JP2002179800A - イオン導電性高分子およびイオン導電体 - Google Patents

イオン導電性高分子およびイオン導電体

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JP2002179800A JP2000375060A JP2000375060A JP2002179800A JP 2002179800 A JP2002179800 A JP 2002179800A JP 2000375060 A JP2000375060 A JP 2000375060A JP 2000375060 A JP2000375060 A JP 2000375060A JP 2002179800 A JP2002179800 A JP 2002179800A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カチオンのシングルイオン伝導性に優れた新規
のイオン導電性高分子およびイオン導電体を得ることを
課題とする。 【解決手段】イオン伝導に携わるイオン伝導分子鎖と、
該イオン伝導分子鎖に結合されアニオンを捕捉するボロ
シロキサンと、をもつことを特徴とするイオン導電性高
分子。前記イオン導電性高分子にリチウム系電解質塩を
組み合わせたイオン導電体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の固体電解質
等に利用できるイオン導電性高分子およびイオン導電体
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イオン伝導性高分子は、薄膜への
成形性に優れ、軽量で柔軟性、弾性を有するため全固体
型リチウム二次電池をはじめとする電気化学への応用が
期待されている。ポリエチレンオキシドとアルカリ金属
塩とのコンプレックスがイオン伝導性を持つことから電
池材料として有用であることが知られている。このカチ
オン伝導体としてのポリエチレンオキシド鎖を有する高
分子に、解離性の良いアルカリ金属塩を溶かした系が検
討されてきた。しかし、ポリエチレンオキシドは結晶性
が高く室温でのイオン伝導度が低い。そこで、イオン移
動を担う高分子鎖のセグメント運動を高めるため、ポリ
メタクリル酸エステル、ポリシロキサン、ポリホスファ
ゼンを主鎖にして、側鎖にオリゴエーテル鎖を導入した
櫛形高分子などが開発された。また、イオン伝導度の温
度依存性を小さくするため、ポリエーテル主鎖にオリゴ
エーテル側鎖を樹枝状に導入した系が注目されている。
【0003】しかし、エーテル系高分子とアルカリ金属
とのコンプレックスでは、カチオンのみならずアニオン
の移動もよく起こり、一般にアニオンに対してブロッキ
ング電極を用いるため、アニオンの電極上への堆積が起
こり伝導度が時間とともに小さくなるという現象が生じ
る。それ故、イオン導電体を電池へ応用するにはカチオ
ンのみ移動するシングル伝導体の方が優れている。とこ
ろが、シングルイオン伝導性とするには、対となるアニ
オンを高分子鎖に固定しておくことが必要である。この
場合、固定されたアニオンのイオンペアリングがカチオ
ンの移動度を阻害して小さくするため、カルボキレート
やスルホネートのようにアニオンを高分子鎖に固定した
だけの系ではイオン伝導度はかなり低くなる。
【0004】前記のイオンペアリングの影響を弱くする
ためには、電子求引性基の導入によりアニオンの電子密
度を低下させる、アニオンの周りに嵩高い置換基を導入
しカチオンの接近を立体的に妨げる、固定アニオン間の
距離を短くしてカチオン移動のエネルギー障壁を低くす
るなどの方法が考えられる。
【0005】前記のように、固定されたアニオンとのイ
オンペアリングがカチオンの移動度を小さくするため、
いかにしてイオンペアリングの影響を弱くするかについ
て、いくつかの考え方が提案されており、また、これら
の考え方を複数組み合わせて設計された材料も提案され
ている。例えば、特開平8−339827号公報には電
子求引基を導入してアニオンの電荷密度を低下させる方
法の開示がある。これは電子求引基がアニオン中心の電
