JP3649298B2 - 自動二輪車のテールライト取付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の車体後端部にテールライトを取り付けるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の車体後端部にテールライトを取り付ける場合、従来、車体フレームのシートレールに溶接,あるいはボルト締めによりブラケットを固定し、該ブラケットにテールライトを取り付けるのが一般的である。このようなテールライトの取付け構造として、従来、例えば図38に示すように、シートレール100の後端部100aをテールライト101の近傍まで延長形成し、該延長部100bにブラケット102を固定したり、あるいは図39に示すように、ブラケット103を前方に延長形成し、該延長部103aをシートレール100の後端部100aに固定したりする構造が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の取付け構造では、シートレールを延長形成する場合にはフレーム重量が増大し、またブラケットを延長する場合には該ブラケットが大型化するという問題があり、軽量化,小型化を図る上で改善が要請されている。
【0004】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、フレーム重量の増大,及びブラケットの大型化を回避して軽量化,小型化に対応できる自動二輪車のテールライト取付け構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体フレームのシートレール上にシートを搭載するとともに、シートレール下方に後輪を覆う樹脂製のリヤフェンダを配設した自動二輪車の車体後部にテールライトを取り付ける構造において、上記シートレールの後端部に上記リヤフェンダの左右の縦壁に一体に膨出形成されたブラケット部が固定され、該ブラケット部と上記テールライトとの間には間隔が設けられ、該間隔部分に位置するように支持ボス部が上記リヤフェンダの上面に一体形成され、上記テールライトを支持するテールブラケットが上記支持ボス部のみにより固定支持され、該テールブラケットに上記テールライトが固定されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、上記支持ボス部の上面に平坦な支持面を形成し、上記テールブラケットの下端部に上記支持面に沿う平坦な当接面を形成し、該当接面を上記支持面に面接させるとともにボルト締め固定したことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図に基づいて説明する。
図1ないし図37は、本発明の一実施形態による自動二輪車のテールライト取付け構造を説明するための図であり、図1は自動二輪車の左側面図、図2,図3はそれぞれ車輪の側面図,断面図、図4〜図6はカウリングの左側面図、図7〜図12はそれぞれカウリング合わせ部の断面図、図13はリヤフレームの左側面図、図14,図15はリヤフェンダの断面図、図16はリヤフェンダの平面図、図17,図18はテールブラケットの平面図,左側面図、図19,図20はリヤフェンダの断面正面図、図21,図22はサブタンクの取り付け状態を示す図、図23,図24はリヤハーネスガイド部の平面図,断面図、図25はサイドカバーの後方から見た斜視図、図26はダクト開口部分の断面底面図、図27はリヤフレームの斜視図、図28,図29はダクトカバーの装着状態を示す図、図30,図31はそれぞれシートロック機構の断面正面図,断面側面図、図32はメインシート底壁の断面図、図33はタンデムシート底壁の底面図、図34〜図37はそれぞれタンデムシート底壁の断面図である。ここで、本実施形態でいう左右,前後とはシートに搭乗した状態で見た左右,前後をいう。
【0008】
図において、1は本実施形態の自動二輪車であり、これの車体フレーム2はエンジンユニット4を懸架支持するクレードル型のメインフレーム3の後端に車体後方に延びるリヤフレーム5を接続した概略構造のもので、上記メインフレーム3の上部には燃料タンク6が搭載されており、上記リヤフレーム5の上部には運転者用メインシート7及び後部乗員用タンデムシート8が搭載されている。上記メインフレーム3の前端にはヘッドパイプ(図示せず)によりフロントフォーク9が枢支されており、該フロントフォーク9の上端部には操向ハンドル10が固定されており、下端部には前輪11が軸支されている。また上記メインフレーム3の後端下部にはピボット軸12を介してリヤアーム13が上下揺動可能に連結されており、該リヤアーム13の後端に後輪14が軸支されている。
