JP3650797B2 - ヒトアデノウイルス5型e1aおよびe1b遺伝子検出用オリゴヌクレオチド - Google Patents

ヒトアデノウイルス5型e1aおよびe1b遺伝子検出用オリゴヌクレオチド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子と相同性を有し、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を検出するのに有用なオリゴヌクレオチドに関する。本発明のオリゴヌクレオチドは、ウイルス感染診断薬および研究用試薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】
組み換えアデノウイルスはアデノウイルスの自律増殖性を司るE1遺伝子領域を欠失した遺伝子導入ベクターであり、遺伝子治療や基礎研究の分野で有用である。この組み換えウイルスを調製する段階で宿主細胞である293細胞のE1遺伝子と組み換えアデノウイルスとの間で相同組み換えがおこり、自律増殖性アデノウイルス(replication-competent adenovirus ; RCA)が生じることが報告されている(Lochmuller, H.ら「Human Gene Therapy」 5巻1485-1491頁 (1994))。遺伝子治療や基礎研究に用いられる組み換えアデノウイルスに混入したRCAを検出するために、従来ではE1遺伝子を持たないHeLa細胞に組み換えウイルスを感染させて、その細胞毒性を顕微鏡下で観察する方法やその感染HeLa細胞から抽出した全DNAをサザンブロット分析やPCR法で検出する方法などが行われてきた(Lochmuller, H.ら「Human Gene Therapy」 5巻1485-1491頁 (1994);佐藤友美ら 「別冊 実験医学 遺伝子導入&発現解析実験法」27-42頁 (1997))。
【0003】
HeLa細胞への細胞毒性を観察する方法は検出感度が低く、サザンブロット分析は放射活性物質を用いるので操作手順が繁雑になる。PCRによる検出法は感度が高く比較的簡便な操作手順で行えるものであるが、検出用オリゴヌクレオチドプライマーの設計の仕方によっては、それら同士が結合したり、HeLa細胞のゲノムDNAに結合したりして正確な検出結果が得られない場合が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこれらの問題を解決するため、検出方法としてPCR法を用いる場合、そのオリゴヌクレオチドプライマーは、自身の結合による副生成物を生じず、HeLa細胞のゲノムDNAにも結合せず、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の該当部分に特異的に結合するように設計する必要がある。ここで、E1A及びE1B遺伝子とはE1遺伝子を構成する遺伝子である。従って、本発明は、PCR法を用いて簡便にしかも感度の高いRCA検出を行うことができるオリゴヌクレオチドを提供することを解決すべき課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を検出するのに適したオリゴヌクレオチドプライマーを検索し、該遺伝子の混入をPCR法を用いて効率的に検出できる塩基配列を設定し、この塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを作製し、それを用いた検出効果をin vitro実験系において確かめることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明によれば、配列表の配列番号1〜4の何れかに記載の塩基配列またはそれらと実質的に同一の塩基配列を有する、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子検出用オリゴヌクレオチドが提供される。
【0007】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、下記の何れかに記載の塩基配列を有する。
(1)配列表の配列番号1〜4の何れかに記載の塩基配列;
(2)配列表の配列番号1〜4の何れかの塩基配列においてTをUに置換した塩基配列;
(3)上記(1)又は(2)に記載の塩基配列と少なくとも70%以上の相同性を有する塩基配列であって、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を特異的に検出できる塩基配列;又は、
(4)配列表の配列番号1〜4の何れかの塩基配列において1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列であって、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を特異的に検出できる塩基配列;
【0008】
本発明の別の側面によれば、配列表の配列番号1に記載の塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び配列表の配列番号2に記載の塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドから成るヒトアデノウイルス5型E1A遺伝子検出用プライマーセットが提供される。
【0009】
本発明のさらに別の側面によれば、配列表の配列番号3に記載の塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び配列表の配列番号4に記載の塩基配列またはそれと実質的に同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドから成るヒトアデノウイルス5型E1B遺伝子検出用プライマーセットが提供される。
