JP3649713B2 - 固体電解質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質に関し、例えば、燃料電池、二次電池、表示素子、太陽電池などに利用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、高分子電解質燃料電池(以下「PEFC」という。)の応用展開が様々な分野において図られている。これは、PEFCの発電原理が従来の内燃機関発電機の発電原理とは異なり、燃料を電気化学的に酸化することで燃料の化学エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換することができるため、高効率、小型、静粛かつクリーンであるという特徴を有するためである。
【0003】
前記PEFCの基幹部品である高分子電解質として、様々な化合物が提案されている。代表的なものは、例えば「ナフィオン(商品名)」、「フレミオン(商品名)」、「アシプレックス(商品名)」などの商品名で知られるパーフロロスルホン酸系高分子である。
【0004】
前記パーフロロスルホン酸系高分子は、いわゆる「テフロン(商品名)」として知られる四弗化エチレン骨格を主鎖とし、エーテル結合を介して末端にスルホン酸基を有する側鎖が当該主鎖に結合した化学構造を有する。
【0005】
前述するように、前記パーフロロスルホン酸系高分子は、分子内に疎水性の四弗化エチレン鎖部分と親水性のスルホン酸基側鎖部分とを有する。このため、疎水性の部分と親水性の部分とにミクロ相分離し、親水性部分である水和したスルホン酸基を介してプロトン伝導が行われる。
【0006】
すなわち、パーフロロスルホン酸系高分子のイオン伝導率は含水率に依存し、高いイオン伝導性を得るためには電解質の含水率を高く保つ必要がある。この結果、PEFCの電解質としてパーフロロスルホン酸系高分子を用いる場合には、一般に加湿機構を備える必要があり、反応温度も概ね0℃〜90℃の範囲に制約される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一方、PEFCの発電運転時には、加湿機構によって燃料ガスや酸素ガスに添加される水分及び発電反応によって生成する水分により、性能が低下する問題が生じている。これは、前記水分が凝集することでガス流路を閉塞してしまうためである。
【0008】
このため、PEFCの発電運転においては、電解質の水分を適度に保つ機構や運転条件の制御が重要であり、電極積層体の構造や運転条件に応じた適切な水分管理が要求される。このように、従来のパーフロロスルホン酸系高分子はPEFCの電解質として優れた特性を有する反面、運転時には適切な水分管理が必要になるという問題がある。
【0009】
上記問題に対して、無加湿条件でも高いイオン伝導性を示す電解質の開発が進められている。例えば、パーフロロスルホン酸系高分子にモレキュラーシーブス、シリカゲル、ポリエチレンオキサイドなどの保湿剤を混合して保湿する手法、白金担持チタニアなどの触媒あるいは低分子量のスルホン酸基含有化合物を混合して保湿する手法、塩基性高分子にリン酸化合物などを混合した電解質を用いる手法、二酸化スズ水和物、二酸化亜鉛水和物、三酸化タングステン水和物などを高分子に混合した電解質を用いる手法、ホスホシリケートゲル等の無機系の電解質を用いる手法などが提案されている。
【0010】
これらの中でホスホシリケートゲル等の無機系の電解質は、混合したリン酸化合物がプロトン伝導を担うために、乾燥条件でも比較的高いイオン伝導性が得られる特徴があり、無加湿条件で使用できる電解質として注目されている。しかしながら、燃料電池等の電解質として使用するには柔軟性に乏しく、取り扱いが難しいという問題がある。
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、低湿度環境下(例えば相対湿度10%以下)において従来のパーフロロスルホン酸系高分子よりも優れたイオン伝導性を有する固体電解質および当該固体電解質を用いた固体電解質型燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは低湿度環境で優れたイオン伝導性を示すリン酸基を有する化合物と樹脂との配合について鋭意検討した結果、少なくとも有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物とを原料成分とした組成物、又は少なくともエポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物とを原料成分とした組成物、又は前記各組成物に更に付加型ポリイミド樹脂もしくはフェノール性水酸基を有する樹脂を加えた組成物が、低湿度環境下で高いイオン伝導率を示すことを見い出し、本発明に至った。
【0013】
第1の発明は、少なくとも有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)とを原料成分として合成される固体電解質である。有機置換基を有するシランカップリング剤およびリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)の種類や両者の配合量は、材料の要求物性や使用形態に応じて適当に選ばれる。
【0014】
ここで有機置換基を有するシランカップリング剤の具体的な例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0015】
またリン酸基を有する化合物の具体的な例としては、オルトリン酸、ポリリン酸、ジフェニルリン酸、更にはホスマーシリーズすなわちアシッドホスホキシエチルメタクリレート(商品名:ホスマーM)、3クロロ2アシッドホスホキシプロピルメタクリレート(商品名:ホスマーCL)、アシッドホスホキシプロピルメタクリレート(商品名:ホスマーP)、アシッドホスホキシエチルアクリレート(商品名:ホスマーA)、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ホスマーPE)、アシッドホスホキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ホスマーPP)、メタクロイルオキシエチルアシッドホスヘートモノエタノールアミンハーフソルト(商品名:ホスマーMH)、メタクロイルオキシエチルアシッドホスヘートジメチルアミノエチルメタクリレートハーフソルト(商品名:ホスマーDM)、メタクロイルオキシエチルアシッドホスヘートジエチルアミノエチルメタクリレートハーフソルト(商品名:ホスマーDE)などが挙げられる。
【0016】
第2の発明は、少なくとも有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物と付加型ポリイミド樹脂とを原料成分として合成される固体電解質である。
