JP3649095B2 - 記録ヘッド等の駆動回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に対して記録を行なう記録ヘッド等を駆動する回路素子が搭載された回路基板であって、放熱を行うヒートシンクが固定された駆動回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェットプリンタ等のプリンタでは、記録ヘッドを駆動する回路素子が搭載された回路基板では、一方の面に回路素子を搭載し、当該回路素子を搭載した裏面に放熱用のヒートシンク(放熱器)を接着したものが知られている。この従来の回路基板に用いられるヒートシンクは、アルミ合金の板材をプレス打ち抜き加工により形成されるために、ヒートシンクの縁にバリが形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、縁にバリが形成されたヒートシンクでは、バリが形成された面を回路基板に対向して回路基板に接着すると、当該バリにより回路基板のパターンが傷つけられて、断線やショートの原因となっていた。また、バリが形成された面を外側にして回路基板に接着すると、回路基板に接続されているフレキシブルプリント回路基板(FPC)が傷つけられて、断線やショートの原因となっていた。また、従来の回路基板では、ヒートシンクの全面に接着剤を塗布して回路基板に接着していたために、ヒートシンクと回路基板との線膨張係数の違いによって、回路基板が反ってしまうという問題点もあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、縁にバリが形成されたヒートシンクを接着しても、断線やショートを生じることがなく、また、発熱時に反りの出ない回路基板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の駆動回路基板では、記録媒体に対して記録を行なう記録ヘッド等を駆動する回路素子が搭載された回路基板であって、当該回路基板には、放熱を行うヒートシンクが固定され、当該ヒートシンクには、プレス加工により生じたバリが形成され、当該バリが形成された側の前記ヒートシンク上に当該バリの高さより高い凸部が設けられ、当該凸部を介して、ヒートシンクが前記回路基板上に取り付けられている。
【0006】
この構成の駆動回路基板では、バリが形成された側のヒートシンク上に当該バリの高さより高い凸部が設けられ、当該凸部を介して、ヒートシンクが前記回路基板上に取り付けられているので、バリと回路基板との間に隙間が空き、バリにより回路基板が傷つくことがない。
【0007】
また、請求項2に記載の駆動回路基板は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記凸部が前記回路基板上の接地パターンの上に当接するように、前記凸部が前記ヒートシンク上に配設されていることを特徴とする。
【0008】
この構成の駆動回路基板では、請求項1に記載の発明の作用に加えて、前記凸部が前記回路基板上の接地パターンの上に当接するように、前記凸部が前記ヒートシンク上に配設されているので、当該凸部により回路基板の表面のカバー層を傷つけても、その下は接地パターンなので、断線やショート等を生じることがない。
【0009】
また、請求項3に記載の駆動回路基板は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、前記回路基板に、前記ヒートシンクは接着により固定されることを特徴とする構成となっている。
【0010】
この構成の駆動回路基板では、請求項1又は2に記載の発明の作用に加えて、前記ヒートシンクは接着により固定されるので、ヒートシンクの固定が容易にできる。
【0011】
また、請求項4に記載の駆動回路基板は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の構成に加えて、前記ヒートシンクの中央には、前記回路基板の中央に設けられた回路素子の大きさに対応した大きさの熱伝導率の高い接着剤が塗布されて、前記ヒートシンクが前記回路基板に接着されていることを特徴とする構成となっている。
【0012】