【0010】
好ましくは、実質的に同一の塩基配列とは、下記の何れかに記載の塩基配列である。
(1)当該塩基配列においてTをUに置換した塩基配列;
(2)当該塩基配列と少なくとも70%以上の相同性を有する塩基配列であって、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を特異的に検出できる塩基配列;又は、
(3)当該塩基配列において1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列であって、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を特異的に検出できる塩基配列;
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のオリゴヌクレオチドあるいはプライマーセットを用いて試料中のヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を検出することを含む、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の検出方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、試料中の核酸を鋳型として、本発明のプライマーセットを用いてPCRを行うことにより、試料中のヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を検出することを含む、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の検出方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のオリゴヌクレオチドあるいはプライマーセットを含む、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子検出用試薬が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のオリゴヌクレオチドあるいはプライマーセットを含む、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子検出用キットが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(I)本発明のオリゴヌクレオチドの設計
本発明のオリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号1〜4の何れかに記載の塩基配列またはそれらと実質的に同一の塩基配列を有するものであり、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子検出のために使用することができる。
ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子とは、ヒトアデノウイルス5型のE1A又はE1Bタンパク質のアミノ酸配列を規定している構造遺伝子を意味する。本発明のオリゴヌクレオチド化合物は、高力価の組み換えウイルス液中に混入したRCAをPCR法で高感度に検出するものである。
【0014】
本発明のオリゴヌクレオチドは以下のようにしてPCR法の考えに基づいて設計し、それをもとに調製し、その効果を検出されるアデノウイルスのE1AとE1B遺伝子の検出限界をもとに評価して得られたものである。すなわち、まず、ヒトアデノウイルス5型のE1AとE1Bの遺伝子の塩基配列情報を入手する。次に該遺伝子の部分塩基配列に対して相補的な核酸化合物のうち、オリゴヌクレオチドとして効果が期待される核酸化合物を選択し、選択されたオリゴヌクレオチドを合成した。このようにして得られた該オリゴヌクレオチドが高力価の組み換えウイルス液中に混入したRCAをPCR法で高感度に検出するかどうかを、in vitro実験系を用いて試験した。そして、高力価の組み換えウイルス液中に混入したRCAをPCR法でE1AまたはE1B遺伝子をそれぞれ単独、さらにE1AとE1B遺伝子を同時に高感度に検出するような塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを取得し、これらを本発明のオリゴヌクレオチドとしたものである。
【0015】
本発明のオリゴヌクレオチドを設計するためには、先ず、ヒトアデノウイルス5型E1AまたはE1B遺伝子の塩基配列を入手する。これは論文に記載されている情報として、GenBankなどの遺伝子データベースに蓄積されている情報として、さらには、直接的に塩基配列を解析した結果として入手することができる。次に該遺伝子の部分塩基配列に対して相補的な核酸化合物のうち、オリゴヌクレオチド化合物として効果が期待される核酸化合物を選択する。この方法としては、オリゴヌクレオチドの長さ、GC含量、Tm値、オリゴヌクレオチド間の相補性、オリゴヌクレオチド内の二次構造などを考慮する方法(井上順子ら、別冊「実験医学PCR法の最新技術」18-24頁(1995);向井博之ら、「蛋白質核酸酵素 PCR法最前線」41巻 437-452頁 (1996))などがある。
【0016】
ところで、特定の塩基配列の有無をPCR法により検出するにあたっては、その塩基配列のいかなる部分に対応するプライマーセットを選択するかが重要である。プライマーセットの結合位置によってPCR法による増幅効率が変化することが知られているからである。そして、この予測は一般に困難である。
【0017】
