JP3648447B2 - イオン導電性高分子およびイオン導電体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の固体電解質等に利用できるイオン導電性高分子およびイオン導電体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、イオン伝導性高分子は、薄膜への成形性に優れ、軽量で柔軟性、弾性を有するため全固体型リチウム二次電池をはじめとする電気化学への応用が期待されている。ポリエチレンオキシドとアルカリ金属塩とのコンプレックスがイオン伝導性を持つことから電池材料として有用であることが知られている。このカチオン伝導体としてのポリエチレンオキシド鎖を有する高分子に、解離性の良いアルカリ金属塩を溶かした系が検討されてきた。しかし、ポリエチレンオキシドは結晶性が高く室温でのイオン伝導度が低い。そこで、イオン移動を担う高分子鎖のセグメント運動を高めるため、ポリメタクリル酸エステル、ポリシロキサン、ポリホスファゼンを主鎖にして、側鎖にオリゴエーテル鎖を導入した櫛形高分子などが開発された。また、イオン伝導度の温度依存性を小さくするため、ポリエーテル主鎖にオリゴエーテル側鎖を樹枝状に導入した系が注目されている。
【0003】
しかし、エーテル系高分子とアルカリ金属とのコンプレックスでは、カチオンのみならずアニオンの移動もよく起こり、一般にアニオンに対してブロッキング電極を用いるため、アニオンの電極上への堆積が起こり伝導度が時間とともに小さくなるという現象が生じる。それ故、イオン導電体を電池へ応用するにはカチオンのみ移動するシングル伝導体の方が優れている。ところが、シングルイオン伝導性とするには、対となるアニオンを高分子鎖に固定しておくことが必要である。この場合、固定されたアニオンのイオンペアリングがカチオンの移動度を阻害して小さくするため、カルボキレートやスルホネートのようにアニオンを高分子鎖に固定しただけの系ではイオン伝導度はかなり低くなる。
【0004】
前記のイオンペアリングの影響を弱くするためには、電子求引性基の導入によりアニオンの電子密度を低下させる、アニオンの周りに嵩高い置換基を導入しカチオンの接近を立体的に妨げる、固定アニオン間の距離を短くしてカチオン移動のエネルギー障壁を低くするなどの方法が考えられる。
【0005】
前記のように、固定されたアニオンとのイオンペアリングがカチオンの移動度を小さくするため、いかにしてイオンペアリングの影響を弱くするかについて、いくつかの考え方が提案されており、また、これらの考え方を複数組み合わせて設計された材料も提案されている。例えば、特開平8−339827号公報には電子求引基を導入してアニオンの電荷密度を低下させる方法の開示がある。これは電子求引基がアニオン中心の電子を求引して、アニオン中心の電子密度を低下させ、イオンペアリングを弱くするものである。
【0006】
しかし、これらの従来の考え方は、いずれもアニオンを分子中に固定するものである。すなわち、分子を合成する際にアニオンが分子中に取り込まれた構造とするものである。すなわち、分子を合成する際にアニオンが分子中に取り込まれた構造とすることである。
【0007】
このアニオンを分子中に固定した構造に合成するには、難しい反応をおこなわなければならない。また、合成が可能な特定の塩を用いなければならないという制約もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、カチオンのシングルイオン伝導性に優れた新規のイオン導電体を得ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先にボロキシンリング構造でアニオントラップするイオン導電体を出願した(特開平11−54151号)。さらにアニオントラップ構造について検討したところボロシロキサン構造が固形状の高分子となり、補強材を用いることなくアニオントラップ機能を発現できることを見出し本発明を完成した。
【0010】
本発明のイオン導電性高分子は、イオン伝導に携わるオリゴエーテル鎖と、該オリゴエーテル鎖に結合されアニオンを捕捉するボロシロキサンと、をもち、前記ボロシロキサン構造は、化1式に示すSiとBとがOを介して結合した構造であることを特徴とする。
【0013】