子を求引して、アニオン中心の電子密度を低下させ、イ
オンペアリングを弱くするものである。
【0006】しかし、これらの従来の考え方は、いずれ
もアニオンを分子中に固定するものである。すなわち、
分子を合成する際にアニオンが分子中に取り込まれた構
造とするものである。すなわち、分子を合成する際にア
ニオンが分子中に取り込まれた構造とすることである。
【0007】このアニオンを分子中に固定した構造に合
成するには、難しい反応をおこなわなければならない。
また、合成が可能な特定の塩を用いなければならないと
いう制約もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたもので、カチオンのシングルイオン伝
導性に優れた新規のイオン導電体を得ることを課題とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先にボロ
キシンリング構造でアニオントラップするイオン導電体
を出願した(特開平11−54151号)。さらにアニ
オントラップ構造について検討したところボロシロキサ
ン構造が固形状の高分子となり、補強材を用いることな
くアニオントラップ機能を発現できることを見出し本発
明を完成した。
【0010】本発明のイオンイオン導電性高分子は、イ
オン伝導に携わるイオン伝導分子鎖と、該イオン伝導分
子鎖に結合されアニオンを捕捉するボロシロキサンと、
をもつことを特徴とする。
【0011】前記ボロシロキサン構造は、化1式に示す
SiとBとがOを介して結合した構造であることが好ま
しい。
【0012】前記イオン伝導分子鎖は、オリゴエーテル
鎖であることが好ましい。
【0013】前記エーテル鎖は、−(CH2−CH2−O
−)であることが好ましい。
【0014】本発明のイオン導電体は、前記イオン導電
性高分子に電解質塩を組み合わせたものである。
【0015】前記電解質塩はLi(CF3SO22N、
LiCF3SO3、LiBF4、LiClO4、LiBr、
LiCl、LiPF6の少なくとも一種であることが好
ましい。
【0016】前記イオン伝導分子鎖はオリゴエーテルで
あって、前記ボロシロキサンと前記電解質塩のリチウム
イオンとの数の比は、リチウム1に対してオリゴエーテ
ル鎖の酸素原子との比が5〜30の範囲であることが好
ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のイオン導電性高分子は、
イオン伝導に携わるイオン伝導分子鎖と、該イオン伝導
分子鎖に結合されアニオンを捕捉するボロシロキサンと
をもつ。
【0018】イオン伝導に携わるイオン伝導分子鎖は、
オリゴエーテル鎖である。このオリゴエーテル鎖は、末
端にアルコキシ結合をもち少なくとも重合度が3以上の
ポリエチレンオキシドの重合体である。このポリエチレ
ンオキシド重合体は、比較的低重合度のポリエチレンオ
キシド鎖であり、ボロシロキサンのケイ素にアルキル基
を介して結合されている。
【0019】このイオン伝導分子鎖のポリエチレンオキ
シド鎖が側鎖に結合するボロシロキサンは、化1式で示
した部分構造の分子式で構造をもち、ケイ素とホウ素が
それぞれ酸素を介してケイ素の3結合手とホウ素の2結
合手とが互いに結合して梯子状に延びて形成された構造
の高分子であると推測される。そして化1式のa/bが
Si/B比の構造単位に対応する。このSi/B比は合
成時に使用した原料のモル比によってきまる。Si/B
比は、1/2〜2/1の範囲が好ましい。
【0020】このイオン導電性高分子は、さらに、ポリ
オキシエチレンオキシド(PEOと略称する)を混合し
てコンポジット化することができる。たとえば、ボロシ
ロキサン合成時にPEOを添加することでコンポジット
化することができる。また、ボロシロキサン合成後でP
EOをブレンドすることも可能である。このPEOは側
鎖のオリゴエーテル結合と絡み合って、ボロシロキサン
構造を固定してより安定なボロシロキサン構造のイオン
導電性高分子とすることができる。
【0021】このイオン導電性高分子は、ボロシロキサ
ン構造内のルイス酸性ホウ素によりアニオンが捕捉され
