンタ
43b 現在値カウンタ
45 センサプレート
46 ブラケット
47 変位計ブラケット
84 研磨工具
100 被加工物

Claims (5)

  1. 小径な研磨工具を1軸方向に揺動させ、その揺動方向と直交する方向に前記研磨工具を走査させて被加工物を研磨する研磨方法であって、
    前記研磨工具の揺動振幅をランダムに変化させながら研磨を行うことを特徴とする研磨方法。
  2. 前記研磨工具の揺動振幅は、乱数発生部から発生される信号に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
  3. 初期条件として前記研磨工具の揺動の最大振幅、前記研磨工具の移動速度、揺動端部での運動条件を事前に定めることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
  4. 前記研磨工具の揺動の所定周期毎に、前記研磨工具の揺動振幅を、前の周期の揺動振幅と異なる振幅に設定することを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
  5. 前記走査は、前記研磨工具を前記被加工物に対してラスター状に走査することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
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