前記エーテル鎖は、−(CH2−CH2−O−)であることが好ましい。
【0014】
本発明のイオン導電体は、前記イオン導電性高分子に電解質塩を組み合わせたものである。
【0015】
前記電解質塩はLi(CF3SO2)2N、LiCF3SO3、LiBF4、LiClO4、LiBr、LiCl、LiPF6の少なくとも一種であることが好ましい。
【0016】
前記ボロシロキサンと前記電解質塩のリチウムイオンとの数の比は、リチウム1に対してオリゴエーテル鎖の酸素原子との比が5〜30の範囲であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン導電性高分子は、イオン伝導に携わるオリゴエーテル鎖と、該オリゴエーテル鎖に結合されアニオンを捕捉するボロシロキサンと、をもち、前記ボロシロキサン構造は、化1式に示すSiとBとがOを介して結合した構造である。
【0018】
イオン伝導に携わるオリゴエーテル鎖は、末端にアルコキシ結合をもち少なくとも重合度が3以上のポリエチレンオキシドの重合体である。このポリエチレンオキシド重合体は、比較的低重合度のポリエチレンオキシド鎖であり、ボロシロキサンのケイ素にアルキル基を介して結合されている。
【0019】
このオリゴエーテル鎖のポリエチレンオキシド鎖が側鎖に結合するボロシロキサンは、化1式で示した部分構造の分子式で構造をもち、ケイ素とホウ素がそれぞれ酸素を介してケイ素の3結合手とホウ素の2結合手とが互いに結合して梯子状に延びて形成された構造の高分子であると推測される。そして化1式のa/bがSi/B比の構造単位に対応する。このSi/B比は合成時に使用した原料のモル比によってきまる。Si/B比は、1/2〜2/1の範囲が好ましい。
【0020】
このイオン導電性高分子は、さらに、ポリオキシエチレンオキシド(PEOと略称する)を混合してコンポジット化することができる。たとえば、ボロシロキサン合成時にPEOを添加することでコンポジット化することができる。また、ボロシロキサン合成後でPEOをブレンドすることも可能である。このPEOは側鎖のオリゴエーテル結合と絡み合って、ボロシロキサン構造を固定してより安定なボロシロキサン構造のイオン導電性高分子とすることができる。
【0021】
このイオン導電性高分子は、ボロシロキサン構造内のルイス酸性ホウ素によりアニオンが捕捉されるとともに、側鎖のオリゴエーテル結合のセグメント運動によりカチオンのシングル移動を容易にしてイオン伝導度を向上させることができる。
【0022】
このボロシロキサンの合成は、たとえば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル鎖をもつトリアルコキシシラン誘導体とホウ酸トリアルコキシとを、水と触媒の臭化水素酸と共に溶媒中で加熱することで形成できる。この際SiとBとの比率a/bを変えることによりボロシロキサンに結合している側鎖のポリアルキレンオキサイド鎖の量を変化させることができる。
【0023】
さらに、PEOの存在下でボロシロキサンを製造するといわゆるゾル・ゲル法でボロシロキサンにPEOをコンポジット化することができる。
【0024】
本発明のイオン導電体は、上記のイオン伝導性高分子に電解質塩を加えて形成される。たとえば、イオン伝導性高分子を溶媒に溶解し、オリゴエーテル鎖に含まれる酸素数に対応する量の電解質塩を加えて加熱し、溶媒を除去することで固体電解質が得られる。
【0025】
使用できる電解質塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩で、特にリチウムと対になるアニオン部に電子求引部を持つリチウム塩が好ましい。
【0026】
具体的には、電解質塩が、Li(CF3SO2)2N、LiCF3SO3、LiBF4、LiBr、LiClなどが挙げられる。
【0027】
上記のイオン導電体中の電解質のリチウムイオンは、オリゴエーテル鎖が、特にオリゴエチレンオキシドであってリチウム1に対してエチレンオキシドの酸素原子との比が5〜30の範囲が好ましい。特にリチウム:ポリエチレンオキシドの酸素数=1:20近傍がより好ましい。
【0028】
得られたイオン導電体は、電解質のアニオンがボロシロキサン構造に捕捉されやすく、カチオンが自由にエーテル結合のセグメント運動を介して移動でき、輸率で示すようにカチオンのシングルイオン伝導性が発現できる。