この構成の駆動回路基板では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加えて、前記ヒートシンクの中央には、前記回路基板の中央に設けられた回路素子の大きさに対応した大きさの熱伝導率の高い接着剤が塗布されて、前記ヒートシンクが前記回路基板に接着されているので、回路素子の熱のヒートシンクへの伝導を高めることができる。また、ヒートシンクを回路基板上に接着する接着剤は、ヒートシンクの全面ではなく、回路素子の大きさに対応した大きさで塗布されているので、ヒートシンクと回路基板との線膨張係数の違いによって、回路基板が反ってしまうことを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態のドライバーIC基板及び付属装置の斜視図であり、図2は、ドライバーIC基板の平面図であり、図3は、図2に示すドライバーICの右側面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の回路基板の一例であるインクジェットプリンターの記録ヘッド用のドライバIC基板1は、長方形に形成されたプリント配線基板から構成され、ドライバIC基板1の一方の面には、インクジェット記録ヘッド7の圧電アクチュエータを駆動するドライバIC2が設けられている。また、ドライバIC基板1のドライバIC2が設けられた面と反対の面には、略長方形に形成された放熱用のヒートシンク3が熱伝導率の高い接着剤により接着されている。さらに、基板1及びヒートシンク3は、絶縁材製のホルダー4に覆われるようになっている。
【0015】
また、ドライバIC基板1には、フレキシブルプリント基板(FPC)5及びフレキシブルプリント基板6が接続され、フレキシブルプリント基板5,6は、シェアモードの圧電アクチュエータを用いた2列のインクジェット記録ヘッド7,7にそれぞれ接続されている。
【0016】
次に、図2を参照して、ドライバIC基板1の構造について説明する。図2は、ドライバーIC基板1の平面図である。
【0017】
図2に示すように、ドライバーIC基板1は、略長方形に構成されたガラスエポキシ樹脂製のプリント配線基板11から構成されており、その表面の側端部(図2における左端部)には、接地されているプリントパターンであるGNDランド12がドライバーIC基板1の長手方向に沿って設けられ、また、その表面の側端部(図2における右端部)には、接地されているプリントパターンであるGNDランド13がドライバーIC基板1の長手方向に沿って設けられている。
【0018】
さらに、GNDランド12及び13の間には、接地されているプリントパターンであるGNDランド14が設けられている。なお、GNDランド12,13,14上には、絶縁用の皮膜が形成されている。また、ドライバーIC基板1のGNDランド14の裏側には、図3に示すようにドライバIC2が設けられ、ドライバーIC基板1の図2における下端部には、本体側の制御回路との接続に用いる接点15が複数設けられている。
【0019】
次に、図4及び図5を参照して、ヒートシンク3の構造について説明する。図4は、ドライバーIC基板に接着されるヒートシンクの平面図であり、図5は、ドライバーIC基板に接着されるヒートシンクの右側面図である。
【0020】
図4及び図5に示すように、ヒートシンク3は、アルミ合金の板材をプレス打ち抜き加工により略長方形に形成したものである。ヒートシンク3の表面には、円柱状の凸部である凸部33が、ヒートシンク3の左上部(図4における)に設けられ、また、凸部33と同様の円柱状の凸部34が、ヒートシンク3の右上部(図4における)に設けられ、さらに、凸部33と同様の円柱状の凸部35が、ヒートシンク3の下部中央(図4における)に設けられている。
【0021】
また、ヒートシンク3では、図4に示す平面図の裏側からプレス打ち抜き加工が行われているので、ヒートシンク3のエッジ部に形成されるプレス打ち抜き加工によるバリは、これらの凸部33,34,35の形成されている方向と同じ方向に形成されている。そして、これらの凸部33,34,35の高さは、当該バリよりも高くなるように予め設定されている。これらの凸部33,34,35の高さを決めるには、予めヒートシンク3に使用するアルミ合金の板材を打ち抜き加工してそのエッジ部に生じたバリの高さを測定して、そのバリより所定量だけ高くなるようにすればよい。その所定量が、ヒートシンク3に生じたバリとドライバIC基板1との間隔になるので、その所定量は、任意に決めることができる。
【0022】
また、前記凸部33,34,35のヒートシンク3上における位置は、ヒートシンク3を凸部33,34,35をドライバIC基板1に対向させて、ドライバIC基板1上に接着したときに、凸部33がGNDランド13に対向し、凸部34がGNDランド12に対向し、凸部35がGNDランド14に対向するように設定されている。