るとともに、側鎖のオリゴエーテル結合のセグメント運
動によりカチオンのシングル移動を容易にしてイオン伝
導度を向上させることができる。
【0022】このボロシロキサンの合成は、たとえば、
アルキレングリコールモノアルキルエーテル鎖をもつト
リアルコキシシラン誘導体とホウ酸トリアルコキシと
を、水と触媒の臭化水素酸と共に溶媒中で加熱すること
で形成できる。この際SiとBとの比率a/bを変える
ことによりボロシロキサンに結合している側鎖のポリア
ルキレンオキサイド鎖の量を変化させることができる。
【0023】さらに、PEOの存在下でボロシロキサン
を製造するといわゆるゾル・ゲル法でボロシロキサンに
PEOをコンポジット化することができる。
【0024】本発明のイオン導電体は、上記のイオン伝
導性高分子に電解質塩を加えて形成される。たとえば、
イオン伝導性高分子を溶媒に溶解し、オリゴエーテル鎖
に含まれる酸素数に対応する量の電解質塩を加えて加熱
し、溶媒を除去することで固体電解質が得られる。
【0025】使用できる電解質塩は、アルカリ金属塩ま
たはアルカリ土類金属塩で、特にリチウムと対になるア
ニオン部に電子求引部を持つリチウム塩が好ましい。
【0026】具体的には、電解質塩が、Li(CF3
22N、LiCF3SO3、LiBF4、LiBr、L
iClなどが挙げられる。
【0027】上記のイオン導電体中の電解質のリチウム
イオンは、イオン伝導分子鎖がオリゴエーテル鎖、特に
オリゴエチレンオキシドであってリチウム1に対してエ
チレンオキシドの酸素原子との比が5〜30の範囲が好
ましい。特にリチウム:ポリエチレンオキシドの酸素数
=1:20近傍がより好ましい。
【0028】得られたイオン導電体は、電解質のアニオ
ンがボロシロキサン構造に捕捉されやすく、カチオンが
自由にエーテル結合のセグメント運動を介して移動で
き、輸率で示すようにカチオンのシングルイオン伝導性
が発現できる。
【0029】オリゴエーテル鎖を有するボロシロキサン
ポリマーは、組成(Si/B比)によるイオン導電率の
差はあまり認められない。
【0030】さらにポリオキシエチレンが混合されたボ
ロシロキサンコンポジッドポリマーでは、ゾル・ゲル混
合で形成された方が単純に混合した場合よりもイオン導
電率は低いが機械的強度は高くなる。組成は(Si/B
比)が高い方がイオン導電率は大きくなる。さらにポリ
オキシエチレンの混合量が少ない方がイオン導電率は大
きい。
【0031】また、ボロシロキサン構造における組成
(Si/B比)が小さい(Bが多い)方が輸率が大きく
なることが分かった。よって、カチオンの輸率の大きい
イオン導電体が得られることが可能となった。
【0032】イオン導電体はその他、構造材を配合して
イオン導電性高分子を補強しても良い。構造材として
は、イオン導電性分子およびイオン伝導用電解質塩が反
応しない樹脂や、多孔体よりなることが好ましい。
【0033】構造材は、エチレンオキシド−プロピレン
オキシド共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(オ
リゴエチレングリコールメタクリレート)、ポリ塩化ビ
ニル、ベントナイト、酢酸セルロース、フッ化ビニリデ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体より選ばれる1
種であることが好ましい。本発明のイオン導電体は、イ
オン伝導をイオン導電性分子がになうため、構造材自身
のイオン輸送機能は、特に必要とされるものではない。
さらに、イオン導電性分子であるトリアルコキシボロキ
シン化合物を添加することもできる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。
【0035】(実施例1) (イオン導電性高分子の合成)トリエチレングリコール
モノメチルエーテル鎖を有するトリメトキシシラン誘導
体3.3g(10mmol)と蒸留水0.76g(68.0mmol)とホ
ウ酸トリイソプロピル1.9g(10mmol)を二口フラスコ
に取り、2−プロパノール12mlと数滴の臭化水素酸を