【0009】
上記前輪11,後輪14は、ハブ部15a及びリム部15bと、該両者の間に回転方向に間隔を開けて架設された複数本の中空状スポーク部15cとを鋳造により一体形成し、上記リム部15bの外周にタイヤ16を装着して構成されている。
【0010】
上記スポーク部15cのリム部側に位置する外端部は壁15dにより閉塞されており、該壁15dは直径方向に対して周方向に傾斜した構造となっている。またスポーク部15cの側壁の外端部,内端部にはそれぞれ内外を連通する水抜き孔17a〜17cが形成されており、このうち1つの水抜き孔17aは上記壁15dの傾斜面下端のコーナ部に形成されている。
【0011】
このようにスポーク部15cの外端を壁15dにより閉塞するとともに周方向に傾斜させ、該傾斜下部のコーナ部に水抜き孔17aを形成したので、スポーク部15c内に侵入した水等を効率よく、かつ確実に排水することが可能となる。これにより表面処理前工程におけるバリ取りショット玉排除を容易に行うことができ、また塗装前洗浄液の水抜きを素早く行うことができ、サイクルタイムの短縮及びコストの低減が図れる。さらに走行時の排水においても確実に行うことができる。
【0012】
上記スポーク部15cの内周面15eには、軸方向に延びかつ周方向に交互に厚肉部と薄肉部とからなる凹凸部18が形成されている。この凹凸部18の厚肉部は全周に渡り一定(例えば4mm) であるのに対し、薄肉部は、鋳造時に下側の鋳型により形成される部分が上側の鋳型により形成される部分より薄く( 例えば上側3.5 mm, 下側 3.0mm )設定されている。
【0013】
このように凹凸部18の薄肉部の肉圧を設定する際に、鋳造時に湯圧が高い下側の薄肉部を湯圧の低い上側より薄く設定したので、湯の廻りを確保しながら軽量化を図ることができる。
【0014】
上記車体フレーム2の前部には樹脂製のカウリング20が配設されている。該カウリング20は、上記操向ハンドル10の前部を囲むアッパカバー21と、メインフレーム3の前部及び左右側部を囲むカウリング本体22と、該メインフレーム3の下部を囲むアンダカバー23とからなる3分割構造のものである。
【0015】
上記アッパカバー21の下縁21aの車体内側にはカウリング本体22の上縁22aが対向しており、該下縁21a,上縁22aはボルト24により締め付け固定されている(図12参照)。上記カウリング本体22の上縁22aには段部22bが車幅方向内側に屈曲形成されている。この段部22bに上記アッパカバー21の下縁21aの下端面が当接しており、これにより上記アッパカバー21とカウリング本体22との合わせ面は面一となっている(図11,12参照)。
【0016】
上記カウリング本体22の下縁22cの車体内側にはアンダカバー23の上縁23aが対向しており、該下縁22c,上縁23aの後端部同士はボルト24により締め付け固定されている。該カウリング本体22の下縁22cにはこれの長手方向後半部を切り欠いてなる切欠き部22dが形成されている。また上記アンダカバー23の上縁23aにはこれの長手方向前半部及び後端部を除く中央部分を切り欠いてなる切欠き部23bが形成されており、該両切欠き部22d,23bによりカウリング本体22とアンダカバー23との合わせ部に細長いスリット状の開口部25が形成されている。
【0017】
上記カウリング本体22の下縁22cの前半部には、アンダカバー23に対して段差をなすように車幅方向内側に折り曲げ成形してなる折曲げ部22eが形成されており、該折曲げ部22eの端面22fと上記アンダカバー23の上縁23aとの間には僅かな隙間tが設けられている(図7,8参照)。また上記カウリング本体22の下縁22cには大略逆U字状の突起部26が一体形成されており、該突起部26の下端部には嵌合段部26aが切り欠き形成されている。上記アンダカバー23の上縁23aの前半部には上記突起部26の段部26aに嵌合する係合スリット27が凹設されており、これによりカウリング本体22,アンダカバー23間の位置決めを行うとともに、上記隙間をtに規制している。
【0018】
