JP3651296B2 - アルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板生産方法に係り、特に、ニッケル焼結基板に活物質を充填したアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化・ポータブル化に伴い、電子機器用電源としてのニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル水素蓄電池等のアルカリ蓄電池は、狭い密閉空間に収納され、温度上昇しやすく放熱しにくい環境下に置かれている。これらのアルカリ蓄電池では、特に、50°C以上の高温においてトリクル充電が行われると、水酸化ニッケルを主成分とするニッケル極板(正極板)の酸素過電圧が低下して、酸素ガスが発生し易くなり、充電効率が低下する。
【0003】
このような高温環境下でも酸素過電圧を高め充電効率を向上させるために、希土類元素の単体又はその化合物を利用して充電効率を向上させる技術が開発されている。特開平第09−199119号公報には、水酸化ニッケルを主成分とするニッケル電極の表面に希土類元素、特にイッテルビウム(Yb)の単体又は化合物を塗布した技術が開示されている。また、特開平第09−265981号公報には、Co,Zn,Cd,Mgの少なくとも1種類以上を含む水酸化ニッケルを主成分とする活物質に、Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Yの希土類元素のうち少なくとも1種類以上の元素の単体又はその化合物を添加する技術が開示されている。
【0004】
これらの希土類元素は、アルカリ溶液中にわずかに溶解し、極板表面に安定な水酸化物として析出し、高温時の酸素過電圧を引き上げる効果を持ち、充電末期における正極板側からの酸素ガス発生を抑制するので、充電効率を向上させる。また同時に、正極板表面に水酸化物として析出することで、導電補助剤として添加しているコバルト化合物の溶解を抑制するので、活物質間の導電性ネットワークを保ち、高率放電性能を低下させない、という利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、希土類元素の単体又はその化合物を正極板表面に塗布する特開平09−199119号公報の技術や水酸化ニッケル粉末と混ぜて正極板を作製する特開平09−265981号公報の技術では、それぞれ焼結基板表面に希土類元素の単体又はその化合物の偏在が起こりやすく、また、焼結基板表面には希土類元素の単体又はその化合物が存在しないので、高温時の酸素発生の抑制に対し、充分な効果が得られない。また、高温時に酸素過電圧を引き上げるためには、希土類元素の量を多く添加しなければならないので、生産コストが高くなる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、高温時の充電効率を向上させると共に、サイクル特性に優れたアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ニッケル焼結基板に活物質を充填したアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法であって、前記ニッケル焼結基板を希土類元素の塩化物水溶液中に浸漬させ、乾燥後、アルカリ置換して前記ニッケル焼結基板の表面に前記希土類元素の水酸化物の所定厚の被膜を形成し、前記被膜が形成されたニッケル焼結基板に所定量の活物質が充填されるように、酸素酸化合物溶液に浸漬させ、乾燥後、アルカリ置換し、水洗し、乾燥する活物質含浸操作を繰り返す、ステップを含むようにした。
【0008】
本発明では、充電効率を低下させる酸素が活物質の保持基体であるニッケル焼結基板の表面から主に発生することに着目し、希土類元素の塩化物水溶液中にニッケル焼結基板を浸漬させる際に、希土類元素の塩化物水溶液の濃度等を変化させることができるので、希土類元素の水酸化物の被膜を所望の厚さに形成することができる。この被膜は酸素過電圧を高めることができるので、アルカリ蓄電池の充電効率を向上させることができると共に、この被膜は薄膜とすることができるので、少量の希土類元素でこの被膜を形成することができる。更に、この被膜は、活物質を充填するためにニッケル焼結基板を高濃度、低pHの酸素酸化合物溶液に浸漬させたときに、ニッケル焼結基板の電位をニッケルの不動態領域の電位まで高めて腐食によるニッケル焼結基板の脆弱化を防ぐことができるので、サイクル特性を向上させることができる。