加えて約45℃で24時間加熱した。その後反応温度を
65℃まで上げて47時間攪拌し、最後に1時間還流を
おこなた。その後、副生物と水を100℃で24時間減
圧留去することで無色透明な硬いポリマーを得た。
【0036】(イオン導電体の調製)上記で得たポリマ
ーを乾燥THF(テトラヒドロフラン)に溶解させ、ト
リフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3
以下Litrifと略称する)の乾燥THF溶液をリチウムと
エーテル鎖の酸素原子との比が(Li+:EO=1:2
0)となるように加え、14時間攪拌した後、100℃
で12時間THFを減圧留去することで固体電解質を調
整した。
【0037】実施例1のボロシロキサン構造のイオン導
電体の反応工程を化2式に示した。
【0038】
【化2】
【0039】Si:Bの比率を2:1、3:2、2:3
に変化させたものも同様の方法でポリマーを作製した。
Si:bの配合割合および収率を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】(実施例2) (ボロシロキサンPEOコンポジットポリマーの合成)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖を有する
トリトリメトキシシラン誘導体1.3g(4.0mmol)と蒸
留水0.39g(21.6mmol)とホウ酸トリイソプロピル
0.75g(4.0mmol)、PEO0.29gを二口フラス
コに取り、アセトニトリル35mlと数滴の臭化水素酸を
加えて約45℃で24時間加熱した。その後反応温度を
65℃まで上げて47時間攪拌し、最後に1時間還流を
おこなた。その後、副生物と水を室温で14時間減圧留
去することで柔らかく弾力のあるポリマーを得た。(S
i/B=1、PEO20wt%)収量1.7g、 (ボロシロキサンPEOコンポジットポリマーの導電体
の調製) 上記で得たポリマーを乾燥THFに溶解させ、Litrifと
エーテル鎖およびPEOの酸素原子との比が(Li+
EO=1:20)となるように加え、これを乾燥アセト
ニトリル溶媒に溶解させ14時間攪拌した後、100℃
で12時間THFを減圧留去することで剛直な固体電解
質を調整した。
【0042】実施例2のボロシロキサン構造のイオン導
電体の反応工程を化3式に示した。
【0043】
【化3】
【0044】PEO20重量%および10重量%添加し
たコンポジットポリマーのSi:Bの比率をそれぞれ
1:0、2:1、3:2、2:3、1:2に変化させた
ものについても同様の方法でポリマーを作製した。S
i:Bの配合組成、高分子の収率、電解質の配合量を表
2(PEO20重量%)および表3(PEO10重量
%)に示した。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】(評価結果)得られた各イオン導電体のイ
オン導電率は、ステンレススチール電極を用いたインピ
ータンス法によって測定した。イオン導電率測定用セル
は、アルゴン雰囲気下で90℃で1時間加熱したあと
で、3時間で室温まで冷却したものを用いた。
【0048】実施例1で作製したPEOを添加しないボ
ロシロキサン固体電解質におけるイオン導電率の組成依
存性(Si:B比)を、イオン導電体の伝導度(縦軸)
と温度(1000/絶対温度)(横軸)との関係のグラ
フを図1に示した。
【0049】なお、イオン伝導度は、ステンレス板にサ
ンドイッチ状に試料を挟み交流(AC)インビータンス
法により測定した。表4に各温度およびボロシロキサン
組成比の異なるイオン導電体のイオン導電率測定結果を
示した。
【0050】
【表4】
【0051】実施例1のPEOを添加しない純粋なボロ
シロキサン固体電解質はポリマーの組成を変化させても
図1のグラフに示したようにイオン導電率は顕著な変化
が見られなかった。これはリチウムカチオンの伝導機構
がエーテル側鎖のセグメント運動によるものであること
にかわりないことと、電解質の塩濃度がすべて同じであ
るためと考えられる。
【0052】実施例2で調製したボロシロキサンPEO