【0023】
次に、図6乃至図9を参照して、ヒートシンク3のドライバIC基板1への接着について説明する。図6及び図7は、ドライバーIC基板にヒートシンクを接着した状態を示す平面図であり、図8は、ドライバーIC基板にヒートシンクを接着した状態を示す左側面図であり、図9は、図8に示すA近傍の一部拡大図である。
【0024】
図6に示すように、ヒートシンク3は、凸部33,34,35をドライバIC基板1に対向させて、ドライバIC基板1上に熱伝導率の高い接着剤36により接着されている。そして、接着剤36は、ヒートシンク3の全面ではなく、図6に示すようにヒートシンクの中央部に略円形に塗布されている。この接着剤36の塗布されている部分のドライバIC基板1の裏側にドライバIC2が設けられているので、ドライバIC2から生じた熱は、接着剤36を介してヒートシンク3に伝導して放熱される。
【0025】
なお、ヒートシンク3をドライバIC基板1上に接着するときには、図示外の治具により位置決めを行うのであるが、図7に示すように、凸部33がGNDランド13に対向し、凸部34がGNDランド12に対向し、凸部35がGNDランド14に対向するようにして接着される。
【0026】
従って、ヒートシンク3をドライバIC基板1上に接着したときには、図8に示すように、ヒートシンク3は、凸部33,34,35をドライバIC基板1に対向させて、ドライバIC基板1上に熱伝導率の高い接着剤36により接着されている。そして、接着剤36を介して、ドライバIC基板1の裏側に設けられたドライバIC2の熱がヒートシンク3に伝導して放熱されるようになっている。このときに、ヒートシンク3に生じているプレス打ち抜き加工によるバリは、ドライバIC基板1に対向しているが、凸部33,34,35の方がバリの高さより高いために、バリにより、ドライバIC基板1に傷が付くことがない。
【0027】
次に、図9を参照して、図8に示すAの部分近傍について説明する。図9は、図8に示すA近傍の一部拡大図である。図9に示すように、ヒートシンク3に生じているプレス打ち抜き加工によるバリ3aは、ドライバIC基板1に対向しているが、前記凸部33,34,35の方がバリ3aの高さより高いために、バリ3aとドライバIC基板1との間に、一定の間隔が保たれており、バリ3aによってドライバIC基板1のプリントパターンの面に傷が付くことがない。また、バリ3aは基板1と対向する側に向いているので、フレキシブルプリント基板5,6を傷つけることもない。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態では、ヒートシンク3に生じているプレス打ち抜き加工によるバリは、ドライバIC基板1に対向しているが、凸部33,34,35の方がバリの高さより高いために、バリにより、ドライバIC基板1に傷が付いて、ドライバIC基板に断線やショートが生じることがない。また、凸部33がGNDランド13に対向し、凸部34がGNDランド12に対向し、凸部35がGNDランド14に対向するようにして接着されているので、凸部33,34,35がドライバIC基板1上の絶縁皮膜を傷つけてしまっても、凸部33,34,35が、接触するのは接地されているGNDランド12,13,14なので、ショート等の問題を生じることがない。また、GNDランド12,13,14は、接地回路のため大きな面積になっているので、凸部33,34,35により断線等することがない。
【0029】
さらに、ヒートシンク3をドライバIC基板1上に接着する接着剤36は、ヒートシンク3の全面ではなく、図6に示すようにヒートシンクの中央部にドライバIC2の大きさに応じて、熱伝導に十分な量だけ略円形に塗布されているので、当該接着剤の塗布部分以外は、ヒートシンク3とドライバIC基板1とが互いに拘束されておらず、自由に膨張できるので、ヒートシンク3とドライバIC基板1との線膨張係数の違いによって、ドライバIC2発熱による温度の上昇時に、ドライバIC基板1が反ってしまうことを防止できる。
【0030】