【0009】
ここで、希土類元素としては、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu等のランタニド元素、これにLaを加えたランタノイド元素、更にSc,Yを加えた元素を挙げることができる。従って、これらの希土類元素をLnで表すとすれば、希土類元素の水酸化物は3価のLn(OH)で表すことができ、また、希土類元素の酸化物としては三二酸化物を形成しLnの形態をとる。なお、Ce,Pr,Nd,Tbについては4価の酸化物であるLnOの形態も形成し、また、Sm、Eu、Ybについては二価の酸化物であるSmO,EuO,YbO等の形態も形成する。
【0010】
この場合において、希土類元素の酸化物の被膜を得るには、希土類元素の水酸化物の被膜を形成するステップと活物質含浸操作を繰り返すステップとの間に、希土類元素の水酸化物を加水分解して希土類元素の酸化物の被膜を生成するステップを更に含むようにすればよい。希土類元素の酸化物は、少なくともCeO,PrO,NdO,TbOのいずれか1種とすれば、4価の酸化物を形成するPr,Nd,Ce,Tbは腐食を抑制する効果が大きいので、腐食によるニッケル焼結基板の脆弱化を防ぎ、サイクル特性を向上させることができる。また、被膜の厚さは、0.1μm未満では酸素過電圧を増大させるに十分な効果が得られず、1μmを超えると活物質とニッケル焼結基板との間の導電性ネットワークが低下し高率放電特性の低下を引き起こすので、0.1〜1μmが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法を円筒型の密閉アルカリ蓄電池に適用した実施例について、実施例の効果を確認するために作製したアルカリ蓄電池(比較例)と比較しつつ詳述する。
【0014】
まず、各実施例及び比較例のアルカリ蓄電池の作製方法について説明する。なお、実施例2以下の実施例及び比較例において、実施例1と同様の製造方法についてはその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0015】
[実施例1]
(正極板の作成)本実施例では、正極板として使用されるアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板(以下、ニッケル極板という。)を、次のように作製した。まず、多孔度約80%のニッケル焼結基板素材を20°C,1.0mol/l,pH=1.0の希土類元素の塩化物水溶液としての塩化セリウム水溶液中に5分間浸漬させた後、60°Cで20分乾燥後、80°C、6.0mol/lのNaOH水溶液中に浸漬させることで、ニッケル焼結基板素材の表面に厚さ約1.0μmのCe(OH)の被膜(薄膜)が形成されたニッケル焼結基板を得た。
【0016】
次に、このニッケル焼結基板を、酸素酸化合物溶液としてのNiとCoのモル比が90:10の硝酸ニッケルと硝酸コバルトとの混合溶液中(5.0mol/l,pH=1.0,70°C)に浸漬させ、100°Cで20分間乾燥した後に、NaOH水溶液(80°C、6.0mol/l)中に浸漬させてアルカリ置換した後、水洗して乾燥させる活物質含浸操作を数サイクル繰り返すことにより所定量の活物質を充填して、ニッケル極板を完成させた。
【0017】
(蓄電池の作製)次に、以上のようにして作製したニッケル極板(正極板)と公知のペースト式カドミウム極板(負極板)とをポリプロピレン(PP)製セパレータを介し捲回して極板群を作った。そして、各極板群を電池缶内に配置してから、NaOHとLiOHとを重量比8:2で混合した混合物の水溶液からなる電解液を電池缶内に注液し、蓋、端子等を取付けて、試験用のCサイズの公称容量2500mAhの円筒型の密閉アルカリ蓄電池Aを作製した。
【0018】
[実施例2]