コンポジット電解質の混合ゾル・ゲル法によって調製さ
れたもの(白抜き)と混合させただけのもの(黒印)に
ついての、イオン導電率を図2に示した。イオン導電率
は混合ゾル・ゲル法によって調整された(白抜き)電解
質の方が低かったが、機械的強度は大幅に改善された。
【0053】PEOコンポジットタイプのイオン導電体
およびボロシロキサン組成比が異なるイオン導電体のイ
オン導電率測定結果を表5、表6に示した。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】これは混合ゾル・ゲル法によってイオン導
電体を調製するとボロシロキサンポリマーとPEOがよ
り一層均一に混ざり合うために、ボロシロキサンポリマ
ーのエーテル側鎖とPEOが絡み合うことによって機械
的強度の増加とセグメント運動の抑制による導電率の低
下が観察されたものと考えられる。
【0057】実施例2のボロシロキサンPEOコンポジ
ッド電解質(PEO10重量%、20重量%)のポリマ
ーの組成(Si/B比)を変化させたイオンで導電体の
イオン導電率のグラフを図3、図4に示した。
【0058】PEOを20重量%含んだコンポジッド電
解質においてはトリメトキシシラン誘導体の比率を上昇
(すなわちSiを大)させるとイオン導電率は高くなっ
た(グラフ中●◇■)。これはボロシロキサンポリマー
のエーテル側鎖のセグメント運動によって輸送されるリ
チウムカチオンが増加したこととルイス酸性ホウ素の比
率が減少したことで対アニオンが動きやすくなっている
ためではないかと考えられる。
【0059】PEOを10重量%含んだコンポジッド電
解質においてはトリメトキシシラン誘導体の比率が50
%以上となるとそれ以上Siの比率を上げても導電率は
上昇しなかった。
【0060】機械的強度はPEOを10重量%用いた混
合ゾル・ゲル法によって調整された電解質で十分なもの
が得られたことと輸率、イオン導電率を考慮してSi/
B=1、PEO10重量%のものが最適であると考えら
れるので、これにLiBETI(Li(CF3SO22N)を
添加して調整したイオン導電率を図5に示した。
【0061】LiBETI(Li(CF3SO22N)を添加
することで、イオン導電率は一桁上昇し、純粋なボロシ
ロキサンポリマーと同様なイオン導電率が得られた。こ
れはポリマーが可塑化されたためであると考えられる。
この電解質の機械的強度も比較的良い物が得られた。
【0062】純粋なボロシロキサンポリマーとボロシロ
キサンPEOコンポジット電解質の輸率の値を表7にP
EO20重量%含みSi/B=1を、表8にPEO10
重量%含みSi/B=1、表9にPEO10重量%含み
Si/B=1/2を、表10にPEOを含まないSi/
B=1の試料の測定結果を示した。
【0063】輸率は、下記の式に基づいて算出した。
【0064】なお、リチウムイオンの輸率はACインビ
ータンス/DC分極法で測定した。
【0065】
【数1】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】ボロシロキサンPEOコンポジット電解質
の輸率の値は、ボロシロキサンの組成比率が同じでPE
Oの量が異なる。表7、表8、表10を比較するとボロ
シロキサンポリマーの存在比率が高まる(PEOの量が
少ない方)につれてPEOを添加しないものに近くなっ
た。
【0071】またPEOの10重量%コンポジット電解
質の輸率の値は、ホウ素の比率を上げることで表8から
表9の、0.57から0.83まで上昇した。これはル
イス酸性ホウ素によってより一層アニオンの移動が抑制
されたためではないかと考えられる。
【0072】純粋なボロシロキサンポリマーとPEO2
0重量%のボロシロキサンPEOコンポジット電解質の
Si/B比の異なるもののDSC測定結果を図6、図7
に示した。
【0073】ボロシロキサンPEOコンポジットには6
0℃付近に融解ピークが見られたが、これは純粋なボロ
シロキサン電解質やPEO10重量%のボロシロキサン
PEOコンポジット電解質ではこのようなピークが全く
観察されないことから、これはPEO20重量%加えた