そこで、本発明者らは次のような観点からヒトアデノウイルス5型E1AまたはE1B遺伝子をコードする領域の一部を増幅し得るプライマーセットを選択した。
(1)プライマー末端がグアニンもしくはシトシンである26塩基以上50塩基以下、特に好ましくは30塩基以上40塩基以下からなるプライマーセット;
(2)プライマー中のグアニン、シトシン含量が30%〜70%程度でプライマーの全範囲を通じてその偏りがないプライマーセット;
(3)そのプライマーセットを用いたPCR法による増幅産物が100bp以上であるようなプライマーセット;
(4)ヒトアデノウイルス5型E1A及びE1B遺伝子の増幅産物を電気泳動した場合にそれらの泳動距離の差が明確になる程度に、増幅産物の大きさが異なるプライマーセット:及び
(5)プライマーの5’側はヒトアデノウイルス5型E1A及びE1B遺伝子配列と70%以下の相同性しか有さなくてもよいが、3’側は完全に相同の配列を有するように設定されたプライマーセット:
【0018】
(II)本発明のオリゴヌクレオチドの具体例
本発明のオリゴヌクレオチドの具体例としては、以下のオリゴヌクレオチドが挙げられる。
本発明の第1のオリゴヌクレオチドは、野生型ヒトアデノウイルス5型のE1A遺伝子検出用のフォワード側プライマーであり、配列番号1に記載の塩基配列を有する。
本発明の第2のオリゴヌクレオチドは、野生型ヒトアデノウイルス5型のE1A遺伝子検出用のリバース側プライマーであり、配列番号2に記載の塩基配列を有する。
上記した第1及び第2のオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして使用してPCRを行うことにより、上記2種のプライマーで挟まれる領域を増幅することができ、これにより野生型ヒトアデノウイルス5型のE1A遺伝子を検出することができる。この場合の増幅産物の大きさは919bpである。
【0019】
本発明の第3のオリゴヌクレオチドは、野生型ヒトアデノウイルス5型のE1B遺伝子検出用のフォワード側プライマーであり、配列番号3に記載の塩基配列を有する。
本発明の第4のオリゴヌクレオチドは、野生型ヒトアデノウイルス5型のE1B遺伝子検出用のリバース側プライマーであり、配列番号4に記載の塩基配列を有する。
上記した第3及び第4のオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして使用してPCRを行うことにより、上記2種のプライマーで挟まれる領域を増幅することができ、これにより野生型ヒトアデノウイルス5型のE1B遺伝子を検出することができる。この場合の増幅産物の大きさは493bp程度である。
【0020】
本発明では、配列表の配列番号1〜4の何れかに記載の塩基配列だけでなく、それらと実質的に同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを使用することができる。配列番号1〜4の何れかに記載の塩基配列またはそれらと実質的に同一の塩基配列は、アデノウイルスのE1AまたはE1B遺伝子の塩基配列に対して相補的な、もしくは実質的に相補的な塩基配列であり、かつPCR法においてアデノウイルスのE1AまたはE1B遺伝子を検出するのに適したオリゴヌクレオチド化合物の塩基配列である。
【0021】
配列番号1〜4で表される塩基配列またはそれらと実質的に同一の塩基配列としては、具体的には、以下の塩基配列の全てを包含する。
(1)配列表の配列番号1〜4の何れかに記載の塩基配列;
(2)配列表の配列番号1〜4の何れかの塩基配列においてTをUに置換した塩基配列;
(3)上記(1)又は(2)に記載の塩基配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列であって、ヒトアデノウイルス5型のE1A又はE1B遺伝子を特異的に検出できる塩基配列;又は、
(4)配列表の配列番号1〜4の何れかの塩基配列において1〜数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列であって、ヒトアデノウイルス5型のE1A又はE1B遺伝子を特異的に検出できる塩基配列;
【0022】
本発明のオリゴヌクレオチドの塩基配列の長さは特に限定されるものではないが、好ましくは26塩基以上50塩基以下、特に好ましくは30塩基以上40塩基以下である。
【0023】
本発明のオリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)でもリボ核酸(RNA)でもよい。リボ核酸の場合はチミジン残基(T)をウリジン残基(U)と読み替えればよい。また合成の際に、任意の位置のTをUに変えて合成を行い、ウリジン残基を含むDNAであってもよい。同様に任意のUをTに変えたチミジン残基を含むRNAであってもよい。また、オリゴヌクレオチド中に修飾ヌクレオチドがあってもよい。
本発明のオリゴヌクレオチドは、ホスホアミダイト法等で合成することができる。合成にあっては、DNA/RNA合成機を利用すれば便利である。
【0024】
(III)オリゴヌクレオチドの評価
本発明のオリゴヌクレオチドの評価実験はin vitro実験系を用いて行うことができる。すなわち、組み換えアデノウイルスに混入するRCAをPCR法で検出するのに有効と予想される塩基配列を持つオリゴヌクレオチド化合物の適性をin vitro実験系において調べることができる。すなわち、in vitro実験系では密度勾配超遠心法で精製されRCAの検出されない野生型ヒトアデノウイルス5型DNA、もしくは野生型ヒトアデノウイルス5型DNAと組み換えアデノウイルスDNAをあらかじめ試験管内で任意の比率で混合したものを該オリゴヌクレオチドを用いてPCRを行い、得られた反応産物をアガロースゲル電気泳動により調べることが可能である。
