JP3650525B2 - 方向性電磁鋼板の焼鈍分離剤およびグラス被膜と磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として変圧器その他の電気機器等の鉄心として利用される方向性電磁鋼板の製造に用いられる焼鈍分離剤とそれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。特に、皮膜形成過程において優れた反応性を有する焼鈍分離剤を用い、極めて均一なグラス皮膜と優れた磁気特性を得るための方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
通常、方向性電磁鋼板はSi:2.5〜4.5%を含有する素材スラブを熱延し、焼鈍と1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷延により最終板厚とされる。次いで、H2 或いはN2 +H2 雰囲気中で酸化度を制御して脱炭焼鈍を行い、脱炭、一次再結晶及びSiO2 を主成分とする酸化膜形成処理を行う。特開昭59−56522号公報に開示されているようにMnを0.08〜0.45%、S:0.007%以下にすることにより低温スラブ加熱を可能にした技術においては、脱炭焼鈍の後にストリップ走行中に窒化処理が行われる。その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤をスラリー状として鋼板に塗布し、乾燥後、コイルに巻き取り最終仕上げ焼鈍を行う。この後、張力付与型の絶縁皮膜剤を塗布し、乾燥し、焼き付けとヒートフラットニングを行って最終製品とされる。
【0003】
この方向性電磁鋼板は、<001>軸を有する(110)<001>結晶が高温の二次再結晶で優先的に成長し、鋼中にインヒビターとして分散しているAlN、MnS等によって、その成長を抑えられている他の結晶を侵食するために(110)<001>結晶が優先的に成長するものと考えられている。従って、優れた方向性電磁鋼板を製造するためには、鋼中インヒビターの分散状態とこれらの分解までの制御が重要である。特に、最終仕上げ焼鈍におけるグラス皮膜形成過程における焼鈍分離剤MgOの性状はグラス被膜形成を介してインヒビターの安定、保持に重要な役目を有しているために重要である。
【0004】
このグラス皮膜形成反応においては、MgOとSiO2 の反応は純粋系においては、1600℃近い高温でなければ反応が生じない。このため、脱炭工程で生成する酸化膜の性状(成分、形成状態)、仕上げ焼鈍条件(ヒートサイクル、雰囲気ガス条件)と共に焼鈍分離剤の主成分MgOの活性度制御、粒径、不純物のほか、反応促進剤としての添加剤を適切なバランスに保つことは特に重要となる。これにより、グラス皮膜形成時期まで酸化膜表面成分を安定に保たれ、低温から均一なグラス皮膜の形成が生じる。同時に高温域までインヒビターの安定化が保たれ良好な磁気特性が得られる。
【0005】
グラス皮膜形成過程において焼鈍分離剤MgOが鋼板に塗布される場合には、粒子のスラリー中の分散状態、水和の進行度合いと共に、乾燥後の鋼板表面への接触状態や密着状態が重要である。また、引き続く仕上げ焼鈍中のグラス被膜形成段階においてはMgOの活性分布、粒子径、MgOに含有する不純物の種類や量、反応促進用添加剤は良好なグラス被膜と磁気特性を両立するために重要である。
【0006】
焼鈍分離剤MgOの活性度を調整して方向性電磁鋼板の品質を向上する技術としては、例えば特開昭55−58331号公報には、クエン酸活性度分布を最終反応率20%:25〜65秒、最終反応率40%の場合:40〜80秒、最終反応率60%の場合:60〜130秒、最終反応率70%の場合:70〜200秒と狭い範囲に規定することにより最終仕上げ焼鈍で形成されるフォルステライト被膜を改善する技術が提案されている。又、特開平6−33138号公報にはMgOとしてクエン酸活性度の最終反応率40%の条件で100〜400秒、最終反応率80%の条件で1000〜4000秒で、しかも水温20℃で60分間攪拌した場合の水和水分が2.5%以下であり、平均粒子径2.5μm以下で、かつ325メッシュの不通過分が5%以下であるものを用いることによりAlNとSbをインヒビターとして用いる材料のグラス被膜と磁気特性を向上する技術が提案されている。
【0007】
