JP4582740B2 - プロトン導電性物質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はプロトン導電性物質に関し、より詳細には燃料電池の高分子固体電解質等に用いることができるプロトン導電性物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的プロトン導電性高分子電解質膜であるフッ化炭化水素系高分子電解質材料は、低湿度雰囲気あるいは100℃以上の高温ではプロトン導電率が著しく低下すること、メタノール等の燃料の透過性すなわちクロスオーバーの抑制が困難であること、極めて高価であることなどの多くの欠点を有している。一方、通常の炭化水素系ポリマーのスルホン化物(T. Kobayashi, M. Rikukawa, K. Sanui, and N. Ogata, Solid State Ionics, Vol. 106, 219(1998))や、有機・無機ハイブリッド型プロトン導電性材料としてケイ素上にスルホニルベンジル基を有するシロキサンポリマー(I. Gautier, A. Denoyelle, J. Y. Sanchez, and C. Poinsignon, Electrochimica Acta, Vol. 37, 1615(1992))及びシロキサンと有機ポリマーとがウレタン結合で重合化された有機・無機ハイブリッドポリマー(I. Honma, S. Hirakawa, K. Yamada, and J. M. Bae, Solid State Ionics, Vol. 118, 29(1999))が報告されているが、合成法が複雑であったり、プロトン導電率がやや低い問題がある。また、ケイ素上にメチル基を有するボロシロキサン構造を有する有機・無機ハイブリッド物質が報告されているが(G. D. Soraru, N. Dallabona, C. Gervais, and F. Babonneau, Chem. Mater. Vol. 11, 910(1999))、プロトン導電性ではない。
【0003】
プロトン導電性高分子の応用例の一つである燃料電池は、燃料と酸素との電気化学反応から生じるエネルギーを利用する電池であり、燃料電極及び酸化電極の間にプロトン導電性の電解質膜を挟んだ構造が知られている(特開2000−277123、特開2000−285933、特開平11−45733、特開平6−251780等)。これらは一般に、厚さが50〜200μm程度の電解質膜の両側に白金等の電極を密着させたセルを複層重ねて燃料電池を構成し、その一方から酸素及び他方から水素を流し込み適度な温度で適度な背圧をかけることにより、これを電池として機能させるものである。しかし、ここに引用した公報等のように、この電解質膜として一般にスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(例えば、Nafion(E.I.Dupont社の登録商標))が用いられているため、上記の問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決すべく、プロトン導電率の高い電解質材料及びその簡便な製造方法を提供することを目的とする。高いプロトン導電率を得るために、本発明ではスルホン酸の解離性を促進する構造としてボロシロキサン骨格に注目し、製造法が容易な加水分解縮合法によるボロシロキサン重合体の調製とそのスルホン化方法について研究した結果、高いプロトン導電率を有する有機・無機ハイブリッド型プロトン導電体を得た。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、プロトン導電性物質がホウ素含有部分(BO3/2)を持つことにより、スルホン酸基含有部分(Si(X−SOH)(4−x)/2)のスルホン酸の解離性が促進され、その結果プロトン導電性が向上することを見出して、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、次式
(SiR (4−x)/2(BO3/2(SiR (4−y)/2
で表されるボロシロキサン骨格を有するボロシロキサン重合体であるプロトン導電性物質(上式はボロシロキサン重合体中の構成成分とその量比を示し、式中、Rは−X−SOHを表し(式中、Xは炭素数が2〜18の二価の炭化水素基を表す。)、Rは炭素数が1〜18の一価の炭化水素基を表し、xは0より大きく2以下、yは0以上2以下、a及びbはa+bに対してそれぞれ10%以上90%以下であり、cはa+b+cに対して0%以上80%以下である。)を提供する。
このプロトン導電性物質はリン酸をドープすることにより性能の向上を図ることができる。