【0029】
オリゴエーテル鎖を有するボロシロキサンポリマーは、組成(Si/B比)によるイオン導電率の差はあまり認められない。
【0030】
さらにポリオキシエチレンが混合されたボロシロキサンコンポジッドポリマーでは、ゾル・ゲル混合で形成された方が単純に混合した場合よりもイオン導電率は低いが機械的強度は高くなる。組成は(Si/B比)が高い方がイオン導電率は大きくなる。さらにポリオキシエチレンの混合量が少ない方がイオン導電率は大きい。
【0031】
また、ボロシロキサン構造における組成(Si/B比)が小さい(Bが多い)方が輸率が大きくなることが分かった。よって、カチオンの輸率の大きいイオン導電体が得られることが可能となった。
【0032】
イオン導電体はその他、構造材を配合してイオン導電性高分子を補強しても良い。構造材としては、イオン導電性分子およびイオン伝導用電解質塩が反応しない樹脂や、多孔体よりなることが好ましい。
【0033】
構造材は、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(オリゴエチレングリコールメタクリレート)、ポリ塩化ビニル、ベントナイト、酢酸セルロース、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体より選ばれる1種であることが好ましい。本発明のイオン導電体は、イオン伝導をイオン導電性分子がになうため、構造材自身のイオン輸送機能は、特に必要とされるものではない。さらに、イオン導電性分子であるトリアルコキシボロキシン化合物を添加することもできる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により具体的に説明する。
【0035】
(実施例1)
(イオン導電性高分子の合成)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖を有するトリメトキシシラン誘導体3.3g(10mmol)と蒸留水0.76g(68.0mmol)とホウ酸トリイソプロピル1.9g(10mmol)を二口フラスコに取り、2−プロパノール12mlと数滴の臭化水素酸を加えて約45℃で24時間加熱した。その後反応温度を65℃まで上げて47時間攪拌し、最後に1時間還流をおこなた。その後、副生物と水を100℃で24時間減圧留去することで無色透明な硬いポリマーを得た。
【0036】
(イオン導電体の調製)
上記で得たポリマーを乾燥THF(テトラヒドロフラン)に溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3以下Litrifと略称する)の乾燥THF溶液をリチウムとエーテル鎖の酸素原子との比が(Li+:EO=1:20)となるように加え、14時間攪拌した後、100℃で12時間THFを減圧留去することで固体電解質を調整した。
【0037】
実施例1のボロシロキサン構造のイオン導電体の反応工程を化2式に示した。
【0038】
【化2】
【0039】
Si:Bの比率を2:1、3:2、2:3に変化させたものも同様の方法でポリマーを作製した。Si:bの配合割合および収率を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例2)
(ボロシロキサンPEOコンポジットポリマーの合成)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖を有するトリトリメトキシシラン誘導体1.3g(4.0mmol)と蒸留水0.39g(21.6mmol)とホウ酸トリイソプロピル0.75g(4.0mmol)、PEO0.29gを二口フラスコに取り、アセトニトリル35mlと数滴の臭化水素酸を加えて約45℃で24時間加熱した。その後反応温度を65℃まで上げて47時間攪拌し、最後に1時間還流をおこなた。その後、副生物と水を室温で14時間減圧留去することで柔らかく弾力のあるポリマーを得た。(Si/B=1、PEO20wt%)収量1.7g、
(ボロシロキサンPEOコンポジットポリマーの導電体の調製)
上記で得たポリマーを乾燥THFに溶解させ、Litrifとエーテル鎖およびPEOの酸素原子との比が(Li+:EO=1:20)となるように加え、これを乾燥アセトニトリル溶媒に溶解させ14時間攪拌した後、100℃で12時間THFを減圧留去することで剛直な固体電解質を調整した。