【0017】
ここで付加型ポリイミド樹脂としては、PMR型やビスマレイミドなどが挙げられる。付加型ポリイミド樹脂を原料成分とする場合、基本的にはテトラカルボン酸二無水物にアルコールを反応させて得られるエステル化合物とジアミン化合物と反応性末端封止剤とをアルコールに溶解させたアルコール溶液を原料とする。このアルコール溶液中では、テトラカルボン酸エステル化合物とジアミン化合物とが縮合し、オリゴマーを形成している。このオリゴマーは、溶液中に含まれる反応性末端封止剤により、その両末端のアミノ基やカルボキシル基等が封止された状態で存在する。前記オリゴマーが含まれるアルコール溶液に、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物とを配合することにより、付加型ポリイミド樹脂を成分として含む固体電解質を得ることができる。
【0018】
第3の発明は、少なくとも、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とを原料成分として合成される固体電解質である。
【0019】
ここでフェノール性水酸基を有する樹脂の具体的な例としては、ポリパラビニルフェノール、フェノール樹脂、ポリヒドロキノン、ポリビフェノールなどが挙げられる。このフェノール性水酸基を有する樹脂に、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物とを直接あるいは適当な溶媒に溶かして配合することにより、フェノール性水酸基を有する樹脂を成分として含む固体電解質を得ることができる。
【0020】
第4の発明は、少なくともエポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)とを原料成分として合成される固体電解質である。エポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)の種類や両者の配合量は、材料の要求物性や使用形態に応じて適当に選ばれる。
【0021】
ここでエポキシ樹脂の具体的な例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、弗素化エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0022】
第5または第6の発明は、エポキシ樹脂およびリン酸基を有する化合物の原料成分に、更に付加型ポリイミド樹脂またはフェノール性水酸基を有する化合物を原料成分として追加して合成される固体電解質である。ここで、付加型ポリイミド樹脂またはフェノール性水酸基を有する化合物については、前述したとおりである。
【0023】
第7の発明は、第2,3,5,6の発明のいずれかに記載の固体電解質において、前記リン酸基を有する化合物をホスマー(商品名)とした固体電解質である。なお、ホスマー(商品名)とはリン酸基を含有する重合性モノマーであり、前述した各種ホスマーの総称である。
【0024】
第8の発明は、第3または第6の発明のいずれかに記載の固体電解質において、前記フェノール性水酸基を有する化合物をポリパラビニルフェノールまたはフェノール樹脂とした固体電解質である。
【0025】
第9の発明は、第1ないし第8の発明のいずれかに記載の固体電解質をフィルム化した電解質膜を有する固体電解質型燃料電池である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による固体電解質の好適な実施例を以下に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。なお、以下の説明において、「GPTMS」は3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン、「TMOS」はテトラメトキシシランを示す。
【0027】
[実施例1]
ポリイミドモノマー/GPTMS/TMOS/リン酸系サンプル
500mLのナス型フラスコに 3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物161.1g、メタノール225.2gおよびテフロン攪拌子を入れ、フラスコに水冷式コンデンサーと塩化カルシウム乾燥管を取り付けた。次にテフロン攪拌子で攪拌しながら、オイルバスにより内容物が沸騰する温度まで加熱し、5時間反応させた後、3,3'−ジメトキシカルボキシ−4,4'−ジカルボキシルベンゾフェノンの50wt%メタノール溶液を得た。得られた溶液は橙色透明であった。この溶液を以下、A溶液という。
【0028】
50mLのガラスサンプル瓶に4,4'−ジアミノジフェニルメタン1.09g、メタノール1.09gおよびテフロン撹拌子を入れ、室温で撹拌して溶解させた。これに前記A溶液を3.86g加えた後、更に10分間撹拌し均一な溶液を得た。この溶液を以下、B溶液という。
【0029】
20mLのガラスサンプル瓶に前記B溶液を3.5g入れ、更にメタノール4.28g、3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)4.5gおよびテトラメトキシシラン(TMOS)2.86gを加えて撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液6.51gを入れ、更に蒸留水1.05gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調製したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、C溶液という。
【0030】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記C溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して黄色不透明のフィルムを得た。
【0031】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は60℃、相対湿度4.2%において1.2×10-4S/cm、また80℃、相対湿度1.5%において4.7×10-4S/cm、また130℃、相対湿度0.2%において2.7×10-3S/cmであった。
【0032】
[実施例2]
ポリイミドオリゴマー/GPTMS/TMOS/リン酸系サンプル