【0025】
本発明では、驚くべきことに、配列番号1〜4に記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いたPCR法にて増幅された増幅産物は、1%アガロースゲル電気泳動後にエチジウムブロマイド染色で解析することが可能なほど大量に得られていることが明らかになった。
【0026】
本発明では、前述した通りプライマーの長さ、末端の塩基、グアニン及びシトシンの分布、増幅産物の大きさ等に関する選定基準に基づき好適なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いることによって上記した顕著な結果が達成されたのである。これは、増幅される領域の塩基配列特有の性質によるものである。
なお、本発明においては、エチジウムブロマイドやサイバーグリーン染色によらずに、ラジオアイソトープや蛍光プローブを使ったドットブロット法等でも解析は可能であるが、この場合についても増幅産物の量が多いことは解析の容易性の観点から見て有利である。このような解析を行う場合、本発明のオリゴヌクレオチドは標識して使用することもできる。
【0027】
(IV)標識オリゴヌクレオチド
上記(III)で述べたように、本発明のオリゴヌクレオチドは標識して使用することもできる。このような標識されたオリゴヌクレオチドは全て本発明の範囲内に属する。
【0028】
本発明の標識オリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号1〜4の何れかに記載の塩基配列またはそれらと実質的に同一の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドに標識を結合したものである。標識物としては放射性物質や酵素、蛍光物質、発光物質、抗原、ハプテン、酵素基質、不溶性担体、ビオチン・アビジン系標識などの公知の標識を用いることができる。標識の仕方は末端標識でも、配列の途中に標識してもよい。また、糖、リン酸基、塩基部分への標識であってもよい。
【0029】
(V)検出方法
本発明のオリゴヌクレオチドを用いてヒトアデノウイルス5型E1AおよびE1B遺伝子を検出する場合、(1)本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして検出する方法、(2)本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてDNAポリメラーゼ等により伸長反応を行うことにより検出する方法がある。上記(2)の中の好ましい態様によれば、本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用してPCRを行うことにより、目的遺伝子を検出することができる。
【0030】
上記(1)の場合、本発明のオリゴヌクレオチドを標識化した標識核酸プローブを試料と混合し、該プローブとヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子とをハイブリダイズさせ、ハイブリッド体の標識を適当な検出法で検出することにより、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を検出することができる。一方、上記(2)の場合、本発明のオリゴヌクレオチドをそのまま核酸プライマーとするか、または該オリゴヌクレオチドを標識化した標識核酸プライマーを試料と混合し、DNAポリメラーゼ等によりプライマーを伸長させ(好ましくは、PCRにより標的配列を増幅させる)、得られたプライマー伸長物(PCRの場合には、増幅産物)を直接測定するか、標識プローブを用いて測定する。
【0031】
本発明の好ましい態様によれば、本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行うことにより、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を特異的に増幅することができる。増幅反応に際しては反応時に放射性物質などの標識の結合したヌクレオチドを取り込ませる方法や、増幅産物を電気泳動により分画して特異なバンドを検出することにより、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を容易に検出することができる。特に、本発明のオリゴヌクレオチドを用いた場合、ヒトアデノウイルス5型E1A遺伝子の増幅産物と、E1B遺伝子の増幅産物とのサイズの相違により、電気泳動後に泳動距離の差異に基づいて、これら2種の増幅産物を容易に判別することが可能である。また、前述の標識オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いれば増幅産物を直接検出することも可能である。
【0032】
以下、本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いたPCRによるヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の検出方法について詳細に説明する。