焼鈍分離剤への添加剤によるグラス被膜改善技術としては、例えば特開平8−165521号公報には本発明者等により、インヒビターとしてAlNを用いる低温スラブ加熱材のグラス被膜と磁気特性改善技術として焼鈍分離剤として、MgO:100重量部当たりハロゲン化合物の1種又は2種以上をF,Cl,Br,Iとして0.015〜0.120重量部含むスラリーを塗布し、仕上げ焼鈍昇温時850〜1100℃の領域を12℃/Hr以下で昇熱する技術が提案されている。このように、MgOの性状やグラス皮膜形成における反応促進剤としての添加剤を改善することでグラス皮膜形成反応が改善されてきた。しかし、コイル焼鈍においては、コイル昇温時の不均一加熱、水和水分の分解のコイル各部でのずれ、雰囲気ガスの通気性の違いがあり、更に、焼鈍分離剤の低水和化と反応性を決定的に両立して満足するものではない。このため、鋼成分、脱炭焼鈍条件、最終仕上げ焼鈍条件によってはグラス皮膜特性や磁気特性が不安定になる場合があり、未だ十分な技術とはいえず、更なる改善が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述したような従来技術におけるMgOの性状や添加剤のみの改善では鋼成分、脱炭焼鈍の変動や大型コイルの場合に安定して良好なグラス被膜と磁気特性が得られない問題を解決するため、焼鈍分離剤の改善を図ったもので、低水和、高反応性の新規な焼鈍分離剤と、それを用いたグラス被膜と磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、反応性の優れる焼鈍分離剤MgOとこれを使用して優れたグラス被膜と磁気特性を得るための製造方法であり、以下の構成を要旨とするものである。
(1)マグネシアを主成分とし、CAA70%が250〜1000秒、かつ、CAA70%/CAA40%が1.5〜6.0であり、粒子径%20値が1.2μm以下、BET値が20.5〜35であることを特徴とする方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。ただし、CAA70%、CAA40%:それぞれの反応率までのクエン酸活性度(秒)
粒子径%20値:レーザー回折法で測定した粒子径分布を小粒子側から積算したときの、カウント数20%点での最大粒子径(μm)
BET値:N吸着法で測定したMgOの比表面積(m2 /g)
(2)前記(1)の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤に、更にフッ素を200〜1500ppm含有することを特徴とする(1)の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
(3)C:0.03〜0.100%、Si:2.5〜4.5%を含有する珪素鋼スラブを熱延し、必要に応じて焼鈍し、1回又は焼鈍を挟む2回の冷延により最終板厚とし、脱炭焼鈍し、必要に応じて窒化処理によりインヒビターを形成し、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍し、絶縁皮膜処理とヒートフラットニングを行うことからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、前記脱炭焼鈍後の鋼板上に(1)もしくは(2)記載の焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍することを特徴とするグラス被膜と磁気特性の極めて優れる方向性電磁鋼板の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍後の鋼板上に塗布するMgOとして、▲1▼活性分布(最終反応率比:70%/40%)、▲2▼粒子径、▲3▼BET値、▲4▼フッ素量について検討を行い、グラス被膜と磁気特性への影響を調査し、これらを適正な範囲に調整することにより、低水和条件でコイル全面にわたって優れたグラス被膜と磁気特性の優れる方向性電磁鋼板が得ることに成功したものである。
【0011】
これにより、従来技術では実現出来なかった焼鈍分離剤の鋼板表面酸化膜へのMgO粒子の被覆性、密着性と共にグラス被膜形成過程の反応性を向上する。この結果、コイル焼鈍においてグラス皮膜の均一性と安定性を得る技術の開発に成功した。即ち、本発明によれば、従来のMgOや反応促進用添加剤よりも効果的に広範囲の脱炭酸化膜形成条件や仕上げ焼鈍条件でグラス皮膜と磁気特性の良好な方向性電磁鋼板が得られる。
【0012】