100mLのナス型フラスコに4,4'−ジアミノジフェニルメタン4.96g、メタノール4.96gおよびテフロン攪拌子を入れ、室温で撹拌して溶解させた後、更に実施例1に記載したA溶液を19.32g加え、フラスコに水冷式コンデンサーと塩化カルシウム乾燥管を取り付けた。次にテフロン攪拌子で攪拌しながら、オイルバスにより内容物が沸騰する温度まで加熱し、5時間反応させた。反応後、室温まで冷却すると溶液は2層に分かれた。次に分離した2層のうち、上層のメタノールを取り除き、下層の粘調な液体を得た。この粘調な液体の固形分濃度は62wt%であった。このようにして得た粘調な液体を以下、D液体という。
【0033】
20mLのガラスサンプル瓶に前記D液体を4.6g入れ、更にメタノール5.68g、3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5.9g、テトラメトキシシラン(TMOS)3.8gを加えて撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液8.64gを入れ、更に蒸留水1.41gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調製したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、E溶液という。
【0034】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記E溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して黄色不透明のフィルムを得た。
【0035】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は60℃、相対湿度4.2%において4.4×10-5S/cm、また80℃、相対湿度1.5%において2.2×10-4S/cm、また130℃、相対湿度0.2%において1.4×10-3S/cmであった。
【0036】
[実施例3]
ポリイミドオリゴマー/GPTMS/リン酸系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶に実施例2に記載したD液体を1.9g入れ、更にメタノール4.02g、3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5.9gを加えて撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液4.3gを入れ、更に蒸留水0.7gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調製したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、F溶液という。
【0037】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記F溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して黄色不透明のフィルムを得た。
【0038】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.3%において1.3×10-4S/cmであった。
【0039】
[実施例4]
GPTMS/リン酸系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶に3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)11.8g、エタノール11.5gを入れて撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液8.64gを入れ、更に蒸留水1.42gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調製したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、G溶液という。
【0040】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記G溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して茶色透明のフィルムを得た。
【0041】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は60℃、相対湿度3.8%において3.3×10-5S/cm、また80℃、相対湿度1.6%において1.2×10-4S/cm、また130℃、相対湿度0.2%において1.2×10-3S/cmであった。
【0042】
[実施例5]
GPTMS/ポリリン酸系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶に3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)11.8g、エタノール11.5g、ポリリン酸7.34gおよび蒸留水2.72gを入れ、撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、H溶液という。
【0043】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記H溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して茶色透明のフィルムを得た。
【0044】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は60℃、相対湿度3.9%において1.1×10-4S/cm、また80℃、相対湿度1.6%において3.2×10-4S/cmであった。
【0045】
[実施例6]
GPTMS/ホスマーM系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶に3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)2.36g、エタノール2.3g、ホスマーM(商品名)3.15gおよび蒸留水0.54gを入れ、撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、I溶液という。
【0046】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記I溶液2gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して茶色透明のフィルムを得た。
【0047】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は60℃、相対湿度3.6%において5.6×10-6S/cm、また80℃、相対湿度1.4%において1.7×10-5S/cm、また130℃、相対湿度0.2%において2.2×10-4S/cmであった。