実施例2では、実施例1と同様に、ニッケル焼結基板素材の表面に厚さ約1.0μmのCe(OH)の被膜を形成した。これを更に、150°Cの加熱水蒸気下で30分間熱分解することで、ニッケル焼結基板素材の表面にCeOの被膜が形成されたニッケル焼結基板を得た。そして、実施例1と同様に実施例2の円筒型の密閉アルカリ蓄電池Bを完成させた。なお、本実施例でのCeOの重量は、正極活物質量に対し、0.05%である。
【0019】
[実施例3]
実施例3では、実施例1において多孔度約80%のニッケル焼結基板素材を1.0mol/lの塩化セリウム水溶液中に浸漬させたことに代え、塩化セリウム水溶液の濃度を0.05mol/lから2.0mol/lまで変化させて、Ce(OH)の被膜の厚さが0.05μmから2.0μmまでの種々のニッケル焼結基板を得た。そして、実施例1と同様に種々の円筒型の密閉アルカリ蓄電池を完成させた。
【0020】
[比較例1]
比較例1では、実施例1の多孔度約80%のニッケル焼結基板素材をそのままニッケル焼結基板として用い、その他は実施例1と同様に円筒型の密閉アルカリ蓄電池Cを完成させた。
【0021】
[比較例2]
比較例2では、比較例1と同様のニッケル焼結基板を用い、実施例1と同様の活物質含浸操作を経て一旦ニッケル極板を得た後に、このニッケル極板を20°C、1.0mol/l、pH=1.0の塩化セリウム水溶液中に5分間浸漬した後、60°Cで20分乾燥後、80°C、6.0mol/lのNaOH水溶液中に浸漬させることでニッケル極板の表面に厚さ約1.0μmのCe(OH)の被膜を形成してニッケル極板を完成させた。そして、実施例1と同様に比較例2の円筒型の密閉アルカリ蓄電池Dを完成させた。
【0022】
[試験・評価]
次に、以上のようにして作製した各アルカリ蓄電池を用いて、放電容量試験、サイクル特性試験及び被膜の厚さの影響についての試験等の各種試験を行った。以下、図面及び表を参照して、これらの各種試験結果及びそれらの評価について説明する。
【0023】
(放電容量試験)所定温度でアルカリ蓄電池A、B、C及びDを2時間保持した後、0.033C(83mA)で48時間充電して、理論容量の160%を充電した。その後、これらのアルカリ蓄電池を1C(2500mA)で放電した。この充放電を20°C→70°C→55°C→45°Cの順に周囲温度を変化させて、20°Cでの放電容量を100とした場合の各温度に対する放電容量比の変化を測定した。なお、この際の放電容量比が各温度での充電効率を意味している。図1に各アルカリ蓄電池についての測定結果を示す。
【0024】
図1に示すように、実施例1、2のニッケル極板を用いて作製したアルカリ蓄電池A、Bは、比較例1、2のニッケル極板を用いたアルカリ蓄電池C、Dに比較して高温での放電容量比が大きい。表1に、各アルカリ蓄電池の各温度における充電末期電圧、すなわち、酸素発生電位を示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003651296
【0026】
表1に示すように、アルカリ蓄電池A及びBの充電末期電圧値は、アルカリ蓄電池C及びDより大きいことが分かる。従って、実施例1及び2のニッケル極板を用い作製したアルカリ蓄電池A及びBは、比較例1及び2のニッケル極板を用いたアルカリ蓄電池C及びDより酸素過電圧が大きい。以上の試験結果は、ニッケル焼結基板の表面にCe(OH)又はCeOの被膜を存在させることで酸素過電圧を高め、充電効率を向上させることができることを示している。
【0027】
(サイクル特性試験)次に、これらのアルカリ蓄電池を充電:0.3C,150%、放電:1C、終止電圧=1.0Vとしてサイクル特性試験を行った。図2に、これらのアルカリ蓄電池のサイクル特性試験結果を示す。図2から明らかなように、アルカリ蓄電池A及びBは、サイクルによる容量低下が小さく、500サイクルにおいても初期容量の80%以上を維持するのに対し、アルカリ蓄電池C及びDは、300サイクル付近で初期容量の80%以下に低下した。従って、サイクル特性試験では、アルカリ蓄電池A及びBがアルカリ蓄電池C及びDに優れる。ここで、表2にニッケル極板完成時における各アルカリ蓄電池のニッケル焼結基板の腐食度の測定結果を示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003651296