上記リヤフレーム5は、図13及び図27に示すように、左, 右の縦ブラケット5a,5aの上端に後方に延びるシートレール5b,5bの前端を接続するとともに、下端にアンダレール5c,5cの前端を接続し、各アンダレール5cの後端をシートレール5bの後端部下面に接続して構成されている。この左, 右のシートレール5b,5bの前端部同士,中央部同士,後端部同士はそれぞれクロスメンバ5d,5f,5gで接続されており、また上記シートレール5bとアンダレール5cとはガセット66で接続されている。上記左, 右のアンダレール5cの下面には後部乗員用フートレスト取り付けブラケット5eが接続されている。
【0019】
上記リヤフレーム5の左, 右側部には上記メインシート7及びタンデムシート8の下方側部を囲む左, 右のサイドカバー29,29が、また該サイドカバー29内には上記後輪14の上方を覆うリヤフェンダ30が配設されている。このリヤフェンダ30は、後輪14に沿って上方に湾曲する底壁30aと、後輪14の左, 右側方を覆う側壁30b,30bと、上記底壁30aの後半部に立設された左, 右の縦壁30c,30cとを一体形成した概略構造のものであり、該縦壁30c及び底壁30aとこれの上方を覆うタンデムシート8との空間が収納部(収納空間)31となっている。
【0020】
上記底壁30aの前端にはバッテリ32を収納するバッテリボックス33が一体に接続形成されており、該ボックス33は上記メインシート7の下方に位置している。このバッテリボックス33の左, 右側壁33bには厚肉のブラケット部34が一体に膨出形成されており、該ブラケット部34はシートレール5bにボルト34aで締め固定されている。このバッテリボックス33の左, 右側部にはそれぞれスタータリレー35,リヤブレーキのリザーブタンク36が配設されている。このリザーブタンク36はバッテリボックス33の右側壁33bに一体形成された取り付け座にボルト締め固定されており、該リザーブタンク36のキャップ36aは上記ブラケット部34の底面に近接している。このようにリザーブタンク36をリヤフェンダ30に直接固定したので、別部品を介しての取り付けを不要にでき部品点数の削減を図ることができる。またリザーブタンク36のキャップ36aをブラケット部34の底面に近接させて配置したので、該キャップ36aをそのまま外すことはできず、悪戯等を防止できる。
【0021】
上記バッテリボックス33の前壁33aの左側端部には上記エンジンユニット4のリレー37,38が車体前後方向に互い違いにかつ上下方向に重なるように配置されている。該前側リレー37は上記前壁33aに一体に突出形成された鉤状の取り付け部39に取付けられており、後側リレー36は前壁33aの上部に直接固定されている。このように各リレー37,38を前後方向に互い違いに配置したので、狭いスペースを有効利用して配置できるとともに、リヤフェンダ30を射出成形する際の型抜きを可能にできスライド型を不要にできる。
【0022】
また上記リヤフェンダ30の左側壁30bの上記バッテリボックス33より後側部分の外面にはリヤサスペンションのサブタンク40が金属製リングバンド41により締め付け固定されている。該サブタンク40の固定部分は、上記側壁30bの外面に円弧状の取り付け座42を凹設し、該取り付け座42の後部周縁を下方に屈曲させて遮蔽部43を形成し、該遮蔽部43で屈曲により生じた開口42bを囲むとともに、上記取り付け座42の後端縁にバンド抜け防止用のストッパ部42aを屈曲形成して構成されている。
【0023】
そして上記サブタンク40は、これをリングバンド41を装着した状態で、該バンド41が上記ストッパ部42aの下側に位置するように取り付け座42上に配置し、該リングバンド41をそのまま締め付けることにより固定されている。これによりリングバンド41を一旦開いた状態で巻回するという手間のかかる作業を不要にでき、またサブタンク40をリヤフェンダ30に直接固定したので、別部品を介しての取り付けを不要にして部品点数を削減できる。また上記遮蔽部43で取り付け座42の切欠き開口を覆ったので、後輪14等からの跳ね水の侵入を防止できる。
【0024】
上記リヤフェンダ30の左側の縦壁30cの前部にはワイヤハーネス45を挿通支持するガイド部46が一体形成されている。このガイド部46は、縦壁30cの一部を車体内側に折り曲げ成形し、該屈曲部30c´の外側にリブ部47を一体に起立形成して構成されており、このガイド部46によりハーネス45の位置決め及び支持が確実となり、また別部品によるクランプ部材を不要にできる。
【0025】