【0048】
[実施例7]
低分子レゾール/GPTMS/リン酸系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶に低分子レゾールの82wt%メタノール溶液1.42g、3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5.9gおよびメタノール4gを入れ、撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液4.33gを入れ、更に蒸留水0.7gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調整したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、J溶液という。
【0049】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記J溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して茶色透明のフィルムを得た。
【0050】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.2%において3.7×10-4S/cmであった。
【0051】
[実施例8]
高分子レゾール/GPTMS/リン酸系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶に高分子レゾールの54.8wt%メタノール溶液2.12g、3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5.9gおよびメタノール3.2gを入れ、撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液4.33gを入れ、更に蒸留水0.7gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調整したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、K溶液という。
【0052】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記K溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して茶色透明のフィルムを得た。
【0053】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.2%において2.3×10-4S/cmであった。
【0054】
[実施例9]
ポリパラビニルフェノール/GPTMS/リン酸系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶にポリパラビニルフェノール(分子量9300)1.16gおよびエタノール5.76gを入れて攪拌し、溶解させた後、更に3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5.9gを加えて撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液4.33gを入れ、更に蒸留水0.7gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調整したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、L溶液という。
【0055】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記L溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して茶色不透明のフィルムを得た。
【0056】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.1%において1.7×10-4S/cmであった。
【0057】
[実施例10]
ポリパラビニルフェノール/GPTMS/リン酸系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶にポリパラビニルフェノール(分子量2万)1.16gおよびエタノール5.76gを入れて攪拌し、溶解させた後、更に3−グリシロキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5.9gを加えて撹拌した。一方、10mLの三角フラスコに85%オルトリン酸水溶液4.33gを入れ、更に蒸留水0.7gを加えて撹拌した。次に、前記20mLのサンプル瓶に調製した溶液を撹拌しながら、これに前記10mL三角フラスコに調整したリン酸水溶液を10分間かけて滴下した。このようにして得られた溶液を以下、M溶液という。
【0058】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記M溶液3gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して茶色不透明のフィルムを得た。
【0059】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.2%において1.0×10-4S/cmであった。
【0060】
[実施例11]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂/ホスマーM系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶にビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量186)1.86gおよびアセトン2.9gを入れて攪拌し、溶解させた後、更にホスマーM(商品名)2.1gを加えて撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、N溶液という。
【0061】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記N溶液2gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して黄土色透明のフィルムを得た。
【0062】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.3%において4.2×10-6S/cmであった。
【0063】
[実施例12]