【0042】
実施例2のボロシロキサン構造のイオン導電体の反応工程を化3式に示した。
【0043】
【化3】
【0044】
PEO20重量%および10重量%添加したコンポジットポリマーのSi:Bの比率をそれぞれ1:0、2:1、3:2、2:3、1:2に変化させたものについても同様の方法でポリマーを作製した。Si:Bの配合組成、高分子の収率、電解質の配合量を表2(PEO20重量%)および表3(PEO10重量%)に示した。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
(評価結果)
得られた各イオン導電体のイオン導電率は、ステンレススチール電極を用いたインピータンス法によって測定した。イオン導電率測定用セルは、アルゴン雰囲気下で90℃で1時間加熱したあとで、3時間で室温まで冷却したものを用いた。
【0048】
実施例1で作製したPEOを添加しないボロシロキサン固体電解質におけるイオン導電率の組成依存性(Si:B比)を、イオン導電体の伝導度(縦軸)と温度(1000/絶対温度)(横軸)との関係のグラフを図1に示した。
【0049】
なお、イオン伝導度は、ステンレス板にサンドイッチ状に試料を挟み交流(AC)インビータンス法により測定した。表4に各温度およびボロシロキサン組成比の異なるイオン導電体のイオン導電率測定結果を示した。
【0050】
【表4】
【0051】
実施例1のPEOを添加しない純粋なボロシロキサン固体電解質はポリマーの組成を変化させても図1のグラフに示したようにイオン導電率は顕著な変化が見られなかった。これはリチウムカチオンの伝導機構がエーテル側鎖のセグメント運動によるものであることにかわりないことと、電解質の塩濃度がすべて同じであるためと考えられる。
【0052】
実施例2で調製したボロシロキサンPEOコンポジット電解質の混合ゾル・ゲル法によって調製されたもの(白抜き)と混合させただけのもの(黒印)についての、イオン導電率を図2に示した。イオン導電率は混合ゾル・ゲル法によって調整された(白抜き)電解質の方が低かったが、機械的強度は大幅に改善された。
【0053】
PEOコンポジットタイプのイオン導電体およびボロシロキサン組成比が異なるイオン導電体のイオン導電率測定結果を表5、表6に示した。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
これは混合ゾル・ゲル法によってイオン導電体を調製するとボロシロキサンポリマーとPEOがより一層均一に混ざり合うために、ボロシロキサンポリマーのエーテル側鎖とPEOが絡み合うことによって機械的強度の増加とセグメント運動の抑制による導電率の低下が観察されたものと考えられる。
【0057】
実施例2のボロシロキサンPEOコンポジッド電解質(PEO10重量%、20重量%)のポリマーの組成(Si/B比)を変化させたイオンで導電体のイオン導電率のグラフを図3、図4に示した。
【0058】
PEOを20重量%含んだコンポジッド電解質においてはトリメトキシシラン誘導体の比率を上昇(すなわちSiを大)させるとイオン導電率は高くなった(グラフ中●◇■)。これはボロシロキサンポリマーのエーテル側鎖のセグメント運動によって輸送されるリチウムカチオンが増加したこととルイス酸性ホウ素の比率が減少したことで対アニオンが動きやすくなっているためではないかと考えられる。
【0059】
PEOを10重量%含んだコンポジッド電解質においてはトリメトキシシラン誘導体の比率が50%以上となるとそれ以上Siの比率を上げても導電率は上昇しなかった。
【0060】
機械的強度はPEOを10重量%用いた混合ゾル・ゲル法によって調整された電解質で十分なものが得られたことと輸率、イオン導電率を考慮してSi/B=1、PEO10重量%のものが最適であると考えられるので、これにLiBETI(Li(CF3SO2)2N)を添加して調整したイオン導電率を図5に示した。
【0061】
LiBETI(Li(CF3SO2)2N)を添加することで、イオン導電率は一桁上昇し、純粋なボロシロキサンポリマーと同様なイオン導電率が得られた。これはポリマーが可塑化されたためであると考えられる。この電解質の機械的強度も比較的良い物が得られた。
【0062】