本発明では、焼鈍分離剤の主成分として適用されるMgOの活性度分布と粒径、比表面積、及び不純物としてのフッ素量のバランスに特徴がある。これらを厳密にコントロールすることにより、MgOの反応性と水和性が適切に保たれ優れた製品が得られる。
まず、本発明で示されるクエン酸活性度CAAの測定法を簡単に述べる。
【0013】
i)300ccビーカーに0.4Nのクエン酸溶液100ccを入れる。更に、1%フェノールフタレイン指示薬を2ml添加する。この溶液をマグネチックスターラーを備え付けた恒温漕にて22℃±0.2℃に保つ。
ii)天秤にて正確に秤量したMgOを投入する。同時にストップウオッチを押す。最終反応率40%値を得る場合には2.00gを投入する。最終反応率70%値を得る場合には1.14gを投入する。
【0014】
iii)5秒経過後にマグネチックスターラーのスイッチを入れる(回転数391r.p.m)。
iv)終点は液の色が桃色になる点とし、ストップウオッチを押して時間を記録する。
本発明で使用するMgOの条件としては、先ず、CAA70%値は250〜1000秒である。最終反応率が70%値が250秒未満では全体の粒子の活性が強すぎる結果、水和性が強くなり、スラリーを低水和に保持することが難しくなるため工業生産に適さない。一方、1000秒を超えると粒子の不活性部の比率が高くなり過ぎて鋼板間の雰囲気の適切な酸化度が保てず、グラス被膜形成に不利となる。
【0015】
次に、このCAA70%値と共に重要なのがCAA70%/CAA40%の比である。本発明者等は、この比を検討するためMgO焼成時の条件として焼成前原料(水酸化マグネシュウム)の純度、粒子径、粒形状や焼成炉のタイプ、焼成時の温度、時間、原料挿入量等のことなる条件のMgOについて検討を行った。その結果、比が1.5〜6.0のMgOを用いた場合に良好な反応性が得られることを見いだした。前記比が1.5未満では、本発明の条件域の場合、グラス被膜形成における反応性が低く、均一なグラス被膜が得られない。一方、6.0超では、特にCAA70%値250秒側の低い条件では、高活性部の比が高くなり過ぎて水和の制御が困難になる。このため、過酸化特有のシモフリやスケール等の欠陥が生じ易くなるため制限される。これらの問題を回避するため、本発明の最適範囲であるCAA70%値250〜1000秒、かつ、CAA70%値/CAA40%値1.5〜6.0を実現するためにはCAA70%値が低く、比の低値側はロータリーキルン焼成、CAA70%値が高く、比の高い側はバッチ炉タイプで焼成した場合が工業的に目的の物性値を得るのに有利である。次に、粒子径%20値の限定理由は通常、方向性電磁鋼板の焼鈍分離剤はグラス被膜形成、純化、鋼板の焼き付き防止の観点から乾燥後重量で5〜10g/m2 程度の範囲で鋼板に塗布される。しかし、実際に被膜形成に消費されるMgOは高々1〜2g/m2 程度である。このため、MgO粒子として%20を重点的に管理指標とすると反応性の評価に有効であることを見いだした。%20値が1.2μm以上では鋼板への付着性、密着性やグラス被膜形成における反応性が低下するため制限される。1.2μm以下では必要粒子の強固な密着性が得られ、微細粒子による高反応性が得られる結果、優れたグラス被膜性能と磁気特性を有する製品が得られる。BETは当然のことながら前記CAA値や粒子に関連した傾向は示すが、20.5m2 /g未満では、反応性が低下してグラス被膜の発達が進行しにくく、薄膜化傾向があり、インヒビターの安定化効果が減少して磁性も劣化する。一方、35m2 /g超では、前記CAA値のMgOが工業的に得られ難く、又、水和の制御が非常に困難になる。
【0016】
上記のMgOに、さらにフッ素を含有することで、より安定した被膜性能と磁性の向上効果が得られるものである。含有されるフッ素量の適正量は200〜1500ppmである。フッ素量はMgO製造工程の焼成前の原料にフッ素化合物を添加した後焼成するか、MgOをスラリーにして塗布する段階でスラリー中にフッ素化合物を添加して調整する。好ましい添加剤としては、Li,Na,K,Ca,Ba,Mg,Zn,Mn,Sn,Sr,Sb,Bi等である。フッ素量として200ppm未満ではグラス被膜形成温度低下や反応速度向上効果が極度に小さくなる。一方、1500ppm超では仕上げ焼鈍条件によっては過剰な作用が生じて酸化過度と類似の欠陥を生じたり、酸化膜や形成途中のグラス被膜を腐蝕して被膜欠陥を生じるため制限される。本発明の性状を有するMgOにおいて、最も好ましいフッ素量の範囲は300〜700ppmであり、この範囲では、極めて安定したグラス被膜向上、グラス被膜張力の向上、インヒビターの安定化効果が得られ優れた磁気特性が得られる。