上記リヤフェンダ30の左, 右の縦壁30cの後端には厚肉のブラケット部48が一体に膨出形成されており、該ブラケット部48は上記シートレール5bの後端にボルト48aで締め固定されている。また、該シートレール5bの車体後方には間隔をあけてテールライト50が配設されており、該テールライト50は上記サイドカバー29の後端面に形成された開口に装着されている。このテールライト50は、大略碗状の本体部50aの後面開口にレンズ50bを嵌装し、該本体部50aの左, 右に一対のソケット51を挿入固定し、各ソケット51にランプバルブ52を着脱可能に挿着して構成されている。
【0026】
上記テールライト50の取り付け構造について説明する。
上記左, 右のブラケット部48の後部には車幅方向に延び、かつシートレール5bとテールライト50との略中間に位置するように台形状の支持ボス部55がリヤフェンダ30の上面に一体に突出形成されている。該支持ボス部55の下端は底壁30aに一体に接続形成されている。この支持ボス部55の上面55aはシートレール5bの上面とテールライト50下面を結ぶ線より僅かに上方に位置しており、該上面55aには平坦をなす支持面55bが形成されている。
【0027】
上記支持ボス部55にはテールブラケット56が配置されている。このテールブラケット56は、図17,図18に示すように、左, 右の側壁56aの上端間に大略三角形状の天壁56bを一体形成し、各側壁56aの後端にフランジ部56cを屈曲形成するとともに、該各側壁56aの下端に取り付け座56dを屈曲形成して構成されている。この取り付け座56dの下面には、上記支持面55bに沿って平坦をなす当接面57が形成されている。また上記天壁56b,フランジ部56c,及び取り付け座56dにはそれぞれ取付け孔58が形成されている。なお、59は軽量化を図るための大径孔である。
【0028】
そして上記支持ボス部55の支持面55bには、上記取り付け座56dの当接面57が面接しており、両者55,56dはボルト59aにより締め付け固定されている。このようにして上記テールブラケット56は上記支持ボス部55のみにより固定支持されている。また上記天壁56bの各取付け孔58にはボルト59bが挿入されており、該ボルト59bはダンデムシート後方の上面を覆うテールカウル29aの内壁に形成されたボス部(図示せず)に締結されている。さらに上記左, 右のフランジ部56cには上記テールライト50の本体部50aがボルト締め固定されている。
【0029】
上記左, 右のサイドカバー29は樹脂製のもので、上記リヤフレーム5にボルト締め固定されている。この各サイドカバー29の上記タンデムシート8の下方部分には、車体後方に開口する縦長楕円状のダクト開口60が形成されており、該ダクト開口60はサイドカバー29内部と外部とを連通するとともに外観上の意匠効果を高めるためのものである。このダクト開口60は、上記サイドカバー29に、平面視で車体後方に臨む後方壁61aと、該後方壁61aの内側部61bから車体後方に向かって徐々に外側に膨出する傾斜面61cとを有する凹部62を形成し、上記後方壁61aに楕円穴を形成してなるものである。
【0030】
また上記サイドカバー29内にはダクト開口60を内側から目隠しするためのダクトカバー63が配設されており、該ダクトカバー63の周縁とダクト開口60の周縁との間には空気通路となる隙間aが設けられている。なお、上述のように、ダクト開口60は意匠効果を高めるものであるため、隙間aを設けず、サイドカバー内外の連通機能をもたないものであってもよい。
【0031】
車両右側のダクトカバー63は、図27に示すように、カバー本体63aに2本の角柱状脚部63b,63cを一体形成した構造のもので、前側の脚部63cの先端面には位置決め突起65aが、一側縁には係合爪65bがそれぞれ一体形成されている。また後側の脚部63bの先端には左, 右一対の挟持片64,64が一体形成されている。そして上記ダクトカバー63は、上記リヤフレーム5のガセット66に穿設された位置決め孔66aに前側の脚部63cの突起65aを挿入するとともに係合爪bをガセット66の側縁に嵌合させて位置決め固定し(図29参照)、この状態で後側の脚部63bの挟持片64をアンダレール5cに嵌合させることにより固定されている(図28)。
【0032】
上記メインシート7,及びタンデムシート8は別体のもので、各シート7,8はそれぞれ底板70,71の上面に不図示のクッションを配設するとともにこれを表皮で覆った構造のものである。上記メインシート7の底板70の下面前部には係合フック70aが形成されており、該メインシート7は、上記係合フック70aを前側クロスメンバ5dに係合するとともに、該シート7の後部を後述するシートロック装置によりロックすることによりリヤフレーム5上に着脱可能に装着されている。また上記底板70の前,後部にはシートレール5bに当接するダンパ部材73が装着されている。