純粋なボロシロキサンポリマーとボロシロキサンPEOコンポジット電解質の輸率の値を表7にPEO20重量%含みSi/B=1を、表8にPEO10重量%含みSi/B=1、表9にPEO10重量%含みSi/B=1/2を、表10にPEOを含まないSi/B=1の試料の測定結果を示した。
【0063】
輸率は、下記の式に基づいて算出した。
【0064】
なお、リチウムイオンの輸率はACインビータンス/DC分極法で測定した。
【0065】
【数1】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
ボロシロキサンPEOコンポジット電解質の輸率の値は、ボロシロキサンの組成比率が同じでPEOの量が異なる。表7、表8、表10を比較するとボロシロキサンポリマーの存在比率が高まる(PEOの量が少ない方)につれてPEOを添加しないものに近くなった。
【0071】
またPEOの10重量%コンポジット電解質の輸率の値は、ホウ素の比率を上げることで表8から表9の、0.57から0.83まで上昇した。これはルイス酸性ホウ素によってより一層アニオンの移動が抑制されたためではないかと考えられる。
【0072】
純粋なボロシロキサンポリマーとPEO20重量%のボロシロキサンPEOコンポジット電解質のSi/B比の異なるもののDSC測定結果を図6、図7に示した。
【0073】
ボロシロキサンPEOコンポジットには60℃付近に融解ピークが見られたが、これは純粋なボロシロキサン電解質やPEO10重量%のボロシロキサンPEOコンポジット電解質ではこのようなピークが全く観察されないことから、これはPEO20重量%加えたことによりPEOとボロシロキサンポリマーが完全に均一に混ざらなかったことによって形成されたPEOの結晶相の融解ピークによるものと考えられる。
【0074】
このグラフよりホウ素の比率が増加すると融点が減少していることと、ピーク幅が広がっていることから、ルイス酸性のホウ素にはPEOのアモルファス相を増加させる作用があるものと考えられる。
【0075】
純粋なボロシロキサン固体電解質は、組成が変化してもTgの値はあまり変化しなかった。このことが低温領域でイオン導電率が組成によって変化しないことと強く関係しているものと考えられる。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したようにオリゴエーテル鎖をもつボロシロキサンは、高分子となり、リチウム塩を電解質として溶解するとイオン導電体となる。このイオン導電体のカチオンの輸率はホウ素含有量が多いほど大きくなり、ボロシロキサン構造がアニオントラップとなり、カチオンのシングル伝導性が可能となる。したがって、軽量で加工性に優れた高分子電解質として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製したイオン導電体のイオン導電率のSi/B組成依存性のグラフである。
【図2】実施例2で作製したPEOコンポジットイオン導電体のPEOの量と添加法の差に基づくグラフである。
【図3】実施例2で作製したゾル・ゲル法によるPEO20重量%の時のイオン導電率のSi/B組成依存性のグラフである。
【図4】実施例2で作製したゾル・ゲル法によるPEO10重量%または20重量%のイオン導電率のSi/B組成依存性のグラフである。
【図5】実施例2で作製したSi/B=1、PEO10重量%のイオン導電体の電解質の違いによるイオン導電率のグラフである。
【図6】実施例2で作製したPEOコンポジットイオン導電体のDSCのチャートである。
【図7】実施例1で作製したイオン導電体のDSCのチャートである。
Claims (5)
- 前記エーテル鎖は、−(CH2−CH2−O−)である請求項1記載のイオン導電性高分子。
- 前記請求項1から2のイオン導電性高分子に電解質塩を組み合わせたイオン導電体。
- 前記電解質塩はLi(CF3SO2)2N、LiCF3SO3、LiBF4、LiClO4、LiBr、LiCl、LiPF6の少なくとも一種である請求項3記載のイオン導電体。
- 前記ボロシロキサンと前記電解質塩のリチウムイオンとの数の比は、リチウム1に対してオリゴエーテル鎖の酸素原子との比が5〜30の範囲である請求項4記載のイオン導電体。
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