ことによりPEOとボロシロキサンポリマーが完全に均
一に混ざらなかったことによって形成されたPEOの結
晶相の融解ピークによるものと考えられる。
【0074】このグラフよりホウ素の比率が増加すると
融点が減少していることと、ピーク幅が広がっているこ
とから、ルイス酸性のホウ素にはPEOのアモルファス
相を増加させる作用があるものと考えられる。
【0075】純粋なボロシロキサン固体電解質は、組成
が変化してもTgの値はあまり変化しなかった。このこ
とが低温領域でイオン導電率が組成によって変化しない
ことと強く関係しているものと考えられる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したようにオリゴエーテル鎖を
もつボロシロキサンは、高分子となり、リチウム塩を電
解質として溶解するとイオン導電体となる。このイオン
導電体のカチオンの輸率はホウ素含有量が多いほど大き
くなり、ボロシロキサン構造がアニオントラップとな
り、カチオンのシングル伝導性が可能となる。したがっ
て、軽量で加工性に優れた高分子電解質として有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製したイオン導電体のイオン導電
率のSi/B組成依存性のグラフである。
【図2】実施例2で作製したPEOコンポジットイオン
導電体のPEOの量と添加法の差に基づくグラフであ
る。
【図3】実施例2で作製したゾル・ゲル法によるPEO
20重量%の時のイオン導電率のSi/B組成依存性の
グラフである。
【図4】実施例2で作製したゾル・ゲル法によるPEO
10重量%または20重量%のイオン導電率のSi/B
組成依存性のグラフである。
【図5】実施例2で作製したSi/B=1、PEO10
重量%のイオン導電体の電解質の違いによるイオン導電
率のグラフである。
【図6】実施例2で作製したPEOコンポジットイオン
導電体のDSCのチャートである。
【図7】実施例1で作製したイオン導電体のDSCのチ
ャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 B Fターム(参考) 4J002 CP191 DE196 DH006 EV266 EY016 FD116 FD206 GQ00 4J030 CB17 CC06 CC16 CD11 CG02 4J035 CA031 HA04 LB20 5H024 FF23 HH01 5H029 AM16 HJ02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン伝導に携わるイオン伝導分子鎖と、
    該イオン伝導分子鎖に結合されアニオンを捕捉するボロ
    シロキサンと、をもつことを特徴とするイオン導電性高
    分子。
  2. 【請求項2】 前記ボロシロキサン構造は、化1式に示
    すSiとBとがOを介して結合した構造である請求項1
    に記載のイオン導電性高分子。 【化1】 但しa、bはそれぞれ1、2、3の整数を表す。
  3. 【請求項3】前記イオン伝導分子鎖は、オリゴエーテル
    鎖である請求項1記載のイオン導電性高分子。
  4. 【請求項4】前記エーテル鎖は、−(CH2−CH2−O
    −)である請求項3記載のイオン導電性高分子。
  5. 【請求項5】前記請求項1から4のイオン導電性高分子
    に電解質塩を組み合わせたイオン導電体。
  6. 【請求項6】前記電解質塩はLi(CF3SO22N、
    LiCF3SO3、LiBF4、LiClO4、LiBr、
    LiCl、LiPF6の少なくとも一種である請求項5
    記載のイオン導電体。
  7. 【請求項7】前記イオン伝導分子鎖はオリゴエーテルで
    あって、前記ボロシロキサンと前記電解質塩のリチウム
    イオンとの数の比は、リチウム1に対してオリゴエーテ
    ル鎖の酸素原子との比が5〜30の範囲である請求項6
    記載のイオン導電体。
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