【0033】
また上記タンデムシート8の底板71の後部には後側クロスメンバ5gに係合する係合フック71aが一体形成されており、該タンデムシート8は、上記係合フック71aを後側クロスメンバ5gに係合するとともに、その前端部をシートロック装置により上記メインシート7の後端部と同時にロックすることによりリヤフレーム5上に着脱可能に装着れれている。また上記底板71の前,後部にはシートレール5b,後側クロスメンバ5gに当接するダンパ部材74が装着されている。
【0034】
なお、上記メインシート7は前端部を中心にして、またタンデムシート8は後端部を中心にして上下揺動可能に装着してもよい。この場合には、例えばメインシート7については、該メインシート7の底板と上記前側クロスメンバ5dとの間にヒンジを配設すれば良い。なお、図13中72は燃料タンク後部をフレームに対して揺動可能にマウントするヒンジである。
【0035】
次にシートロック装置について説明する。
本実施形態のシートロック装置75は上記メインシート7及びタンデムシート8を同時にロックするように構成されており、またロック,アンロック操作を行うキーシリンダは上記サイドカバー29の凹部62の内方に配設されている。
【0036】
上記リヤフレーム5の中央クロスメンバ5fの車幅方向中央部には長孔76が形成されており、該長孔76の右側部,及びクロスメンバ5fの左, 右両端部にはそれぞれ位置決め孔77a〜77cが形成されている。また該クロスメンバ5fの下面にはロックシリンダ77がボルト締め固定されており、該ロックシリンダ77には上記長孔76の下方にて横断するロックバー78が進退可能に挿着されている。上記ロックシリンダ77は操作ケーブル(図示せず)を介して後述するキーシリンダ80に接続されている。
【0037】
上記メインシート7の底板70の後端部の上記クロスメンバ5fに対向する部分には、該メインシート7の装着時に上記長孔76内に進入するL字状の係合板81がボルト締め固定されており、該係合板81の下端部には上記ロックバー78が係脱する係合孔81aが形成されている。上記係合板81の右側部には上記位置決め孔77aに係合する球面を有する突起部82が膨出形成されている。また上記底板70の左, 右両端部には押圧部83,83が膨出形成されており、各押圧部83は上記左, 右の位置決め孔77b,77cに臨んでいる。上記クロスメンバ5dと底板70との間には該底板70を上方に付勢するコイルスプリング84が底板70側に取り付けて配設されており、これはメインシート7を少し浮き上がらせることによりアンロック状態になっていることを操作者に知らせるためのものである。
【0038】
上記タンデムシート8の底板71の前縁の左, 右両端部には、前方に斜め下方に舌状に延びる被押圧板85,85がボルト締め固定されており、各被押圧板85の前端部下面には上記位置決め孔77b,77cに係合する凸部86がダンパ87を介在させて装着されている。このようにシートロック時にはタンデムシート8の被押圧板85をクロスメンバ5f上面にメインシート7の押圧部83で押圧することにより両シート7,8を同時にロックするようになっている。
【0039】
そして上記シートロック装置75の上記ロックシリンダ77をロック,アンロックさせるためのキーシリンダ80は、上述の左側ダクト開口60のダクトカバー63の内方に配置されている。このキーシリンダ80のシリンダ部80aはブラケット88を介してリヤフレーム5のアンダレール5cにボルト締め固定され、キー挿入部80bの挿入孔80cが上記ダクト開口60から後方に臨んでいる。
【0040】
また上記ダクトカバー63にはキー挿通孔63dが形成されており、該挿通孔63d内には上記キー挿入部80bが位置している。このキー挿入部80bの挿入孔80cは挿通孔63dから若干外方に突出しており、かつダクト開口60面より内方に位置している。これにより上記挿入孔80cは側方から見ると凹部62内に隠れている。
【0041】
ここで上記、左側のダクトカバー63はキーシリンダ80用のブラケット88を介してフレームに取り付けられているので、該キーシリンダ80とダクトカバー63との位置合わせは容易である。一方、ダクトカバー63とサイドカバー29との位置合わせにずれが生じたとしても、該ダクトカバー63はサイドカバー29の内方に隠れているので、上記ずれはそれほど問題にならない。