また、本発明の別の目的は、これらのプロトン導電性物質及び酸性条件で安定な高分子から成るプロトン導電性物質を提供することである。本発明の更に別の目的は、このプロトン導電性物質から成る厚さが10〜500μmの膜、及びこの膜を燃料電極及び酸化剤電極の間に挟持して構成される燃料電池を提供することである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のプロトン導電性物質(又は、有機・無機ハイブリッド型プロトン導電体)は、ボロシロキサン構造とスルホン酸基とを有し、次式
(SiR (4−x)/2(BO3/2(SiR (4−y)/2
で表される。これらの必須成分である(SiR (4−x)/2)部分及び(BO3/2)部分並びに任意成分である(SiR (4−y)/2)部分は当該式の順にブロックを構成する必要はなく、ランダムに分散してポリマーを構成してよい。即ち、上式は単にボロシロキサン重合体中の構成成分とその量比を示すに過ぎない。プロトン導電性をより向上させるためには、ホウ素含有部分(BO3/2)とスルホン酸基含有部分(SiR (4−x)/2)とがより近接してポリマーを構成しているほうが好ましいと考えられる。
【0007】
上式のRは−X−SOHを表し、Xは炭素数が2〜18、好ましくは2〜8の二価の炭化水素基を表し、二価の炭化水素基であれば特に他に制限はない。
またRは炭素数が1〜18、好ましくは1〜8、より好ましくは2〜6の一価の炭化水素基を表し、一価の炭化水素基であれば特に他に制限はない。即ち、X及びRは直鎖若しくは分枝であっても又は不飽和結合を有するものであってもよく、また芳香環又は脂環を有するものであってもよい。これらの炭素数が大きくなると、例えば、高分子と混合した場合の相溶性が増すことになり、フィルム等を作成する場合に有利になるが、一方プロトン導電性は下がることになるため、目的によって適宜選択すればよい。
【0008】
xは0より大きく2以下、好ましくは0.01以上1.5以下、より好ましくは0.1以上1.1以下であり、yは0以上2以下、好ましくは0.01以上1.5以下、より好ましくは0.1以上1.1以下である。またa及びbはa+bに対してそれぞれ10%以上90%以下、好ましくは30%以上70%以下、より好ましくは40%以上60%以下である。またcはa+b+cに対して0%以上80%以下、好ましくは10%以上60%以下、20%以上50%以下である。これらの数値は、プロトン導電性物質中のスルホン酸基が0.1〜20ミリ等量/g、特に1〜5ミリ等量/gとなるよう適宜選択されることが好ましい。
また、本発明のプロトン導電性物質はリン酸をドープすることによって、高温(約100〜約180℃、特に約100〜約150℃)でのプロトン導電性を向上させることができる。好ましいリン酸のドープ量はプロトン導電性物質に対して0.1〜50ミリモル/g、特に1〜10ミリモル/gである。
【0009】
本発明のプロトン導電性物質の製法については特に制限はなく公知の方法で作成してよい。その製法の例を図1(反応機構1)及び図2(反応機構2)に示す。これら図に示した化合物は単なる例に過ぎず、本発明はこれらに限定されない。反応機構1においては、チオール基を有するアルコキシシラン誘導体とホウ酸エステルとを加水分解反応させることにより重合体を生成させ、チオール基を酸化することにより、スルホン酸基を有するボロシロキサンポリマーを生成させる。また、反応機構2においては、炭化水素基を有するアルコキシシラン誘導体とホウ酸エステルとを加水分解反応させることにより重合体を生成させ、炭化水素基をスルホン化することにより、スルホン酸基を有するボロシロキサンポリマーを生成させる。即ち、本発明のプロトン導電性物質は、アルコキシシラン誘導体とホウ酸エステルとの加水分解、縮合反応に続いてスルホン化することによって簡便に製造できるが、後述の実施例で示されるように適当な反応条件を採用することによってより高いプロトン導電率を得ることができる。即ち、反応機構1において酸化反応時の温度は90℃以下が好ましく、特に70±5℃が好ましい。
【0010】
本発明のプロトン導電体を適当な高分子に分散させたブレンド系は良好な膜を形成できる。この高分子としては酸性条件下で安定、即ち分解等の劣化を起こさないければ、他の特性は特に問わない。これら高分子は、熱可塑性高分子でもよいし熱硬化性高分子であってもよく、有機高分子及び無機高分子を含む。例えば、ポリスチレンやポリオレフィン等の付加重合系ポリマー等が適したものとして挙げられ、重縮合系ポリマーの一部には酸性条件で不安定なものがある。好ましい高分子としては例えば、ポリスチレンスルホン酸、橋かけポリスチレンスルホン酸、あるいは非プロトン導電性高分子であるポリエチレンオキシド、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂等が挙げられる。これら高分子は構造材として機能する。