【0017】
次に、本発明で使用される方向性電磁鋼板の素材成分の限定理由は以下の通りである。
先ず、適用される鋼板の素材としてはC:0.03〜0.100%、Si:2.5〜4.5%を含有するスラブを用いる。Cはその含有量が0.010%未満では二次再結晶が不安定になる。又、二次再結晶した場合でも製品の磁気特性の変動が大きくなるため制限される。一方、Cの含有量が0.100%超と多くなり過ぎると脱炭焼鈍における酸化膜の形成に不利になったり、焼鈍時間が長くなり生産性を阻害する。Siは、2.0%未満になると低鉄損の製品が得られ難く、一方、4.5%超では冷延時に割れ破断が多発し、安定した冷延作業を困難にする。本発明における方向性電磁鋼板は、上記C,Siに加えて、他の鋼成分を添加することができるが、本発明においてはそれら成分の種類、量について特に限定するものではない。
【0018】
次に、本発明の焼鈍分離剤を用いる方向性電磁鋼板の製造条件について述べる。
本発明による方向性電磁鋼板の製造においては、スラブ加熱の後熱延し、1回又は焼鈍を挟む2回以上の冷延を行って最終板厚とし、次いで800〜900℃で雰囲気ガスの酸化度を調整して脱炭焼鈍を行って鋼板表面にSiO2 を主成分とする酸化膜を形成する。その後、インヒビターとしてAlNを利用する低温スラブ加熱材の場合は、同一ライン或いは別ラインに於いて窒化処理を行ってインヒビターを形成する。この脱炭焼鈍或いは窒化処理後の鋼板上に、既に述べた本発明の焼鈍分離剤を塗布する。この際、より優れたグラス被膜の形成性を得る目的でフッ素量を焼鈍分離剤固形分中に200〜1500ppmになるようにMgOの製造段階か焼鈍分離剤スラリーの調整段階で添加剤を用いて調整する。このように調整されたMgOは、スラリー状としコーティングロール等で鋼板に塗布し、乾燥後コイルに巻き取られる。この際、焼鈍分離剤にはグラス皮膜の反応促進補助、板間雰囲気調整或いはインヒビター強化の目的で前記本発明の添加物のほかに硼素化合物、硫黄化合物、窒素化合物、酸化物等が鋼成分や処理条件に応じて併用添加される。
【0019】
このように処理されたコイルは、最終仕上げ焼鈍として、バッチ式或いは連続式炉内において1150〜1200℃の温度範囲で20Hrのような高温長時間処理が行われ、グラス皮膜形成と二次再結晶及び純化が行われる。その後、余剰の焼鈍分離剤の水洗除去、軽酸洗の後、絶縁皮膜を塗布し、その焼き付けと形状矯正、歪み取り焼鈍をかねてヒートフラットニングが行われ、最終製品となる。
【0020】
この絶縁皮膜剤としては、コロイダルシリカ:100重量部に対し、Al,Mg,Ca等のリン酸塩の1種又は2種以上を130〜200重量部とクロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩の1種又は2種以上をCrO3 として12〜40重量部配合したものを用いるのが張力付与と皮膜性能の面で有利である。
【0021】
【実施例】
<実施例1>
重量%で、C:0.078%、Si:3.25%、Mn:0.06%、酸可溶Al:0.026%、S:0.024%、N:0.0080%、Sn:0.12%、残部Feと不可避的不純物からなる素材を板厚2.3mmに熱延し、1120℃で2分間焼鈍後、酸洗、冷延し最終板厚0.225mmとした。次いで、830℃で120秒間、N2 :25%+H2 :75%、DP68℃の雰囲気中で脱炭焼鈍を行った。この鋼板表面に表1に示す性状のMgO:100重量部に対し、TiO2 :5%と硼酸ナトリュウム:0.3重量部添加した焼鈍分離剤を塗布後乾燥し、1200℃の温度で20Hrの最終仕上げ焼鈍を行った。その後、20%コロイド状シリカ:100ml+50%リン酸Al:50ml+CrO3 :5gからなる絶縁皮膜剤を焼き付け後の重量で4g/m2 になるよう塗布し、850℃で焼き付け処理を行った。
【0022】
この試験におけるグラス皮膜形成状況及び磁気特性の結果を表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
この試験の結果、本発明のCAA70%値、CAA70%値/CAA40%値及び粒子径%20値の制御されたMgOを用いた場合には、何れも良好なグラス被膜の形成状況と絶縁被膜処理後の密着性が得られた。又、磁気特性も安定して良好であった。これに対し、比較例のCAA70%値の大きい不活性品や、CAA70%値/CAA40%比が本発明から外れるケースでは、何れもグラス被膜が薄かったり、不均一で不良であり、しかも磁気特性も本発明に比較してかなり劣る傾向が見られた。