【0042】
次にロック部材の収納構造について説明する。
本実施形態のロック装置90は、金属パイプをU字状に折り曲げ成形してなるロック部材91と直方体状のロック本体92とから構成されている。上記ロック部材91は、左,右一対のバー部91aと、該両バー部91a,91aの一端部同士を接続するUターン部91bとを有し、上記各バー部91aの他端部にはロック部91cが形成されている。
【0043】
上記ロック本体92は、上記ロック部材91のロック部91cが挿入される挿入孔92a,92aと、ロック部材91を施錠,解錠するキー挿入孔92bと、該キー挿入孔92bを開閉する蓋93とを有している。
【0044】
上記ロック本体92は、上記リヤフェンダ30の底壁30aの、上記バッテリボックス33と収納部31との間に配置されている。この底壁30aのロック本体92の前側及び後側にはそれぞれフック94がボルト締め固定されており、該ロック本体92はフック94にリング状ゴムバンド95を架け渡すことにより固定されている。
【0045】
そして上記ロック部材91は上記タンデムシート8の底板71と上記リヤフェンダ30とで形成された収納空間内に収納されている。該ロック部材91のバー部91aは、上記底板71の下面に一体形成された支持片96,及び押圧片97(バー部保持部)により車両前後方向に移動可能に、かつ車幅方向及び上下方向に固定して保持され、また上記Uターン部91bは略C字状のクランプ98(Uターン部保持部)により前方及び後方への移動が規制されて保持されている。
【0046】
即ち、上記支持片96は上記底板71の車幅方向中央部に左, 右一対ずつ3組U字状に形成されており、該各支持片96の内周面は上記ロック部材91が挿通する大きさに設定されている。該各支持片96により上記ロック部材91の下面が支持されている。
【0047】
上記押圧片97は中央の支持片96と後部の支持片96との間に切り起こして形成されており、該押圧片97は上記ロック部材91の上面を押圧している。これにより上記ロック部材91は支持片96と押圧片97とで挟持されており、かつ前後方向に挿入,引き出し可能となっている。
【0048】
また、上記クランプ98は上記底板71の車幅方向中央部の前縁に配設されており、該クランプ98はこれに一体形成されたクリップ98aを底板71に嵌合させることにより固定されている。従って、該クランプ98は、シート収容空間のメインシート7を取り外したときに外方に臨む前端開口部に位置している。
【0049】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態のカウリング20の合わせ構造によれば、カウリング本体22の下縁22cをアンダカバー23の上縁23aに重ね合わせるとともに、該カウリング本体22の下縁22cをアンダカバー23に対して段差をなすように内側に折り曲げ形成し、該折曲げ部22eの端面22fとアンダカバー22の上縁23aとの間に所定隙間tを設けたので、カウリング本体22とアンダカバー23との間に取り付け誤差が生じても目立ち難く、従来の面一に合わせる場合に比べてずれ,ガタ,浮き上がりによる外観の悪化を回避できる。
【0050】
例えば、図7において、カウリング本体22の下縁22cとアンダカバー23の上縁23aとが図示上下方向にずれた場合、あるいは上記隙間tが大きくなったり小さくなったりした場合でも、これらの誤差は外観上ほとんど不明であり、従って外観悪化の原因となり難い。またカウリング本体22とアンダカバー23との合わせ部は車両の中でも低い位置にあり、これと共にカウリング本体22側に折曲げ部22eを設けたことにより上記合わせ部は車幅方向内側に奥まって位置し、より一層見え難くなるため、更に外観悪化の原因になり難い。また上記カウリング本体22の下縁22cとアンダカバー23との間に隙間tを設けたので、樹脂同士の干渉による粉ふきを防止できる。
【0051】
上記カウリング本体22の下縁22c,及びアンダカバー23の上縁23aにそれぞれ切欠き部22d,23bを形成し、これにより両者の合わせ部に開口部25を形成したので、該開口25部分の合わせ精度を緩和でき、この点からも外観の悪化を回避できる。
【0052】