これら高分子は目的、例えばフィルムを作成するならばその製造に適した高分子と適宜選択すればよい。また、これらポリマーに当該プロトン導電体を公知の方法で混合してもよいし、モノマーに当該プロトン導電体を分散させた後に重合させてもよい。
【0011】
また、プロトン導電性高分子である、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(例えば、Nafion)を構造材として用いてもよい。このパーフルオロカーボン重合体に本発明のプロトン導電性物質を混合することにより、更にプロトン導電性を向上させることが可能になり、そのため高価なパーフルオロカーボン重合体の使用量を減らすことも可能になる。
高分子中の本発明のプロトン導電性物質の含量は、用いる高分子の種類に依存するが、一般にその含量が高いほうがプロトン導電率が高いが、膜強度をよくしようとする場合にはポリマーの割合を増やした方がよい。その兼ね合いでは50〜90%が好ましい。スルホン酸基を有する重合体を用いる場合には50%でもよく、スルホン酸基を有しないポリマーでは70〜90%がよい。
またメタノールクロスオーバー制御や寸法安定性等の要求に応じ、橋かけ構造を導入することも可能である。
【0012】
本発明のプロトン導電性物質は優れたプロトン導電性を有することから、燃料電池の電解質膜として用いることができる。この膜は上記のように本発明のプロトン導電性物質及び高分子から構成してもよく、その膜厚は通常10〜500μm、好ましくは50〜200μmである。この膜の両側に白金等の燃料電極及び酸化電極を密着させたセルを必要に応じて複層重ねて燃料電池を構成し、その一方から酸素及び他方から水素等の燃料を流し込み適度な温度で適度な背圧をかけることにより、電池として機能させることができる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明を例証するが、これらは本発明を制限することを意図したものではない。
なお、プロトン導電率は、ACインピーダンス法により測定した。サンプルはボロシロキサンポリマーを100℃で1時間加熱することで作成し、スペーサーによって面積1.0×1.0cm、厚さ0.4mmの正方形状に制御した。電極には白金板を用いた。測定に用いた装置の概略図を図3に示す。これに10mVの交流を印加し、周波数を8 MHz〜0.0001 Hzへと変化させ、得られたコール-コールプロットからバルク抵抗(R)を等価回路を用いてカーブフィットすることにより求めた。イオン導電率σ (S/cm)は、次式で示すように、電極間距離d(cm)を膜の断面積S(cm)と抵抗(S−1(=Ω))の積で割って算出した。
σ = d/R
プロトン導電率は数値が大きいほど好ましく、通常のスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体のプロトン導電率は0.1 S/cm程度であり、燃料電池として用いる場合には0.1 S/cm以上のプロトン導電率が好ましいとされている。
【0014】
実施例1
図1に示す反応機構1に従って、ボロシロキサン電解質を作成した。
3−メルカプトトリエトキシシラン4.96g (25.3ミリモル)、ホウ酸トリイソプロピル4.77g (25.3ミリモル)、n−ヘキシルトリメトキシシラン10.3g (49.9ミリモル)をメタノール100ml中に溶解させた。その溶液に0.04N HCl水溶液3.59g (199ミリモル)を加え、室温で24時間攪拌させた後、60℃で48時間攪拌し、さらに加熱還流を5時間行った。溶媒を室温で減圧除去し、さらに90℃で24時間減圧乾燥させると、透明な柔らかい固体ポリマーが得られた(収量10.4g)。
調製したポリマー1.04gが入っているフラスコに、30% H溶液を5ml加え、70℃(酸化反応温度)で1時間攪拌した。攪拌終了後、溶媒を減圧除去し、さらに室温で24時間減圧乾燥した。この生成物を「サンプル70」と呼ぶ。酸化反応温度を90℃にして同様の操作を繰り返し、得た生成物を「サンプル90」と呼ぶ。
得られたポリマーは粉末であった。さらに得られたポリマーの一部を酸化途中で生成した硫酸を取り除くためにジエチルエーテルで6回超音波洗浄及び濾過を行い、ボロシロキサン電解質を得た。洗浄前後の試料の収量及び収率を表1に示す。なお、後述の図4及び5において、洗浄サンプルとは洗浄後のサンプルを示し、サンプルとは洗浄前のサンプルを示す。
【0015】
【表1】
Figure 0004582740
【0016】
なお、3−メルカプトトリエトキシシラン、ホウ酸トリイソプロピルを出発原料として、ヘキシル基を含まないボロシロキサン電解質を得、高湿度下で、10−1 Scm−1オーダーのプロトン導電率を示したが、高分子とブレンドして膜を生成しようとすると膜形成性が低く、さらに潮解性があった。