なお、本発明は上記の実施の形態に限られず、各種の変更が可能なことは言うまでもない、例えば、上記の実施の形態では、ドライバIC基板1を例に説明したが、本発明は、ヒートシンクを備える各種の基板に適用できることは言うまでもない。また、本発明は、インクジェットプリンタに限られず、各種の装置の回路基板に適用できることは言うまでもない。さらに、凸部は、必ずしも3点に限られず、各種の任意の数だけ設けてもよい。また、凸部の形状も円柱ではなく、四角柱やその他の形状でもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明の駆動回路基板では、バリが形成された側のヒートシンク上に当該バリの高さより高い凸部が設けられ、当該凸部を介して、ヒートシンクが前記回路基板上に取り付けられているので、バリと回路基板との間に隙間が空き、バリにより回路基板が傷つくことがない。
【0032】
また、請求項2に記載の駆動回路基板は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、前記凸部が前記回路基板上の接地パターンの上に当接するように、前記凸部が前記ヒートシンク上に配設されているので、当該凸部によりドライバIC基板の表面のカバー層を傷つけても、その下は接地パターンなので、ショート等を生じることがない。
【0033】
また、請求項3に記載の駆動回路基板は、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、前記ヒートシンクは接着により固定されるので、ヒートシンクの固定が容易にできる。
【0034】
また、請求項4に記載の駆動回路基板は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加えて、前記ヒートシンクの中央には、前記回路基板の中央に設けられた回路素子の大きさに対応した大きさの熱伝導率の高い接着剤が塗布されて、前記回路基板に接着されているので、回路素子の熱のヒートシンクへの伝導を高めることができる。また、ヒートシンクを回路基板上に接着する接着剤は、ヒートシンクの全面ではなく、回路素子の大きさに対応した大きさで塗布されているので、ヒートシンクと回路基板との線膨張係数の違いによって、回路基板が反ってしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態のドライバーIC基板及び付属装置の斜視図である。
【図2】図2は、ドライバーIC基板の平面図である。
【図3】図3は、図2に示すドライバーICの右側面図である。
【図4】図4は、ドライバーIC基板に接着されるヒートシンクの平面図である。
【図5】図5は、ドライバーIC基板に接着されるヒートシンクの右側面図である。
【図6】図6は、ドライバーIC基板にヒートシンクを接着した状態を示す平面図である。
【図7】図7は、ドライバーIC基板にヒートシンクを接着した状態を示す一部透視の平面図である。
【図8】図8は、ドライバーIC基板にヒートシンクを接着した状態を示す左側面図である。
【図9】図9は、図8に示すA近傍の一部拡大図である。
【符号の説明】
1 ドライバIC基板
2 ドライバIC
3 ヒートシンク
4 ヒートシンク
5 フレキシブルプリント基板
6 フレキシブルプリント基板
7 インクジェット記録ヘッド
11 プリント配線基板
12 GNDランド
13 GNDランド
14 GNDランド
33,34,35 凸部
36 接着剤
Claims (4)
- 記録媒体に対して記録を行なう記録ヘッド等を駆動する回路素子が搭載された回路基板であって、
当該回路基板には、放熱を行うヒートシンクが固定され、
当該ヒートシンクには、プレス加工により生じたバリが形成され、
当該バリが形成された側の前記ヒートシンク上に当該バリの高さより高い凸部が設けられ、当該凸部を介して、ヒートシンクが前記回路基板上に取り付けられていることを特徴とする駆動回路基板。 - 前記ヒートシンクを前記回路基板に固定したときに、前記凸部が前記回路基板上の接地パターンの上に当接するように、前記凸部が前記ヒートシンク上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路基板。
- 前記回路基板に、前記ヒートシンクは接着により固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動回路基板。
- 前記ヒートシンクの中央には、前記回路基板の中央に設けられた回路素子の大きさに対応した大きさの熱伝導率の高い接着剤が塗布されて、前記ヒートシンクが前記回路基板に接着されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の駆動回路基板。
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