本実施形態のテールライト50の取り付け構造によれば、リヤフェンダ30に台形状の支持ボス部55を一体形成し、該ボス部55をシートレール5dとテールライト50との中間部分に突出させ、該支持ボス部55の上面55aにテールブラケット56を介して上記テールライト50を取り付け固定したので、従来のシートレールを延長する場合の重量増大を回避できるとともに、ブラケットを延長する場合の大型化を回避でき、軽量化,小型化に対応できる。
【0053】
上記テールブラケット56の左, 右のフランジ部56d,56dに平坦な当接面57を形成するとともに、支持ボス部55の上面55aに平坦な支持面55bを形成し、当接面57を支持面55b上に接触させてボルト締め固定したので、テールブラケット56を精度よく位置決め固定できる。即ち、リヤフェンダ30,支持ボス部55は樹脂一体成形品であることから、フレームにブラケットを溶接する場合に比較して寸法誤差を小さくでき、それだけ取り付け精度を向上できる。
【0054】
また上記テールブラケット56の当接面57を支持面55b上に左, 右の2点でボルト締めすることによりテールライト50を取り付けるようにしたので、例えば側方からボルトを挿入して固定する場合にテールライトが自重により回動するような問題を回避でき、組付け性を改善できる。
【0055】
本実施形態におけるシートロック装置75によれば、左, 右のサイドカバー29に後方に臨む後方壁61aと、該後方壁61aの底部61bから後方に向かって膨出する傾斜壁61cとを形成し、上記後方壁61aに形成されたダクト開口60の内方に上記シートロック装置75のキーシリンダ80を配置するとともに、該キーシリンダ80のキー挿入孔80cを後方に臨ませたので、該キー挿入孔80cはダクト開口60内の奥まった箇所に隠れて見え難く、それだけ外観を向上できる。この場合、傾斜壁に沿うように斜め後方からキー挿入孔80cにアクセスできるので、奥まった箇所にあり、外部から見え難くいにもかかわらず操作性は良好である。さらにまた、キー挿入孔80cは上記開口60の中でも車幅方向外寄り位置しているので、傾斜壁からの距離が確保されておりキーを握る指が入り易く、この点からも操作性が良好である。
【0056】
また上記サイドカバー29のダクト開口60内にキーシリンダ80を配置したので、該サイドカバー29がキーシリンダ80を壊す等の悪戯防止のための覆いとなり、別カバーを不要にでき、それだけコストを低減できる。またキーシリンダ80をロック部材77に近づけて配置でき、操作ケーブルの配索を簡略化できる。さらに上記ダクト開口60をダクトカバー63で覆うとともに、キーシリンダ80の挿入孔80cをダクト開口60の内方に位置させたので外観の向上を図ることができるとともに、上記悪戯等をより一層確実に防止できる。
【0057】
本実施形態の車輪ロック部材収納構造によれば、メインシート7を取り外すことにより、ロック部材91を収納空間の前端開口から前後方向に出し入れできるので、タンデムシート8を取り外す必要がなく、従ってタンデムシート8上に荷物を搭載している場合に、該荷物をそのままにしてロック部材91の収納,取り出しが可能である。またUターン部91bを支持するクリップ98はロック部材収容空間31の前端開口部に位置しているので、該Uターン部91bの保持が容易である。
【0058】
またタンデムシート8の底板71に、上記ロック部材91の下面を支持する支持片96と上面を押圧する押圧片97とを一体形成したので、シート下面の空きスペース有効利用して収納でき、従来のリヤフェンダ底部に収納する場合に比べて収納スペースの縮小を防止できとともに他の収納物への傷付きを回避でき、さらにはリヤフェンダの強度要求を緩和できる。また別部品によるロック部材の保持が不要となるので、コストを低減できる。
【0059】
さらに上記メインシート7,及びタンデムシート8を1つのシートロック装置75で同時にロックしたので、ロック構造を簡略化してコストを低減できるとともに、両シート7,8下方の両方に収納スペースを確保できる。
【0060】
なお、上記収納構造では、支持片96をU字状に形成し、押圧片97を切り起こして形成したが、本発明のロック部材保持構造はこれに限られるものではない。例えば、図36,図37に示すように、支持部96の下部にスリット96aを形成し、ロック部材91を下方から嵌め込むようにしてもよく、また円弧状の押圧片97aを形成して下方への付勢力を持たせることにより、該押圧片97aで押圧するようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明に係る自動二輪車のテールライト取付け構造によれば、リヤフェンダに支持ボス部をシートレールの後端部とテールライトとの間に位置するよう突出形成し、該支持ボス部にテールブラケットを介して上記テールライトを取り付けたので、フレーム重量を増大させたり,大型ブラケットを採用したりすることなくテールライトを取付けることができ、軽量化,小型化に対応できる効果がある。