【0029】
表2から明らかなように、実施例1及び2のニッケル焼結基板の表面にはそれぞれCe(OH),CeOの被膜が形成されているので、比較例1及び2のニッケル焼結基板に比べ著しく腐食度が小さい。また、CeOの方が腐食抑制の効果が大きいことが分かる。従って、サイクル特性はニッケル焼結基板の腐食度と一定の相関関係がある。このように、実施例1及び2のニッケル焼結基板は比較例1及び2のニッケル焼結基板に比べ、高温環境下での放電容量及びサイクル特性において優れている。
【0030】
(被膜厚みの評価)そこで、被膜の厚さの影響を確認するために、実施例3の種々のアルカリ蓄電池について、45°Cで0.033Cで48h充電したときの充電末期電圧を測定した。上述したように、この実施例3のニッケル焼結基板(以下、参照する図面上では焼結体と略称する。)は、実施例1のニッケル焼結基板表面に形成されたCe(OH)の被膜の厚さを0.05μmから2.0μmまで変化させたものである。図3に示すように、被膜の厚さが大きくなると伴に、充電末期電圧が増大することが分かる。同時にこの図3は、被膜の厚さが増大することにより酸素過電圧が増大し、充電効率が良好になることを示している。図4に被膜の厚さとニッケル焼結基板の腐食度との関係を示す。被膜の厚さが増大するに伴って腐食度は小さくなるが、被膜の厚さが0.1μm未満では腐食抑制の顕著な効果が見られないことが分かる。図5に、20°C、0.1Cで150%充電したときの3Cの放電容量を、0.2Cでの放電容量に対する比率で示す。被膜の厚さが増大するに伴って放電容量比は低下し、1.2μm以上では、放電容量比は80%未満に低下した。従って、良好な充電効率及びサイクル特性の双方を確保できる被膜の厚さは、0.1μm〜1.0μmの範囲である。
【0031】
本実施形態のアルカリ蓄電池では、ニッケル焼結基板の表面に0.1μm〜1.0μm厚の安定かつ均一なCe(OH),CeOの被膜を形成したので、ニッケル焼結基板の表面から主に発生する酸素を抑制し、アルカリ蓄電池の充電効率を向上させることができる。また、実施例2で述べたように、CeOの重量は正極活物質に対して0.05%であるので、希土類元素の使用量は少量ですみ、ニッケル極板の生産コストを低減することができる。従って、希土類元素の単体又は化合物を水酸化ニッケル粉末と混ぜる技術に比べて、本実施形態の技術はニッケル極板の生産コストを著しく低減させることができる。また、希土類元素の単体又は化合物を正極板表面に塗布する技術に比べ、本実施形態の技術は安定かつ均一な被膜をニッケル焼結基板の表面に形成するようにしたので、希土類元素の化合物の偏在が起こらず、また、ニッケル焼結基板表面から主に発生する酸素に対して高温時の酸素発生を十分に抑制することができる。更に、希土類元素の単体又は化合物をニッケル焼結基板に塗布又は添加し希土類元素の化合物が単に析出される公知技術に比べ、本実施形態では被膜を0.1μm〜1.0μm厚としたので、確実に耐腐食性及び導電性ネットワークの確保することができる。従って、本実施形態のアルカリ蓄電池は、公知技術に比べ充電効率及びサイクル特性の点で優れると共に公知技術では奏し得ない上述の効果が得られる。
【0032】
また、実施例2のニッケル焼結基板では、活物質を充填するためにNiとCoのモル比が90:10の硝酸ニッケルと硝酸コバルトとの混合溶液中に浸漬させたときに、CeOの被膜によりニッケル焼結基板の電位をニッケルの不動態領域の電位まで高めニッケル焼結基板の腐食を防止することができるので、この点からもアルカリ蓄電池のサイクル特性を向上させることができる。
【0033】
更に、本実施形態のニッケル極板の作製方法では、ニッケル焼結基板を20°C,1.0mol/l,pH=1.0の塩化セリウム水溶液中に5分間浸漬させたが、塩化セリウムの濃度をコントロールすることにより被膜の厚さを変更することができるので、Ce(OH)の厚さを0.1μm〜1.0μmとすることができる。
【0034】
そして、本実施形態のニッケル極板の作製方法では、ニッケル焼結基板表面にCe(OH)の被膜が形成された後、Ce(OH)を加熱水蒸気で加水分解することにより、ニッケル焼結基板の電位をニッケルの不動態領域の電位まで高める作用があるCeOを生成したので、腐食によるニッケル焼結基板の脆弱化を防ぎサイクル特性が良好なニッケル極板を生産することができる。