<実施例2>
重量%で、C:0.056%、Si:3.35%、Mn:0.11%、Al:0.028%、S:0.0070%、N:0.0072%、Sn:0.03%、残部をFeと不可避的不純物からなる方向性電磁鋼板素材を実施例1と同様にして処理し、最終板厚0.225mmとした。この鋼板を連続焼鈍炉内で845℃で90秒間、N2 :25%+H2 :75%、DP68℃の雰囲気中で脱炭焼鈍を行った後、750℃の温度で30秒間、N2 :25%+H2 :75%+NH3 の雰囲気中で鋼中N量が220ppmになるように窒化処理を行った。
【0026】
この鋼板上に、表3に示すような本発明のCAA値分布と粒子径及びBET値を有するMgO:100重量部に対し、TiO2 :3重量部と硼酸ナトリュウム:0.3重量部を添加し、更にフッ化マグネシュウムを用いて焼鈍分離剤中の全フッ素量を変更した焼鈍分離剤を塗布し乾燥後、1200℃の温度で20Hrの最終仕上げ焼鈍を行った。その後、実施例1と同様に絶縁皮膜処理を行い製品とした。この試験におけるグラス皮膜と磁気特性の結果を表4に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
この試験の結果、実施例1と同様、本発明のCAA値を有するMgOを用いた場合には、フッ素量250〜1000ppmに調整した場合、相乗的なグラス被膜形成反応の向上効果が見られ、極めて良好なグラス被膜形成状況と磁気特性が得られた。これに対し、フッ素量が低い場合や高すぎる場合には前記本発明に比しやや被膜レベル、磁気特性とも悪く、特にフッ素量が高すぎる場合には被膜が薄く、不均一であった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、CAA値と粒子径の比及びBET値を適切にバランスさせることによりグラス被膜形成反応が向上し、安定して良好なグラス被膜と磁気特性が得られる。また、フッ素量を200〜1500ppmに制御することにより、相乗的な被膜形成反応の向上効果が得られ、更にグラス被膜と磁気特性が向上する。
Claims (3)
- マグネシアを主成分とし、CAA70%が250〜1000秒、かつ、CAA70%/CAA40%が1.5〜6.0であり、粒子径%20値が1.2μm以下、BET値が20.5〜35であることを特徴とする方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
ただし、CAA70%、CAA40%:それぞれの反応率までのクエン酸活性度(秒)
粒子径%20値:レーザー回折法で測定した粒子径分布を小粒子側から積算したときの、カウント数20%点での最大粒子径(μm)
BET値:N吸着法で測定したMgOの比表面積(m2 /g) - 前記方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤に、更に、フッ素を200〜1500ppm含有することを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
- C:0.03〜0.100%、Si:2.5〜4.5%を含有する珪素鋼スラブを熱延し、必要に応じて焼鈍し、1回又は焼鈍を挟む2回の冷延により最終板厚とし、脱炭焼鈍し、必要に応じて窒化処理によりインヒビターを形成し、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍し、絶縁皮膜処理とヒートフラットニングを行うことからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、前記脱炭焼鈍後の鋼板上に請求項1もしくは2記載の焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍することを特徴とするグラス被膜と磁気特性の極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
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1998
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