【0062】
請求項2の発明では、上記支持ボス部の上面に平坦な支持面を形成し、上記テールブラケットの下端部に上記支持面に沿う平坦な当接面を形成するとともに、該当接面を上記支持面にボルト締め固定したので、テールブラケットを確実に位置決め固定でき、取付作業性を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の自動二輪車の左側面図である。
【図2】上記自動二輪車の車輪の側面図である。
【図3】上記車輪のスポーク部の断面図である。
【図4】上記実施形態のカウリング合わせ構造の側面図である。
【図5】カウリング本体の側面図である。
【図6】アンダカバーの側面図である。
【図7】上記合わせ部の断面図である(図4のVII-VII 線断面図) 。
【図8】上記合わせ部の断面図である(図4のVIII-VIII 線断面図) 。
【図9】上記合わせ部の断面図である(図4のIX-IX 線断面図) 。
【図10】上記合わせ部の断面図である(図4のX−X線断面図) 。
【図11】図5のXI-XI 線断面図である。
【図12】図5のXII-XII 線断面図である。
【図13】リヤフレームの左側面図である。
【図14】リヤフェンダの前半部の断面図である。
【図15】上記リヤフェンダの後半部の断面図である。
【図16】上記リヤフェンダの平面図である。
【図17】テールブラケットの平面図である。
【図18】テールブラケットの側面図である。
【図19】上記リヤフェンダのバッテリボックス部分の断面正面図である。
【図20】上記リヤフェンダのサブタンク部分の断面正面図である。
【図21】上記リヤフェンダのサブタンク部分の側面図である。
【図22】上記サブタンクの取り付け状態を示す図である。
【図23】上記リヤフェンダのガイド部を示す平面図である。
【図24】上記ガイド部の断面正面図である。
【図25】サイドカバーの後方から見た斜視図である。
【図26】上記サイドカバーのダクト開口部分の断面外面図である。
【図27】リヤフレームのダクトカバー取り付け状態を示す図である。
【図28】上記ダクトカバー取り付け状態を示す平面図である。
【図29】上記ダクトカバー取り付け状態を示す断面平面図である。
【図30】上記実施形態のシートロック機構の断面正面図である。
【図31】上記シートロック機構の断面側面図である。
【図32】メインシートの底壁の断面側面図である。
【図33】上記底壁の底面図である。
【図34】タンデムシートの底壁の断面側面図である。
【図35】上記底壁の保持機構部分の断面側面図である。
【図36】上記保持機構の支持片の断面背面図である。
【図37】上記保持機構の押圧片の断面背面図である。
【図38】従来の取付け構造を示す図である。
【図39】従来の取付け構造を示す図である。
【符号の説明】
1 自動二輪車
5 リヤフレーム
5b シートレール
8 タンデムシート
14 後輪
30 リヤフェンダ
50 テールライト
55 支持ボス部
55b 支持面
56 テールブラケット
57 当接面
Claims (2)
- 車体フレームのシートレール上にシートを搭載するとともに、シートレール下方に後輪を覆う樹脂製のリヤフェンダを配設した自動二輪車の車体後部にテールライトを取り付ける構造において、上記シートレールの後端部に上記リヤフェンダの左右の縦壁に一体に膨出形成されたブラケット部が固定され、該ブラケット部と上記テールライトとの間には間隔が設けられ、該間隔部分に位置するように支持ボス部が上記リヤフェンダの上面に一体形成され、上記テールライトを支持するテールブラケットが上記支持ボス部のみにより固定支持され、該テールブラケットに上記テールライトが固定されていることを特徴とする自動二輪車のテールライト取付け構造。
- 請求項1において、上記支持ボス部の上面に平坦な支持面を形成し、上記テールブラケットの下端部に上記支持面に沿う平坦な当接面を形成し、該当接面を上記支持面に面接させるとともにボルト締め固定したことを特徴とする自動二輪車のテールライト取付け構造。
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