目的のヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の存在の有無を検知しようとする試料としては、遺伝子治療や基礎研究の分野で使用するための組み換えアデノウイルス調製物が挙げられる。この組み換えウイルスを調製する段階で宿主細胞である293細胞のE1遺伝子と組み換えアデノウイルスとの間で相同組み換えがおこり、自律増殖性アデノウイルス(RCA)が生じる場合があることから、本発明の検出方法によって組み換えアデノウイルスの品質管理を行うことができる。あるいはまた、ヒトアデノウイルスを感染させた動物細胞、感染動物より得られる臓器、血液等、患者より得られる血液、唾液、尿等の生体試料を使用することもできる。この中でも血液を使用すれば感染動物、患者の連続診断を簡便に行うことができる。血液成分中のヒトアデノウイルスの検出には、核酸成分を抽出することが好ましい。血液成分等からの核酸成分の調製法は当業者に公知である。
【0033】
例えば、溶解緩衝液(50mM KCl、10mMTris―HCl、3mM MgCl2 、0.45%Tween20、0.45%NP40、1mg/ml Proteinase K)に細胞を懸濁し、65℃で1晩インキュベートし、その後、98℃で10分間インキュベートすることによりProteinaseKの失活およびDNAの変性を行う。その溶液をフェノール処理3回、クロロホルム処理2回を行った後、エタノール沈殿法によりDNAを回収することができる。このようにして得られるヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子のDNAを含む試料、及び本発明のプライマーセットを用いてPCR法を行うことができる。
【0034】
上記した試料に本発明のオリゴヌクレオチドから成るプライマーセットを加えることによって、試料中の目的とするヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子が存在すれば、該プライマーで挟まれた領域を増幅することができる。PCRの条件は適宜設定することができ、例えば、TOYOBO KOD Dash DNAポリメラーゼを用いれば、94℃で30秒(変性)、62℃で2秒(アニーリング)、74℃で30秒(伸長)を1サイクルとし、全部で30サイクルとすることも可能である。但し、ここに示した条件は一例に過ぎず、用いる酵素、反応温度、反応時間、サイクル数などは適宜変更することも可能である。
【0035】
PCRにより生成した目的遺伝子は電気泳動法、あるいは標識プローブを用いるドットブロットハイブリダイゼーション等により検出することができる。プローブとしては増幅領域内でプローブDNAを設計、作製することができる。
【0036】
(VI)キット
本発明のオリゴヌクレオチド又はそれを用いたプライマーセットはキットとして供給することにより、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の検出を簡便に行うことができる。
本発明のヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子検出用キットは、本発明のオリゴヌクレオチド又はその標識オリゴヌクレオチドを含むものである。また、本発明のキット中には、PCR用試薬、電気泳動試薬、DNA抽出用試薬などを含めておくことにより、試料中のヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の検出をより迅速・簡便・高感度に行うことができる。なおキット中の試薬は溶液でも凍結乾燥物でも良い。
【0037】
PCR用試薬としては、例えば、Tris-HCl、KCl、MgCl2、各種dNTP、Taq DNAポリメラーゼ、水等が挙げられる。電気泳動用試薬としては、例えば、アガロース又はポリアクリルアミドゲル、ローディング緩衝液、エチジウムブロマイド染色用試薬等が挙げられる。DNA抽出用試薬としては、Proteinase Kなどが挙げられる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕
(1)オリゴヌクレオチド化合物の選択
まず、野生型ヒトアデノウイルス5型の遺伝子の塩基配列を公開の遺伝子データベースであるGenBankから入手した。次にE1AおよびE1Bの遺伝子の領域を特定し、それらの領域を特異的に検出し得る領域に対しての相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド化合物を、先に提案した方法を用いて選択した(井上順子ら、別冊「実験医学PCR法の最新技術」18-24頁(1995);向井博之ら、「蛋白質核酸酵素 PCR法最前線」41巻 437-452頁 (1996))。すなわち、野生型ヒトアデノウイルス5型のE1A遺伝子に対しては配列番号5で表される塩基配列について検索した結果、次の2種の核酸化合物がオリゴヌクレオチド化合物候補として選出された。
E1AF2:CTGATCGAAGAGGTACTGGCTGATAATCTTCCACC (配列番号1)
E1AR2:TTATGGCCTGGGGCGTTTACAGCTCAAGTCCAAAG (配列番号2)
【0039】
また、野生型ヒトアデノウイルス5型のE1B遺伝子に対しては配列番号6で表される塩基配列について検索した結果、次の2種の核酸化合物がオリゴヌクレオチド化合物候補として選出された。
E1BF1:AGTTTTATAAAGGATAAATGGAGCGAAGAAACCC (配列番号3)
E1BR1:AGTGGTCAGCTGCTCTATGGAATACTTCTGCGCC (配列番号4)
【0040】
(2)オリゴヌクレオチド化合物の作製
以上により選択した塩基配列をもとにしてインビトロジェン(株)にてオリゴヌクレオチド化合物を受託合成し作製した。
【0041】
(3)in vitro実験系を用いた評価実験
密度勾配超遠心法で精製された野生型ヒトアデノウイルス5型DNA(5.3×100〜5.3×106copies)を鋳型とし、該オリゴヌクレオチドをプライマーとしてKOD Dash DNAポリメラーゼ(東洋紡績(株))でPCR反応(94℃30秒、62℃2秒、74℃30秒、30サイクル)を行った。