ポリパラビニルフェノール/エポキシ樹脂/ホスマーM系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶にビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量186)1.5gおよびアセトン7.26gを入れて攪拌し、溶解させた。これにポリパラビニルフェノール(分子量9300)1.5gを加えて溶解させた後、更にホスマーM(商品名)5.25gを加えて撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、O溶液という。
【0064】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記O溶液2gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱してフィルムを得た。
【0065】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.2%において8.9×10-6S/cmであった。
【0066】
[実施例13]
ポリパラビニルフェノール/エポキシ樹脂/ホスマーM系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶にビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量186)1.5gおよびアセトン7.26gを入れて攪拌し、溶解させた。これにポリパラビニルフェノール(分子量2万)1.5gを加えて溶解させた後、更にホスマーM(商品名)5.25gを加えて撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、P溶液という。
【0067】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記P溶液2gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱してフィルムを得た。
【0068】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.2%において1.1×10-5S/cmであった。
【0069】
[実施例14]
低分子レゾール/エポキシ樹脂/ホスマーM系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶にビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量186)1.5gおよびアセトン7.26gを入れて攪拌し、溶解させた。これに低分子レゾールの濃度82%メタノール溶液1.61gを加えて溶解させた後、更にホスマーM(商品名)5.25gを加えて撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、Q溶液という。
【0070】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記Q溶液2gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱してフィルムを得た。
【0071】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.2%において7.3×10-6S/cmであった。
【0072】
[実施例15]
高分子レゾール/エポキシ樹脂/ホスマーM系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶にビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量186)1.5gおよびアセトン7.26gを入れて攪拌し、溶解させた。これに高分子レゾールの濃度54.8%メタノール溶液2.42gを加えて溶解させた後、更にホスマーM(商品名)5.25gを加えて撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、R溶液という。
【0073】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記R溶液2gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱してフィルムを得た。
【0074】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度1.4%において8.5×10-5S/cmであった。
【0075】
[実施例16]
ポリイミドオリゴマー/エポキシ樹脂/ホスマーM系サンプル
20mLのガラスサンプル瓶に実施例2に記載したD液体を1.23g入れ、更にメタノール2.51g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量186)0.75gおよびホスマーM(商品名)2.65gを加えて撹拌した。このようにして得られた溶液を以下、S溶液という。
【0076】
次に、ポリプロピレン製の5cm角正方形の型枠に前記S溶液2gをキャストし、ドラフト内において室温で一晩放置して風乾した。続いて型枠ごとオーブンに入れ、50℃で24時間、100℃で24時間、150℃で5時間加熱して黄色不透明のフィルムを得た。
【0077】
得られたフィルムの両面を5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、フィルムのイオン伝導率は80℃、相対湿度2%において1.6×10-4S/cmであった。
【0078】
[比較例]ナフィオン
比較例として、既に市販されている高分子電解質であるパーフロロスルホン酸系高分子のナフィオン(商品名)を用い、評価試験を行った。ナフィオン(商品名)のフィルムを実施例と同様に5mm×10mmの大きさの白金箔で挟み、これをオーブンに入れ、交流インピーダンス法によりフィルムのイオン伝導率を測定した。その結果、ナフィオン(商品名)のイオン伝導率は60℃、相対湿度4.1%において4.1×10-5 S/cm、また80℃、相対湿度1.3%において8.8×10-6 S/cmであった。
【0079】
表1は、前述した実施例1から実施例16、及び比較例に係る固体電解質のイオン伝導率の測定結果の一覧をまとめた表である。
【0080】
【表1】
【0081】
以上より、本実施例に係る固体電解質は、低湿度環境において、従来のパーフロロスルホン酸系高分子からなる電解質よりも優れたイオン伝導性を有していることが分かる。
【0082】