サンプル90及びサンプル70について、洗浄前後のプロトン導電率σを比較し、25℃での相対湿度とプロトン導電率との関係を図4に示し、相対湿度95%でのプロトン導電率の温度依存性を図5に示す。これらの図から分かるように、90℃で酸化すると、チオール基がスルホン酸への酸化で留まらず、一部硫酸にまで酸化されてしまうため、洗浄によって硫酸を除去すると、プロトン導電率のかなりの低下が観測された。しかし、70℃で酸化した試料については洗浄によってプロトン導電率はわずかしか低下しなかった。すなわち、酸化反応温度は70℃が適当であることが明らかである。
また、本発明のプロトン導電性物質のプロトン導電率はかなり高いことが示された。
【0017】
実施例2
3−メルカプトトリエトキシシラン4.91g (25ミリモル)、ホウ酸トリイソプロイル4.73g (25.1ミリモル)、n−ヘキシルトリメトキシシラン10.4g (50.5ミリモル)を2−プロパノール50ml中に溶解させた。その溶液に0.04N HCl水溶液、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート0.25g (1.15ミリモル)及びリン酸(0.5モル/リットル)100ml(50ミリモル)を加え、室温で24時間攪拌させた。溶媒を室温で減圧除去し、140℃で2時間加熱処理を行った。加熱処理後、90℃で24時間減圧乾燥した。得られたポリマーをすり鉢で粉末状に粉砕した後、フラスコに移し、30% H溶液50mlを加え、70℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、溶媒を減圧除去し、さらに室温で24時間減圧乾燥し、リン酸をドープした白色粉末のボロシロキサン電解質を得た。
空気中でのプロトン導電率の温度依存性を図6に示す。
100℃(1000/T=約2.68)以上でもプロトン導電率の低下は小さく、リン酸ドープによって高温での高いプロトン導電率を達成できた。
【0018】
実施例3
図2に示す反応機構2に従って、ケイ素上にスルホン化フェニル基を有するボロシロキサンポリマーを合成した。
トリメトキシフェニルシラン6.29g (31.7ミリモル)、ホウ酸トリイソプロピル5.87g (31.2ミリモル)そして水(0.1N HCl) 1.92g (96ミリモル)を30mlフラスコに入れた。溶媒としてアセトニトリル100mlを加え、室温で5時間攪拌した。次に、温度を60℃に上げて65時間攪拌し、さらに85℃で還流を3時間行った。溶媒を真空中で80℃、24時間の乾燥によって取り除き、ボロシロキサンポリマーを得た。
合成したボロシロキサンポリマーを砕き、砕いたポリマー0.202gを10ml二口フラスコに移し、Nをフローしながらジクロロメタン3mlに溶かした。そして、ゆっくりとクロロ硫酸(ClSOH)0.1mlを加えスルホン化した。混合物を0℃で3時間攪拌し、溶媒を留去後、未反応の硫酸を洗い流すためにジエチルエーテルによって数回超音波洗浄器を用いて洗浄した。そして、室温、真空中で24時間乾燥し、スルホン化されたボロシロキサン電解質を得た。
なお、詳細は示さないが、トリメトキシフェニルシランの代わりにトリメトキシベンジルシランを原料として同様の操作を繰り返すことにより、同様の性質を有するボロシロキサン電解質を得た。
【0019】
実施例4
トリメトキシフェニルシラン6.27g (31.6ミリモル)、ホウ酸トリイソプロピル5.91g (31.4ミリモル)、及びスチレン1.287g (12.36ミリモル)を300mlフラスコに入れ、溶媒にはアセトニトリル100mlを用いた。さらに、水(0.1N HCl) 2.51g (139.4ミリモル)と再結晶したAIBN 0.64g (3.90ミリモル)を加え、室温で5時間攪拌した。そして、温度を60℃に上げて1週間攪拌し、さらに3時間還流を行った。溶媒を真空中で80℃、24時間の乾燥によって取り除き、黄色の均一の固体ポリマーを得た。この固体ポリマーはボロシロキサンポリマーとポリスチレンとの相互侵入網目構造(IPN)を構成していると考えられる。
合成したポリマーを砕き、砕いたポリマー0.501gを10ml二口フラスコに移し、窒素ガスを流しながらジクロロメタン5mlに溶かした。そして、ゆっくりとクロロ硫酸(ClSOH)0.3mlを加えスルホン化した。混合物を0℃で3時間攪拌し、溶媒を留去後、未反応の硫酸を洗い流すためにジエチルエーテルによって数回超音波洗浄器を用いて洗浄した。室温、真空中で24時間乾燥し、ボロシロキサン電解質とポリスチレンとのハイブリッドポリマーを得た。
なお、スチレンの比率を変えた試料、ジビニルベンゼン(DVB)を添加して橋かけしたポリスチレンスルホン酸とボロシトキサンとのハイブリッド系、テトラエトキシシラン(TEOS)を添加することによってボロシロキサンを橋かけさせた系も調製した。