【0035】
なお、実施例2では、CeOを正極活物質に対して0.05wt%としたが、希土類元素の酸化物又は水酸化物の添加量は正極活物質に対して0.01〜0.5wt%程度とすることができる。また、本実施形態のニッケル極板の生産方法では、塩化セリウムの濃度をコントロールして所望の被膜の厚さとしたが、濃度の他に例えば浸漬時間をコントロールすることにより被膜の厚さをコントロールするようにしてもよい。
【0036】
更に、本実施形態では、希土類元素の水酸化物、酸化物をCe(OH),CeOとした場合について述べたが、他の希土類元素の水酸化物、酸化物でも同等の効果を得ることができる。特に、4価の酸化物を形成するPr、Nd、Tbにおいては、Ceと同様にニッケル焼結基板の電位をニッケルの不動態領域の電位まで高める作用があるので、腐食によるニッケル焼結基板の脆弱化を防ぎサイクル特性が良好なニッケル極板を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、希土類元素の塩化物水溶液中にニッケル焼結基板を浸漬させる際に、希土類元素の塩化物水溶液の濃度等を変化させることができるので、希土類元素の水酸化物の被膜を所望の厚さに形成することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】0.033C,160%充電時における20°Cの1C放電容量を100としたときの、アルカリ蓄電池A乃至Dの周囲温度と放電容量比との関係を示す図である。
【図2】アルカリ蓄電池A乃至Dの、充電:0.3C,150%、放電:1C、終止電圧=1.0Vのサイクル特性試験結果を示す図である。
【図3】実施例3のアルカリ蓄電池における、ニッケル焼結基板表面のCe(OH)の被膜の厚さと、45°Cにおいて0.033Cで48h充電したときの充電末期電圧との関係を示す図である。
【図4】実施例3のアルカリ蓄電池における、ニッケル焼結基板表面のCe(OH)の被膜の厚さと、焼結体腐食度(%)との関係を示す図である。
【図5】実施例3のアルカリ蓄電池における、ニッケル焼結基板表面のCe(OH)の被膜の厚さと、0.2C容量に対する容量比との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. ニッケル焼結基板に活物質を充填したアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法であって、
    前記ニッケル焼結基板を希土類元素の塩化物水溶液中に浸漬させ、乾燥後、アルカリ置換して前記ニッケル焼結基板の表面に前記希土類元素の水酸化物の所定厚の被膜を形成し、
    前記被膜が形成されたニッケル焼結基板に所定量の活物質が充填されるように、酸素酸化合物溶液に浸漬させ、乾燥後、アルカリ置換し、水洗し、乾燥する活物質含浸操作を繰り返す、
    ステップを含むアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法。
  2. 前記希土類元素の水酸化物の被膜を形成するステップと前記活物質含浸操作を繰り返すステップとの間に、前記希土類元素の水酸化物を加水分解して希土類元素の酸化物の被膜を生成するステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法。
  3. 前記希土類元素の酸化物は、CeO 、PrO 、NdO 及びTbO の少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項2に記載のアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法。
  4. 前記被膜の厚さは、0.1μm乃至1μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアルカリ蓄電池用焼結式ニッケル極板の生産方法。
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