また、本実施例に係る固体電解質をフィルム化し、電解質膜とした後、この電解質膜を一対の白金触媒を含む電極で挟み込み固体電解質型燃料電池を作製した。作製した燃料電池は、相対湿度10%以下の低湿度条件下においても、特別な加湿機構を備えることなく作動が可能であった。更に、おおよそ0℃から200℃における使用環境でも、電池性能の低下がなく、運転条件の緩和された燃料電池とすることができた。
【0083】
【発明の効果】
請求項1に記載する発明は、少なくとも、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質であり、本発明によれば、低湿度条件下において、従来のパーフロロスルホン酸系高分子よりも高いイオン伝導性を示すため、燃料電池、二次電池、表示素子及び太陽電池等の電解質膜として用いた場合、水分管理の煩わしさをなくすことができる。
【0084】
請求項2に記載する発明は、少なくとも、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物と付加型ポリイミド樹脂とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質であり、本発明によれば、有機成分を加えることにより材料に柔軟性を付与する効果を有し、特に付加型ポリイミドは請求項1に記載の原料成分に重合性のモノマー段階で混合することができるので、均質な複合体を得ることができる。またポリイミド樹脂は耐熱性の高い材料であり、これを配合することにより材料の熱安定性を高める効果も期待できる。
【0085】
請求項3に記載する発明は、少なくとも、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質であり、本発明によれば、有機成分を加えることにより材料に柔軟性を付与する効果を有し、特にフェノール性水酸基は弱いプロトン酸として機能するので、複合物のプロトン伝導性を損なわずに柔軟性を付与する効果を期待することができる。
【0086】
請求項4に記載する発明は、少なくとも、エポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質であり、本発明によれば、以下の効果を得ることができる。すなわち、請求項1に記載の原料成分は有機置換基を有するシランカップリング剤であり、より具体的には有機置換基としてエポキシ基を有するものが好ましいが、このような化合物の市場における入手は限られており、原料選択の範囲が狭い。これに対し、エポキシ樹脂は市場から多種、多様なものが入手可能であり、これを用いることにより様々な複合物の特性を改良することが可能となる効果を有する。
【0087】
請求項5に記載する発明は、少なくとも、エポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物と付加型ポリイミド樹脂とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質であり、付加型ポリイミドは低分子量の段階で配合可能であるので、本発明によれば、エポキシ樹脂およびリン酸基を有する化合物の原料成分にポリイミドを均質に配合した複合材料を容易に作製することができる。またポリイミド樹脂の耐熱性は高く、複合材料の熱安定性を高める効果も期待できる。
【0088】
請求項6に記載する発明は、少なくとも、エポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質であり、フェノール性水酸基は弱いプロトン酸として機能するので、本発明によれば、複合物のプロトン伝導性を損なわずに材料に柔軟性を付与する効果が期待できる。
【0089】
請求項7に記載する発明は、請求項2,3,5,6のいずれかに記載の固体電解質において、前記リン酸基を有する化合物がホスマー(商品名)であることを特徴とする固体電解質であり、本発明によれば、前記各効果を更に顕著なものとすることができる。
【0090】
請求項8に記載する発明は、請求項3または6に記載の固体電解質において、前記フェノール性水酸基を有する化合物がポリパラビニルフェノールまたはフェノール樹脂であることを特徴とする固体電解質であり、本発明によれば、前記各効果を更に顕著なものとすることができる。
【0091】
請求項9に記載する発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の固体電解質をフィルム化した電解質膜を有することを特徴とする固体電解質型燃料電池であり、本発明によれば、本発明によれば、前記固体電解質は低湿度条件下において従来のパーフロロスルホン酸系高分子よりも高いイオン伝導性を示すため、水分管理の煩わしさをなくした固体電解質型燃料電池とすることができる。
Claims (9)
- 少なくとも、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質。
- 少なくとも、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物と付加型ポリイミド樹脂とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質。
- 少なくとも、有機置換基を有するシランカップリング剤とリン酸基を有する化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質。
- 少なくとも、エポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物であるホスマー(商品名)とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質。
- 少なくとも、エポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物と付加型ポリイミド樹脂とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質。
- 少なくとも、エポキシ樹脂とリン酸基を有する化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とを原料成分として合成されることを特徴とする固体電解質。
- 請求項2,3,5,6のいずれかに記載の固体電解質において、前記リン酸基を有する化合物がホスマー(商品名)であることを特徴とする固体電解質。
- 請求項3または6に記載の固体電解質において、前記フェノール性水酸基を有する化合物がポリパラビニルフェノールまたはフェノール樹脂であることを特徴とする固体電解質。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の固体電解質をフィルム化した電解質膜を有することを特徴とする固体電解質型燃料電池。
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