さらにin vitroの再構成実験として、密度勾配超遠心法で精製された野生型ヒトアデノウイルス5型DNA(5.3×100〜5.3×106copies)と密度勾配超遠心法で精製されRCAの検出されない組み換えアデノウイルスAxCAEGFPのDNA(1×108copies)をあらかじめ混合したものを鋳型として上記と同様にPCR反応を行った。
【0042】
得られたPCR産物を1%アガロースゲルで電気泳動し、0.5%エチジウムブロマイドで染色し、UVイルミネーターで検出した。結果を図1及び図2に示す。図1及び図2の結果から分かるように、組み換えアデノウイルスDNAの混入の有無に関わらず、5.3×102copiesの野生型ヒトアデノウイルス5型DNAの鋳型条件でE1AまたはE1B遺伝子の検出ができた。これは対照実験に用いたプライマーの結果とほぼ同等の効果を示した。ここで、1f、1rは対照実験用プライマーである(Dion, L.D.ら「Journal of Virological Methods」 56巻99-107頁 (1996))。さらに、配列番号1〜4を同時にPCR反応に用いてアデノウイルスのE1AとE1B遺伝子を同時に検出することができた。
【0043】
【本発明の効果】
本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いたPCR法によれば、ヒトアデノウイルス5型E1AおよびE1B遺伝子を特異的に検出できる。更にラジオアイソトープを使わずに、アガロースゲル電気泳動によるエチジウムブロマイド染色のみで、高感度にヒトアデノウイルス5型E1AおよびE1B遺伝子を検出することができる。従って、簡便にかつ短時間にヒトアデノウイルス5型E1AおよびE1B遺伝子の高感度検出が可能である。
【0044】
また、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることにより、高力価組み換えアデノウイルスに混入するRCAをPCR法で簡便にしかも高感度に検出することができる。従って、本発明のオリゴヌクレオチドは、信頼性がある正確なタンパク質発現実験の結果を得るために、感染実験に用いられる組み換えアデノウイルス液のRCAの混入を検査することに利用できる。また、組み換えウイルス作製において多数の組み換え体ウイルス候補のクローンをスクリーニングする場合において実施されるRCA混入検査に利用することができる。
【0045】
【配列表】
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【0046】
Figure 0003650797
【0047】
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【0048】
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【0049】
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【0050】
Figure 0003650797
【0051】
Figure 0003650797
Figure 0003650797

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、野生型ヒトアデノウイルス5型DNA(5.3×100〜5.3×106copies)を鋳型として、それぞれのプライマーでPCR反応を行いE1AまたはE1B遺伝子を検出した結果を示す。
【図2】図2は、野生型ヒトアデノウイルス5型DNA(5.3×100〜5.3×106copies)と組み換えアデノウイルスAxCAEGFP DNA(1×108copies)をあらかじめ混合したものを鋳型として、それぞれのプライマーでPCR反応を行いE1AまたはE1B遺伝子を検出した結果を示す。最左レーンに挿入遺伝子検出用のプライマーを用いた結果を示す。

Claims (3)

  1. (1)配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び配列表の配列番号2に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから成るヒトアデノウイルス5型E1A遺伝子検出用プライマーセット;並びに
    (2)配列表の配列番号3に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び配列表の配列番号4に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから成るヒトアデノウイルス5型E1B遺伝子検出用プライマーセット:
    から成るヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子検出用キット。
  2. 請求項1に記載のキットを用いて試料中のヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を検出することを含む、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の検出方法。
  3. 試料中の核酸を鋳型として、請求項1に記載のキットを用いてPCRを行うことにより、試料中のヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子を検出することを含む、ヒトアデノウイルス5型E1A又はE1B遺伝子の検出方法。
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