【0020】
実施例3及び4で得られたボロシロキサン電解質のプロトン導電率を図7に示す。図7において、「A」は化1の構造式でa:b:c:m=1:1:0:4のポリスチレンスルホン酸とボロシロキサンとのハイブリッド系電解質、「B」は化1の構造式でa:b:c:m=1:1:0:0のポリスチレンスルホン酸とボロシロキサンとのハイブリッド系電解質、「C」は化1の構造式でa:b:c:m=1:1:0:1のポリスチレンスルホン酸とボロシロキサンとのハイブリッド系電解質、「DVB−10」は化1の構造式でa:b:c:m=1:1:0:4のジビニルベンゼン(DVB)10%で橋かけした電解質、及び「TEOS−0.2」は化1の構造式でa:b:c:m=1:1:0.2:4のテトラエトキシシラン(TEOS)20%で橋かけした電解質材料を表す。
【化1】
Figure 0004582740
図7から本発明のプロトン導電性物質がかなり高いプロトン導電率を示すことがわかる。
【0021】
実施例5
実施例1で調製したヘキシル基を含まないボロシロキサン電解質生成物に、10重量%のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)をブレンドした電解質を次の方法で調製した。
SIS 0.036gをトルエン溶媒(1ml)中に均一な溶液になるまで溶かした。すり鉢上でかき混ぜながらボロシロキサン電解質0.324gにSISのトルエン溶液を加えた。フラスコに移し室温で24時間減圧乾燥させるとゴム状で硬い固体ブレンド電解質が得られた。
ボロシロキサン電解質とSISとのブレンド系のプロトン導電率を図8に示す。高湿度条件下でかなり高いプロトン導電率を示すことがわかる。
また、詳細は示さないが、SISの代わりにポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ナフィオン(登録商標)またはフッ化ビニリデン等の高分子を用いて同様の操作を繰り返すことにより、これらとボロシロキサン電解質とのブレンド系電解質を得た。これらは同様に優れたプロトン導電率を示した。
【0022】
【発明の効果】
本発明のプロトン導電性物質は、ルイス酸性ホウ素の導入によってスルホン酸基の解離が促進され高いプロトン導電性を有する。更にリン酸をドープすることにより高温(約100〜約180℃、特に約100〜約150℃)でのプロトン導電性を上げることができる。本発明のプロトン導電性物質は、有機ケイ素アルコキシド、ホウ酸エステルから簡便に合成できる。さらに本発明のプロトン導電性物質は他の高分子とブレンド系を容易に調製でき、プロトン導電性物質に導入した炭化水素基を適当に選択することにより高分子との相溶性は向上し、膜の生成が容易になる。橋かけ構造導入も可能である。また、生成した膜は燃料電池用電解質膜として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロトン導電性物質の生成反応の一例を示す図である(反応機構1)。
【図2】本発明のプロトン導電性物質の生成反応の別の例を示す図である(反応機構2)。
【図3】プロトン導電率の測定装置を示す図である。
【図4】25℃におけるプロトン導電率の相対湿度依存性を示す図である。
【図5】相対湿度95%下におけるプロトン導電率の温度依存性を示す図である。
【図6】リン酸をドープしたボロシロキサン電解質の空気中でのプロトン導電率の温度依存性を示す図である。
【図7】ベンゼンスルホニル基を有するボロシロキサン電解質の空気中でのプロトン導電率の相対湿度依存性を示す図である。
【図8】ボロシロキサン電解質とISIとのブレンド系の25℃におけるプロトン導電率の相対湿度依存性を示す図である。

Claims (5)

  1. 次式
    (SiR (4−x)/2(BO3/2(SiR (4−y)/2
    で表されるボロシロキサン骨格を有するボロシロキサン重合体であるプロトン導電性物質(上式はボロシロキサン重合体中の構成成分とその量比を示し、式中、Rは−X−SOHを表し(式中、Xは炭素数が2〜18の二価の炭化水素基を表す。)、Rは炭素数が1〜18の一価の炭化水素基を表し、xは0より大きく2以下、yは0以上2以下、a及びbはa+bに対してそれぞれ10%以上90%以下であり、cはa+b+cに対して0%以上80%以下である。)。
  2. リン酸をドープした請求項1に記載のプロトン導電性物質。
  3. 請求項1又は2に記載のプロトン導電性物質及び酸性条件で安定な高分子から成るプロトン導電性物質。
  4. 請求項3に記載のプロトン導電性物質から成る厚さが10〜500μmの膜。
  5. 請求項4に記載の膜を燃料電極及び酸化剤電極の間に挟持して構成される燃料電池。
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